六花テーマを作って愛用したらそのまま俺への愛が重くなった件について   作:白だし茶漬け

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こんにちは!春だけどなんか夏のように暑くないか?と思っている白だし茶漬けです。
さて、次の話でこの章が終わり、次は【ピックアップデュエル】編です。物語の始終は大分固まりましたが、大方のデュエルシーンがまだまだ練り足らずと言った所です(--;)

今回は3ターン程のデュエルシーンがあり、wiki等で調べながらやったがやはりまだまだ不安があります。
どこか質問できる場所があればいいんですけどね……


夏の始まり

学生において、必ず立ち向かわなければならない強敵が存在する。人はそれを試験という。そして今、俺はその試験に挑んでいる。

問題用紙には今日の試験科目である英語の長文がズラリと並んでおり、正直これを呼んで理解するだけで試験の半分を費やしてしまいそうだ。

 

試験の時間は刻刻と進んでおり、隣の席である焔は全てを書いたのか、それとも後は全部分からないのかその場で見直しもしないで机に額を乗せて寝ていた。多分だけど後者の方だろう。

 

空に至ってはくせ毛の部分を弄りながら考えており、レイとロゼは試験終了30分前には全てを終わらせたのか、余裕そうに窓の外を眺めたり、隙あらば俺の事をじっと見ていた。

 

残り数十分、半分程しか翻訳しておらず答えが分からないこの場で諦めようとしたが、ふと昨日母さんとティアドロップに教えられた事を思い出した。

 

(確かこの文体は……こう訳するんだっけ )

 

すると前半の部分と辻褄が合うような翻訳になり、最終問題の1問を解くことが出来た。だけどまだ解いていない所がある。また英文を翻訳をしようとしたが……その瞬間試験終了のチャイムが鳴ってしまい、一限目の試験は終了してしまった。

 

「くっそ……後ちょっとだったんだけどな 」

 

やるせない気持ちが滲み出ながらも、回答用紙を後ろから前へと回し、悔しさでその場でうつ伏せてしまう。

 

「んぁ?もう終わったんか? 」

 

隣の席の焔がチャイムの音を目覚まし代わりに体を起こし、欠伸をしながら後ろから回された回答用紙を受け取り、自分の回答用紙を重ねて前の席に渡した。

 

「ふぁ〜……やっぱ英語分かんねぇや 」

 

「お前……随分と早く寝ていたけど大丈夫なのか? 」

 

「半分埋まったから大丈夫だろ 」

 

その半分がほとんど外れていたらお前は終わりなんだが?いつもだったら多分ギリギリの点数になると思うが、昨日の勉強会で恐らくはその埋まっている所は概ね正解していると思うので問題は無いだろう。

 

さて、次は数学だ。これが終われば一日目の試験は終了するので、山場をひとつ乗り切る事になる。数学に至っては、数式を覚えれば行ける範囲なので問題は無い。

 

そう意気込んでの数学は、予想通り数式に当てはめれば行けるものばかりであり、計算ミスをしないように慎重に答えを書いていく。

数学に関しては機羽の得意科目であり、機羽の席からスラスラと回答が書かれていく音が止めどなく聞こえ、30分が過ぎると止まり、回答の見直しをする早業だ。

一方焔は中々に苦戦しているが、いつもよりも粘り強い姿勢を見せていた。これなら赤点はまず無いだろう。

俺も数分余らせて回答を全部埋めることに成功し、少し見直したらチャイムが鳴り、この日の試験は終了した。

 

 

 

そして2日目、3日目と続き、最終日の試験があっという間に過ぎ去った。最後の科目である現代文が終わるチャイムがなると、同時にクラスの皆が牢獄から解放されたように腕を伸ばしたり、体を伸ばしたりした。

 

「うーし!終わったぁ!さらばテスト、安らかに眠れ……! 」

 

「テスト中寝ていたのはお前だろ 」

 

後ろから空のご最もなツッコミを焔に突き立てた。

 

「だぁぁ〜!今日は家でダラダラ……って訳にも行かないんだよなぁ……この時期になると夏祭りの用意でクソ忙しくなる 」

 

「あ、そうか。確か焔の家って……神社だっけ 」

 

焔の実家はかなり大きい神社であり、名前は【炎舞神社】という。正月は参拝客で賑わうのは勿論、夏祭りや冬祭り等の行事にも担っており、かなり地域の人からも愛されており、焔はその家系の息子という事になる。

毎年恒例の夏祭りも準備もこの時から始まっているらしく、焔も行く行くはその準備を手伝うらしい。

 

「俺はやりたい事があるしな、花衣はどうするんだ 」

 

「俺はカードショップに寄るよ。ちょっとある大会……というか、祭りに参加するから 」

 

「祭り? 」

 

興味を湧いた焔が体を起こし、空も興味津々と言っているように俺を見た。

俺は2人に【ピックアップデュエル】の事を話し、花音とレイ、そしてロゼとも出ると伝えると更に興味を持った。

 

「へぇ〜拾ったカードでデュエルねぇ 」

 

「ほぼというか、間違いなくハイランダーデッキになりそうだな 」

 

「ハイランダー? 」

 

「デッキのカードが全て1種類で作ったデッキがハイランダーデッキだ。拾ったカードのみでのデュエルとなると、属性か種族を固めるのが良さそうだな 」

 

「と言っても……どんなカードを拾えば良いのか分からないぞ 」

 

カードの種類だけでも一万以上の種類があるらしい遊戯王では、様々な戦略が練れるが、逆に膨大すぎる量が故にまともな固まりが出来ずにめちゃくちゃなデッキになるゆるかもしれない。だが、時間内にデュエルができる40枚以上集めなければその時点で失格になるから悠長には出来ない。まだ初心者でほとんどのカードの効果や使い方を知らない俺にとっては、この時点でかなりのディスアドバンテージとなっている。

だからテストが終わった今日、店長さんに頼んで色んなカードを見せてもらおうと考えている。

 

「どんなカードがいいかな? 」

 

「そんなもん決まってるだろ。火力だよ火力!力こそパワーってな! 」

 

「火力って言うとピンと来ないけど…… 」

 

「お前が知っている限りだと、【ロマンス・タッグデュエル】で、1回戦で戦ったあのサイバーデッキと、決勝戦で戦ったギャラクシーデッキだな。どちらも大型モンスターが攻撃力があるから、後攻ワンキルがしやすいしな 」

 

「なるほど……ん?火力って言うと、空のRRもそんなイメージがあるけど、どうなんだ? 」

 

「俺はどちらかと言えば制圧型だな。それに、RRは同名カードが必須と言ってもいいから、あまりおすすめはしない 」

 

「焔の不知火は? 」

 

「いやいやいや俺のデッキの方が扱い難しいし、結構カード枚数いるわ。まぁ強いて言えば、こっちの方だな 」

 

すると焔はカバンの中からデッキケースを取り出し、その中から1枚のカードを俺に手渡した。

手渡されたカードの名前は【炎斬機ファイナルシグマ】というシンクロモンスターというものだった。

 

守備力は0だが、攻撃力は3000という高い数値を有しており、レベルも最大の12、炎属性のカードで炎を纏った大剣を持っているロボットのイラストが男心をくすぐられそうだ。

 

「そいつのテーマ元の【斬機】というのが結構簡単だげぜ、モンスター出して大型モンスターで殴る!結構オススメだぜ 」

 

「でも、レベル12で攻撃力3000か……なんか、拍子抜けというかなんというか 」

 

「ん?そいつ耐性付きで攻撃力6000の2回攻撃とかになるからやべぇぞ、マジで 」

 

「……マジで? 」

 

「マジマジ 」

 

だが、確かにカードテキストをよく見るととんでも無い効果のオンパレードだった。エクストラモンスターゾーンにおけば【斬機】カード意外のカード効果を受けず、モンスターとの戦闘ダメージを倍にする効果も持っていた。

 

しかも、焔の言う通り攻撃力6000で戦闘ダメージを倍にさせるというのなら、攻撃力2000のモンスターに攻撃したら一撃でライフを削り切る程のダメージを与えられる。うん、これは間違いなくレベル12のモンスターだ。

 

「というより、【ストラクチャー】か【デッキビルドパック】に収録されているカードを狙うのもありかもな 」

 

「あぁ〜なるほどな! 」

 

「どういう事だ? 」

 

「【ストラクチャーデッキ】と【デッキビルドパック】は、基本的に初心者が扱いやすいものばかりになっている。動かし方にも癖が無いし、サポートカードも多く収録されているから、ハイランダーデッキでも対応出来るはずだ 」

 

なるほど、初心者が使えるなら動かせない事は無いだろうし、それに狙えるカードが大方絞れるかもしれない。

 

「じゃあ、ショップに行く時見てみるよ 」

 

「あぁ、ところで……後ろにいるレイとロゼは何なんだ? 」

 

空に言われて後ろに振り向くと、レイとロゼが待っていたと言わんばかりの表情を浮かべ、振り返っと同時にレイとロゼは俺の体に抱きついた。

 

「花衣さーん!ショップに行くんですか?私達も行きます行きます〜! 」

 

「一緒について行く 」

 

「分かったから早く離れてくれ…… 」

 

「相変わらずモテるな〜花衣 」

 

目の前にいる焔と空は笑って見ているが、他の男子生徒からは妬みとかの感情が滲み出ている視線が突き刺さっている。視線から「テスト直後にイチャつくな」と言っているようにも思え、今すぐにでもこの教室から抜け出したい所だ。

 

「んじゃ、俺らは帰るわ。ごゆっくり〜 」

 

「羽目を外すなよ 」

 

「それじゃぁ私達も行きましょう 」

 

焔と空は学校から家へと帰り、俺達はそのままカードショップへと移動した。

 

学校に出る途中でもレイとロゼは離れる事を知らずに俺の両腕に腕を絡ませ、嫌でもその光景は他の生徒の目に入った。

この光景を見るな否やほとんどの男子生徒は血涙を流しては嘆いており、レイとロゼの人気の高さが伺えた。

 

だが、そんな2人に挟まれている俺の内心は良いとは呼べなく、逆にその憎悪の的になっていた。良いとは言えない視線に当てられて冷や汗は出るわ逃げたくても2人に腕を組まされて逃げられないわで気分は良くない。

正直早く学校から出たい。

 

「なぁ……やっぱりこうするのあんまりよく無いぞ…… 」

 

「え〜?良いじゃないですか。貴方は私達の物って皆に見せびらかすんですよ。そうすれば他の女なんて寄ってこないですし 」

 

「いや多分だけど俺は男に嫉妬で後ろから刺される未来しか見えない 」

 

「そうなった場合は私達が始末する。絶対そんな事はさせない 」

 

ん〜頼もしいけど考え方がバイオレンスなのは変わってない。しかし言葉とは裏腹に2人とも幸せそうな表情をしているから、他の人には2人の心の内は永遠に分からないだろう。まぁ分からなくて良いが。

 

見られているせいなのか、それともレイとロゼに腕を組まれて歩きにくかったせいなのか妙に長く感じた廊下から学校の玄関にたどり着き、上履きから制定の靴に履き変えれば後はショップに寄るのみだ。

靴を履き替えた俺たちは校門を潜り、そのまま真っ直ぐ行きつけのカードショップへと足を運んだ。

 

最近は色んな所に行ったり来たりだったから、このカードショップに来るのは随分と久しぶりだ。

空きビルの2階全体を改装して作ったという在り来りな作りのショップだが、店長さんの顔立ちの影響でここの店はかなり盛況になったけど……流石に今は平日の昼。

客数は少ないというか、俺たちしかいなかった。

 

「あら?花衣君いらっしゃい!なんだか久しぶりね〜!そちらのお2人は……彼女さん? 」

 

「違います 」

 

大抵の反応の俺はいつも通りの反応を返し、店長さんはカウンターに肘を置いて頬杖を取り、俺の反応を楽しんでいるかのように笑っていた。

 

「ふふ、ところで今日はどんな用かしら?新しいデッキでもご所望かしら? 」

 

「いや、そういう訳じゃ無くて…… 」

 

俺は店長さんに、【ピックアップデュエル】の事を話し、拾うカードの情報や対応出来るようになる為、店長さんにも拾うカードの種類や、狙うべきカードのご教授をねだった。

 

「なるほどね……拾ったカードでデュエルね……ん〜火力も良いけど、やっぱり安定性も欲しいわね。ここは出張パーツも狙っても良いかもね 」

 

「出張パーツ? 」

 

「例えば、最近だと【勇者セット】みたいなのがそうね。数枚あるだけで強みを伸ばすことも出来るし、弱点を無くす事だって出来るのよ。だけど多分、皆も狙うと思うわね 」

 

確かに、安定性を求める為に狙う人も多いと考えた方が良い。そうなると本当にこのデュエルは運の要素が強いと実感してしまう。

 

「とは言っても、色んなカードを知るのは良いことよ。という事で、デュエルしましょうか 」

 

「え……!?今からですか!? 」

 

「そう、善は急げって奴よ。じゃあ、あっちの机で待っててね。今カード持っていくから 」

 

店長さんは棚の上や引き出しにあるカードを引っ張り出し、大量のカードを一気にこっちに持っていこうとしていた。流石に重いのか店長さんは腕を震えさせており、見ていられない俺はすぐ様駆け寄って荷物を一つ無理やり取った。

 

「手伝いますよ 」

 

「あら、嬉しいわ。それだけで良いからね 」

 

俺は多くのカードが入った荷物を机の上に置き、続いて店長さんの荷物も置かれると机の上には何種類物のカードが裏向きに置かれ、ざっと見た感じ数百枚はあるだろう。

 

「さぁ、今から3分以内にここから戦えるだけのカードを取ってデュエルよ。レイちゃんとロゼちゃんも参加して良いからね 」

 

「了解です。ふふ、勝負ですよ花衣さん! 」

 

「負けないから 」

 

「えぇ今からするんですか!?それに、ここからカードを取るって…… 」

 

こんな大量のカードの中から戦えるだけのカードを取るという事は、最低でもメインに入るカード40枚は取れという事なのだろうが、闇雲に取ってもシナジーが噛み合わないカードばかりになるだろうからまともなデッキになる事はまず無いと考えてもいい。だからといって三分という短い時間だから悠長にしている暇も無い。

せめて心の準備だけさせて欲しいと言いたいが、そんな暇も与えずに店長さんはタイマーをセットした。

 

「じゃあ始め! 」

 

「ちょっとぉ!? 」

 

心の準備ができていない俺とは違い、レイとロゼはカードの山の中から適当なカードを取り出しては素早くデッキに入れるか入れないかの判別がついており、順調にデッキの形を作っていた。

 

俺も負けていられない。取り敢えず5枚程カードを取ると、【E-HERO フェザーマン】【E-HERO バーストレディ】【E-HERO スパークマン】【E-HERO バブルマン】

【E-HERO クレイマン】のカードを手に取っていた。

 

「E-HERO……か 」

 

十代が使っていたカテゴリーだから大体の特性は分かってはいる。だけど見たことがあるだけで動かし方はあまり分かってはいない。またもう一度適当に引こうかなと考えてもう一度手に取ると、たまたま複数のカードの内の一つに、【融合】のカードがあった。

 

ここまで揃ったなら、今回は【E-HERO】を主軸としたデッキで挑もう。まぁもっとも、まだ俺は【E-HERO】の融合モンスターを取っていない。まずは融合モンスターを探しながら、他の【HERO】カード、又はそれをサポートできるカードを取るしかない。

山の中からまた1枚、1枚とカードを取るが、一向に思うようなカードが取れずに焦りに焦るがそうなった所で目当てのカードなんて引ける訳が無い。

 

タイマーの時間は残り一分、デッキの枚数はメインが20数枚にエクストラは4枚。まずい、もう時間が無い。エクストラデッキは諦めてここはメインデッキに集中し、カードを急いで取った。

 

タイマーのアラームが鳴ったと同時に40枚目のカードを手に取り、店長さんはアラームを止めて山のカードを回収した。

 

「じゃあ、今からジャンケンしてデュエルの順番を決めてね。1人勝ち抜けて残った人とデュエルね 」

 

「よーし、行きますよ!ジャンケン…… 」

 

「「「ポン!」」」

 

ジャンケンの結果は1回で終わり、俺はチョキで残りの2人はパーだった。この時点で俺の勝ち抜けとなり、最初はレイとロゼのデュエルとなった。

 

「じゃあ花衣君は、勝った人と勝負ね 」

 

「よーし、負けないからね! 」

 

「それはこっちのセリフ 」

 

2人はお互いのデッキをシャッフルし、十分切ったところでデッキを返した。

その後、コイントスを初めてレイは表、ロゼが裏を宣言するとコインは裏で机の上に置かれ、先行はロゼとなった。

 

「そうだ、予選はライフ4000ですけどどうします? 」

 

「ここは敢えてライフはそのままの8000にしましょう。花衣君もデッキの特徴とか知りたいだろうし 」

 

確かに、4000だと一気に戦況が変わる可能性もある。俺は店長さんの意見に賛成し、ライフはそのままの8000で始まった。

 

「「デュエル! 」」

 

レイ 残りライフ8000 vsロゼ 残りライフ8000

 

「私のターン、私は【スクラップ・リサイクラー】を召喚 」

 

スクラップ・リサイクラー

レベル3/地属性 / 機械族 / ATK900/DEF1200

 

「【スクラップ・リサイクラー】の効果でデッキからレベル4の闇属性機械族のモンスターを墓地に送る。私は【オルフェゴール・ディヴェル】を墓地に送る 」

 

「まぁ、【オルフェゴール】だなんて、中々冒険するわね、ロゼちゃん 」

 

「【オルフェゴール】……? 」

 

「墓地を経由してモンスターを除外してからモンスターを展開して、妨害していく事を主軸としているデッキよ 」

 

焔が使っている【不知火】みたいな物だろうか。だが、妨害系は色んなカードを使うイメージがある。しかも、カテゴリーが決まっているなら、それをサーチするのにもそのカテゴリーと同名の物が必要となるはずだ。

ほとんどのカードが1枚しか取れないこのルールでは妨害系は自慢である長期戦は難しい筈だ。

 

「【ディヴェル】の効果で墓地から除外し、デッキから【オルフェゴール・スケルツォン】を特殊召喚。更に手札から【デビルズ・サンクチュアリ】を発動。悪魔族レベル1の【メタルデビル・トークン】を特殊召喚 」

 

これでフィールドにはモンスターが2体だ。そろそろ動きが出てもいい頃か……?

 

「私は、この2体でリンク召喚。召喚条件は【オルフェゴール】モンスター含むモンスター2体。私は【オルフェゴール・ガラテア】を召喚 」

 

オルフェゴール・ガラテア

LINK2/闇属性/機械族/ATK1800

 

「【オルフェゴール・ガラテア】の効果発動。除外している【オルフェゴール・ディヴェル】をデッキに戻し、【オルフェゴール】魔法・罠カードをセットする。私は【オルフェゴール・バベル】をフィールドにセットし、発動 」

 

【オルフェゴール・バベル】というフィールド魔法を発動したが、今の所効果の発動はしていない。

盤面は攻撃力1800の【オルフェゴール・ガラテア】しかおらず、このままでは難なく突破されるだろう。だけど、ロゼはこのままでは終わらない。

 

「私は永続魔法【オルフェゴール・アインザッツ】を設置、更にエクストラデッキの【スターダストドラゴン】を除外し、【Sin スターダストドラゴン】を召喚 」

 

Sin スターダストドラゴン

レベル8/闇属性/機械族/ATK2500 DEF2000

 

「【スターダスト】!?しかも【Sin】モンスターか 」

 

エクストラデッキから対象となるモンスターを除外する事で手札からその対のモンスター召喚出来るカード、それが【Sin】だ。

確かあの【Sin スターダストドラゴン】は、表側で存在する限り自分フィールドの表側表示のカードを破壊されない効果を持っており、モンスターは勿論、今表側表示のフィールド魔法と永続魔法に対しての破壊耐性もつけられている。

 

そして【Sin】モンスターは、フィールド魔法が存在しない場合破壊されてしまうが、ロゼのフィールドには【オルフェゴール・バベル】が存在している為、【Sin スターダストドラゴン】はフィールドに残り、その破壊を防げている。

 

「私はカードを2枚伏せて、ターンエンド 」

 

 

1ターン目終了

ロゼ: 残りライフ 8000

 

手札 0枚

①②③□□

□□□□④ ⑥

□ ⑤

 

□□□□□

□□□□□

 

レイ:残りライフ 8000

手札:5枚

 

①伏せカード

②オルフェゴール・アインザッツ

③伏せカード

④Sin スターダストドラゴンATK2500

⑤オルフェゴール・ガラテア ATK1800

⑥オルフェゴール・バベル

 

 

 

「じゃあ私のターン、ドロー!」

「この瞬間、【オルフェゴール・ガラテア】の効果発動。除外されている【オルフェゴール・スケルツォン】をデッキに戻し、デッキから【オルフェゴール・クリマクス】をセットする 」

 

「あれ?【オルフェゴール・ガラテア】の効果って相手ターンでも使えるのか? 」

 

「いいえ、フィールド魔法【オルフェゴール・バベル】の効果で【オルフェゴール】リンクモンスターの効果は相手ターンでも使えるようになっているの。これは中々厄介よ〜? 」

 

つまり、罠カードと同じようなタイミングでも使えるという事になるという事だろうか。しかもデッキから罠カードを直接セット出来たからもうあのカードも好きなタイミングで使用することも可能だ。これは厄介だぞ……

 

「じゃあカードをセットしてから魔法カード【ダブルサイクロン】を発動!私の伏せカードと、最初の伏せカードを破壊! 」

 

レイの伏せカードとロゼの伏せカードが破壊され、これでレイはなんの妨害も無く盤面を展開しやすくなった。

……かと思われたが、ロゼは狙い通りと言わんばかりにマフラーの奥底にある口の口角を少しあげた。

 

「破壊された【やぶ蛇】の効果を発動。相手によって墓地に送られた時、エクストラデッキからモンスターを一体特殊召喚する 」

 

「嘘っ!?」

 

「私はエクストラデッキから【スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン】を特殊召喚 」

 

スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン

レベル12/闇属性/ドラゴン族/ATK3500/DEF3000

 

ここに来て新たなモンスター……しかもあのモンスターは自身を除外する事で攻撃を1回無効にする効果を持っていた筈だ。さて……どうする?レイ。

 

「まだですよ!私が【ダブルサイクロン】で墓地に送ったのは【月光香】!これを除外して手札を1枚捨てる事で、デッキから【ムーンライト】カードを手札に加えます。私は【月光翠鳥】を手札に加えます。そ し て〜私がさっき墓地に送ったのは 【月光赤狐】!このモンスターが墓地に送られた時、相手モンスター1体の攻撃力を0にします!当選私は【スカーレット・ノヴァ・ドラゴン】を選択! 」

 

スカーレット・ノヴァ・ドラゴン ATK3500→0

 

これで攻撃力に関しては問題ないが、攻撃力が0のスカーレット・ドラゴンは、自身を除外する事で攻撃を無効にする。その為、あのモンスターを0にしても攻撃は通らず、この攻撃力変化は差程意味が無いのではと考えたが、レイはミスしたとも思っていないようだった。

 

「続いて手札から【月光融合】を発動!手札の【月光翠鳥】と【月光紫蝶】と、相手フィールドにエクストラデッキからモンスターが存在してるので、私は更にエクストラデッキのモンスターを融合素材にできる! 」

 

「エクストラデッキから融合!?凄いなあのカード…… 」

 

「私が選ぶのは【月光舞豹姫】!この三体で融合召喚!私は【月光舞獅子姫】を召喚! 」

 

月光舞獅子姫

レベル10/闇属性/獣戦士族/ATK3500/DEF3000

 

「このモンスターは二回攻撃出来て、相手の効果の対象にもなりません!つまり、【スカーレット・ノヴァ・ドラゴン】で除外しても、攻撃は通る! 」

 

「あれ?攻撃を無効にされるのって、その効果で何とも無くなるのか? 」

 

「スカーレット自体が対象を取る効果だから、スカーレットの効果は発動しても止められないわね。これはロゼちゃん、ピンチね 」

 

「まだよ、永続魔法【オルフェゴール・アインザッツ】の効果で、私はデッキから【オルフェゴール・トロイメア】を墓地に送る 」

 

「じゃあ行くよ!私は【月光舞豹姫】で【スカーレット・ノヴァ・ドラゴン】を攻撃! 」

 

「罠発動、【バトル・スタン・ソニック】。攻撃を無効にし、その後デッキから【TG】モンスターを特殊召喚する 」

 

「あれ?対象にされるから攻撃を無効には出来ないんじゃ…… 」

 

「あのカードは対象を取るカードじゃないから問題無いわね。それに、【月光舞豹姫】は相手の効果までは無効に出来ないから、あの罠の効果は通れるわね 」

 

む……難しいし複雑すぎる……!対象を取るとか取らないとかで頭が一杯なのに、そんなカードが山ほどあるから頭がどうしてもこんがらがってしまう。

 

要するに、今の状況だと【月光舞豹姫】の攻撃は無効にされ、【バトル・スタン・ソニック】の効果は発動出来るという訳だろう。

 

「【バトル・スタン・ソニック】の効果で、デッキから【TG ギア・ゾンビ】を守備で特殊召喚 」

 

TG ギア・ゾンビ

レベル1/闇属性/アンデッド族/ATK100/DEF0

 

「まだまだ!【月光舞豹姫】はもう一度攻撃出来ます!もう1回【スカーレット・ノヴァ・ドラゴン】を攻撃! 」

 

流石にこれ以上防ぎようが無く、ロゼは甘んじて攻撃を受け、【スカーレット・ノヴァ・ドラゴン】は破壊され、攻撃力が0だからダイレクトアタックと同じダメージを受けることになった。

 

ロゼ 残りライフ8000→4500

 

「本来【月光舞豹姫】は戦闘を行ったダメージステップ終了時、相手フィールドに特殊召喚したモンスターを破壊する効果があるんだけど……」

 

「罠発動【オルフェゴール・クリマクス】。貴方のその効果を無効にして除外する 」

 

「ん〜厄介!私はカードを1枚伏せてターンエンド! 」

 

 

2ターン目終了

ロゼ: 残りライフ 4500

 

手札 0枚

□①□□

□□□⑤② ④

□ ③

 

□□□□□

⑥□□□□

 

レイ:残りライフ 8000

手札:0枚

 

①オルフェゴール・アインザッツ

②Sin スターダストドラゴンATK2500

③オルフェゴール・ガラテア ATK1800

④オルフェゴール・バベル

⑤TG ギア・ゾンビ DEF0

⑥伏せカード

 

2ターン目が終わり、ライフの方はレイの方に傾いていはいるが、まだまだロゼの盤面は健在だ。そのせいか、レイはまだまだ余裕そうな表情を浮かべている。ここから盤面を逆転できる要素があるというのだろうか?

 

「私のターン、ドロー 」

 

「ふっふーん、ロゼちゃんもしかして【オルフェゴール・ロンギルス】を引けなかったでしょ? 」

 

ロゼはレイの言葉に肩を少し上げ、マフラー越しのポーカーフェイスは崩れてはいないが、明らかな図星の態度を見せた。

 

「しかも場には【Sin スターダストドラゴン】がいるからそのカード以外は攻撃宣言出来ないし、妨害系で組んでるなら攻撃アップのカードは無いs 」

 

「一体いつから私が妨害系って言ったのかしら?」

 

「へ? 」

 

「私は【オルフェゴール・スケルツォン】の効果で、除外した後、墓地から【オルフェゴール・トロイメア】を特殊召喚する。そして、私はこのターン、闇属性しか特殊召喚出来ない 」

 

オルフェゴール・トロイメア

レベル7/闇属性/機械族/ATK100/DEF2000

 

「これで五体。揃ったわね 」

 

「揃った? 」

 

「私はこの5体でリンク召喚。召喚条件は、効果モンスター5体よ 」

 

「5体も使うリンクモンスター!? 」

 

「……あっ、あのカードね 」

 

店長さんがなにかに察したのか、ロゼは盤面全てのモンスターを素材にすると、残り枚数が少ないエクストラデッキの中から1枚のカードを抜き取り、ゆっくりとだが相手に突きつけるようにエクストラモンスターゾーンにそのモンスターを召喚した。

 

「私は、【L・G・D】をリンク召喚 」

 

L・G・D

リンク5/闇属性/ドラゴン族/リンク/ATK5000

 

「攻撃力5000!?なんだあのカード!? 」

 

「しかもあのカード、光属性以外のモンスターでは戦闘破壊されないし、他のカード効果を受け付けないから厄介よ。一気に形成逆転ね 」

 

「あわわわ……ロゼちゃんだったら妨害系で行くと思ったのに…… 」

 

「貴方の考えなんてお見通しよ。そして……完膚なきまでに潰すわ 」

 

「な、なんかロゼちゃんが列強にいた時の目をしている……! 」

 

確かにめちゃくちゃ怖い目付きになっており、強いて言うならそこら辺の蛆虫やゴミを見るような冷たい目をしていた。あれに睨まれたら身動きが取れない自信がある。

 

ライオンは全力で獲物である兎を狩るように、ロゼは完膚無き姿勢でレイを追い詰める。

 

「バトルよ。私は【L・G・D】でダイレクトアタック 」

 

「うぐぅぅぅ痛い! 」

 

レイ 残りライフ 8000→3000

 

「私は魔法カード【強欲で貪欲な壺】を発動。デッキから10枚裏側除外して2枚ドロー。カードを2枚伏せて、ターンエンド 」

 

 

2ターン目終了

 

ロゼ: 残りライフ 4500

 

手札 0枚

 

①②③□□

 

□□□□□ ④

 

⑤ □

 

□□□□□

 

⑥□□□□

 

レイ:残りライフ 3000

手札:0枚

 

①伏せカード

②オルフェゴール・アインザッツ

③伏せカード

④オルフェゴール・バベル

⑤ L・G・D ATK5000

⑥伏せカード

 

これは少々不味いことになってきたぞ……レイの場はがら空き、このターンでモンスターを召喚して壁でも何でも作らなければ、ロゼが次のターン攻撃力1500のモンスターを召喚すればその時点で勝敗が決まってしまう。あのモンスターをどうにかするか、壁を作ってチャンスを待つしか無いと思うが……ロゼがそんなに待ってくれるとは思えない。恐らくは次のターンで確実にケリをつけに行くだろう。

 

「私のターン、ドロー!私は罠カード【無謀な欲張り】を発動!デッキから2枚ドロー出来ますが、私は2ターンの間ドロー出来ない! 」

 

「ここで勝負を決めに来たわね……! 」

 

レイが願うかのようにカードを2枚引き、そっと目を開けて2枚のカードを見ると、その目は諦めない闘志の光で輝いていた。

 

「これなら……!私は魔法カード【死者蘇生】を発動し、墓地の【月光舞豹姫】を特殊召喚! 」

 

「【オルフェゴール・アインザッツ】の効果で、【オルフェゴール・カノーネ】を墓地に送る 」

 

「バトル!私は【月光舞豹姫】で【L・G・D】を攻g…… 」

 

「その前に、私は罠カード【おジャマデュオ】を発動。貴方の場に、【おジャマトークン】を2体特殊召喚する 」

 

「お……おジャマ? 」

 

レイの場には2体のおジャマトークンが特殊召喚され、攻撃力は0、守備力は1000のなんの変哲もないモンスターだ。一体何を考えてるんだ?それにしても、ロゼがあのカードを使うなんて意外だ……

 

「で?バトルするのかしら?」

 

「え?と、とにかくバトル!そして更に、私は【コンセントレイト】を2枚発動!【月光舞豹姫】を対象にして、その守備力分攻撃力をアップさせる! 」

 

【月光舞豹姫】の守備力は3000で、それが2回分だから攻撃力は6000もアップし、最終的な攻撃力は脅威の9500となる。

 

【月光舞豹姫】 ATK5500→9500

 

「戦闘破壊出来なくてもダメージは受ける!終わりだよ!ロゼちゃん! 」

 

「そうね、攻撃されれば終わりね。貴方が攻撃出来ればの話だけど 」

 

「え? 」

 

「罠発動。【単一化】相手フィールドのモンスターを一体対象として発動し、全てのモンスターは対象と同じ攻撃力になる 」

 

「……ん?だけど、【L・G・D】は他のカード効果を受けないし、【月光舞豹姫】も対象にはならないんじゃ…… 」

 

「だからこそのトークンよ。【単一化】の対象は、【おジャマトークン】」

 

「お……おジャマ!? 」

 

ん?【単一化】は相手フィールドのモンスターを対象にして、全てのモンスターはその攻撃力になるが、【L・G・D】は他のカード効果を受けないから攻撃力は変動しない。

 

「……あ 」

 

「あぁ!【月光舞豹姫】は効果を受けて、【単一化】のその効果は対象を取らないから攻撃力が0になる! 」

 

月光舞豹姫 ATK8500→0

 

しかもこれ確かダメージ計算時の出来事だから……戦闘の巻き戻しは出来ないんだっけ。

 

巻き戻しが出来ない今、攻撃力が0の【月光舞豹姫】は戦闘で破壊され、レイは5000のダメージを受けてしまう。

 

レイ 残りライフ6500→1500

 

「む……惨い。惨すぎる 」

 

「だから言ったでしょ。貴方の考えはお見通しって 」

 

「うぅ〜ターンエンド〜 」

 

「エンドフェイズ時【L・G・D】の強制効果で、私は墓地のモンスターを5体除外する。除外するのは、リンク素材にしたモンスターよ 」

 

勝ちの目を失ったレイは涙目になりながらターンエンドの宣言をし、ロゼは淡々と自分のターンを進めていた。

 

「……はい、魔法カード【サンダーボルト】。相手フィールドのモンスターを全て破壊する 」

 

「うわぁぁん! 」

 

無慈悲の雷がレイの【おジャマトークン】が破壊され、破壊された事によりレイは一体につき300のダメージ、つまり600のダメージを受けることになるが最早それは意味の無い事だった。

 

「バトル、【L・G・D】でダイレクトアタック 」

 

「防ぐ手段が無いー!! 」

 

レイ 残りライフ1500→0

 

WINNER ロゼ

 

「うぅ〜負けたー!対してデッキが組めないルールだから火力で行けると思ったのにー! 」

 

「それが仇になって相手の安定力に負けたわね…… 」

 

「だけど私も危なかったわ。【強欲で貪欲な壺】であの2枚の罠カードが引けなれば私は負けていた。やっぱりこのルール、想定よりも厄介ね 」

 

確かに、今のデュエルを見ればどちらもよくよく見ればギリギリ1歩手前のデュエルだ。戦術云々も重要だが、やはり1番は運が左右するだろう。 カードの知識を幾らかばかり知っていれば、シナジーも分かり、対策も取れるのだろうがそもそもシナジーが噛み合うカードが近くにあるとも限らない。そう考えると、2時間でカードを拾いきれるかが不安の種だ。

 

「さて、次は花衣君とロゼちゃんだけど……流石にお客さんが来たから私は失礼するわね。あ、使ったカードはそこのカゴに直すだけで良いからね〜! 」

 

店の周りを見るとショーケースの前には少しづつお客さんが入ってきており、店長さんは放っておくまいと急いでレジの方に戻って行った。

 

「花衣さ〜ん!慰めて下さい〜! 」

すると涙目になっているレイが俺の所に胸に飛びつき、しょうがないなと思いながらもレイの頭を撫でた。

すると涙目のレイから少し笑い声が聞こえ、まさかの嘘泣きと思ったが、深く考えるのは良そう……

 

「じー…… 」

 

レイを慰めているとロゼが物凄い顔つきでこっちを見ていた。勝ったのは私だから私にするのが正しいと言わんばかりの赤色の瞳が俺に突き刺さり、思わず俺は目を逸らした。だが、目を逸らした先には霊体化しているであろうプリムとシクランが視界に入り、皿のような目で見てはいたが、視線の先は俺では無く、レイの方に向いていた。

 

『花衣君この人泣いてないよ!嘘泣きだよ! 』

 

「何っ!? 」

 

「……バレましたか 」

 

『ば……バレバレだよ!嘘は良くないよ! 』

 

嘘泣きとバレてしまったレイは俺から離れ、どこか満足そうな笑みを浮かべていた。

 

「世の中嘘で自分を得させるのも大事なんですよ 」

 

『嘘は悪い事何だよ〜!!ね、シクランちゃん! 』

 

『へ?う……うん、そう……だね! 』

 

プリムとシクランはレイに突っかかって悪い事だと連呼したが、どこかシクランの様子がおかしい。どこか調子が悪いのだろうか?だとしたら心配だ。店長さんや他の客はまだこのデュエルスペースには来てないから、少しぐらいの話なら出来ると判断し、シクランに声を掛けた。

 

「シクラン、少し様子が変だけど大丈夫か? 」

 

『え?う、うん。大丈夫!何とも無いよ! 』

 

「そうか?もししんどいなら無理はするなよ? 」

 

『うん、ありがとう…… 』

 

シクラン本人はこう言ってるが、やはり少しおかしい。だが、仮にシクランの体調が悪くても俺自身がどうにかする事は出来ない。1度ティアドロップ辺りに相談するか……?

 

「さて、次は私とデュエルよ花衣。早く準備して 」

 

「よし!じゃあやるか! 」

 

俺は息巻いてデュエルに挑んだ。

 

……のは良いんだが、あまりにも酷すぎた。もう語るのも嫌なくらいの散々なデュエルとなってしまい、俺は机の上に突っ伏せて情けなさの重さで顔を上げられなかった。

 

「……貴方、運が悪いというかなんというか 」

 

「何も言うな…… 」

 

手札事故は起こるわ手札が通常召喚出来ないモンスターで出せないわ、挙句の果てには融合モンスターを出しても直ぐに除去されるわで散々だ……改めて自分が如何に皆に助けられているのか思い知り、同時に自分の情けなさと不甲斐なさを知った。

 

『花衣君、そんなに気を落とさないで……? 』

 

落ち込んでいる俺を慰めるように、隣にいるシクランが霊体化で触れられないながらも寄り添ってくれた。

 

「ありがとうシクラン…… 」

 

慰められたがやはり不甲斐なさの方が大きくて中々に立ち直れない。それに、もうそろそろ遅い時間になる。明日も終業式で学校だし、そろそろ帰るかとカードを片付け、片付けたカードが入ったカゴを店長さんに渡そうとレジに向かった。

 

「あら?帰るの? 」

 

「はい、カードありがとうございました 」

 

「何だか随分残念な結果だったらしいわね。まぁ、今まで多分だけど【六花】ぐらいしか使ってこなかったからそれが効いたのかもね」

 

「…… 」

 

「これを機に色んなデッキを使ってみれば?例えばこの【ドライトロン】とかあるし、特別に値下げしとくわよ? 」

 

「おぉ……これ見よがしに商品を売りつけていくなぁ 」

 

「ふふ、商売人だからね 」

 

「……でも、遠慮しときます。俺は【六花】達と一緒にやっていきたいんです 」

 

初めて作ったデッキというのもあって、このデッキには思入れがあるという点があると思うが、それに【六花】達のおかげでいくつもの困難を乗り越えてきた。だから、これからも俺は多分皆と一緒にやっていく。

そう思いながら俺はデッキケースを見つめ、店長さんの薦めを断った。

 

「ふ〜ん?花衣君って、そういう人達がタイプなの? 」

 

「は?タイプって……俺はただ…… 」

 

別にタイプでも何でもない。確かに六花全員気立てが良いし、気量は……ううん、ちょっと束縛が激しいけど、彼女なりに俺を尽くしてくれて悪い気はしない。とにかく、良い奴ばかりなだけと思っているだけだ。

 

「じゃあ俺はここで失礼します。また来ます 」

 

「うん、次はちょっと厳しい特訓を期待してね? 」

 

「え……えぇ…… 」

 

ちょっと厳しいってどんな感じの特訓だ?カードゲームの特訓……ううん、思いつかない。これは次の来店までの謎になるな。少し気がかりにしつつも制定カバンを肩に掛け、レイとロゼに声をかけて店から退店した。

 

「じゃあまた! 」

 

「毎度ありがとね〜 」

 

店があるビルから夏らしい暑さがある外へと出でいき、俺達はまっすぐ自分達の家へと戻って行った。

 

「あ〜暑いですね…… 」

 

「これが温暖化……人間が自然に対してやってきた報いなのね 」

 

「いやそんな大層なものでは無いだろ……確かにその環境問題も1つだとは思うけど…… 」

 

夏に対する暑さで愚痴を交わし、止まらない汗を拭っては手うちわで仰いで汗を止めようとするが、やはり自然には適わずに暑さは止まらず、同時に汗も身体中から溢れそうだった。

 

流石のレイ達もこの暑さに応えているのか、レイは制服の胸元のボタンを1つ開け、ロゼはマフラーを少し取って口元を涼しくさせた。

 

「ふぅ〜これだけ暑いと制服を脱ぎたくなりますね 」

 

「それには同感 」

 

「だからってこんな所で脱ぐな……よ 」

 

注意しようとレイ達を見た瞬間、開けた胸元と汗で服の中身が透けているレイとロゼの姿を見た俺は、即座に2人から目を離した。

 

「?どうしたんですか花衣さん? 」

 

「な……何でもない 」

 

一瞬レイから桃色の布、レイは黒い布地……つまりは下着を見てしまった。不可抗力というのは分かるが、見てしまった事に対しての申し訳なさが込み上げるが、それと同時に脳裏には先程の光景が思い浮かんでしまい、振り払うように首を振る。

 

「ダメだダメだ……忘れろ忘れろ…… 」

 

『へ〜?何を忘れたいの? 』

 

「そりゃあさっきの光景に決まってるだろ。スノードロップ。……ん?スノードロップ? 」

 

目の前からスノードロップの声がしたから顔を上げると、そこには目を細めてじっと睨んでいたスノードロップとヘレボラスの姿がいた。

 

いきなり表れたから思わずびっくりしたが、尻もちはつかずに1歩後ろに下がるだけの驚きだが……こういきなり現れると心臓に悪い……

 

「ど、どうしたんだスノードロップ。それにヘレボラスまで 」

 

『その……皆さんとても暑がっていたので、私たち2人が閃刀姫さん達に傘をさそうかなと思いまして……あ、花衣さんだけささないのは違いますよ!?えと、貴方にはひとひらをいさせるので…… 』

 

すると何故かヘレボラスの胸の谷間からひとひらが飛び出し、ひとひらはそのまま俺の頭の上まで跳躍した。

いやお前どんな所で出てきてるんだよ。

 

『それよりも〜花衣君、閃刀姫達の下着見たんでしょ? 』

 

「み……見てない 」

 

少し口角を上げてニヤニヤとしながらスノードロップは2人に聞こえない程の小さな声でそう言うと、

俺はそれを否定した。しかし、嘘をついていると見抜いている様子であり、バレていると言わんばかりに笑った。

 

『そんなに否定しなくても良いのに。花衣君は年頃の男の子なんだから女の子の下着を見て意識するのは仕方がない事だよ。ふふふ 』

 

「な……俺は意識してなんか…… 」

 

『じゃあなんで2人のこと見ないの〜? 』

 

「そ、それは…… 」

 

何も返せない俺は口をごもらせ、それを見たスノードロップは面白がるように笑った。

 

『ふふ、花衣君はやっぱり面白いね。ヘレちゃんの下着を見た時もあわあわって言って顔を手で覆っていたし 』

 

『み、見てたんですか!? 』

 

ヘレボラスは丸で熟したりんごのように顔を真っ赤にさせ、穴があったら入りたいと言わんばかりに膝を曲げて体を小さくさせた。

 

『まぁそれは良いとして、早く帰るよ〜!出ないと皆暑さで溶けちゃうかも 』

 

そう言ってスノードロップは実体化させ、レイの隣に立つと氷の傘をさし、レイの体から汗が引いていくのが見えた。

 

「ありがたい事ですけど、こんな所で実体化していいんですか?誰かに見られたらまぁまぁ困るのでは? 」

 

「ふふ〜ん、この時間帯はここにあんまり人は通らないの!でしょ?花衣君 」

 

スノードロップの言う通り、確かにこの時間帯でこの路地裏はあまり人は通らない。万一人が通ったとしても、あまり縁がなくて話してない他人だから差程問題は無いだろう。

 

「それじゃあそろそろ歩くよ。ほらヘレボラス、行くよ 」

 

『そ、そうですね……ではロゼさん、隣失礼しますね』

 

とにかく俺はまだ縮こまっているヘレボラスを言い聞かせて何とか立ち上がらせ、そのままおどおどしながらロゼの隣に立って実体化すると、ロゼに氷の傘をさしてあげた。

 

「感謝するわ。ありが……と……う 」

 

するとロゼがヘレボラスを見ると何故か歯切れが悪く、体を固まらせてしまった。汗のせいで少し冷たさが感じやすくなったせいで寒く感じたのだろうか?

ヘレボラスもそう思っているのか、中々言い出せなくて口ごもっていたが、ようやく言葉にした。

 

「ど、どうしましたか……?も、もしかして寒かったですか!?なら今調整を……って、ロゼさん?何故か私のその……む、胸を見てるような気がしますが……私の胸に何か付いていますか……? 」

 

「……何でもない 」

 

するとロゼが自分の胸部あたりをまさぐっていると、目に見えて不機嫌そうに早歩きになって俺を通り過ぎ、一足先に帰路へと走るように歩いた。

 

「え?あ……ちょっと待って下さ〜い! 」

 

ヘレボラスも小走りでロゼに追いかけようとするが、何故か歩きであるはずのロゼの方が速かった。

……走っていたせいでヘレボラスの胸が暴れるように動いていた事は見なかった事にしよう。そんなヘレボラスだが、あまり運動の方は苦手の方である為か数十メートル程で息切れしてしまい、ロゼを見失ってしまった。

 

俺達はヘレボラスの所まで走り、息切れしているヘレボラスに声をかけると、息を交じりながらも話してくれた。

 

「だ、大丈夫か?ヘレボラス 」

 

「はぁ……はぁ……んっ、は……はい、だ……大丈夫……です…… 」

 

本人はそう言っているがかなり息切れしており、額も汗で溢れていてちょっと酷い事になっている。

無理はするなと言ったが、ヘレボラスは実体化を続けており、俺に傘をさしてくれた。

 

「せ……せっかくですのであな……たと一緒に……はぁ……はぁ……います 」

 

「いや本当に無理するなよ!?」

 

結局ヘレボラスは家に着くまで俺の隣で傘をさし、息切れしながらも一緒に帰ることになった。

 

「それにしても、ロゼちゃんがあんな態度見た事ありません 」

 

「まぁヘレちゃん色々大きいからね〜。花衣君もそう思うでしょ? 」

 

「色々大きい……? 」

 

スノードロップがそう言うと、俺はヘレボラスを直視した。するとヘレボラスは恥じらうように体を少し回し、傘を持っていない左手で胸を隠すようにしていたが……大迫力と存在感をさらけ出している胸は、腕だけじゃ隠しきれていなかった。

 

「ねぇねぇ、花衣君って胸が大きい子が好きなの? 」

 

あまりの突拍子の問に俺は思わず吹き出した。

 

「おまっ……何言ってるんだ!? 」

 

「あ、図星?だとしたら〜胸の小さい貴方は守備範囲外だね 」

 

「は?何言ってるんですか、花衣さんはそんな牛みたいに怠惰な贅肉よりも引き締まったスレンダーな人が好みです……というか!貴方達が異常なんですよ!なんですかその胸は!削ぎ落としますよ!? 」

 

向こうでわちゃわちゃしているがこっちは見事な爆弾発言で少し気まずくなっていた。

 

「あの……花衣さんはやはりこんな太ましい女性は嫌いですか? 」

 

ヘレボラスは不安そうに俺の目を見て話し、その目は不安で押し潰されそうに弱々しく、あと少しで涙が出てきそうな程だった。

 

「ヘレボラス、別に俺はお前達の身体的特徴を見て選り好みしている訳じゃ無いからな?俺はただ、お前達だから一緒にいる訳で……って、何言ってるんだ俺は……あぁ〜要するに……その、なんだ 」

 

自分で何が言いたいのか分からなくなり、ごちゃごちゃした頭を直すように頭を少し掻き、考えを整理してとりあえず言いたい事を言う。

 

「とにかく、俺は外見とか気にしないから! 胸が大きかろうと小さかろうと俺はお前らの事……」

 

勢いあまってついこの後の言葉を出そうとした口を自らの右手で押さえ込み、その後の2文字は声に出すことは無かった。

 

「私たちの事……なんですか? 」

 

だが、ヘレボラスは大方それを分かっており、先程の表情とは打って変わって待ちきれないように小さく笑っていた。これでは言っても言わなくても対して結果は変わらなかった。

 

「……言いづらいなら良いですよ。ですが、その後の言葉を貴方の口から出るのを私は待っています 」

 

「言わなくても大体分かってるような顔してる癖に…… 」

 

「貴方の声で聞きたいんです。それに……不安なんです。声は目には見えませんが、耳では形として見えるものです。私はその形を見て、感じて、私の心を蝕む不安を和らげたいんです…… 」

 

ヘレボラスが言っている「不安」とは、恐らくカイリが六花達の元を何も言わずに去ったトラウマの事だろう。この世界に来てから皆は普段通り過ごしているが、やはりそのトラウマは誰も拭いきれていない様子であり、それが俺に対する依存的な態度や束縛的な態度の表れでもある。

 

それに、ヘレボラス……正確にはヘレボルスという花だが、花言葉の一つに【私の不安を和らげて】がある。

モチーフとなっている花がそのまま性格として表れているのか、ヘレボラスは他の六花に比べるとかなり不安症だ。現に今、あまり表には出さないが少し手が震えており、呼吸も少し浅く、そして荒くなっていた。

 

「ですが……こうして貴方のお傍にいられる事が、私の不安を和らいでくれます。……その言葉を言わなくてもいいです。ですがせめて……せめて貴方の隣に、いえ、隣じゃなくても貴方が見られる所であれば私は…… 」

 

ヘレボラスは震えた左手で俺の制服の裾を掴み、今だけは隣にいたいと言っているような気がした。

俺はその震える手を両手で優しく包むと、ヘレボラスの体の震えが止まった。

 

「……大丈夫だ。お前を不安にさせるような事はしないし、悲しませたりもしない。約束する、今の俺はお前らから離れない 」

 

「……本当ですか? 」

 

「……多分 」

 

あれだけ言っておいて急に自信を無くして多分って……自分でも大丈夫か?と思う。だが、その不甲斐なさでもヘレボラスは笑ってくれた。

 

「ふふ、その言葉だけでも嬉しいです。……私の事はもう良いです。良いんですけど……あっちの方がちょっと…… 」

 

ヘレボラスがスノードロップ達の方に顔を向けると、あっちはあっちで大変そうだった。

 

「どうせその贅肉で花衣さんを夜な夜な誘惑したりしてるんでしょ!なんて羨ま……ゲフン、破廉恥な! 」

 

「そっちこそいつもいつも花衣君と登下校一緒でしかも腕なんか組んじゃって!私も花衣君と一緒に放課後デートしたいのに〜!羨ましい! 」

 

「お前らまだやってたのか!? 」

 

未だに続いている口喧嘩に呆れながらも喧嘩を止める為、俺とヘレボラスは何とか2人を宥め、この場を治めた後ようやく家に戻った。

 

 

_そして数分後

 

スノードロップとレイの喧嘩を止め、結構な時間をかけて家に到着した。レイは隣の家へと帰り、恐らくだがロゼもとっくに隣の家の中にいるだろう。

 

俺もさっさとこの暑い外から涼しい家へと入りたい。だが、その前にまず実体化しているスノードロップとヘレボラス、そしてひとひらを一旦カードに帰らせる。

 

「じゃあ、私達はカードに戻るね 」

 

「ごめんな、折角制限無しで実体化出来るのに窮屈な思いさせて 」

 

「良いんですよ。家族水入らずと言うんです。お義母様と仲良くしてください 」

 

「ん〜やっぱりなんか字面が違うような気がするのは気のせいか? 」

 

ヘレボラスは何も言わず笑顔のままカードに戻り、スノードロップも続いて手を振ってカードへと戻った。ヘレボラスのあの態度……確信犯だな。

さて、最後はひとひらだけだ。ひとひらもカードに戻り、俺の手元には3枚のカードが現れ、それをデッキケースの中に閉まってから家へと入る。

 

「ただいま〜 」

 

「おかえりなさい。随分と遅かったわね〜ちょっと話があるから、荷物を置いたらこっちに来てね 」

 

「話? 」

 

話って何だろうか?とりあえず荷物を2階の自室に置き、そのまま1階のリビングに行くと、母さんが椅子に座っていた。

 

「来たわね、とりあえず座って。大丈夫よ、貴方を叱る事じゃ無いから 」

 

「叱る様なことした覚えは無いけど、それなら良かった 」

 

となると……多分あれかな。俺は母さんの前の席に座り、母さんの話を聞く姿勢をとった。母さんは申し訳なさそうな感じの表情をすると、直ぐに要件を伝えてくれた。

 

「私……来月には仕事に戻らなきゃ行けないの 」

 

窓から聞こえる蝉の鳴き声は、この瞬間だけは静まり帰ったかのような気がした。

 

ここまで(〜90話)出てきたレゾンカードの中で強いと思うのは?

  • 六花聖華ティアドロップ、カイリ
  • 閃刀騎-カイムと閃刀騎-ラグナロク
  • 銀河心眼の光子竜
  • RRRリノベイルイグニッションファルコン
  • 炎転生遺物-不知火の太刀
  • 常闇の颶風
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