六花テーマを作って愛用したらそのまま俺への愛が重くなった件について   作:白だし茶漬け

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こんにちは〜!妹がオッドアイズとサイバードラゴンと銀河眼で殺意マシマシデッキに対抗してこっちは魔改造アロマローズ六花(+‪αヴァレルロードシンクロドラゴン)で対抗している白だし茶漬けです。

さて、マスターデュエルではフュージョンフェスが開始され、にっくきデストロイフェニックスガイが来ました。

おめぇ超融合でグリーディーヴェノムにすっぞごらぁ(ꐦ°᷄д°᷅)

はい、愚痴はここまでとして今回はあるテーマモンスター達が登場します。さぁ……一体誰なんでしょうかね。
それでは……どうぞ!


獲物待つ穴の中で

 

酷く懐かしい夢を見た。子供の頃の思い出だ。

子供の頃の思い出何て殆ど無いのにこんな夢を見るという事は、無意識の中でおぼているという事なのだろうか。

 

ここは……どこだ?本棚に囲まれた部屋の中で、俺は何かについて書かれている本を必死に読んでいた。どんな本かまでは分からないが、夢中で読んでいる事だから好きな本なのは違いなかった。

 

本の虫になるように夢中で次々と文字だけのページをめくっていくと、向こうにある扉がゆっくりと開けられた。

 

_あら、また私の本を読んでいるの?毎日毎日飽きないわね

 

_うん!だってこの本好きなんだもん!ねぇねぇママ、ここの所何だけど教えてくれる?

 

あれは……母さんか?だけど何故か姿が逆光の様なもので防がれていてぼやけて見える。だけど声や雰囲気からしてあれは間違いなく母さんだった。

 

というか俺小さい頃母さんの事ママって読んでたのかよ……いや、大抵の子供はそう言うかもしれないが、年を重ねて来た今の俺からすれば何だか無性に恥ずかしくなってきた。

しかもこれみよがしに甘えるように母さんに抱きついているから見ちゃいられない。

 

_良いわよ。ふふ、将来はどんな人になるのかしら

 

そう言って母さんは小さい俺を包み込むように後ろに座り、俺は母さんの膝の上に乗り、一緒に本を読んた。

 

そして、俺の視界は何かに閉じられたかのように真っ暗になった。

 

___

 

__

 

_

 

「……おい、起きろ……起きろ! 」

 

誰かに大きな声で起こされているような気がする。俺は生きてるのか……?身体が少し痛く、四つん這いで起き上がるのも苦労して何とか俺は起き上がれた。

 

「どうやら目が覚めたようだね。大丈夫か? 」

 

司会がまだぼやけているせいで目の前にいる居るのが誰かは分からなかった。だけどこの声……どこかで……

 

ようやく視界も元に戻り始め、ぼやけていた視界が徐々にクリアになると、目の前にはこの場にほんらい居ないはずである人、彼方さんがいた。

 

「か……彼方さん!?どうしてここに!? 」

 

彼方さんはこの大会には出ないって言ってた筈だが……?

 

「それがこの大会に参加してるっていう意味なら、少しばかり出らざる得ない事情が出来てな。というか、君……まさかこの崖の上から落ちてきたのか? 」

 

「崖……あ、そうか。俺、確か見下に…… 」

 

見下に突き落とされた俺は、水底数百メートルはある崖の上からこの地面に落ちたが、目立った外傷は無く、高さの割に痛みはだいぶん少ない。何かに守られたのか、それとも誰かに助けられたのかのどちらか……どちらにしても、助かったのなら良かった。服に着いている葉っぱをはらい落とすと、胸ポケットからひとひらが泣きながら俺の顔に飛びついてきた。

 

大粒の涙を流しながらひとひらは俺の頬に抱きついて離れず、頬にいるひとひらの涙を人差し指でそっと拭いた。

 

「ひとひら!ごめんな、心配かけて……お前が助けてくれたのか? 」

 

ひとひらはフルフルと首を横に振った。じゃあ、ロゼから貰ったホーネットビットのお陰かと思われたが、手持ちのホーネットビットの機能を見るにそのような物はついていない。だったら誰かが助けてくれたという線が濃厚だが……彼方さんは今来たばかりの様子だ。じゃぁ一体誰が……?

 

「あれ、そう言えば今日は天音ちゃんがいないんですね 」

 

彼方さんはいつも隣に天音ちゃんを連れており、今回は珍しく天音ちゃんを連れてはいなかった。そして、そのことを聞いた事が引き金になったかのように、彼方さんの表情の険しさは目に見えるまでになった。険しい顔つきに体を無意識に震えさせ、彼方さんから今まで見た事ない威圧感に圧倒された。

 

「……そうだな、君には少し話しておこう。だけどその代わり、まずは君がなんで崖から落ちた事を話してもらうよ 」

 

「わ、分かりました 」

 

俺は見下にされた事を余すことなく話し、更に見下が取り巻きを使ってカードを集めさせ、既にレゾンカードを1組手に入れたことも告げた。俺の話を聞く度に彼方さんはドン引きするように顔を顰めさせ、目に見えて嫌そうな顔をしていた。

 

「……なんというか、救いようが無い奴だな。そんな奴に付きまとわれる花音さんには割りと真面目に同情するよ 」

 

「嫌な奴というのは変わりありませんよ 」

 

「だが注意した方がいい。彼は目的の為なら手段を選ばない男だ。現に君を崖から突き落とすというとんでもない事をしている奴だ 」

 

「えぇ、というか俺がこの大会のスタッフに見下を言及すれば、即刻失格にも…… 」

 

「それは恐らく無理だろうな。悔しいがあいつの家が家だからな……それ以前に証拠が無い。君がボロボロだったら多少の説得力が付いたと思うが、今の君はほぼ無傷だ。そんな形で崖から突き落とされたと言われても信じては貰えない 」

 

確かに、俺の服はボロボロでも無いし傷もある訳では無い。助かったのは良いけどそれが裏目に出たのは痛い。

 

「しかもここは危険エリアで立ち入りは封鎖されている筈だ。君が気付かなったという事は、見下が細工したのは間違いないな 」

 

「ん?封鎖されている筈なのに、どうして貴方はここにいるんですか? 」

 

立ち入りが禁止されている所ならカードなんかある訳無いし、足を踏み入れる理由がないをだが彼方さんは現にここにいるから立ち入り禁止を無視してここにいることになる。気になった俺はその事について聞くと、彼方さんは少し悩んでから話してくれた。

 

「いや……ちょっと声が聞こえてね。向こうで花衣君が危ないから助けて欲しいって聞こえたからここに来たら、崖下で倒れている花衣君を見つけたって訳だ 」

 

「声?誰のですか? 」

 

「分からない。だけど女の声というのは確かかな 」

 

女の声……一体誰のだろうか。

 

「まぁ、こんな所で話をしても仕方がない。少し移動してカードをを拾おう。カードは何枚あるんだい? 」

 

「ええと21枚……って、あれ? 」

 

ケースの中にある筈のこれまで拾ってきたカードが無く、ポケットの中にも無かった。どこかに落としたか?……いや違う。そう言えば、見下に突き落とされた時カードがバラけて全て見下の方に飛んでいき、結果的にだが俺は見下にカードを奪われた事になる。

 

最悪だ……残り時間もあと少ししか無い所でカードを拾ってないとなるとますます状況が良くない。頭を抱え、どうするか悩んでいると、彼方さんは助け舟を出すように肩を叩いてくれた。

 

「……盗られたな 」

 

「大丈夫、俺も手伝うよ 」

 

「え、でもそっちもカードを拾った方が…… 」

 

「実を言うと俺はもうデッキは完成した 」

 

「はやっ! 」

 

「運が良かっただけさ。よし、それじゃあカードを探していこうか 」

 

「はい、ありがとうございます。じゃあ早速向こうの方から…… 」

 

その時だった。いきなり俺の足元の地面が俺がすっぽり入るような穴が開いた。いわゆる落とし穴というやつだ。俺はこの時少し宙を浮いたが重力には逆らえずそのまま深い穴に真っ逆さまに落ちて行った。

 

「おわぁぁぁぁぁぁ!?!? 」

 

「はぁ!?ちょっと花衣くん!?かいくーーーん!!!??? 」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ねぇ、この人生きてるの? 」

 

「棒で突っいても動かないし死んでるんじゃないの? 」

 

なんか女の人の声がいくつもする……しかも背中辺りで何かに突っかれているような感触もする。ちょっと痛い。

 

「えぇ〜……死んでる餌ってあんまし美味しく無いんだよねぇ……まぁ、この世界あんまし良い餌が入って来ないし仕方ないかぁ〜 」

 

「……ちょっと待って。この人……どこかで…… 」

 

「ぐぁっ……がぁっ 」

 

「あ、生きてた 」

 

「勝手に……殺すな……! 」

 

少しだけ鈍い痛みが身体中を走り、何とか立ち上がって周りを見渡した。見渡すと辺り一面は森ではなく、岩肌が綺麗に露出している密閉している所であり、恐らくは洞窟かその辺だろう。

 

灯りはろうそくの様な物で周りを照らしており、この洞窟の様な所には8人の女性がいた。体型は少し子供よりではあるが、どこか違和感というか……既視感?があった。

 

特徴的な髪に特徴的な服、そして俺を見つめるその目はまるで獲物を見るような眼差しでもあり、俺に油断という言葉は失われ、直感で危険と感じた俺は咄嗟に後ろに下がった。

 

「……あれ?でも確かにティオの言う通りこの人どこかで……」

 

すると毛先が赤い金髪でツインテールの少女が俺の顔をジロジロと見つめ、更に2人、黒髪と白髪の少女も俺の周りをうろついて俺の顔をじっと見ていた。

 

そういえばこの子達、俺の事をどこかで見た事があると言っているが、俺自身もこの子達の顔に見覚えがあるような気がする……どこで出会った?それはいつだ……?

思い出そうとすると頭が痛くなり、まるで思い出させないようにしているみたいだ。

 

それに、胸ポケットにいるひとひらの様子もおかしい。何だかこの子達のことを警戒しているようにしており、未だに俺の胸ポケットから出なかった。

 

「……あ、思い出した。貴方……カイリでしょ? 」

 

「カイリ……!? 」

 

そうか、このどこか懐かしいような感じはカイリの時にこの子らと会っていたせいだったのか。

だが生憎、俺にはその時の記憶は無いし、今の俺は六花精華カイリでは無く、ただの人間の桜雪花衣だ。

 

……ん?ちょっと待て。カイリの事を知っているって事は……この子達まさか……

 

「君らまさか……モンスターっ!? 」

 

「え、今更?そう言う鈍感な所も変わってないわね……と言うより、私達の事覚えてないの? 」

 

「ごめん、色々訳あって……それに、俺は桜雪花衣って言うただの人間だ。カイリは……俺の前世見たいな感じだ 」

 

「なるほどね……通りで私達の事を初めて見るような反応をすると思ったら……生まれ変わりだなんてね。ふふ、これは食べがいがあるって物ね 」

 

背後から甘い蜜のような気だるい声が聞こえ、俺は咄嗟に振り向くと、急に甘い匂いが鼻から頭に柔らかく突き抜け、思わずくらつきそのまま膝をつこうとしたが、すんでのところで我に返って足を踏ん張らせ、飛びかけた意識を取り戻した。

 

「あら、私の香りに耐えれるなんて、人間になってもその精神力は変わってないわね。カイリ 」

 

「俺は花衣だ!もうカイリなんかじゃない 」

 

「そう、でも私達の餌というのは変わりないけどね 」

 

突然背後にいる紫色のツインテールをしているモンスターが手から蜘蛛の糸のようなものを吐き出し、直前に声を上げてくれたお陰でギリギリの所で糸を避けられた。

きっと声を出さずに糸を出されてしまったら、俺はあの糸に捕まっていた事だろう。とにかく、こんな所に長居している場合じゃない。早く外に出て彼方さんに合流し、カードを拾わなければ。

 

だがしかし、状況は依然最悪だ。9人のモンスターに囲まれており、どこに行こうとも行く手を阻まれている状態だ。体格差を利用して強引に行くか……?

いや無理だ。小柄と言えどモンスターだ。何をするか分からないからリスクが高すぎる。しかし感がている暇も無い、徐々に全員が一定の間隔で俺に近づいていき、今度は避ける暇さえ与えない距離まで近づいてくる。

 

だけど詰みでは無い。俺は服の裏からホーネットビットを起動させ、ホーネットビットはその名の通り蜂のように俊敏に動き、彼女達の進軍を止めた。

 

「きゃっ!もう何よこれ〜!カイリの時はこんなの無かったじゃない! 」

 

俺の周りに縦横無尽に駆け回る機械に少女達は歩みを止めて怯んだ。その隙をついてホーネットビットを地面に擦り付けながら俺の周りをグルっと1周させ、砂埃を起こして目くらましをさせる。

砂埃に乗じてこのまま逃げ切るように全速力で走ろうとするが、突然右足が何かに掴まれ、俺はまるで釣られた魚のように引っ張りあげられ宙吊りにされる。

 

「ざーんねん、逃がさないよ 」

 

釣り上げた獲物を取れて喜んでいる黒髪で全体的に色素の薄い緑と白色の服を着た少女は俺を離さまいとツタを捻じるようにした。拗られているせいで俺の足も同じように拗られ、右足が雑巾のように絞られそうだ。そうなれば骨が砕けるどころじゃ済まない。急いでホーネットビットを呼び出して足を吊るしているツタを切り裂き、何とか拘束から逃げ出した。

 

「あぁ!もぅ!大人しく食べられば良いのに 」

 

「そうは行くか! 」

 

捨て台詞を吐きながらとにかくこの場から離れ、出口があるかも分からない洞窟を駆け巡った。

 

「ふふ、2度は逃がさないわよ……うふふふふふ 」

 

とにかく彼女達から距離を取り、後ろを見返すとその姿は無く、1度休憩して息を整えた。まさかモンスターに襲われるとは思わなかった……いや、別の意味で襲われそうな事は何回かあるし、どこかに連れていかれることはあるにはあるから初めてでは無いんだが、こんな命を懸けての追いかけっこは初めてだ。というかこれっきりして欲しい。

 

「それにしてもここどこだ……?上から落ちてきたから……上に出口があるのか? 」

 

しかしこの辺に上向きの穴も無ければ硬い岩盤のせいで掘れそうにも無い。ホーネットビットで掘れなくはなさそうだが、よじ登るのは困難だし何より明かりが無くなるのは困る。

今はホーネットビットのライトのおかげでマシだが、洞窟は全体的に薄暗く、いつ奇襲されるか分かったもんじゃない。

 

「せめて上に続く通路があれば良いんだが…… 」

 

とにかく目指すのは上だ。さっきあの子達は俺の事を餌と言っていた。想像したくは無いが、あの子達はあの形で人を喰べており、それを求める為にどこかに出口は必ずある。

それにここは地下だ。地上に出る為には上へと続く道を辿っていかなければならないし、ここの洞窟の通路は思ったよりも歩きやすい事から、通路手段として使っている筈だ。道は必ずある……と思いたい。

 

立ち止まって考えている暇はないし、とにかく俺は奥に続く洞窟を歩こうとは思う分かれ道がありすぎてどこに行こうか不安で迷ってしまう。最悪来た道に戻る場合もあり、迂闊には動けなかった。すると胸ポケットにいるひとひらがいきなり飛び出し、ひとひらは右の道に指を指していた。

 

「あっちに出口があるのか? 」

 

俺の問いにひとひらは頷き、ひとひらは先行して右の通路の奥へと行ってしまった。

考えている暇はない。とにかく今はひとひらを信じるしかない俺は、ひとひらを追いかけた。

 

それにしても、なんでひとひらは出口を知っているんだ?考えられる理由があるとするならば、一度ここに来たことがあるという線が考えられる。実際、俺がカイリの時にあのモンスター達と会い、こんなことがあったという想像ができるが、構造も前と同じだとは限らない。だが、ひとひらの表情は確信めいたものを読み取れる事から、なにかパターンがあるのか、それともひとひらにしか感じ取れない何かがあるのだろうか?

 

洞窟でひとひらについていく中、なにかの気配を微かながら感じた。肌をピりつかせるこの感じは……殺気にも似ていた。その殺気は気付かれないように少しづつ近づいていき、やがて最高潮に達した今、俺の足は止まった。

 

「止まれひとひらっ!!! 」

 

声でひとひらを静止させた瞬間、壁からいきなり巨大な黄土色の蜘蛛が壁を食い破るように横ぎり、破片でひとひらが傷つかないようにひとひらの前に立ってひとひらをかばい、そのまま背中を向けて丸まった。

 

蜘蛛はそのまま洞窟内の壁を食い破りながらすすみ、その時反響した少女の声が聞こえてきた。

 

「今のを躱すなんてやるね~だけど今度はガブって食べるよ!私たちが生きるためにね! 」

 

「悪いけど食べられるわけにはいかないんでね! 」

 

今の蜘蛛は恐らく彼女たちが使役しているモンスターだろうか?あんな華奢な子たちが物凄いエグイ化け物をよく手なずけているものだ。流石はモンスターというべきだろうか。

 

あんなものに不意打ちを続けられては身が持たないが、彼女達も住処を壊す真似はしたくはないはずだからこの洞窟を崩壊する行為は乱用しないはずだ。

 

「大丈夫かひとひら? 」

 

手のひらで包んで守っていたひとひらは頷き、体に外傷は見当たらなかったため、どうやら無事なようだ。心からの安堵の息を漏らし、立ち上がってはこれから当たる妨害に気を付けながら先を急ぐ。

 

先に進むと今度は少し広い場所にたどり着き、どこはただ広いだけで足場が砂と言う点は特に何もない場所だった。

 

「砂?なんでこんなところに…… 」

 

というかなんでこんなところに砂なんか置いてあるんだ?インテリアと言うには謎だし、そもそもここの砂はどこから持って来たんだ?外にあった地面の砂とは少し違うし、相当粒が細かいから足が沈みやすい。現に足がくるぶし辺りまで埋まっているし・・・・

 

「いや違う!これ沈んでいるのか!? 」

 

「今さら気付いても遅いよ! 」

 

少女の声が聞こえたと同時にこの部屋の中央が沈んで窪みが出来、それに吸い込まれるように俺は砂諸共中央に手繰り寄せられる。

 

「これは……蟻地獄! 」

 

「正解~ 」

 

すると中央に巨大な二本の牙をもったこれまたでかいアリジゴクが俺に恐怖心を植え付けるかのように現れ、更に体についてある無数の手足で俺に砂を投げつけ、俺が脱出するのを妨害していた。砂をぶつけられるせいで視界を奪われ、されに細かい砂でさらに俺の体制を崩されてしまい、このままでは立つことさえままならなくなり、あのアリジゴクに食われてしまう。

 

「あっはっは!もう諦めて私に食べられちゃってよ!! 」

 

アリジゴクの頭部の上には銀髪の少女が笑いながら苦しむ俺を楽しむようにしていた。

 

「そうは……いくかよ! 」

 

体がだんだん中央のアリジゴクがいる所に引き寄せられる中、俺はホーネットビットを反対方向の壁に思い切り投げつけ、ホーネットビットはワイヤーを帯びながら俺が投げつけた方向にある壁に突き刺さり、ビットが出したワイヤーを手首にしっかりと巻き付ける。

 

「ひとひら!しっかり捕まってろよ! 」

 

ひとひらは胸ポケットに入り、離れないようにしっかりと胸ポケットにしがみつき、手首のワイヤーをグンと引くと、ビットがアンカーを物凄い勢いで引くと、その勢いにつられるように思い切り引かれ、その勢いのお陰で蟻地獄の砂から脱出した。

 

「あぁ〜!逃がさないよ! 」

 

銀髪の少女がアリジゴクの体を伸ばし、 おぞましい顔と牙が俺の足を食い破らんとしていた。

 

まずい、今のアンカーの巻き付けるスピードじゃ確実にあの牙に捕まってあの牙に食われてしまう。かと言って空中だから身動きが取れる訳も無い。

 

もうダメかと思ったその時、俺の足場に小さな氷が空中で形成され、足場が生まれたのと今の状況で脳が命令するよりも早く体が動き、咄嗟に氷を蹴ってその場でジャンプした。

 

ギリギリの所でアリジゴクの牙を避け、そのままビットが突き刺さった壁にたどり着いた。

 

「今の氷……ひとひらがやってくれたのか? 」

 

胸ポケットにいるひとひらにそう言うと親指をグッと上げており、どうやらひとひらがやってくれたようだ。相変わらず良いタイミングで助けてくれるから心強い。

 

「あ〜もぅ!逃げるなー!! 」

 

喜びも束の間、少女はアリジゴクを砂場から飛び出させて全身を顕にさせ、そのまま俺達に向かって突撃していく。

 

「やばっ…… 」

 

迫り来る怪物から全速力で広場を抜ける洞窟に避難し、アリジゴクはその余りある大きさが仇となって俺達が入った洞窟に入らず、2本の牙をぶつけ合わせながらこっちに来いと脅していた。

 

「小賢しい餌だなぁ! 」

 

「餌では無いんでね! 」

 

付き合っている暇は無い。あっちが足止めを食らっているスキをついてこのまま洞窟の奥に走り去り、出口を目指す。

 

「というか、さっきからエグい化け物しかいないんですけど!? 」

 

蜘蛛といい、蟻地獄といい、さっきから恐ろしい生物しかいないのは何なんだ!?ハッキリ言って見ていて体がゾワッてするし、夢にも出そうで怖い。

 

確か最初に会ったのが全員とすれば、これまで妨害して来たのは2人だから……少なくともあと7人の妨害が待っているという事になる。考えるだけでも憂鬱になるが、逆に妨害が激しくなるという事は、出口が近づいているとも考えても良いだろう。

 

そう考えれば気は軽くなるが……激しさを増す度に命の危険も同時に増すから結局は憂鬱になる。

 

「というか、カイリの時もこんな風な事が起こってたという事は、俺って昔こんな魔境を抜け出したって事かよ…… 」

 

「そうだよ〜だから今度は絶対に逃がさないからね〜 」

 

今度は下からまた別の子がするといきなり俺が立っている場所が崩れ落ち、突発的な事に反応できなかった俺はそのまま深い穴に落ちて行った。

 

「落とし穴!?そういえばこの洞窟に来たのも落とし穴だったっけな……! 」

 

「私たちの得意戦法だから当然だよ。じゃ、そのまま落ちて溶けちゃってね 」

 

落ちて溶けるという意味深な言葉で穴底を覗くと、薄暗いそこでおおきな口を開けてエサを待つかのような巨大なウツボが中に消化液を満タンにして待ち構えていた。

 

ウツボの大きさは人間1人分どころか像のような大きい動物を丸呑みできるほどであり、あんなのに捕まれば即消化されて俺の体はドロドロだ。

 

なんとかしてホーネットビットを壁に突き刺し、そのままアンカーを出して掴んで宙づり状態にするとなんとか落下は止まり、ウツボの消化液プールにダイブすることは無かった。

 

「ふぅ……危なかった 」

 

「本当にそう思う? 」

 

今度は上の方からまた別の少女の声が聞こえると、上から巨大な口を交互に開閉している植物が真っすぐこっちに向かってきた。棘ついている先端に中身が赤く、植物のような見た目をしているあれは恐らくハエトリソウだ。しかも通常のハエトリソウの何倍の大きさもあり、虫どころか人1人ぐらい造作も無く食べられるだろう。

 

「もう追いかけるのめんどいからこのまま食べられてしまえ~ 」

 

「それが嫌なら私に溶かされてね? 」

 

前門の虎後門の狼ならぬ、前門のハエトリソウ後門のウツボだ。アンカーから手を離せばウツボに溶かされ、掴んだままだとハエトリソウに丸かじりだ。空中だから逃げ場もなく、もうこれは本当にどうしようもない。死ぬ恐怖や焦りで感情が渦巻き、せめてひとひらだけはと残った左手でひとひらを掴みそのまま俺から離れさせるように向こうに投げ飛ばした。

 

ひとひらは信じられないような表情で必死に手を伸ばしたが、ひとひらのとても小さな腕では到底届かなかった。

 

「……ごめんな 」

 

最後にひとひらに謝り、最後は笑顔で別れようと人生最後の笑顔を覚悟したその時、急にひとひらを投げつけた方向の壁が何かの衝撃で吹き飛ばされ、衝撃を起こした張本人であろう黒いローブ姿の奴……監視者が現れた。

 

「こっちです!! 」

 

着ているローブを伸ばしてひとひらを掴んで自身に手繰り寄せると、今度は俺にローブを巻き付けた。巻き付けた後凄まじい力で俺を監視者の元に引っ張ると上下からの攻撃を躱した。

 

「へ? 」

 

「ちょっとティオ!?止まってぇぇぇぇぇ!! 」

 

ハエトリソウの怪物はそのままウツボの消化液どころかウツボ本体とぶつかり、穴底で怪物同士がぶつかり合う地獄絵図が生まれた体制を崩したことでウツボの消化液がまき散らされ、消化液の匂いであろう臭い臭いがここまで来た。

 

「臭いよカズーラ~! 」

 

「貴方こそ重いのよ!普段から動かないからまた太ったんじゃない!? 」

 

「け……喧嘩してるのか? 」

 

ともあれ、仲間割れしているのなら好都合だ。今のこちらに眼中が無い今、死ぬ寸前だった疲労がどっと抜けて思わずその場で足を崩して座り込んでしまった。

 

「申し訳ないですが休んでる暇は…… 」

 

「分かってるよ 」

 

監視者の言う通り長居している暇はない、立ち上がって先に行こうとすると、いきなりひとひらが目の前に来て思い切り俺の右頬を叩いた。ひとひらの大きさではそれ程の威力はなく、せいぜい猫に弱く叩かれたような物だ。だが殴られた事は事実な為、俺はその事実の理由が分からず困惑した。

 

「ひ、ひとひら……? 」

 

理由を聞こうとするがひとひらは怒りながら涙を流し、今度は胸に飛びついて思い切りポカポカと泣きながら両手で俺の事を叩いていく。

 

「ど、どうしたんだよひとひら…… 」

 

理由を知りたいがひとひらは喋れない。唯一意志の疎通が出来るのは六花の誰かであり、今の俺ではひとひらが今何を思い、どう感じているのかさえ分からずにいて困っていた。

 

ただ、ひとひら泣きながら怒っている。それだけは、叩かれた頬から感じた。

 

「あの……差し出がましいと思いますが……貴方がその子を投げ飛ばした事に怒っているのでは無いでしょうか? 」

 

「それってつまり……ひとひらを物扱いしたって事に怒ってるの? 」

 

「いえ、そうではなくて……貴方が自分を犠牲にしてその子を助けようとした事に怒っているのでしょう 」

 

監視者の言う事にひとひらは激しく頷いた。

 

「あれは……ああするしかひとひらを助ける術は無かったんだ! 」

 

「それが原因なんですよ。自分を犠牲にしていたその行動がその子を苦しめ、怒らせたんですよ 」

 

「助けようとしたのに……か? 」

 

「自分を犠牲にする。というのがいけないのです。貴方はもし、その子が自分を犠牲にして貴方を守ったらどう思いますか? 」

 

「それは勿論許さ……あっ 」

 

そうか……そういう事だったのか。

 

俺はなんて馬鹿な奴なんだ……俺だってひとひらと同じ気持ちを何度も抱いていた筈なのに、それに気づかなかった自分を恥じた。

 

「ごめんな……ごめんなひとひら……! 」

 

ひとひらの小さな額に俺の額をゆっくり当て、ひたすら謝る俺を許すようにひとひらは額を抱くように体を広げ、体を額に擦り寄せてくれた。

 

「……水を差すようで失礼しますが、ここは危険です。早く先に行きましょう? 」

 

「あぁ……そうだな。ええと……【ウィッチクラフト・ハイネ】って言えば良いのか? 」

 

「はい。へ?えぇ!?ななななななななんでわわわ、私のしょしょ、正体が!?え、顔見せちゃいましたか!? 」

 

「いや、ある人の考察で適当に言っただけだけど…… 」

 

正直確信の無い適当な事を言ったんだが、監視者……いや、ハイネの様子を見る限り、どうやら監視者の正体は【ウィッチクラフト・ハイネ】で確定した。

 

ハイネはローブ越しにでも分かるような焦りを見せ、俺は正体について適当に言った事を話すと自分の行動に後悔しながら観念するようにローブのフードを外すと黒いローブが黒いロングコートのような服装に変わり、まるでベルトで巻かれているような独創的な服に変わり、長い灰色の髪に青いメッシュをつけ、長い前髪は左目を隠しており、その顔を隠すように帽子を被って姿をあらわした。

 

「うぅ〜正体は悟られないようにって言われたのに……あぁ怒られる怒られる〜…… 」

 

ハイネは帽子の両端を下に引っ張り、失態を犯して涙目になっている自身の顔を無理矢理にでも隠そうとしているが、溢れ出る涙声で半泣きというより、思い切り泣いていた。

 

「……ええと、大丈夫ですか? 」

 

「ぐずっ……大丈夫です〜正体を知られてしまいましたが、今は貴方を無事に外に出すのが先決ですから。……本当は蟲惑魔達も怖いですけど…… 」

 

……なんか、雰囲気が変わったというかなんと言うか、

今までなんやかんや妨害したり助けてくれたりとかしてくれた監視者が、こんな内気な人と知った俺は、落胆と似た感情が浮かんできた。

これが……素なのか?心配しすぎてなんか敬語出ちゃったし……

 

「で、ではしっかりと着いてきて下さいね 」

 

少し心配ながらも、俺はハイネに着いていった。

 

「なぁ、どうして俺を監視したりするんだ?それに俺を連れ去ろうとしたりもすれば、こうして俺を助けてくれたり……一体何がしたいんだ? 」

 

「それはお答えできません 」

 

ハイネは顔を背けて俺の質問に答えなかった。ま、それはそうだよな。

 

「じゃあ……なんでウィッチクラフトが俺を監視しているんだ。ウィッチクラフトってこの世界で言う工芸職人だろ?こんな事言うのもなんだけど、もっと適した奴がいたはずだろ? 」

 

「それもお答えできません 」

 

やっぱりダメか……内気な性格だから質問すれば行けると思ったけどその辺は徹底しているな……

 

「じゃあこれだけは教えてくれ。ロマンス・タッグデュエルの時は俺を連れ去ろうとしたのに、どうして今は俺を助けてくれるんだ?」

 

「……強いて言えば、貴方を信用しているからですね 」

 

「どういう事だ? 」

 

「それについては言えません。それよりも、もうすぐ出口ですよ 」

 

少し狭い通路を歩くと確かに陽の光が差し込んでおり、通路を抜けると上が吹き抜けている広場へと辿り着いた。

 

吹き抜けた広場はこれまでとは一風変わって草木が生えていたが……どこか不気味な所には変わりなった。

 

「気をつけてください。囲まれてます 」

 

「あぁ、何となく気配を感じる 」

 

草木に隠れる中から滲み出る殺気がビリビリと伝わってくる。

「あら?あらあらあら、餌がもう1人増えてるじゃない。しかも……私達と同類とはね 」

 

奥の方に少し赤みがかった髪と布地が少ない白い服……というか布を巻き付けているだけだろあれ……ちょっとでも布がズレるとすぐに全部はだけるだろあれ……

 

赤色の少女は妖しく笑い、その目は獲物を見る捕食者の目だ。いつどこで仕掛けられ、仲間達にも襲われるか分からない。

 

「よくここまで来たわね、カイリ。あの時以来かしらね 」

 

「悪いが俺はそれを覚えてない 」

 

「そう、なら……これも忘れてるのね 」

 

すると彼女は自身に巻き付かれている布の1部を少し脱ぎ、あと少し動けば乳房が見えそうな程だ。

 

「ちょ!何してんだお前っ! 」

 

「あらあら、あの時見たいな反応をしているわね。さぁ、私に堕ちなさい 」

 

彼女の内側から薄桃色の煙が漂い、それと同時にほのかに香る匂いが広場に充満した。

 

「これは……花衣さん!嗅いでは行けませ……」

 

「貴方の相手は私達〜! 」

 

ハイネが駆け寄ったその時、ハイネの背後に無数の植物のツタに縛られてしまい、ハイネはそのツタによって奥の森に連れされてしまった。

 

「くっ……!このツタ、強いっ! 」

 

「逃がさないよ〜貴方も美味しそうだからゆっくりゆーっくり、食べてあげる 」

 

「くぅ……! 」

 

ツタから脱出を試みようと力を入れるが、手の方は腕まで絡まり、足も太ももまでも強く縛られており、思うように力を込められず、ツタの触手になされるがままになっていた。

 

「ハイネ! 」

 

「わ、私の事は気にせず早く逃げて……! 」

 

「そうは行かないよ 」

 

さっき通った通路が突然壊され、壊された先にはさっきまで俺達の行方を阻んでいた蜘蛛とアリジゴク、そしてウツボとハエトリグサの怪物が入口を塞ぎ、この場には9人のモンスターがまた俺を囲んでいた。

 

そうこうしている間に桃色の煙が俺のところまで届き、甘い臭いを嗅がないように口元を右手で覆った。

 

「そんな事しても無駄なのに 」

 

「そうそう、フレシアの匂いからには誰も抜け出せ無いんだよ〜。まぁ、カイリには逃げられたけどね 」

 

「だから今回は本気の本気。貴方を抜け出せないまどろみに堕とすわね 」

 

フレシアと呼ばれた彼女の背後からまた別のツタが俺の右足まで伸びて透かさず足首に巻き付くと、そのまま力強く俺はフレシアの元に引きずられながらフレシアの前まで逆さ吊りでいられると、フレシアは目の前で更に服をはだけさせて煙を出す量を増やした。

 

「ここまで来れば口を塞いでも意味なんか無いわよ。塞いでも小さな隙間から貴方の体に入って……そして頭も心も全部全部溶けてしまうのも。だけど……念には念ね 」

 

フレシアは俺の胸ポケットに手を伸ばすと、そこにいるひとひらを見つけては逃がさないように力強くひとひらを握りしめ、そのままだとひとひらが潰れそうな程であった。

 

「塞いでいる手を退けたらこの子を開放してあげる。さぁ、早く手を退けて? 」

 

ひとひらは退けないでと首を横に降ったが、フレシアは笑顔でひとひらを握り潰そうとしていた。

耐えられない圧迫にどんどんひとひらの顔が青ざめ、もはや抵抗する気力さえも失っていた。その顔を見た瞬間呼吸も荒くなり、しかも手を塞いでいるから余計に苦しく、これ以上息は続かない。だがこの手を離せばフレシアの煙を吸ってしまい、このままではひとひらも俺も全滅だ。

 

「どうするの?早くしないとこの子がぺっちゃんこになるわよ 」

 

フレシアは本気で時間も無かった。俺に残された選択肢は……1つしか無かった。

それを決断した時、俺は両手を口から退けて降伏するように手の力を抜いて下に手を上げた。

 

「お利口さんな餌は大好きよ。じゃあこの子とついでにあの子も開放してあげる 」

 

フレシアは背後のツタでひとひらを摘むようにして持ち上げると、そのままハイネの胸元まで伸ばすと同時に吊り上げていたハイネを地面にゆっくりと落とし、そのままハイネの上にひとひらを置き、待っていたと言わんばかりに俺を見つめ、舌なめずりをした。

 

「私は他の子達と違って餌を食べないけど、養分は必要なの。だから……ここで貴方を一生養分にしてあげる 」

 

「ずるいわよフレシア。私にも少し分けてくれないと不公平よ 」

 

「ダメよアロメロス。貴方に渡したらせっかくの養分がダメになっちゃうじゃない 」

 

何か言い争っている様子だが今の俺はこのフレシアの声しか聞こえなかった。甘く、この状況じゃ無ければ安心して寝てしまいそうな程優しい声だが、今の俺にとってはそれは悪魔の誘いそのものだった。

その声を聞きながらフレシアの煙を吸ってしまうと、一瞬で身体中が甘い匂いに頭が壊されそうになった。

頭がぼうっとして意識も朦朧とする。

 

駄目だ……何だか考える力も無くなっ……て……

 

「さぁ、こっちにおいで 」

 

こだまするフレシアの声に逆らえず、まるで甘い匂いに誘われる虫のようにふらつく足でゆっくりとフレシアの所まで歩いていく。

 

くらつく頭、それに合わせてふらつく足でぼやける視界の中でフレシアに辿り着き、フレシアは両手を広げて俺が飛び込むのを待っているのようにしていた。

 

「ここに来ればずっと優しくしてあげるわよ?何も考えず、何も苦しまず、何もしなくても良いのよ? 」

 

「おれ……は…… 」

 

「ダメで……す!カ……イ… 」

 

誰かの声が耳に入ったが、それは通り過ぎて俺には聞こえないのも当然だった。あと一歩右足を前に出せばフレシアの腕の中に辿り着く。

 

そうすれば……そうすれば……なんだ?

 

あれ、俺……何しようとしてたんだっけ?ダメだ頭が回らない。もう何も考えられなくなった瞬間、右手首の腕輪と胸ポケットに刺していた髪飾り、そして、右手小指にはめていた指輪が眩い蒼い光を力強く輝かせた。

 

「きゃっ!何かしらこれは……! 」

 

その光を見た俺は頭をガツンと叩き起されたように意識が目覚め、我に返ってフレシアから離れた。

 

「……はっ!あ……危なかった…… 」

 

あと一瞬、ほんの一瞬遅ければフレシアの背後にあるツタに捕まり、俺は本当にこの場所から一生出られない所だった。

それを六花達がくれた装飾品の力のおかげで九死に一生を得り、死に間際を2度体験した俺の心臓は飛び出る程に早かった。

 

「た……助かった…… 」

 

というか皆装飾品にこんな機能付けていたのかよ……まぁ、皆の性格上何かあるなと思っていたけどとにかく助かった。

 

だが助かったのはさっきの場面から助かった訳であって状況は全く持って変わってない。四方は化物や植物に囲まれて出口も遥か上にある穴だけ……あそこまで飛ぶ能力を人間である俺は持ってる訳も無い。

 

「貴方……本気で私を怒らせたわね。もう優しくなんて出来ないわよ……! 」

 

目の前まで来た獲物を逃げられてプライドが傷ついたのか、フレシアはさっきまで見せた母性の優しさを捨てて欲望に忠実な捕食者の顔つきになっていった。

 

他の奴らも本気で捕まえようと少女の顔を被った何かになったかのように真剣な顔つきだ。この人数差で本気でこられたら、ハイネだけではどうしようも無い。

 

「じゃあもう遠慮なく食い潰してあげるっ! 」

 

先行して来たのはアリジゴクであり、無数の手足をうごめかせながら日本の大きな角を左右に大きく動かしていた。

 

だがその時、上空からアリジゴクの行く手を阻むかのように氷柱が1本アリジゴクの目の前に突き刺さった。

「何っ!誰!? 」

 

「この氷……まさかっ! 」

 

「頭を伏せていて下さいっ!花衣さん! 」

 

上空を見上げると吹き抜けの穴から無数の氷柱が俺達を避けて少女達に襲いかかり、続いて謎の人影が剣の様な物を持ちながらその剣に炎を纏わせて攻撃態勢を整えていた。

 

「あれは……ハイネ!伏せろ! 」

 

咄嗟にハイネ達の元に駆け寄り、ハイネの頭を押さえて体を伏せると、人影は炎の大剣を円を書くように振り回し、彼女たちが使役している動植物には当たらなかったが、燃え盛る炎を極度に嫌っていた彼女達はその場から足を止めた。

 

燃え盛る炎の中、金色の髪を靡かせた少女とゆっくりと華麗に着地した白髪の淑女は見間違えようがなかった。

 

「来てくれたのか……! 」

 

燃え盛る炎は徐々に消え、炎の揺らめきの中でティアドロップとレイの姿が顕になった。

 

2人はそれぞれ持っている閃刀と氷の傘をフレシアに突き出し、殺気じみた怒りの眼差しを周囲のモンスター達に向けて静かに言葉を言い放った。

 

「「さぁ、害虫駆除を始めましょう 」」

 

ここまで(〜90話)出てきたレゾンカードの中で強いと思うのは?

  • 六花聖華ティアドロップ、カイリ
  • 閃刀騎-カイムと閃刀騎-ラグナロク
  • 銀河心眼の光子竜
  • RRRリノベイルイグニッションファルコン
  • 炎転生遺物-不知火の太刀
  • 常闇の颶風
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