六花テーマを作って愛用したらそのまま俺への愛が重くなった件について   作:白だし茶漬け

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どうも白だし茶漬けです。
今回も1枚オリカがありますのでそのカード内容を後書きにて書かせていただきます〜


繋がる世界

「「デュエル!」」

 

桜雪花衣vs咲初花音

LP8000 LP8000

 

「行きますよ!私はフィールド魔法"白薔薇の回廊(ホワイト・ローズ・クロイスター)"を発動!」

 

フィールド魔法をセットする為の場所なのか、ディスクの側面に新たな場所が追加されると、咲初はその場所にカードを置くと、カードはディスクの内部へと入った。

すると、このステージが突然、植物が生い茂り、美しい白薔薇が咲き誇った回廊へと変わった。

正しくカードに描かれているイラストそのものの景色だった。

 

「うぉぉすげぇ!まるで本物じゃねえか!!」

 

「凄いな…とんでもない技術だ。」

 

炎山と機羽だけではなく、ここにいるもの全てがその技術に驚き、歓喜していた。

 

「更に私は永続魔法"アロマージガーデニング"を発動!」

 

アロマガーデニング…確か"アロマ"モンスターが召喚・特殊召喚された時、自分のライフを1000回復する魔法カードだ。不味いな、初手でライフを回復されては花音の有利になるだけでは無く、ライフが多いことによって"アロマ"モンスターは真価を発揮する。

だが残念ながら今の俺の手札に手札誘発系のカードは無い。妨害する事は不可能だった。

 

「どんどん行きますよ!"白薔薇の回廊(ホワイト・ローズ・クロイスター)"は、自分フィールドにモンスターがいない時、"ローズドラゴン"か植物族モンスターを特殊召喚出来ます!私は"アロマージジャスミン"ちゃんを守備表示で特殊召喚!」

 

アロマージジャスミン

レベル2/植物族/ATK100/DEF1900

 

フィールドが変化した白薔薇の回廊の奥からジャスミンが白薔薇の花びらと共にフィールドに現れた。

ジャスミンはこの大衆の目に注目されてはずがしがっているのか、顔を赤くしてその場でしゃがんでしまった。

…いや待て、おかしくないか?確かにあれは、普段花音の傍にいる"アロマージジャスミン"そのものだが、それが俺の疑問を生んだ。

()()() ()()()()()()()()。行動や表情がまるで精霊世界からこの世界にやってきたような感じであり、プログラムから投影されているソリッドビジョンとは到底思えない。

花音も同じような疑問を感じているのか、俺と同じように困惑した表情を取っていた。

もしかしたら俺の考えすぎかも知れないが、現段階では判断が付け難い。この疑問を解決する為には、俺のターンでアイツらを召喚する他しかない。

 

「わ、私は永続魔法"アロマージガーデニング"の効果発動!"アロマ"モンスターの召喚に成功したので、私はライフを1000ポイント回復します!」

 

咲初花音 残りLP8000→9000

 

「更に、ジャスミンちゃんの効果発動!自分のライフが回復した時、私はデッキからカードを1枚ドローします!」

 

これにより、花音の手札は2枚から3枚に増えた。しかも花音はこのターン召喚権を使って召喚をしておらず、ライフが俺より多い為、"アロマージジャスミン"の効果である、通常召喚に加え、更にもう一度召喚出来る効果も使える。さて…どう来る?

 

「私は"イービル・ソーン"を通常召喚し、ジャスミンちゃんの効果で通常召喚に加えて、植物族モンスター一体を召喚出来ます!私は"アロマージローズマリー"ちゃんを召喚!」

 

イービル・ソーン

レベル1/植物族/ATK100/DEF300

 

アロマージローズマリー

レベル4/植物族/ATK1800/DEF700

 

地面から植物の茎がえぐるように現れ、毒々しい棘がある房が付いたモンスター、イービル・ソーンが現れた。

隣にいたジャスミンがその毒々しさに驚いたのか、花音の後ろに隠れてしまった。

 

「はわわっ!花音…やっぱり私…あれ苦手…」

 

「わ、私も苦手かな〜ちょっと離れるね…」

 

「ご、ごめんね…でも増やしてしまうからもうちょっとだけ我慢しててね?」

 

増やすと言うと…やはり花音はイービル・ソーンの効果を使うようだ。

ジャスミンとローズマリーはそれを聞くとまたしても縮こまってしまい、イービル・ソーンがいなくなるまで花音の後ろに隠れ続けていた。

それを見た観客は愛らしく感じたのか、ジャスミンを見てほのぼのとした気持ちになっていた。言うなれば子供の授業を見に来た親のような感じと言った方が良いだろう。観客の心のライフポイントも回復して行った。

 

(やっぱりあの反応…いつものジャスミンなのか?)

 

疑問が大分確信に近づいてきたが…やはり納得がいかなかった。いくらソリッドビジョンだとしてもあんな風な反応をさせるのは不可能では無いのか…?

やはり、これはソリッドビジョンじゃなくて()()()()()()()()()なのか…?だとしたらなんの為に…

 

「私は"イービル・ソーン"の効果発動!このカードをリリースする事で相手に300ポイントのダメージを受け、デッキから同名カードを特殊召喚します!」

 

花音がイービル・ソーンをリリースすると、イービル・ソーンは棘のついた房を俺に投げつけるように切り離すと、房が破裂し、棘が俺に襲いかかってきた。

 

「っ…!!」

 

「あ…危ないっ!!」

 

「きゃぁぁぁぁ!」

 

花音と観客の悲鳴によって俺は咄嗟に防御の姿勢を取り、棘から身を守ろうとしたが、棘は俺の体の節々に刺さってしまった。

だが、痛みは無かった。棘は時間が経つと何事も無かったかのように俺の体から消えていった。

 

「皆様、心配ご無用です。これはソリッドビジョン…言わばARなのです。人体には影響がありませんのでご安心下さい。」

 

花音のお母さん、咲初薫子さんの言う通り確かに痛みは感じられないし、後遺症見たいな物も無い。

やはりこれはソリッドビジョン…簡単に言えば進化したAR技術だ。

だとすると、俺の考えは外れだと言うことになるが納得が出来ない。

ジャスミンのあの態度は間違い無く花音とずっと一緒に過ごしているあのアロマージジャスミンだ。花音と俺だけにしか精霊が見えないのに、あんな風に行動させるプログラムなんて作れる訳が無い。

花音自身が開発に関わっているなら話は別だが、先程の反応からしてそれは無い。

訳が分からない…どうなっているんだ。

「花衣さん!お怪我は本当にありませんか!?」

 

花音がデュエル中なのにも関わず俺に近づき、俺に怪我が無いかじっと俺の体を見ていた。

 

「大丈夫だよ。ほら、服とか何ともないだろ?」

 

俺は服全体を見せるように腕を広げると、服には傷一つ着いていない。先程棘が刺さった所もなんの異常も無く、問題なくデュエルを続行できる状態だ。

花音はほっと胸をなでおろし、安堵の息を漏らした。

 

「良かった…でももし異常があれば直ぐに言ってくださいね!」

 

「うん、分かってるよ。」

 

花音は俺を気にかけながら持ち場に戻ると、気を取り直すように深呼吸を行った。

 

「ふぅ…続けますね。イービル・ソーンがリリースされた事により、花衣さんは300のダメージを受け、私はデッキから同名カードを特殊召喚します。」

 

桜雪花衣残りLP8000→7700

 

これで咲初の場はアロマージジャスミン、アロマージローズマリー、イービル・ソーンが2体に永続魔法のアロマージ・ガーデニングがある。

まさか1ターン目からここまでモンスターを召喚するなんて…そして、リンク素材する気満々のイービル・ソーンに、俺の予想が正しければ、次に召喚するモンスターのリンク先にはアロマージローズマリーがいる。…来るか。

 

「私は、イービル・ソーン2体でリンク召喚!召喚条件は植物族モンスター2体!」

 

咲初がリンク召喚と告げると、音声認識なのか、頭上にリンクサーキットが現れた。イービル・ソーン2体は頭上のリンクサーキットに吸い込まれるように行くと、それぞれ花音から見て右下、左下のマーカーにセットされた。

 

「リンク召喚!リンク2、"アロマセラフィージャスミン"ちゃん!」

 

アロマセラフィージャスミン

LINK2/植物族/ATK1800

 

アロマセラフィージャスミンがサーキットから花びらと共に可憐に登場すると、その攻撃力が表示された。

不気味なイービル・ソーンがいなくなった事で、ようやく花音の後ろに隠れていたアロマージジャスミンがフィールドに戻ってきた。

 

「頑張ろうね、ジャスミンちゃん!」

 

「「うん!」」

 

咲初の激励にアロマージジャスミンとアロマセラフィージャスミンの2人が同時に返事を返した。

そう言えば、あの二人は同一人物だったな。同じモンスターが(今の状況は厳密には違うが)召喚されるのはまぁよくある事だが、今こうしてソリッドビジョンで見てみると何だが違和感と言うかなんと言うか…変な感じになる。

しかしそれは、同じ顔をしている者と出会ったジャスミンが1番それを感じているだろう。

 

「なんか変な感じするね。」

 

「そうだね、私もジャスミン、貴方もジャスミンだもんね。」

 

2人のジャスミンは互いの顔をまじまじと見るた。2人の違う点と言えば、背中に蝶のような羽があるか無いかの違いだ。

羽がある方が"アロマセラフィージャスミン"で無い方が"アロマージジャスミン"だ。

それ以外は全てが同じという点は同一人物だという裏付けだろうか。

 

「さて、続けますね。私は"アロマセラフィージャスミン"の効果発動!このカードのリンク先にいるモンスターをリリースする事で、デッキから"植物族"モンスターを特殊召喚します!」

 

今リンク先にモンスターがいるのはアロマージローズマリーとアロマージジャスミンだ。

さて、どっちを選ぶのか…

 

「私は"アロマージローズマリー"をリリースして、デッキから"アロマージマジョラム"さんをリンク先に特殊召喚します!」

 

アロマージジャスミンが待ってる杖をローズマリーの方に振ると、ローズマリーの周りに光が包み込まれ、それと共にローズマリーが消えると、入れ替わるようにアロマージマジョラムがフィールドに姿を現した。

 

アロマージマジョラム

レベル5/植物族/ATK2000/DEF1800

 

これで花音の手札は残り1枚、フィールドにはマジョラムとアロマージジャスミン…そしてあの2体はエクストラモンスターゾーンにいるアロマセラフィージャスミンのリンク先にいる…

これはちょっとキツイな…

 

「アロマセラフィージャスミンちゃんは自分の方がライフが多い場合、リンク先にいるモンスターは破壊されず、マジョラムさんは植物族への戦闘ダメージを0にします。」

 

これにより、花音のモンスター全ては戦闘では破壊されず、戦闘ダメージも0だ。

しかもライフの差は俺が7700で花音が9000とその差は1300だ。効果ダメージだけでは到底削りきれない差だ。

 

「さらに私はカードを1枚伏せてターンエンドです。」

 

これにより花音はこのターン、全ての手札を消費してターンを終えた。

さて、いよいよ俺のターンだ。観客全員が俺のターンに注目しているせいか、かなりの緊張感で手が震える。

全く…いつもこういう時にプレッシャーを感じてしまうのは、俺の心の弱さの象徴だ…嫌になってしまう。

 

_大丈夫ですよ。私達がいますよ。

 

俺のエクストラデッキからティアドロップの声が聞こえた来た。一緒に過ごしたせいなのかは知らないが、今の俺にはありがたい言葉だった。緊張感が無くなり、安心感を感じた俺は、手の震えを止めてカードをドローする。

 

「…よし!俺のターン…ドロー!」

 

世界で最初、デュエルディスクでドローした人物が現れた瞬間に立ち寄った観客は全員固唾を飲んで俺のターンに注目する。

俺が引いたカードは、"ワンフォー・ワン"だ。我ながら最初からいい引きだ。デュエルディスクを使った最初のトローに相応しいカードだ。

 

「よし、行くぞ!俺は手札から魔法カード"ワンフォー・ワン"を発動!自分の手札からモンスターカードを1枚墓地に送ることで、手札又はデッキからレベル1のモンスターを特殊召喚する!俺は、"六花精ヘレボラス"を墓地に送る。」

 

手札からロゼを墓地に送り、俺はデッキからカードを選ぼうとしたが、デュエルディスクのパッド部分が光り出すと、俺が今使っているデッキのモンスターが表示された。ご丁寧に表示されているのはレベル1のモンスターである。

俺が使っているレベル1のモンスターは"イービル・ソーン"と"コピープラント"と"薔薇恋人"と"六花のひとひら"だ。こんなもの無くても、俺が選ぶカードは決まっている。

 

「俺が最初に出すモンスターはこいつだ!俺はデッキから"六花のひとひら"を特殊召喚!」

 

俺のフィールド上に巨大な白い花がまだ蕾の状態で地面から出現した。やがて時間が経ち、白い花の蕾がゆっくりと咲くと、その中からひとひらが勢いよく飛び出した。その衝撃で花は散ってしまったが、その花びらが花吹雪に様変わりし、ひとひらの召喚を祝福しているようでもあった。

それをみた観客達も同じように拍手をしながらこの召喚表現を素晴らしく感じていた。

 

「おぉ、なんと言う可憐な召喚表現だ!」

 

「わぁ、ちっちゃくて可愛い!!」

 

拍手と喝采に包まれながら、ひとひらは俺の手のひらに着地した。してやったと言わんばかりに、ひとひらは手に腰を添えて、胸を大きく張りながら笑っていた。

…やはり分からない。これは本当にプログラムなのか?それとも本当に…

 

「…はは、気合い入ってるな。さて、お前の効果を使うのはまだ先だ。」

 

ひとひらがこくりと頷いてフィールドに戻り、デュエルは再開する。ここでもしひとひらの効果を使ってしまってはこのカードに続いて特殊召喚が制限されてしまうのと他に、もう1つ理由がある。もしもこいつを召喚して、俺を知っている反応をすれば…俺の考えはひとつにまとまる。手札からカードを1枚取り出し、すぐには場には出さず、俺は宣言するようにカードを花音に突きつける。

 

「更に俺は、"閃刀姫-レイ"を通常召喚する!」

 

「閃刀姫!?」

 

花音と同様にこれを見ているひと全員が驚きの声をあげた。当然だ、【六花】と【閃刀姫】のシナジーなんて皆無なのだから一緒に組んでも正直言って負ける様な物だ。勝ちを捨てるも思われるが勿論俺は勝つ気だ。

確かに勝ちたい。でもそれ以上に俺は皆と一緒に戦いたい。どんなに否定されても、どれだけ蔑まれようとも俺は俺自身のこの意志を曲げたくはない。

俺は自分の意志を込めるように閃刀姫-レイのカードをデュエルディスクにセットする。

デュエルディスクが光り出すと、突如上空にワープゲートが発生し、その先からレイがフィールドに降り立った。

 

閃刀姫-レイ

レベル4/戦士族/ATK1500/DEF1500

 

「お待たせしました、花衣さん!」

 

確信した。この閃刀姫-レイは俺の知っているレイだ。そしてフィールドにいるひとひらも、花音のアロマージも全員そうだ。

このモンスター達は…デュエルモンスターズの世界から来ている。正確には身体自体では無く、『意識』だけがこの世界に来させていると俺は考えている。

そう考えれば、攻撃の衝撃が無いのも頷ける。

だが、存在ごとこの世界に来ている【閃刀姫】はどうだろうか?

先程のイービル・ソーンと【アロマ】モンスター達は、レイみたいに精霊世界からこの現実世界に存在ごと来ている。

意識だけの存在と言ってもいいイービル・ソーンの攻撃は何とも無かったが、レイは果たしてどうだ…?

 

「俺は"閃刀姫-レイ"でリンク召喚!召喚条件は風属性以外の閃刀姫モンスター1体!」

 

花音がリンク召喚を行った際に出現したサーキットが現れたが、そのサーキットから緑色の装甲が現れた。

レイは"閃刀モード"に切り替わり、白いスーツ型の鎧を身にまとい、現れた緑色の装甲を装着した。

 

「来い!リンク1【閃刀姫-ハヤテ】!」

 

閃刀姫-ハヤテ

LINK1/機械族/ATK1500

 

装甲と武装を全て装着し終えたレイは"閃刀姫-ハヤテ"へと変わり、レールガンの銃口を花音に狙いを定めていた。

 

「いやいやレイ…まだ攻撃宣言してないから。」

 

「…あの人、花衣さんに告白してました…」

 

「え?」

 

レイはレールガンを下げると、体を向きを俺に向け、グイグイと体を近づけた。

 

「あの人は花衣さんに告白したんですよ!?なんですか!『貴方のそばにいると落ち着くんです…』って、告白じゃないですか!!」

 

「お…お前聞いていたのかよ!」

 

いや、それよりこの状況は不味いのでは無いだろうか。

まるで意志を持っている…と言うか持っているレイが俺の間近にいるので、観客全員は不振に思ってるはずだ。

観客の様子を見ようと視線だけ観客に向けると、やはり疑問に思っている表情を浮かべていた。

 

「ん?あの閃刀姫レイ…じゃなかった、ハヤテと言うモンスター…何だが変だな…」

 

「本当にソリッドビジョンなのかしら…?」

 

ほら見てみろ!やっぱり不振に思ってるじゃないか!なんて声に出したら取り返しがつかない事になってしまうので心の中で叫ぶ。幸い声は遠くて聞こえていないらしく、少しだけ安心する。

 

「花衣さんは私とロゼちゃんだけいればいいんです!花衣さんに近づく人はこの手で排除しないと…」

 

前言撤回。安心なんかする暇なんてなかったのだ。

レイの目が光を失って本気で敵を殺すような目をしているので、もういっその事攻撃なんてしないでおこうかなと考えてしまうほどだ。

と言うか俺の攻撃宣言を待たずして今すぐそのレールガンで花音を吹き飛ばそうとしている勢いだった。

 

「落ち着けって!と言うか本当に攻撃して大丈夫なのか!?花音に危害は無いのか?」

 

「大丈夫ですよ!さっきのイービル・ソーン見たいにダメージはありませんから!」

 

「お前…そんなの分かるのか?」

 

「…何だが不思議な感じなんです。意識だけがここにいるみたいな…夢を見ているというか…借り物の体に乗り移っている。そんな感じがするんです。」

 

借り物の体…それがソリッドビジョンによって作られたホログラムの体であるなら、確かにダメージは無い。

だが、意識だけってどういう事だ?これではまるで精霊世界の事を知っている前提で作られているようだ。

…いや、まさか知っているのか?俺や花音以外にも精霊世界の事を知っている奴が…!

現段階で最も怪しいのは…花音の母である咲初薫子だ。

だが、怪しいだけで確信は無い。

確信を得るにはあの人が精霊のことを知っている事実さえ分かればいい。つまり、精霊が見えるという事だ。

 

「…ロゼ、ちょっと良いか?」

 

「…どうしたの花衣。」

 

背後から突如ロゼが静かに姿を見せると、自分を呼んだ事について質問した。

 

「あの人がお前達の事を見えているか知りたい。…やってくれるか?」

 

「分かった…」

 

「でもまずは花音に今からやる事を説明してから実行してくれ。」

 

俺が知りたいのは、あの人が精霊が見えるかどうかだ。

今のロゼはいつものようにどんな人にも見える状態では無く、俺と花音しか見えない状態になっている。

だが、これから花音のお母さんには少々試すような事をしてもらう為、混乱を避けるためにロゼには最初、花音に自分がこれからやる事を伝えさせる。

ロゼが花音の隣に近づいて接触すると、何やら話し込んでる様子だった。恐らくこれからの事についてだろう。

話が終わったのか、ロゼが花音から離れると花音は俺に小さく頷いた。承諾と言う意味合いと受け取った俺は、ロゼのアイコンタクトを送り、実行を命じた。

 

ロゼの赤い目が殺気だった目をさせると、ロゼは恐ろしい勢いで咲初薫子に向かいながら剣を向けていた。

それを見た花音は固唾を飲んで見守りながらも、ロゼはそのまま咲初薫子さんの目の前にたどり着くと、右下から赤い剣を首を切り落とす勢いで振り上げた。

しかし、ロゼはその人の首の皮1枚ギリギリの所で剣の動きを止めた。咲初薫子さんの反応は…ない。

その後ロゼはそのまま後ろに下がり俺の所に戻った。

 

「…どうだった?」

 

「あの人は私の事を見えていない。目の動きや体の強ばりが無かったから、これは確定。」

 

つまり、あの人は精霊世界の事を知らない訳か…無駄に花音を心配させるような事をしたな…

申し訳なさで俺は花音の方を見るが、大丈夫だと言うように、咲初は首を横に振ってくれた。

 

「そうか…ありがとうロゼ。」

 

「貴方の言うことならなんでも聞くわ。それじゃ…頑張って。」

 

命令を実行し終えたロゼはそのまま光と共に姿を消してしまった。

このデュエルディスクによる疑問はまだ解消はされてないが、確認したい事をし終えたのでデュエルに戻る。

今の段階はこうだ。

 

桜雪花衣 残りLP7700

手札4枚

 

【メインモンスターゾーン 】

六花のひとひら

 

【エクストラモンスターゾーン】

閃刀姫-ハヤテ

 

咲初花音 残りLP9000

手札0枚

 

【メインモンスターゾーン】

アロマージジャスミン

アロマージマジョラム

 

【エクストラモンスターゾーン】

アロマセラフィージャスミン

 

【魔法・罠ゾーン】

アロマージガーデニング

伏せカード1枚

 

【フィールド魔法】

白薔薇の回廊

 

イービル・ソーンの300バーンとアロマージガーデニングによって俺と花音のライフの差は広がっており、更には"アロマージマジョラム"と"アロマセラフィージャスミン"の効果によって、戦闘では破壊されず、戦闘でのダメージは0にされる。

これにより戦闘する意味を失ってしまったが、まだ方法はある。

俺の場にいる"閃刀姫-ハヤテ"は相手にダイレクトアタックが出来、その攻撃力は1500だ。今のライフの差は1300マジョラムとジャスミンの効果は自分のライフが相手より多い場合のみ発動するので、均衡を崩せるはずだ。

だが、俺の場にはひとひらがいる。使わない手は無い。

 

「俺は六花のひとひらの効果発動!デッキから六花モンスターを1体選び、そのカードを手札に加えるか、墓地に送る。俺は"六花精エリカ"を墓地に送る。」

 

デッキからエリカのカードを取り出し、それを墓地に送り、次の展開を考える。エリカは墓地にいる状態で自分フィールドのモンスターがリリースされた時、墓地から特殊召喚出来るモンスターだ。そして、俺の手札には、スノードロップがいる。

 

「俺は、手札の"六花精スノードロップ"の効果発動。自分の植物族モンスターをリリースする事で、このカードと手札の手札にある他の植物族モンスターを特殊召喚する。俺は"六花のひとひら"をリリースし、"六花精スノードロップ"と"六花精シクランを特殊召喚する。」

 

ひとひらが自分の下に白い花を咲かせ、自分諸共包むように花びらを閉じてまたも咲かせると、入れ替わるようにスノードロップとシクランがフィールドに現れた。

スノードロップとシクランは空高く飛び出しながら登場すると、ゆっくりと落下していく。

 

「やっほー花衣君!どうかな?この登場の仕方!」

 

「おお、これまた凝った登場だな…」

 

スノードロップが元気よく手を振りながら華麗に着地すると、観客はその可憐な登場にまたもや賛美の声を上げた。

 

「わ、私はどうだったかな?花衣君。」

 

「うん、シクランも良かったよ。」

 

褒められたせいか、シクランは顔を赤くしてにやける頬を引き締めるように両手で頬を添えたが、幸せそうなにやけ顔は治まることを知らないようにしばらくはその表情のままでいた。

 

だが、それを良しとしないか"閃刀姫-ハヤテ"となったレイがじっとこちらを見ていた。

目を細めて私も褒めてと言わんばかりの訴えの目をしながら頬を膨らませてそっぽを向いてしまった。

…後で謝らないとなぁ。

デュエルに戻るが、これにより俺の手札は2枚に減り、フィールドにはスノードロップとシクランと閃刀姫-ハヤテがいる。

そして、モンスターがリリースされた事により、墓地のエリカと手札にあるプリムの効果が使える。

 

「俺は、墓地の"六花精エリカ"の効果を発動。このカードが墓地に存在し、自分モンスターがリリースされた時、このカードを墓地から特殊召喚する。更に、手札の"六花精プリム"の効果発動。モンスターがリリースされた時、このカードを手札から特殊召喚する。」

 

墓地からエリカのカードを、手札からプリムのカードをデュエルディスクにセットすると、フィールド上にプリムとエリカが現れた。

 

六花精プリム

レベル4/植物族/ATK800/DEF/1800

 

六花精エリカ

レベル6/植物族/ATK2400/DEF1000

 

「おお…フィールド上が可憐な女性達で一面とな。」

 

プレイヤーも含めれば1人野郎がいるけどな。この中に俺という野郎がいる事が疎外感で死にたくなるレベルだ。

そして忘れてはならない。このデュエルは地上波で生放送されているという事を。今頃世の男性は羨ましさか恨めしさで俺の事をネットでバッシングしているに違いない。そう思うと何だが憂鬱な気分になる。

そんな気分を抱きながら天井を見上げてため息をつくと、これからの展開を考える。

 

ここで問題なのはどのモンスターを召喚するかだ。

花音場にはモンスターが三体おり、全てが戦闘では破壊されず、戦闘ダメージも0…

だが、こちらにはダイレクトアタック出来る"閃刀姫-ハヤテ"がいる。ハヤテの攻撃力は1500、ライフの差は1300なのでアロマの効果を崩す事が出来る。

だが、やはり花音のあの伏せカードが気になる。

【アロマ】デッキからして、"乾きの風"、"潤いの風"、"恵みの風"のどれかだろうか…?

いや、考えるのは後だ。とにかく戦闘では破壊できなければ、効果で何とかするしかない。だとしたら俺の出すカードは…決まった。

 

「俺は"六花精スノードロップ"の効果発動!自分フィールドの植物族モンスターを対象にし、俺のモンスターのレベルはその対象になったモンスターと同じにする。俺はスノードロップを対象にする。」

 

これにより、俺のフィールドにレベルを持たないリンクモンスター"閃刀姫-ハヤテ"以外のモンスターのレベルはスノードロップと同じ8になる。

 

「レベル8のモンスターが4体…!」

 

「ま、素材にするのは三体だけどな。俺は、レベル8の"六花精スノードロップ"とレベル8になった"六花精プリム"と"六花精シクラン"でオーバレイ!」

 

突如宇宙を思わせるような光を煌めく穴がフィールド上に現れると、先程の素材するモンスターが青い光となってその穴に吸い込まれて行った。

これは…ZEXALのエクシーズ召喚そのものだった。

やがて穴から大爆発が起こると、俺はエクストラデッキからカードを1枚取り出す。

 

「現れろ!No.87!雪月花美神クイーン・オブ・ナイツ!」

 

No.87雪月花美神クイーン・オブ・ナイツ

ランク8/植物族/ATK3200/DEF2800

 

月下美人の花が蕾の状態で現れると、それがゆっくりと開き、中から桃色の髪と短剣を持った女性が姿を現し、その露な腹部の左側に『87』と書かれたナンバーズがあった。

 

「攻撃力…3200!」

 

「更に、永続魔法"水舞台(アクアリウム・ステージ)を発動。このカードが表側表示である限り、俺の水属性モンスターは、水属性モンスター以外の戦闘では破壊されない。」

 

俺が水舞台を発動すると、あの時と同じようにフィールドから突然水が流れ込んできた。

 

「うわぁぁ水が流れ込んで来た!?」

 

 

観客達は溺れると思い、急いでこの部屋から出ようとしたが、異常が無いことに気づいた観客達は落ち着きを取り戻した。

 

(そんな反応になるよな…花音も最初はあんな反応したもん…)

 

ともかく、俺の場のクイーン・オブ・ナイツは水属性だ。そして、俺が使う六花も全てが水属性。対する花音が使うアロマデッキで水属性モンスターなのは"アロマージローズマリー"と"アロマセラフィーローズマリー"だけだ。

これで何とか戦闘では耐性をつけられたはずだ。

 

「俺は"雪月花美神クイーン・オブ・ナイツ"の効果発動。オーバレイユニットを取り除く事で3つの効果の内一つ選んで発動出来る。」

 

雪月花美神クイーン・オブ・ナイツの効果は以下の3つだ。

 

1、相手フィールドにあるセットしているカードを選択し、このカードが表側で存在する限り、そのカードは発動出来ない。

2、フィールド上にある植物族モンスターを裏側守備表示にする。

3、フィールド上のモンスターの攻撃力を300ポイントあげる。

 

まず1の効果は使わない。ここで使っても、セットされたカードを発動されてしまっては、チェーン処理でこちらの効果の処理が後回しにされ、不発に終わってしまう。

ここで俺が解決したいのは、戦闘での破壊か戦闘でのダメージ無効のどちらかだ。だが、俺にやれる事は一つだけだ。

 

「俺は、オーバレイユニットを一つ使い、フィールド上の植物族モンスターを裏側守備表示にする。対象にするのは"アロマージマジョラム"だ。」

 

アロマージマジョラムは植物族、効果は問題無く使える。クイーン・オブ・ナイツが短剣をマジョラムに投げつけると、マジョラムの姿が消えてしまい、カードの裏側が入れ替わるに表示された。

これにより、マジョラムの効果は発動出来ず戦闘では破壊されなくてもダメージは与えることが出来る。

 

「行くぞ!まずは"閃刀姫-ハヤテ"の効果により、こいつはダイレクトアタックが可能!"閃刀姫-ハヤテ"で花音にダイレクトアタック!」

 

ハヤテの武装が出力をチャージをし始めるとレールガンの銃口に青い電気が走っていた。最大までチャージし終えると一気に出力を放出するように弾丸を射出した。

弾丸はモンスターの間を突き破ると、そのまま花音に直撃した。

 

「くっ…痛…くありません!」

 

咲初花音残りLP9000→7500

 

「"閃刀姫-ハヤテ"の効果発動。このカードが相手にダメージを与えた時、デッキから"閃刀"カードを墓地に送る。俺は"閃刀起動-エンゲージ"を墓地に送る。」

 

レールガンの弾丸が花音の腹部を貫通したが、痛みで苦しんでいる様子は無い。

取り敢えず、心配の種は一つ消えたな…

これで俺のライフの方が200上回ったので、"アロマセラフィージャスミン"の効果は発動しなくなるが…

 

「罠発動"恵みの風"!墓地にいる植物族モンスターの"アロマセラフィーローズマリー"ちゃんをデッキに戻す事でライフを500回復します。」

 

咲初花音 残りLP7500→8000

 

「更に、ライフが回復した事により、2人のジャスミンちゃんの効果発動!"アロマージジャスミン"でデッキからカードをドローして、"アロマセラフィージャスミン"ちゃんの効果でデッキから植物族モンスターを手札に加えます。私は"スポーア"ちゃんを手札に加えます。」

 

一気に花音の手札が0から2枚へと増え、状況は芳しく無い。しかもまたもや花音のライフの方が上回った為、"アロマセラフィージャスミン"の効果は続く。

だがこちらはまだクイーン・オブ・ナイツとエリカの攻撃が残っている。

 

「まだだ!俺はクイーン・オブ・ナイツで"アロマセラフィージャスミン"に攻撃!」

 

クイーン・オブ・ナイツが短剣を振り上げると、そこから斬撃が生まれ、真っ直ぐ"アロマセラフィージャスミン"に襲いかかった。だが、ジャスミンの周りにバリアが生まれ、破壊から守られたが、花音はダメージを受ける。

 

咲初花音 残りLP8000→6600

 

これでようやく花音のモンスターを破壊出来るが、ここからだ。花音のフィールドには、"アロマージジャスミン"、裏側守備の"アロマージマジョラム"、"アロマセラフィージャスミン"だ。

俺が攻撃出来るモンスターはエリカだけだが、エリカの攻撃力なら全てのモンスターを破壊できる。

 

問題はどのモンスターを破壊するかだ。ドローと召喚権の追加が可能な"アロマージジャスミン"か破壊から守る事が出来る"アロマセラフィージャスミン"のどちらかを破壊するか考えたが、それよりも俺は"アロマージマジョラム"を破壊しようと考えていた。

だが、次のターンのことを考えるとなると…

 

「…よし、俺はエリカで裏側守備表示のマジョラムに攻撃だ!」

 

 

 

「えぇ!?"アロマセラフィージャスミン"じゃないの?」

 

「いや、マジョラムの効果を考えるとこれでいいかもな。」

 

「…?どういう事?」

 

「"アロマージマジョラム"はライフを回復した時、自分の場にあるアロマモンスターの数だけ、相手の墓地のカードを除外出来る。ここでジャスミンを破壊してダメージを与えて破壊したとしても、次のターンでライフを回復されてしまっては墓地にいる"六花のひとひら"は除外される。手札0の花衣にこれをやられると相当キツくなるからな。…まぁ、今の所はひとひらの効果は発動しないがな…」

 

機羽の言う通りだ。今俺の手札は0…ここで展開の要であるひとひらを失ってしまっては俺はほぼ何も出来なくなる。

それだけは何としても避けたい。

エリカは裏側守備表示のマジョラムに攻撃すると、裏側守備表示のままのカードが粉々に砕け散って墓地に送られた。

 

「俺はこれでターンエンドだ。」

 

俺の場のモンスターはハヤテを除くと全て水属性…更に永続魔法"水舞台"の効果で、俺のモンスターは水属性以外での戦闘では破壊されない。

これで少しは耐えれるといいが…

 

「私のターン、ドローです!…花衣さん、ひとひらちゃんには悪いですけど…あの子の効果は使わせません!」

 

「何だって…?」

 

「私は"ローンファイアブロッサム"を通常召喚し、リリースします!そしてデッキから…"アロマージマジョラム"さんを特殊召喚!」

 

フィールドにローンファイアブロッサムが出現したと思いきや、すぐ様リリースされた矢先、新たなモンスターが現れた。

…ローンファイアブロッサム、規制が緩まってもお前がやる事はただ1つなんだな…

いや、しみじみしている場合じゃない。アロマモンスターが特殊召喚したということは…

 

「アロマモンスターが召喚された時永続魔法"アロマージガーデニング"の効果発動!ライフを1000回復します!」

 

咲初花音 残りLP6600→7600

 

「そして、ライフが回復した事により私のアロマモンスターの効果が発動します!まずは"アロマージマジョラム"さんの効果で私はフィールドにいるアロマモンスターの数だけ、花衣さんの墓地のカードを除外します!私のフィールドにいるモンスターは3体。よって、3枚墓地に送ります!」

 

花音が、除外するカードは、"立花のひとひら"と"六花精ヘレボラス"そして、先程オーバレイユニットとして墓地に送った"六花精プリム"だ。

これはキツくなってきたな…

 

「更に、"アロマージジャスミン"ちゃんの効果で私はカードを1枚ドローします。」

 

まずい、これで花音の手札は3枚…しかもあと一人のジャスミンの方の効果も使えば4枚になる…ライフを回復しながらドローって…凄まじいな。

 

「更に私は、永続罠"恵みの風"の効果を発動!私は墓地いる"ローンファイアブロッサム"をデッキに戻してライフを500回復します。そして、このタイミングで"アロマセラフィージャスミン"ちゃんの効果を使い、デッキから"ローンファイアブロッサム"を手札に加えます。」

 

咲初花音 残りLP7600→8100

 

マジか…初期ライフまでライフを戻したにも関わらず、またもや花音のライフの方が上回ってしまった…

 

「ライフが上回った事により、"アロマージジャスミン"ちゃんの効果発動です。私は通常召喚に加えてもう一度通常召喚が出来ます。私は"ナチュル・パイナポー"を召喚します。」

 

ナチュル・パイナポー

レベル2/植物族/ATK100/DEF100

 

ナチュル・パイナポーだと…?確かあのカードは表側表示で存在する限り、フィールドのモンスターを植物族にするというモンスターだ。だが、そんなの使わずどアロマは全て植物族…何を出そうとしているんだ?

 

「まだまだです!更に"アロマセラフィージャスミン"ちゃんの効果発動!リンク先にいる"アロマージジャスミン"ちゃんをリリースして、デッキから植物族モンスターを特殊召喚!私はチューナーモンスターの"ナチュル・コスモスビート"を特殊召喚!」

 

ナチュル・コスモビート

レベル2/植物族/チューナー/ATK1000/DEF700

 

「チューナー…シンクロ召喚か…!」

 

「その通りです!私は、レベル5の"アロマージマジョラム"にレベル2の"ナチュル・コスモビート"をチューニング!」

 

2体のモンスターがフィールドから飛び立つと、チューナーである"ナチュル・コスモビート"が2本の緑色円形の輪に変化させると、その輪をくぐるようにマジョラムは通っていく。

やがてマジョラムの体は薄れてゆくと、その中から5つの光が生まれた。

これは…5Dsで見たシンクロ召喚…!

 

「シンクロ召喚!レベル7"妖精竜エンシェント!」

 

妖精竜エンシェント

レベル7/ドラゴン族/ATK2100/DEF3000

 

美しい緑色の体をしたドラゴンがフィールド上に降臨すると、その美しさに観客は見とれていた。

妖精竜エンシェントか…俺の知っているのは"エンシェント・フェアリードラゴン"の方だがあのモンスターかなりそれに似ている。

 

「この子は本来ドラゴン族ですが、"ナチュル・パイナポー"のお陰で植物族になっています。」

 

「なるほど…しかもちゃっかり守備表示でジャスミンのリンク先に召喚している…中々手厳しいな。」

 

「もっと手厳しく行きますよ〜?私はフィールド魔法"白薔薇の回廊"の変わりに新しいフィールド魔法"アロマガーデン"を設置します。」

 

花音のデュエルディスクの端がまたもや開くと、花音は"白薔薇の回廊"を墓地に送り、変わりに"アロマガーデン"をセットすると、フィールドの"白薔薇の回廊"が消え、変わりに美しい花園がフィールドを包み込んだ。

 

「そして、"アロマージガーデン"の効果発動です。アロマモンスターが場にいる時、私はライフを500回復します。」

 

咲初花音 残りLP8100→8600

 

「更に、"妖精竜エンシェント"はフィールド魔法が場にある時、表側相手のモンスターを一体破壊します!」

 

「表側…?だったら"クイーン・オブ・ナイツ"の効果発動!オーバレイユニットをひとつ使い、俺は自分モンスターを裏側守備表示にする!」

 

エンシェントが破壊できるのは、表側表示になっているモンスターだけだ。裏側守備表示のモンスターには効果は通用しない。

 

「俺は…"六花精エリカ"を裏側守備表示にする…!」

 

「なら、"クイーン・オブ・ナイツ"は破壊されます!」

 

エンシェントが口から光のブレスを吐くと、クイーン・オブ・ナイツはその光に呑み込まれ、そのまま破壊されようとしていた。

 

「どうしてエリカを助けるような事をしたんだ…?」

 

観客の1人がそう呟いたのが聞こえた。この場合は確かに、エリカでは無くクイーン・オブ・ナイツの方を守る方が得策なのだが、俺は目の前で六花が破壊されるのを見たくは無かった。そんな俺の甘さや弱さが…もしかしたら負けに繋がるかもしれないが…それでも俺は…

 

「私はこれでターンエンドです。」

 

いつもなら相手エンドフェイズ時にひとひらが墓地から特殊召喚されるが、そのひとひらは除外されてしまい、もう居ない。

俺の場には"閃刀姫-ハヤテ"と裏側守備表示の"六花精エリカ"。

手札はない…

 

求めよ…

 

諦めかけたその時、どこから聞こえるのか分からないが声が聞こえた。この声…悪夢で聞こえた夢と同じだ。

 

求めよ…求めよ…もっと求めよ…

 

なんなんだ…なんなんだよ!俺が何を求めているんって言うんだよっ!?

訳の変わらない声に蝕まれるような感覚にイラつきながら俺はこの声を黙らせるように心の中で激怒したが、声は一向に静かになってくれない。

それどころか何故か胸が苦しい…なにか吐き出して欲しいと自分の中が叫んでいるような感覚に俺は頭がぐらついてしまう。

 

息が苦しい。

 

呼吸が荒い。

 

胸が苦しい。

 

頭が痛い。

 

「花衣…さん!?どうしましたか!?」

 

フィールドにいる閃刀姫-ハヤテが俺の異常を察知したと同時に、俺のエクストラデッキからティアドロップが現れた。

 

「花衣様っ!大丈夫ですか!?」

 

「あ…あぁ…なんかちょっと気分悪くて…」

 

気分が悪すぎて、地面に膝をついてしまい、何だか視界も朦朧としてきた。なんか…ティアドロップとレイと花音が何か言っているような気がするが…なんでろう…何も聞こえない。

そして、聞こえてくるのは何度も何度も聞こえてくるこの忌々しい声だけだ。

 

求めよ…求めよ求めよ…!

 

「だ…まれぇぇぇぇ!!!!」

 

俺はついに怒りを爆発してしまい、怒鳴りながら立ち上がった。それを見た観客と花音、そして、ティアドロップとレイは戸惑っていた。

 

「か…花衣様…?」

 

「…」

 

ティアドロップが怯えるような表情を浮かべながら、俺に恐る恐る手を伸ばしていたが、俺はそれを無視してデュエルを進める。

 

「俺のターン…ドローっ!」

 

苛立ちを込めてデッキの1番上に手を置くと、突然カードが光り出した。俺は怒りを込めてカードをドローすると、そのカードはシクランとエリカとヘレボラスが描かれた見た事ないカードだった。

 

「俺は"六花精エリカ"を反転召喚する。そして"六花精エリカ"をリリースして魔法カード"六花の返り咲き"を発動!」

 

「六花の…返り咲き…?」

 

「何だあのカード…?あんなの見たことねぇぞ…」

 

突如見慣れないカードにざわめく観客達を、俺は無視するようにデュエルディスクに差し込んだ。すると、デュエルディスクが光だすと問題無くカードの効果が処理された。

 

「"六花の返り咲き"は自分の墓地と除外されている【六花】モンスターを任意の数だけデッキに戻す事が出来るカードだ、俺はデッキ戻した枚数2枚につきカードを1枚ドローが可能になり、更にモンスターをリリースしてこのカードを発動した時、このカードをリリースしたモンスターと同じカードとして、フィールドに特殊召喚する。」

 

「デッキに戻してドロー出来るにも関わらず、魔法カードをモンスターとして扱うなんて…」

 

「俺がデッキに戻すカードは、"六花のひとひら"、"六花精プリム"、"六花精シクラン"、六花精"スノードロップ"、"六花精エリカ"、"六花精ヘレボラスだ。よって俺はカートを3枚ドローする。エリカをリリースしてこのカードを発動した為、このカードは"六花精エリカ"として特殊召喚する。」

 

六花達をデッキに戻し、オートシャッフルが機能し終えてから俺はカードを3枚ドローする。

これにより俺の手札は4枚に増え、その中には"闇黒世界-シャドウ・ディストピア-"があった。

そのカードから何かとてつもなく禍々しいオーラが感じ取ると、俺はこのカードを使うのを躊躇った。自分で入れてなんだが、このカードだけは今は使うべきでは無いと感じた。

 

「…花音、君のモンスターの効果…利用させてもらうよ!俺は花音のフィールドにいる"ナチュル・パイナポー"の効果によって、機械族から植物族に変わった"閃刀姫-ハヤテ"をリリースし、手札から"六花精スノードロップ"と"六花精ボタン"を特殊召喚する!」

 

ナチュル・パイナポーの効果は自分フィールドでは無く、全体のフィールドに影響を及ぼすカードだ。

それにより、俺のハヤテも機械族から植物族へと変わり、スノードロップの効果を使って特殊召喚出来た。

さぁ…反撃だ…!

 

「俺は、"六花精ボタン"の効果発動!このカードが特殊召喚に成功した時、デッキから【六花】と名のつく魔法・罠カードを1枚手札に加える。俺は…"RUM-六花の誓いを手札に加える…!」

 

「そのカードって…!」

 

「また見た事ないカードかよ!?」

 

使える筈だ…現に俺の知らないカード、"六花の返り咲き"が使えたのなら、このカードとあのモンスターだって…!

 

「"六花精スノードロップ"の効果を発動し、ボタンをスノードロップと同じレベル8にする。…そして、俺はこの2体でオーバレイネットワークを構築!」

 

またもフィールドに宇宙のような穴が生まれると、スノードロップとボタンが青い光となってその穴に飛び込んだ。

 

「来い!"六花聖ティアドロップ"!」

 

先程、エクシーズ召喚したら穴が爆発を起こしたが、今回はそれが無く、変わりに穴から無数の花びらが舞い上がった。花と共にティアドロップが姿を見せた。

 

六花聖ティアドロップ

ランク8/植物族/ATK2800/DEF2800

 

「花衣様…本当にお身体の方は…」

 

「…今は大丈夫。ごめん、何か叫んだりして…」

 

「良いのですよ、貴方が無事なら私はそれで…」

 

ティアドロップは安心したような笑顔を見せると、俺は何故あんな態度をとってしまったのかと後悔してしまう。

ティアドロップはそんな俺を慰めるようにそっと俺の手を添えるように近づけた。

雪のような白い肌に華奢で細い指…だが、触れていない。ソリッドビジョンなのだからそれは仕方ないと思うが、やはり少し寂しく感じられる。

 

「花衣様、例え今触れられなくても貴方との間にいるものは不滅です。それに…直ぐにずっと触れ合える時が来ますから…ね?」

 

「触れ合える…?それってどういう事?」

 

「ふふ…あとからのお楽しみです。さ、デュエルを再開して下さい。」

 

何だか意味深な言葉と笑みのティアドロップが気になるが、言われた通り、デュエルに集中しよう。

ティアドロップのお陰でいつもの調子に戻ってきた。更には、"六花の誓い"まで俺の手に来たので、勝機が見えてきた。

 

「行くよティアドロップ!俺は"RUM-六花の誓い"を発動!このカードは自分の【六花】エクシーズモンスターのランクを1つ、または2つランクアップさせ、エクシーズ召喚が出来る!俺は"六花聖ティアドロップ"をランクアップ!」

 

ティアドロップが持っているブーケを空高く投げ飛ばすと、あの時と同じようにブーケは美しく散り、その風花がティアドロップを包み込む。

 

「ランクアップエクシーズチェンジ!来てくれ!ランク10"六花聖華ティアドロップ"!」

 

風花が吹き飛ばされると、中から白く美しい白いウエディングドレス姿のティアドロップが現れ、その姿は人々を魅了した。

 

「おぉ…これはまた…」

 

「と言うか…あいつどんだけ俺たちの知らないカードを持っているんだ?」

 

「でも、デュエルディスクが正常に起動しているということは…正規のカードなのかしら?」

 

炎山と白井だけでは無く、これを見ている全ての人達が俺の持っているカードについて疑問ばかりが思い浮かぶだろう。当然これは正規のカードでは無い。だが、どうしてデュエルディスクは正常に起動しているんだ…?

ともかく、問題ないなら大丈夫だろう。

 

「行くよ…ティアドロップ!」

 

「はい!貴方への愛をあの子に見せてあげます!」




六花の返り咲き
・植物族モンスターをリリースすることでこのカードを発動する事も出来る。
・自分の墓地と除外されている『六花』モンスターを任意の数デッキに戻した後、2枚につきカードを1枚ドロー出来る。
・モンスターをリリースして発動した場合、このカードはリリースされたモンスターとして扱い、フィールドに特殊召喚する。
・このカードを発動したターン、自分は『植物族』しか特殊召喚が出来ない。

ここまで(〜90話)出てきたレゾンカードの中で強いと思うのは?

  • 六花聖華ティアドロップ、カイリ
  • 閃刀騎-カイムと閃刀騎-ラグナロク
  • 銀河心眼の光子竜
  • RRRリノベイルイグニッションファルコン
  • 炎転生遺物-不知火の太刀
  • 常闇の颶風
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