六花テーマを作って愛用したらそのまま俺への愛が重くなった件について   作:白だし茶漬け

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最近遅くなって申し訳ないです……
さる方から書き方を教えてもらい、書き方に変化があります。さて、そろそろデュエルフェイズに移行しなければ…!


怒り

大分調子が良くなった。先程のデュエルで感じた体の嫌悪さも嘘のように無くなり、日常生活には影響は受けないだろう。

六花達が作ってくれたスーツを羽織り、皆が心配しているはずなのでまずは炎山達に会おう。

 

「…アイツらの中に精霊が混じっているのか…… 」

 

さっきのデュエルの時、俺はデュエルモンスターズの世界で初めて使えたカード、"六花聖華ティアドロップ"、"六花の誓い"、そして……俺がデッキに入れていない初めて見たカード"六花の返り咲き"と言うカードを使用した。しかもこれはこの現実世界では存在しないカードだ。そして、遊戯王を管理している組織"レゾン"。

その組織が、このカードは公式によって認可されていると言ってきた。

勿論そんな筈無い。何故ならこれはデュエルモンスターズの世界で初めて使ったのだから、このカードの存在を俺や六花、閃刀姫、そして花音以外誰も知ってるはずがない。

花音ならこの情報をリーク出来るとは思うが、恐らく花音は"レゾン"との関係は持っていない。何故なら、花音は"デュエルディスク"の事を知らなかったからだ。

デュエルディスクは、花音のお母さんが技術提供し、"レゾン"が開発した物だ。詳細は機密事項……花音には知らされていないはずだ。

そんな関係が無いのにわざわざ花音が、『花衣さんは精霊が見え、この世界には無いカードを使ったことがある』なんて言ってもメリットは無いのだ。

つまり、"レゾン"の関係者であり、俺の事を知っている人限られる。つまり…俺の身内、炎山達の誰かは俺が精霊の事を見えている事を知っているのだ。

 

「……なんだよどういう事だよ 」

 

自分の考えが納得いかず、俺はこんな事を考えてる自分を恨むように怒った。怒りをぶつけるように壁に殴りかかってしまう。

納得いかないのは、今まで黙っていた炎山達の誰かに対してもそうだ。知っていて何も言わず、そのまま"レゾン"って言う訳の分からない所に俺の事を話す。これではまるで、俺の事を監視していたと言っているような物だ。

信じたくない、自分の考えを否定したい。でも、今これが最も有力な考えだった。

これから会うのに、会いたくないという気持ちが強まる中、俺は弱音を吐くかのようにため息をつく。

そんな時、俺の服の裾を引っ張る感覚に襲われ、俺は後ろに振り返る。そこには、心配そうに俺の事を見つめていた、ストレナエがいた。

 

「花衣君、顔が暗いよ?私、花衣君の笑顔が大好きなんだけな……」

 

きっと鏡を見たら、自分の事が嫌いになるくらい暗い顔をしているのだろう。ストレナエを心配かけまいと笑顔を作ろうとするが、如何せん上手く笑えなかった。

歪な笑顔を見たストレナエは俺の事を強く抱きしめた。

身長差があるので、ストレナエの頭が俺の腹部に当たる。

 

「花衣君、辛い時は辛いって言っても良いんだよ?私達がその辛さを取り除いてあげる。だから……もっと頼ってよ……」

 

スーツにシワができるほどストレナエの握る力が強くなっていく。ストレナエは頼ってと言ったが、俺はもう充分六花達を頼っている。

俺はストレナエの頭にそっと手を置き、ゆっくり頭を撫でた。いつもなら喜んでくれるのだが、今ばかりはストレナエの顔は曇ったままだった。

 

「今の花衣君に撫でられても嬉しくないよ…… 」

 

「ご、ごめん……」

 

逆に不機嫌にさせた事の申し訳なさで、俺はストレナエから手を離そうとしたが、ストレナエ自身が俺の手を掴んできた。掴まれた手はそのままストレナエの右頬に添えられた。

ストレナエは昂る感情を抑えるように体を震えさせ、俺の手から伝わる体温を感じ取れた。

 

「私ね、花衣君の笑顔が大好き。この手の暖かさも、いつも一緒にいてくれる花衣君が大好き 」

 

嘘偽りが無いと言うように、ゆっくりと、慈愛の微笑みを浮かべてストレナエはそう言った。愛の告白の言葉が二度も告げられると、流石に恥ずかしい。

頬から手を離そうとしても、流石精霊の力と言う事なのか、俺の手は微動だにしない。ストレナエが俺の手をいつまでも離さなかった。

 

「だからね、もう……離れないで欲しいの。ずっとずっと……私の隣で笑って欲しいの。……ね? 」

 

ストレナエの笑顔が、俺には怖く見えた。いつも通りのにこやかな笑顔の筈なのに、確かに恐怖を感じていた。

俺の右手を愛おしく撫でるように触れるその手が変に冷たく感じられた。

 

「えへへ……このブレスレット、大事に持っててくれて嬉しいなぁ……」

 

ストレナエは右腕につけているブレスレットに注目した。このブレスレットは、ストレナエ、プリム、シクランが俺の為に作ってくれた物だ。

ブレスレットと言うと、贈り物をする時少し怖い意味があるらしい。その意味とは……『束縛』。

恐らく恐怖の正体はこれだ。ストレナエの無意識の願望が、俺の中の直感が反応したのだろう。

 

「花衣君どうしたの?顔色悪いよ? 」

 

「い、いや……何でもない 」

 

きょとんとした顔でストレナエはこちらを見ていた。

…いや、俺の考えすぎか。今のストレナエの表情は、裏表のない純粋な表情だった。さっきの恐怖感は気のせいだと片付けておこう。

突然ドアのノック音が聞こえ、俺とストレナエはドアの方向に注目する。

他の誰かが来たと考えたストレナエは素早く姿を消した。だが、その心配は無かった。部屋に入ったのは花音だったから。

 

「花衣さん、お身体の方は大丈夫ですか? 」

 

そう言いながら花音は部屋に入り、俺の体調を気にかけてくれた。

 

「あぁ。もう大丈夫だよ 」

 

腕を大きく伸ばしたり、体を動かす事で大丈夫だと認識させると、花音は安心しきった表情を浮かべた。

 

「良かった…あの、良ければ船の中を一緒に歩きませんか?ルール説明もしたいですし、お昼もまだでしょうし」

 

そう言えば、ルールもまともに聞かずにおり、昼食もまだだったな……説明と飯を同時に終わらせるなら丁度良いだろう。

 

「分かった。じゃあ、一緒に行こうか 」

 

「やった…!ありがとうございます! 」

 

変に喜んでいる花音を変に思いながらも、花音は急かすように俺の手を掴み、船内へと案内する。

 

「さぁさぁ、行きましょう!ここにはすごく美味しいお店ばかりなので、きっと満足出来ますよ! 」

 

それは楽しみだ……とは思ったが、忘れてはいけないここは豪華客船"ブルーアイズ・タイタニック号"だと言うことに。

豪華客船、つまりはここに来る人はかなりの金や地位を持っている人だ。そしてそれに合わせて店も高級店ばかりなのだろう。そう思うとなんだか手汗が出てくる。

だが花音の手を汚してしまう為、何とか平常心を保ち、汗を出すのを抑えながら船内を歩いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ、遂に花音が男の人と一緒に歩いて…もうお母さん感激するわぁ!」

 

実の娘に聞こえないように喜びの言葉を叫ぶ薫子と、隣には最初に花衣が出会った執事の人がいた。

執事は喜ぶ薫子をなだめるように注意を促した。

 

「薫子様…どうか落ち着いて下さい……」

 

「ほら、貴方も見なさいよ花音のあの顔!()()()のあんな顔、見たことある!? 」

 

執事は不意打ちをつかれたように体を強ばらせ、誰かに聞かれてないか周りを見渡した。幸い周りには誰もおらず執事はホッと息を吐いた。

執事の名は"咲初 陽太(さきそめ ひなた)"花音の父親であり、薫子に仕える執事、または秘書でもある。

薫子と陽向は幼なじみの関係であり、薫子のアプローチの結果、現在に至っていた。

 

「い、今は勤務中なのでそういう事は控えて頂けますか……? 」

 

いくら薫子の夫であっても、今の彼はただの執事である。オンとオフの切り替えは大切なのだろう。

だが薫子はそれをものともしなかった。

 

「別に今はいいでしょう?それに……私は今日この日は父親としてここに来なさいと言ったはずよ?」

 

薫子は睨むように陽太を見ると、陽太は逃げるように咳払いして薫子から目を背けた。

 

「私は貴方の執事ですからね。」

 

「もう!いつもそう言う!」

 

ポカポカとじゃれ合うように薫子は陽太の胸を連打する。

 

「……ねぇあなた。執事ってそんなに大事?」

 

薫子は上目遣いで陽太にそう言った。年に似合わないその美貌と可愛らしさに陽向は顔を赤らめていた。

何度も何度もこんな風な触れ合いには慣れていたと思っていた陽太だが、いつまでたってもこの目には照れずにはいられなかった。

平常心を保つように心の中で意気込み、陽太は言葉を放った。

 

「まぁ、私にとって執事は貴方との最初の繋がりでもありましたからね。やはり、それを捨てるには惜しいものなのですよ。」

 

幼なじみと言っても、薫子と陽太の関係はこの主従関係が始まりだった。それを惜しく思う陽太とそれをむず痒く思う薫子とはいつもこのような対立をしていた。

 

「でもなんだか寂しいわ……せっかく夫婦になってるていうのに、ずっとこの関係でいるのも疲れちゃうわ……」

 

陽太の胸に手を添え、引っ付くように薫子は陽太の体に寄り添った。耳の傍から聞こえる陽太の心臓の音に、薫子はクスリと笑った。

 

「…ふふ、やっぱり落ち着く。」

 

「そうやって抱きつくのも相変わらずですね。」

 

陽太は諦めたように笑いながら薫子を抱き寄せた。今だけ、今だけはと自分に言い訳をしながら、陽太は1人の男…いや夫として薫子を抱いた。指通しが良く、念入りに手入れされていた髪に触れると、陽太は心地よい気持ちになった。

 

「ところで……花音様の方はよろしいのでしょうか?」

 

「……あ 」

 

薫子は気がついたように通路を見返すと、もう花音と花衣の姿はいなかった。見たことない娘の顔をもっと見たかったと膝を着きながら、薫子は落胆した。

 

「う〜イチャイチャしてた隙に……やられた〜 」

 

「いや、貴方が勝手にやった事でしょう…… 」

 

「お黙り!はぁ……まぁでも良いかな。代わりに貴方とずっと一緒にいるから。」

 

「はぁ!?」

 

驚きのあまり思わず素が出た陽太は、思わず口を塞いだ。

 

「と、言うことで貴方の今日の勤務は終了〜。 早くお父さんモードに切り替えなさい〜!これは命令よ〜! 」

 

「なんという執権乱用だ……」

 

「良いじゃないの〜ほら、さっさっと私服に着替える!ふふ、久しぶりのデートね 」

 

薫子は楽しみにしながら急かすように陽太を私服に着替えるように言った。命令には逆らえない陽太は諦めるように部屋へと戻ったが、どこか清々しい気持ちにもなった。

 

「全く……でも、そういうところも好きだよ 」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

未だに自分の神経は弱いなと思う。今俺は花音と一緒に船内レストランに来てるのだが、明らかに雰囲気が三ツ星レストランのそれだった。静かな雰囲気にそれに合ったピアノの戦慄……緊張しすぎて頭がくらついてきた……

 

「か、花衣さん?あの……汗が凄いですけど大丈夫ですか? 」

 

「だ、大丈夫大丈夫!……多分 」

 

息を整え、レストランに入る準備をする。いやなんでレストランに行くのに準備とか必要なんだよ。ただご飯を食べるだけ、いつも通り外食するだけなんだ……ただめちゃくちゃ高級店に行くだけなんだ……

そう自分に言い聞かせながら、レストランに入る。

 

「いらっしゃいませ。お2人でしょうか。」

 

「はい、あと……お部屋の方をお願いします 」

 

花音が手馴れたような挨拶を交わしながら、一つのカードのようなものを取り出し受付の人に見せると、受付の人は深くお辞儀をした。

 

「かしこまりました。それではこちらへどうぞ……」

 

受付の人が入口とは別方向に手を向けると、手を向けた方向にあったカーテンが空けられると、そこには一つの道があった。

 

「さぁ花衣さん、一緒に行きましょう 」

 

「いやこれ……何? 」

 

「ただの専用個室ですよ。ちょっと行きつけの人だけの秘密の場所です 」

 

専用個室……?しかも行きつけの人だけ?それってつまり、VIPルーム的な物だろうか?あまりの凄さに言葉を失い、目眩がしてきたような気がした。

 

「それでは安全の為、全ての荷物はこちらで預からせてもらいます 」

 

「あ、そうでしたね。花衣さん、すみませんがデッキを含めた荷物は全て預けないとこの先には入れないので……お願い出来ますか?」

 

なるほど、中で何でもかんでも出来ないようにこうして荷物を預ける訳か。しかし、デッキもとなると六花達と閃刀姫達とはここで一旦お別れという事になる。

精霊は長い間実体化は出来ないし、霊体化も含めてこの世界にいる時間も限られている他、この世界に行き来する為のカードからあまり遠くには離れられないらしい。

レイとロゼも、存在事この世界に移したと言っても、元は精霊なので自分のカードをいつも持っていたらしい。

まぁ、そのカードは今俺の手元にあるのだが……。

 

まぁつまり、六花と閃刀姫達とは一旦離れると言う事だ。だが、それを許してくれる六花達では無いわけで……

 

『嫌です!花衣様とは離れたくありません!』

 

『そうですよ!別のお店に行きましょう!それに……貴方と花衣さんを一緒にさせる訳には行きません!』

 

ティアドロップとレイが予想通り猛反対してきた。しかも2人きりになるという訳なので花音に対しても敵意を向けていた。

 

「ご……ごめんなさい……この船でレストランと言えばここしかないのです 」

 

申し訳なさそうに花音は謝っていた。いや謝る必要は無いのだが……

 

「ここしか無いなら仕方ないだろう。ティアドロップ、レイ、ちょっと待っててよ 」

 

『うぅ……変な気は起こさないで下さいね?』

 

「起こさないから!」

 

何とか承諾を受けた俺は、デッキの他に、指輪、花飾り、ブレスレットを受付の人に預けてもらった。

受付の人は俺の荷物をロッカーに丁寧にしまい、俺に鍵を渡した。これでロッカーは開けられず、厳重な警備によって守られた。

なんだか閉じ込めてるみたいで申し訳ない気持ちになりながらも俺と花音は個室へと向かった。

少し長い廊下を歩き、ようやく個室の部屋にたどり着いた俺たちは、部屋へと入った。

広々とした部屋に高そうな壁画と装飾がいかにも雰囲気を出していた。

 

「どうですか?1番良いお部屋を用意しましたけど…… 」

 

「……緊張で吐きそう 」

 

「わわ!今袋を用意しますから! 」

 

いや今のは言葉の綾と言うかなんというか、本当に吐きはしない。ただそう思っただけだ。本当に俺、こんな所に来てもいいのだろうか。

花音は俺の言葉を真に受け、袋を俺に差し出した。だが吐き気はしない為、大丈夫だと一声かけて断った。

 

「では、席に座りましょうか。待っていれば料理が来るので、それまでゆっくりしましょう 」

 

花音は慣れた足運びでテーブルに座り、俺はもたついた足運びでテーブルに座った。緊張で死にそうなので気をそらすようにキョロキョロと周りを見渡す俺に対し、花音は優雅な振る舞いで落ち着いて料理を待っていた。

なんだか生まれと育ちの差を感じるなぁ……

 

「ふふ、いつも通りで良いんですよ 」

 

「そう言われても……こういう所、俺はこういう所、無縁な所だからなぁ 」

 

そりゃここに来たいという憧れみたいのは小さい頃とかはあったが、いざこうして来ると緊張と恐れが勝ってしまう。いつも通りと言われても、やはり雰囲気に圧倒されるのだ。

 

「まぁ、まずはお水を飲みましょう。私が注ぎますね 」

 

テーブルのグラスを取り、花音は水が入ったピッチャーから水を注ぎ、俺に手渡した。

一見普通の水であり、恐る恐る1口飲む。

するとどう言う事だろう、いつも飲んでいる水とは違いと一口で分かるほどのおいしさだ。水なのに少し味があり、体の内から活力が漲るようだった。あまりの衝撃に体が固まってしまうようだった。

 

「花衣さん?もしかして、お口に合いませんでしたか?」

 

「あ、いやいや……この水が美味しすぎてつい 」

 

本当に水かと思う程に美味しすぎる、あまりの美味しさにまだ料理も来ていないというのにグラス1杯の水を飲み干してしまう。明らかにマナーが悪いことに気づいた俺は、我に返った様に自分の行動を恥じた。

 

「あ……ごめん。行儀悪かったよな 」

 

「いえいえ、お気になさらず 」

 

花音は微笑みながら空になったグラスにまた水を入れてくれた。美味しくても二度も一気飲みする訳にもいかないので、今度は飲まずにいた。

 

「それにしても本当に美味しい水だったな。一体どこの水なんだろう……」

 

「えーと、確かこの水はフランスの所ですね、お値段はボトル1本で1万ぐらいでしょうか 」

 

「水で1万っ!? 」

 

嘘だろ…?たかが水、だがされど水と言うことなのだろうか。まさかボトル1本で1万っておかしいだろ……

絶句と同時にこの水を飲むのも失せてきたような気がした。

 

「大丈夫ですよ。花衣さんは招待された身なので、無料で料理が楽しめますよ 」

 

「いやそう言う事じゃ無くて……」

 

そんな時、ドアのノック音が聞こえ、花音はどうぞと一声をかけると、ドアの先から人が入って来た。

恐らくウエイターだろう。

 

「失礼します。こちら、オードブルでございます 」

 

オードブル……確か前菜って意味だったかな。まさか生声でこの言葉を聞くとは思わなかった。いつもはドラマとかテレビから聞いていたので、新鮮さがあった。

ウエイターが2つの皿を俺と花音の前に出すと、皿の上には、四角い物体の物が2つと皿の端に2種類のソースがあった。

 

「こちら、12種類のテリーヌでございます 」

 

テリーヌって、確か野菜とか敷き詰めた料理だっけ……まるで絵のように見えるこの料理は、作った人の繊細さと技術の高さが目に見えていた。

まじまじと料理を見てる間に、ウエイターが次の料理を持っていったのか、部屋を出てしまった。

 

「それでは食べましょうか 」

 

花音はナイフとフォークを綺麗に持ち、皿の上のテリーヌを1切れで1口サイズに切っていく。

見よう見まねで俺もナイフとフォークを持ち、テリーヌを切ろうとしたが、花音のように綺麗には切れず、少し野菜が崩れてしまった。

しかしフォークで刺した部分は無事なので、そのまま口の中に入れる。

 

(……うっま )

 

こんな所で出す言葉では無いが、本当に美味い。野菜の風味がしっかりと生きており、色んな野菜があるのにごちゃごちゃしていない。鮮烈された味……芸術なようにも思うほどだ。

 

「ソースを付けて食べると、また違った味になりますよ」

 

言われるがまま、俺はテリーヌを1口サイズに切り、今度はソースを付けて食べてみる。ソースは2種類あるので、奥の赤いソースを付けて食べてみると、先程とはかなり味が濃厚になった。

次に手前側の白いソースをつけると、打って変わって爽やかな味に、ソースだけでここまで変わるとは…やはり料理は奥深いと言うことなのだろうか。

 

「あの…花衣さん?お口に合わなかったでしょうか? 」

 

「え?なんでそんな事……美味しいけど……」

 

「だって、花衣さん何だか喋らないので……」

 

そう言えば、俺は料理を出されてから一度も口を出していなかった。いつもなら六花達とたわいのない話をしたりするが、今回は場所が場所だ。テーブルマナーはしっかりとしないといけないと思ったのだが……花音は何だか寂しそうだった。

 

「ここには私と貴方しかいないのですからマナーは気にしなくて良いんですよ?それに……花衣さんともっとお話したいですし……」

 

「そ、そうか……じゃあ、タッグデュエルのルームを教えてくれないか?俺、寝てたからまだ聞いてないから。」

 

「……そう言う事じゃ無いのですけど。」

 

「ん?何か言った?」

 

「あ、いえいえ!じゃあルームを説明しますね 」

 

花音が何か言ったような気がしたが、聞こえなかったのであまり気には止めなかった。

花音は食事を挟みながらも、今日にルールを説明してくれた。ルームとしては基本的な事は変わらないが、タッグマッチとしては特殊といえば特殊だった。

 

・ライフはお互い4000であり、タッグのライフがどちらも0になるまでデュエルは続行される。

 

・パートナーのフィールドと墓地はお互いに共有出来る。

 

・カードテキストに『相手の』が書かれている場合、自分以外のプレイヤーの事を指すものとする。

 

大まかなルールとしてはこんな感じだ。あとは基本的なルームと変わらない。

 

「ん〜ライフが4000なのは大きいな……それと、パートナーで墓地とフィールドを共有出来るって事は、パートナーのモンスターを使って、リリースしても良いって事なのか?」

 

「はい、効果を発動する為のコストやエクシーズ素材等に使っても問題ないです 」

 

てことはかなりの連携が必要になってくるな……そう考えると、今の俺のデッキ構成と花音のデッキ構成はやや不安定だ。

前の六花中心デッキならいざ知らず、こっちは閃刀姫も入ったかなりごった煮のデッキだ。花音の負担が大きくなるのは目に見えていた。

 

「俺のデッキ……大丈夫かな 」

 

「私も全力でサポートします。いつも通り行きましょう! 」

 

花音はコース料理である、肉料理を食べ終え、後に続いて俺も完食した。

いや本当に美味しかった……人生一度きりかもしれないコース料理を堪能出来て良かったのかもしれない。

 

「この後はデザートもあります。今回は何かな〜 」

 

花音がデザートを心待ちにしているように体を小さく左右に揺らしていた。

それを見た俺に気づいた花音は顔を赤くして縮こまってしまった。

先程の綺麗なテーブルマナーとは打って変わった態度なので、少々驚いしまった。

 

「い、いつもはこんな事しないんですよ!ただ……貴方の前だと安心して、気持ちを安らいちゃうので…つい

 

「俺そんなに影響するやつかな〜。なんか自分では分からないけど……」

 

そう言えば車の中でもそう言っていような気がするな…

何だか気恥ずかしくなってしまい、俺も顔を俯かせてしまう。何だか恥ずかしい空気が漂う中、俺の耳元で誰かの声がした。

 

_……て

 

「……?」

 

この声は……ティアドロップか?何かを伝えようとしているのか、酷く必死な声だ。

嫌な予感がした俺は、体を強ばらせながらも、全神経を聴覚に集中するように目を閉じた。

「花衣さん……?どうかしたのですか? 」

 

「ちょっと静かにしてて花音。今、ティアドロップの声がしたんだ 」

 

「ティアドロップさんが……?」

 

花音は俺の言う通りに静かにすると、俺はティアドロップの声を聞き続けた。途切れ途切れでまだよく分からないが、最初よりはマシになった。

 

_た……けて……か……ま

 

た…けて?まさかとは思うが、『助けて』と言っているのでは無いかと考えた俺は、椅子を倒すほど勢い良く立ち上がった。

それに驚いた花音は恐る恐る俺に尋ねてきた。

 

「か、花衣さん!?急に立ち上がってどうしたのですか? 」

 

「今、ティアドロップが『助けて』って言ったんだ!何かあったのかもしれない……ごめん!すぐ戻るから! 」

 

「あ、花衣さん! 」

 

花音の声を無視し、俺は部屋から勢い良く飛び出し、廊下を走った。途中ウエイターさんとぶつかりそうになったが、今の俺にはそんなの些細な事だった。

レストランの入口に戻り、受付の人に俺のデッキが無いかと確認する。

 

「すみません!俺のデッキありますか!?」

 

俺の忙しない態度に驚きながらも、受付の人は丁寧に対応してくれた。

 

「で、デッキでしょうか?それならお知り合い様にお渡ししましたが…」

 

知り合い!?…炎山達の事か?どうして俺のデッキを……まさか、六花達に何かするつもりか!?

不安や焦り、動揺が嵐のように入り交じり、俺の中で暴れる中、残った僅かな理性と落ち着きが次の俺の行動を示してくれた。まずは名前だ。炎山達の誰が俺のデッキを手にしたのかを知らなければならない。

 

「その人の名前は!?」

 

「それが……見下(みくだし)様なのです。」

 

「は…?」

 

見下…?誰だそれ?そんなやつ俺の知り合いにはいない。間違いなくそいつと俺は赤の他人だ。

なら…俺のデッキはそいつに盗まれたと言う事だ。

次は足取りだ。炎山達なら携帯等で居場所は分かるのだが、知らない奴となると何処にいるかさえ分からない。

 

「その人がどこに行ったか分かりますか!?」

 

もうこうなってしまえば神頼みだ。俺は神に願うように、その見下と言う人がどこに行ったのかを尋ねる。

 

「申し訳ございません……何処に行かれたかはとは申しておりません 」

 

「そんな……」

 

俺は膝を折り、諦めたように膝を着いてしまう。

どうする事も出来ない時、花音がようやくおいつき、俺の隣に立った。

 

「はぁ……はぁ…花衣さん!ティアドロップさんは!?」

「花音……ダメだ。俺のデッキが、見下って人に盗まれた…知ってるか?」

 

「見下……あの人が花衣さんの!?ちょっと待っててください 」

 

花音の目付きが鋭くなり、手早く携帯を取り出し、何処かに連絡していた。

 

「もしもし、お母様ですか?至急、見下さんが何処にいるのか突き止めたいのですが……はい……はい……ありがとうございます 」

 

花音は電話を切り、俺にとって救いの情報を差し出してくれた。

 

「花衣さん!見下さんは金色で目立つコートを着ていました!今係員の皆さんが探してますので、私達も探しましょう! 」

 

金色のコートって……趣味悪すぎるだろ。いや、でも、いい情報だ。金色のコートなんてそう着る人はいない筈だ。しかもかなり目立つ色だから直ぐに見つけられるはずだ。

 

「ありがとう!悪いけど炎山達にも言っといてくれ! 」

 

とにかく探し出す。その一心で俺は足を動かした。

息切れも気にせず、体の疲れも感じることもせず、船内を走り続けた。

幸い、この船にいる人は"ロマンス・タッグデュエル"の参加者とこの船の係員だけなので、比較的動く事はそんなに苦ではなかった。

だが、この船は相当でかい。人が少なくとも、隠れる場所は多いのでしらみ潰しに探すことも難しい。

せめて何か探せる手段は無いのかと線内を走り回ると、また声が聞こえた。

 

_…さん、うえ……です

 

この声は……レイの声だ。うえ…この階よりも上って事か?ここは1階であり、この船は4階もある。

上と言ってもどの階何だ…?いや、とにかくこの階じゃないだけありがたい。

俺は目の前の階段を駆け上がり、2階へとたどり着く。

 

「この階にいるといいが……」

 

「おーい花衣!」

 

突然俺の名前を呼ぶ声がした。さっきと違ってハッキリとした声であり、男の声……炎山だった。声の方向に顔を向くと、向こう側に炎山と白井がこちらに手を振っていた。

 

「花衣!上だ!上の階に金色のコートを着た奴がいたぞ!」

 

「階段は真っ直ぐ行ったところにあるわ!早く行きなさい!」

 

白井が階段の所を教えると、確かに奥の方に階段があった。どうやら、花音の連絡が炎山達にも届いたそうであり、見下という人を探していたのだろう。

 

「多分、空が捕まえている筈だ!早くデッキ取り戻してこい!」

 

「分かった!ありがとう!」

 

俺はすぐさま真っ直ぐ走り、階段を駆け上がった。

螺旋階段を駆け上がり、3階へとたどり着く。この階は……乗客達の部屋の階か?

無数のドアが並んでおり、恐らくこの中に見下の部屋があるはず……だが、そいつの部屋番号は知らないので結局しらみ潰しになる。

炎山の話では、機羽が運良く捕まえている筈だが……

 

「花衣!ここにいたのか!」

 

機羽の声が鋭く聞こえ、河原と共にこちらに走ってくる姿が見えた。2人の焦り姿から、恐らく見下を捕まえられなかったのだろう。

 

「すまない、見下ってやつを逃がした。そっちに来なかったか?」

 

「いや、俺は今来たばかりだから分からないんだ……」

 

恐らく、俺が来る前に別の場所に移動したのだろうか。

 

「あの下衆野郎の部屋番号を花音から聞いたんだけど居なかったよ。まぁ、流石に自分の部屋に隠れるわけはないけと思うけど……」

 

まぁ確かに、それだと自滅行為だからな。2階もいない。3階にもいない。残りは…4階、つまり船外デッキだ。

もうアイツに逃げ場は無いはずだ……絶対に逃がすものか……!

 

「おい、どうした花衣?」

 

「……別になんでもない 」

 

何故か沸き立つ怒りを抑え込みながら、機羽を苛立たしく跳ね除けてしまった。俺は周りを見ずに、船外デッキに繋がる階段を見つけ、駆け上がった。

駆け上がる度、暖房が聞いた室内の温かさがなくなり、肌寒さが強くなった。もう冷え込む時期かと考えながら、俺は目の前の扉を開ける。

まだ昼頃なので外は明るく、肌寒い風が俺を襲う。

 

「どこだ……どこにいる……! 」

 

走り続けて疲れたせいなのか、それとも逃げ場はないので走る必要は無いと考えたのか、俺は走り回ることはせず、ゆっくりと歩いた。見逃さないように視覚と聴覚を研ぎ澄ませ、周りを見渡す。

すると、後部デッキに金色のコートを着た男を見つけた。あいつが見下なのだろうか、顔を見ると、年齢は俺と同じぐらいだろうか、興味深さそうに俺のデッキを見ていた。

 

_花衣……さま…

 

「ティアドロップ…!」

 

身動きが取れないティアドロップの姿がうっすらと見え、確信した。あいつが俺のデッキを奪ったやつだ。

俺の怒りに任せて前に出て、威圧をかけるように声を荒らげた。

 

「おい!お前が俺のデッキを盗んだやつか!?」

 

男は肩を跳ね上がらせ、俺の方向に振り返った。

趣味の悪い金色のコートに、いかにもお坊ちゃんのような出で立ちに、少し肥満気味だ。

 

「お…お前!何でここにいる!」

 

「関係ない。そのデッキを返してくれ 」

 

返すようにと右手をのばし、俺は1歩ずつ見下に向かって歩いていく。

すると、見下は返さないという意思なのか、俺のデッキを後ろに隠した。

 

「それは俺のデッキだ。返してくれ 」

 

「おいお前!取引しないか……?」

 

は?何言ってんだこいつ。見下は何か紙のような物を取り出し、何やらペンで書いていた。

 

「ほら……小切手だ。この金額でこのデッキを買ってやるよ 」

 

見下は金額の書かれた小切手を俺に投げつけてきた。

無風のおかげなのか、紙はヒラヒラとこちらを無事俺の手元に来た。小切手の金額確認すると、その額は……1000万だった。

 

「どうだ、庶民のお前には喉から手が出る程の金額だろ?ただカードを渡すだけで1000万だぞ!? 」

 

「関係ない 」

 

俺は見下の目の前で1000万の小切手を破り去り、ほおり投げた。紙くずと化した小切手を見た見下は有り得ないと言った表情で空に散らばった小切手の破片を見た。

 

「お、お前!?1000万だぞ!?それをお前は!」

 

「そのカードは俺にとって大事なカードなんだ。いくら積まれようとも俺はそいつらを誰にも渡すつもりは無い 」

 

「たかがカードだぞ!?」

 

「俺にとっては命と同等の価値がある 」

 

そうだ。そのカードはただのカードじゃない。俺と六花、閃刀姫達の繋がりだ。

 

「それに、お前もお前だ。たかがカードと言っているが、お前はなんで俺のデッキを盗んだ? 」

 

俺が最も知りたいのはそこだ。いや大体予想はついていた。六花と閃刀姫のカード自体はこの世界では珍しくない普通のカードだ。何も俺だけが使えるという訳ではない。だが、こいつに目当てがあるとすれば……あのカードだ。

 

「それは、お前のデッキに"レゾン"から手渡されたカードがあるからだ!」

 

やはりそういう事か……しかし"レゾン"という名前がまた出てきたな。

確か……デュエルモンスターズを管理している組織とは薫子さんは言っていたが、そこまでの影響力はあるのかだろうか…?いや、この世界ではある。

この世界は、遊戯王中心に変化し続けていた。

デュエルディスクも開発され、人々はデュエルモンスターズに熱狂している。それを管理している組織もあれば多少なりとも影響力はあるのだろう。

 

「それにな……気に入らないんだよ。庶民のお前が"レゾン"に一目向けられているのがなぁ! 」

 

「どう言う事だ 」

 

「"レゾン"は何もデュエルモンスターズだけを管理しているわけじゃない。あらゆる金融、外交、他にも色々管理している……つまり、この世で最も影響力を持つ組織だ。それが……何故庶民のお前が注目される!?僕を差し置いて、なんでお前が!? 」

 

「つまりお前は……ただ嫉妬で人様のデッキを盗んだ訳か。救いようのない馬鹿だな 」

 

本当に呆れた……だが、"レゾン"についての情報はたまたまだが少なからず聞き取れた。

まさかかなり大きい組織だったとはな……本当に何なんだ?

そんなことを考えていると、見下が体を震えさせていた。寒さでは無い。あれは……怒りによってだ。

 

「馬鹿だと……?庶民のお前が僕に向かってそんな口を叩くのか!恥を知れ! 」

 

「恥を知るのはお前だ。人様の物を盗んで置いて、どの口が言うんだ 」

 

「いいかよく聞け。力あるものはな、何してもいいんだよ。許されるんだよ。理由は簡単、僕は立場も力もある人間だからさ 」

 

つぐつぐ苛つく奴だ……本当にこんな奴がいるとは思わなかった。最早こいつに怒り以外の感情を持つ事は無い。もうこいつの顔を見るのはうんざりだ。ふつふつと煮えたぎる怒りや憎悪が沸騰すら超えるようだった。

 

「早く返してくれ 」

 

見下を睨み続けながら手を伸ばし、デッキを返すように伝える。しかし、見下はそんな俺の目を見て逆ギレした。

 

「なんだその目は……お前みたいな庶民が、俺を蔑むのか!? 」

 

「いいから返せ……! 」

 

見下の目の前まで近づいた俺は、見下のコートの胸ぐらを掴み、見下の目を貫くような鋭い目付きで睨む。

 

「ひいっ! 」

 

情けない叫び声には何も感じられず、俺は見下の右手に持たれたデッキに手を差し伸べる。

怯んだせいか、見下の手の握力はほとんどの無く、用意にデッキを取り返せた。デッキを取り返せたのでもうこいつには関わらなくて済むと思うと、妙に清々しい気分になれた。俺は胸ぐらを掴んでいた左手を突き飛ばすように離すと、見下は面白いように後ろに吹き飛んだ。

俺を恐れ、俺を人として見ていないその目は、紛れも無く恐怖に溺れていた姿だった。

情けない姿を目にしていた時、複数人の足音が聞こえた。恐らく、炎山達だろう。

 

「おーい花衣!デッキは大丈夫……か? 」

 

炎山が俺を見た瞬間、言葉の歯切れが悪くなったのと同時に、何やら驚いた顔つきになった。

 

「ん?あぁ炎山、デッキはこの通り取り戻せたよ 」

 

「そ……そうだな…… 」

 

何をそんなに恐ろしいのだろうか?まるで俺の事を見て恐れているようだ。恐怖が混じっているその目は、まるで俺の事を俺として見ていないような目だった。

炎山だけでは無く、花音達もそんな目をしていた。

……そんなに俺、怖い顔をしているのだろうか。鏡があれば見てみたいが、今は六花達と安否が心配の一心だった。

 

「あの、花衣さん……? 」

 

「………… 」

 

俺は何も言わず、その場から立ち去ってしまった。何となく、いや、無意識にここから立ち去りたかった。

この場の空気を悪くした事や、皆の安否なのもあるかもしれないが、とにかく今は皆と顔を合わせたくは無かった。

 

「ば…化け物が…… 」

 

見下が小さく、怯えながら吐き捨てたその言葉が妙に大きく聞こえた。

ここまで(〜90話)出てきたレゾンカードの中で強いと思うのは?

  • 六花聖華ティアドロップ、カイリ
  • 閃刀騎-カイムと閃刀騎-ラグナロク
  • 銀河心眼の光子竜
  • RRRリノベイルイグニッションファルコン
  • 炎転生遺物-不知火の太刀
  • 常闇の颶風

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