六花テーマを作って愛用したらそのまま俺への愛が重くなった件について   作:白だし茶漬け

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六花新規来たァァァァ!!
え、ボタンとエリカ美しいすぎぃ!せ、せせせせ成長したひとひらちゃんで無条件特殊召喚!?つ、強すぎる……!
え、シャドウディストピアなくても相手モンスターリリース出来るんですか!?やったー!

あとレイちゃん13歳ってまじですか?ですがここにおけるレイちゃんとロゼちゃんは花衣と同年代です。(鋼の意思)

さてここで主人公である花衣君にインタビューしてみましょう。今回六花と閃刀姫に関しての情報が多いですがいかがでしょうか?

「絶句 」

はい、ありがとうございました。とても喜んでいる様子です。



甘くもほろ苦い現実

「来月には、仕事に戻らないといけないの 」

 

夏の風物詩である蝉のうるさい合唱が、この瞬間鳴き止んだ程、俺は衝撃を受けた。いや、衝撃というよりかは悲しみに近いだろう。

いつもの事なのに、未だにその報告を聞くと胸がキュッと掴まれたように苦しく、悲しくなる。

 

「そうなんだ 」

「いつもごめんね……出来れば一緒に連れていけば良いんだけど…… 」

 

「いや、大丈夫だよ。今回は結構長期間だったし 」

 

普段なら2週間辺りの長さでここに居て、その後は直ぐに仕事に行くために海外に行っていたが、今回はそれと比べるとかなり長い期間居てくれた事だけでも嬉しい物だ。

 

「来月って言うと8月だけど……8月のいつに出発するの? 」

 

「8月いっぱいよ、夏休み最終日の31日にはここを出発するわ 」

 

今は7月中旬だから……まだ1ヶ月半程の時間がある。今までの事を考えると、今年は本当に長い期間ここにいてくれている。

 

「分かったよ。話ってそれだけ? 」

 

「まだあるわよ。今日貴方宛に荷物が封筒が届いていたわよ 」

 

「俺宛に? 」

 

そう言って母さんは厚みのある封筒を俺に渡し、俺はその場で封筒の封を開けると、中には10枚の【ピックアップデュエル】のチケットがあった。

 

差出人は花音だろう。本当に六花達の分を手配してくるなんてありがたい。後でお礼を言っておこう。

 

「随分枚数が多いチケットね……夏休み中にどこかに行くの? 」

 

「うん、ちょっとした大会みたいな物にね 」

 

「それでそのチケットの枚数?おかしいんじゃない?普通なら1枚でいいはずでしょ? 」

 

「あぁ、これは俺が渡しておくんだよ 」

 

「え?わざわざ貴方が渡すの?それって少し変じゃない? 」

 

母さんの鋭い指摘に俺は咄嗟にチケットをしまい、そのまま何も言わずに部屋を後にしようと思ったが、既の所です母さんに服の裾を掴まれた。

 

「花衣〜?私の予想だけど、わざわざ花音ちゃんが貴方に届けたという事はそのチケットの枚数分の人に渡せる程近くにいる、もしくはこの家に来るとかじゃないかしら? 」

 

(いつにも増して母さんの推理が鋭い!本当に頭では敵わない! )

 

大まかな推理だろうが的をえてる推理に俺は反論する事も出来ず、夏だというのに冷たい汗が額からとめどなく溢れた。母さんは俺の反応を見て推測が確信に変わったかのように笑った。

 

「まぁ、良いわ。あまり詮索するのも悪いしね 」

 

これ以上母さんは追求しなかったが、間違いなく六花達の存在に勘づいている。流石に精霊という事までは考えついては無いが、何かしらの関係を持っているという所までは考えているだろう。

 

「さ、お風呂ももう沸いているし入ってきなさい 」

 

「う、うん…… 」

 

夕食と入浴を終え、残りは寝る事となった。

 

すると、体の上をもぞもぞと蠢き、着々と体の上へと上がっていく。何事かと布団を上げると、布団の中には髪を下ろし、黄色の寝巻き姿のストレナエがいた。

しかも、密着している体の感触や体温が分かる限り、実体化していた。

 

「す、ストレナエ!?何してんだそんな所に! 」

 

「え……えへへ、最近花衣君と一緒に寝てないから、こっそり…… 」

 

母さんに気づかれないように小さな声でストレナエに問いかけると、ストレナエは布団の中で俺の胸元に抱きついた。

 

「おま……もし母さんに見つかったらどうするんだ 」

 

「その時は直ぐに姿を隠すし、体が小さいから目立たないと思うよ 」

 

「それは……まぁ、そうかも知れないけどさ 」

 

「じゃあ良いよね! 」

 

モンスターだから出来る言い訳に俺は押し負けてしまい、俺は笑って擦り寄ってくるストレナエを受け入れるように桃色の髪を撫でた。

 

「けど、どうしてまた急に…… 」

 

「勿論【六花聖華】になる為だよ! 」

 

「ん……んんん? 」

 

勿論と言われたが、【六花聖華】になる事とこれはどういった関係があるのか分からず、頭の中が?マークで埋め尽くされた。

 

「私ね、もっともっと花衣君の力になりたいの。だからどうすれば【六花聖華】になれるかな〜って考えて、カンザシやティアドロップに相談したんだ〜 」

 

「それが……どうしてこの状況に? 」

 

「えっとね、2人共花衣君の事大好きだからなれたかもしれないって言ってたから、もっとも〜っと花衣君を大好きになる為こうしてるの!」

 

ストレナエはこう言っているが、俺自身【六花聖華】のカードをどういった条件で生み出したのかさえ分かっていない。

分かっている事と言えば、窮地に追いやられた時に急に発現したという事だろうか。

 

ティアドロップの時はレイとデュエルした時、カンザシの時はポルーションとのデュエル中で生まれた物であり、今の所命の危機の時にしか生まれないと言うとしか分からない。

そもそも、それがカードを生まれる条件なのかどうか分からないし、本当に謎だ。

 

瞼が少し重くなってきた……明日も早いからそろそろ寝ようか……

 

「ストレナエ、俺はそろそろ…… 」

 

「すぅ……すぅ…… 」

 

俺がなんやかんや考えている間にストレナエは寝てしまい、ストレナエは寝息を立てて俺の体の上で寝てしまっていた。

 

「すぅ……んん、花衣君……好き 」

 

どんな良い夢を見ているのか、ストレナエは俺の名前を呼びながら笑顔のまま寝ていた。

そんな良い夢を壊さないように、俺はゆっくりとストレナエを落とさないようにストレナエの背中に手を回し、静かに目を閉じた。

 

___

 

____

 

______

 

目をつぶり、規則正しい呼吸をしていたら時間は早く過ぎる物だ。窓の外の日差しが射し込むと俺はその小さく見える光で目を開けた。

 

体を起こそうとしたが、体の上にはまだすやすやと寝ているストレナエが俺に密着しており、起きたくても起きれない状態にあった。

 

「おーいストレナエ〜朝だぞ 」

 

体を揺らしてストレナエを起こそうとしたが、ストレナエは一向に起きなかった。体型差で無理矢理体を起こすことも出来なくは無いが、幸せそうな寝顔のストレナエを無下に扱うのも気が引ける。何とか起こさないように慎重に慎重にを重ねてストレナエを体から離れさせようとも考えていると、ベットの隣で蒼色の光と共にティアドロップが表れた。

 

「おはようございます花衣様。……っと、あらあら、ストレナエはまだ寝ているのですね 」

 

「あぁ、起こすのも悪いからどうしようかなって 」

 

「でしたら私におまかせを。ちょっと失礼しますね 」

 

ティアドロップは布団をはがし、ストレナエの全身を見えるようにすると起こさないように静かにストレナエの体を持ち上げ、自分の体を使ってストレナエを楽な姿勢をさせた。

 

「こうして見るとまるで夫婦見たいですね。いっその事そのように説明しますか? 」

 

「冗談でもそれは言わないでくれ 」

 

ティアドロップの微笑みから冗談と分かるが、閉じている目から本気のオーラが少し溢れていた。

 

「よく寝ていますね。ふふ、この子も【六花聖華】になる為に頑張っていましたから疲れたのでしょう 」

 

「そういえばなりたがっていたな。【六花聖華】になった身として何かアドバイスとかしないのか? 」

 

「というより……私自身何故ああなったのか不明ですからね。カンザシも同様の意見ですので、助言らしき助言はできませんね 」

 

まぁ本人が何故慣れたのか分からないなら仕方ないよな……俺もそうだし。

 

「ですが、窮地の状況下かつデュエル中に発現するのは確かでしょう。現に2回ともそのような状況で生まれた物ですし…… 」

 

「もうそんな状況下に陥るのはもうこりごりだけどな 」

 

「そうならないように私達がいます。それに、もしそのような状況になっても私達が必ず貴方を守ります 」

 

「頼りにしてるけど……無理はするなよ 」

 

話している内に時間は経っており、いつの間にか時間の数字は7:00と記されていた。

 

「それじゃあ飯食べてから学校に行くよ 」

 

「では私達はカードに戻っておきますね 」

 

ティアドロップ達はカードに戻り、俺は朝食やらを済ませる為下へと降りた。

 

「あら、花衣おはよう。いよいよ明日から夏休みね。遊びすぎて宿題が出来てない〜!なんてしちゃダメよ? 」

 

「おはよう母さん。小学生じゃないんだから流石にそれはもう無いよ。それに俺は昔から夏休みに母さんと旅行してもちゃんと宿題して…… 」

 

俺はこの時、自分の言葉に何か引っかかっていた。

 

「なぁ母さん。俺、母さんと夏休みどこかに行ってたっけ? 」

 

「……何言ってるの、昔私と温泉旅行に行ったし、テーマパークも行ったでしょ?覚えてないの? 」

 

「そうだったけ……? 」

 

おかしい、やっぱり昔の記憶があやふやだ。行ったような気がするし、無いようにも思える。単に俺が忘れているだけかも知れないが、何故か胸の辺りが何故かざわついてしまう。

「まさか貴方…… 」

 

すると母さんが態度を変えて俺に近づき、メガネのレンズで目が見えないから少し怖い。そんな怖さを持ちながら俺の両肩を持つと、レンズの輝きが消えたメガネの向こうの母さんは、まるで子供のような涙を浮かべていた。

 

「まさか昔の事覚えてないの〜!?昔私の事をママって呼んでくれてた時、ママだーいすき♡って言ったことも覚えてないの〜!?ママ悲しいわ! えーんえーん〜 」

 

「ちょ!?流石にこの歳でそれ呼びは恥ずかしいし、あーもう!ごめんって!覚えてないの本っ当にごめんって! 」

 

嘘泣きなのは分かっているが嘘泣きとは思えない迫真な演技に俺は受けの姿勢しか取ることしか出来ずに昔の事を覚えていない事を必死に謝った。

 

「そ、そうだ!じゃあ帰る前にどこか旅行に行こう!母さんの好きな所でも良いよ! 」

 

「……へぇ? 」

 

すると母さんは涙を引っ込めて口角を歪めて妖しく笑った。

 

「じゃあ夏休み中何処かに行きましょうね。約束よ? 」

 

母さんは不敵な笑みでそう言い、なんだかとんでもない事を約束したような気がしてならなかった。そんな嫌な予感とは少し違う気持ちになりながらも朝食を済ませ、俺は今学期最後の通学路を歩いた。

 

 

 

 

 

「よーしお前ら〜席につけ〜今回のテストの成績を返すぞ〜! 」

 

待ちに待ったと言うべきか、ついに来てしまったテスト返却の時。クラスの皆にとってはこの返却時間こそが天国と地獄の分かれ目だ。もし1つでも赤点を取ればその強化の補習は確定となり、貴重な夏休みの時間を失うことになる。

 

「じゃ、返していくぞー 」

 

そんな生徒の心境なんて担任には分からず、いつも通り淡々とした態度で全教科のテストを返していった。

テストを返された生徒には安堵の息を漏らした者や肝を冷やしたと言わんばかりに汗をかいている者があり、今の所補習者は居ないらしい。さて問題は……

 

「次、炎山焔 」

 

「はいよ 」

 

いよいよ焔の番が回ってきた。勉強会でそれなりに点数は上がっていると思いたいが果たしてどうなる……!?

 

「おお〜おめでとう、補習は無し! 」

 

「うっし! 」

 

どうやら焔は見事赤点を免れたようで、過去1番の安堵を見せた。焔が赤点を取っていないなら、他の人もそうそう取ってはいないだろう。

 

「次、桜雪花衣 」

 

「はい 」

 

俺と焔、そして空の出席番号は連番となっており、焔、俺、空の順番になっているため、俺が終わったら次は空の番だ。

勉強会でそこそこの点数は期待できるが、いつもテストを渡されるとやはり緊張してしまう。自己採点とかしないし、後々間違っていたのではと考え過ぎるからどうも不安だ。

 

先生が数枚のテスト用紙の上に、点数を纏めた紙を重ねて俺に渡した。

 

「おぉ、桜雪凄いな〜結構いい点数だったぞ〜 」

 

一番上の紙の端に書かれている合計点数を見ると、その合計点数はクラス平均と学年平均点を大きく超えていた。

 

「しかも学年10位……以内では無いね〜残念な事に君の順位は22位だ 」

 

「うぅ、なんだその微妙な数字は…… 」

 

「だけど学年全体では良い順位だぞ〜!教しえられた甲斐があったな〜! 」

 

「……? 」

 

あれ?なんだこの感じ……さっき変な違和感があったような気がするけど気のせいか……?

そんな変な感じを抱きながらも俺は席へと戻り、良い点数にも関わらずにその違和感の正体を探っていた。

 

「どうしたんだよ花衣、良い点数取ったのにそんな顔してよ〜 」

 

「いや……ちょっとな 」

 

「んだよ〜もしかしてもっと点数取りたかったのか?確か俺らの学年って500人以上いんだろ、そん中で22位ってすげぇよ 」

 

「あぁ、いつも平均点程度の花衣が珍しいな。流石勉強会と言った所だな 」

 

焔と話していると空もテストを返されて席に座ると、俺たちの会話に参加した。

 

「おぅ空、お前はどうだったんだよ 」

 

「お前と一緒にするな。赤点は余裕で回避したし、順位も花衣より上の12位だ 」

 

「まぁ、空は元々勉強出来ていたからな 」

 

空は機械工学に精通している為かかなり理系に強く、普段からクラスの中では成績がいい方だった。それが母さんの教えを加わればまさに鬼に金棒。ミスはあれどかなりの正答率だったのだろう。

 

「んじゃあ俺ら全員赤点回避って訳か!折角だからなんか俺たちたちだけで遠出とかするか? 」

「あ、その前に2人に……というか、どっちかに渡したい物があるんだけど 」

 

俺はカバンから1枚余っていた【ピックアップデュエル】のチケットを見せると、焔と空は興味を引いたのかまじまじとチケットを見た。

 

「この前言っていた【ピックアップデュエル】のチケットだ。1枚余ったから、焔か空どっちかが参加出来るなら渡そうかなって 」

 

「あぁ〜それ確か来週の日曜だろ?わりぃ、俺そん時家の方に用事あるわ 」

 

「俺も少し予定が合わないな……すまない 」

 

「そっか……こっちこそ悪い 」

 

これで本当に1枚余ってしまった。他のクラスメイトに渡すのもアレだし、ここはこっちで適当に処分しておこう。俺はチケットをポケットの中にねじ込み、焔の話に戻った。

「んじゃ、俺達男3人旅という訳だが……どうすんだ?海とか行ってナンパとかするか? 」

 

「それだけは止めろ……!最悪俺が殺されるっ……! 」

 

「だっはっは!冗談だ冗談! 」

 

「冗談でも心臓に悪い…… 」

 

冗談とは分かっていたがもし本気でそうなったら今この場にいるレイとロゼ、そしてデッキの中にいる六花達が黙っちゃいないだろう。

 

「ナンパはともかく、海は良いんじゃないか?」

 

「けど海に男3人ってなぁ…… 」

 

「なら、皆を誘えば良いんじゃないか…… 」

 

「まぁそりゃそうだけどよ 」

 

予定合わせや行先に難航しており、俺達3人は悩み声を漏らしながら何処か良いか困っていた。

遠出出来るかつ 男子だけでも楽しめる所……検討もつかない。

 

「だったら食べ歩きはどうだ? 」

 

「食べ歩き? 」

 

意外にもその意見を出したのは空だった。空は携帯を取り出してある画面を見せると、携帯の画面には肉や魚を使った料理が全面的に映し出されており、昼頃で腹を少し空かしている俺たちに取っては爆撃見たいな衝撃を受けた。

 

「ええと……【オールイートカーニバル】? 」

 

開催時期は……【ピックアップデュエル】の1週間後の日曜日だった。場所もここから電車で行ける距離であり、無理せずに行けそうだ。

 

「遠出とは少し違うが、遊びに行くなら最適だ。場所も近いし、この日なら俺も空いてる 」

 

「お、この日なら俺も空いてるな。花衣はどうだ? 」

 

「俺も大丈夫だ 」

 

3人とも意見が一致し、遊びに行く場所は【オールイートフェス】に決定した。

そのフェスについて調べてみると、世界中の料理が集まるらしく、肉料理は勿論、スイーツや珍味、果てには開催時期自体は3日ほど続けてやるらしい。

しかも、俺たちが行く最終日に関しては特別ゲストが来るらしい。

 

「特別ゲストって誰? 」

 

「知らん。まぁ、大食いタレントとかその辺じゃないか? 」

 

「まぁなんでもいいや!美味いもの食べれるならな! 」

 

今から楽しみで待ちきれないのか、焔は腹の虫を鳴り響かせて頭の中で肉を食べている事を想像しているのか、少し涎を垂らしていた。うん、汚い。

 

「じゃあ、それで決定だな。……と、どうやらもうテスト返却も最後らしいぞ 」

 

話している内に殆どのクラスメイトの返却が終わっており、残りはレイとロゼとなっていた。

 

「じゃあ次、レイ・カガリ……んん!? 」

 

「はい! 」

 

やけに自身満々のレイが嬉々として先生の前に立つと、先生の態度は少し驚いたような目をしていた。いつも気だるげな先生のあんな表情を見るのは初めてであり、他の皆も同様なのか、教室が少し静かになった。

 

「えーと、凄いなこれ。全教科100点。学年ぶっちぎりのトップだね 」

 

「ふふん、当然です 」

 

「ぜ……全教科100点!? 」

 

これには俺だけではなくレイとロゼを除くクラスメイト全員目が飛び出る程驚いていた。まぁ、そりゃあそうだ。いきなり転校してした生徒がいきなり全教科満点なんか取ればそんな反応になる。

俺だって少しは驚いているが、レイとロゼはモンスターであり、しかも選りすぐりの精鋭の中から選ばれた【閃刀姫】なのだから当然と言えば当然だろうか。

 

「そして最後、ロゼ・ジークだけど……うん、ジークも全教科満点だね……なんなのこの転校生達は…… 」

 

「当然の結果ね 」

 

ロゼも涼しい顔でテスト用紙を受け取り、周りの注目をものともしなかった。

 

「や〜すげぇなあの2人 」

 

「そういえばテストをかなり早い段階で終わらせていたな…… 」

 

「どうですか花衣さーん!沢山褒めても良いんですよ〜!? 」

 

レイがご褒美をねだる犬のように頭を差し出したが、ロゼによって制服のネック部分を掴まれて止められしまった。

 

「抜け駆けはダメ 」

 

「え〜ロゼちゃんだって褒められたいでしょ?だって昔カイムさんにこっそり撫でr」

 

するとロゼが神速の如く右手をレイに突き出すとそのままレイの顔を鷲掴みにした。

 

「あ"あ"あ"あ"!!!痛い痛い痛い!痛いよロゼちゃんんんん!! 」

 

レイの反応からしてとんでもない握力で顔を握りつぶさんとしているのだろう。レイが腕や足をばたつかせて振りほどこうとしているが、ロゼの細身の腕は動く事を知らない大木のようにピクリともせず、ロゼも殺気だった圧を全面的に出していた。

 

「それを人前で言わない 」

 

ロゼは気が済んだのか、レイを掴んでいた手を離し、激痛に襲われているレイはそのまま膝まづいて痛みに悶絶していた。

 

「うう〜何もここまでしなくても〜 」

 

(下手に詮索したら俺までああなってしまうような気がする…… )

 

少し気になる所でもあるが、レイに詮索したら俺までレイの二の舞になりそうだ。しかも相手が相手だから貧弱な人間である俺の頭はまるで卵のように潰される事間違いないだろう。……ロゼならやりかねない。

 

「ほらそこー!話すのは良いが次の話もあるからちゃんと聞け〜! 」

 

「失礼しました 」

 

注意されたロゼは倒れ込んでいるレイを引きずるようにして席につかせ、先生は話を続けた。

 

「分かってると思うけど、今日から夏休みだ。羽目を外さないようにな 」

 

先生の話を終わると同時にチャイムが鳴り、この瞬間から生徒の夏休みが始まった。終わりの挨拶を済ませるとクラスメイトは嬉々として教室から離れ、我が家に帰ったりこれから買い物に行く誘いをしていた。

 

「うし、じゃあ俺は家に用があるから帰るけど、花衣は相変わらず特訓か? 」

 

「あぁ、そのつもりだ 」

 

もう来週しか時間がないから、出来るだけ色んなカードに対応すべく今日も店長さんの店で猛特訓だ。それに、俺の過去も知れるチャンスもあるのだから気合を入れて望まなければ予選落ちは確実だ。

 

「しかしまぁ拾ったカードでデュエルって中々すげぇ事やるよな。誰がそんなもん考えたんだ? 」

 

「確かに主催者が気になるな。花衣、何か分かるか? 」

 

「え?分かんないけどチケットに会社とか書いてないかな…… 」

 

前見た時はルール概要しか見ていなかったからその事については見ていなかった。改めてもう一度チケットの裏面の端を確認すると、主催会社らしき物を見つけた。主催している会社は【咲初コーポレーション】と書かれていた。

 

「え……【咲初コーポレーション】!? 」

 

「それって花音のお母さんの会社だろ?うへ〜なんでもやるなあの会社 」

 

なるほど、通りでチケットに融通が聞くわけだ。何故なら主催している会社の社長の一人娘だからチケットなんて頼めばいくらでも貰えるわけだ。

 

「相変わらずスケールの幅が大きいな 」

 

「お前がそんな会社の一人娘ちゃんと繋がっているとか想像できねぇー 」

 

「俺だってスケールの大きさで認識できてない 」

 

そもそも花音自体が普段からそんな様子を見せていないからな……

 

「うし、じゃあ俺は帰るわ。特訓頑張れよ! 」

 

「俺もこれで失礼する。大変だとは思うが、優勝しろよ 」

 

「そのつもりだよ 」

 

焔と空はそのまま自宅に帰り、俺もそろそろカードショップに行こうと席を立ち、レイとロゼを誘おうとしたが、その2人は先程のテストの点数の影響で注目され、2人の周りに人混みができていた。2人はその対応を追われている様子であり、声をかける余裕も無さそうだ。

 

「あ!花衣さん! 」

 

と、思った矢先にレイから人混みを抜け出しては俺にダイブするように飛び込むと、ギリギリの所で反応できた俺は少し腰を落として重心を下げ、そのまま飛びつくレイを受け止めた。

 

「今日もお店に行きますよね?勿論私も行きますよ! 」

 

「私達の間違いよ 」

 

自分だけ除け者にされたような感じで不服なのか、ロゼもムッとした表情で俺の元に来た。

 

「分かってるよロゼ。3人でな 」

 

「分かってるなら良い 」

 

すかさずロゼも甘えるように静かに俺の左腕に寄り添い、さりげなく腕を組んできた。最初は皆に見られて恥ずかしいっちゃありゃしなかったが、クラスメイトはいつもの光景だと割り切ってこの光景を達観していた。

だがしかし、一部の男性は羨ましいそうに俺をガン見しているから怖い。

 

「レイとロゼは相変わらず桜雪の事好きだよね〜こんな根暗で陰キャの男のどこが良いの〜? 」

 

特に仲良くは無いクラスメイトのギャルから中々の言い草を言われ、内心少しムッとした。

でも自分でも見た目から根暗そうな顔つきはしてるって自覚はある。だからこそそこまでは気にしないが、隣にいるレイとロゼから少しの圧を感じた。

 

レイとロゼの目が敵を倒す閃刀姫の目となっており、俺を罵倒したクラスメイトを鋭い眼光で睨んでいた。

クラスメイトはその目を見て体が震え、座っていた机に立ち、レイ達から背が壁に付くまで離れた。

 

「そ、そんなに怒らなくても良いじゃん 」

 

「実害は無いとは言え、私の花衣さんを侮辱するなんて許しません。貴方見たいな人に分かるわけが…… 」

 

「レイ! 」

 

「……っ、ごめんなさい 」

 

少し暴走気味のレイを止め、これ以上悪い空気にならないように仲裁した。だが少しだけ空気は冷めてしまい、さっきまでレイと喋っていたクラスメイトも無言になってしまった。

 

「すみません、少し言いすぎましたかね……? 」

 

「まぁな、すまないな 」

 

「え……う、うん……別に 」

 

「2人共行こう 」

 

少し悪い空気にさせて申し訳ないと思いながら、俺たちは学校から出ていった。

 

学校から出ていった後もレイは目に見えて落ち込んでおり、自分の行動に対して後悔をしているようにも思っていた。

 

「レイ、もう過ぎた事だからそんなに落ち込まなくても良いだろ? 」

 

「そうはいきませんよ。少し度が過ぎた行動でしたし、花衣さんを見る目を少し悪くなったと考えれば…… 」

 

「いいよ別に。言っちゃ悪いけど、あんまり絡みが無い奴だったし、あれだけで関係が壊れた〜。なんて無いから 」

 

そもそも絡みが無い奴に対して関係なんかある訳が無いが。

 

「それよりさ、店には行くけど先に飯食べに行かないか?奢るからさ 」

 

今は昼頃、こんな空気でもお腹が空くのが人間であり、モンスターもそこは変わらないだろう。

2人を飯に誘うと、2人は目を合わせて何かを懐かしむように笑った。

 

「な、何だよ笑ったりして 」

 

「いえ、少し昔を思い出しただけです 」

 

昔というと、俺がカイムだった事だろう。その時の事は覚えて居ないし、前世見たいな物だから覚えてはいないが、2人の笑顔を見る限り良い思い出なのだろう。

何だか忘れているのが勿体なくて、寂しい感じもする。

 

「じゃあ、行きましょう!どこにしますか? 」

 

「ん〜言い出したのは良いけどどこにするかは決めてないんだよなぁ…… 」

 

「見切り発車はカイムの時と一緒ね…… 」

 

ロゼの鋭いツッコミを受けて急いで何処が良いか悩んだが、あまりいい所が浮かばない。そもそもあんまし外食しないから良い場所とか知らないしなぁ……

 

右往左往しながら何処か良い所は無いかと記憶を辿るが、最近の記憶では母さんとティアドロップとカンザシとヘレボラスの手料理しか食べていないような気がする。強いて外食したのは【ブルーアイズ・タイタニック号】で花音と一緒に食べたあの高級レストランだが、正直あれは緊張しすぎて味なんかもう忘れた。

 

何だかこうして考えてみると外食なんて本当に久しぶりだなと実感する。

 

「なぁ2人共、食べたい物とかってあるか? 」

 

「私は花衣さんの好きな所でいいですよ! 」

 

「貴方の判断に任せるわ 」

 

1番困る答えが返って来たぁぁぁ……それあれだよ、晩御飯作る時に何がいいって聞いたらなんでもいいって言われて困る奴だよ。だけど、出来れば大人数で行ける所が良いんだけどなぁ……

 

選択肢が多すぎて決められない時間が続き、悩みに悩んでいると、カバンの中から青い光が抜け出すように表れ、俺の元に舞い降りてきた。

 

光が人型になって消えかけると、俺の隣にはストレナエが立っていた。

 

「ストレナエ、どうしたんだ急に 」

 

「えへへ、さっきの話を聞いたらご飯の時間で何処かに食べに行くんでしょ?だったら良い所があるよ!」

 

目をキラキラと輝かせながらストレナエがそこに案内してくれるらしく、俺がダラダラ考えるより良いだろう。

 

「レイとロゼはそれでいいか? 」

 

「大丈夫です!」

 

「問題なし 」

 

「じゃ、頼むよストレナエ 」

 

「うん!えーとここだと……こっちだよ! 」

 

ストレナエは俺の右手を掴んでそのまま引っ張りながら走ると俺はそれに引かれ、レイとロゼもそれに着いていくように走った。

 

帰り道を外れて大通りに出ると、巨大なショッピングモールが目に映るスクランブル交差点が近くにある通りにたどり着いた。

 

ここは……買い物に行く時によく使う所の通りだ。スクランブル交差点の向こうにある数十階建てのショッピングモールは、日用品は勿論、服や雑貨、果てには映画館等の娯楽施設なんでもこざれな場所であり、愛用している人も多い。今日は学生の大半は夏休みだが平日の昼だからなのか、いつもより人通りりは少ないの方だった。

 

「あった!あの大きい建物の中にあるよ! 」

 

「あそこか、ところで何を食べに行くんだ? 」

 

「スイーツ! 」

 

「…………?? 」

 

スイーツ……?ケーキとかのアレか?そういう料理名は聞いた事ないし、やっぱり聞き間違いとかじゃ無くて本当にスイーツ店に行くのだろう。

 

「なぁ、昼からスイーツって大丈夫なのか? 」

 

「大丈夫大丈夫!ちゃんとご飯も食べれるから! 」

 

ご飯も食べられてスイーツも食べられる所?そんな選り取りみどりな店があるのか……やっぱりあそこの規模はデカイな。まぁ、結構利用しているのにそういう所を知らない俺も大概なんだが。

 

「でも大丈夫何ですか?こんな昼から甘いものを食べると虫歯になっちゃいますよ〜? 」

 

「大丈夫だよ!ちゃーんと毎日寝る前に歯磨きしてるから! 」

 

「お、偉いぞストレナエ 」

 

「えへへ〜 」

 

大きく胸を張ったストレナエの頭を撫でながら撫でると、ストレナエは満足そうに笑みを浮かべていた。

なんだろうか、俺の中から何かが込み上げてきたような気がした。いや別にロリコンとかでは無い。そんな趣味は断じて無い。神に誓って断じてない。

 

「じゃ、そこにするか。ストレナエも食べるだろ? 」

 

「うん!行く行く!ケーキだケーキ〜! 」

 

ケーキが待ちきれないのか、ストレナエは信号が青になったと同時にショッピングモールへと走り込み、幼い子供の体力の多さに何とかついて行き、ショッピングモールの中へと入っていった。

 

平日の昼頃だからか夕方より人は少ないが、それでも人は多くいた。通路はまばらに混んでいるし、店にも結構な人がいた。

 

「えーと、確か1階だから〜あ、あった!あそこだよ! 」

 

ストレナエが目当ての客に指を指すと、向こうには他の店の壁と違って明るい赤を貴重にしており、店の名前であろう【sweetsfestival】と書かれた看板のイチゴやオレンジ、ブルーベリー等の果物を周りに散りばめるように置かれており、見るからに女子受けにしたような雰囲気だ。

 

店の前まで近づくと店の説明の板が貼られており、見る限りどうやらここの店は制限時間付きの食べ放題らしく、1人あたりの料金はかなり安い。1番高いものでも5千円程度であり、これなら俺たちだけじゃなくて残りの六花の分も行けるかもしれないと踏んだ俺は、まず周りを確認した。丁度周りには人がおらず、各々が店に入っている状態だこの隙をつくように六花達を呼び出すと、小さな粒子が無数にカバンから溢れ、すぐ様人型に形成するとその光から六花達が出てきた。

 

「これで全員だな 」

 

「あの、花衣様。もしかして私達と全員とお食事を? 」

 

「そうだ。高くても5万ぐらいだし、それぐらいあるよ 」

 

資金に関しては、俺が母さんから送られていた仕送りの貯金があり、5万なら問題なく使える。

 

「それに、久しぶりに皆と一緒に食べたいしな 」

 

「花衣様……! 」

 

最近は母さんがいるから中々皆と一緒にいる時が少ないから、こうして皆一緒にいるのは本当に久しぶりだ。あわよくば大人数で行ける所を考えていたから丁度いい。

 

さて、いざ店内へと言いたい所だが初めて来る異彩を放つ雰囲気に踏み込めずにいた。というかこんな男性禁制のような雰囲気の店に入って良いのか?

看板には女性限定とかは書かれていないから大丈夫だとは思うが、入り互い雰囲気がある。

 

「どうしたの花衣君、早く入ろうよ! 」

 

ストレナエに手を引っ張られ、是が非でも店内に入り、入った瞬間果実の甘い匂いが鼻腔を通った。

流石スイーツフェスティバルと書かれているだけであり、店内の壁は入口と同じように赤く綺麗に塗られ、そこにダイヤ型の模様が均等に並べられるかつ植物のツタが伸びてそこに色々な果物の作り物が飾られていた。

まるで不思議な果実園の中にいるみたいだ。

 

「いらっしゃいませ!何名様でのご利用でしょうか? 」

 

レジにいるメロンのような薄い緑色の髪をした店員さんから声をかけられ、俺は入口付近にいる六花達と閃刀姫達を見て人数を言った。

 

「えっと……12名なんですけど大丈夫ですか? 」

 

「大丈夫ですよ!ではまずこちらのメニューからコースを1つ選んで下さい!」

 

店員さんから渡されたメニューには3種類のコースがあり、違っている点は食べられる種類と金額であり、残りは全て食べ放題というのは同じだ。

折角だから俺は1番高いコースを頼んだ。

 

「かしこまりました!でしたら料金はこちらになります!ご確認ください 」

 

俺が選んだメニューと人数から計算された金額を提示されると、許容範囲内の金額が表示された。

 

「大丈夫です 」

 

「でしたら席へご案内致します! 」

 

意気揚々とした態度で席を案内し、俺たちはそれについて行く。着いていくと徐々に奥の席へと案内され、かなり細長いソファーがいくつもある席へと着いた。

 

「こちらになります!奥の方にスイーツは勿論、パスタやカレーなどありますのでどうぞごゆっくりして下さい! 」

 

「ありがとうございます 」

 

「よーし!早速食べるぞー!」

 

「私も食べるー! 」

 

ストレナエとプリムが早速スイーツの方に走り出した。

 

「きゃっ! 」

 

いきなり走り出して店員さんはびっくりしてしまい、その場をぴょんと少し跳ねながらふらついた。

そのふらついた一瞬、店員さんの頭に違和感を感じた。

何か葉っぱのようなものが見えたような気がした。

 

「だ、大丈夫ですか? 」

 

「はい、大丈夫でございます。可愛らしい娘さんですね〜。ん?ですが貴方は見る限り学生さん……ですよね?えーと、失礼ですが、お客様方はどういった関係なのでしょうか? 」

 

「え、えーと…… 」

 

「いずれ婚姻を結ぶ関係でございます 」

 

「ティアドロップ!? 」

 

「ふふ、何を寝言を言っているのでしょうか?旦那様との契りを結ぶのは私です 」

 

「だぁぁぁぁぁぁカンザシも何を言ってるんだ!」

 

「あらあら〜随分とモテモテですね〜 」

 

店員さんはこの光景を見て笑っており、最早収集が付かない所までになっていた。

 

「とにかく!そんな関係では無いので! 」

 

「そうですか〜ではごゆっくりどうぞー! 」

 

満足したのか店員さんは自分の持ち場に戻るように席から離れていき、何だか爪痕を残されたような雰囲気を残していった……何なんだあの人は……

 

「じゃあ私達も行ってくるネー! 」

 

「私も行くわ。和菓子はあるのかしら? 」

 

ボタンとエリカもスイーツを取りに席をたち、俺もそろそろ料理を取るために移動した。横に長いケースの中にはケーキを初めとした数種類のスイーツが並んでおり、アイスや和菓子もあった。

スイーツのケースの隣にはカレーの入った鍋やパスタが盛られている皿もあり、取り敢えず先にそれを食べることにする。

 

(カレーだとスノードロップやプリム達のような白い服についたら汚れるな……パスタにするか )

 

スノードロップ達に気を使って汚れが飛びにくいパスタを選び、皿に盛り付けられたパスタをトングで一掴みして自分の皿に盛り付けた。最初はこんなものかな。

 

「ねぇねぇ見て見て花衣くーん!4段アイス〜! 」

 

向こうからストレナエがコーンの上に丸い形のアイスが4段も積み上げられたものを見せてくれた。

 

「お、落とすなよ? 」

 

「大丈夫大丈夫!じゃあ先に行ってるね! 」

 

少しぐらついている4段アイスを落とさないようにしながらストレナエは席に戻って振り返った瞬間、その後ろにいた背丈が同じぐらいの子供とぶつかってしまい、ストレナエは体勢を崩しながらもアイスを落とさず、そのまま尻もちをついた。

 

「大丈夫かストレナエ!? 」

 

手に持っていた皿をその場に置いて直ぐにストレナエに駆け寄ると、ストレナエに怪我らしき物は無かった。

 

「いてて、大丈夫?ぶつかってごめんね……ってあれ?この子…… 」

 

「ご……ごめんなさい!……あ 」

 

ストレナエにぶつかった子を見ると、何処か見た事ある子だった。

白金の長髪に、顔を隠すような長い横唾の帽子……間違いなくあの人の妹、【星空天音】ちゃんだった。

 

「あ、あの時船にいた子とお兄ちゃん! 」

 

「天音ちゃん!?という事は…… 」

 

「天音!ここにいたのか……って、花衣君? 」

 

天音ちゃんを探しに壁裏から表れたのは、彼方さんだった。

 

「か、彼方さん?どうしてここに? 」

 

「どうもこうも天音がここで食べたいっていから来た訳だが…… 」

 

うん。まぁ、確かにこの店に来る理由なんてここに食べに来る以外に無いよな。間違いない。

 

「その子、【六花聖ストレナエ】だろ?実体化させてデートかい? 」

 

「デートというかなんと言うか…… 」

 

俺は向こうにいる残りの六花達と閃刀姫達に指を指すと、彼方さんは何かを察したように小さく笑った。

 

「あぁ〜……中々ほとんどの男を敵に回すような事してるね〜夢のハーレムってわけかい? 」

 

「そういう訳じゃ無いですけどちょっと否定出来ない……! 」

 

「ははは、ここで会ったのも縁だ。良ければ一緒に食べないかい?……それに、話して起きたい事もあるしね 」

 

彼方さんの雰囲気が急に変わり、真剣な顔つきで俺を見ていた。……どうやら、最後までのほほんとした食事には行かなそうだ。

 

 

 

 

彼方さんと天音ちゃんがこっちの席に移動したことにより、店員さんに複数の席を使わせる事が出来た俺はティアドロップとレイを残して彼方さんと座り、天音ちゃんは向こうでスノードロップ達が見てくれていた。

人見知りな天音ちゃんだが、同年代の見た目をしているストレナエ、プリム、シクランがいるから緊張はしないはずだ。

 

「すまないな、色々と世話になって 」

 

「良いんですよ。それより話って何ですか? 」

 

すると彼方さんはカバンから1枚のカードを取り出してテーブルに置いた。

カードの名前は【ウィッチクラフト・ハイネ】と書かれている女性だった。

 

「単刀直入に言えば、監視者の正体はこのモンスターかも知れないっていう話だね 」

 

俺とティアドロップ、レイはその言葉に体を強ばらせて話の続きを聞いた。

 

「と言っても、【ロマンス・タッグデュエル】の時に監視者と少し交戦してそこから少し推察したものだから断言は出来ない。だが、布を使った攻撃や俺が見た杖と形状が一致している事から、君の監視しているモンスターはこのモンスターで間違いない 」

 

「少し交戦しただけでそこまで考えられるなんて凄いですね…… 」

 

「そうかな?まぁ、確定じゃないから分からないけどね 」

 

「大丈夫ですよ。ティアドロップさん、このモンスター…… 」

 

「えぇ、私達が交戦したモンスターですね。どうやら、あの【ウィッチクラフト】が監視者なのは間違いない無さそうですね 」

 

「え、交戦って……お前らいつの間に監視者……じゃなかった、そのハイネって奴と戦ってんだ!? 」

 

俺が知らない間に戦っていた事に驚いた俺はそれを問い詰めようとしたが、ティアドロップとレイに適当にあしらわれてしまった。

 

「それは後で謝ります。というより、【ウィッチクラフト】が監視しているって事は…… 」

 

「ハイネ以外にも監視している可能性はあるな 」

 

そう言って彼方さんは更にカードを出した。

 

【ウィッチクラフト・ジェニー】【ウィッチクラフト・ポトリー】、【ウィッチクラフト・ピットレ】、【ウィッチクラフト・シュミッタ】、【ウィッチクラフト・エーデル】、【ウィッチクラフト・ハイネ】、そして【ウィッチクラフト・マスターヴェール】のカードが並んだ。

 

「これが君を監視している可能性があるモンスター達だ 」

 

「な……7人もいるのか 」

 

「いえ、もしかしたら7人だけじゃ無いかも知れません 」

 

レイが顔を少し歪め、いかにも不味そうな表情に冷や汗を垂らしていると、レイは言葉を続けた。

 

「もしかしたら、【エンディミオン】とも繋がりがあるのかもしれません。だとしたら……余程規模が大きい監視ですね…… 」

 

「【エンディミオン】……?なんだそれ 」

 

「多分このカードじゃないか? 」

 

すると彼方さんが携帯から1枚のカードデータをうつすと、そこには【創聖魔導王 エンディミオン】と記された黒い鎧を纏った男がいた。

出で立ち的にとても魔法使いとは思えないが、種族が魔法使いの事から、魔法使いなのだろう。

 

「んで、これがどう【ウィッチクラフト】と関係しているんだ? 」

 

「このウィッチクラフトが拠点としている所が、この魔導王が作った国が【魔法都市エンディミオン】という所と隣接しているんです。そして、噂によればかなり繋がりが深いと言われてます 」

 

「つまり……? 」

 

「花衣さん、貴方は魔導王に狙われているのかも知れません 」

 

甘い匂いが香る店の中で、それとは逆の苦い空気がその言葉によって作られた。

 




因みに、六花達に関しては細かな年齢設定はしていませんが大まかな年齢はこのようになっています
というかそもそもモンスターかつ植物族なので年齢という概念があるかどうか分かりませんが

花衣より年上
ティアドロップ
スノードロップ
ヘレボラス
カンザシ

花衣と同年代程
ボタン
エリカ

花衣より年下
ストレナエ
プリム
シクラン
ひとひら(?)

ここまで(〜90話)出てきたレゾンカードの中で強いと思うのは?

  • 六花聖華ティアドロップ、カイリ
  • 閃刀騎-カイムと閃刀騎-ラグナロク
  • 銀河心眼の光子竜
  • RRRリノベイルイグニッションファルコン
  • 炎転生遺物-不知火の太刀
  • 常闇の颶風
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