六花テーマを作って愛用したらそのまま俺への愛が重くなった件について 作:白だし茶漬け
正直に言います。中々にきついです。ティアドロップがいないとまぁきついですね。展開自体は差程変わりませんが、やはりひとひらが来ないと展開が出来ないので事故率が酷い…!
いつもありがとう…皆!
「わ……私と付き合って下さいっ!! 」
目の前にいる花音から出た言葉は、言うなれば核爆弾のような衝撃と放射線が蔓延した無人都市のような静けさをも同時に与え、驚きを隠せないどころかその驚きで体が白く燃える尽きる程だが……俺の両隣にいるティアドロップとレイ、背後にいるスノードロップ、そして近くにいたロゼから出る圧が紫色を帯びた黒いオーラを放っていた。漫画だったら『ゴゴゴゴ』見たいな効果音が出ているに違いない。
そのせいなのか心做しか息苦しい。花音もティアドロップ達の変化に気づいたのか目を丸くさせ、本で見るかのように焦りながら手をばたつかせていた。
「あわわ……ち、違うんでひゅ! お付き合いってそう言う意味じゃなくて……でもいつかは出来たらなぁ……とか思ってたり……」
「え? なんか最後言った? 」
「な、何でも無いです! とにかく、お付き合いというのはこれの事です! 」
花音が急いで荷物である鞄から取り出したのは、1枚のチケットだった。チケットをよく見ると、表面には大きく【ピックアップデュエル】と書かれており、下には小さく日時や参加条件等が簡潔に書かれていた。
日時は再来週で、参加条件は……2人1組だった。
ピックアップと言うと……ガチャでよく出るアレの事を連想させるが、おそらくは【拾う】という意味合いの事だろう。
「なにこれ? 」
「再来週に行われる大会……というよりは、お祭り見たいな物ですね。ルールと致してましては、こちらのチケットの裏面に大方書いてありますね 」
手渡されたチケットの裏面を見ると、ずらりと文字が並んでいたが読めない程度では無かった。
裏面には場所や詳細な日時がルールが書かれており、デュエルルールとしては以下の通りだ。
当フェスでは予選リーグ、決勝トーナメントに別れており、予選でのライフは4000、決勝では8000となる。
これに至って普通のタッグデュエルのルールだ。しかし、ここからが【ピックアップ】と何相応しい物であった。
「なお、このデュエルに使用するデッキは……会場内に置かれているカードのみ使用可能であり、制限時間内にデュエルが可能である状態でなければ……失格となる? ……どういう事だ? 」
「このデュエルでは、自前のデッキは使えず、制限時間内にカードを拾うんです 」
…………ん? カードを拾う? それどこのサテライト出身の人? あまりの唐突な事で頭が回らず、考えを整理する為に顔に手を当てて思考に集中した。
要するに……会場内にあるカードしか使えず、制限時間内に40枚以上取らなければ失格となると。
一応ルールではメインの60枚、エクストラの15枚以上拾っても良いが、恐らくその時間は無いだろう。それに、参加者の人数によっては最悪カードが足らずに参加不能なんて事も起きるから注意が必要だ。
「……中々ぶっ飛んでるルールだな。それに拾うって……まともなデッキが作れる気がしないぞ 」
運良くあの人みたいにジャンクデッキが作れる気がしないし、かといってすぐ様別のデッキを使いこなせる器用さもなければ対応力も無い。これは初心者である俺にはかなり荷が重いぞ……
だが、参加すると決まった以上意思は曲げられない。皆の力を借りられないのは少し心もとないが、厳しい条件は相手も同じな筈だ。何とかなる……と信じよう。
「じゃあ色んなカードを見てみるかな……というか、自前のカードが使えないとなるとティアドロップ達はどうしy」
「私は反対です! 自前のカードが使えないという事は、私達と離れ離れになるんですよ! そんなの嫌です! 」
レイがそう言いながら俺が持っていたチケットを取りあげ、渡すまいと両手でがっちりと掴んでいた。まぁ、こうなるよな……
会場内にあるカードしか使えないという事は、自前のカードを持ち込む事自体禁止の筈だ。
事実、不正をされない為持ち込む事を禁止され、開始前に持ち物検査をするとチケットには書いている。
そうなると、やはりティアドロップ達を連れていく事は出来ない。どうしたものか……
「それに、またアイツ見たいな奴が接触して来たら誰が貴方を守れるんですか!?」
「アイツ……? もしかして何かあったのですか? 」
レイが言った言葉に花音は違和感を感じたのかすぐ様俺に問いかけたが、俺は沈黙を貫いた。
アイツとはポルーションの事であり、理由は知らないが俺をつけ狙い、他人の命を命として見ていない奴だ。
森を枯れさせ、生物の命を無惨に扱う奴がまたもう一度俺を狙う事があるかもしれない。そうなれば、また大勢の人が巻き込まれてしまう。だから、これ以上巻き込まない為にも誰にも言わない。これは皆の為でもあると自分に言い聞かせ、花音の言うことを無視し続けた。
「……言えないのですか? 」
俺は黙り込んで静かに頷いた。
「そう……ですか……な、なら…… 」
問い詰めることを諦めた花音と思われたが、すかさず花音は携帯を取り出し、カメラのレンズを俺に向けた。
俺はあまりの行動を目を丸くしている間に花音は携帯を押し、シャッター音が鳴り響いた。
花音が携帯の画面を見ると良しと頷き、画面を俺に見せると、画面内には驚いている俺と隣にはティアドロップが映り込んでいた。
「か……花音? 」
「どど、どうしましょう〜? この写真をお母様に見せたらきっと怒るかも知れませんね〜? 」
「え……ちょ!? 」
いきなり花音が脅しいるような行動に出て困惑した俺は、ただ驚きに支配されるばかりだった。
「こ、困りますよね……? むしろ困ってくれないと私が困るって言うかなんというか…… 」
なんか脅している立場なのにやけに弱腰で逆にそれが怖い。
「と、とにかく! これをお母様に見せられたくなければ貴方が遭ってきた事を話してください! ささ、さもないとこの写真を…… 」
「はい、隙ありです 」
花音が写真を見せつける為に腕を伸ばした所をレイに携帯を奪われてしまい、花音は訳が分からずその場で困惑し、頭の中が真っ白になったかのように呆然とし、少しした所で状況を把握してレイに迫って携帯を取り返そうとしていた。
「あぁ! 返して下さい〜! 」
「あまり私達を舐めない下さい。……はい、写真を消去しましたのでもう脅しは通用しませんよ 」
「うぅ……」
「慣れないことするからですよ。全く……どうしてそんな真似したんですか? 」
呆れた顔をして携帯を花音に向けてゆっくりと投げつけ、投げ出された携帯は弧を描くようにして花音の所へと戻っていき、花音は難なくそれを受け止めた。
確かにさっきの花音の行動はこっちから見てもおかしかった。急に脅しめいた行動をとってはいたが、妙に弱腰なのがその疑問を加速させる。問い詰める……とはちょっと違うが、訳が知りたいと皆も思っているのか、何も言わず花音を見つめた。
視線を集められた花音はその視線に負けたのか、あっさりと口を吐いた。
「す……すみません……どうしても私、花衣さんの力になりたくて……それで、ああいう風に脅したら喋ってくれるかなって……でも、考え方が最低でした……ごめんなさい! 」
「つまり、話を聞きたかったと 」
「そう……です。花衣さん、何だか何かに悩んでいるようでしたから力になりたくて! 」
「らしいですよ、花衣さん。……どうしますか? 」
「どうするって…… 」
恐らく花音の意思は揺らがないだろう。もしここで頑なに喋らずにいても、花音は何度でもアタックするだろう。だけど巻き込む訳にもいかない。八方塞がりみたいな感じになり、どうしようかと悩んだ末、意外な所から意外な答えがかえってきた。
「喋っても良いのでは? 花衣様 」
隣にいるティアドロップから、俺が予想していない答えがかえってきた。俺はもちろん、レイやロゼ、そして花音も驚いた様子でティアドロップを皿の目で見た。
「何ですかそんなにじっと見て……あ、でも花衣様はいつでも私の事を見てもいいですからね? 」
「え、あ……あぁ。じゃなくて! お前からそんな事言うなんて意外だな 」
「まぁ、この子には何を言っても無駄だと思いますから。ですけど……花衣様は貴方の事を案じて何も話さないでいるのです。もし話を聞こうとするなら……自分身は自分で守る事を今この場で誓ってください 」
ティアドロップが真剣な眼差しで警告を言った。全てを凍りつかすような目は俺すらも見た事ないような冷酷で強い目で睨まれている花音は肩を震わせていたが、その目は決して逸らさなかった。
「……誓います! それに私、花衣さんの力になりたいですから! 」
「と、言っておりますが……? 」
「……分かった。分かったから……少し長くなるよ? 」
俺は最後の最後で折れ、この前遭遇した出来事を全て話した。【メルフィーパーク】の中で【メルフィー】モンスター達と出会った事や、心咲ちゃんに出会った事、そして……ポルーションとの戦闘や、その後に起きた出来事……1つのことを除いては、余すことなく花音に話した。
話せば話すほど花音は信じられないと口を手で塞ぎ、疑うような目をしてはいたが、俺やティアドロップ、レイの様子を見てすぐに真実だと悟った。
「まさか……そんな事が起こってたなんて…… 」
「うん、下手すれば多くの人が巻き込まれていたかも知れない 」
「でも、人知れず誰かを守ってくれたんですよね。まるで物語に出てくる英雄見たいですね 」
「そう言われてもな…… 」
「まぁでも、花衣さんは閃刀騎の時は事実英雄でしたし、生まれ変わってもそこは変わってませんね 」
そう言えば、そうらしいな。モンスターの時の頃は覚えていないが、レイとロゼがそういうなら間違いは無いだろう。
「でも、無理はダメ。今の貴方はただの人だもの。もしも戦闘になったら、真っ先に私達の後ろに隠れて。絶対よ 」
「ただの人……か 」
俺自身、その言葉に違和感を感じた。そう、あの時俺の中に生まれた影の存在だ。あんなのただの人間にある訳が無い。あの影が出てきた時、俺の中で全てを破壊し尽くす衝動や、目の前の敵を倒す衝動が暴れ回り、周りが見えなくなっていた。
これだけは流石に花音にも言いづらい。この事だけは、黙っておくことにした。
「ですが監視者の存在もいるのに、新しい敵ですか……周りが敵だらけで少し怖いですね 」
「いや、監視者に関しては敵としては見なくても良いかも知れない 」
「え? どうしてですか? 」
「なんというか……敵ではないと思うってだけって感じただけだけど…… 」
根拠としては、あの時の監視者の行動だ。ポルーションの毒を浄化したり、身の回りの安全を最優先で確保している辺り、人々を脅かす事はまず無い。
……が、俺に対しては少々強硬手段を取っていたりしたのでまだ油断は出来ないが、気をつけるならばポルーションの仲間達の方が危険だ。
あんな関係ない人を巻き込むような連中は、いち早くどうにかしないと被害が広がる事が容易に想像出来る。
幸い、監視者とは敵対関係見たいな位置なので、監視者と共闘するのも1つだろう。
「でも、なんで皆は花衣さんを狙うんでしょうか? 」
「そこなんだよなぁ…… 」
監視者もポルーションも、俺の事を真っ先に狙っていることは確かだ。理由があるとすれば……俺の前世、つまりはカイリやカイムだった事に何か関係があるのか……?
「ティアドロップとレイは何か心当たりは無いか? 」
「そうですね……私達は森で慎ましく過ごしていたので……心当たりは無いですね 」
ティアドロップの方は収穫無しか……
「私の方は強いて言えば……ラグナロクですかね? 」
ラグナロクと言うと、俺のカードでもある【閃刀騎-ラグナロク】の事だろう。全ての閃刀姫の装備を合わせ待った兵装は正に無敵と言っても過言では無いとレイ達は言っていた。ん〜考えられる線だけど俺はそこら辺覚えていないし、思い出せる気配も今の所ない。
「でも、あれはあまりに強力過ぎて封印されている。しかもあれはカイムしか使えないから、狙っても無意味だと思うわ 」
まぁ俺しか使えないなら狙っても意味無いよな。いつもの事だが目的が分からないから不安が積もるばかりだ。
「うーん、やっぱり謎は深まるばかりですね 」
「いつもの事だけどな…… 」
やはり実態がまだまだ謎だらけだから目的まで謎だらけだ。せめてポルーションが入っている組織がどう言ったものなのか知れれば話は別だとは思うが、唯一分かっているのは、ポルーションはティアドロップと同じくあっち側の存在という点だ。
だが、これだけじゃ何も分かっていないのと同じだ。
ポルーションについて考察している時、ドアのノック音が響いてきた。
「花衣〜飲み物とか持ってきたんだけどどうかしら? 」
「ヤバっ……2人とも隠れて 」
扉の向こうから母さんの声が聞こえ、俺はすぐにティアドロップとスノードロップ達をカードに戻すように急かし、2人はその場から消えてカードへと戻っていった。
その直後に扉が開き、何とかギリギリでティアドロップ達の姿を隠すことが出来、この部屋にいるのは俺と花音、レイとロゼ、そして母さんだけとなった。
「あら? こっちは勉強はしてないのね。下にいる皆は頑張って勉強しているわよ〜? 」
「いや……ちょっと話ごとというかなんというか…… 」
「なーにその反応〜? ……はっ、まさか貴方…… 」
「ちょ……俺はまだそんな事……! 」
「あらあら? 私まだ何も言ってないわよ? ……ナニを想像したのかしらぁ? 」
からかいながら母さんは机の上にお菓子とジュースを置き、手のひらで転がしている事を自覚しての微笑みを俺に向けた。幸い3人にはこの事には気づいてはおらず、少しホッとしている。
……それにしてもなんか皿の上にある菓子の量が多いような気がするが気のせいだろうか?
「じゃ、おじゃま虫の私は失礼するわね。ごゆっくり〜 」
結局母さんの手のひらで遊ばれ、母さんは嵐のように俺の心に少しの傷跡をつけては部屋から出ていってしまった。
「……なんだか、お義母様は不思議な人ですね。掴み所がないっていうか、本当に普通の人では無いような感じがしますね 」
レイの言う事は最もだろう。多分誰よりも付き合いの長い息子の俺でも未だに母さんのやる事はとことん予想はつかないし、掴み所が無い。
あんな風にからかったり、かと言ってそればかりでもない。俺が小さい頃には何事に対しても優しく受け止めたり、世話してくれた言わゆる聖母見たいな1面もあるから、振れ幅が大きいと言うかなんというか……とにかく凄い人だ。
「……もう、良いかな。出てきても良いぞ 」
「なんでしょう……折角こっちに来たというのに姿を見せられないのは些か嫌ですね…… 」
「仕方ないだろ、今六花全員が出てくると大変な騒ぎになるからな 」
後これは自業自得見たいな感じだけど……俺を見る目がちょっと痛くなる。
「むぅ……まぁ良いでしょう。今日ばかりは我慢します。ですが貴方達に花衣さんを譲ったと思った事はありませんから 」
「それはこちらのセリフです。私とロゼちゃんも花衣さんを渡すつもりはありませんし、離れる事もしませんからね〜! 」
また始まったというか、恒例行事というか、ティアドロップとレイとの睨み合いが始まった。まぁ、目と目との間に火花が飛び散るぐらいの事だから、実害が無いのが救いだ。
少し前、俺がレイとデュエルした時だったら殺し合いにも発展していたと思うから、それと比べると大分丸くなった。
「ふふ、何だか2人とも仲良しですね 」
「「誰がこの人と!! ……あっ、ふん! 」」
息のあった言葉のハモリで2人は困惑し、少しした後また息のあった動きでそれぞれ顔を後ろに背けた。
やっぱ、同じデッキで戦ったこともあるから嫌でも動きが合うのだろう。何だか微笑ましい限りで頬が緩んでしまいそうだ。
「そこまでだ2人とも、折角だから母さんの持ってきた物でも食べよう。そんでもって……話の腰を折るけど、【ピックアップデュエル】 の件について話を戻そう 」
大皿の上に盛られているチョコレートの包みを4つ取り出し、それぞれ皆に配ると静かな喧嘩は収まり、また話を戻した。
前の話を戻すと……【ピックアップデュエル】当日にティアドロップ達とレイ達をどうするかだ。ルールがルールであるからデッキを持つことは禁止され、かといって監視者やポルーションのようなやつに狙われないということも限らない。
もしティアドロップ達を置いていったら俺も花音も危険だし、かと言って連れていく訳も出来ない。
「いっその事、無理に参加しなくても良いのでは無いですか? 花衣さんの危険を晒してまででる物では無いでしょう? 」
「うぅ……それはそう……ですね。他に方法なんて思いつかないですし…… 」
「……いえ、一つだけありますよ 」
ティアドロップが何か思いつたか、俺たちはティアドロップの方に顔を向け、話を聞いた。
「私達全員が共に行けて、尚且つ正攻法で行くとするならばひとつしかありません。……私達全員が参加者になる事です 」
「ぜ……全員!? 」
となれば……六花は10人。閃刀姫はレイとロゼの2人だから、人数的には問題なく行けるが……1人だけ参加が出来ないような奴がいる。
「待て待て、ひとひらはどうするんだ。あんな小さな妖精サイズの奴が参加なんて出来るわけ無いだろう 」
「その点でしたら……貴方の傍に居させれば問題は無いでしょう。実体化しなければ、他の方に見られる事はありませんでしょう 」
「それもそうか 」
「ふむふむ、私がしてきた時みたいな物ですね。ですが参加する為にはチケットが必要ですよ? 12人分なんて用意出来るんですか? 」
「それなら、私が手配しておきます。一応私、咲初グループの一人娘なので、それぐらいの融通は聞くでしょう 」
「た……頼りになりすぎる 」
「え、えへへ……ちょっとずるいですけどね 」
今改めて花音の凄さ……いや、元々凄いんだけどそれを再確認したような気がする。サラっと飛んでも無い事を言うし、行動力もある。将来家の事を継ぐと努力もしているんだから、きっと良い跡取りになるだろう。
「よし! ではこれで決まりですね。後決めることはありますか? 」
「それと……折角全員が参加するのです。なんなら1つ、勝負でもしませんか? 」
「勝負? 」
「はい。この中で優勝を収めた人は……花衣様を1日独占出来るというのはどうでしょうか? 」
「はぁぁ!? おい! それ俺が1番だったらどうするんd」
「乗りました! よーし、負けませんからね! 」
「絶対に勝つ絶対に勝つ絶対に勝つ絶対に勝つ絶対に勝つ……」
あぁ〜ダメですねこれ。聞いてないし聞く耳も持たないだろう。というかそのルールだと俺達が勝てばどうするんだ? 俺はともかく……花音の方が困っていると思うけど……
「ふぇ!? わ、私は全然大丈夫ですよ!? よ、よーし、私も頑張るぞ……! 」
あれ? 何でやる気出してるの? まぁ……やる気があるようで何よりだ。何より……なのか?
「よーし! じゃあ早速特訓ですよ! ロゼちゃん、一緒に行こう! 」
「了解。負ける訳にはいかない 」
「それでは私達は失礼しますね! 花衣さん、待ってて下さいね〜! 絶対優勝してみますから! 」
「張り切るのはいいけど、勉強も忘れるなよ 」
「分かってますよ〜! それじゃ、また明日、学校で! 」
レイとロゼは母さんが持ってきたジュースを飲み干してから部屋を後にした。
「じゃあ……私もそろそろ失礼しますね 」
「ん、じゃあ送って行こうか? 」
「いえ、ご心配はありません。では、テストが終わったらまた連絡しますね 」
「じゃあ見送りだけするよ。 」
その場に立った花音に続いて腰を上げ、ティアドロップを一旦部屋に置いて花音の後について行った。
「そういえば……なんで俺を誘ったんだ? タッグデュエルとかだったらまだしも、今回はソロだ。誘う理由が見当たらないと言うかなんというか 」
「聞きたいですか……? 」
俺はこくりと頷くと、階段を降りきった花音は足を浮かせてつま先立ちの体勢になり、浮いた分伸びた身長で1段上にいる俺の耳元でこっそりと伝えた。
「ティアドロップさんが提案した物が本当の理由だって言ったら……どうします? 」
「は……? 」
「え、えーとつまり…………あれ? なんだか口に出すと思うと言葉が出ない……! えーとその……そういう事です! 」
「いや、どゆこと? 」
「そ、それよりも私は皆さんに挨拶してから帰りますので! ではこれで! 」
花音は俺から逃げるようにリビングに行き、直ぐに挨拶を済ませたのか僅か数秒で玄関に戻り、自分の靴を素早く履いては帰ってしまった。
「おーい花衣、花音なんか顔赤かったけどお前なんかしたのか〜!? 」
「いや……特には 」
「何も無ければあんな顔しねぇわ。ま、言いたくなければいいぜ? お楽しみみたいだったしな 」
「ちょ……! そんな事やってないし、お前が想像しているようなものじゃ無いからな! 」
「わーってるよ。んじゃ、俺らもそろそろ帰るわ。勉強会、あんがとな 」
「誘ってきたのはそっちだろ。また遊びに来いよ 」
「そーするわ 」
焔に続き、皆も荷物を纏めては母さんや俺に挨拶を済ました。
「んじゃ、また明日な! 」
「ま、その明日はテストだけどな 」
「カンニングするなよ? 」
「うっせ、それやるなら寝るわ 」
空との言い合いに焔は笑いながら返し、各々は自分の靴を履き、扉を開いて外へと出た。
大人数で騒いでいた家は一瞬でしんと静まり返り、この家には俺と母さん……そして、母さんには見えない精霊がいるだけとなった。
玄関にいても何もすることは無いので、一旦リビングへと戻り、あとはゆっくりと過ごすことにすると決めた。
リビングへと戻ると、向こうのキッチンで母さんがもう晩御飯の下準備をしているのか、髪を結んでエプロンをつけていた。
「あら? 皆はもう帰ったの? 」
「うん。母さんは……もう晩御飯の準備をしてるの? 」
「えぇ、テスト前日だから今日は野菜と柔らかいお肉が食べれる鍋にしようと思ってるの。今ちょっとお肉と野菜の下ごしらえをしてるわ 」
そこから作るのか……そういえば、ティアドロップも母さんの同じように下ごしらえに結構な手間暇をかけていた。カンザシもヘレボラスも同様だ。だからこそあんなに美味しい料理が出来ると思うし、それだけ俺の事を……
「花衣? そんな所でボーッと立ってどうしたの? 」
「え、いや……なんでもない 」
流石にここでティアドロップ達の事を言うことなんて出来ない。俺は逃げるようにリビングから出ていき、自分の部屋へと駆け込んで行った。
駆け込んだ部屋にはティアドロップがベッドの上に座って待っていており、俺を見ると笑顔で迎えた。
外はもう夕暮れの茜色に染まり、窓の外から差し込む夕日の逆光でティアドロップは煌びやかに映っていた。
「おかえりなさい花衣様 」
「俺の部屋でそれはおかしいと思うけどな 」
自分の部屋かつ家に出ていないからおかえりと言われるのが少しむず痒くなり、ベッドの上ではなく部屋に一つだけある回転椅子の方に座ると、ティアドロップはムスッと不服そうに頬を小さく膨らませた。
「むぅ……隣に来てくれないのですか? 」
「いや、向き合って話したいなぁ……って思って 」
隣は恥ずかしいと言うのはなんだか躊躇ってしまい、ティアドロップが言われて嬉しそうな言葉を選んでそれを口に出した。我ながらなんだか気持ちを利用しているようで酷いとは思う。
「ふふ……そうですか 」
だけど、照れ隠しというのはティアドロップにはバレているだろう。お見通しと言っているかのような彼女の微笑みは、俺の全部を知り尽くしているという裏返しなのだろうか。どちらにしろ、ティアドロップや母さんには一生敵わないような気がしてきた。
「そうだ、なぁティアドロップ。もし俺が【ピックアップデュエル】で優勝したらどうなるんだ? 」
ティアドロップが提案した勝負は、優勝した人は俺を1日独占するという物だ。だがそれだと俺がその恩恵を受けられず、なんだか不平等な感じになってしまう。その事を言おうとしたが、皆が張り切ってしまって言葉を遮る程燃えていたので言いそびれてしまっていた。
「そうですね……では、貴方が勝てば望みを何でもひとつ聞きましょう 」
「なんかそれ……いつもやって貰ってるような気がするし、望みなんて無いんだけど 」
恐らくこんな事しなくてもティアドロップ達は俺がやりたい事、したい事を言えば聞いてはくれるだろう。まぁ、流石に色々とは言わないが。
それにして欲しい事なんて無い。何故なら基本的にしてくれている事はしているのだから。そういう事では、まだ恩恵は無いと言ってもいいのだが、ティアドロップは表情を少し固くさせ、言葉を続けた。
「本当に何でもですよ? 例えば……貴方の過去を話すと言ったら? 」
俺はその言葉を聞いた瞬間、目の色を変えた。俺の過去というのは、恐らくは俺が【六花精華カイリ】として生きていた事だろう。この前聞いた時は皆は口を閉ざして言ってくれなかった事を、優勝すれば俺が知りたかった過去がティアドロップの口から聞けるなんて滅多に無いチャンスだ。
「記憶というのは少しのきっかけで蘇る物です。もし話して貴方がまた離れでもしたら……だから、この条件を出すからには私達も本気で貴方と戦います 」
ティアドロップの目は本気だった。もしもここで六花達全員がいたとしたら、ティアドロップと同じように真剣な眼差しで俺を見ていた事だろう。
命を掛けるという訳では無いが、ここは俺も全力で挑まないと痛い目にあいそうだ。
「それに、もし優勝すれば貴方の事を……ふふふ 」
真剣な表情から一転し、いつもの雰囲気に戻ったティアドロップは優勝した時の事を考えてなのか俺を見て舌なめずりをした。
「おい! 優勝したら何する気だ!? 」
「え〜何もしませんよ。ただちょっと激しいスキンシップをと…… 」
「そういうのは無しの筈だろ!? 」
「大丈夫です。ちゃんとラインギリギリで留まるので。それに、こう思っているのは私だけじゃありません。ストレナエ達の方はともかく、他の子もそのようになるかもしれないという事は覚えていてください。まぁ、貴方の1番は私ですが 」
サラっと自分が1番宣言したな。しかしそうか、他の六花も出る事になるという事は、もしかしたらレイ達を含む全員と戦う事になるかもしれない。
それに、今まで一緒にデュエルを支えてきた物だから俺の手口やスタイルも読まれている可能性もある。
……あれ? 俺もしかして大分不利な状況にいる?
仮に全員とデュエルする事になったら10戦以上しなければならず、それに俺が使えるカードなのかも分からない。それにティアドロップ達以外の人とも戦わないといけないしで、俺が優勝する確率は相当低い。
だけど、俺は知りたい。昔の自分は何者で、どんな人だったのか。
「はぁ……負けるつもり無いからな 」
「同じくです 」
「花衣〜! ご飯出来たわよ〜! 」
下から母さんの声が聞こえ、もう晩御飯の仕度が終わったのかと時間を確認すると、既に30分以上も経っていた。部屋の扉を開けて母さんに返事をし、ティアドロップに一声かけて部屋から出ていく。
「じゃあ俺は下に行くよ。……なんか悪いな 」
「良いんですよ。お義母様と一緒にいてあげて下さい 」
せっかくこの世界に来たというのにティアドロップだけではなく六花達全員に対しても申し訳ない。どこか外に出してあげるタイミングさえあれば……
そう考えながら下に降り、リビングに戻った。
リビングに戻ると机の上には鍋がひとつ鍋敷きの上に置かれており、少し柑橘系の爽やかな匂いを漂わせていた。
「……レモンの匂い? 」
「まぁ、良く気づいたわね。今結構暑いから、さっぱりしたレモン鍋にしたのよ 」
「レモン……鍋? 」
鍋の中にレモンがあるのかと鍋を覗くとそんな訳では無かった。鍋の中には肉や数種類ある野菜と、スープは透明で鶏ガラをベースにしている至って普通の鍋であり、変わったところと言えば仄かに香るレモンが特徴の鍋だ。
鍋にレモンって合うのかという不安で少し顔が引きつったが、母さんは心配ないと言わんばかりに笑いかけた。
「大丈夫よ。美味しいから 」
母さんの腕を信用していない訳では無い。むしろ美味しいと言うから絶対美味しいという確信すらあるぐらいだ。
しかし、初めて食べる物だから如何せん不安を抱えたまま椅子に座った。
机にある取り皿を取り、そのまま端で適当な肉や野菜を入れ、いざ食事の時間だ。とりあえず肉を箸でひとつ掴んでは少し躊躇いつつも、俺は口の中に放り込んだ。
ひと噛みした瞬間、爽やかな口当たりと旨味が口の中に広がり、食欲が無くなる夏にも関わらずいくらでも食べられそうだった。
鍋の暑さすらも気にする事もない爽やかなレモンの虜になった俺はがっつくように取り皿にある野菜や肉を全て平らげ、また次に取り皿に食材を取り込んだ。
「母さん……これ、凄く美味しいよ! 」
「本当? 良かったわ。テスト前だから野菜もしっかりと食べるのよ 」
「分かってるよ 」
小さな子供みたいな扱いに少しムッとしながらも食べ続けた。2人前の量の鍋だからか短い時間で具材が無くなってきた。
いやこれは俺ががっつき過ぎたのもあるかもしれない。後味がさっぱりしていてそれでいて旨味が更にその後味を押して次々と食べていけるからついつい箸が止まらなくなって行っていた。
「ふっふっふ、鍋はまだ終わらないわよ〜? 何故なら締めがあるもの 」
母さんがメガネをキラ付けさせてクイッとレンズに指をつけてクイッとメガネを上げ、キッチンに移動して戻っていくとある物を取り出していた。
「じゃーん! 予め用意していたうどんよ! やっぱり鍋と言えばこれよね! 」
「おぉ……! 」
ざるに盛られたうどんを母さんは嬉々として投入し、うどんは鍋のスープの熱で徐々にほぐれていった。予め用意していたと言っていたから、直ぐに食べられる状態までになっていた。
「よーし、もういいわね。はい、これ1玉分ね 」
母さんが今日にうどんを滑らせずに1玉分よそってくれて、器用だなと思いながら渡された取り皿を手に取った。
スープと良く絡んでいるうどんはこれまた旨味を持ちながらさっぱりとした風味となり、更にはモチモチとした食感がたまらない。締めだけでは勿体ないような味わいだが、鍋の後だとこれまた別格だった。
「いよいよ明日は期末試験ね。勉強の方は大丈夫? 」
「勉強会とかやったし大丈夫だよ。それに、テストの日は早く学校が終わるし 」
明日からの期末試験は4日間かけてやる。5教科+副教科の計8教科を一日に二教科ずつやり、残りの金曜日で終業式となり、それが終わったら待ちに待った夏休みだ。
「そう……じゃあ、学校が終わったらどうするの? どこかに行くの? 」
「いや、家でゆっくりした後は勉強かな……赤点取りたくないし 」
「そうね、赤点なんかとったら悲しくなるものね。でも、花衣の成績なら遊んでも問題無いんじゃない? 」
「言っても平均ぐらいだよ。母さんみたいに頭が良いって訳では無いし 」
「そう? 大丈夫なんだと思うけどな〜 」
気を抜いて赤点を取ればで悲しくなる。気を引き締めなければ後で酷い目にあうだろう。
皿にあるうどんを全て食べ終え、満腹になった腹をさすって消化をうながし、母さんは食べ終えた皿を全て重ねてキッチンへと持って行った。
「お風呂もう沸いてるから先に入ってて良いわよ〜 」
「え、洗い物手伝うよ? 」
「良いのよそんな。鍋だから洗い物少ないし、明日に備えて休んでいきなさい 」
「じゃあ……そうするよ 」
母さんの好意に甘えて風呂場へと移動し、部屋着を脱いで風呂場へとはいる。まずはシャワーを浴びて汗を流し、シャンプーで髪を洗い、次にボディーソープで体を洗い、またシャワーで今度は泡を流す。
泡が全部流したことを確認したら、ようやく湯船に浸かる。適温の熱がじんわりと体に染み込み、心が洗われるようでもあった。風呂は命の洗濯とはよく言った物だ。
風呂に入ると隙を見ては六花達に覗かれる事は……まぁ、しばしばあるが……母さんがいる時はそんな事はまず無い、1人を除いでは。
「……そろそろかな 」
風呂場の扉をほんの少しだけ開き、しばらく待つと小さな妖精、全裸のひとひらが風呂場へと入ってきた。
そう、ひとひらに関しては比較的自由に行動している。手のひらサイズの小ささ故、霊体化すれば見れないし、実体化しても差程目立ちはしない。
(というか我ながらひとひらに対してはノーガードだなぁ…… )
まぁ今さらそう思っても仕方ない。とにかくいつも通り桶に湯船を入れ、それを湯船の上に浮かべると直ぐにひとひらは桶の中の湯船に浸かった。
ひとひらは湯船に浸かるといつも通り頬や体を緩ませて仰向けの状態で浮かび、気持ちよさそうにしていた。
「そう言えば、お前は【ピックアップデュエル】には参加出来ないんだよな。ひとひらだけ何も無いのは不公平だよなぁ…… 」
そう呟くとひとひらはそんな事無いと訴えているのか、眉をひそめてまるでカードをドローするような仕草をした。
やる気は認めるが……あまりにも小さすぎる。多分人として認知されないし、実体化して他人に見せればびっくりされるレベルには行かないだろう。だけどかと言ってひとひらを無下にするのは不公平だ。
「……そうだ、ひとひら。もし俺が優勝したら、お前の言うことひとつ聞くよ。当日はお前もついてくるんだ。それくらいやるよ 」
俺がそう言うとひとひらは目をキラキラとさせ、余程嬉しいのか体をばたつかせ、その勢いのまま俺の鼻に飛びかかってはそのまま全身を使って引っ付いて来た。
「はは、おいおいやめろって! 」
ひとひらは鼻に頬を擦り寄らせた後空を飛んで同じ場所をグルグル回り、嬉しさを体全体で伝えてきた。
「じゃ、当日は頑張ろうな。と言っても……テストって言う強敵がいるんだけどなぁ 」
明日はいきなり数学と英語という2大強敵が相手だ。こりゃあ一眠りする前にちょっとだけ勉強しようかな。
そうと決まれば早速行動だ。
俺は風呂から上がり、洗面所で体を吹いてドライヤーで髪を乾かした後、寝巻きに着替えた後、ひとひらの体も優しく吹いた。
小さいから少しの力でひとひらが痛がるので細心の注意を払い、人差し指の力だけでバスタオルで体を吹き、髪は1番弱い熱風で少し遠くから乾かした。本人曰く、ひとひらから4歩ぐらい離れた所で風を当てるのが1番良いらしい。
「……よし、このくらいかな 」
ひとひらも魔法でいつもの服に着替え、洗面所から出ていくと、今日の家事を終えた母さんがテレビを見ながらゆっくりしていた。
「あら、上がったのね。随分長いことドライヤー使ってたような気がするけどどうしたの? 」
「え!? い、いや〜最近なんか乾き具合が良くないな〜って 」
まずい、ひとひらの所で時間掛けすぎたか? 今ひとひらは霊体化しているから母さんには見えないはずだから問題無いが、母さんに妙な誤解をされても困る。頼むから詮索はしないで欲しいと願い続けると、その願いは届いたのか母さんはこれ以上何も言わなかった。
「あら? ドライヤーの調子が悪いのかしら……新しいの買おうかしら 」
「ま、まぁ使ってみたら良いよ。俺、もうちょっと勉強してから寝るよ 」
「無理はしないでね? 」
「遅くなる前には寝るよ。じゃあ……おやすみ 」
母さんに挨拶をし、俺は部屋へと戻る。
「……さて、もうひと頑張りだ 」
まずは英語だ。まずは単語を覚えて……それから文法での訳を覚えて……
「頑張りますね、花衣様 」
「まぁね 」
「良ければ私がお教え致しましょうか? 」
「出来るの? 」
「お義母様みたいにとは行かないと思いますが…… 」
そう言ってティアドロップは俺の隣に立つと英語の教科書とノートを一目見ると、直ぐに俺が行き詰まっている所を見抜いた。
「ここは三単現を使います。そしてここは数詞では無く、名詞を使います 」
「……凄いな、よくそんなスラスラ分かるね 」
「この程度なら造作もありません。なんなら、当日に答えをお教えする事だって可能ですよ 」
確かに、他の人には見えない精霊を使えば、テストで楽に満点を取ることも可能だろう。だけど、そんな必要は無い。
「いらない。俺は自分の力で試験を乗り切るよ 」
「ふふ、そう言うと思いました。そんな誠実な貴方も大好きですよ 」
随分聞きなれた言葉だが、まだ慣れない愛の言葉に俺は強ばってしまい、思わずシャーペンの芯の先を折らしてしまった。気を取り直してシャーペンの上部を押して芯を出し、ノートにさっき教えた通りの事を書き留める。
ティアドロップに教えられ、書き留め、また教えられて書き留める事を繰り返していると、徐々に手の動きが疎かになり、瞼が重くなってきた。今は何時なのだろうか、机の上にあるデジタル時計の時間すらぼやけてしまい、ノートも一部ミミズがのたうち回ったかのような字をしている。
もうそろそろ限界と感じた俺はペンを離してはその場で突っ伏せてしまい、その場で寝てしまいそうでもあった。
「花衣様、寝るならここでは無くてベッド出ないとお体に悪いですよ 」
ティアドロップに体を揺らされたり、ひとひらに頬をぺちぺちと叩かれたが俺の体はもう限界だ。瞼の重さに耐えきれず、声を出す事もままならぬまま俺はゆっくりと眠りについてしまった。
「ん……ごめん……もうここで寝る 」
「あぁ! 花衣様っ! ……もう、仕方ないですね 」
瞼が閉じきる前で朦朧とする中、ベッドにある布団を手に取ったティアドロップは、ゆっくりと俺の背中に布団を全身に掛けてくれた。
その後まるで赤子を寝かすように俺の頭をゆっくりと何度も優しく撫で、俺が寝るのを見守ってくれた。そのおかげで、俺はゆっくりと安らかに目を閉じて深い眠りについた。
「おやすみなさい、花衣様。どうか良い夢で貴方に安らかなお眠りを 」
ここまで(〜90話)出てきたレゾンカードの中で強いと思うのは?
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六花聖華ティアドロップ、カイリ
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閃刀騎-カイムと閃刀騎-ラグナロク
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銀河心眼の光子竜
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RRRリノベイルイグニッションファルコン
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炎転生遺物-不知火の太刀
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常闇の颶風