六花テーマを作って愛用したらそのまま俺への愛が重くなった件について   作:白だし茶漬け

33 / 196
同じ存在

「どうやら君と俺は同じような存在らしいな 」

 

その言葉を聞いた瞬間、走り続けて荒いだ息を忘れるような衝撃を受けた。

この世界が変わっている事を知っているのは自分だけという、一人ぼっち取り残されたような寂しさが無くなり、少しばかりの嬉しさがこみあがってきた。

 

「とりあえず立ち話もなんだし、場所を変えよう。……それとそこの壁際にいるのは知り合いかな? 」

 

星空が曲がり角の壁際に隠れている人物に指を指すと、その人物はバレた事を知った途端逃げ出してしまった。

直ぐに追いかけようと俺と星空は追いかけるように走り出したが、分岐された道が続いていた為見失ってしまった。

 

後ろ姿ぐらいしか分からなかったが、腰まである長い髪に身長が俺とほぼ同じぐらいからして……女性である事は確かだ。

 

というよりなんで逃げたんだ……?逃げると言うことは姿を見せる事をよしとしないのだろうか。でも一体何で……いや、理由は大体分かりきっている。多分壁際から俺たちの話を聞いたのは恐らく……

 

「……やっぱり誰かが俺の事を監視してるのか? 」

 

「監視だと? 」

 

「詳しい事は後で話すよ。とりあえず話せる場所に移動しよう 」

 

「わかった。ちょうど良い場所を知っている。個室で2人きりで話せる場所だ 」

 

そう言って星空は着いてこいと指を曲げながら先導した。俺はその後を着いてく中で、花音たちに連絡を取った。いきなり観客席から居なくなったし、みんなも探している筈だ。

え……と、なんて言って連絡しようかな……とりあえず星空と話をしているから終わったら連絡するよ。って書けばいいか。

 

「よし、送信完了っと 」

 

「なんだ?歩きスマホは危険だぞ? 」

 

「い、いやいや。花音達に連絡を取っただけだよ。俺いきなり星空の所に来たから……そっちは良いの? 」

 

「俺の場合はどうせ向こうから探しにやってくるしな。別に構わん 」

 

「えぇ……天音ちゃんとか心配するんじゃない? 」

 

「その時はあっちから連絡が来るさ 」

 

そんなにたわいの無い話をしながら船内を歩くと、館内アナウンスが鳴った。

 

『皆様にご連絡です。ロマンス・タッグ・デュエル決勝は、今から3時間後の午後18時から開催されます。場所は船外デッキ展望フロアにて行われますので、しばらくお待ちください 』

 

やはり決勝戦に関してのアナウンスだった。1、2回線は船内だったのに対して、決勝戦は船外でやるのか……

それならかなりの時間が掛かるはずだ。何故ならソリッドビジョンを生み出す装置を船外に設置するとなれば、3時間もの時間は必要だろう。

 

「決勝か……お互いに良いデュエルをしよう 」

 

「あぁ、こちらこそ 」

 

試合前の握手にしては早すぎるが、俺は星空は良いデュエルをするとここに誓い合った。勿論、やるからには全力だ。

 

「一応言っておくが、レゾンカードを出し惜しみしたら許さないぞ? 」

 

「あはは……大丈夫だよ。炎山と機羽のおかげで、このカードに対する意識が変わったから 」

 

あの時、2人が言ってくれた言葉が俺の背中を押してくれた。まだ心の隅にちょっぴりとこのカードを使う事への罪悪感みたいな物はあるが、少なくとも前のように卑屈にはなっていない。

 

「そういえば……最初にレゾンカードについて庇ったのは星空だったね 」

 

遡る事をかなり前、と言っても俺と花音とのオープニングデュエルの時だ。

俺はデュエルの途中でデッキに入れたことが無い……というか、恐らくその最中に生まれたカード"六花の返り咲き"を使用したことにより、皆からは不信感を与えてしまった。

改造や禁止カードとか言われた中で、星空さんは俺の事を擁護するように言ってくれた。

 

「ん、そうだな。俺もレゾンカードを持っているからな 」

 

「……え?」

 

今……なんて言った?鳩が豆鉄砲喰らったかのような顔をしていた俺を見かねて星空はもう一度一語一句ゆっくりと先程の言葉を繰り返した。

 

「だから、俺も持っているんだよ。レゾンカードをな 」

 

数秒という間俺の思考は止まったパソコンのようにフリーズしてしまった。

 

「えぇぇぇぇ!!!!??」

 

そして俺は今日、何度目かの絶叫を生み出した。星空はあまりのうるさささに耳を塞いでおり、それを見た俺は申し訳なさで咄嗟に口を塞いだ。

 

「ああごめん!うるさかったよな…… 」

 

「いや、こちらこそ驚かせてすまない。因みに2枚あるぞ 」

 

「2枚も!?どんなカードなんだ? 」

 

「それは秘密だ。切り札は最後まで取っておくものだし、それに君は決勝戦の相手だ。見せる訳にはいかない 」

 

それもそうか……それにしても2枚も持っているのか……ん?ちょっと待て。レゾンカードって言わば俺が精霊世界で生み出したカードだ。という事は……

 

「なぁ、星空ってデュエルモンスターズの世界に行った事があるのか……? 」

 

「は?そんな世界があるのか? 」

 

「え?行ったこと無いのか? 」

 

「初耳だ。というかその言い方だと、君は行ったことあるのか? 」

 

墓穴掘ったか……まぁでも言ったことを訂正するのは無理そうなのでやむを得ず俺は首を縦に振った。

嘘だと星空は疑いはしたが、少し考えた後星空は納得してくれた。

 

「そうか……いや、精霊がいるという時点でそんな世界があるのではと考えた事はあるが……実在するんだな…… 」

 

「まぁ詳しい話はまた後でという事で…… 」

 

「それもそうだな……あ、着いたぞ。このバーだ 」

 

星空が連れてした場所は船内の目立たない場所にあった隠れ家的な存在を醸し出しているバーだった。いかにもお酒飲めますよといった所だ。だが、今の俺の年齢は17歳だ。案内してて何だが流石に未成年である俺にはここには入れなかった。

 

「俺の……未成年なんだけど 」

 

「大丈夫だ。ここは未成年でも入れるし、バーと言ってもカフェでもある。問題ないはずだ 」

 

「そう……?なら、入ろうかな 」

 

初めての雰囲気に押されながらも、俺はたじろぎながらバーの中に入っていった。店内にはオシャレなBGM……ジャズだろうか?レンガ造りの壁紙にスーツ姿が良く似合うバーテンダーが丁寧にお辞儀して挨拶してくれた。

 

「いらっしゃいませ。御二方でしょうか? 」

 

「あぁ。奥の個室を使わせてもらいたいんだが…… 」

 

「かしこまりました。ではお先にお飲み物を1つ注文してください 」

 

「俺はアイスコーヒーで良い。花衣君はなにがいい? 」

 

店員からメニューを渡され、アルコールのページを吹っ飛ばして何か飲めるものが無いか探した。

船内で空調が聞いてて涼しいと言っても熱いものは飲みたくは無い。ここで冷たい物はと言うと……

 

「じゃあ……アイスティーで 」

 

「かしこまりました。では奥の部屋へと案内します 」

 

店員から奥の個室へと案内された。個室の内装は店内とは打って変わって黒塗りで高級感漂う部屋となっており、バー要素が全面的に押し出した内装だ。そこそこ広く、ソファーとソファーの間に長いテーブルが置かれていた。

 

「それでは、お飲み物をお持ち致しますので少々お待ち下さい 」

 

店員は部屋から出ていき、俺と星空は向かい合うようにそれぞれ別のソファーへと座った。

座り心地が良く、ふかふかなソファーだ……まるで雲の上に座っているような感覚だ。

 

「さて、これでゆっくり話せるが……どこから話そうか 」

 

「そうだな……とりあえず、さっき言ってたデュエルモンスターズの世界……精霊の世界ついて話そうか 」

 

俺は精霊の世界について俺が体験した事を話した。レイに連れてこられた事や、ダメージがそのまま痛みになったりとか、全てだ。星空は真剣に俺の話を聞き、納得したように頷いた。

 

「なるほど……ダメージがそのまま痛みという点について、少し気になることがある。君は1回戦の時に怪我をしていたが……それはどういう事だ? 」

 

星空が言ってる事は、俺が1回戦の時……見下とのデュエルの終盤に起きた事だ。

見下の様子が可笑しくなり、デュエルのダメージがそのまま現実の痛みとなっていた。そこで俺は頬に切り傷がついてしまい、今でもそれは微かに残っている。

 

「正直、あれに関しては俺も分からない……それに、俺もあの時の事はほとんど覚えてないんだ…… 」

 

「……?覚えてないのか? 」

 

俺はその答えに頷いた。俺が覚えているのは、見下に対しての怒りだけだった。唯一覚えてるのはアイツだけは許さない。殺気にも似たような憎悪だけしか、あのデュエルは覚えていない。

 

「そうか、原因を探るのはよそう。答えは出そうに無いからな…… 」

 

「ごめん…… 」

 

「なに、別に構わない。じゃあ次は……俺の事について話そうか 」

 

そう言って星空はデッキケースから1枚のカードを取りだし、そのカードは"銀河の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)"だった。カードはテーブルに置いたと同時に光出し、出てきたのは通常のギャラクシーアイズでは無く……手のひらサイズの小さなドラゴンだった。

 

『ピギャー! 』

 

「……え?何このモンスター…… 」

 

「"銀河の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトン・ドラゴン)"だが? 」

 

「えぇ!?なんか可愛らしくなったって言うかなんというか…… 」

 

確かに姿はその通りだが、目はクリクリしてるし、鳴き声も雄々しい咆哮では無く可愛らしい鳴き声だ。

なんというか……メルフィー版のギャラクシーアイズと言えば良いのだろうか?

 

「なんでこんな姿に……? 」

 

「本来の姿だと天音が怖がってな……俺が頼んでこの姿にさせた 」

 

「あぁ…… 」

 

確かにデュエル最中に泣いてたもんなぁ……デフォルメギャラクシーアイズに触れ合おうと人差し指で触れようとしたが、ギャラクシーアイズが俺の指を噛んでしまった。

 

「あいてててて!! 」

 

「すまない、しかし珍しいな……こいつは人に危害を加える奴じゃ無いんだが……」

 

嫌われてるのかな……俺……若干悲しい気がするが、とりあえず傷を治す為に何か無いかと探すが何も無い。

 

『花衣様、これをお使い下さい 』

 

俺の怪我を察知したティアドロップが絆創膏を渡してくれた。俺はその絆創膏を噛まれた右の人差し指に巻いた。なんかギャラクシーアイズまだ俺に怒ってるし……何かしたのかな……

 

「羨ましいな。そんな美人で気立ての良い人がそばに居て 」

 

「え?ま、まぁ……うん、凄く助かってるよ 」

 

『ふふ、貴方の為ならいくらでもお世話しますよ? 』

 

本人がいる前で変に恥ずかしくなり、俺は体を縮めるように姿勢を正し、ティアドロップは誇らしそうな顔をしながら俺の隣に座った。

テーブルの上にいたギャラクシーアイズはそのまま跳躍して星空の頭に乗っかった。あれだけ見るとマスコット見たいだ……

 

「さて、話を戻そう。花衣君、君が精霊を見えたのはいつ頃だ? 」

 

「え?俺がデュエルを始めた頃だから……2ヶ月前ぐらいかな 」

 

「そうか……俺はつい最近になって見えたんだ。大体、2週間前だ 」

 

「精霊が見えるって言うと……天音ちゃんも見えるよね? 」

 

「天音に関しては、昔から見えていたぞ 」

 

「え!?昔からって…… 」

 

「天音が言うには、3つの時……つまり7年前からだな」

 

7年前となると……このペア異変がまだ起きていない状態だ。ということはだ、最初からこの世界と精霊の世界は繋がっていたという事だ。

 

「いやいや……有り得ないだろ!だってティアドロップ達モンスターって…… 」

 

「そう、人によって作り出され……カードゲームとして生み出された。だが、そもそもそれが間違いなのかもしれない 」

 

「間違いって…… 」

 

「……最初から、この世界は精霊の世界と多少なりとも繋がっていた。と考えていいだろう 」

 

「いや有り得ないだろ!だってアニメとかあったんだぞ!? 」

 

冗談じゃない。俺がティアドロップ達と会う前は遊戯王のアニメは放送されていたんだぞ……

だとしたらあれは何だ?

 

「落ち着け。これはあくまで俺の推論だ。確かにその事も謎のままだし、全部が全部正解ではない 」

 

「そ……そうだな……ごめん、取り乱して…… 」

 

頭を冷やすように俺は自分の顔を覆うように右手を顔に当てると、タイミンが良いのか悪いのか、ドアのノック音が聞こえた。ノック音が消えた後にドアが開かれ、外からアイスティーとアイスコーヒーを持った店員が姿をみせた。

「お待たせしました。こちらアイスティーとアイスコーヒーでございます 」

 

「そこに置いといてくれ 」

 

「かしこまりました。良ければデザートのマドレーヌをもご堪能下さい 」

 

そう言って店員は部屋から出ていった。テーブルには数十個のマドレーヌと俺が頼んだアイスティーがあるが、どうにも飲む気にも食べる気にもならなかった。

 

「さて、話を戻そう。俺の考えがあっているかは、そこにいる精霊本人に聞いた方が早いだろう 」

 

星空はティアドロップを見つめ、ある質問を放った。

 

「質問だ。君たちの世界と俺達の世界は……どうして行き来出来るんだ? 」

 

星空が放った質問はこの事だった。確かに……気になるといえば気になることだった。カードを通して精霊はこの世界に行き来できるが、どうしてそんな事が出来るのかは謎だった。

 

『……言い伝えによりますと、1つのカードによって繋がりが持ったと言われてます 』

 

「言い伝え? 」

 

『遠い昔、1つのカードにより、私達の世界とこの世界に道が生まれ、繋がりが生まれたとしか私は知りません。誰がなんの為にそのカードを作り出したのかも、誰が作ったのかも謎のままです 』

 

「レイは他に何か知ってるか? 」

 

ティアドロップの他に俺はレイにも何か知ってるのではと考えて呼び出した。

 

『私もその程度しか分かりません。ただ、その際に大きな戦いがあったと聞いたこともあります 』

 

「大きな戦い……? 」

 

『はい、その時私は参加してませんでしたが、私達の世界が脅かす存在が現れたとか……その時は何とか撃退し、無事に済んだとか 』

 

まぁ無事じゃ無ければティアドロップ達はいるはずもないしな……

 

「なるほど……遠い昔か……じゃあ昔から繋がりが生まれた訳だ。……何故このタイミングで異変が起きたのかは謎だが 」

 

確かに……そんな昔に精霊の世界と繋がっているなら、そのタイミングで異変が起きてもおかしくは無い。なんでこのタイミング何だ……?何かがトリガーになって異変が起きたと考えた方が自然だが、そう考えるとなると、やはり六花達が俺の前に現れた時が1番に考えられるが、それだと天音ちゃんが小さい頃から精霊が見えた事と話が合わない。うーん……訳分からん。

 

「それに謎と言えば俺と君との共通点だ。花音さんや天音はこの異変については認知出来てなくて、俺と君は認知出来ている。同じ精霊が見える者同士なのにも関わらずだ 」

 

「確かに……でも、 それを探すのは難しいんじゃない? 」

 

「そうだな、この話は一旦後回しにしてお茶でもしよう。これ以上話すと君の頭がパンクしそうだからな 」

 

「なっ……!そんな事無いぞ!全然大丈夫!全然っ!! 」

 

「ほう……?じゃあそういう事にしておこう 」

 

変な強がりが星空にはバレているのか……いや、バレてるな。バレてるから彼は笑っているんだ。

ぬぅ……なんか手のひらに転がされてるような気がするな……

 

「じゃあ共通点探しという事で、1つ自己紹介でもしとこう。名前はもう知っていると思うが、俺は【星空 彼方】18歳だ 」

 

「年上!?うっわ……今までタメ口だった…… 」

 

「そんな気にするな。年上と言っても1つしか変わらないからいつも通りタメ口で構わない 」

 

「いや……でもですね……うーん、こっちとしては抵抗があるんですけど…… 」

 

「君変な所で遠慮する所あるな……友達に対しても苗字読みだろ? 」

 

「まぁ……なんて言うかそっちの方がしっくりするって言うかなんて言うか…… 」

 

花音に対してはあの時言われてから名前呼びだが、花音以外には基本的に苗字読みだ。遠慮とか距離を置いてるとかそんなんじゃない。……いや、もしかしたら気づいていないだけでもしかしたら無意識に距離を置いてるのかもしれない。

今思えばいつも炎山が遊びに誘っており、俺から遊びに誘う事なんて無かった。

 

「さて……じゃあ次は君の番だ 」

 

「え……あ、あぁ!えぇと……【桜雪 花衣】17です。えぇと特にこれと言って自己紹介する事は……無いです 」

 

何だこのコミュ障は……あ、俺だ。年上と分かったせいで妙な緊張が走り、ぎこちない自己紹介になってしまった。

 

「そんなに緊張しないでくれ。俺の方が身分が下なんだから 」

 

「?身分が下って……どういう事ですか? 」

 

「え?花音さんのパートナーだから……結構上の身分じゃ……無いのか? 」

 

「いや……俺は普通の一般家庭の人だけど…… 」

 

「うん? 」

 

「えぇ? 」

 

……え?星空さん結構上の身分じゃないの?

と思ったら、どうやら星空さんも俺と同じような立場らしい。

誤解が無くすため、俺は俺自身の事や、この大会に出た経緯を説明した。

 

「へぇ……じゃあ焔君達も一般人か。いやぁ〜俺と同じような立場の人がいて嬉しいよ。ちょっと肩身狭かったからさ 」

 

「それはこっちも同じですよ。所で、そっちはどういった経緯でこの大会に……? 」

 

ふとした疑問だった。恐らくはあの宝石カレンさん……多分年上かな。その人から招待を受けたとは思うけど……

 

「うん、俺はカレンに無理やり……というか強制的に参加させられたな……花音さんが出るからってあいつも張り切ってさ…… 」

 

「ん?どうしてそこで花音が出てくるんですか? 」

 

「知らないのか?花音さんとカレンは昔からの知り合いでライバル的存在だぞ。……まぁ、あのライバル的な存在っての言うのはカレンが一方的にそう言っているだけだと思うけどな…… 」

「へぇ…… 」

 

 

 

 

 

 

一方その頃別の場所では……

 

「あ、花衣さんは今彼方さんと一緒にいるらしいですよ。何やら大切な話があるとか…… 」

 

「ん?決勝戦の相手と何話すんだあいつ? 」

 

「……あ、もしかしたら 」

 

「心当たりあるの? 」

 

「え!?ううん何でもないよ雀ちゃん! 」

 

あの二人の共通点と言えば精霊が見えること……きっとその事について話しているのでしょう。心当たりがないふりをしようとしましたけど、あまりの不自然さに皆さんの目が怖いです……

混乱させないように話を逸らしたいですけど……どうすればいいでしょう……

 

「あら?そこにいるのはもしかして花音さんでは? 」

 

突然私を呼ぶ声が聞こえ、声の方向にはカレンちゃんと天音ちゃんがいました。

 

「あ!カレンちゃん!準決勝見てたよ!おめでとう! 」

 

「ふん!当然ですわ! 」

 

カレンちゃんとは幼なじみなのです。霊香ちゃんや雀ちゃんよりも付き合いは長いのですが……最近、私が自立して生活している為疎遠気味になっていたので会えたのは嬉しい。

 

「あら、貴方方はカレンさんのご友人かしら? 」

 

「えぇ……貴方に負けた【白井霊香】よ 」

 

「そして我が名は【河原雀】……しかしこの名は仮の名に過ぎぬ。貴様ら下界に住む人間にはこの名を名乗ることがふさわしい…… 」

 

「無視していいわよ 」

 

「そうさせて貰いますわ 」

 

「なんでよっ!! 」

 

頬をふくらませて怒る雀ちゃんを撫でてるように霊香ちゃんはぽんぽんと頭を叩きました。しかしあまりの子供っぽさの扱いに雀ちゃんは地団駄を踏み、ぷいっとそっぽを向いてしまった。

 

「あら、そこの小さな子は確か……彼方の妹……かしら 」

 

「あ……あぅ…… 」

 

天音ちゃんは霊香ちゃんの目を見つめると、直ぐにカレンさんの後ろに隠れてしまいました。あ、そういえば天音ちゃんって確か凄い人見知りだって言ってましたね……

 

「あら……何か気に障ったかしら 」

 

「お前の目つきの鋭さがダメなんじyア゛ア゛ア゛ア゛ア゛すみませんでしたァァァ!! 」

 

(アホだろこいつ…… )

 

霊香ちゃんが気にしている事を焔君は霊香ちゃんの絞め技を受けていました。悪かった許してくれと言っているように手を激しく動かし、あまりの情けなさに空くんは溜息をついていました。

 

「ひっ……! 」

 

あまりにうるさかったのか、それとも怖かったのか天音ちゃんはカレンさんの足元にしがみつくようにして、離れてはくれなかった。

「あーあ、焔が泣かせた〜 」

 

「えぇ!?俺のせいかよ!あ〜でも俺のせいか……うん、悪かったな。ええと……天音だっけ? 」

 

焔さんは天音ちゃんの目線と合わせるようにしゃがみ、笑いながら謝りましたが……天音ちゃんはやはりカレンちゃんにしがみつき、焔さんとは目を合わせてくれませんでした。

 

「失礼、天音さんは人見知りが激しいのです。悪気は無いのですわよ? 」

 

「あの……その……ごめんなさい…… 」

 

「ん?いや、良いんだよ。俺と同じ歳なのに友達少ない奴よりかは可愛げがあるさ 」

 

「お前シバくぞ 」

 

空さんが天音ちゃんを怖がらせないようになのにか笑っているのに凄く怒っています……

焔さんはそれを笑っていますけど果たしてどうなるのでしょうか、少なくともここで喧嘩はやめて欲しいですけど……

 

「さて、私はこれで失礼致しますわ。花音さん、決勝戦では手加減致しませんわ 」

 

「う……うん、でも私……今までのデュエルでも花衣さんに頼りきりだったし……あまり期待にはそぐわないかも…… 」

 

「タッグデュエルでもこれは私と貴方の勝負ですわ。……今度こそ勝ちますわ。手を洗って待ってなさい! 」

 

「えーと、それを言うなら首を洗ってじゃないかな……? 」

 

「えっ……!?と、とにかく!ライバルとして貴方に勝ってみせますわ!! 」

 

言葉の怒りっぽさとは裏腹に、天音ちゃんの手を優しく握ったカレンちゃんはそのまま去っていきました。

 

「ライバル……って、花音貴方ライバルなんかいたのね 」

 

「へ?ライバルというより……私とカレンちゃんは幼なじみなんですけど…… 」

 

「……貴方って、結構鈍感なのね 」

 

「……? 」

 

私には、霊香ちゃんが言っていることがよく分からなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃

 

「へぇ……花音と宝石さんって幼なじみなんだ 」

 

「あぁ、そして中学後半ぐらいから対抗心を燃やしていたらしいな。あいつ負けず嫌いだからな 」

 

星空さんから聞いた話によると、花音と宝石さんは小学生の頃から仲が良かったらしいが、その対抗心で花音の事をライバル視しているらしい。

 

「そういえば……星空さんと宝石さんってどのように知り合ったんですか? 」

 

「さん付けと敬語はしなくていいぞ 」

 

「……星空はどうして宝石と知り合ったんだ? 」

 

「ふっ、及第点だな。そうだな……強いていえば……学校が同じだと言うことだな 」

 

「学校が?どこなんですか? 」

 

「聖奈学園だ 」

 

聖奈学園……確かかなりの進学校の筈だ。偏差値もかなり高く、秀才揃いとは聞いている。

 

「へぇ……頭良いんですね 」

 

「良くは無いさ。これでも受験の時はかなり無理をしたもんだ。……そうだ、そういえば花音さんも同じ学校だったような…… 」

 

「花音がですか? 」

 

意外……では無いかな。いや、花音は結構ドジな所もあるし……ん〜学力を知っている訳でも無いので判断は出来ないが、星空が言っているなら間違いないだろう。嘘をつく理由なんてないし。

 

「話の腰を折るようで悪いが……そろそろ話してくれないか?君が監視されているさもしれいないという話を 」

 

「あぁ……推測だらけだけど、多分そう思う…… 」

 

俺は自分自身の体験と推測を星空に話した。

まず俺が監視されてると考えたきっかけはレゾンカードと呼ばれているカードだ。

元々このカードはレイとのデュエルの中で生まれたカードであり、決してこの世界で作られたカードでは無い。にも関わらず、今この世界でデュエルモンスターズを管理している会社『レゾン』は、このカードの存在を知っていた。

 

つまり、レゾンの関係者は俺とレイのデュエルを見ていたのだ。

このカードを知っているのは、俺と六花、閃刀姫に花音だけだ。この時点で最も怪しいのは花音だが……花音のモンスターである"アロマージ・マジョラム"は俺にある事を教えてくれた。

 

_この世界に、私達と同じ存在がいます。しかも近くに……

 

同じ存在……つまり、ティアドロップと同じモンスターが俺のすぐ傍にいるのだ。何時からは知らないが、俺の行動を監視している。それが俺の推測だった。

俺を監視する理由はまだ分からないが、そうじゃないとレゾンカードの事が辻褄が合わない。

 

「なるほど……君のレゾンカードは、精霊世界で作られたものなのか…… 」

 

「星空のは違うのか? 」

 

「俺のは普通にレゾンから届けられたぞ。この大会に出場する前に……な 」

 

どういう事だ……?そもそもなんで星空にレゾンカードを2枚も渡したんだ?謎は解決するどころか深まるばかりだった。

だが分かっている事はひとつある。

 

「分かっていることは俺を監視しているのは……六花達と同じモンスターだ 」

 

「という事は……さっき壁際にいた奴はモンスターということか…… 」

 

「恐らくな…… 」

 

多分この世界の人間に偽装する為に実体化していたっぽいが……間違いなくそうだろう。

だが、姿を見て俺は安心もしていた。俺の近くに精霊がいるということは、炎山達のいずれかはモンスターだと言うことになる。

しかし、俺を監視していたモンスターの姿は炎山達の特徴とは一致しておらず、炎山達がモンスターだと言う線は消えた。

 

「だがしかし……君に固執する理由がやはり分からないな……心当たりはあるのか? 」

 

「……いや、これといっては…… 」

 

俺が新たなカードを生み出したのが原因だと考えたが、マジョラムが言ったのは俺がレイとデュエルする前だ。つまり、その時以前から既に監視されているという事になる。

 

「……謎が多いな 」

 

「そうだな…… 」

 

「……これ以上は話しても分からなさそうだな。よし、気分直しにそこにあるマドレーヌでも食べよう。数多くあるんだ。精霊達と一緒に食べるといい 」

 

星空はマドレーヌをひとつ取り出し、マドレーヌを半分に割ると、もう半分をギャラクシーアイズに与えた。通常サイズのギャラクシーアイズだったらこの程度のサイズは物足りないと思うが、今の手のひらサイズのギャラクシーアイズだったら十分なサイズだろう。

ギャラクシーアイズは余程満足しているのか、目を輝かせながらマドレーヌを食べていた。

 

「ん、美味いかギャラクシーアイズ。それは良かった 」

 

「ティアドロップ、レイ、それに皆も食べて 」

 

『花衣様は良いんですか? 』

 

「これだけあるんだからひとつぐらい余るさ 」

 

皆はお言葉に甘え、皆はマドレーヌをひとつずつ取った。皿の上のマドレーヌはどんどん無くなっていき、ひとつ余ると思ったら皿の上にあったマドレーヌは消えてしまった。

 

「あ、丁度無くなったか。皆は気にせず食べていい」

 

『花衣様、私の分と半分こしましょう 』

 

『あ、私の分もどうぞ! 』

 

『旦那様、私の分をどうぞ 』

 

『私の分も! 』

 

なんと六花達と閃刀姫全員がマドレーヌを半分に割り、俺に差し出してきた。

 

「い、いや俺は別に…… 」

 

『ダメですよ。男性はちゃんと食べないと! 』

 

ヘレボラスがこう言っており、他の者もそうだそうだと言うように首を大きく縦に振った。

 

「でも菓子だしそんなエネルギーには…… 」

 

「いや、菓子……というか糖分は相当なエネルギーになるぞ。これは食べた方がいいんじゃないか? 」

 

「あんた何言ってんだ!?!? 」

 

まさかの所からフォロー……というか俺にとって死角からの狙撃が入ってしまい、俺は逃げ場を失った。

 

「さて、俺は邪魔のようだから失礼するよ。……あ、ここは防音だけど、みだらな行為はダメだぞ?そういうのは自分の家か然るべきところでやってくれ 」

 

そんな爆弾発言を残しながら星空は笑ってこの部屋から出てしまった。

密室に男1人に女複数……何も起きない筈が無く……

 

『花衣様? 』

 

『花衣さん〜? 』

 

「……せめてもう半分でお願いします 」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……やれやれ、モテる男も辛いものだね 」

 

方向性がどうであれ、彼女達は花衣君の事を愛している。それがひしひしとこちらまで伝わったのだから甘酸っぱいちゃありゃしない。さて、天音の所に戻らなければ……と思ったが、どうやらここにお邪魔さんがいるようだ。

 

「おい、そこは今お楽しみ中……なのかな?とにかく、使用中の部屋に聞き耳たてるのは良くないな 」

 

俺の背後に恐らく壁際にいた者と同じ人が花衣君のいる部屋の壁に密着していた。恐らくは聞き耳を立てようとしていたのだろう。だが、この個室は完全防音……外からも内側も互いの音は拾えない筈だ。何故そんな無意味な事を……?

 

「いや、とにかく君が花衣君の事を監視しているという訳か。理由を聞かせてもらうために、強行するぞ。"フォトン・スラッシャー"!! 」

 

デッキから"フォトン・スラッシャー"を取り出すと同時に"フォトン・スラッシャー"を実体化させた。

"フォトン・スラッシャー"は謎の女に向かって突撃したが、謎の女は何か杖のような物を取り出すと、背後から何か淡い緑色の光に包まれながら"フォトン・スラッシャー"に襲いかかった。

 

"フォトン・スラッシャー"は剣でその何かを切り続けたが、洪水のように押し寄せる物量に為す術なく胴体を貫かれ、粒子となって消えてしまった。

 

「"フォトン・スラッシャー"!! 」

 

死んだのかと思ったが、カードの絵柄は消えていない。恐らく一時的にこの世界に留まる力を失ったのだろう。

謎の女は脅威を消し去るとそのまま奥の影に溶けるように消えてしまった。

 

「くそっ!!逃げられたか…… 」

 

だが収穫はあった。俺は"フォトン・スラッシャー"が斬った何かを取り上げ、それが何かを調べた。

 

「手触り的に……これは布か?そして杖を使うという事は……あいつは魔法使い族のモンスターか 」

 

これなら大分絞れる筈だ。顔も特徴も確認できなかったが、"フォトン・スラッシャー"のおかげで候補は上がった。

"フォトン・スラッシャー"に感謝しながら、俺は天音の所へと戻った。

 

(……仮に精霊が見える者が監視対象だとしたら……天音も危険にさらされる可能性だってある。それだけは絶対させない……! )

 

最愛の妹を守るため、俺は長い廊下を走った。

 

ここまで(〜90話)出てきたレゾンカードの中で強いと思うのは?

  • 六花聖華ティアドロップ、カイリ
  • 閃刀騎-カイムと閃刀騎-ラグナロク
  • 銀河心眼の光子竜
  • RRRリノベイルイグニッションファルコン
  • 炎転生遺物-不知火の太刀
  • 常闇の颶風
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。