六花テーマを作って愛用したらそのまま俺への愛が重くなった件について 作:白だし茶漬け
さて、マスターデュエルもそろそろ一週間でしょうか。スマホ版もリリースされていつでもどこでもデュエルが出来るようになり、遊戯王というコンテンツの普及率も上がったのではないでしょうか。
マスターデュエルについては私はプラチナに行ったと言う事だけで殆どいう事は無いですね~^^;
強いて言うならスターダストシンクロンと想い集いし龍ら辺とか閃刀起動リンケージとピオネを早く出してくれと言ったところです。
暗い底の闇の中で、1人の撫子が氷の風花を纏い、新たな姿を顕そうとしていた。
汚れきった世界の中ただ一点、美しさを保とうものなら、それは意志の強さでもある。如何なる時も己の意志を曲げず、ただ根強く咲いた花は、その秘めたる想いを解き放とうとしていた。
「秘めたる想いを積もりし撫子よ!その誓いの名のもとに、秘めたる思いが紡ぐ時ここに来たれり!ランクアップエクシーズチェンジ! 」
汚染カウンターが乗せられていないモンスターゾーンに【六花聖華カンザシ】を召喚すると、氷の風花の中に咲く一輪の花のように、六花聖華となった白無垢のカンザシがフィールド上に降り立った。
六花聖華カンザシ
ランク7/水属性/植物族/エクシーズ/ATK2600/DEF2600
「あれが……六花聖華になったカンザシか……? 」
カンザシ自身も予想していた通り、雪のように白い白無垢を身にまとい、綿帽子と言うのか、大きな白い袋状の被り物をしていた。この状況じゃなければ、俺とカンザシももっと素直に喜んでいたのだろうが……
「まさか、こんな形で六花聖華になるとは……いえ、こんな形だからこそでしょうか。さぁ旦那様、六花聖華となった私の力。存分に使ってください 」
「あぁ!行くぞカンザシ! 」
カンザシがフィールドに現れた事により、ほぼ白紙だった【六花聖華カンザシ】のカードテキストが浮かび上がり、ようやくカードとしての効力を得た。
「【六花聖華カンザシ】の効果!このカードが【六花の誓い】によってエクシーズ召喚された時、フィールドと墓地のモンスターは全て植物族となる! 」
カンザシはいつも持っていた氷の傘の形を変え、2つの氷の扇を形成した。2つの扇を投げ、自分の手足のように扇を空中で自由に飛び立たせる。
扇はフィールドを中心に大きく回り、やがてフィールドには氷の花々が咲き誇った。汚染カウンター上にあったモンスターゾーンが毒々しい場所から花が咲き、2体の【汚染モンスター】の体にも氷の花が咲き誇った。
やがてフィールドは氷花の世界となり、さっきまで炎があったことなんて信じられない程に変貌した。
「これでお前の罠カード【汚染大罪・自然破壊】はお前のモンスターにも適用される!」
フィールド上には、【六花のひとひら】のレベル1、【桜姫タレイア】のレベル8、【六花聖華カンザシ】のランク7、【汚染大罪・ダイオクサイド】のランク2、そして【汚染大罪・サルブトリオサイド】のランク3の合わせて21であり、全てのモンスターの攻撃力はその×200……4200ものダウンであり、全てのモンスターの攻撃力は0となった。
【汚染大罪・ダイオクサイド】ATK2000→0
【汚染大罪・サルブトリオサイド】ATK2300→0
「なるほど中々強力な効果だ……ですが、【ダイオクサイド】は汚染カウンター上にあるモンスターゾーンにいる限り戦闘では破壊されない。攻撃しようにも貴方達の攻撃力は0であり、相打ちにはなりませんよ? 」
「それはどうかな? 」
「なに……? 」
「【六花聖華カンザシ】の効果発動!オーバレイユニットを一つ使うことで、俺のフィールドにいる植物族モンスターは、俺が発動するカード効果以外受け付けない! 」
エクシーズ素材である【六花の誓い】を取り除き、カンザシは扇から元の氷の傘に変形させると、カンザシは芸者のように艶やかな舞を踊ると、タレイアの桜の枝が氷に包まれた。
その氷はやがて溶け始めると同時に蕾が咲き、やがて直ぐに桜の花びらがタレイアの周りに咲き始めて元の桃色の姿に戻り、ひとひらも周囲の風花を受けて元気を取り戻したかのように元気よく飛び跳ねた。
「ひとひら……!良かった…… 」
これにより、俺のモンスターは【汚染大罪・自然破壊】の効果は受け付けず、攻撃力と守備力は元に戻る。
更に【タレイア】に対しては、自身の効果が復活して攻撃力は300上がる。
【桜姫タレイア】ATK0→3100
「おやおや、これじゃあ墓地にある【汚染大罪・豪炎黒煙】を出しても意味は無いですね 」
「更にひとひらの効果を発動し、デッキから【六花精エリカ】を手札に加え、ひとひらをリリースしてアドバンス召喚! 」
ひとひらがリリースされ、フィールドにエリカが召喚されると、隣にいた六花聖華となったカンザシの姿をまじまじと見ていた。
「それが六花聖華ね……こんな状況でも無ければゆっくり見てみたい気もするけど 」
「今は状況が状況です。今はあの方を何とかしましょう 」
カンザシの言う通りだ。さっさとアイツを倒し、ティアドロップ達の所に戻らなければならない。ここは一気に攻める!
「バトルだ!俺は【六花精エリカ】で、【汚染大罪・サルブトリオサイド】に攻撃! 」
はカンザシの効果で俺が出すカード効果以外の効果は受け付けていない状態な為、攻撃力に変化は無いが、カンザシのもう1つの効果で植物族となっている【サルブトリオサイド】は、汚染カウンター上に存在している為、ポルーションの永続罠である【汚染大罪・自然破壊】の効果を受けており、攻撃力が0。
よって、ダイレクトアタックを受けるとも言ってもいいダメージを与えられる。
エリカは氷の傘先から氷の刃を形成し、風を切るように飛ばすとサルブトリオサイドの雲を断ち切り、真っ二つとなったサルブトリオサイドは濁った色の雨を降らせながら黒い光と共に消滅した。
ポルーション 残りライフ8000→5600
「【汚染大罪・サルブトリオサイド】の効果、このカードがフィールド上から離れた時、デッキから【汚染大罪】罠カードを手札に加える。私は【
「まだだ!俺は【桜姫タレイア】で【汚染大罪・ダイオクサイド】に攻撃!! 」
今度はタレイアが桜の風花をダイオクサイドに向けると、ダイオクサイドはその風花に触れると肌が切り裂かれ、その衝撃波がポルーションまで届き、白衣がズタボロになっていった。
ポルーション 残りライフ 5600→2500
「これでトドメだ!俺は【六花聖華カンザシ】でダイレクトアタック! 」
カンザシの今の攻撃力は2600。対してポルーションのライフは2500。これが通れば俺の勝ちだ……!
しかし、ポルーションは余裕の笑みを浮かべ手札からカードを取り出した。
「私は手札から罠カード、【汚染大罪・大気破壊】を発動! 」
「また手札から罠……! 」
「このカードは自分フィールドに汚染カウンターが3つ以上ある時手札から発動出来ます。フィールドにある汚染カウンターを任意の数取り除き、その数と同じレベルかランクの【汚染大罪】モンスターを墓地から効果を無効にして特殊召喚する。私は、【六花精エリカ】のいる汚染カウンターを取り除き、墓地から【汚染大罪・バクテリア】を守備表示で召喚!そしてバクテリアの効果を発動し、私は再度エリカの所にカウンターを置く! 」
「バトルは続行する!行けカンザシ! 」
カンザシは氷の扇を開くと、特殊召喚されたバクテリアの地面から氷の花が咲くと、その花は満開になった瞬間に爆散してバクテリアを破壊した。
「バクテリアが墓地に行った事により、私は手札から【汚染大罪・原子炉壊滅】を手札に加えます。ふぅ、危ない危ない。間一髪と言った所ですね 」
「ぐっ……!カードを2枚伏せてターンエンド 」
僅かに届かなかった煩わしさで声が漏れ、俺はターンを終了した。
「いや〜惜しかったですね〜。あともう少しで悪者の私を倒せたのに 」
何がもう少しだ。と言いたいほどポルーションは余裕そうな顔を浮かべながら力無い拍手をしていた。しかし、さっきからあの余裕は何だ……?
【六花聖華カンザシ】が出てきた時もそれ程驚いてはいなかったし、まるでこの出来事を予想していたかのような感じだ。
「では私のターン。それにしても、その【六花聖華カンザシ】というカード……随分とあのカードと相性が良くはありませんか? 」
「あのカード? 」
「とぼけないで下さいよ。デッキに入ってるでしょ?【暗黒世界・シャドウディストピア】を 」
「なっ……! 」
なんでこいつシャドウディストピアの事を知ってるんだ!?確かに前はデッキに組み込んではいたが、今は入れてはいない。あのカードは危険だ。何故かは知らないが俺が俺では無くなりそうな恐怖でデッキに抜いており、今このデッキには間違いなく無いはずだ。
「悪いが、そのカードを入れることはもう無い 」
「おや、それは些か勿体ないのでは? 」
確かにポルーションの言う通り、カンザシの効果はシャドウディストピアと噛み合っていると言えば噛み合っている。
例えば、シャドウディストピアが設置され、場には【六花聖華カンザシ】がいたら、フィールド上の全てのモンスターは植物族かつ闇属性になる。
そしてシャドウディストピアには自分がカードの効果を発動するために自分フィールドのモンスターをリリースする場合、自分フィールドのモンスター1体の代わりに相手フィールドの闇属性モンスター1体をリリースできるという効果を持っている。
六花カードの大概はリリースして使う為、リリースして発動する【六花絢爛】や【六花深々】のコストを、一方的に相手モンスターを除去してアドバンテージを取れることだって可能だ。
だが、俺が俺では無くなるあの蝕む恐怖が忘れられず、俺はあのカードを使わないと心に誓っている。
「俺はもうあのカードは使わない……使いたくは無いんだ…… 」
「そのカードが貴方の本質なのに? 」
「お前……さっきから何なんだ!俺の何を知っているんだっ! 」
「全てです 」
「何……? 」
俺の全てを知っているだって?そんな馬鹿な。俺はポルーションと今日初めて出会ったんだぞ。それは間違いない。だが、ポルーションは俺の事を知っている……
俺は……こいつとはどんな関係なんだ?そもそもこいつは一体何者なんだ?
「旦那様!あの方の言う事に惑わされてはいけません! 」
「えぇ、全て貴方を惑わす嘘に決まっています! 」
「おやおや、これまた随分な言い様だ。では、そろそろ終わらせるとしましょう 」
そう言ってポルーションは最初のターンに持っていたカードをかざすと途端、ポルーションのフィールドにある汚染カウンターなのか、タールのような物体が蠢き始めた。
「このカードは、私のフィールド全てに汚染カウンターが乗っていないと召喚が出来ないものでしてね。だが、私のフィールドの全てに汚染カウンターがある。見せてあげましょう。私の切り札と言うものを! 」
タールが次々と集まりだし、全ての物が集まると途端に一部が伸び始め、まるで巨大な腕のような物に変形した。腕が出来たあとは細長い足のような物も生え、となるとやはり次に出てくるのは頭部だった。
「人の罪から生まれし原子よ!その最悪の悪夢を呼び覚まし、自然と悪意を糧に人に発展あれ!発生せよ!人類が生み出した最高最悪の原子!【汚染大罪・ウラン】!! 」
タートルを纏った巨人は、まるでフィールドを食い尽くすかのようにタートルまみれの下半身フィールドと一体化になっており、顔がまるで焼けただれた人の顔のようだった。
「オォオ……ウォァオオオ…… 」
汚染大罪・ウラン
レベル10/闇属性/機械族/ATK????DEF????
まるで炎の中で苦しんでいるかのような呻き声に俺たちは絶句し、余りの異質さに恐怖すらも感じた。
「このカードの攻撃力と守備力は、フィールド上の汚染カウンターの数×500ポイントアップする。フィールドには、私のフィールドに6つ、貴方のフィールドには4つの合計10個です。よって攻撃力は…… 」
「……5000!? 」
汚染大罪・ウラン ATK0→5000
「いや……それよりもなんで攻撃力が5000なんだ!?お前のモンスターはカンザシの効果で植物族になってるはずだ。つまり、お前の永続罠の【汚染大罪・自然破壊】で攻撃力は減る筈だぞ! 」
「残念ですが、このカードは汚染カウンター上にある時【汚染大罪】のカード効果以外を受けません。ですから、このモンスターの種族は植物族では無く元の機械族のままです 」
そういう事か……しかし、厄介な事になってしまった。攻撃力が5000なんて、俺の場にいるカンザシ、エリカ、タレイアでは歯が立たない……
「更に、フィールドに汚染カウンターが5つ以上存在する時、永続罠【汚染大罪・原子炉崩壊】を手札から発動出来ます 」
「くそ、また手札から罠カードを……! 」
「これが私のカードですからね 」
ポルーションは【原子炉崩壊】というカードを設置すると、ウランの背後に巨大な施設のようなものが表れた。
まるで原子力発電所見たいな壺型の形をした建物の中から青い煙が立ち上っており、永続罠と言うよりかはフィールド魔法のような印象を受けた。
「バトル!私は【汚染大罪・ウラン】で、【六花精エリカ】に攻撃! 」
「罠発動!【六花深々】!エリカをリリースして、墓地から六花モンスターと植物族モンスターを守備表示で特殊召喚する! 」
「場の永続罠【汚染大罪・疫病蔓延】の効果発動!そのカードの発動を無効にして破壊し、更にその場に汚染カウンターをひとつのせる!これでウランの攻撃力は500アップする! 」
汚染大罪・ウラン ATK5000→5500
「【六花精エリカ】は【六花深々】のコストによりいなくなり、攻撃は巻き戻る!私は再度ウランで【桜姫タレイア】に攻撃!」
「罠発動!【ハーフアンブレイク】!タレイアを対象にし、このターンタレイアは破壊されず、戦闘ダメージは半分になる! 」
タレイアの攻撃力は3000で、ウランは5500なので発生する戦闘ダメージは本来2500だが、その半分の1250に抑えられる。
ウランの右腕が無数に分裂し、エリカに襲いかかるが、【ハーフアンブレイク】のシャボン玉のような物がエリカを覆い、破壊から守った。だが、その衝撃は俺の方にまでは守る事は出来ず、俺はその衝撃で吹き飛ばされてしまう。
桜雪花衣 残りライフ3700→2550
「なかなかしぶといですね。私はこれでターンエンドです 」
「エンドフェイズ時、ひとひらは墓地からフィールドに……ガはっ!? 」
ポルーションのエンドフェイズが迎えた瞬間、何故か俺は体に異変が生じ、前触れも無く吐血した。
訳も分からず血が着いた右手を眺め、あまりの苦しさに膝を崩してしまう。
「花衣さん!? 」
「旦那様っ!?どうされましたか!? 」
「分からない……でも、急に体が…… 」
「あぁ〜言い忘れましたがこちらの【汚染大罪・原子炉崩壊】もエンドフェイズで発動するカードなんですよ。場に【汚染大罪・ウラン】が存在する時、エンドフェイズ時に相手プレイヤーにフィールドの汚染カウンター数×200ポイントのダメージを与えます。場には11個あるので、2200のダメージを受けてもらいました 」
桜雪花衣 残りライフ2550→350
「そう……いう事か…… 」
苦しながらも立ち上がり、何とかひとひらは墓地から復活したが、状況はこっちが不利だ。
ウランの攻撃力5500に対抗出来るモンスターはおらず、魔法や罠で攻撃を防ごうにも【汚染大罪・疫病蔓延】で妨害されてしまう。
いや、それ以前にこのターンで決着をつかなければ確実に俺は負ける。俺のこのドローカードで仮に攻撃を防ぐような罠を引いても無効化され、ポルーションが何もせずにエンドフェイズを迎えると俺は防ぎようの無い2200のダメージを受けて俺は敗北する。
つまり俺が勝利する為には、効果力5500を超える何か……いや、ポルーションのライフを削りきるほどのダメージを与えなければならない。
(せめてティアドロップがいてくれれば……! )
【六花聖華ティアドロップ】ならかなりの攻撃力がアップでウランを倒せるとは思うが、今のティアドロップの状態はポルーションの毒のせいであまりにも酷い状態だ。
そんな状態でティアドロップを召喚して無理をさせれば……本当にティアドロップは……
『……い……ま 』
「……!?誰……? 」
俺の頭の中で微かだが誰かの声が聞こえた。周りを見ても誰もおらず、カンザシやエリカの声でも無い。
だけど、聞き覚えのある声だった。
『花衣様っ! 』
俺の名前が呼ばれたその声は、聞き間違いようがない声だった。待ち焦がれ、無事だと理解した途端、嬉しさで涙が誘われそうだった。
「……ティアドロップ!? 」
エクストラデッキにあるティアドロップのカードから、青い光と共にティアドロップが飛び出した。
飛び出してきたティアドロップを優しく受け止め、俺の目の前には本当にティアドロップがいるとようやく実感出来た。
ティアドロップの肌の温もりと感触、絹のような白い髪の感触が手から伝わってくる。
「……良かった……本当にっ……! 」
ここにいる。確かにティアドロップがここにいるという事実で一筋の涙がこぼれてしまった。
「はい、私は確かにここにいます 」
ティアドロップは流れた涙をそっと人差し指で拭い、優しく微笑みかけてくれた。
ティアドロップの無事な姿を見た六花達も安堵の表情を漏らし、ひとひらに至っては一直線にティアドロップの頬に飛び込んできた。
ひとひらの顔からは涙が大量に流れており、良かったと言わんばかりにティアドロップの頬に擦り寄っていた。
「貴方にも心配かけましたね。ひとひら、ですが……もう大丈夫よ 」
「馬鹿な……貴方は私の毒から立ち直るなんて有り得ない!何故だ!? 」
無事なティアドロップを前にポルーションは初めて動揺した表情を浮かべていた。有り得ないと連呼しながら爪を噛み初め、イラついているようにも見えた。
「あの監視者の魔法のおかげです。閃刀姫達も、あの小さな子も、森も浄化出来ました 」
「本当か!? 」
「そんな……有り得ないっ! 」
ここから外の様子は分からないが、ティアドロップはここにいる時点でその裏付けはされており、どうやら皆は無事のようだ。
「でも、どうしてレイ達は来てないんだ? 」
「命に別状はありませんが、まだ意識が取り戻せて居ない状態です。ご心配なく 」
「そうか……良かった 」
「それにしても……あのカンザシの姿はなんでしょうか? 」
ティアドロップは白無垢のカンザシを見て少々驚いた表情を浮かべ、それを見たカンザシはクスリと笑った。
「おかえりなさいティアドロップさん。よくぞご無事で何よりです。積もる話やこの姿の事も話したいのですが…… 」
「感傷に浸っている場合では無さそうですね…… 」
ティアドロップは向こうのフィールドにいるウランとポルーションを睨み、状況を察してくれた。
「魔法……魔法か……だから魔法は嫌いなんだよ!くそがァァ!!!! 」
ポルーションがまた豹変し、髪を激しく掻きむしり、行き場の無い怒りを撒き散らしていた。
「随分と荒れてるな……それがお前の本性か? 」
「うるせぇ!そんな事どうでもいいんだよ!たとえその女が戻ってきても状況は変わらない!俺の場には攻撃力が5500のウランと、魔法と罠を無効にする【汚染大罪・自然破壊】がある!お前の貧弱なモンスターじゃ勝てねぇんだよ!! 」
一人称と喋り方すらも変わり、ますますこいつの存在が分からなくなってきた。
「そして次のターン、お前は俺のエンドフェイズで確実にライフは消し飛ぶ!俺の勝ちだ! 」
確かにポルーションの言う通り、このままじゃ勝てない。魔法も罠も使えないこの状況で頼れるのは六花のモンスター効果だけだ。……でも、それで充分だ。
「勝てるさ……お前なんかに負けないさ!」
「あ? 」
「お前のように、何も関係ない人を巻き込んで、それを楽しむように笑うお前なんかには絶対負けないっ!俺のターン!!ドロー!! 」
ポルーションに対しての怒りを力に変えるようにカードを引き、ドローカードをゆっくりとめくる。めくったカードは……【六花精プリム】だった。
「俺はひとひらの効果発し、デッキから【六花精スノードロップ】を手札に加える。そして、ひとひらをリリースする事で、手札からスノードロップとプリムを特殊召喚! 」
「今更そんな雑魚を並べてどうする気だ! 」
「こうする気だ!モンスターがリリースされたことにより、墓地の【六花精エリカ】は墓地から守備表示で特殊召喚される! そして、スノードロップの効果を発動し、プリムを対象にすることで俺のモンスターのレベルは全て4になる!」
これでフィールドには、レベル4のモンスターが3体となった。
「俺はレベル4となった【六花精スノードロップ】と、レベル4の【六花精プリム】でオーバレイ! 」
プリムとスノードロップを中心に黄色の花々が吹き荒れ、花の中心にいる2人が見えなくなると同時に、風花は舞散ったと同時に中からストレナエが表れた。
六花聖ストレナエ
ランク4/水属性/植物族/ATK2000/DEF2000
「よーし!いつでも行けるよ! 」
どうやらストレナエはこれから俺のやることを分かっている様子であり、準備完了と言わんばかりに右腕をぐるぐる回していた。
「俺は【六花聖華】カンザシのオーバレイユニットを1つ使い、このターン俺の植物族は俺の出すカード効果以外受けない! 」
これで【汚染大罪・自然破壊】の効果は俺のモンスターには受けず、攻撃力は元の数値に戻る。更に、俺がエクシーズ素材として墓地に送ったカードは【六花精ヘレボラス】だ。場にはストレナエがおり、ティアドロップももう万全な状態だ。
「俺は墓地にいる【六花精ヘレボラス】の効果発動!このカードが墓地に存在する時、自分フィールドの植物族モンスターをリリースする事で墓地から守備表示で特殊召喚する。俺はストレナエをリリースする! 」
ストレナエが隣に一輪の花が咲き、その中からヘレボラスが表れると同時にストレナエは光を纏っていた。
それに合わせるように隣のティアドロップも六花模様の雪の光と共に消えていき、ストレナエの効果が発動する。
「ストレナエの効果発動。このカードがエクシーズ素材を持ったままリリースされた時、エクストラデッキからランク5以上の植物族エクシーズモンスターを特殊召喚する! 」
「ランク5以上……まさかっ! 」
「そのまさかだ!俺はエクストラデッキから【六花聖華ティアドロップ】を特殊召喚! 」
ストレナエが白く光り出すとその姿は徐々に大きくなり、やがて見知った姿となった。
雪のような白い花嫁衣装に、氷のような長い水色の髪をなびかせ、バージンロードを歩く花嫁のようにゆっくりとフィールドに表れた。
六花聖華ティアドロップ
ランク10/水属性/植物族/ATK3500/DEF2800
フィールドに2人の六花聖華が並びたち、汚染カウンターで汚れているフィールドにも関わらず美しく咲き誇っているような立たずまいをしていた。
【六花聖華ティアドロップ】は、本来【六花の誓い】によって召喚された時には、相手フィールドのカード効果を全て無効にし、相手フィールドのモンスターを全てリリースする事が出来るが、今回ストレナエの効果で特殊召喚した為、その効果は使えない。
その代わり、ストレナエの効果でストレナエ自身がオーバレイユニットになっている為、ティアドロップの効果は1度だけだが使える。
「行くぞ!俺は【六花聖華ティアドロップ】の効果発動!オーバレイユニットをひとつ使う事で、フィールドのモンスターをリリースし、その攻撃力分アップする! 」
「ウランは他のカード効果を受けない! 」
「いいや、俺がリリースするのは……【六花精ヘレボラス】だ! 」
「何っ!?自分のモンスターをリリースするのか!? 」
ティアドロップは氷の傘をタレイアに向けると、タレイアは桜の花弁を散らせながら消えていき、その桜の花々はティアドロップの氷の傘に纏った。
「ティアドロップの攻撃力はヘレボラスの攻撃力分アップする。さっきタヘレボラスの攻撃力は2600だ。そして、リリースされた事によりティアドロップはさらに攻撃力が500加算され、攻撃力は3100あがり、6600になる 」
六花聖華ティアドロップ ATK3500→6600
「攻撃力6600だと……!? 」
「バトルだ!俺は【六花聖華ティアドロップ】で【汚染大罪・ウラン】を攻撃! 」
桜の花弁を纏った氷の傘をティアドロップは振りかざすと、雪と桜の風花がウランを包み込み、下半身からウランの体が氷漬けにされていく。為す術ない攻撃にウランは苦しそうな声を上げ、やがて全身を氷漬けにされ、砕け散って行った。
ポルーション 残りライフ 2500→1400
「馬鹿な……こんな事認めるかっ!俺の化学の発展があんなぽっと出の魔法に負けるなんて認めるかァァァ!! 」
「終わりだ!俺は【六花聖華カンザシ】でダイレクトアタック! 」
カンザシは2つの氷の扇を振りかざすと氷の斬撃を飛ばし、2つの斬撃は真っ直ぐポルーションに向かって飛んで行った。ポルーションはここでは無いどこかに憎悪の目を向けており、何もすることは無かった。
氷の斬撃はポルーションを貫き、ポルーションは斬撃と共に遠くまで吹き飛ばされ、力なく地面に仰向けになって倒れた。
ポルーション 残りライフ1400→0
ポルーションのライフが0になったと同時にこの闇の世界の空間に亀裂が走った。亀裂の隙間から光が盛れ始め、やがてこの空間が砕け散った。
ガラスのように壊れた空間が消え去り、元いた森へと戻って行った。枯れ果てていた森は元の若々しい緑へと戻り、動物達も自身の足で立ち上がっており、その動物達の中心にある切り株の上には心咲ちゃんが横たわっていた。
「本当に戻ったのか……! 」
「花衣さん! 」
背後からレイの声が聞こえ、俺はすぐさま振り返ると目の前にはレイとロゼが飛び込んできた。俺は2人を受け止めが、2人の重さには耐えきれずにそのまま地面に尻もちをついてしまった。
「花衣さん!花衣さん!無事で本当に良かった……! 」
「花衣……花衣……! 」
レイとロゼは涙を流しながら俺の胸に顔を埋め、俺はそれを受け入れるように2人の頭を撫でながら抱いた。
「レイ、ロゼ……!良かった……2人が無事で本当に良かった! 」
皆が無事な事が嬉しいはずなのに、その嬉しさが振り切って思わず目から熱い涙が止まらなかった。
感傷に浸りに浸り、再開の喜びを堪能していたが、それはある男の笑い声と怒りの声が混じった声で遮られた。
「はっはっは……あっはっはっは!!あーはっはっは!!いや〜恐れ入りました。まさか負けるなんてねぇ 」
笑ってはいるが、顔の血管が浮き出てる程の怒りが抑えきれておらず、ポルーションの歪な感情が体に伝わってきた。
ポルーションはゆっくりと立ち上がり、レイとロゼ、そしてティアドロップ達も武器を構え、ポルーションに対して敵対行動を取っていく。
もうポルーションはボロボロであり、これ以上何かしようにもティアドロップ達がそれを許さないだろう。
それに、こっちにはもう少し味方と言えるかどうかは分からないが、監視者もいた。
「もう止めなさい。貴方の毒は浄化され、貴方の体はボロボロです。打つ手なんてありません 」
「打つ手?そんなのはどうでもいいですよ。私の目的はほぼ達成しました。もうここには用はない 」
ポルーションはゆっくりと後ろに下がり、森の影の中へと逃げようとした。
「逃がさない! 」
監視者はポルーションを捕まえようと布を伸ばした。布はポルーションの体に巻き付けるように動き、布とポルーションの体が接触しようとしたその時、ポルーションの腹部が黒い影虫のように消え、上半身と下半身が真っ二つになった。
「なっ!? 」
ポルーションは消えた腹部を再生し、何事も無かったかのように元の体に戻った。
「貴方達に私を捕まえられませんよ。闇そのものである私をね…… 」
「闇……? 」
「また会いましょう。花衣さん 」
「もう二度と会いたくないけどな 」
「それは無理ですよ。もう貴方は運命に囚われてしまった。決して逃れられない闇の呪縛という運命にね 」
ポルーションは森の影へと溶け始めるように歩き、不敵な笑みを浮かべた。
「貴方はいずれ自分を知り、その存在意義を知る!その時を楽しみに待ってますよ 」
まるで無邪気な子供のように高らかに笑いながらポルーションは消えてしまった。
「……何なんだあいつは 」
結局アイツの事を何もしれず、何も分からないまま逃してしまった。目的の為なら手段を選ばず、何も関係ない人を巻き込む外道っぷりや、魔法に対して何か憎悪を持っているのか、人が変わったかのように豹変したり……知ったどころか謎が増える一方だ。
本当にもう二度と会いたくない人物だが、あいつの言う通り、また会うかもしれないと俺の勘がそう言っていた。外れてくれと願うばかりだ。
「……終わったのか 」
急に体に力が入らなくなり、俺は近くにあった切り株に体を預け、力なく座り込んだ。心做しか体も重く、口の中が鉄の味でいっぱいになっていた。そして、口の中から溢れ出る何かを吐き出すと、俺の服が赤黒く染まった。
「花衣様! 」
「旦那様!? 」
「花衣さん! 」
「花衣……! 」
ティアドロップ、カンザシ、レイ、ロゼが俺の前に座り込み、俺の顔を覗き込むように顔を近づけた。
皆は顔を青ざめ、俺は自分の口元になにか付いている物を手で拭き取ると、俺の手が赤く染まり、俺が口に出したものがようやく血であると理解した。
「ごふっ……!がはっ!あぁ……そうか……多分ポルーションとのデュエルで……げふっ! 」
デュエルのダメージがそのまま痛みへと変わる闇のデュエルのせいで、俺の体は限界に近かった。吐血が止まらず、苦しさだけが体を蝕み、もう自分ではどうする事も出来なかった。
「どうしましょう……!このままじゃ花衣さんが! 」
「どいてください 」
監視者がティアドロップ達を退けるように促し、俺の前に立つと、服のポケットから何かの瓶を手に取った。瓶の中は緑色の光を閉じ込めていた。
監視者が瓶の蓋を開けると緑の光が俺の体を纏った。不思議と体の奥底が暖かくなり、安心するような光だった。体の重りが無くなったかのように軽くなり、ボロボロになった体と付着した血も綺麗さっぱり無くなり、俺の体は徐々に回復して行った。
「あ……ありがとう 」
「礼には及びません。それでは……分かっていますね? 」
「……あぁ 」
俺は立ち上がり、顔が見えない監視者のローブの向こう側から伝わる視線を合わせると、監視者は手を差し伸べてこう言ってきた。
「では約束です。貴方を私達の元へお連れします 」
六花聖華カンザシ
ランク7/水属性/植物族/エクシーズ/ATK2600/DEF2600
・このカードが【六花の誓い】によってエクシーズ召喚され、このカードが表側表示で存在する限り、フィールド、墓地のモンスターは全て植物族となる。
このカード名の⑴⑵⑶の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
⑴エクシーズ素材を取り除く事で発動。
自分の植物族モンスターは、このターンのエンドフェイズまで自分が発動するカードの効果以外受け付けない。
自分のエクシーズ素材に【六花】と名のつくカードがある時、この効果は相手ターンにも使える。
⑵自分フィールドのモンスターがリリース以外で場を離れる場合、フィールド、手札の植物族をリリースする事でそれを無効にして破壊する。
⑶フィールド上の植物族モンスターがリリースされた時、墓地に行く代わりにこのカードのエクシーズ素材にできる。
【汚染大罪・ウラン】
レベル10/闇属性/機械族/ATK????/DEF????
・このカードの攻撃力と守備力はフィールド上の汚染カウンターの数×500ポイントの数値になる。
・このカードは通常召喚出来ない。自分フィールドのメインモンスターゾーン全てに汚染カウンターが1つ以上乗せられている時、このカードは手札から特殊召喚出来る。
⑴このモンスターが汚染カウンター上にいるモンスターゾーンに存在する限り、このカードは【汚染大罪】と名のついたカード効果以外受けない。
⑵このカードがモンスターを破壊した時、そのモンスターがいたメインモンスターゾーンに汚染カウンターを1つ乗せる。
⑶このカードが相手モンスターを破壊した時、相手は手札を1枚捨てる。手札が0の場合、相手フィールドに汚染カウンターを1つ乗せる。
【汚染大罪・大気破壊】
・自分フィールドに汚染カウンターが3つ以上存在する時、このカードは手札から発動出来る。
フィールド上の汚染カウンターを任意の数取り除き、取り除いた数と同じレベル、又はランクのモンスターを一体墓地から特殊召喚する
汚染大罪・原子炉崩壊【ポルーション・バイオテラウラン】
永続罠
・自分フィールドに汚染カウンターが5つ以上存在する時、このカードは手札から発動出来る。
⑴このカードが表側に存在する限り、フィールド上に汚染カウンターが2つ以上載せられているメインモンスターゾーン、魔法・罠ゾーンにはカードを設置できない。
⑵自分フィールド上に【汚染大罪・ウラン】が存在する時、エンドフェイズ時、汚染カウンターの数×200のダメージを相手に与える。
ここまで(〜90話)出てきたレゾンカードの中で強いと思うのは?
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六花聖華ティアドロップ、カイリ
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閃刀騎-カイムと閃刀騎-ラグナロク
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銀河心眼の光子竜
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RRRリノベイルイグニッションファルコン
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炎転生遺物-不知火の太刀
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常闇の颶風