六花テーマを作って愛用したらそのまま俺への愛が重くなった件について   作:白だし茶漬け

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こんにちは、閃刀姫新規来たかと思いつつカード見てみたらなんかここのオリカである【閃刀騎】と割かし相性よくね?と思った白だし茶漬けです。

最近私とある人とADSやってるんですが、ダークロウが嫌いなりそうでした。あいつのせいで私のひとひら墓地に行かず除外されてしまいます。泣きそう


ようこそ、動物達の楽園へ

車は見た事ない街へと走り、そのまた人里少ない山へと登る。 山と言っても道路の整備が通っており、土砂崩れも起きないように壁の斜面には硬い網のようなものがはられて設備も生き通っていた。

 

夏の日差しで若葉の緑が輝く山道に、大きな看板が見えた。看板の名前には【メルフィーパーク】と書かれており、ここまでの距離が書かれていた。

 

1キロ程道なりに進むと、近くに広大な駐車場が目に入り、その向こうには自然と人工施設が共存していた場所、目的の【メルフィーパーク】があった。

 

「へぇ……こうして見るとすごく大きいな…… 」

 

思ったよりの3、4倍の広さがあり、大自然の草原が半分、残りは動物園のような造りになっており、改めて見るととんでもない規模の所だ。さそがし時間と労力と金が動いているのだろう。

 

「さて、着いたわ。ん〜日曜日だから少し混んでるわね 」

 

確かに駐車場には車がぎっしりと停まっており、空いてる所が探すのに骨が折れそうだった。空いてる所と言えば、パークの入口からかなり遠い奥の方にしか無い。時間も昼前ぐらいだからこのタイミングで車が抜ける事は無いだらうから、あそこに停めるしかないだろう。

 

「仕方ないわね……花衣、ちょっと入口まで遠くなるけど大丈夫? 」

 

「俺は大丈夫だよ。気にしないで 」

 

「じゃ、向こうに止めるわね 」

 

駐車場の入口で機械から出された駐車券を受け取り、車は駐車場の奥へと進む。遠目から見て空いている場所まで移動し、母さんは器用なドライビングですんなりと駐車をやってのけた。

 

車のエンジンを止めた後、ドアを開けて外に出て、長時間座っていた体をうんと伸ばした。

 

「ん〜!さて、じゃあ行きましょか花衣。モフモフで可愛い動物達が待っているわ! 」

 

「随分と張り切ってるね母さん…… 」

 

それ程仕事のストレスが溜まっていたんだろうか。……何とかしたい気もするけど、どうすれば良いんだろう。

 

「ん?どうしたの花衣? 」

 

「あ、いや……何でもない 」

 

まぁ……今は母さんの好きなようにやらせるのが母さんのストレス解消にはなるだろう。車が多い駐車場を歩き、俺たちは施設入口にある受付場へと足を運んだ。

 

「いらっしゃませ!ようこそメルフィーパークへ!2名様でよろしいでしょうか? 」

 

「はい、大人2枚のチケットを…… 」

 

「今ならカップルチケットがござまいして、そちらの方がお安くなっておりますが…… 」

 

「カップル……? 」

 

多分この受付の人は俺と母さんの事を付き合っているカップルだと間違って思っているだろう。確かに俺の方が若干ながら身長があるし、血は繋がってないから顔は似ておらず、母さん自身も年に似合わず随分と若い顔立ちだ。傍から見ればカップルって間違われても仕方がない部分もあるにはあるが、まさか間違われるとは思わず、母さんと目を合わせて笑ってしまい、受付の人は困惑した。

 

「あ、ごめんなさい。この子、私の息子なんです 」

 

「あ……息子さんでしたか!申し訳ございません!すみません私てっきり…… 」

 

「この子には付き合っている子がいるらしくて…… 」

 

「いやいないからね!? 」

 

「御家族でしたらこのファミリーチケットが有効でして…… 」

 

そんな談笑を交わしながら、母さんはそのファミリーチケットを購入し、受付の女性からパンフレットを貰うといよいよ【メルフィーパーク】の中へと入る。

 

パーク内は流石日曜日と言わんばかりの人だかりであり、皆動物に触れ合っていた。

 

パンフレットで現在地を確認するとここはどうやら小動物エリアのようだ。兎は勿論、犬や猫、ハムスター、そして珍しい動物であるフェネック等もおり、希少動物とも触れ合えるらしい。

 

(凄いなここ、最早1つの愛護団体見たいな物じゃないか )

 

土地、施設、環境、全てが整っているここだからこそ成り立っているからこそ、この触れ合いパークが人気の1つなのだろう。

関心する様に周りを見ると、広場の木陰の向こうに何かの視界に入った。桃色でピンクの毛皮?の様な物をじっと見つめ、桃色の毛玉は俺の視線に気づいたのか木の向こうに隠れてしまう。

 

「……なんだあれ? 」

 

「どうしたの花衣?そんな所でぼうっと立って…… 」

 

「あぁいや、何でもないよ 」

 

今のは何だったのだろうか……逃げ出してきた動物?いやピンクの毛皮の動物なんていただろうか。

 

……そう言えば、【メルフィー・ラビット】は確かピンクの毛皮をしていたような気がするけど。

 

「いやいやまさかな…… 」

 

有り得ないと呟きながら、俺は母さんと一緒にまずはこの小動物エリアを歩いた。

 

どれにしようか迷った末、母さんが選んだのは犬がいるエリアだった。大型犬から小型犬は勿論、ペットショップ等では見た事ない珍しい犬までいた。元気よく走り回る犬もいれば、向こうの広場でぐっすりと寝ている大人しい犬もいた。

 

エリアに入るとその担当の人にビーフジャーキーを何本か貰い、是非とも犬に食べさせて欲しいとの事だ。

 

広々としたその中で母さんが目に付けたのは小さくてまん丸とした犬……ポメラニアンだった。

 

「こっちおいで〜 」

 

「ワンっ! 」

 

母さんは膝を曲げて目の前のポメラニアンを呼ぶと、ポメラニアンは真っ直ぐ母さんの方に飛びつくように走った。ポメラニアンは母さんの手を体全体を使って擦り寄り、その後体をゴロンと寝かしてお腹を見せる。服従のポーズをとった。

 

「ふぅ……ポメちゃんはやっぱり可愛いわね。ほら花衣、こんなに小さくてモフモフよ 」

 

母さんは白くて小さなポメラニアンを優しく抱いて俺に渡してきた。まるで大きなタンポポの綿毛ような柔らかな毛皮と暖かさを持ちながら、くりんとした円な黒目がとても愛らしかった。

 

ゆっくりとポメラニアンの頭を撫でると、嬉しそうに尻尾を激しく振って気持ちよさそうにしていた。

 

「おぉ…… 」

 

家に動物を飼っていないから動物に触るのはとても新鮮だった。ポメラニアンは満足したのか俺から離れ、そのままぐるぐると同じ場所を周り、また他の場所に行ってしまった。

 

「あっ…… 」

 

離れてしまった事に少し寂しさを感じてしまい、俺は何とも言えない気分になった。いやいや、まだ他に犬はいるんだ。どんどん触れ合っていこう。

 

……現に母さんめっちゃくちゃ犬と触れ合ってるし。

 

「あらあら、何で皆私に寄り付くのかしら〜。あ、こーら!私の手を舐めないの 」

 

母さんの周りには沢山の犬が囲むように集まっており、大型犬、小型犬関わらず見事に母さんの言う事に従っていた。いや凄いな母さん……

 

『まぁ、旦那様のお義母様は随分と人気者ですね。犬は落ち着いた人が好みだと聞きますが…… 』

 

「母さんは普段から落ち着いているしね。焦った所なんて見たことないかな……というより、やっぱり皆母さんの字面おかしくない?気のせい 」

 

『気の所為です 』

 

霊体化で出てきたカンザシが笑いながらそう言ったが、明らかに目が本気だった。目を閉じてるはずなのに燃えたぎる意志のような物を感じた。

 

「そ、そう言えば……ティアドロップ達は? 」

 

『ティアドロップさん達は犬が苦手な物で、なので私が出てきました 』

 

「え、ティアドロップ犬苦手なの? 」

 

『はい、私やエリカ、ボタンは犬派ですが、ティアドロップさん、スノードロップさん、ヘレボラスさんはどちらかと言えば猫派ですね 』

 

「ストレナエとプリムとシクラン……あとひとひらは? 」

 

「あの子達はどっちも好きなタイプですね。ひとひらは……あまりの小ささで獣族によく食べられそうになるので、いつも貴方の頭の上にいるんですよ。今だって貴方の頭の上にいますよ? 」

 

「嘘っ!? 」

 

そっと頭の上に人差し指を置くと、人肌のような感触が指先から感じられ、確かにひとひらがいた。

犬に対して震えているようであり、俺の髪の毛を掴んでは離さず、ひとひらの震えが俺の髪の毛を通して振動していた。

 

「そんなに怖いならでなければ良いのに…… 」

 

『貴方のことを守りたいのですよ 』

「……そっか 」

 

ひとひらも小さいなりに俺を監視者から守ろうとしているだな。いやひとひらだけじゃない。目の前にいるカンザシも、六花達も全員……

 

「……無理はするなよ 」

 

『いいえ、無理を通して旦那様を守ります 』

 

「……俺はそんなこと望んでn 」

 

「ワンっ!! 」

 

カンザシに強く物を言おうとしたが、1匹の柴犬によって俺の言葉は遮れられた。

 

柴犬の体はとても小さく、よく見る明るい茶色の毛皮と腹側の毛が白く、尻尾は先が丸く曲がり、舌を出して尻尾を激しく左右に振っており、まるで構ってくれるのを待っているかのようだった。

 

しかし、肝心のこの柴犬が見ている先は俺ではなく、カンザシの方を見ているような気がしてならない。

現に柴犬はカンザシの前に立ち、何度も何度も吠えては構ってくれるのを待つようにストンと腰を落としていた。

 

「……え、まさかこの犬、カンザシの事が見えてるのか? 」

 

『これは……犬や猫の動物は幽霊など見えると聞きますが、まさか私達精霊まで見えるとは…… 』

 

カンザシが試しに手のひらを柴犬に近づけようとすると、柴犬は反応してカンザシの手の匂いを嗅ごうとした。しかし今のカンザシは霊体化中だ。いくら姿が見えても触れることが出来ず、柴犬の頭はカンザシの手を通り過ぎた。

 

自分の頭が貫通した事に驚いた柴犬はカンザシの手を何度も何度も触れようとするが虚しく貫通した。

 

『あらあら、今の私には触れられませんよ。残念ですね…… 』

 

「くぅーん…… 」

 

柴犬は悲しそうに尻尾を地面に置き、カンザシも申し訳なさそうな表情を浮かべながら柴犬に手を伸ばし、触れられないながらも頭を撫でた。

それを見た俺は何か違和感を覚え、ダメもとでカンザシに問いかけた。

 

「カンザシ、もしかして犬と触れ合いたいのか? 」

 

『なっ……ど、どうしてそれを!? 』

 

反応からしてやはり図星のようだ。滅多に見せないカンザシの焦った表情は顔を赤くさせながら目をぐるぐるさせていて。中々珍しいものを見せてもらったと得したと思いながら、俺はどうしてカンザシの考えが分かったのかを答えた。

 

「なんか、寂しそうだったのと触れたいように頭を撫でてたから 」

 

『……やはり旦那様には敵いませんね。ですが、ここは人目につきすぎてます。いくら殆どの人が私達の姿が見えないとはいえ、流石に実体化すれば他の人の目に映ってしまいます 』

 

「あ……そうか…… 」

 

確かに、いくら普通の人に姿が見えなくても実体化すれば話は別だ。カンザシの様に目立つ着物を着ていれば、それこそ他の人はカンザシの方に釘付けになるだろう。

 

そうなれば母さんにもカンザシの姿が見られてしまい、後々面倒な事にはなる。どうしたものか……

 

『旦那様、もし良ければ、私の右手を隠すように立ち回ってはくれませんか? 』

 

「右手を?ええと……こうでいいかな…… 」

 

俺はカンザシの隣で膝を曲げた。この体勢なら傍から見れば俺は柴犬と触れ合ってるように見え、カンザシの右手も周りから見えない筈だ。一応監視カメラの類も無いかとこの施設の周りを見る。

 

やはりこの設備上監視カメラが俺の右後ろにあったが、あの角度ならカンザシの手は映らない筈だ。

 

しかし、体の着物は大きくてどうしても俺の体型じゃ隠せない。どうするつもりだろうとカンザシを見つめると、カンザシは触れられなはずの柴犬に右手を差し伸べた。

すると、カンザシの右手から手首にかけて実体化し、カンザシの手は柴犬の毛並みに触れた。

 

「一部分だけの実体化……? 」

 

『その通りです。少し集中しないとダメですが、上手くいって何よりです 』

 

なるほど、これならカンザシの姿を映さずに触れられる。だが、傍から見れば手だけが浮いているホラー映像の誕生だが、この犬は霊体化のカンザシの姿が見えているらしいから問題は無い。

 

カンザシの細く小さな手に頭を撫でられた柴犬は気持ちよさそうに尻尾を振り、自分から頬を擦り寄らせてきた。

 

『ふふ、ここを撫でると気持ちいいんですね。そう言えば、この子に名前とかはあるのでしょうか…… 』

 

確かにそこは気になる所だ。流石に囚人のように番号呼びでは無いだろうし、どこか名前が書いてある所は無いかと探すと、ふと首輪の金属部分を見ると何かが彫られていた。

彫られていた所にはひらがなで【かい】と書かれており、これが犬の名前だろう。

 

その名前と俺と名前が同じである所に俺は驚き、カンザシは何かを思いついたのか妖しく笑った。

 

『あらあら〜旦那様は犬になってしまったのですか? 』

 

「いやいや俺はここに…… 」

 

カンザシは俺の言葉を無視して柴犬の毛並みにそって優しく撫でると、今度はお腹も触って欲しいと言わんばかりに柴犬は仰向けに倒れた。

 

『ふふ、旦那様は悪い子ですね〜こんな人前で自分のお腹を見せて服従するなんて……悪い子はお仕置ですね 』

 

「か……カンザシ? 」

 

カンザシは躊躇いなく柴犬のお腹を触り、更には腰からしっぽの付け根を通して慣れた手つきで撫でて行く。柴犬はハッハッと舌を出しながら呼吸をし、大分気持ちよさそうだ。

 

それを見たカンザシは体に電気が走ったかのように小さく震え、顔を少し赤らめてまた小さく笑っていた。

妖しく、妖艶な目つきになったカンザシは柴犬を撫で続けた。

 

『うふふふ……ここですか〜?お腹のここが良いんですか旦那様?うふふふ 』

 

「カンザシ! 」

 

『あまり大きな声を出すと気づかれますよ? 』

 

カンザシは左の人差し指で自分の指を口に当て、俺は言葉をとぎらせた。やはりカンザシはわざとこの犬の事を旦那様と呼び、俺に見立てて撫で繰り回していた。

 

この犬とは名前が同じなだけで俺では無いと分かってはいる。だが、いつもカンザシには旦那様と呼ばれているせいか変に意識さぜるおえなかった。

まるで俺が本当に犬になったかのような気分になり、直ぐにでも羞恥心でここを離れたいぐらいだ。だが、そうすれば人目にカンザシの手が映ってしまい、ここら一体が混乱すること間違いなしだ。ここは黙ってここにいるしかない。

 

『……少し虐めすぎましたかね 』

 

カンザシは最後に犬の鼻を触り、カンザシは名で終わりと同時に手を霊体化させた。柴犬は満足したそうに走り回り、柴犬は向こうに行ってしまった。

ようやく恥ずかしい光景が終わり、安堵の息を漏らした。

 

「はぁぁ……カンザシ、お前なんてことするんだ…… 」

 

『ふふ、あの犬が旦那様と同じ名前なのでつい 』

 

カンザシは小さく舌を出しながら笑い、やれやれと思いながら俺は水に流した。

 

『ですが……旦那様が望むなら、私はあんな風に触ってあげますよ?この愛らしい顎も、体も、手も、足も、なんなら……秘部も……全て愛撫してあげます 』

 

カンザシは霊体化のまま俺の体を舐めまわすように触ってきた。触れてすら居ないのに、何故かどうして触れられている偽の感覚が全身に走り、ビクッと体が強ばった。

 

『やっぱり旦那様は愛いですね。ふふ、そんな顔見ていると……少し体が昂ってしまいます 』

 

何かを抑えるようにカンザシは腕を自分の腕を掴み、身を捩りながら俺の事を嗜虐心がひとさじ加えられた目で見ていた。

 

「お、おいおい……カンザシ? 」

 

『ふふ、旦那様?もし慰めが必要でしたらいつでも言ってくださいませ 』

 

そうしてカンザシは俺の前から相当深い爪痕を残して消えてしまった。……ティアドロップもそうだが、カンザシも随分とグイグイ来るな……

先程の顔といい、俺を犬に見立てた行動と言い、ある意味ティアドロップよりも恐ろしい。

 

「あら?花衣〜?そんな所でぼうっとしてどうしたの〜? 」

 

後ろから母さんが俺を呼ぶように手を振り、声に気づいた俺は直ぐに行くと声を上げ、母さんの所に戻る。

戻った手前、犬にぶつからないように気をつけて移動したが、ふと俺の足元に何かいるとようやく気づき、ギリギリで避けようとしたが間に合わなかったのか、子犬はそのままぶつかったかのように少し遠くに吹き飛んだ。

 

「わわっ!ごめん……! 」

 

人の言葉が理解出来るはずがないが、俺はぶつかった動物に謝った。俺にぶつかった犬は全体的に茶色く、子犬のように小さくも全体的に毛量が多く、尻尾も大きかった。

子犬は俺の顔を見るや否やそのまま人混みの間を縫うように避けながら広場の方に逃げ出してしまい、俺は申し訳ない気持ちで一杯になった。

 

「悪いことしたな…… 」

 

せめてお詫びにジャーキーとか持ってたりすれば良かったけど、生憎犬の食べ物は全部母さんが持っていた。1本ぐらい持てば良かったかな。

少し沈んた気持ちのまま俺は母さんの所に戻ると、母さんが不思議そうな目でこっちを見ていた。

 

「ねぇ花衣、さっき()()()()()()()()()()()()()()()()()? 」

 

「え……?」

 

その言葉を聞いた時、俺はあの子犬の姿を脳裏で思い出した。茶色の毛並み、そして子犬のようなフォルム……どこかで見た事ある。

思い出した、確かメルフィーモンスターである【メルフィーパピィ】だ。

あれがいるということは……ほかのメルフィーモンスターもいるに違いない。

だが、そんな事誰にもいえず、俺はこの事実を静かに飲み込んだ。

 

「どうしたの? 」

 

「いや……何でもないよ。それよりも次はどこに行く? 」

 

「そうね、次はうさぎがいるエリアにでも行こうかしら 」

 

うさぎか……という事は、もしかしたら【メルフィーラビィ】がいる可能性も高い。そいつがいれば、このパークには間違いなくメルフィーが住み着いていることになる。

という事は……このパークの従業員、もしくはここを作った人……或いはここに来ている客の誰かが精霊が見えるということになる。

 

……いや、客は無いだろう。何故なら【メルフィーパピィ】は単騎で活動していた。知らない所、或いはあまり行けてない場所で精霊を1人にするのは流石にしないだろう。つまり、メルフィーの主はこのパークを完全に把握していると言う事だ。客の選択肢は抜いてもいいだろう。

 

「よーし!じゃあうさぎエリアに出発よ 」

 

「……うん 」

 

俺は色んな考えを頭に乗せながら、母さんの後について行った。

 

うさぎエリアに行く前にも、色んな動物の鳴き声がそこら中に聞こえた。哺乳類は勿論、鳥類や爬虫類もこのパークには存在し、もはや触れ合いパークの域を超えている。こんな広大な場所を客が把握できる所か従業員もギリギリ把握出来るのか……?やっぱりここの責任者がメルフィーの主なのか……?

 

「花衣?なんだか今日はやけに考え事してるように見えるけど、悩み事とかあるの? 」

 

「へ?……い、いや!何でもない!本当に…… 」

 

こんな事母さんに言える訳が無い。むしろその存在が知れば、最悪母さんだって監視者に狙われる可能性もある。しかも、一般人には精霊の姿は見えないから知らない内に……なんて考えたくもない。だから絶対に知られないようにしなければ……!

 

俺はそのまま無言を貫き、母さんは諦めるように深くは関わらなかった。

 

そんな少し気まずい雰囲気の中でうさぎエリアに辿り着いた。先程の犬エリア同様に、半分室内半分屋外の広場の構成になっており、広場にいるうさぎはその辺の草を食べたり、人から人参を貰ってはそれを小さな口でもぐもぐと食べていた。

 

「ようこそうさぎエリアへ〜!こちら有料ですがうさぎちゃん用の人参スティックがありますが如何ですかー!? 」

 

受付の人が俺たちをうさぎエリアに入ったのを確認すると、プラスチックのコップの中には細く切られた人参スティックが10本ほどあった。

 

「じゃあ……ひとつ貰おうかしら 」

 

母さんが人参スティックを貰おうとしたその時だった、俺の視界がいきなり真っ暗になり、閉ざされた視界から人肌のような感触があった。背中の方からも肩甲骨辺りが何やらふわふわとした柔らかさも伝わってきた。

 

「だーれだ!! 」

 

聞きなれた陽気な声。そして、俺にこうして触れられている……という事は……

 

「……レイ? 」

 

「はーい!大正解!貴方だけの剣のレイです! 」

 

視界が開き、すぐ様後ろに振り返るとレイとロゼの姿がそこにあった。

いつもの服でいつもの姿、ロゼに至っては夏なのにいつもの黒いマフラーを巻いていた。

 

「ど、どうしてここに……? 」

 

「決まってるじゃないですか〜。……貴方がいる所ならどこでもいるに決まってるじゃないですか 」

 

「そう、もう貴方を絶対に見失わない。……絶対に 」

 

2人とも割とガチ目なトーンと光を失った目でこちらを見ていた。いつもの事だけど慣れない圧で押し潰れそうになりがらも2人の視線を受け流し、それに気づいた母さんは驚いたように2人と俺を交互に見た。

 

「あら?花衣、そこのふたりはお知り合い? 」

 

「ええと知り合いというかクラスメイトというか…… 」

 

「はい!私、花衣さんとお付き合いしているレイ・カガリです! 」

 

「何言ってんのレイ? 」

 

「そうよ……付き合ってるのは私…… 」

 

「ちょ!? 」

 

レイもロゼも躊躇いなく俺と付き合ってると言うが、母さんは俺の反応で間違っていると気づいたのか、小さく笑った。

 

「あら〜花衣はモテモテね〜。邪魔しちゃ悪いし私はあっちに行ってるわね。あとこれうさぎのエサね。お金は払ってるから大丈夫だから 」

 

「え!?ちょ……母さん!? 」

 

「頑張るのよ、花衣 」

 

「いや応援する方向性が違っ 」

 

有無を言わさず母さんは広場とは反対方向の小屋に行ってしまい、俺はレイとロゼに囲まれて置いていかれた。

 

「嘘だろ…… 」

 

『かーい君!私達もいるよ〜! 』

 

俺の足元にはいつの間にかストレナエとプリムとシクランがおり、5人の女性に俺は囲まれた。世の男性からすれば羨ましいこの他ないが、当の俺はその重い愛情に押し潰れそう他に無い。

 

「何で貴方達もいるんですか? 」

 

『ええ〜良いじゃん!皆花衣君の事大好きなんだし!それに私達もうさぎ達と遊びたい〜! 』

 

『そうそう!ねぇ〜シクラン? 』

 

『え……ええと、うん。そうだね 』

 

どうやらストレナエ達はそれほどレイ達を敵視しては居ないようだが、レイ達の方はどうだろうか。

 

「……まぁ、仕方ないですね。ですが、私達は花衣さんと大事な話があるので、その邪魔はしないように! 」

 

「大事な話? 」

 

「そう、ここのモンスター……メルフィーについてよ 」

 

ロゼの話を聞いた俺は目の色を変えた。レイ達も気づいていたのか……

 

「とりあえず、ここでは周りの目もある。あっちの広場で話そう。丁度あそこにはうさぎが一杯いるし 」

 

『わーい!ここのうさぎ達も私達のこと見えてるらしいし、遊ぶぞー! 』

 

やっぱりここのうさぎ達もストレナエ達のことが見えてるのか……やはり人より動物の方が霊感があるのは正しいのだろうか。そもそも精霊たちを霊として見ていいのか分からないけど。

とにかく俺たちは広場の端っこの方に移動し、そこにあったベンチに俺は座り、ストレナエとプリムの遊ぶ姿を見守っていた。

 

うさぎ達はストレナエ達と一緒に走り回ったりしているが、一般人から見ればうさぎが野原を走り回っているに過ぎないだろう。あっちの事は心配しなくても良いだろう。

 

「ところで、シクランは良いのか? 」

 

『私は花衣君と一緒にいたいから……え、ええと……花衣君の膝に座って良い?隣には閃刀姫が座ってるから 』

 

確かに当然のようにレイとロゼはそれぞれ俺の両隣りに座っており、どっちも俺の腕を組んでいる。

しかもスペースは無く、残っているのは俺の膝の上だけだ。だがシクランの体型なら別に問題は無い。

 

「良いよ、別に。おいで 」

 

『う、うん!えへへ、花衣君の膝の上だぁ……えへへ 』

 

シクランはどこか満足そうに笑いながら頭を俺の体に乗せるように倒した。子供の甘えという事は分かっているけど、相手は女性こちらも少し気恥しさもある。

 

「う、羨ましい……!じゃなくて!そろそろ本題に入りましょう!花衣さん! 」

 

「あ、あぁ……なんか怒ってる? 」

 

「怒ってません! 」

 

怒ってるじゃんと言ったら喧嘩になりそうなのでこの気持ちは心の奥底に静かにしまった。そして、それを見兼ねたロゼが先陣をきるように本題へと進んだ。

 

「レイの事は無視するとして……花衣、やっぱりこのパークは間違いなくメルフィーモンスターがいるわ。私とレイも、キツネエリアで【メルフィーフェニィ】がいたわ 」

 

やっぱり、俺が犬エリアで見たモンスターは見間違いじゃ無かったのか。全員確認はされてないが、他のメルフィーが居ることは確定だろう。

 

「じゃあ……ここのメルフィー達には俺のような人がついているってことか? 」

 

「いや、恐らくここのメルフィーは野良よ 」

 

「野良? 」

 

「私やレイと同じように存在ごとこの世界に移動したモンスターの事よ。メルフィー達の行動に一貫性が無いから、これは間違いないと判断するわ 」

 

なるほど……言われてみればそうだろう。こんなバラバラにメルフィーが居たら、流石に主でも手には負えないだろう。だが、だとすればここにいる理由はどうしても思いつかない。理由無しでここにいるとは思えないし……

 

「じゃあ何でメルフィー達はここにいるんだろう…… 」

 

「それは分かりませんが……ここに関しても少し不可解なところがあるんですよね 」

 

「不可解な所?それって…… 」

 

『ここの動物全員が、私達の事を見えてるって事がおかしいの…… 』

 

シクランがレイの言った不可解な事の答えをおしえてくれた。

 

「それのどこが不可解なんだ? 」

 

『霊感が強い弱いが人にあるように、動物にも個体差があるの。でも、ここの動物達が全員私達見えてるのはおかしい。多分、このパーク自体、何かあるせいだとは思うけど…… 』

 

「つまり……どういう事だ? 」

 

「簡単に言うと……このパークは私達の世界と繋がっているかもしれないということです 」

 

その言葉を聞いた俺は目を見開き、膝にシクランが乗っているのにも関わらず立ち上がろうとした程衝撃を受けた。

 

ここまで(〜90話)出てきたレゾンカードの中で強いと思うのは?

  • 六花聖華ティアドロップ、カイリ
  • 閃刀騎-カイムと閃刀騎-ラグナロク
  • 銀河心眼の光子竜
  • RRRリノベイルイグニッションファルコン
  • 炎転生遺物-不知火の太刀
  • 常闇の颶風
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