六花テーマを作って愛用したらそのまま俺への愛が重くなった件について   作:白だし茶漬け

46 / 196
どうも、マスターデュエルで六花閃刀姫の60枚デッキを使ってみましたが、運命力さえ高ければ割と何とか行けて驚いてる白だし茶漬けです。(裏を返せば愛が重すぎて手札事故るのもしばしば豆しば)

さて、この話から新たな新章。第4章の始まりです。3章は心咲ちゃんや新たな敵を中心に書いていきましたが、この章では花音ちゃんを初めとした花衣の友達を中心に展開していきます。
あんなことやこんな事まで……!?

まぁそれはさておき、今の所アンケートの方は、拮抗している感じですね。アンケートの期限は私があと2話ほどの話を出すまで続けるので皆さん良ければどしどし投票して下さい〜!

いずれはキャラ毎の人気投票とかしたり……!?



第4章 変化
いつもの日常


 何処かも分からない場所で、俺は誰かとデュエルをしていた。

 デュエルの相手は分からず、姿が影のように見えないが、俺に向ける目は見えていた。俺を憎み、敵対しているそんな目をしていた。

 

 _お前を絶対に許さない! 

 

 ……何でだ? 俺は皆の為にやったのに、苦しみから解放しているだけなのに。どうしてそんな目を向けるんだ。

 

 だって、人には夢を見る希望がある。確かにそれは素晴らしい事だ。それを生きがいにしている人もいれば、それを叶えるために努力している者もいる。

 

 だが、それが崩れたらどうなる? 

 

 人はその希望に絶望し、もう未来への道が歩けなくなる。

 

 だったら希望なんて見なくて良いんだ。

 

 

 希望さえ持たなければ絶望なんてしないのだから……

 

 だから……

 

 

 俺は……目の前のあいつを潰す……! 

 

 ___

 

 _____

 

 _______

 

 

「……いつも通り、かな 」

 

 なんか、もう受け入れている自分が当たり前のようになっていた。

 

 月曜日。それは人類が最も嫌うであろう曜日であり、一日の始まりの曜日だ。休みから現実に引き戻される感覚は誰しもが嫌となり、誰だって憂鬱な日になる。

 

 そんな中俺はどうしているのかというと……

 

「……ぜ、全身が痛い…… 」

 

 ベットの上で筋肉痛になっており、動けなくなっていた。

 

 二の腕や太ももは当然の事、肘や膝までもが動きたくないと悲鳴を上げながら身を張るような痛みが俺に襲いかかってきた。

 

 特に足! 足がもうやばいくらいに動けない。まるで石にでもされたかのように動かない。

 

 原因は恐らく昨日の【メルフィーパーク】で起きた出来事だろう。パークにいた【メルフィーラビィ】を全速力で追ったり、秘密の森をこれでもかと言うぐらい歩いたり、何か不思議な力で森を薙ぎ払うほどのパワーが出たりとか色んな事があったせいで、家に帰って部屋に戻ったら速攻で寝てしまった。

 

『花衣様……今日は学校でしたよね? 大丈夫ですか? 』

 

 机の上に置いてあるデッキケースからティアドロップが姿を現し、俺を心配するように顔を近づけた。

 

 普段、六花達の提案によりローテーションで六花の誰かと一緒に寝ている事になっているが、今は母さんが家に帰って来ている為、万一姿が見られないようにする為に、母さんがいる間には六花達にはなるべく実体化をしないようにと言っている。

 

「うぐぉぉ……無理! 足が動かない 」

 

『……今なら花衣様の事をどうにか出来るのでは 』

 

 まずい、隙だらけの俺を見たティアドロップが澄ました顔をしながら本気で俺の事を襲おうとしている燃えるような獣の目をしている。冗談抜きで俺の貞操が危なくなり、一刻も早く動かなければならない。

 

『……花衣様、筋肉痛には軽い運動をすると症状が和らぐそうです 』

 

「何をするつもり? 」

 

『そんなの…………言えません// 』

 

 そう言って、ティアドロップは朝日よりも熱く顔を火照らせた。

 

「言えませんじゃねぇよ! やめろ! 早まるな! 」

 

『痛くはしないので大丈夫です!』

 

 まずい、もうダメかもしれない。ティアドロップは飢えた獣のような鋭い眼光と吐息で俺の腰にのしかかり、お天道様に顔向けできない行為が今まさに行われてしまうのかと諦めていたその時、ティアドロップの背後から殺気立ったオーラが見え始めた。

 

『ティアドロップさん〜? 朝から一体何をしているのでしょうか? うふふふふ……』

 

『ティアドロップだけずるい〜! 私も花衣君におはようって言うのー! 』

 

 背後にいた人物はカンザシとストレナエだった。カンザシは目が笑ってない笑顔でティアドロップの腕を掴み、ストレナエはそのままベットにおり、俺に顔を合わせて元気よくおはようと言ってきた。

 

 なんかカンザシの手が血管が少し浮き出ており、相当な力でティアドロップの腕を掴んでいる様子だ。しかしティアドロップは全く動じず、むしろ涼しい顔でカンザシを笑顔で睨んでいた。

 

『あら、カンザシ。起きていたのね…… 』

 

『抜け駆けは無しですよ? それに旦那様の筆下ろしは私の役目です 』

 

「こんな朝から筆下ろしとか言うなぁ! 」

 

『ねぇねぇ花衣君。筆下ろしって何? 』

 

「ストレナエ、お前はまだ知らなくていい……! 」

 

 子供からどうやって赤ちゃんが出来る見たいな気持ちになり、朝から色々と大変な事が行われていた。だがそのおかげで目が完全に覚め、後はこの痛みを堪えて学校に行くだけだ。少しは痛みが引いてきたのでベットから抜け出した。

 

『あ、花衣君〜! まだ教えて貰って無いよ〜! 』

 

「え? えーと……そこの2人に聞いて! 」

 

『へ? 』

 

『はい? 』

 

 いきなり呼ばれたせいかティアドロップとカンザシ裏返った声を出して表情を固まらせ、俺はそれを放っておいてそそくさと自分の部屋から出ていく。

 

『ねぇねぇ2人ともー、筆下ろしって何? 』

 

『……カンザシ、貴方が言い出したので貴方が教えなさい 』

 

『なんで私なんですか! ええと……も、物事に対して初めて行う事で…… 』

 

『へ〜、じゃあどうして花衣君は顔を赤くしてたんだろ? 』

 

『さ、さぁ? 』

 

(頼むからそれで納得してくれぇ! )

 

 扉から聞こえるストレナエ達の声を聞き、俺は痛む足を労うようにゆっくりと階段をおりた。

 

 筆下ろしの意味としては間違ってはいないが、カンザシが言っていた筆下ろしってもっと別の意味と認識して良いだろう。

 と言うより、朝からこの言葉を連呼するのは流石に何か応えるものがある。筋肉痛の痛みも忘れる程思い出すのも恥ずかしくなり、顔をブンブンと振りながらリビングへと続く扉を開ける。

 

 扉を開けた瞬間、リビングから何か甘い匂いとトーストの小麦の匂いが鼻まで届き、テーブルを見ると1口サイズにカットされた果物が皿に盛られており、出来たてのトーストもテーブルに置かれており、エプロン姿の母さんが朝日に照らされていた。

 

「あら? まだ着替えて無かったの? 学校は大丈夫なの? 」

 

「うーん……ちょっとまずいかも 」

 

 昨日は酷く疲れて目覚ましもセットしていなかったから遅く起きてしまい、急がないと学校には間に合わないかもしれない。しかも足が筋肉痛でなかなか動けない為、それが濃厚となっている。

 

「なら早く朝ご飯食べて着替えなさい。ご飯は出来てるから 」

 

「うん、分かった 」

 

 テーブルまで足を運び、椅子に座ると即トーストを手に取ってかぶり付き、果物が混ざられているヨーグルトを1口口に入れる。バニラ風味のヨーグルトと、リンゴやバナナの甘味がバランスよく引き立ち合わせており、こんな物朝から食べて大丈夫なのかと思う程だ。

 

 これならトーストには何もいらない。何もつけてないトーストを1口食べ、またヨーグルトを1口食べ、たまにミルクを1口飲み込むと、食欲の湧かない朝食がするすると喉を通っていく。

 

『では続いての特集は、【レゾンカード】についてについての特集です 』

 

「【レゾンカード】……? 」

 

 一般的には選ばれた人にしか持っていない世界で1枚しか無いレアカードの事だが、実際には少し違う。

 レゾンカードは【六花聖華ティアドロップ】、【六花精華カイリ】、【六花の誓い】、【六花返り咲き】、【閃刀騎ーカイム】、【閃刀騎ーラグナロク】等が存在し、これら全てが俺が所有しており、カイムとラグナロク以外は俺が新たに生み出したカードだ。つい最近だと【六花聖華カンザシ】もこれに該当する。

 

 そして、レゾンカード……2つとないカードを持っている人物は他にいる。それは、俺がロマンス・タッグデュエルの決勝戦で戦った、銀河眼使いの【星空彼方】さんだ。彼方さんは新たな銀河眼【銀河心眼の光子竜】と【星雲の誓い】を持っており、本人曰くレゾンからある日突然届けられたカードだ。

 

 そんなカードがテレビの中のニュースキャスターが喋った物だから、俺は食事の手を止めてテレビの画面に釘付けになった。

 

『今話題のレゾンカードですが、ネットでは常に話題となっており、先日レゾンへの記者会見が行われました 』

 

 テレビの場面が切り替わり、白くシンプルな部屋には、マイクがズラリと並んだ長机が設置され、その手前には記者たちがカメラや録音機を手に持って待機していた。

 やがて部屋の扉が開かれ、扉の向こうに女性が現れると、カメラのフラッシュが一斉に光出した。

 

(あれがレゾンの人なのか……? )

 

 白いスーツを着こなし、カメラのフラッシュをものともしない鋭い眼光は、テレビ越しでも圧を感じられた。まさに仕事一筋の女性と言った感じだった。

 

『私が、レゾングループの総責任者【天道白夜(てんどうはくよ)】 だ。悪いが、激務の合間を縫って来たんだ。手短に頼む 』

 

 記者会見される人は下に出るような態度を取るのがほとんどだが、この人に至ってはそんな事は無かった。高圧的な態度をしながら腕を組んでおり、記者達もその態度に唖然としていた。

 

『で、では! レゾンカードについての事で! 今話題となっているレゾンカードですが、何故世間に公表しなかったのでしょうか! 』

 

『特定の人を優遇していると批判もありますがそれはどのようなお考えで!? 』

 

『渡す人物の選定基準などは!? 』

 

 記者達が一斉に各々気になった事を機関銃のように喋りだしたが、白夜という女性は微動だにせず腕を組み、断固とした態度を取っていた。

 

『少し黙っててくれ 』

 

 冷たい眼差しの目が開き、あんなに騒がしかった記者達が突然凍りついたように口を閉じてしまい、白夜はそのままマイクに近づいて質問の返答を行った。

 

『まず、世間に公表しなかったのはこちらの不手際だ。本来ならもっと後に公表する所だったが、まさか持ってる奴があのロマンス・タッグデュエルに出場しているとは想定外だった。なんせ2人ともただの一般人だったからな 』

 

 確かに、ロマンス・タッグデュエルは開催場所が場所だったから、俺や炎山達を除くと殆どが地位が高い人、有名な人、増してやギャラリーなんてお金や地位が高いぞと言わんばかりの服装や振る舞いをしていた。

 

 そんなところに普通の一般家庭の人が参加するなんて普通の人なら思わないだろう。だが……なんか怪しいんだよな。その辺は調べているとは思うけど……

 

『次の質問はもう1つの質問と合わせて回答しよう。選定基準は無い。レゾンカードは各地の大会の景品としてや、無作為に選んだ者に渡している。優遇はしていない。もしもカードが欲しければ自分の手で手に入れることも可能だ。それに……そのレゾンカードも万能ではない。ロマンス・タッグデュエルを見た人達なら分かるはずだ。既存のカードでも、充分に渡り合うことも可能だ 』

 

 確かに、機羽とのデュエルでも俺の【六花聖華ティアドロップ】や、【閃刀騎ーラグナロク】にも対等に渡り合っていたし、六花と閃刀姫達の力で、【銀河心眼の光子竜】にも渡り合えた。あの人の言うことは間違ってはいない。

 

『話はこれで終わりにする。このあとも仕事があるからな 』

 

 そう言って彼女は席を立つと、記者達を置いていくように部屋から出て言ってしまい、テレビの画面は切り替わった。

 

『いや〜中々圧のある人でしたね〜 』

 

『しかし、やはりどうしても優劣の差はあるとは思いますけどね〜 』

 

『ですがロマンス・タッグデュエルでも既存のカードで対抗できていると記録が…… 』

 

 ニュースキャスター達がそんな議論を数回軽く交わし、キリのいい所で議論は終わり、次はスポーツのニュースとなった。スポーツはあまり興味は無いので聞き流す程度で聞き、食事の手を再度動かした。

 

「ふーん、世界に一つだけのカードね。そういえば、花衣が沢山持ってたっけ? 」

 

「まぁね、ざっと7枚ほどかな……? 」

 

「まぁ! そんなに沢山貰えたの? 」

 

「え、ええと……うん、まぁね。たはは…… 」

 

 まさか自分で生み出したなんて言えないよなぁ。しかも突発にだし、自分もなんでこの力があるのか分からない。

 

 こうして考えてみると、俺自身がかなり変わってしまってる。ほんの数ヶ月前は普通の高校生だったのに、今となっては精霊が見えたり、前世はモンスターだったり、何者かに監視されたり、挙句の果てには俺を連れて行こうとする謎の敵までいるときた。

 

 なんだか前の自分が酷く懐かしく思えてくるようになり、何だか学校に行って炎山達に会うのが億劫になってきた。

 それに、もし俺に関わってあいつらに何かあったとなれば、間接的に原因は俺にある。そうなる前に、俺はアイツらと……

 

「花衣? どうしたの? 」

 

「えっ……あ、あぁ……何でもないよ 」

 

「ならいいけど……時間大丈夫なの? 」

 

 そう言って母さんは壁にかけられている時計を指を指し、俺はその方向に向くと針の時刻は8:00を指していた。

 

 確か朝のHRは8:30から始まるよな。でここから学校までは大体30分以上かかるから……

 

「……やっば! 遅刻するっ! 」

 

「ほらやっぱり。着替えはそこに置いてあるから早く着替えなさい。あとはい、お弁当 」

 

「ありがとう母さん! 」

 

 リビングのソファーには俺の夏服が畳まれており、俺はすぐ様トーストを平らげた後寝間着から制服に着替え、母さんから弁当を貰うと急いで部屋に戻っていく。

 

 足の鈍い痛みなんて忘れる程俺は焦りに焦り、自室の扉を壊す勢いに開き、その場にいたティアドロップ達に目もくれず急いで制定カバンを持って部屋から出ていく。

 

『あ、花衣様っ!? 私たちのデッキを忘れて…… 』

 

「いってきまーす! 」

 

 ティアドロップ達が何か言っていたような気がするが、俺はそんな声を耳に入れず、そのまま家の扉を開けて外に出ていった。

 

『行ってしまわれました…… 』

 

『どうしましょう……私達、カードから半径10m程しか行動出来ませんが…… 』

 

『ええー!? じゃあ、今日は花衣君と一緒に居られないの〜!? 』

 

 

 

 

 

 

 _数分後

 

「あっつつつ……くそっ……やっぱ筋肉痛だと走りずらいなぁ…… 」

 

 遅刻する訳も行かないから全速力で学校に向かったが、やはり足が痛んで足が上手く動かない。あぁ、これは遅刻確定だなと諦めてとぼとぼ歩いていると、後ろから右肩をトントンと叩かれた。

 

「花衣さん! おはようございます! 」

 

「おはよう、花衣 」

 

 後ろに振り返ると、やはりいつもの2人であるレイとロゼが俺の学校の夏服を着ていて挨拶をしてきた。

 

「って、お前ら何でこの時間にここにいるんだ。遅刻するぞ 」

 

「通学は絶対花衣さんと一緒に行きたいので……あれ? 今日は六花達を連れてきてないんですか? 」

 

「え? そんなこと…… 」

 

 レイに言われて初めて六花達が居ないことに気付き、もしやと思い鞄の中からデッキケースを探したが、鞄の中にはデッキケースは1つしか無く、それは閃刀姫デッキであり、六花達のデッキはどこにも無かった。

 

「あぁ……家に置いてきたか…… 」

 

 そういえばティアドロップ達がデッキを忘れてるとか言っていたような気がする。取りに行く時間はもう無いし、学校が終わったら直ぐに帰って謝らないとな……

 

「という事は? 今日は私達が花衣さんを独り占め……いえ、2人占め出来ると!? 」

 

「そうね、ここからは私達のターン 」

 

 レイは右腕を、ロゼは左腕に腕を組み、傍から見れば両手に花のような光景だが2人に組まされている俺は2人から獲物を狙うような目付きに見つめられており、しかも妙に密着しているから腕の方に何か柔らかい物が当たって変に緊張してしまう。

 

「え、えーと2人とも。俺ちょっと筋肉痛で全身が痛くて……ちょっと離れててくれないかな? 少し痛むから、それにこのままだと遅刻するぞ? 」

 

「良いんですよ! 私は花衣さんとの時間を過ごしたいので 」

 

「そうよ、それに遅刻をしない方法もあるから 」

 

「どういう事? 」

 

「レイ、勝負よ 」

 

「……あ! そういう事ね。よーし……! 」

 

 すると2人とも急に俺から離れ、鞄を下ろした。レイは腕をブンブン回し、目の色が真剣に変わった。

 

 ロゼもそうだ。腕を伸ばし、マフラーの先にある赤く染っている目の色が厳しくなり、レイとロゼの間には火花が散っていた。

 

 まさかとは思うがここで戦う訳じゃ無いよな? そんな事したらここの住宅街がとんでもないことになるぞ!? 

 

「お、おい2人とも! 」

 

 だが俺の言葉は届いていないのか2人とも謎の衝撃波を放っており、俺はレイ達に近づく所かその場から1歩も動けずにいた。最早俺に出来ることは、彼女たちを見守るしか無かった。

 

「おいおいおい……頼むから被害だけは出さないでくれぇ……! 」

 

「行くよロゼちゃん! 」

 

「……来い! 」

 

 2人は拳を突き上げ、拳は同時に目の前にいる戦士に向かっていく。

 

「やっぱやめろ2人とt」

 

「ジャンケンポン!! 」

 

「……は? 」

 

 レイの手は手を開いてパーの形をしており、ロゼは人差し指と中指を伸ばしてチョキの手をしていた。

 

「うわぁぁぁぁ負けたぁぁ〜! 」

 

「いえーい…… 」

 

 負けたショックでレイは叫びながら膝を崩してそのまま倒れ込んでしまい、ロゼは表情を変えてはいないが嬉しそうに俺に向かってダブルピースをしていた。

 

「え……何ど言うこと? 」

 

「こういう事よ 」

 

 ロゼは俺から鞄を取り上げ、そのまま負けたショックで体が溶けてしまいそうな程体を落ち込ませていたレイに向かって投げつけ、そのまま俺を横抱き……言わゆるお姫様抱っこの状態で俺を持ち上げた。

 

 鞄はそのまま宙を舞うと、レイは接近したカバンに気づき、地面に落とさずキャッチしてくれたが、如何せん負けたショックが続いているのか涙目で俺のカバンを抱きしめた。

 

「お、おい! これはどういう事だ!? 」

 

「暴れないで。これから私達、全力で学校まで走るから、しっかり捕まってて。あのジャンケンは勝った方が花衣を運ぶ権利が貰える勝負だったの 」

 

「いやそんな事であんな真剣になるか……? 」

 

「私にとって、あのジャンケンは戦場よりも重いわ 」

 

 一瞬嘘だろと疑ったが、ロゼの目は真剣だった。あ、これ本当だ。

 

「ま、それはさておき……レイ、行くわよ 」

 

「はーい。うぅ……私も花衣さんを運びたかったなぁ〜! 」

 

「いや俺は大丈夫だから下ろしてk 」

 

 下ろしてくれと言う前に、ロゼは急に俺を抱えて飛び上がった。突然の急上昇で上からの風圧や衝撃を受けながらも、ロゼはしっかりと俺を抱きしめ、そのまま家への屋根へと着地し、まるで忍者のように猛ダッシュで屋根を走り、屋根から屋根へ、時には7階ほどあるマンションの屋上へと飛び上がったりしたりした。

 

(こ……これはまるで人力ジェットコースター見たいな感覚だぁ……! )

 

 あまりの超人的な動きに流石閃刀姫と言わんばかりであり、ロゼは息切れするどころか一切の呼吸もしていない。本人取っては歩いているのと同じような物なのだろか。レイもこのスピードについて行っており、改めて2人の身体能力の高さを思い知らされた。

 

 しかも、こんな動きをしているのに俺にかかっている力は殆ど無い、ロゼの動きが良いからなのだろうか、着地の衝撃は殆ど無く、無理してロゼに捕まる心配は無かった。だけどこの体勢が流石に恥ずかしい……! 

 

 女性にお姫様抱っこされている男性って……なんか男の立つ瀬がないような気がしてならない。

 

「……? どうしたの花衣、もしかして少し辛い? スピードを緩めましょうか? 」

 

「いやそこは大丈夫なんだけど……なんか、こんな風な体勢をされていると、俺ってなんか情けないなーって

 ……」

 

 人とモンスターだから仕方ない部分はあるとは思うが、それ込みでも男としてのプライドが俺に靄をかけさせた。それを聞いたロゼは、急に顔を近づけせ、目を細めて笑い、俗に言う王子様スマイルで互いの息がかかる程顔との距離を縮めさせる。

 

「大丈夫よ。あなたはただの人間……私達が守るのは当たり前なの。だから……これからも私達の事を頼ってね? 」

 

「わ、分かったからそんな顔を近づけさせるな! 」

 

 あまりの近さに顔を背き、ロゼは小さくむぅっと言って少々不機嫌になってしまった。

 いやいや……あんな男顔負けのイケメンマスクを近づけさせると変な気分になる。そのせいか心臓がバクバクと激しく動いて止まらないし、顔が妙に熱い。

 

「花衣、そろそろ学校に着くから、適当な場所に着地するわ。衝撃を和らげるようにするけど、一応身構えていて 」

 

 ロゼは一通りが無い路地裏の所に着地し、レイもそれに続いて綺麗に着地した。音も出ない綺麗な着地で俺への衝撃は殆ど無く、身構えることも無かった。

 

「ありがとう2人とも、ロゼ、そろそろ下ろしてくれ 」

 

「……ん、分かった 」

 

「では花衣さん、荷物をどうぞ 」

 

 ロゼの腕から降り、レイから自分の鞄を受け取れば、後は学校の校門を通るだけだ。いつもより20分程早くつき、予鈴も鳴ってもいない。ここから家まで30分程かかるのに、それを10分程で辿り着くとは……

 

「じゃあ花衣さん 」

 

「一緒に登校しましょう 」

 

「はは、やっぱりこうなるのね 」

 

 2人は再度俺の腕を組み、仕方ないと思いつつも俺たちは路地裏から通学路へと出る。表にでた俺達は当然通学路を歩いている生徒達にも目に入る為、こんな両手に花のような光景は注目された。

 

「おいおい見ろよあれ……あんなの漫画でしか見たことねぇよ…… 」

 

「しかもあれ噂の転校生じゃね? くっそ〜狙ってたのになぁ…… 」

 

「ねぇねぇ、あれってどっちかキープしてるって事? なんか闇深そうでまじやばくない? 」

 

 あちこちから変な言いがかりやら飛び交い、耳に入ると流石に応えるものもある。しかしレイ達は特にこれといって気にしている様子も無く、今は俺の隣にいるこの瞬間を堪能していた。

 

「お〜花衣! これまた随分な登校だな! 」

 

「炎山……揶揄うのは止めてくれ…… 」

 

「ははは! いやまぁ何かと言われるのは仕方ねぇって! 俺だって内心お前のその光景にイラついている 」

 

 笑顔でサラッと内心のどす黒さを言うなこいつは。ま、冗談なのだろうけどな。朝日のように眩しい笑顔で挨拶をした炎山は相変らずそうだ。

 

「全くだ、モテる男は辛いって事だな 」

 

 炎山の後ろからは機羽も姿を表し、同情すると言わんばかりの苦笑いを浮かべてきた。

 

「お前らな〜 」

 

「はっはっは! 早くしねぇとHR始まるから早く行こうぜ」

 

「俺達は先に行って待ってるぞ 」

 

「あ、おい! お前ら! 」

 

 炎山と機羽は変な気をきかして俺を置いていくようにさっさと行ってしまい、俺も後を追おうにもレイとロゼに掴まれてしまって上手く動けない。

 

「花衣さーん? まだ時間はあるのでゆっくり行きましょうよ〜 」

 

「そう、言ったはずよ。今は私たちのターンって…… 」

 

「なら早く俺にターンを回してくれー! 」

 

 そんな俺の叫びは校内に響き渡って大多数の人には聞こえたが、すぐ隣にいる2人には届かず、結局俺は2人に腕を組まれたままクラスへと入っていく。

 

 そんな訳だから当然クラスメイトにも注目の的にされる。……良い意味なのか悪い意味なのかは分からないが、男子から向けられている目は少なくともいい物では無かった。羨ましそうな視線を向けている者もいれば、レイとロゼを悲しげに見る男子もいる。

 

 2人とも学校ではかなり噂になっており、注目株とされいてた。まぁどちらも美人で成績は優秀だし、注目されない訳は無いだろう。だが、そんな彼女達はある男に引っ付いているとすれば、自然とその注目はその男に移るという訳だ。それが俺だ。

 

「くっそ〜何でアイツなんだ……羨ましぃ……! 」

 

「しかもアイツ確かロマンス・タッグデュエルで別の女性と一緒にいただろ……三股がよぉ……くぅぅ…… 」

 

 なんか俺にすっごい応える物が聞こえたせいか朝から少しナイーブな気分になってしまった。

 

 そういえばロマンス・タッグデュエルって全国にテレビ中継されていたからクラスメイトに俺のデュエルの様子を見られていたんだったな。その為、俺の隣にいた花音との関係は少なからず考えると思うが……実際には付き合ってもないんだよなぁ。

 

 三股かけてる訳でも無いが……傍から見ればそう見えてしまうからこればかりは言い訳がつかない。

 

「はぁ……1人も選べない俺が悪いんだろうけどなぁ…… 」

 

「そんな事気にしなくて良いですよ? そ・れ・に、私とロゼちゃんを選べば万事解決ですよ! 」

 

「そう、一多妻制というのも少なからずあるから、問題ない 」

 

「いやこの国ではそれはないから…… 」

 

「ならその国にいけばヨシです! 」

 

「そう簡単に行けばいいんだけどなぁ…… 」

 

 確かに考えとしてそれも1つの選択肢としては入るだろう。だけど、これまで生きてきた考え方や倫理観が邪魔をするようにこびりつき、その選択肢は無いと俺の中のもう1人の俺がそれを突きつけていた。

 

 いやそれ以前に、彼女達がそれを許すとは到底思えない。昔よりかはマシになったが、六花達と閃刀姫達との仲はお世辞にも良い方とは言えない。良い方向には進んでいると言えば聞こえは良いが、そこ止まりで進展は無い。何かきっかけとかあればいいんだけどなぁ……

 そんな考えは学校のチャイムが吹き飛ばし、チャイムがなったと同時に先生が扉を開けて教室に入ってきた。

 

「おーいお前ら〜朝のHR始めるぞ〜 」

 

 相変わらずだるそうな態度で教卓に出席簿を置き、皆はそれぞれの席に付いた。

 

「よーしそれじゃあ出席を取るぞ〜 」

 

 名前を呼ばれた者は返事をし、このクラスではロゼが最後の出席番号となっている。

 

「じゃあ最後、ロゼ・ジーク 」

 

「はい 」

 

「よーし全員揃ってるな。そんじゃ、皆知っている通り、2週間後は期末テストだ。その為今日からテスト週間になるから、部活は休みになっている 」

 

「うげっ! そう言えば期末テスト近かったんだった……! 」

 

「忘れてたのか…… 」

 

 炎山はすっかりと忘れていたが、俺も人の事は言えなかった。そうかもうテスト期間なのか……いや勉強して無いという訳でも無いが、最近色んなことが起こりすぎて正直勉強所ではなくなっていた。しかも期末テストという事は、終わると夏休みが始まるのだが……

 

「知っているとは思うが、期末テストで赤点を取ると補習だからな〜取ったら夏休みはないと知れ〜! 」

 

「美人な先生! テストでどこが出るのか教えてください! 」

 

「そんな言葉で先生が教えてると思うか〜。教えたければ良い男を寄越せ〜! 」

 

「もう30過ぎてるのに良い男なんて釣れないでしょ〜! 」

 

「あ〜言ったなこのギャルが! よし、お前のテストは取った点数をマイナス30点しよう! 」

 

 恒例と言うべきなのだろうか、たまに起きる先生と生徒の笑い話でHRは終わってしまい、俺達は一限目の授業の準備に入る。と言っても、一限目はうちの担任である先生の数学なので、これと言った準備は必要ない。

 

「うげぇ……俺テスト近いの忘れてたぜ…… 」

 

 前の席にいる炎山が嘆くように言いながら俺の方に体を傾け、俺に同情を求めてきた。まぁ、俺も忘れていたから気持ちは分かる。

 

「俺も忘れてたよ。でも赤点取らなければ大丈夫だろ? 」

 

「それは勉強出来るやつの言い分だぜ〜? 俺の成績知ってんだろ? 」

 

「あぁ…… 」

 

 炎山の成績は席の関係上何度も見た事あるが、正直平均よりかは下だ。特に理系に関してはかなりギリギリであり、2、3問間違えれば赤点になるほど崖っぷちだ。

 

「だぁぁ! 夏休みを補習で終わらせたくね〜! 頼む! 勉強教えてくれぇ! 」

 

「お前の場合、俺より機羽の方が良いんじゃないか? 」

 

 理系に関しては機械弄りが得意な機羽がクラスで1番成績が良く、数学と英語は特に優秀だ。そんな機羽は俺の右斜め前……つまりは炎山の隣の席に座っており、その事を聞いていたのか名前を呼ばれるとこっちに振り向いた。

 

「別に教えても良いが……こいつが理解するとは思えないがな 」

 

「あぁ……というか数学は何やってるか分からないし英語も何言ってんのかわかんねぇ。だからいつも勉強してる途中で寝るんだわ 」

 

「それじゃあ勉強の意味が無いだろ…… 」

 

 炎山はまたも愚痴を言うように言い訳を連発し、俺と機羽はどうしようか悩みに悩んだ。テスト期間中にどこが勉強会を開こうにも、炎山に分かりやすく教えられる自信は俺には無い。というか俺の成績は対してそんなだし……なんなら平均よりかはちょっと上ぐらいだ。

 

 教えるとしても教科書や参考書に書いてある通りの事を言うしかなく、それでは炎山の頭には入らないだろう。せめて身近に頭が良い人でもいれば話は別だけど……

 

「……花衣、そういえば、才華さんが帰ってきてるよな?」

 

「ん? そうだけど…… 」

 

 機羽は何かを思いついたようだが……なんでそこで母さんの名前が出てくるんだ? 

 

「確か才華さん、かなり頭が良かったよな。この際その人に教えてもらうのはどうだ? 」

 

「お! 良いね! じゃあ花衣の家で勉強会だな!」

 

「ちょっと待て! まだ母さんに言ってないのに勝手に決めるな! 」

 

 確かにしばらく母さんは仕事は休みらしいが、折角の休日に羽が伸ばせないのは少し気が引ける。やはりここは1度母さんに断っておくべきだ。

 

「話は聞かせてもらいました! 」

 

 突然飛びつくようにレイが向こうの席から俺の席に走り出し、興味津々と言わんばかりに目を輝かせていた。

 

「私も花衣さんの家で勉強会がしたいです! お義母さんとは会いましたが、まだちゃんとした挨拶をしてないので! 」

 

「いやだからまだ決まっては…… 」

 

「じゃあよろしく頼むぜ〜 」

 

 何やら俺の家で勉強会をするというのがほぼ確定している方向で話は進んでおり、時間は流れるぞと言わんばかりに授業開始のチャイムが鳴り響いた。

 

「よーし、じゃあ授業始めるぞ〜教科書68ページを開けろ〜 」

 

 __

 

 ____

 

 

 そうして時は流れ昼休み……

 

「花ー衣さん! 一緒にご飯食べましょう〜! 」

 

 いつも通りレイとロゼが昼のチャイムがなった瞬間に俺の席まで歩き、一緒にご飯を食べようと誘ってきた。

 いつもなら炎山達は気を利かせて俺とレイとロゼの3人きりにさせるが、今日ばかりは炎山達もそうは行かなかった。

 

「お、なら一緒に食おうぜ。勉強会の日程とか組みたいしな 」

 

「わかった。レイとロゼもそれくらいなら良いだろ? 」

 

「私達だって鬼じゃありません。ですが、隣は絶対私達ですからね! 」

 

「分かってるよ。好かれてるねぇ花衣? 」

 

「ほっとけ 」

 

 そんな談笑を交わしながら机を動かし、机を合わせて巨大な1つのテーブルのようにしてそれぞれ持ってきた弁当箱を取り出し、蓋を開ける。

 

 さて、俺もそろそろ食べるか。母さんから貰ったちょっと変わった弁当袋の中身は確かに弁当箱が入っており、袋の内側はアルミホイルのような物になっていた。俗に言うランチバックという奴なのだろうか。しかも弁当以外にと別のものが入っており、取り出して見るとそこにはまだ暖かい使い捨てのカイロがあった。

 

「カイロ? 母さんが入れたのか? なんでこんな暑い日にカイロなんか…… 」

 

 まぁそれ以外特に何か入っていたのは無く、俺は気になりながらも2段になっている弁当箱の蓋を開けると、温かさを持った蒸気が弁当から漏れ出た。

 

「あっつ! って……熱い? え? 弁当……だよなこれ 」

 

 弁当って普通時間が経って冷める物だろ……でもこの弁当はそれを感じさせないほど熱く、まるで出来たてのような暖かさだ。

 そして、その蒸気から出てきた物は、美しい黄金に輝く黄身がとろけているオムライスだった。

 

「うお! 相変わらずすげぇなお前の弁当。オムライスか? 見た目もすげぇけど…… 」

 

「恐ろしい程に保温されてるな…… 」

 

 そう、機羽の言う通りこの弁当の凄いところはこの温かさだ。確かにオムライスの見た目も崩すには勿体程の出来栄えだけど、普通に作っては絶対に有り得ない保温力の前にはその事は気にしなかった。

 

「なるほど、カイロと箱の素材か 」

 

 機羽が何か気づいたかのように呟くと、俺が袋から取り出したカイロを手に取った。

 

「その温かさの正体はこれだろう。このカイロとその袋の構造と、弁当の素材と構造だな。予め温めておいたカイロを底に置き、熱が伝わりやすい素材で出来た弁当を乗せる事で、内側に熱を通すことが出来たんだな。しかも、袋の方もアルミ出てきていて保温性を高めていて、更に弁当のサイズと同じだがらバランスを崩す事も無い……相当計算されてるなこれ 」

 

「でも、これ2段弁当だぞ? 温めたとしても、下の段しか温められないと思うけど…… 」

 

「いや、恐らく下の段はスープだろう。開けてみてくれ 」

 

 俺は上の段を上げると、機羽の言う通り下の段はスープになっていた。玉ねぎとベーコンが入っており、コンソメのいい匂いが漂ってきた。このスープも例外なく暖かく、熱を持っていた。

 

「やはりスープの蒸気で上の段を温めてたのか…… 」

 

 これは聞いたことある。確か、下の段をスープにする事で、そこから出てくる蒸気で上の段を温めてくれるタイプの奴だ。しかし、それを最大限に引き出す為にカイロを用意したり、しかも袋まで用意するなんて……やっぱり母さんは凄い。しかもこれ程の完成度の料理までこなすんだから、底がしれない。

 

 せっかくの熱々なのに、感心して冷めてしまっては元も子もない。俺は袋からスプーンを取り出し、ふわふわなオムライスを1口すくい、口の中に入れる。

 

 その瞬間、口の中は黄身の濃厚な風味が広がり、ふわふわかつ黄身のとろみが下にまとわりつき、更にその濃厚さが脳裏に焼きつかれる。

 卵だけじゃなく、ソースも主張せずに味の引き立てに一役買っており、ケチャップライスも野菜の甘みや小さく角切りにされているチキンも相性が良く、非常にバランスの良いオムライスに仕上がっている。

 

「うっっま……! これ普通じゃない……! 母さんどんどん料理の腕上がってるな…… 」

 

 普段からこういう料理を作ってはいるが、今日は驚きも相まって更に美味しく感じられた。

 

「お……美味しそうですね……花衣さん、私に1口くれませんか? 」

 

「良いぞ。はい 」

 

 俺はレイにオムライスが入っている段をレイに差し出すと、何故かレイは不機嫌そうに眉をひそめ、頬を膨らませて俺を見た。

 

「な、何だよ 」

 

「あーんしてくれないと嫌です! 」

 

「は、はぁ!? あーんって……このスプーン、口につけたやつなんだけど…… 」

 

「寧ろそこが良いです! さぁ、早く私の口に入れてください! あ〜ん! 」

 

 レイは目を閉じながら口を開け、準備完了と言わんばかりだった。

 

「やってやれよ花衣〜今更こんな歳で関節キスなんて気にする奴じゃねぇだろ〜? 」

 

「気にしたら気にしたらで女々しいな 」

 

 炎山と機羽の2人から早くやってやれと言わんばかりにやにやしている表情が何故か妙にウザったい。

 仕方なく俺はオムライスを1口分スプーンですくい、レイが熱さで火傷しないように少し冷ましてからレイの口にオムライスを入れた。

 

「はむっ。ふむふむ……んむっ! 」

 

 レイの口にオムライスを入れたからすぐ様スプーンを引こうとすると、レイは俺の手首を両手でがっちりと掴み、スプーンを引かせまいとしていた。

 

「ちょちょ! 何してんだお前!? 離せぇぇぇ! 」

 

「むー! むむむー! (嫌です〜! もう少し花衣さんの味を堪能したいです! あ、このオムライスも美味しいです! )」

 

 一語しか言ってないのに何故か何を言っているのか何となく分かる気がするのか怖い。腕を動かそうに向こうはモンスター、こっちは人間だ。力の差は歴然であり俺は動かす所かピクリとも動かせる事も出来ず、レイが満足するまで待ち、1分ぐらいしたのかようやく口を開けてくれた。

 

「ふぅ……凄く美味しかったです。花衣さんの……じゃなかった。お義母さんのオムライス……でも、普通に作っただけじゃこんな味出せませんよね? 隠し味とかあるんでしょうか? 」

 

 レイが言おうとした事はともかく、確かにこのオムライスは一味と二味も超えた物だ。レイの言う通り隠し味があるとは思うが、もう一口、二口食べてもそれがなんなのか検討もつかない。

 

「ねぇ花衣、私にも1口貰えるかしら……? 」

 

「ん、はいはい。ほら 」

 

 ロゼにも1口オムライスを上げると、ロゼはすんなりとオムライスを入れるとスプーンから離し、目を閉じてオムライスの味をだけを感じていた。

 

「なぁ空。俺ら何見せられてんだろうな 」

 

「知らん 」

 

 そう言いながら炎山と機羽は流れるように箸で今日にオムライスを1口頬張り、それを交換するように炎山は白身フライを、機羽は1口サイズのハンバーグを弁当に入れてくれた。

 

「おいお前ら、何勝手に食ってんだこら 」

 

「良いじゃねえかよ。……うっっっま! なんじゃこりゃぁぁぁぁ!? 」

 

「凄いな……最早プロ並みだぞこれ 」

 

「ん……はむ……んん……ほのかな甘み……砂糖? いや違う……もっと深い味。これは……生クリーム? 」

 

 確かにこのオムライスは少し甘く、それでいて黄身の風味を損なわずにしているが、生クリームを使ってる感じは一切しない。

 

「く、クリーム!? しかも生クリームって……全然そんな味しないぞ!? 」

 

「これに関しては自信が無いわ。これは放課後直接聞こうかしら…… 」

 

「そうだね。放課後直ぐに聞きに行こう! 」

 

「へぇ〜直ぐに聞きに行けるってことは、お前ら家近いのか? 」

 

 そう言えば、皆はレイとロゼの家の場所を知らないんだったな。……ん? 待て、なんか嫌な予感がするのは気のせいだろうか。

 

「もちろんですよ。だって私とロゼちゃんの家は花衣さんの隣なんですから 」

 

 レイの何気ない一言は、教室を凍りつかせた。目の前でそれを聞いた炎山と機羽は目を丸くさせて驚いている姿で固まり、周りの男子生徒も同じように目が飛び出るほど俺の事を羨みと怒りが入り交じったように見つめていた。

 

「「「隣ってどういう事だぁぁぁぁ!! 」」」

 

「ズズっ……うん、このスープも美味しいな 」

 

 

「「「聞けよ!! 」」」

 

 俺はこの昼、クラスの皆から質問責めされてような気がするが、その時間は窓の外を青空を見ながら弁当をたべすすめ、無視を貫き通した。

 

ここまで(〜90話)出てきたレゾンカードの中で強いと思うのは?

  • 六花聖華ティアドロップ、カイリ
  • 閃刀騎-カイムと閃刀騎-ラグナロク
  • 銀河心眼の光子竜
  • RRRリノベイルイグニッションファルコン
  • 炎転生遺物-不知火の太刀
  • 常闇の颶風
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。