六花テーマを作って愛用したらそのまま俺への愛が重くなった件について 作:白だし茶漬け
いきなりですが、少しこの小説に置きまして書き方を変えようと思います。
主にカード名ですね。今までは"カード名"←このようにしたのですが、今回から【カード名】のようにしたいと思います。
つまり、
"六花聖ティアドロップ"から【六花聖ティアドロップ】になるということですね。
それともうひとつ……【銀河心眼の光子竜】の効果を少し修正しました。
と言っても微調整ですね。内容は以下の通りです。
(1)1ターンに1度、このモンスターが相手モンスターと戦闘を行うバトルステップに発動できる。その相手モンスターを対象に除外し、除外したモンスターの攻撃力の半分アップし、除外したモンスターの種類によって以下の効果を得る。
通常・儀式モンスター:バトルフェイズ終了時、このカードの攻撃力の半分のダメージを相手に与える。
融合:対象のモンスターの融合素材の数だけフィールドの魔法・罠カードを選び、破壊出来る。
シンクロ:対象の素材となったチューナーモンスターの数だけ相手フィールドのモンスターを選び、破壊出来る。
エクシーズ:対象の除外した時のエクシーズ素材の数だけ追加攻撃が出来る。
主に変わったのは除外したモンスターはエンドフェイズ時まで除外にしたのと、融合とシンクロに対しての効果ですね。
癒しを求めて
誰かの鳴き声が聞こえる。
誰かの叫び声が聞こえる。
誰かの悲しい声が聞こえる。
誰かの絶望した声が聞こえる。
耳を塞いでも目を閉じてもその声と主が見てる景色がはっきりと見え、ただそれを見る毎日だった。
今日もどこかで人は人を恨み、人は何処かで嘆く。
滑稽であり、不可解でもある。何故人は憎しみ合い、奪い合い、騙し合い、拒絶するのか。しかしこちらからするとこれまた愉快なのだ。
分からないからこそ、不可解からこそ、今日もどこかで人と人との悪意のぶつけ合いという演劇は面白いのだろう。
「やはり人は……いや、この世に生きる命そのものは……闇が無ければ生きていけないのだな 」
「……また変な夢を見た 」
こう毎日毎日夢を見ると慣れてしまい、俺は特に気分も害せず目覚めた。体を起こし、部屋の窓を開けて朝日の光を体全体に浴びて体内時計をリセットし、大きな欠伸を1つのあげる。
「……あれ、そういえば今日隣には誰もいないんだな 」
いつもは隣に六花の誰かがいるはずなのに、今回はいなかった。珍しい事もあるものだと思いながら自室から出ていき、階段をおりて1階に向かう。
階段を一段一段降りる度、油を引いたフライパンで何かを焼いている音と、焼きたてのパンの匂いが玄関からでも届いていた。リビングのドアを開けると、テーブルの上には朝食であろうパンが入ったバスケットとミルクが入ったコップが置かれ、キッチンには白金の長髪を靡かせた女性が立っていた。
「あらおはよう花衣。貴方パンの時目玉焼きの黄身は固めで良いわよね? 」
「うん……いつもありがとうティアドロップ 」
そう言って、俺はいつも通り彼女にお礼の言葉を言いながら席に座ると、キッチンにいた女性の動きが止まり、驚いたような顔でこちらを見ていた。
「……ん?ねぇ、ティアドロップって誰の事? 」
「…………あ 」
いつもはティアドロップ達が朝食を作ってくれてるからついその癖でティアドロップの名前が出てきてしまったと分かった瞬間、俺は自身の誤ちに気づき、完全に意識が覚醒した。覚醒したと共に全身から汗がとめどなく溢れ、ぎこちない動きでキッチンにいる女性……俺の義理の母である【桜雪才華】が、フライパンとフライ返しを持ち、細目でじっと俺を見つめた。
「花衣〜?私がいない間に女の人連れ込んだりしてるでしょ〜? 」
母さんがニヤニヤと笑いながら俺に顔を近づけ、俺は慌ててそれを否定する。
「え!?い、いやいや!俺がそんな事する訳無いじゃないか〜!あはは 」
「へぇ……じゃあ妙に冷蔵庫に食材が多かったり、洗濯物が丁寧に畳まれていたり、しかもなーんか部屋が片付いているのは何故かしら? 」
「そ、それは…… 」
母さんが言ったことは全部六花がいたという裏付けがされる痕跡ばかりだった。冷蔵庫の食材は俺がスーパーに行って霊体状態の六花と買い物に行っていたし、洗濯物に至ってはヘレボラス辺りがやり、掃除とかも丁寧にやっていた。俺自身そこまで料理とか家事とかあまりしないし、家事とかするようになったと言っても多分信用してくれない。
でもかといって上手い言い訳が出来ず、俺はそのまま無言を貫いた。
「……ま、言いたくないならそれも良いわ。ベーコンエッグがもうすぐ出来るから待っててね 」
母さんはそのまま笑ってキッチンに向かい、フライパンでベーコンエッグを焼いた。
多分、いや確実に俺が女の人を家に連れ込んで挙句の果てには家事やら身の回りをお世話されていると認識しているだろう。
事実が事実であって何も言い返せないし、なんかよくよく考えてみればヒモっぽいな俺。バイトでも探そうかな……
そんなことを考えながら、まだ朝食は出来てないので机にあったリモコンを操作し、テレビの電源を付ける。
テレビの起動音が鳴り、日曜日の朝でもニュースはやっていた。顔ぶれの変わらないニュース番組をぼんやり見つめ、スポーツ関連の報道が終わると、次はデュエル関連の事が報道された。
『さて、続いては今最も勢いのある遊戯王について!今や世界を巻き込んだ社会現象を起こしたカードゲームですが、その中で最も注目されているカードがあります。それがこちら【レゾンカード】という物です 』
テレビの中のスタジオのモニターの画面が切り替わり、画面にはレゾンカードである【六花聖華ティアドロップ】、【閃刀騎-ラグナロク】、【銀河心眼の光子竜】の3枚が映し出された。
『昨晩、咲初コーポレーションの代表取締役社長である咲初薫子さんが主催した【ロマンス・タッグ・デュエル】の最中、存在が確認されたカードです。見た事ないカードではありますが、デュエルディスクが認識した事から、公式元である【レゾン】が認めているカードでもあります 』
『ほう、つまりたった1枚のカードという事でしょうか?しかし、それは特定の人に優遇されている事から批判的な意見も多いのでは?』
『ネットでの意見を見る限りでは、肯定派と否定派は一定数おり、【レゾン】側からの声明を明らかにして欲しいとの声もありますね 』
そりゃあそうだ。いきなり自分達の知らないカードが出てきて、それが公式デュエルでも使えて更には自分だけのたった1枚のカードですよと言われても納得は行かないだろう。俺も逆の立場だったら疑問を持つし、それを持っているものを羨ましく思う。
だが、実際のところは違う。星空さんが使っていた【銀河心眼の光子竜】と【星雲の集い】は確か、レゾンから渡されたものであると彼自身が言っていたが、俺の場合は違う。
モンスター達の世界に行き、そこで生み出されのが【六花聖華ティアドロップ】と【六花の誓い】だ。
あと、例外が1つあるのが【六花の返り咲き】だ。このカードだけはこの世界で突然生まれ、問題なく使用出来た物だ。何度も救われたカードではあるが、未だに謎の多いカードだ。
『レゾンカードを持っている人は確か2人ですよね?何か人選理由とかあるのでしょうか? 』
『それにつきましては、現在取材会見を行っているとの事です。詳細は後日……との事です 』
ま、そりゃあ昨日いきなり出てきたカードだし、公式が会見に手間取るのも当然だろう。
いや、と言うよりかはそのカードがありますよと公式が何故言わなかったのかも謎なんだが。
それにしても……レゾンか。これに関しても謎がある。皆はこの遊戯王デュエルモンスターズを管理しているのはレゾンだと言うが、俺がいた……いや、この世界が変わる前はもっと別の会社だった筈だ。
いきなり現れては俺が生み出したカードをレゾンカードだと言うわ、レゾンカード以上の謎が多い会社だ。
ネットで調べた感じだと似たような内容しか出てこないし、こっちもこっちで探りを入れるべきなんだけど……今のところは手段が無い。せめて何かツテがあれば行けそうなんだけど……
「あら、朝からニュース?貴方ニュースなんか見たっけ? 」
「いや、たまたま見た感じだよ 」
母さんが両手にそれぞれベーコンエッグが乗せられた皿を持ち、黄身が固めの方を俺に持ってきてくれた。
ベーコンは程よい焼き目がつき、目玉焼きも綺麗に焼きあがっている。
「いただきまーす 」
久しぶりに母さんの朝食はやはり格別だった。昨日のカレーもそうだが、やはり母の手料理というのは、どこか安心感がある。
「美味しい? 」
「うん、やっぱり久しぶりの母さんの手料理は美味しいよ 」
「もう、昨日私のカレーを食べたばかりでしょ 」
そう言いながらも嬉しそうに母さんは頬杖をしながら笑って俺の食べる姿をじっと見ていた。母さんの視線がじっとこっちに刺さり、気になるせいでご飯が喉を通らない。
「な、何? 」
「いえ、見ないうちに結構大きくなったんだなって 」
「まぁ、もう俺17だしね 」
「そう、もう17歳なのね…… 」
子供の速い成長に母さんはどう思ったのか、また俺の事をじっと見つめた。俺の顔に何かついているのかと思い、俺は自分の顔を触ったが別にどこも何も付いてはいなかった。
「うふふ、違う違う。私が見ないうちにどんどん大きくなってるから、私……ちゃんと母親をしてるのかなって 」
笑ってはいたが、母さんはどこか悲しそうで、俺に申し訳なさそうに目を逸らした。
確かに、17年生きている訳だが、実際母さんと過ごしたい日数は10年と満たない。小さい頃は母さんが呼んだヘルパーさんと過ごしたし、中学になってからほとんど1人で過ごし、母さんとは年末ぐらいしか会ってはいない。
「……ねぇ花衣、私……貴方の母親を全うしているのかしら 」
珍しく母さんがそんな弱々しい声でそんな事を行ってきた。
……確かに、どんな仕事をしているのか聞いても答えてくれないし、一緒には行けないしで小さい頃はかなりの不満があったことを覚えている。
小学校の頃の授業参観で周りのクラスメイトの親が来る中、「勉強頑張ったね」って聞こえてくる会話を俺は1人で座って聞いていた。体育大会の時でも周りが親と一緒に昼飯を食べる中、俺は近所の人の集まりに入り、どこか寂しさと疎外感を感じながら弁当を食べていた。
どうしてお母さんはここにいなんだろうと何度も何度も思った事もある。不満をぶつけた事もある。
だけど、それでもこの人は俺の事を気にかけてくれている。血は繋がってなくて、知り合いの子だからと赤ん坊の俺を引き取って、今はこうして美味しいご飯を作ったり、帰ってくる時には普通の家庭以上の幸せを与えてくれてる。全うしているかとか、そんなのはどうでもいい血の繋がりとか無くても、この人こそが俺の母親なのだから。
「俺はいつまでも母さんの子だよ 」
まるで漫画の一コマのような言葉を恥ずかしながら口に出すと、母さんは驚いたように顔を上げて、安心したかのように笑った。
「あり……がとうね、こんな私でも母さんって言ってくれて 」
「……うん 」
何か少し変にこそばゆい気持ちになり、その気持ちから振り切ろうと俺はパンを頬張り、ベーコンエッグの黄身をフォークで刺してそのまま一口で口に放り込み、コップに入ったミルクで全て胃の中に流し込んだ。僅か数分で朝食を完食させ、満腹感で腹が満たされて行った。
「ふぅ、ご馳走様 」
「お粗末さまでした。そうだ、この後用事とかある? 」
「ん?いや、特にはないけど 」
「じゃあ……せっかくの日曜日だし、どこかに遊びに行かない? 」
「良いけど……どこに行くの? 」
「ここに帰ってきたら寄りたい所があったの 」
この後出かけると言って、母さんから準備をしていてと言われ、俺は服を着替え、荷物をまとめた。
服はシャツと薄生地の上着を羽織り、黒色のズボンを履く。この服は母さんから貰ったもので、知り合いの自作らしい。着心地が良く、体に良くフィットし、ズボンに至ってはかなり軽く動かしやすい。これがもし店で売られているのだとしたら、相当な値段をしているに違いない。
荷物は小さいな肩掛け鞄に携帯と充電機、これぐらいでいいだろうと考えていると、俺は机にあるデッキケースにふと目に入る。
「そういえば、ティアドロップ達は出てこないけどどうしたんだろ 」
「ここにいますよ? 」
「うぉわぁ!?びっくりしたぁ!! 」
後ろからティアドロップが突然表れ、俺は体を飛び上がらせた。そんなオーバーリアクション気味の俺をティアドロップはクスリと笑った。
「すみません、家族の時間を邪魔しては悪いと思って、姿は表さずにいました 」
「そうだったのか…… 」
通りで朝から姿を表さない筈だ。だけど居なくなっては無かったようなので少し安心した。
「まぁ……いずれお義母様には挨拶をしておくべきだと考えてますが 」
「待って、なんか字面おかしくない?俺達そんな関係じゃないよね? 」
「いずれそうなります 」
ティアドロップの目が本気だった。仮にもしティアドロップが実体化して母さんに会えば確実に外堀埋められる事が容易に想像できた。
「ところで花衣様?どうして私を連れていかないのですか? 」
「え?いやだってデュエルとかするつもりは無いし…… 」
「私のこと置いていくんですか……? 」
「うぐっ…… 」
ティアドロップが上目遣いで瞳に涙を溢れさせ、まるで捨てられた子犬のような態度でじっと俺の目を見つめた。涙で潤っている悲しげな目を見ると罪悪感という心へのダイレクトアタックをモロに受けてしまい、胸が非常に痛くなる。
そして、そんなダイレクトアタックを仕掛けてきたのはティアドロップだけでは無かった。
「旦那様、どうか私もお供を…… 」
「花衣君〜!私も連れてってよ〜! 」
ティアドロップの後ろからカンザシとストレナエが登場し、ティアドロップと同じように涙を溢れさせていた。ティアドロップは左に、カンザシは右、そしてストレナエは身長差的に俺の腰に抱きつき、俺の顔を見上げていた。
三方向からの眼差しに俺のライフは減り続け、それでも悩み続けていると六花精達も出てきた。
「花衣さん……お邪魔は致しませんので貴方の隣に居させてください…… 」
「花衣君お願〜い!花衣君の傍から離れたくないの! 」
ヘレボラスとスノードロップもティアドロップと同じ方向から抱きつき、左腕の方には6つの柔らかい物で支配されてしまう。
「あらあら、まさか私だけを置いていくことなんてしませんよね? 」
「私も花衣君とお出かけしたいのネ〜! 」
エリカとボタンまでも俺の右腕にしがみつくように抱きつき、最早逃げられない所か拘束されてるようになってしまった。そして、極めつけに足までも何か掴まれているような感覚が走り、足の方に視線を向けると、これまたやはり、プリムとシクランがストレナエと一緒に俺の腰に抱きついていた。
「私もお出かけしたいよ〜!遊びたい〜! 」
「わ、私も……一緒に行きたいな……で、でも!お母さんとの邪魔はしないから!だから……お願い 」
プリムは頬を膨らませてそう言ったが、シクランに至っては本気で泣きそうな目で連れていかないとどうなってしまうのか分からない程だ。
そう言えばひとひらの姿が見えないなと思い、ひとひらを探すが、なんか妙に頭の上に何か乗っかってるような少し重く、何なら気づいてと言わんばかりにぺちぺちと頭を叩かれているような気がする。
「……ひとひら、まさか俺の頭の上にいるのか? 」
正解というのに俺の頭の上からひとひらが登場し、自慢の白い花の傘を開いて宙に浮くと、俺の目の前に制止し、宝石のようなつぶらな瞳で無言でじっと見つめてきた。
「……お前も行きたいって言ってるのか? 」
ひとひらは激しく頷き、こうなってはしまっては連れていかない訳には行かなくなった。
「花衣様、私達は心配なのです。また監視者に襲われ、貴方がいなくなってしまうことが何よりも怖いのです 」
ティアドロップが俺の服の裾を強く掴み、真剣な眼差しになった。多分、それが本当の目的なのだろう。
昨日のロマンス・タッグ・デュエルの時、俺は謎の人から拉致されかけたところ、レイとロゼのおかげで何とか俺は連れ去られずにはいたけど、六花達はレイ達のようには動けず、カードが近くに無いと自由に動けない。
だから、あの時助けられなかったことを酷く後悔し、こうして連れて行ってと言っているんだろう。
確かに考えてみれば、身を守る為には六花達の力が必要だ。
俺のような普通の人間が、モンスターであろう監視者に対抗出来る訳も無い。でも、もしも六花達に何かあるような事があれば……それを考えるだけでも恐ろしい物だ。
「お願いします。花衣様、出なければ私達は貴方を絶対に離しません 」
無意識なのか、六花達の抱く力が強まり、目から嘘の涙も無くなり力強い目になった。
結局、俺はその目に負けて降参するように息を吐いた。
「……分かった。分かったから離してくれ 」
「……!ありがとうございます!花衣様!! 」
「わーい!ありがとう花衣君〜!! 」
感謝の言葉と共に六花達は笑顔で抱く力を強めたが、その瞬間、俺の体は悲鳴をあげた。当然だ。9方向からそんな全力で抱きつかれては体も圧迫されて最悪骨が折れるわぁぁぁ!
「ぎゃぁぁぁぁあ!!皆ストップストップ!!とりあえず離れてぇぇぇ!!! 」
六花達は我に返って俺から離れ、圧迫されて笑うように震えている体を何とか動かし、デッキケースのある机まで移動し、椅子に座る。
デッキケースの蓋を空け、ロマンス・タッグ・デュエルで使ったこの六花閃刀姫デッキを編集した。
「あれ?花衣君デッキ変えるの? 」
「まだ時間はあるしね。それに……ちょっと抜きたいカードがあって 」
そのカードがこれ、【暗黒世界ーシャドウ・ディストピア】と【超融合】だ。このカードを使うどころか、手札にあるだけで自分が自分で無くなるような感覚に陥ることが何度もあった。
胸も槍で突き刺されたように激しく痛み、頭も締め付けられるように痛くなり、まるでカードに支配されるような感じだった。その時からこのカードに恐怖感を覚え、使うどころかこうして手に持つ事だって恐れてしまう。
今は何ともないが、デュエル中にまたこのカード達が加えられたら……またあの感覚に襲われて俺は正気ではいられないかもしれない。そうなる前に俺はこのカードをデッキから抜く。
「一体何なんだろうな……このカードは 」
「ですが花衣さん、それらのカードを抜いてしまっては、使えないカードも存在するのでは……? 」
ヘレボラスの言う通り、この2枚が無くなると使えないカードも多数存在する。例えば……【スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン】がそうだ。闇属性もいなくなり、融合カードも抜けばこのカードは出せない。
この際だ、この六花閃刀姫デッキをそれぞれ【六花】、【閃刀姫】に分けよう。
丁度カードならロマンス・タッグ・デュエルに参加する前に、店長さんから貰ったカードもある。
俺は母さんと出かける時間までデッキの構築を始めた。
_数分後
「花衣〜そろそろ出かけるわよ〜! 」
1階から母さんの声が聞こえ、俺は大きな声で返事をしながら2つのデッキケースを鞄の中に入れ、急いで部屋から出ていった。
階段を降りて玄関にたどり着くと、既に私服姿の母さんが待っていた。白を基調とした服の上に緑のカーディガンを着こなし、ベージュのスボンが母さんのスラリと細い足を強調させていた。
「あら、貴方その服……確か私が昔にあげたやつだっけ? 」
「そうそう、これ本当に凄いね。デザインと機能性を両立させてるし、どんな人なの? 」
「ふふ、ちょっと裁縫が得意な人が知り合いにいるのよ。それじゃ行きましょう 」
靴を履き、家の扉を開けて外に出ると、夏らしい激しい陽射しが地面を焼き、地面からの熱気が更に気温をあげていた。
「ひゃー!暑いわね〜車はもうクーラー効いてるから早く行きましょう 」
どうやら予め車にエンジンをつけており、クーラーもつけているようだった。流石母さん、仕事が早い。
俺も暑さから逃れるように車の中に入ると、ひんやりと涼しい空気が流れ、灼熱の地獄から涼しい天国へと変わった。
「ふぅ〜涼しい〜 」
「本当ね〜じゃ、出発するわよ 」
後部座席でもシートベルトをしっかりと締め、母さんはゆっくりとアクセルを踏み、それに応じて車もゆっくりとタイヤを回転させて前進した。
「ところで母さん、出掛けるってどこに行くの? 」
「【メルフィーパーク】って言うふれあい動物園よ。日本に帰ったらそこに行ってみたいって思ってたのよ〜! 」
【メルフィーパーク】……確か新しく出来たふれあい動物園の事だ。兎や猫と言った小動物系の動物に触れ合うことは勿論、虎やヒョウ等も安全に触れ合える事から、子供から大人問わずかなりの人気があると評判が良い。
「最近仕事が忙しくてね……癒しが欲しいのよ……癒しが…… 」
母さんから不穏なオーラが溢れ出し、仕事場で相当苦労してそうな感じだった。なんかブツブツと愚痴を述べてはやれ人手が少ないとか最近何かと頼まれる事が多いとか不満をばらまいており、俺は関与せずそっと後部座席の隅っこに縮こまった。
しかしメルフィーね……確かそんなテーマのカードがあったような気がする。試しに携帯で調べてみると、やはり出てきた。可愛らしい小動物にメルヘンチックなタッチで描かれたモンスター達の姿は見る者の心をほのぼのとさせるような気持ちになる。
特にこの【メルフィーラビィ】というモンスターがこの先行く【メルフィーパーク】に紛れ込んだとしても、あながち気づかないでは無いだろうか。まぁ普通の人にはモンスターは見えないけど。
『……可愛いですね、そのモンスター達 』
母さんに姿を見せないように霊体化でティアドロップは表れ、どこか不機嫌そうに頬を膨らませて携帯に映っているメルフィー達をじっと見つめた。
不機嫌そうな理由は大体察しがつくけど、相手動物だよ……?流石に見境無いかとは思ったその時、まるで動物がマーキングするかのように俺の体に寄り添い、頬を擦り寄ってきた。
「お、おいティアドロップ……!ここ母さんいるから……! 」
母さんに聞こえないように小さな声とそのままの姿勢でティアドロップに止めるようにと言ったが、ティアドロップは止めなかった。
『……嫌ですにゃー。花衣様が他のメスに浮気するからマーキングするにゃー…… 』
「ん゛ん゛!?」
まさかの語尾に「にゃー」をつけて俺の膝を頭に乗せた。表面上は平静を装っているが、内心かなり動揺している。
ティアドロップがやらないであろう行動と語尾のギャップの破壊力がとんでもなく、頭の中で素数を数えて俺の中の何かを落ち着かせた。
(……それにしてもメルフィーね……まさかねぇ )
たまたま名前が同じなだけでそんなメルフィーモンスターがいる訳が無いと考え、膝に乗っている大きくて嫉妬深くて可愛い猫を乗せながら、俺は車の窓から流れる風景を眺めた。
ここまで(〜90話)出てきたレゾンカードの中で強いと思うのは?
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六花聖華ティアドロップ、カイリ
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閃刀騎-カイムと閃刀騎-ラグナロク
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銀河心眼の光子竜
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RRRリノベイルイグニッションファルコン
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炎転生遺物-不知火の太刀
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常闇の颶風