六花テーマを作って愛用したらそのまま俺への愛が重くなった件について 作:白だし茶漬け
という事で最近妹と何かと久しぶりに遊戯王しました。
やったといってもパソコン二台使ってADSでですけどね〜
というか妹のゴリ押しデッキがまじでパないです。なんで閃刀姫マッチポンプデッキなんて言うこの小説に出てきたデッキ使ってるんですか?
俺と機羽は、高校一年の中期辺りで知り合った。知り合った経緯としては、炎山の紹介だ。
学校が終わり下校時刻になった時、突然炎山が俺に用があると言って俺の腕を引っ張ってある場所へと強引に連れてきたことが始まりだった。
学校からさほど離れておらず、予鈴ギリギリで家に出ても急げばギリギリ間に合う距離の所普通の一軒家の前で炎山は止まり、そこにある家のガレージに無断で入って行った。
「ちょ……!勝手に入ったら怒られるぞ!? 」
何も知らない赤の他人の敷居に入ったら後がめんどくさいと悟った俺は、炎山の腕を離そうとしたが炎山は安心しろと笑いかけた。
「心配すんな、ここは俺の知り合いの家だ。おーい空〜!暇そうなやつ連れてきたぞ〜!」
その空という家のガレージに炎山と入ると、そこにはPCで何か作業している機羽がいた。機羽とは同じクラスだった為面識はあったが、絡んだ事は1度もない。最も、俺が人付き合いをあまりしないというのもあるのだが……
機羽は炎山の声に気づくと、すぐ様俺の顔を見た。
「お前は……確か同じクラスだな。名前は覚えてないが 」
「おう、こいつは花衣って言うんだ。花の衣って書いて花衣なんだぜ?面白いだろ 」
「確かに中々に面白いな 」
俺の珍しい名前に機羽は興味を持ったのか、オイルまみれの手袋を拭いさり、少しボロボロな手をタオルで吹いた後、俺に手を差し出した。
「俺は機羽空だ。少し遅くなったが、改めてよろしく頼む 」
「よ……よろしく 」
俺は機羽と握手を交わし、それを見た炎山は安心したように首を大きく縦に頷くと、俺たち2人の肩を叩いた。
「んじゃあ俺は部活あるから……さいなら! 」
「え?おい! 」
炎山はそのまま飛び出すようにガレージから機羽家の敷居を飛び出すと、そのまま学校まで戻ってしまった。どうりで帰り道も関わらずバックを持ってなかった訳だ……
この時、俺と機羽はあまり面識が無かったから結構な静寂の時が流れていたような気がする。
「……とりあえず少し手を貸してくれないか? 」
「う……うん 」
これが機羽との繋がりの始まりだった。機羽が作った機械を俺が使って試し、それを見た機羽が調整してまた機械を作る。暇さえあれば……と言うか、部活もバイトもしていないし、この時はまだデュエルもやった事無いから六花達と出会っていない時だから、家にいても誰もいない。
家にいても虚くて意味の無い時間を過ごすなら、機羽を手伝う事がいつの間にか当たり前になっていた。
学校終わりや休みの日、機羽からの呼び出しがあれば作業の手伝いをし、いつしか俺の日常の1部になっていた。
今思えば、喧嘩なんて1度もなかったような気がする……
「全力で来い……花衣! 」
あんな風に怒りを向けてくる機羽は初めて見た。獲物を見つめる鳥のような鋭い目付きに俺は怯んでいるのか、それとも怒らせたしまった後悔なのかは分からないが、俺は機羽と目を合わせられなかった。
「花衣さん…… 」
花音が俺の事を気遣おうとしているが、機羽との関係の薄さで言葉出ないのか、そのまま口を閉じてしまった。
花音のコンデンションも悪くなる一方、突如司会者のステージから演出の煙が立ち込めた。
ステージにスポットライトの光が注目すると、煙の中からアクロバティックに登場するシルエットが登場し、スポットライトの光でその姿を表した。
奇抜で露出が全面的に強調しているファッションとスカートは、まるで見てくれと言わんばかりの衣装であり、金持ちや有名人がいる中のこのステージには少し不釣り合いだった。しかし、女性はそんなことはお構い無しと言わんばかりにマイクを高らかにほおり投げ、見事にキャッチすると第一声をあげた。
「ヘーイ!皆様御機嫌よう!私はこのロマンスタッグデュエルの実況を務める!MC、"MIX"と言います!皆さんお見知り置きを〜! 」
随分とテンション高いMCだな……しかも女性とは意外だ。それにしても……1回戦では実況が無かったのに、どうして2回戦目から実況があるのだろうか……
「さぁさぁ、1回戦では全て試合が同時進行だった為、実況が出来なかったのですが、今回からは個別に進行する為に実況が可能になりました!いや〜飽きずにスタンバって良かった!偉いぞ私! 」
なるほどね、確かに同時進行でデュエルの実況するのは難しいだろうし、いちいち実況してては他の観客達も混乱してしまうだろう。
まぁ……あの性格なら普通の時でもちょっとだけ混乱しそうだが……
「それでは、2回戦第1試合のチームはこの子達だぁ!まずはこのチームから!」
なんか突然何かが始まったぞ……!?突然中央や全てのモニターに炎の演出があり、いかにも参加者の発表を示すかのようであった。
「鋼の翼と黒き翼が戦場を舞い、殲滅の嵐を吹き叫ぶ!機羽 空、河原雀 チーム!! 」
モニターに機羽と河原の姿が表示されたと同時に、スポットライトも機羽達に注目した。
「ふははは!我が |漆黒の悪夢の翼《ナイトメアカタストロフ・ブラックウィングス》が全てを闇に葬りさせようぞ! 」
こんな時にでも河原は平常運転だな……だが、MCの迫力や演出も相まってか、河原の行動は寧ろパフォーマンスとなっており、観客達を賑わせた。
「ふむ、こんな催しもたまには悪くないな 」
(なんか興味持ってるし…… )
『続きましてはこの2人!』
とうとう俺たちの紹介が周り、スポットライトが俺たちを照らしだした。
「可憐で美しい花が舞う花園へようこそ!だが気をつけろ?美しい物には棘が付き物だ!桜雪花衣、咲初花音チーム! 」
「な……なんだか恥ずかしいですね…… 」
「花音のお母さんなんであの人選んだんだろうか…… 」
「多分、面白そうだからと呼んだのかと…… 」
まさかとは思ったが……性格上有り得る話かもしれない。だが、社会的地位が高い人が多いこの場の雰囲気をあっという間に自分の物にしているあのMCの実力は只者では無い。しかし、それを差し引いてもこの性格の人をここに呼ぶのはかなりの賭けの筈だ。1歩間違えればここの人達のバッシングをくらってもおかしくは無い。
経営者としての薫子さんの手腕も中々に恐ろしい。
「さぁ両チームの紹介が終わり、早速デュエルを開始して下さい! 」
お互いのデュエルディスクを展開させ、いよいよデュエルが開始された。先行は俺と花音で、1番手が俺、2番手が機羽、3番手が花音、4番手が河原となった。
「「デュエル! 」」
桜雪花衣 残りライフ4000 咲初花音 残りライフ4000
機羽空 残りライフ4000 河原雀 残りライフ4000
俺は開始と同時にオートシャッフルされたデッキからカードを5枚引き手札を確認すると、そこにはいきなり"閃刀騎-カイム"のカードが手に加わった。
(いきなりか……! )
出す事を躊躇う気持ちが指先まで通り、手札を握る力が強まった。
「俺は"六花のひとひら"を通常召喚! 」
仮にここでカイムを出してもレイやロゼがいない為効果を存分に発揮出来ない。そんな都合のいい言い訳を自分に言い聞かせながら、俺はどこかでカイムを出せないことに安心していた。
「更にひとひらの効果発動し、デッキから"六花"モンスターを一人手札に加える。俺は……"六花精ボタン"を手札に加える 」
これで、俺の手札にはスノードロップとボタンがいる。ここでボタンを召喚して効果を使えば、デッキから"六花"魔法・罠カードを手札に加える事が出来る。俺のいつもの黄金展開ってやつだ。
「俺は手札のスノードロップの効果発動。自分フィールドの植物モンスターを一人リリースする事により、スノードロップと手札にある植物族モンスターをもう1人特殊召喚する。俺はひとひらをリリースしてスノードロップとボタンを特殊召喚! 」
フィールドのひとひらを中心に白く大きな蕾を芽吹かせ、ゆっくりと蕾が花を開くと同時に中からスノードロップとボタンが華麗に飛び出した。
『さぁスノードロップとボタンが美しく登場したぞ!ボタンの効果を使えば、あのカードをデッキに加えることが出来るぞ! 』
MCのMIXさんが言っているあのカードとは"六花の誓い"の事だ。確かにここでボタンの効果を使えば確実に"六花の誓い"を手札に加えられるが……
「"六花精ボタン"の効果発動……植物族によってボタンが召喚された時、デッキから"六花"と名のつく魔法・罠カードを1枚手札に加える。俺が選ぶのは…… 」
『……花衣くん? 』
『花衣、どうしたのネ? 』
手が動かなかった。俺の迷いと機羽の言葉が俺の中でぶつかり合い、戸惑わせていた。俺の硬直に六花と花音、そして観客達がざわめく中、俺はようやくカードを選んだ。
「俺は……"六花絢爛"を手札に加える 」
俺の判断に観客達はざわめきや落胆の声が上がった。
どうしてあのカードを手札に加えないのかや何か考えがあるのかという声を耳にしたが、それ以前に俺の目に映る機羽の怒りが痛いほどに伝わってきた。
『……本当に良いんだネ? 』
あの時、機羽に強く言われた事を六花達も聞いていた為か、気を遣うように確認を促したが俺の考えは変わらない。
だが、揺らぎつつもあった。
「……考えは変わらない。頼む 」
『分かったネ! 』
ボタンの傘先から青い光が俺のデッキ触れると、デッキから1枚のカードを飛び出し、俺はそれを手札に加えた。加えたカードが"六花絢爛"と確認すると、俺はすぐ様これを使った。
「俺は手札に加えた"六花絢爛"をリリース無しで発動。デッキから"六花精ヘレボラス"を手札に加える 」
妨害対策の為にヘレボラスを手札に加え、俺のフィールドにはスノードロップがいる。スノードロップは氷の傘を今日に回し、やる気に満ち溢れていた。
『よーし!それじゃあいつも通りやるよ! 』
「俺はスノードロップの効果発動!スノードロップを対象にし、自分モンスターのレベルを対象にする。スノードロップのレベルは8、よってボタンのレベルも8になる 」
「花衣選手のフィールドにはレベル8のモンスターが2体!これはつまり! 」
「俺はスノードロップとボタンでオーバレイ!来てくれ、ティアドロップ! 」
スノードロップとボタンが手を繋ぐと同時に花々が地面に咲き誇り、2人を包むこむ程の大きな花が2人を包むと、花の中からティアドロップが美しく花びらを舞わせながらフィールドに降り立った。
何とも華々しく美しい召喚演出に、観客達は歓声をあげていた。
「わぁ……みてみてお兄ちゃん!とっても綺麗な女の人だよ! 」
「あぁ、あれがあのお兄ちゃんのエースだよ 」
歓声の中から天音ちゃんの跳ねるような興奮した歓声が聞こえると、人混みの中から星空と天音ちゃんを見つけた。天音ちゃんは星のような目でティアドロップを見つめていたが、星空に至っては俺の事を見ていた。
まるで、力量を見極めるように……
(いや、今はデュエルに集中だ )
他のことを振り払うように頭を振り、デュエルに再度集中した。今の所これ以上展開するものが無いため、俺のターンは手札にある"六花深々"を伏せてターンエンドだ。
「俺はカードを伏せて」
『少し待ってください。花衣様 』
伏せカードをセットしようとした所に急にティアドロップが話かけて来た為、俺は思わず手を止めた。
ティアドロップは自身の存在を大多数に悟られないように俺と顔を合わせないまま話を続けた。
『花衣様、どうか貴方の心のままに戦ってください 』
「……え? 」
心のままにという言葉で、俺は手札にあるカイムのカードを不意に見つめた。ティアドロップはそれ以上何も言わず、前に振り返っていった。
「……俺はカードを一枚伏せて、ターンエンドだ 」
「俺のターンだ。俺は"RR-バニシング・レイニアス"を通常召喚する。そして、効果により、デッキからレベル4よトリビュート・レイニアスを手札から特殊召喚する」
カードをデュエルディスクに置いたと同時に、船の天井を突き破る勢いの如く、トリビュート・レイニアスとバニシング・レイニアスが咆哮をあげて現れた。
「トリビュート・レイニアスの効果により、俺はデッキからRRカードを一枚墓地に送る。俺が墓地に送るのは"RR-レディネス"だ 」
レディネス……確か墓地に"RR"がいる状態であのカードを墓地から除外した時、除外したターン全てのダメージを無効にするカードだったな……厄介なカードだ。
だが、本当に厄介なのはここからだ。
「さぁこれでレベル4のモンスターが2体!来るのか!? 」
「俺は、トリビュートレイニアスとバニシング・レイニアスでオーバレイ! 」
地上では無く上空にホログラムの穴が開き、2体のRRは天高く飛ぶように穴に飛び込んだ。RR達が穴に突入し、黒い霧と共に獰猛な赤いふたつの眼が霧から俺たちを睨んでいた。
「ランク4!"RR-フォース・ストリクス"! 」
RR-フォース・ストリクス
ランク4/鳥獣族/闇属性/エクシーズ/ATK100/DEF2000
「俺はこの瞬間、ティアドロップの効果を発動!オーバレイユニットを1つ使って、フォース・ストリクスをリリースする! 」
これ展開させたら後からヤバいモンスターが来る……!ここで防ぐ為に、エクシーズモンスターをリリースしたが……
「その程度で止められると思うなよ……!俺は"RUM-ソウル・シェイブ・フォース"を発動! 」
「いきなりランクアップ!? しかもそのカードって…… 」
「自分のライフを半分払い、RRエクシーズモンスターを一体を対象にし、そのモンスターのランクの2つ上のエクシーズモンスターを、エクシーズ召喚扱いにして特殊召喚する!墓地に行かせたのが仇となったな! 」
機羽 空 残りライフ4000→2000
「おおっと!?本来8000のライフの半分、4000のライフを更に1ターン目で半分にしたぞ!?1ターン目からかなり強気の姿勢だぁ!! 」
展開の助け舟を出してしまったが……確かに少ないライフ4000を半分に削らせたのは大きい。それほど機羽は本気でこのデュエルに望んでいると言う事なのか……
「俺はフォース・ストリクスを素材にランクアップ! 」
墓地に送られたはずのフォース・ストリクスが炎を纏いながら飛び交いながら、その姿を変えた。機械仕掛けの羽が更に大きくなり、弾丸のように飛ぶ炎の鳥は、見る者に脅威と思わせた。
「ランクアップエクシーズチェンジ!現れろ!ランク6、"RR-レヴォリューション・ファルコン-エアレイド"!! 」
RR-レヴォリューション・ファルコン-エアレイド
ランク6/鳥獣族/闇属性/エクシーズ/ATK2000/3000
「エアレイドの効果発動!このカードがエクシーズ召喚した時、相手の場のモンスターを一体を対象にし、そのモンスターを破壊し、その攻撃力分のダメージを相手に与える!俺が選ぶのは勿論、"六花聖ティアドロップ"だ
! 」
「何だって!? 」
レヴォリューション・ファルコンがティアドロップに狙いを定めるように眼を向けると、レヴォリューション・ファルコンの翼が変形し、炎を纏いながらティアドロップに突撃をかけてきた。
「おおっと!まさか1ターン目から大ダメージを与えるチャンスだ!これを喰らえば、先程のRUMのコストを帳消しに出来るほどのダメージを与えられるぞ! 」
「そうはいかない!俺は手札の"六花精ヘレボラス"の効果発動!自分フィールドに"六花"モンスターが存在し、効果の対象になった時、このカードを手札かフィールドからリリースして、その効果を無効にする! 」
レヴォリューション・ファルコンの突撃は、ティアドロップの前に出現した紫のヘレボラスの花によって防がれた。ヘレボラスの花はレヴォリューション・ファルコンの炎によって燃え、儚く散っていった。
「これで終わりと思うなよ!俺は手札から"RUM-レイド・フォース"を発動!自分の場のエクシーズモンスターを対象にし、そのランクがひとつ上の"RR"エクシーズモンスターをエクシーズ召喚扱いにして特殊召喚する! 」
「えぇ!?まだ続けられるのですか!? 」
花音の驚きは最もな反応だ。多分だが……機羽はこのターン全ての手札を使い切るつもりで行くはずだ。
「言っただろ……全力だってな。俺はランク6の"RR-レヴォリューション・ファルコン・エアレイド"を素材にオーバレイ! 」
レヴォリューション・ファルコンが青い炎に覆い、それを飛ぶと、また一回り翼と体が変形し、要塞と思わせるようなモンスターに生まれ変わった。
「ランクアップエクシーズチェンジ!現れろ、ランク7"RR-アーセナルファルコン"!! 」
RR-アーセナルファルコン
ランク7/鳥獣族/闇属性/エクシーズ/ATK2500/DEF2000
「アーセナル・ファルコンの効果発動!オーバレイユニットを1つ使い、デッキからレベル4鳥獣族モンスターを特殊召喚する。こい!"RR-ファジーレイニアス"! 」
先程のアーセナルファルコンとら打って変わって小さくて可愛らしいモンスターが出てきたが、何もこれで終わりでは無いはずだ。
「俺はファジーレイニアスとアーセナルファルコンでリンク召喚!召喚条件は、鳥獣族・闇属性モンスター2体! 現れろ!"RR-ワイズストリクス"! 」
RR-ワイズストリクス
LINK2/鳥獣族/闇属性/ATK1400
「まずはワイズストリクスが召喚された事により、デッキからレベル4の鳥獣族かつ闇属性のモンスターを効果を無効にして守備表示で特殊召喚する。俺が召喚するのは、"RR-ミミクリー・レイニアス"だ 」
「さぁさぁまだまだ展開は終わらないとみたぞ!?先程リンク素材にしたアーセナルファルコンは素材を持ってフィールドから離れたという事は……? 」
「アーセナルファルコンの効果により、オーバレイユニットを持ったまま、フィールドを離れた時、エクストラデッキからRRエクシーズモンスターをこのカードを重ねて特殊召喚出来る! 」
Mixの実況と合わせるように、機羽はエクストラデッキからまた新たなカードを取り出すと同時に墓地からアーセナルファルコンを取り出した。
それと同時に機羽の頭上には黒い霧がかかっており、その中には黄金が滲み出ている翼が見えていた。
(この感じ……いや、ホログラムか……? )
見下のような黒い影から発せられた禍々しい感じは無く、ただ単にホログラムの演出だと安心したが……盤面的には最悪だった。
「現れろ!ランク10、"RR-アルティメット・ファルコン"!!」
RR-アルティメット・ファルコン
ランク10/鳥獣族/闇属性/エクシーズ/ATK3500/DEF3000
アルティメット・ファルコンは黒い霧を払うように翼を広げ、太陽のように空を飛び交い、輝いていた。
「出たァァァ!ワンターン目からまさかのランク10のエクシーズモンスターが登場だぁぁ!! 」
観客達の熱気とは裏腹に俺の心境は沈んでいた。その心の沈みをつくかのように、アルティメット・ファルコンは俺に向かい、威嚇するように高らかに咆哮をあげていた。
まるで、俺に明らかな敵意があるかのように。
「……ねぇ、お兄ちゃん。あの鳥さん怖いよ……なんだかあのお兄ちゃんに怒ってるみたい…… 」
「怒ってる……?花衣君にか?どういう事だ……一体 」
「ワイズ・ストリクスの効果だ。自分の"RR"エクシーズモンスターが効果を発動した時、俺はデッキからRUMをセットする 」
「……ん?さっき発動したRRエクシーズモンスターって、墓地のアーセナルファルコンか? 」
「テキストには【フィールドの】と記載されてないからな。墓地でも発動すればこいつの効果は発動できる 」
「マジかよ…… 」
「そういう訳で、俺はデッキから"RUM-レイド・フォース"をセットする。……まだ終わらないぞ。俺は、ワイズストリクスとミミクリーレイニアスでリンク召喚!召喚条件は、闇属性モンスター2体以上!こい、
幻影騎士団ラスティ・バルディッシュ
リンク3/戦士族/闇属性/リンク/ATK2100
「
意外とは言えなくは無いが、てっきり全てのデッキがRRの純正デッキだと思ったばっかりに少し驚いた。
ラスティ・バルディッシュは黒い大剣をかがげ、こちらをじっと見つめていた。目に映る青白い目を見たせいか、思わず寒さで震えてしまった。
「ラスティ・バルディッシュの効果により、俺はデッキから"
「あれ?それって……"RR"では無いんですか? 」
「それは私が説明しましょう!! 」
「ひゃぁ!びっくりしたぁ! 」
花音の疑問に実況のMIXが突如として花音の前まで飛ぶと、同時に花音が俺の所に飛び込んできた。
「ヒュー!大胆ですね〜花音さん! 」
そう言いながらMIXは俺とフィールドの間に挟むように移動し、即座に端末からレイターズ・ウィングのカードを見せた。
……というかさっきまでこの人実況席にいたよな?あの距離からここまでって相当な距離があるのに……どんな足腰をしてるんだこの人は……。
そんなツッコミと疑問は解決できそうに無いので心に閉まっておく。
「説明しましょう!このレイターズ・ウィングは、モンスターはまぁ"RR"っぽいですが、テキストを見ると、《このカードはルール上、幻影騎士団、RRとして扱う》の書かれているので、このカードはRRかつ幻影騎士団のモンスターなのです!現に、名前のところにはRRも幻影騎士団もついてないでしょう? 」
「あ……本当ですね。なるほど……ありがとうございます!わざわざ教えて頂いて…… 」
花音は丁寧にお辞儀をしながら俺を述べると、Mixは当然だと言いながら笑ってその場をあとにした。
「いえいえこのくらいお安い御用です!因みに、私は個人的に貴方達を応援していますので頑張ってください! 」
「それ、実況者としてはどうなんですかね…… 」
確かに。実況者は立場的にプレイヤー達を平等に扱い、試合全体の進みを実況しなければならないのに、この人はそんな事をガン無視して俺達を応援すると言った。
Mixはそのまま駆け足で実況席に戻ると、ティアドロップが光の無い目でこちらの方をじっと見つめていた。
何私の前でイチャイチャしているのですか?浮気ですか?と言っているような圧がひしひしと伝わり、体から冷や汗が吹き出してきた。我慢の限界なのかティアドロップはそのままフィールドから離れて俺に近づき、花音がいる方向とは反対方向の腕を掴むように組んだ。ティアドロップは頬を小さく膨らませ、甘えたがる猫のように俺の腕に頬をすり寄ってきた。
勿論このティアドロップは意識はあるがホログラムの体なので肌の触れ合う感触は無いが、傍から見ればまるで触れ合っているかのような状態だ。
「おおっとおおっと!?自分のマスターが取られると思ったのか、ティアドロップが花衣君の腕を組んでいるぞ〜!?罪な男だね花衣君!! 」
「あの人絶対に楽しんでいるだろ……! 」
MIXの煽るようなからかいに観客からはヒューヒューと歓声があがり、その中には炎山が面白がるように人一倍乗り気でいた。
『むぅ……花衣様は私のものです。貴方には負けません 』
「ふぇ!?わ……私はただびっくりして……あの……その……ごめんなひゃい! 」
自分の行動に恥じらいをようやく持ったのか、花音はすぐ様俺の腕から離れて自分の場所に小走りで戻った。戻った花音の頭からは湯気出るほど顔を赤くし、そのまま誰とも顔を合わせずにいた。
ティアドロップも同時にフィールドに戻り、ホログラムらしくその場に留まっていた。
「……おい、惚気は終わったか? 」
若干の当て馬にされた機羽は不服そうにこちらを睨み、河原は面白がるように笑っている口を塞ぐかのように手を口に添えていた。
「あ……あぁ。って、惚気って俺はそんなつもりじゃ…… 」
「傍から見ればそうなんだよ!一応お前とは真剣勝負してるんだぞ!?分かってるのか!? 」
機羽のツッコミに返す言葉も無く、何も言えない俺を見て呆れるように機羽はため息をついた。
「たく……続けるぞ。墓地のミミクリーレイニアスを除外する事でデッキからRRモンスターを加える。俺はシンキング・レイニアスを手札に加え、効果によって特殊召喚する。そして、場に闇属性モンスターがいる場合、手札のストラングル・レイニアスは手札から特殊召喚出来る 」
これで場にはレベル4のモンスターが2体……!
「俺はレベル4のミミクリーとバニシングでオーバレイ!来い!レイダーズナイト!!」
亡霊のような出で立ちをした騎士が、黒い霧に覆われながらゆっくりと姿を表し、ホログラム上の存在な筈のなのにも関わらず、現実の俺達に圧倒的な圧をかけていた。
「ターンエンドだ……そして、それと同時にアルティメット・ファルコンの効果が発動する 」
機羽のターンが終了したと同時にアルティメットのファルコンの翼が展開され、砲塔のように俺と花音に狙いを定めていた。
「アルティメット・ファルコンのエクシーズ素材が"RR"の時かつお互いのエンドフェイズ時、相手モンスターの攻撃力を1000ダウンさせ、モンスターがいない場合は1000ポイントのダメージを与える! 」
「それってつまり……! 」
「花衣選手の場にはティアドロップがいるのでティアドロップの攻撃力が1000下がるだけですが、花音選手の場には何も無い!つまり、花音選手には1000のダメージを受けることになります! 」
どうする事も出来ない状態だが、アルティメット・ファルコンは無慈悲にビームの嵐を俺たちに放った。
ホログラムなので痛みは無いが、人間の本能的な反射により、思わず俺は身構えた。
六花聖ティアドロップ ATK2800→1800
咲初 花音 残りライフ 4000→3000
「さぁ、1ターン目から全ての手札とライフを半分削った機羽選手の怒涛な展開により、花衣選手たちはピンチだぞ!? 」
「うぐっ……だが、相手エンドフェイズ時に墓地にいるひとひらも俺の所に戻ってくる! 」
「だが今のままではどうしようもないな 」
確かに……次のターンは花音のターンだから、俺には何も出来ない。万一の為にひとひらを守備表示に置き、ようやく機羽のターンはこれで終了した。
だが、アルティメット・ファルコンは他のカード効果を受けない効果を持っており、効果で除去する事はまず不可能だ。それに、1ターン目から全員攻撃出来ず、最初に攻撃できるのは機羽だ。つまり、最低でもあと2回か3回アルティメット・ファルコンの効果を受けなければならない。
しかも機羽の場にはアルティメット・ファルコンだけではなく、バルディッシュとレイダーズ・ナイトもいる。機羽のライフ半分を削り、手札が無いとしてもこれはキツイぞ……
「さぁ、どうする? 」
どうすると言っても、もう俺のターンは終わってしまい、どうする事もできない。何か出来るとすれば次は花音のターンだ。
「……花音、男としてちょっと情けないと思うけど……頼む 」
「はい!任せて下さい!私のターンです!まずは"イービル・ソーン"を召喚し、効果でリリース!空さんに300のダメージです! 」
イービルソーンが登場したと同時に、イービルソーンの房部分が破裂し、そこからイービルソーンが2匹生まれ、針が機羽を襲った。
機羽 空 残りライフ2000→1700
「そしてそのままリンク召喚!召喚条件は植物族モンスター2体!"アロマセラフィー・ジャスミン"ちゃんを召喚です!」
流れるようにイービルソーンがリンクマーカーに吸い込まれると、リンクマーカーの先からジャスミンがフィールドに降り立った。
「更に、貴方達のライフ数値で勝っているので、手札から"アロマージ・ローリエ"ちゃんをリンク先に特殊召喚! 」
このルールではアロマのライフが上回った時に使える効果は、俺と花音の合計と相手のタッグとの合計で競うことになる。機羽は先程ソウルシェイブ・フォースでライフを半分削り、イービルソーンの効果ダメージを受けた為、アルティメット・ファルコンで花音に1000ダメージを与えても、問題なくアロマの効果を使える。
「ライフを半分削ったのが仇となったな…… 」
機羽はああ言ってるが、こうなる事は分かっていたはずだ。それを見越してのライフを半分削り、アルティメット・ファルコンを呼び出したのは、やはり妨害によるリターンが大きいと判断したのと、俺と本気でやり合うためだろう。
「更に、ジャスミンちゃんの効果発動!リンク先のモンスターをリリースして、デッキから植物族モンスターを守備表示で特殊召喚します!私が選ぶのは"アロマージ・ジャスミン"ちゃんです! 」
フィールドにいるアロマセラフィージャスミンが杖をローリエの方に向けると、ローリエは光となって消え、アロマージの方のジャスミンが出てきた。
「墓地に送られたローリエちゃんの効果により、私はライフを500回復し、2人のジャスミンちゃんの効果を発動します! 」
咲初花音 残りライフ 3000→3500
ジャスミン達の効果はデッキから1枚ドローする効果とデッキから植物族モンスターをサーチ出来る効果だ。
チェーンにより、まずアロマージジャスミンの効果から処理する事になった。
「まずはデッキから1枚ドロー!そして、デッキから植物族を1枚手札に加えます!私は"ローンファイア・ブロッサム"を手札に加えます! 」
「さぁ、アロマの効果によりかなりのアドバンテージを生まれたぞ!更に、ライフを上回ったと言う事は……? 」
「ライフが上回っているので"アロマージ・ジャスミン"ちゃんの効果により、私は植物族をもう一度召喚します!手札から植物族の"ローンファイア・ブロッサム"を召喚します!そして……申し訳ないけど、リリースします! 」
ホログラム上のモンスターでありながら、すぐ様リリースする事に謝りながら花音はローンファイアをリリースし、ローンファイアの蕾から新たなモンスターを生み出した。
「私はデッキから、"スポーア"ちゃんを特殊召喚します! 」
蕾の中からまさかの綿のスポーアが生まれ、愛くるしい瞳はある人物に刺さっていた。
「……スポーアも中々可愛いわね 」
「なんだ霊香?お前あんな感じのも好きなのか? 」
「……ほっときなさいよ 」
何やら向こうで炎山と白井が何か喋っている様子が見えるが、観客席は二階にあるのでこちらから声は届かない。
「私は、スポーアちゃんを素材にリンク召喚!召喚条件は効果モンスター1体!"リンクリボー"を召喚します! 」
リンクマーカーからリンクリボーが現れ、やる気満々と言わんばかりに愛くるしい目を細め、アルティメット・ファルコンを睨んでいた。
『クリクリ〜! 』
(あ、お前そんな風に鳴くのね )
リンクリボー
LINK1/サイバース族/闇属性/ATK100
「更に!墓地にいる"スポーア"ちゃんの効果発動!墓地にいる植物族の"ローンファイア・ブロッサム"を除外する事で、その分のレベルを足して墓地から特殊召喚します 」
ローンファイア・ブロッサムのレベルは3であり、つまりスポーアは元々のレベル1と合わせてレベル4になってフィールドに戻ってくる。だが、この効果は1度しか使えない為、もうこの効果は使えない。
そして、スポーアはチューナーモンスター……今花音の場にあるのはレベル2の"アロマージ・ジャスミン"だから……レベル6のシンクロモンスターを出すつもりか?となれば……あのモンスターか?
「私は、レベル2の"アロマージ・ジャスミン"ちゃんとレベル4になった"スポーア"ちゃんでシンクロ召喚!来てください!"アロマセラフィー・スイートマジョラム"さん! 」
スポーアが4つの光の輪となり、ジャスミンがそれを潜ると一筋の眩い光と共に消え、入れ替わるように"アロマセラフィー・スイートマジョラム"がフィールドに現れた。
アロマセラフィー・スイートマジョラム
レベル6/植物族/光属性/ATK2200/DEF2000
「マジョラムさんの召喚時効果で、私はデッキから"恵みの風"を手札に加え、フィールド魔法"アロマージガーデン"を設置して効果発動!ライフを500回復します 」
咲初花音 残りライフ3500→4000
「ここでライフを回復!アルティメット・ファルコンの効果ダメージを帳消しにしたと同時に、ライフ回復によってマジョラムの効果が発動するぞ! 」
「マジョラムさんの効果発動!ライフを回復した時、相手フィールドのカードを破壊します!私は、空さんの"レイダーズ・ナイト"を破壊します! 」
マジョラムの杖先から花を纏った華やかな風がレイダーズ・ナイトを包み込み、風を切り裂くようにレイダーズ・ナイトは剣を振り回す物の、風を切ることが出来ず、レイダーズナイトは光となって破壊された。見かけとは裏腹にとんでもないな……
「私はカードを2枚伏せてターンエンドです 」
「エンドフェイズ時、アルティメット・ファルコンの効果発動。お前らのモンスターの攻撃力を1000下げるぞ
」
「……あれ?マジョラムさんの効果にはライフが勝っている時、植物族は効果の対象にならないって効果があるんですけど…… 」
「すまないがアルティメット・ファルコンのこの効果は対象を取らない効果だ。初心者には見落としがちだから注意しろ 」
「注意はありがたいのにアルティメット・ファルコンが無慈悲にこちらを睨んでいます!! 」
「それとこれとは話は別だからな 」
花音の叫びは無慈悲に届かず、アルティメット・ファルコンは全てのモンスターに対して嵐のような砲撃をお見舞いした。ホログラムな筈なのに砲撃の消炎で周りが見えなくなり、モンスター達は苦しそうに耐えていた。
六花聖ティアドロップ ATK1800→800
リンクリボー ATK300→0
アロマセラフィー・ジャスミン ATK1800→800
アロマセラフィー・スイートマジョラム ATK2200→1200
「フハハハ!ようやく我のターンと言う事だ!さぁ、漆黒の翼に恐れおののくがいい! 」
厨二病モードの河原は待っていたと言わんばかりに高らかに叫び出し、ターンを始めようとしていた。
「まず手始めに漆黒の羽ばたきを見せよう……我は永続魔法"黒い旋風"を設置!そして…… 」
「させません!私は永続罠"恵みの風"を発動!墓地の"アロマージ・ジャスミン"ちゃんをデッキに戻してライフを回復して、マジョラムさんの効果によってそのカードを破壊します! 」
黒い風と花を纏った風がぶつかり合い、ホログラムでは無ければ辺りに突風が吹き荒れそうな勢いが資格で感じられた。
風の衝突は恵みの風が押し切り、黒い風は儚くも散ってしまった。
「フハハハ!貴様も風の申し子だったというわけか!面白い!貴様の力も我が漆黒の翼で翻してやろう! 」
「す、雀ちゃん!?なんだかいつもより変になってるよ!?大丈夫!? 」
「こいつが変なのはいつもの事だろ 」
(確かに…… )
機羽の意見に俺は無言で頷きながら共感し、機羽の言う事を気にしていなのか、河原は厨二病モード全開を貫いていた。
「だがしかし!その程度で止められるとは笑止千万!我は"BF-南風のアウステル"を召喚! 」
勢いよくカードをデュエルディスクに置いた河原だが、それとは裏腹にアウステルはまるで鳥の雀のようにぴょんぴょんと飛びながらフィールドに現れた。
あまりの可愛らしさに観客達はほのぼのとしてしまい、それを良しとしないのか河原はホログラムの存在でありながらアウステルに声をかけていた。
「なっ……貴様ぁ!なんだその行動は!それでも漆黒の翼を持つ者かぁ! 」
いやどう見てもそいつの体毛は黄色だろ。とツッコミたいのは俺だけでは無いはずだ。だがツッコンでも無駄だと悟った為あえて言い出さなかった。
アウステルは河原の言う事を無視するようにぴょんぴょん小さく跳ね回ったり、頭で七色の羽を掻いたりした。
「もう〜!もうちょっとカッコよく行動してよ〜! 」
ついに痺れを切らして素の河原に戻ってしまい、地団駄を踏んだ少しした後、我に返ったように咳払い咳払いをした。
「……コホン。まだ我のターンは終えていない!自分フィールドに
(え、あの状態で続けるの? )
しかもアイツBFの事、"黒き翼を持つ者"って言ったよね?それ続けるメンタルは脱帽超えて尊敬の域に値するぞ……
「更にハルマッタンは自分フィールドのBFのレベルを糧にする事ができる! 」
「ええと……ハルマッタンは他のBFのレベルの分だけレベルが上げることが出来ます!河原選手の場にいる他のBFと言えば、可愛らしい行動をしているアウステルだけ!アウステルのレベルは4なので、ハルマッタンのレベルは2+4で6となります! 」
河原の翻訳にMIXさんが翻訳し、他の皆に分かるように解説してくれた。そして、アウステルはチューナーモンスターだ。4と6で、いきなりレベル10のBFシンクロモンスターと言えば……
「我はレベル6となったハルマッタンとレベル4のアウステルをチューニング! 」
これみよがしに河原は左手で右眼を隠し、まるで右眼が疼く……!と言うように体を震わせていた。
「漆黒の鎧を纏いし黒き翼の申し子よ……その眼で敵を睨み、その翼で天空を駆け抜け、全てを射抜く楔を穿て!シンクロ召喚!"BF-フルアーマード・ウィング"!! 」
フィールドから黒い羽が舞い上がり、舞い落ちる羽の向こうから紅い一つ目がこちらを睨み、黒い大剣を振りかざしてその姿を表した。
河原の迫真な口上と相まってか、俺たちよりもなんだか召喚演出が豪華なような気がするのは気の所為だろうか?
BF-フルアーマード・ウィング
レベル10/鳥獣族/闇属性/シンクロ/ATK3000/DEF3000
「我はカードを2枚伏せてターンエンドだ。ふっ……漆黒の風が貴様たちに襲いかかるのが遅いと囁いていた……命拾いしたな 」
……ええと、多分だけど初手の"黒い旋風"を発動しなかったから助かったなと言いたいのだろうか?
確かに、手札消費が激しいBFにおいて、初手で"黒い旋風"が発動しなかったのは大きい筈だ。現に機羽と河原の手札無い。
手札としてはこっちが多いが、盤面的にはこっちが不利だ。河原がエンドフェイズに移行したということは……
「エンドフェイズ時にアルティメット・ファルコンの効果を発動!受けてもらうぞ 」
3度目のアルティメット・ファルコンの攻撃により、ついに俺のティアドロップの攻撃力が0となってしまった。
六花聖ティアドロップ ATK800→0
アロマセラフィー・ジャスミン ATK800→0
アロマセラフィー・スイートマジョラム ATK1200→200
『っ……ぁぁ! 』
「ティアドロップ!ひとひら! 」
アルティメット・ファルコンの猛攻に吹き飛ばされ、体制を崩したティアドロップとひとひらに手を差し伸べたが、ホログラムの体は俺の手を貫通させ、虚しく俺は空を握った。
(くそ……!なんで掴めないんだ……! )
今目の前にはティアドロップ達がいるのに、何も出来ない悔しさやもどかしさで胸が張り裂けそうだ……
分かっている。これはホログラムだ。実際にティアドロップとひとひらには何の影響も無いのは分かっている。
だが、初戦の見下のデュエルでは間違いなくティアドロップに何らかの影響を及ぼした。そのデュエルがトラウマのように頭や心から離れられず、どうしても心配でならなかった。焦る鼓動が息を苦しくさせ、視界を狭めさせた。
『花衣様……花衣様! 』
唯一ティアドロップの声だけはハッキリと聞こえ、俺は焦りから飛び出すように我に返った。目の前にはこちらを見つめるティアドロップのひとひらが写り、心配無いと言うように笑っていた。
『私達は大丈夫です。どうか安心してください 』
ひとひらも腰に手を当てて大きく首を頷き、大丈夫と言わんばかりに俺の頭の周りを飛んでいた。
『花衣様は、ご自身が望む戦い方をして下さい 』
「俺が……望んでいる戦い方……? 」
「さぁ!最早花衣選手と花音選手のモンスターは満身創痍!果たしてこの盤面を崩す事が出来るのか!? 」
実況のMIXさんの声で考えが吹き飛ばされ、俺は状況を確認した。
俺と花音のモンスターの攻撃力はほとんど0で、俺のターンで何とかしなければ、機羽の攻撃で間違いなく致命傷を受けてしまう。
俺の手札には状況を打破出来るカードは無い。だが……可能性はある。
可能性があるならそれにかける。その意志を絶やさなぬよう、アルティメット・ファルコンとフルアーマード・ウィングの眼光から目を逸らさずにいた。
ここまで(〜90話)出てきたレゾンカードの中で強いと思うのは?
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六花聖華ティアドロップ、カイリ
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閃刀騎-カイムと閃刀騎-ラグナロク
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銀河心眼の光子竜
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RRRリノベイルイグニッションファルコン
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炎転生遺物-不知火の太刀
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常闇の颶風