六花テーマを作って愛用したらそのまま俺への愛が重くなった件について   作:白だし茶漬け

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こんにちは!白だし茶漬けです。
さて……とうとう始まります!デュエルシーンがっ!
という事でまーた亀投稿ペースとなります。はい。

そして今回は……新たなオリジナルテーマが登場します!キーワードは……カウンター!


本質

辺りは酷いことになっていた。草木は枯れ、生物は息絶え、最早生物が住めない場所になった。

 

これを破壊し、俺の大切な物を奪った大罪人は俺を見るとまるで実験が成功した科学者のように高らかに笑った。

 

「ふふ……はははは!!ようやく現れました!我があ」

 

「黙れ……! 」

 

耳障りな高笑いを黙らすかのように黒い鉤爪へと変わった俺の腕を伸ばし、奴の首を右手で締め上げる。

奴の首の骨を折る程力強く、折れた骨で首を突き破るかのように俺は憎しみを込めて奴の首を握る。

 

しかしポルーションはそれでも笑っていた。気味が悪く、理解不能だった。

 

足りない。これでは足りない。これじゃあ気が晴れない。 首を掴んだまま地面に叩きつけ、地面にクレーターができるほど憎しみを込めて強く叩きつける。枯れた木々は倒れながらも俺は叩きつけを辞めず、何度も何度も奴を叩きのめす。

 

「殺すっ!殺すっ!殺すっ!殺す!!!お前の存在が消えるまで!お前がこの世から消えるまで!俺はお前を…… 」

 

「それ以上はいけません! 」

 

突然誰かの声が聞こえると同時に、背後から布が俺の手足を縛るように体に巻き付かれ、身動きが取れなくなった。

 

引きちぎろうと黒く変わった鉤爪で布を切り裂こうとしても何故か布はまるで鉄のように固く、切り裂くことは出来なかった。

 

布の通りを目で追うと、これを操っているであろう人物に目が入った。見覚えのある黒フードは、ロマンス・タッグデュエルの時、俺を襲った奴だ。

 

あいつもポルーションの仲間だと考えも無しに判断すると、無性に体に力が入る。俺に取り付いている黒いモヤは布に取り付くと、その布は黒に染まり、染まった部分が溶けるように朽ちていった。

 

「邪魔をするなぁぁぁぁぁぁぁ!! 」

 

標的を監視者に切り替えて黒いモヤで巨大化した右腕を振り回し、監視者がいる枯れ木はほかの木を巻き添えにするように吹き飛んだ。

 

監視者もその衝撃に巻き込まれながらも空中で布をロープ代わりにするように他の枝に巻き、空中で姿勢を制御し、危なげなく着地した。

 

「もうそこまで戻っているのですね。ならば…… 」

 

監視者が何も無い所から杖を呼び出した。杖は緑と黄色の宝玉のような物が輝き出した。

 

やがて監視者の背後には黄金のハサミと淡い緑色のオーラに包まれた布がまるで生き物のように動き出すと、布は鋭い針のように俺を追いかけ、一瞬にして俺の手首を縛り付け、腕を動けなくした。

 

「こんなものっ…… 」

 

「ま……っ……てくだ……さ……い 」

 

布をまた朽ち果てさせようとしたその時、誰かが俺よズボンの裾を掴んだ。誰だと思い下に振り向くと、ズボンを掴んだのはティアドロップだった。

 

「ティア……!よかった……まだ無事だったんだな 」

 

指が震え、顔を上げていられないほど瀕死な状態で何をやっているんだと思いつつも、俺はティアドロップがまだ無事だった事に安堵した。

 

しかしつかの間、監視者は更に布を襲わせ、俺を近くの枯れ木まで押し通すと、黄金のハサミを分離して2つの刃となり、それぞれ高速で俺を串刺ししようとした。しかし、ハサミは寸前でさびつき、そのまま朽ち果てていった。

 

俺は何もしていない。ここで何かを出来るのはあいつしかいない。今も向こうでにやけているポルーションだけだ。

 

「おや?おやおやおやおや……貴方が監視者ですか。申し訳ないがその方に手荒な真似はしないで欲しいですね 」

 

「何も関係ない人や、この子自身酷い目に合わせてよく言いますね……! 」

 

「それはお互い様でしょう。貴方もこの方の事……殺そうとしたのでしょう? 」

 

「世界の為に……仕方がない事なんですっ…… 」

 

監視者とポルーションの言い争いはこっちからすればどっちもどっちだ。

目的も分からなくて、好き勝手やって、挙句の果てには今俺はどうなってる?腕は縛られ、大切な人を……!

 

「まぁ、そんな事どうでも良いんですよ。それよりもなんで貴方は私の毒が回っていないのですか? 」

 

「この程度の毒なんて、私の魔法で中和ぐらい可能です。なんならここの浄化も可能ですよ 」

 

「っ……! 」

 

「……あぁ? 」

 

監視者の言葉に俺は光明が見え、ポルーションはどこか苛立ちを見せていた。

 

「おい監視者!それは本当か!?本当に皆を助けられるのか!? 」

 

「ふぇ!?か、可能ですが…… 」

 

「なら直ぐに頼む!お願いだ……!皆を助けてくれっ! 」

 

訴える目を監視者に向け、俺は監視者に懇願した。

ティアドロップやレイとロゼ、そして心咲ちゃんや他の動物達もまだギリギリ生きている。

 

だけど本当にギリギリだ。あと数分、ほんの数分だけしか耐えられないと考えれば、もう時間が無い。

だから頼れるのはもう監視者しかいない。

 

「頼む!もしこの状況をどうにかしたら……俺はお前達について行く!だから……ティアドロップを、皆を助けてくれ! 」

 

神に懇願するように監視者にねだり、それを見た監視者は戸惑うように立ち尽くしていた。ローブで顔は見えないが随分と焦っており、長考した結果、俺に巻かれていた布を回収した。

 

「……分かりました。ですが、ここ一帯を元に戻すにはかなり時間がかかります。……一般人にこんな事を頼むのは気が引けますが…… 」

 

「大丈夫だ。それに……俺はもう 」

 

俺は黒い影に纏われた自分の手を見つめた。全てを霧裂けそうなその爪は最早人が持てるものでは無く、自分自身普通では無いことを再確認し、酷く悲しい気持ちになった。

 

もう普通の人間じゃない。そんな事はもっとずっと前から分かっていた。だがそれを今まで見て見ぬふりをしていた。だけど、自分の手が化け物みたいにおぞましい形を見ると、明日からどんな顔で皆に会えば良いんだとか、どんな風に接すれば良いとか頭の片隅で考えてしまう。

 

そんな考えを振り切るように首を振り、時間を稼ぐ為に俺はポルーションの前へと立ちはだかる。

それと同時に監視者は杖を地面に突き刺すとそれを中心に青色の魔法陣が浮かび上がり、何かの呪文を唱えていた。

 

「お前の解毒剤のお陰で体はもう大丈夫だ。今度こそお前を本気で潰す……! 」

 

殺意が溢れんばかりにポルーションを睨んだが、何故かアイツはそれを無視するように頭を掻きむしり、何かに苛立っていた。さっきまで飄々としていた態度が影も形も無く、まるで別人かのような雰囲気になっていた。

 

「あぁ……だから魔法は嫌なんだよっ!詠唱したら理論や過程、法則を全部無視して現象だけ起こしやがってよぉ!クソがぁ! 」

 

ポルーションが怒号を言いながらその辺の枯れ木を蹴り飛ばし、俺は戸惑うことしか出来なかった。

不満をぶつける様に枯れ木をおり、地面を地団駄踏み、頭を掻き毟って怒りを撒き散らしていた。

 

「な、なんだコイツ?本当に同一人物なのか……? 」

 

「クソがクソがクソがぁ! 」

 

まるで1つの体に2人の魂があるかのように、裏と表の人格が違いすぎる。

暴れに暴れて息を切らしたポルーションは落ち着いたのか、元の性格に戻りつつあった。

 

「……おっと、つい口が悪くなってしまいました 」

 

「そんなレベルじゃないけどな…… 」

 

「いや〜私、魔法が大嫌いでしてね。あんな不平等な物を好む人は魔法が使えるだけですよ 」

 

「不平等……? 」

 

「そんな事どうでもいいですよ。さて、折角この一帯を浄化されるのは嫌ですし、貴方様に肉体的に勝てる見込みも薄い。ですので……こうしましょうか!! 」

 

ポルーションの体からいきなり黒い霧が俺と彼を覆い被さるように広がり、俺達を包み込んだ。

人間の反射という行動で俺は目を閉じて腕を前に出して顔を守るような体制をとったが、いくら待っても何も来なかった。

 

そっと目を開けると、そこは暗闇以外何も無い無の空間が広がっていた。

 

「なんだここ…… 」

 

「ここは無の世界。まぁ、その名の通り何も無い空間ですよ 」

 

「ここで殴り合いでもするってか? 」

 

「まさか、ここは平和的に一つデュエルでもしましょう。いわゆる、闇のゲームって奴ですよ 」

 

「それのどこか平和的だ…… 」

 

「まぁまぁ、血みどろの殴り合いよりかは遥かにマシでしょう 」

 

ポルーションが指を鳴らすと、俺の目の前にはデュエルフィールドのような物が浮かび上がり、デッキゾーンや墓地、メインモンスターゾーン等必要な場所が青色の炎のような物で区切られていた。

 

炎は熱くなく、まるで透明な板がそこにあるように手も置けた。どうやら、奴は本気でデュエルをするつもりみたいだ。

 

カバンからデッキケースを2つ取り出し、【六花】と【閃刀姫】どちらを使うべきか悩んでいた。

 

いつも使い慣れているのは【六花】の方だが、カードパワーは【閃刀姫】の方が大きい。ここは【閃刀姫】の方を使うべきかと判断し、【閃刀姫】のデッキを取り出すと、目を疑う光景が起こっていた。

 

デッキから取り出したレイとロゼのカードが消えかかっていた。カードでは無く、テキストはイラストが薄く、ほぼ白紙のような状態になっていた。レイやロゼだけでは無い、閃刀姫リンクモンスター全ても同じような状態になっていた。

 

「な……なんだこれは!? 」

 

「あぁ、恐らく閃刀姫達が死にかけの状態だからですね。確かあの人達は存在ごとこの世界に来たと言っても元は精霊……元の存在が消えればカードも消えますよ。まぁ、使いたければ使ってください。もっとも、寿命を縮めるだけですがね 」

 

という事は……同じ状態のティアドロップもそうなのか?確認する為に六花デッキを取り出すと、やはり【六花聖ティアドロップ】と【六花聖華ティアドロップ】のカードだけが白紙のようになっていた。

 

「いや〜正直私は閃刀姫とは戦いたく無かったんですよね〜閃刀姫2人があんな状況になってくれて良かった良かった 」

 

「お前……まさかこの事を見越して……! 」

 

「はて?たまたまですよ〜 」

 

わざとらしく振舞ったあの態度は間違いない。あいつは初めからこの状況を作り出そうとしていたんだ。生身の戦闘だと勝ち目が無いと踏み、わざと自分が有利な状況を作り出したのだ。

 

もしもこの状況でレイ達を使ってしまえば、もう本当に取り返しがつかない事になる。ここは監視者を信じて、このデュエルに勝つしかない。閃刀姫デッキをしまい、俺が使うデッキは六花デッキに決まった。

 

デッキを炎が浮かぶ見えない板に置き、ポルーションもデッキを取り出して板の上に置いた。

 

双方デッキが板に置かれると同時にデッキは突然自我を持ったかのように動き出し、自動的にシャッフルを開始した。数秒のシャッフルが終わり、デッキから5枚カードをドローすると、お互いのライフ8000の数字が描かれた炎の文字が空中に表れた。

 

「さぁ、始めましょうか。闇のデュエルをね……? 」

 

「負けたらどうなるんだ 」

 

「さぁ?闇にでも呑まれんじゃ無いでしょうか? 」

 

ポルーションの不気味な笑みとは裏腹に俺は厳格な目つきでポルーションを睨んだ。コイツだけは……許さない。怒りで無意識に手札を強く握り、俺たちはデュエル開始の宣言をした。

 

「「デュエル!! 」」

 

桜雪 花衣 残りライフ8000

 

Vs

 

ポルーション 残りライフ8000

 

「先行はそちらで構いませんよ? 」

 

「随分と余裕だな 」

 

「なに、こちらのデッキは少々特殊でしてね。ハンデという奴ですよ 」

 

「くそっ……! 」

 

始終舐められている態度で気に入らないが、先行なら妨害の展開が組める筈だ。ここは甘んじて先行を受け取り、手札から1つの魔法カードを取り出す。

 

「俺は魔法カード【ワンフォー・ワン】を発動。手札の【薔薇恋人】を捨て、デッキレベル1モンスター【六花のひとひら】を特殊召喚する! 」

 

六花のひとひら

レベル1/水属性/植物族/ATK0/DEF0

 

「ひとひらの効果発動。デッキから六花モンスターの【六花精ヘレボラス】を手札に加える。更に、手札から【イービルソーン】を通常召喚し、効果を発動。このモンスターをリリースし、相手に300ポイントのダメージを与える 」

 

フィールドに現れたイービルソーンは自身の房を破裂させ、鋭利な棘がポルーション襲いかかった。

棘はポルーションに掠り、奴に300ダメージを与えた。

 

ポルーション 残りライフ 8000→7700

 

「そして、同名カードを2枚デッキから特殊召喚する 」

 

破裂した房から2体の小さなイービルソーンが成長して現れ、フィールドに残る形となった。これでフィールドには3体の植物族モンスターが存在し、いつもならここからスノードロップの効果でひとひらをリリースし、手札の植物族と一緒に出すが、あいにく今の手札にはスノードロップはいない。

 

本来、さっきひとひらの効果でスノードロップを手札に加えるのが本来の動きだが、今回は新しいカードを使ってみることにする。

 

「俺は、【イービルソーン】2体でリンク召喚!召喚条件は、【植物族モンスター2体】! 」

 

上空にリンクサーキットが現れ、2体のイービルソーンはサーキットにある右下と左下のマーカーに飛び込むと、サーキットからぶどうの花と共にモンスターが降り立った。

 

紫色の髪に、まるで芸者のように髪型と黒く、ぶどうの柄が描かれたモンスターは俺の新しいモンスターだ。

 

「現れろ!リンク2【森羅の舞踏娘ピオネ】! 」

 

森羅の舞踏娘ピオネ

リンク2/風属性/植物族/ATK1200

 

「ピオネの効果発動!このカードが召喚した時、デッキの上から3枚めくり、その中に植物族モンスターを2体まで特殊召喚でき、残りは墓地に捨てる 」

 

デッキトップから3枚めくると、3枚のカードは【光の王マルデル】、【六花精エリカ】、【ローン・ファイア・ブロッサム】の3枚だった。

全て植物族なのでこのうちの2枚をフィールドに出せる事が可能だ。

 

「俺は【光の王マルデル】と【ローン・ファイアブロッサム】を特殊召喚し、ヘレボラスは墓地に送る。そして、特殊召喚されたモンスターは、リンク召喚の素材には出来ない 」

 

「ほほぅ……大した展開力だ。ですが、効果は使えない筈だ。貴方のターンはこれで…… 」

 

「誰が効果が使えないと言った 」

 

「はて? 」

 

「ピオネの効果で特殊召喚されたモンスターは、リンク召喚の素材に出来ないだけで、効果は使える!マルデルの効果を発動!デッキから植物族モンスターを手札に加える事ができる。俺は【六花精プリム】を手札に加える 」

 

そう、これがこのモンスターの強みだ。大抵、他のモンスターを特殊召喚する効果を持っているモンスターは、効果が無効にする物が多いが、このピオネはその制約が無い。だが、このモンスターの真骨頂はまた別にある。

 

だがまだ盤面がまだまだ不足している。この効果のおかけで、まだまだ動かせる筈だ。

 

「更に、ローン・ファイアの効果発動!フィールドのモンスターをリリースする事で、デッキから植物族を特殊召喚する。俺は【光の王マルデル】をリリースし、デッキから【六花精ボタン】 を特殊召喚する 」

 

これでメインモンスターゾーンは3体になり、更に植物族モンスターによってボタンが特殊召喚された為、ボタンの効果が発動する。

 

「更にボタンの効果発動!植物族モンスターの効果によって特殊召喚された時、デッキから【六花】魔法・罠カードを1枚加える 」

 

さて、どれを手札に加えるべきか……相手がどんなデッキを使うのか分からないが、ここで加えるべきなのは罠カードの【六花の薄氷】か、【六花深々】のどれかだろう。

 

それに、ポルーションが言っていた、少々特殊というのが気になる。

 

「俺はデッキから【六花の薄氷】を加える。更に、自分フィールドのモンスターがリリースされた事により、手札の【六花精プリム】 を特殊召喚する 」

 

俺が加えたのは相手のモンスター効果を無効化する【六花の薄氷】だ。俺の場や手札には魔法・罠カードを無効化するモンスターはいないが、リンクモンスターのピオネのリンク先には、【ローン・ファイアブロッサム】と【六花精ボタン】がいる。ここからがピオネの真骨頂だ。

 

「ピオネのモンスター効果発動!墓地の植物族モンスター、【光の王マルデル】を対象に、リンク先にいるモンスターのレベルを対象にしたモンスターと同じにする。マルデルのレベルは9、リンク先にいるローンとボタンよレベルを9にする! 」

 

「レベル9のモンスターが2体ですか…… 」

 

「俺は、レベル9となった【ローン・ファイアブロッサム】と【六花精ボタン】でオーバーレイ! 」

 

2体のモンスターの姿が光の玉へと変わり、上空に生まれた黒い穴へと飛び込み、その穴の向こうからは蒼穹の翼を羽ばたかせ、この無の世界へとかけてゆく緑の毛皮を持った神獣がやってきた。

 

「ランク9、【神樹獣ハイペリュトン】!! 」

 

神樹獣ハイペリュトン

ランク9/地属性/植物族/ATK2600/DEF1900

 

「ほぅ……? 」

 

「まだ終わらない!俺はひとひらとピオネでリンク召喚!召喚条件は、【植物族モンスター2体!】来い!【アロマセラフィー・ジャスミン】! 」

 

アロマセラフィー・ジャスミン

リンク2/光属性/植物族/ATK1800

 

「俺はジャスミンをもう片方のエクストラモンスターゾーンに配置する 」

 

俺がもう片方に置いた理由は、そのリンク先にはプリムがいるからだ。ジャスミンとピオネのリンク先は同じであり、もし同じ場所に召喚したらジャスミンの特殊召喚効果が使えなくなってしまうからだ。

 

「俺はジャスミンの効果を発動。リンク先のプリムをリリースし、デッキから植物族モンスター【桜姫タレイア】を特殊召喚する 」

 

桜姫タレイア

レベル8/水属性/植物族/ATK2800/DEF1200

 

タレイアの効果はフィールド上に存在する限り、自分フィールドの植物族モンスターは効果では破壊されない効果を持つ。

 

今俺の場には、エクストラモンスターゾーンにジャスミン、そのリンク先にハイペリュトンとタレイアがいる。

 

ジャスミンによって恐らく1度だけはどのモンスターも戦闘では破壊されず、そしてタレイアがいる限り、俺のモンスターは効果では破壊されない。

 

更に、タレイアの攻撃力は自分フィールド上の植物族モンスター×100ポイントアップする為、攻撃力は3100となっている。

 

理想的な盤面だが、ポルーションはこの状況を楽しんでいるかのように笑っている。そしてその目は、まるでどんな風に怖そうかと言っているような邪悪な目をしており、俺はこの盤面でも油断は出来なかった。

 

「俺は魔法カード【オーバレイ・リジェネート】を発動。ハイペリュトンを対象に、このカードを対象のエクシーズモンスターのエクシーズ素材になる! 」

 

これでハイペリュトンは魔法カードの発動を無効化に出来、ほぼ完璧な盤面となった。

 

「俺は、カードを2枚伏せてターンエンド 」

 

「いや〜素晴らしい素晴らしい!まさか手札を4枚を残してこれ程回せるとは。更に、場には魔法・罠を無効にするハイペリュトンと、手札には植物族モンスターに対してのモンスター効果を無効化するヘレボラスときましたか……ふぅむ、困りましたね〜 」

 

「そのわざとらしい演技はそろそろ止めたらどうだ 」

わざとらしい力ない拍手と、わざとらしい声のトーンは聞いていて苛立ちが込み上げてくる。

それを聞いたポルーションは心外だと言うような驚いた顔でこちらを見た。

 

「いやいや本気でそう思ってますよ。さて……じゃあ私のターンっと 」

 

まるで知り合いの人とデュエルするような緊張感の無いドローをすると、ポルーションはすぐ様モンスターを召喚してきた。

 

「私は、汚染大罪(ポルーション)・バクテリアを通常召喚 」

 

「汚染大罪?何だあのカード……!? 」

 

見た事も聞いた事も無いカードが召喚されると、フィールド上には丸型で汚れた色をしたウィルスのような物が静かに浮かんでいた。

 

汚染大罪:バクテリア

レベル1/闇属性/機械族/ATK0/DEF0

 

「……攻撃力0? 」

 

しかもこれといったステータスも無い。一体何のデッキ何だ……?

 

「バクテリアの効果発動。このカードが召喚された時、メインモンスターゾーン1つに汚染カウンターを1つ乗せます 」

 

「メインモンスターゾーン上に……?」

 

「そう、貴方のモンスターゾーンにね。では手始めに……ハイペリュトンにいる場所にカウンターを乗せましょう 」

 

バクテリアが奇妙に蠢き、バクテリアの1部が分裂するとハイペリュトンの足元に破片が飛び散り、その破片は蒸発すると紫色の霧がハイペリュトンの周りに立ち込めた。

 

幸いハイペリュトンには何も影響は無いが、嫌な予感がしてならない。

 

「更に、バクテリアもうひとつの効果発動。手札を1枚捨てる事で、このカード以外の【汚染大罪】モンスターをデッキから手札に加える。私は、【汚染大罪・ダイオクサイド】を手札に加え 」

 

「させない!ハイペリュトンの効果発動!相手がモンスター、魔法、罠のいずれかを発動した時、それと同じ素材を取り除く事でその効果を無効にして破壊する!俺は【ローンファィア・ブロッサム】を取り除き、お前のモンスターを破壊! 」

 

ハイペリュトンが雄々しい羽を羽ばたかせてかまいたちをバクテリアに向けると、鉄をも切り裂く風によってバクテリアは真っ二つとなって破壊された。

 

「おやおや……コストとしてこのカードは墓地に捨ててしまいました……残念だ 」

 

ポルーションは1枚の罠カードを捨てた。様子からして、あのカードを墓地に捨てたかったのか?今の所、上級モンスターらしきものは確認できていない。手札に加えなかった所を見るに、既に手札にはあるのかそれとも、まだ必要ないと判断してるか、或いはまだ出せないのか?

 

「破壊されたバクテリアの効果発動。このカードが効果によって墓地に送られた時、デッキから【汚染大罪】カードを1枚手札に加える。私が加えるのは……【汚染大罪・ダイオクサイド】です。破壊したのが裏目に出ましたね 」

 

「くっ……! 」

 

「更に、先程手札に捨てた罠カード【汚染大罪・疫病蔓延(ポルーション・ゲノムインフェステイション)】の効果発動。このカードが墓地へ送られた時、自分フィールド上のメインモンスターゾーンに【汚染カウンター】を一つ乗せる。では、真ん中辺りにしますかね 」

 

突然ポルーションのフィールドに一部泥水のような色をした水が流れ込み、その水には何か腐った様な臭いがした。しかもよくよく見ると何かの死骸なのだろうか、不気味な物体まで浮いており、俺のモンスター達もそのフィールドに対して避けていた。

 

「まだ行きますよ。自分フィールド上に汚染カウンターが一つ以上ある時。手札の【汚染大罪・ダイオクサイド】を特殊召喚します 」

 

汚染大罪・ダイオクサイド

レベル2/闇属性/機械族/ATK0/DEF200

 

またしてもウイルスの様な見た目をしたモンスターだ。使っている本人と言いフィールドといい、不気味なカードを使う……

 

「【ダイオクサイド】の効果発動。このカードが召喚に成功した時、フィールド上のメインモンスターゾーン1箇所に汚染カウンターを乗せます。今度はそのタレイアのいるゾーンに置きましょうかね 」

 

今度はタレイアがいるモンスターゾーンに汚染カウンターが乗せられ、これでフィールド上には俺が2つ、ポルーションが1つの合計3つとなった。今の所このカウンターを使用した効果は使われていない。一体このカウンターはなんなんだ……?

 

「おや?どうやら私のモンスターが気になるご様子で? 」

 

興味を持ってくれて嬉しいですよと言わんばかりの笑みに俺は何も答えず、ポルーションは鼻歌を歌いながら楽しげに場面を見つめていた。

 

「まぁ見ててくださいよ。これからが本番なんですから 。【汚染大罪・ダイオクサイド】の効果発動。汚染カウンターがフィールド上に2つ以上存在する時、デッキからこのカード以外のレベル2の【汚染大罪】モンスターを特殊召喚する!私はレベル2の【汚染大罪・カーボン】を特殊召喚!」

 

汚染大罪・カーボン

レベル2/闇属性/機械族/ATK0/DEF200

 

「レベル2のモンスターが2体…… 」

 

「御察しの通り。私はレベル2の【汚染大罪・ダイオクサイド】と【汚染大罪・カーボン】でオーバーレイ! 」

 

2つのウイルスが混じり合いながら黒い地面へ溶け込むように消えると、地面から黒い液体が吹き上がった。

 

「人の罪から生まれた原子よ……その滾る炎で世界を汚し!人に発展あれ!発生せよ!ランク2【汚染大罪・カーボンダイオクサイド】!!」

 

嗅ぐと吐きそうな臭いが辺りを包み、液体の向こう側から何かの骨がいくつも突き刺して出来たような肉食恐竜の化石が燃えており、その背中が工場のような煙突が突き刺さっていた。尻尾から何か黒い物が垂れ流しており、異様の一言がこれ程似合うモンスターはそうそういないモンスターがフィールドに表れた。

 

「さぁ始めましょう。これが人の罪。人の業だ……! 」

 

人の罪の権化が高らかに吠え、不気味な眼光を灯した……




新たなテーマ【汚染大罪】

確認されているモンスター

【汚染大罪・バクテリア】
レベル1/闇属性/機械族/ATK0/DEF0

(1)このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、フィールド上のメインモンスターゾーン1つに汚染カウンターを1つの乗せる。

(2)1ターンに1度、手札を1枚捨てる事で発動出来る。このカード以外の【汚染大罪】と名のついたモンスターを一体手札に加える。この効果を使用したターン、自分は【汚染】モンスターしか特殊召喚出来ない。

⑶このカードが効果で墓地に送られた時発動できる。デッキから【汚染大罪・バクテリア】以外の【汚染】カードを1枚手札に加える。

【汚染大罪・ダイオクサイド】
レベル2/闇属性/機械族/ATK0/DEF200

⑴フィールド上に汚染カウンターが1つ以上ある時、このカードは手札から特殊召喚出来る。

⑵このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、フィールド上のメインモンスターゾーン1つに汚染カウンターを1つ乗せる。

⑶フィールド上に汚染カウンターが2つ以上存在する時発動出来る。デッキから汚染大罪・ダイオクサイド以外のレベル2【汚染】モンスターを特殊召喚できる。この効果を使用したターン、自分は【汚染】モンスターしか召喚出来ない。

【汚染大罪・カーボン】
レベル2/闇属性/機械族/ATK0/DEF200

(1)このカードが【汚染】カードによって召喚された時、フィールド上のメインモンスターゾーン1箇所に【汚染カウンター】を一つ乗せる。

⑵相手が魔法・罠カードの発動した時発動出来る。相手魔法・罠ゾーン1箇所に汚染カウンターを一つ乗せる。

【汚染大罪・カーボンダイオクサイド】

????????


魔法・罠カード

【汚染大罪・疫病蔓延】(ポルーション・ゲノムインフェステイション)

???????

ここまで(〜90話)出てきたレゾンカードの中で強いと思うのは?

  • 六花聖華ティアドロップ、カイリ
  • 閃刀騎-カイムと閃刀騎-ラグナロク
  • 銀河心眼の光子竜
  • RRRリノベイルイグニッションファルコン
  • 炎転生遺物-不知火の太刀
  • 常闇の颶風

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