六花テーマを作って愛用したらそのまま俺への愛が重くなった件について   作:白だし茶漬け

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どうも白だし茶漬けです。
早速ですがタグを一部追加と変更をしました。
なんか書いてたら凄くエッチな事になってしまったが…
18とはいかないでしょう…多分…


一つ一つの雪は軽いが積もると重くなる

第二話【雪は一つ一つは軽いが積もると重く冷たくなる】

 

六花達が実体化してから、食事が楽しくなった。

六花達がいる前は、ずっと一人で食べていたので食事のレパートリーも偏ったり、何より寂しさが舌に纏わりつくようだった。だが今はそれが無い。

今目の前にある今日の献立は唐揚げだった。

唐揚げは綺麗なきつね色に揚げられ、さらにその横に卵焼きに少しのサラダが添えられ、見た目も味も完璧だった。これを作ったティアドロップにはいつも感謝しかない。

 

「あー!プリム!今私の唐揚げ取ったでしょ!」

「むぐ…な、なんのほと…?」

明らかに口に唐揚げを含んでいたプリムと呼ばれた彼女は【六花精プリム】だ。レベルは4の植物族効果モンスターであり、少し薄いオレンジ色のツインテールにアサガオの髪飾りが特徴だ。

そして今、同じレベル同士のシクランと喧嘩していた。

どうやら、プリムがシクランの唐揚げを一つ食べてしまった事が原因らしい。流石にそれはプリムが悪いかな…

 

「その口に含んでるの私の唐揚げ〜!もう怒った!プリムのお菓子一個食べちゃうから!」

「あー!それ私が楽しみにしてたのに!」

 

んーまぁまぁ自業自得みたいな感じがするが、このままではマズいと思い、俺は二人を落ち着かせる。

 

「まぁまぁ、落ち着いて。ほら、俺の唐揚げ一つ分けてあげるから。」

 

俺は自分の皿にあった唐揚げを一つ、シクランの皿に乗せた。これで解決出来れば良いんだが、シクランはどうもまだ不機嫌だった。

 

「じゃあ、あーんして。」

「あーん?…それで気が済むならするけど。」

「やった…!じゃあ、あーん!」

俺はさっきシクランの皿に乗せた唐揚げを一つ箸で持ち、目をつぶって口を開けて待機してるシクランに渡そうとする…しかし、それはティアドロップによって遮られた。

 

「花衣さん。こんな些細な喧嘩で花衣さんが手を出す程じゃ無いですよ。」

 

ティアドロップは何処か不穏な笑顔でそう言いながら左手で俺の腕を掴み、右手で器用に箸で唐揚げを一つ持ってそのまま唐揚げをシクランの口にいれた。

 

「むぎゅ!?はふっ…熱っ!」

 

いきなり口の中に広がった唐揚げの肉汁の熱さにシクランは決して吐き出さず、そのまま唐揚げの熱さと口の中で格闘していた。

 

「それはそうと花衣さん。料理のお味はどうでしょうか?」

「えぇ…そんな事って…まだ手をつけてないから分からないよ。」

「じゃあ、今すぐ私が食べさせてあげますから。はい、あ〜んして下さい。」

 

先程の笑顔とは打って変わっての笑顔でティアドロップは唐揚げを一つこちらに近づかせる。

こう言うシチュエーションはアニメを見て憧れてはいたが、いざこうやって直面するとかなり恥ずかしい。

しかも相手はカードから出てきた超絶美女だ。そんな人が俺に顔を近づけて唐揚げをあーんしてくるので俺は恥ずかしさがの針が振り切って、そのまま顔を背けてしまった。

 

「いや、一人で食べれるから…」

「…花衣さん?もしかして私の唐揚げ食べたくないんですか?…嘘ですよね?嘘嘘嘘嘘ウソウソウソ…」

 

さっきの笑顔が嘘のように光が灯ってない目でこちらを見つめて嘘と連呼する。まるで氷の冷たさを持った目が俺の心に槍を突き刺してるようだった。

 

「や、やっぱりお言葉に甘えて食べようかな〜!?」

 

「…!やっぱりそうですよね。花衣さんが嫌って言うわけありませんよね。じゃあ、口を開けて下さい〜。」

 

俺は嫌な予感を感じ取り差し出されていた唐揚げを食べた。下味もしっかりしていて、衣のサクサク感も絶妙だ。だが極度の緊張感のせいか揚げたての筈なのにさっきの冷たい空気が唐揚げにも浸透したのか温かさが感じられない。だが、美味い。

 

「どうですか?美味しいですか?」

 

「う、うん。凄く美味しいよ。」

 

「良かった…!サラダや卵焼きもありますからもっと食べて下さいね!」

 

まるで満開の花のような笑顔を浮かべながら、ティアドロップは俺にどんどん俺の口に料理を運んでくる。

そしてそれはティアドロップに限ることでは無くなった。

突然、後ろから背中をちょんとつかれた感覚を感じ、咄嗟に後ろを振り向く。そこには紫を主体としたドレスと髪をした、六花モンスターの【六花精ヘレボラス】だ。

レベルはなんと8で攻撃力が2600もあるという見た目からでは想像出来ない攻撃力の持ち主だ。

しかも効果は自分フィールドのモンスターを対象とする

効果が発動した時、手札かフィールドにあるヘレボラスをリリースする事で無効にする事ができる。

そんなヘレボラスが俺になんの用だろうか?

 

「あ…花衣さん。あの…この量は私にとっては少々多いので…捨てるのは勿体なく思いまして…ご迷惑で無ければ、こちらの料理を少し食べて貰えないでしょうか…?」

 

「あー。良いよ。じゃあ食べられる分だけ自分の皿に残して、後は俺の皿に移して良いよ。」

 

「いえ…出来れば…その…」

 

突然の歯切れの悪さに俺は少し戸惑った。何処か調子でも悪いのかと心配したが、ヘレボラスは直ぐに言葉を続けた。

 

「で、出来れば…私も花衣さんにあーんをしたいな…と思いまして……ダメでしょうか?」

 

ヘレボラスは上目遣いでお願いしてきた。成程…これは攻撃力が2600ある訳だ。そう確信出来るような破壊力だった。

だが、また後ろから今度は殺気のような威圧感が滲み出てる感覚に襲われる。恐る恐る後ろに振り返るとそこにはまたしても目に光が灯ってないティアドロップがいた。

 

「何をしてるのですか…?まだまだお料理は沢山ありますよ…?」

 

ティアドロップは俺の右腕を掴んで自分の方に手繰り寄せるように俺を引っ張る。

 

「行っちゃ嫌です…」

 

ヘレボラスも涙ぐみながら上目遣いで俺の左腕を掴んで離さなかった。そんな少しの涙を浮かべてるヘレボラスの顔を見て俺は妙な罪悪感を抱き、心に2600のダイレクトアタックを受けたような感じだ。すげぇ心が痛い。

俺は助けるをもとめるように他の六花達に目を配るが、何故か皆不機嫌そうだった。

 

「旦那様?あれだけ食べ物を食べられてはお体に悪いです。さぁ、私のお味噌汁をお飲みくださいませ。」

 

俺を旦那様と呼び、鮮やかな赤色の着物を着た彼女は、【六花聖 カンザシ】だ。

ランク6のエクシーズモンスターで、エクシーズ素材を使って効果を発動すると、自分か相手の墓地のモンスターを効果を無効にして、植物族として特殊召喚することが出来る。

さらに、自分の植物族モンスターが効果で破壊される時、手札かフィールドの植物族をリリースすればそれを身代わりに出来るという何とも頼もしい奴だ。

そして、そんな奴が純粋無垢なのに怖い笑顔でこちらに味噌汁を持って近づいて来る。

 

「いや、今は良いよ!?というかそれさっきお前が口にしたやつじゃ…」

「今はそんなの些細な事です。さぁ旦那様。お飲みください。」

 

カンザシはまだ熱い味噌汁を冷ますように優しく味噌汁に息を吹きかけていた。いや、そんな気配りが出来るのに何で今は助けてくれないの!?

そしてカンザシは茶碗をわざわざ半回転させてついに俺の目の前には味噌汁が映る。

 

「いやだから大丈…むぐっ!?」

 

有無を言わさず、カンザシは俺に味噌汁を飲ます。優しい口当たりに後味が良い味噌汁だ。普通に美味しい…

 

「お味はどうでしたか?」

「…凄く美味しかったです。」

「そうですか。…ふふっ、私との間接キスはどうでしたか?」

「へ?」

「さっき旦那様が口付けした所。私がさっきまで口付けしてた所なんですよ?」

 

…理解が遠のく。何故そんな事をする。俺は迫り来る情報量の大波に呑まれ、そのまま思考を停止する。

 

「な…何をしてるのですカンザシ!ずるいですよ!」

「そ…そうです!か、間接キスだなんて…そんな…羨ましい…。」

 

ティアドロップとヘレボラスが何か言っていたが意識が呆然としていた俺には聞こえなかった。

ティアドロップとヘレボラスは俺から腕を離し、カンザシに問い詰めていたが、話してる内容までは把握出来なかった。…まぁ、分からなくても問題は無いだろう。

 

「あらあら、モテモテで大変ですね。」

 

そっと俺に冷たい麦茶を差し出してくれた薄桃色の着物を着た彼女は、【六花精エリカ】だった。レベル6で攻撃力は2400であり、手札かフィールドにある彼女をリリースする事で、攻撃宣言した植物族モンスターの攻撃力を1000ポイントあげる事が出来る。

俺のデッキの最高火力はティアドロップの2800なので火力上げに役に立っている。

 

「あぁ…ありがとう。」

 

エリカに渡されたお茶を一口飲んで、心を落ち着かせる。

 

「それにしても間接キスだなんてカンザシも可愛い所もあるわね…私だったらもっとこう貴方に近づいて…」

 

そう言いながらエリカは先程ヘレボラスがいた所に座り、顔を俺の耳の前まで近づけた。

 

「こんな風に…貴方の耳に囁いたり…貴方が望めば私は何でもしますよ…?」

 

悪魔のような、凛とした声が俺の脳に囁くようだった。

幸福感か、それとも恥ずかしさのどちらかに耐えきれなかったのか、俺はエリカから少し離れる。

 

「い、いきなり何を言い出すんだ!?」

「ふふ、その反応とっても可愛いですよ?」

「…風呂に入ってくる。」

 

俺は色々あったせいか食欲が失せ、逃げるように風呂場へと行く。

 

 

 

 

「あぁ…そんな焦ったような顔もまた素敵だわ…いっその事私だけにそんな顔見せればいいのに…」

 

エリカは恍惚とした表情を浮かべながら花衣のあの顔を何度も思い浮かべた。

あの時、頬を紅く染め、驚きが隠せていないあの開ききった目と、心臓の高鳴りの鼓動音…エリカはあの瞬間だけ花衣の全てを自分の物に出来たと実感していた。自分だけが知ってるその優越感がさらに彼女を興奮させていた。

 

「何だが嬉しそうだネー」

 

妙な訛りを発しながらエリカに近づいて来るのは、【六花精ボタン】だった。紫色の和服を着ており、頭には小さな団子の髪型をしている。

ボタンは自身の内にある独占欲を渦まかせながらいつも通りの態度をとった。

 

「別に何も無いわよ?」

「ふ〜ん?まぁ、良いケド…花衣君が悲しむような事したら…許さないヨ?」

「…そんな事分かってるわ。」

 

突然態度が変化したボタンにエリカはボタンが見つめるその目には自分の心の中が読まれていると感じ、エリカは目を背けた。二人の間に冷たい空気が流れた。

そしてその空気は伝染するように周りにも流れ始めていた。

 

「あれ?そういえば花衣君何処に行ったの?」

 

彼の名前を呼びながら周りをキョロキョロと見渡してるのは【六花精スノードロップ】。

レベルは8だが、彼女自身の効果はフィールドにある植物族モンスターをリリースする事で、彼女と手札にある植物族モンスターを同時に特殊召喚出来るので、レベルによるリリースをものともしない。

さらに、フィールドの植物族を対象とし、対象にしたモンスターのレベルをフィールドのモンスターに同じレベルに出来るので、楽にエクシーズモンスターを召喚出来るのだ。

 

「見当たらないと言えばひとひらちゃんも居ないね。」

 

桃色の髪に黄色のワンピースの様な服を着ており、白いレースのようなものを羽織って卵焼きを大きく口を開けて一口で食べてる彼女は【六花聖 ストレナエ】。

ランク4のエクシーズモンスターであり、エクシーズ素材を一つ取り除くことによって、自分の墓地にある植物族、または【六花】と名の付くカードを手札に加えることができる。

さらに、素材を持ったまま墓地に行くと、ランク5以上のエクシーズモンスターをこのカードの上に重ねて特殊召喚することも可能だ。

 

「そいえば…確かに見当たりませんね…」

 

ヘレボラスもそう言われて辺りを見渡すが、探していた人物が見当たらない事に気付く。

 

「…あ、もしかしたら…」

 

プリムがなにやら気付いたようだが、それは他の六花達も何かに気付いたようだった。そしてその考えは全員同じだと言うことを示すように、六花達は()()()()()洗面所へと行く。

 

 

 

 

 

 

浴槽に張られた湯船に浸かり、心身共に俺は落ち着く事に集中する。

 

_貴方が望めば、私は何でもしますよ?

 

「だあああ!思い出すな思い出すな!この年頃であんなの言われたらちょっとエッチな方面を想像してしまううううう!」

 

言葉にして言い出してせいか無意識にエリカが乱れた姿を想像してしまう。

そんな煩悩を洗い流すように顔まで湯船に浸かった。

一分が途方もない時間に感じ、俺は一分辺りで息が続かなくなり、顔を浮上させる。

 

 

「ぷはぁ!はぁはぁ…なんだが最近皆変だよな…さっきのエリカみたいなのもそうだけど妙に俺の事を気遣ってる…て言ったほうがいいのかな…」

 

ここ最近…というか出会った時から六花達は俺の事を妙に気遣ってるような気がした。例えば、家事は殆ど六花達がやってくれてるのは良いが、俺が手伝うと言うと断固としてそれを拒否してくるのだ。

家事だけではなく、俺の身の回りの世話までやりたいと言ってきた時には流石に申し訳ないので断ったが…

 

「…はぁ。どうやって接したら良いんだろうなぁ…」

 

そんな事を考えて何も無い白い天井を無心で見つめる。

その時、視界の隅からまるで花が空から降ってくるようなひらひらと宙を待っている人の姿をしたやつを湯気が蔓延してる中、見る。

見る。

 

「あれ?…ひとひら…かな?」

 

ひとひらとは【六花のひとひら】というモンスターの事だ。レベルは1で攻撃力、守備力は0だが、自分のターンの時にこの子がいるとデッキから【六花】モンスターを手札に加えるか墓地に送ることが出来るので、

俺のデッキの主軸のモンスターだ。

 

「というか何でここにいるの…」

 

そう思ってドアの方を見ると少しの隙間が空いていた。

そうだった。今の時期は夏なので、風呂はやはり暑いのでこの時期はいつもドアを開けてるのだ。

ひとひらはどうやら、そのドアの隙間からここに入ってきたらしい。

ひとひらは浴槽まで落ちると、ぷかんと顔を浮かべ、何とも幸せそうな顔をしていた。

 

「あ…という事はひとひらは今は裸…?でも妖精みたいな小ささだから見えないから良いかな…?」

 

ひとひらは他の【六花】と比べて…というかかなり体が小さい。その小ささは、妖精のような小ささで俺の手のひらサイズぐらいの小ささだ。だから最初は探すのには苦労した。

 

「それにしても小さいな…溺れたりしないかな?」

 

まぁ、そもそもひとひらは常時宙に浮いてるので沈む事は無いが、もしもという事もある。

俺はそこにあった桶を持って風呂の湯を少し桶に移した。

 

「これでもし溺れたりしても直ぐに助けられるしな。ひとひら。もし良かったらこっちに入って。」

 

ひとひらは言葉こそ発しなかったがお湯を張った桶に喜んで入った。

ひとひらは基本的に喋ることはない。もしかしたら喋る事自体出来ないのかも知れないが、俺自身、まだひとひらの声を聞いたことが無い。いつか聞けると良いんだが…

 

「…そう言えばこんな風に誰かと一緒に風呂に入るのは久しぶりだな…」

 

だからなのか少し心が温まるような…そんな気がした。ひとひらの顔を見ていると、さっきまで何を悩んでいたかもう忘れてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

「な…なんて羨ましい…!」

 

「う〜ん。私たちじゃ一緒に入りたいって言っても、凄い勢いで恥ずかしがるもんね〜。」

 

開けられてるドアの隙間から六花達は花衣とひとひらの入浴している所を覗いていた。

流石に全員一度には見れないので二人ずつの交代制で見ていた。

現在はティアドロップとスノードロップが隙間から覗いていた。

 

「どうして花衣君はひとひらちゃんとは一緒に入れるのかな?」

「…幼いので子供と一緒に入ってるようなものだからでしょうか?」

 

スノードロップの疑問に答えたのはヘレボラスだった。

と言っても、ヘレボラス自身の考えからの推測なので真相は分からないが、それを真に受けた六花は少なくなかった。

 

「へ〜!じゃあ私だったら一緒に入れるって事かな?じゃあさっそく〜…」

「ちょっと何抜け駆けしてるの!それだったら私も…!」

幼い子供なら花衣はあんな風に一緒に入ることを許してくれるだろうと考えたストレナエとプリムはその場で服を脱ぎだしていく。

 

「ちょ、ちょっと!貴方達は何をやってるのよ!?」

 

似たような体型をしてるシクランだけはその考えには至らず、ストレエナエとプリムの行動を止める。

 

「え?だってひとひらちゃんみたいな子供が良いなら、私達なら大丈夫でしょ?」

「そ、そうなのかな…?」

 

ストレエレナの相当な自信の前にシクランは日和ってしまい、それなら良いかと自身の心が揺らいだ。

 

「そんな訳無いよ!やっぱり私みたいなお姉さんみたいな人が花衣君に相応しいのよ!貴方達には相応しくないのよ!」

 

スノードロップは我こそ相応しい言わんばかりの態度でストレエレナ達を挑発するような言葉遣いをした。

 

「しー!静かにしないと花衣君バレちゃうヨ!」

「そうですよ。生まれたままの姿の旦那様を見るなんてこれくらいしか無いのですから!ほら、ティアドロップさん。早く私に代わって下さい!」

「ダメです!私は花衣様のエースカードなんですから、ずっと見る権利はある筈です。」

 

六花達の口喧嘩はさらにヒートアップしてしまう。

お互いに引かず、収拾がつかなくなったその時、花衣に動きがあった。

 

「あれ?ひとひら、のぼせちゃった?じゃあ、もうあがろうか。」

「!!」

 

六花達は風呂から上がる花衣を見ると、慌てて自身を霊体化させた。

六花達は物に触れたり、普通の人でも見られる実体化と、花衣以外の人には見えず、物や壁をすり抜ける事が出来る霊体化ができる。

この霊体化をしてる時は自分達の声以外での自分達が発する音は全て他人には聞こえない。

彼女達はそれを利用して、ひとまずこの場を去った。

 

 

 

 

「ふぅ…さっぱりした。ひとひら。どうだった?」

 

ひとひらはその言葉に笑顔で頷いた。濡れたままではいけないので、俺はバスタオルでは無く、ハンカチをひとひらに渡した。彼女ぐらいの大きさならハンカチ程度の大きさが丁度良いからだ。ひとひらはハンカチで頭と体に付いたお湯を拭き取った後、魔法のような物なのかひとひらの体に服が纏った。

 

「うぉ、そんな事まで出来るのか…凄いな…」

 

俺はバスタオルで身体を体を拭きながら、そう感心した。ひとひらは、手を腰に当てて胸を張るように体を仰け反って、ドヤ顔をした。

 

「あはは。さて、俺もそろそろ着替えて…あれ?」

 

俺はバスタオルを洗濯機の中に放り込むと、少しの違和感を覚える。違和感の正体は直ぐに分かった。

…少ないのだ。明らかに洗濯機に入ってる服の量が。

親が海外にいるので、服に洗濯機を放り込むこむのは俺しか居ない。因みに六花達の服は無い。

六花達の服は先程ひとひらがやったように魔法のようなもので服を自在に出したり出来るので洗濯する必要は無いと言う。

つまり洗濯機の中にあるのは俺の衣服だけだが…それが妙に少ないのだ。

流石に俺が一日着た衣服だけでそんなにいちいち洗濯機を回したら水道代やらがやばくなるので、一週間に一回か、それとも洗濯機に入ってる量が半分程度になった時に洗濯機を使うのだ。

丁度その一週間が経ったので、このバスタオルを放った時に洗濯機を回そうとしたのだが、洗濯機に入ってる服の量に違和感を感じた訳だ。

 

「あれ…なんか少ないな…特に俺の下着が…少ない。」

 

まさか同じ物を何日も履いてるとか入れ忘れとかそんな事は流石にしてない。となると…誰かが洗濯中に捨てたとかかな?

洗濯も六花達がやったりしてるのでやるとすればその誰かだ。

 

「確かこの前、洗濯物を使って洗濯物を干したりしたのは…ヘレボラスだったな。」

 

俺はこの前、顔を洗う為に洗面所に行った時に洗濯機を使うヘレボラスを確かに見た。

こんな朝早くから洗濯をするなんて何かあるのかと俺は問うた事があったが、洗濯機の使い方を早く覚える為と洗濯剤の種類を調べていたと言っていた。

 

「ちょっと聞いてみようかな…」

 

俺はタンスにある下着と寝間着を着たあと、ヘレボラスがいるところに足を運んだ。

洗面所のドアを開けて、居間の方に移動すると、ヘレボラスがソファーに座ってお茶を飲んでいた。

 

「あ、いたいた。ヘレボラスちょっと良い?」

「え?いいですけど…」

 

ヘレボラスは飲んでいた紅茶を机に置いて、俺に顔を向けた。俺はヘレボラスの隣に座った。

 

「どうしましたか…?もしかして…私は何か貴方にしてしまったのでしょうか…!?だとしたら謝ります!ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい…!」

 

涙を流し、懇願するように俺の肩をつかみながらごめんなさいと連呼した。

 

「お、落ち着けって!別にお前は何も悪い事なんてしてないよ!」

「ほ…本当ですか?」

「本当だって。」

 

ヘレボラスはその言葉を聞いてようやく落ち着きを取り戻し、力が抜けたようにソファーにもたれかかった。

 

「良かった…貴方に捨てられたら私は…」

「別に捨てたりしないよ。寧ろ居てくれて助かってるところだよ。」

 

事実ヘレボラス達がいてくれて寂しくは無いし、家事もやってくれるから、礼を言うのはこちらの方だ。

 

「あの…ところでお話と言うのは…?」

「なんか俺の下着とかが少ない気がしてさ…この前洗濯機使ってたのヘレボラスだったから、何か知ってるかなって。」

「…あぁ。それでしたら下着に穴が空いていたので捨てました…ですが、中々言い出せなかったので貴方に言うのをそのままにしていました。」

 

成程。それなら納得だ。確かに少々引っ込み思案のヘレボラスなら俺に言うタイミングを掴めずにいたはずだ。

これからはちゃんと気を使ってやらなくては。

 

「そうだったのか…気づかなくてごめんね。じゃあ、話はそれだけだからもう俺は寝るよ。」

「あ、ちょっと待ってください…!」

 

ソファーから立ち去る俺の手を掴んで、ヘレボラスは俺を引き止めた。

 

「あの…やっぱり私…まだ貴方に捨てられてしまうのかと心配で…もし…叶うのなら…今日は貴方と一緒に眠りにつきたいです。」

「えぇ!?」

 

それってつまり…今日俺はヘレボラスと一緒に同じベットと寝るという事か?

嫌という訳では無いが、後が怖い。これがもしもティアドロップとかにバレたらと思うと…そこから想像するのはホントに怖いのでやめよう…

 

「やっぱり…嫌ですか…?」

 

「…皆には内緒でお願いします…」

 

ヘレボラスの悲しそうな顔を見た俺は、そのまま一緒に寝る事になった。皆にバレないようにヘレボラスは霊体化をして、そのまま一緒に俺の部屋に行く。

バレてないかと不安に思い、いつも以上に辺りを見渡した。いや、傍から見れば今の俺かなり怪しいな。こんな挙動不審だったらますます怪しくなるわ。

こんな自分にツッコミながらもようやく自分の部屋に戻ることが出来た。ヘレボラスは俺の部屋に入ったと同時に実体化する。

 

「そういえば…その格好で寝るのか?」

 

これからヘレボラスと一緒に寝る事になるのだが…ヘレボラスの衣装はいつも通りの紫基調のドレスだった。

それでは寝づらいのではないかと俺は服について疑問を投げかけた。

 

「あぁ…そういえばそうですね。では…就寝服に着替えますね。」

 

「へ?着替えって…ちょっとま」

 

俺が言うより先に、ヘレボラスが着ていた服と帽子が紫の光り輝く粒子となって、そのまま消えていった。

そして目の前には紫で色気全開の下着を着たヘレボラスがいた。

 

「どわぁぁ!?どうして下着!?」

 

「えっと…着替えにはまずこうして一旦服を脱いでからじゃないと着替えられないくて……どうしてそんなに顔を背けながら、手で顔を覆ってるのですか…?」

 

「いやいやいや!それは…俺が欲望のままにその…襲ってしまうとか…」

 

俺は咄嗟に目をつぶって手で顔を覆ったが、先程見たヘレボラスの下着と、豊満な胸が一瞬見えてしまったので、どうしても頭から離れない。目をつぶってもその光景を覚えてる為、それがフラッシュバックして俺の瞼の裏に写ってしまう。そして極めつけのエリカが言ったあの言葉を思い出す。

 

_貴方が望めば私は何でもしますよ…?

 

ああ思い出すな思い出すな!堪えろ俺の理性よ〜!

 

「ふふ…そうですか。…でも私は貴方に何をされても構いませんよ…?」

 

ヘレボラスの足音が近づいてくるのが分かる。俺はそれに後ずさりしたが、膝の裏にベッドが当たりつまづいてしまい、俺はそのままベッドに倒れ込む。

逃げ道はもう無く、ヘレボラスの吐息が俺の手の甲に感じることから、今目の前には下着姿のヘレボラスがいるのだろう。

俺はそのまま顔を手で覆い続けた。

 

「この唇を奪うことも…この身もめちゃくちゃにしても私は構いません…貴方なら私は身も心も捧げる事も出来ます。」

 

ヘレボラスは俺の両手の手首を力強く掴んでいく。

相当な力で握られ、痛みも少々感じてしまうが、目だけは必死につぶる。その圧倒的な力の前には為す術もなく、俺の両手はヘレボラスの意のままとなってしまう。

俺の右手の人差し指にヘレボラスの柔らかな唇の感触が伝わる。そしてヘレボラスは俺の指に口付けした後、ヘレボラスが言った”身も心も捧げる”ということを表すように、俺の左手を自分の頬に、俺の右手を自身の胸へと移動した。

右手全体が柔らかな感触に包まれる。吸い付くような肌でありながら弾力のある感触は俺の本能を揺さぶる。

 

「ヘ…ヘレボラス!何をやって…」

 

「でも捨てることだけはしないでください…!」

 

ヘレボラスの掴む手がまた強くなる。

 

「私を捨てないで下さい…私を見捨てないで下さい…私の事を見てください…私をずっと…貴方の傍に居させて下さい…!」

 

涙混じりのその声は、俺の心を締め付けるようだった。

俺の左手に微かな冷たさを感じる。それは間違いなくヘレボラスが流している涙だろう。

心が…苦しい。なんだろう、前にもこんな事があったような気がする。それは…とてつもなく遠い昔だったような…

 

「…もう目を開けても大丈夫ですよ。とっくに着替えは終えてますよ。」

 

俺はそのままゆっくりと目を開ける。そこには確かに、着替えを終え、紫のナイトウェアワンピースを着たヘレボラスが微笑んでいた。

さっきまでの涙声が嘘のような笑顔で、その顔に涙は無かった。

 

「…ヘレボラス。その…そろそろ手を離してくれないかな?」

「もう少しだけ…このままじゃダメですか?」

「…このままじゃ俺の理性が死んでしまう。」

「うふふ…言ったじゃないですか。身も心も捧げるって…」

「っ!と…とにかくもう遅いから寝よう!おやすみ!」

 

俺は強引にヘレボラスの手を振り払い。そのままベッドに横たわる。ヘレボラスもベッドに入り、俺の布団に潜り込んだ後、俺に抱きつくように体を密着させる。

俺の背中にまた胸の感触が服越しに伝わってしまう。

だが、そんな事は迫り来る眠気でどうでも良くなってしまう。ヘレボラスの規則正しい寝息が俺の眠気を誘い、俺はそのまま深く眠ってしまう。

 

 

 

 

 

 

「…すぅ…はぁ。あぁ…貴方自身の匂いが今私の目の前に…!今までは下着等を拝借して嗅いでいましたが…やはりありのままの貴方の匂いは素敵です…!」

 

私は今まで、何度か下着を拝借して貴方の匂いを堪能していましたが、こんなに貴方を感じてしまっては…もう下着だけじゃ満足出来ません…!

貴方の匂いが私の鼻を通して、頭をくらつかせます。

 

「…でもやっぱり…少し他の子達の匂いも混じってますね…」

 

そういえば確か…シクランさんが自分をもう一枚デッキに加えてとお願いしていましたね…その時に服にしがみついたりでもしたのでしょうか…

 

「まぁ…良いです。今は私だけ…私だけの花衣さんなのですから…。…やっぱり貴方は…()()()()…」

 

遠い昔を思い出す。私に向けたその笑顔は花を咲かせる為の太陽であって、花を駆らせる熱さをも持っていた。

あの人は私を捨てるように置いていってしまった。

そしてその人と同じ声…同じ顔…まるで生まれ変わりのようだった。

 

「もう離しません。…絶対に絶対に絶対に絶対に絶対絶対絶対絶対絶対絶対…ハナシマセンよ?」

ここまで(〜90話)出てきたレゾンカードの中で強いと思うのは?

  • 六花聖華ティアドロップ、カイリ
  • 閃刀騎-カイムと閃刀騎-ラグナロク
  • 銀河心眼の光子竜
  • RRRリノベイルイグニッションファルコン
  • 炎転生遺物-不知火の太刀
  • 常闇の颶風
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