六花テーマを作って愛用したらそのまま俺への愛が重くなった件について   作:白だし茶漬け

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タイトルで分かる対戦相手のデッキである。

まぁこのルールならこんなぶっ飛んだデッキも行けるやろ……と思っていますよね。というよりこの章は恐らくやばいデッキの方が多いですはい。


運の女神に愛された男

 

『さぁついに始まったピックアップデュエル予選!参加人数は62人!この人数で決勝に進めるのは16人!予選を勝ち上がり、決勝トーナメントに駒を進めるのは誰だ!?目が離せません!!』

 

興奮で鼻息混じりのMixさんが会場内にいる選手達に釘付けになっており、モニターには会場の周りに飛ばされているドローンを経由している映像が映し出され、ほぼ全員の顔が映し出されていた。

 

『さぁ、実況は私Mixと!解説の人は〜……残念ながら多忙な為少し遅れてくるそうですっ!!乞うご期待! 』

 

いや居ないのかよというツッコミを心の中でしたのは俺だけじゃ無いはずだ。しかし気になるな……順当に考えれば、この大会は先咲コーポレーションが主催をしているから、花音のお母さんである薫子さんが来るのだろうか?

 

「おっと、今は誰とデュエルするか決めないと…… 」

 

ここでデュエルする事に戸惑っては、ポイント差が大きくなり始めて上位の人に勝負を挑む事が出来なくなる。だから最初は是が非でもデュエルをしたい所だが……

 

初戦の相手に悩んでいた所、コインを指で弾いた様な音が徐々に近づいていき、左に顔を向けた。

 

顔を向けた先にはスーツ姿の男性がコインを何度も上に弾きながら今日にトランプカードを捌いていた。

 

「……よし、そこの君。俺とデュエルしよう。俺の運は君を選んだ 」

 

「運……? 」

 

「そう、この世は運の偶発で出来ている。そして俺は、そんな運の女神に愛されている男、そんな事からギャンブラー達は俺の事を【グリュック】と呼ばれている。よろしくな 」

 

グリュックって……確か【運】って意味だよな。それほどの豪運の持ち主なんだろうか。

 

デュエルを挑まれたが断る理由も無い。丁度初戦の相手を探していたし、良いタイミングだ。

 

「わかりました。受けましょう 」

 

「OK、君に運の全てを見せてあげよう! 」

 

『おおっと、ついに最初のデュエルが開始されそうだ!折角だからこのデュエルの視点を見ていきましょう!! さぁ皆、【Dバイザー】を付け、ソリッドビジョンのデュエルをこの目で刮目しようぜぇぇ!! 』

 

Mixさんのハイテンションの叫びに観客達は全員最高潮に盛り上がり、俺たちのが着けている【Dバイザー】と言うものを効き目に装着した。

 

『デュエルスタンバイ確認、デュエルフィールドを形成します 』

 

いきなり左腕に装着していたデュエルディスクから機械音声が出され、俺とグリュックのデュエルディスクからレーザー光線のような細い光線で俺たちの周りに正方形の空間が形成され、右目にかけられた【Dバイザー】の画面に対戦相手の名前と残りライフが表示された。

 

『さぁ2人とも!デュエルディスクからカードを5枚ドローして下さい! 』

 

「よし、やるぞ……って、デッキ取り出せないぞこれ!? 」

 

デュエルディスクに装着されているデッキが完全に機械にデュエルディスクに埋め込まれているからカードをドローしようにも指が届かずにドロー出来なくなっていた。

 

あれ?いきなり欠陥品引いてしまったかと焦ったが、デッキの挿入口のレールからいきなり青白く光っている5枚のカード目の前に表れ、青く輝いたカードは見なれたカードの裏側表示になった。

 

『さぁ!これがARとソリッドビジョンを融合させたデュエル!存分に楽しんでください! 』

 

なるほど、つまり……デッキも何もかもARを使ってデュエルするという事か。

確かに使ってきたデュエルディスクより使いやすいし、Dバイザーで随時相手ライフとフィールドの状況を確認出来るのは便利だ。いかにも近未来ぽくて何だか感動する。

 

「さぁ、コイントスだ。と言っても、これもARか……俺はこういう風に直で弾く感覚が好きなんだかね 」

 

不満そうにグリュックさんは右手でコインを上に弾き、器用に人差し指と中指の間に挟むとそのままコインは指と指の隙間を移動するようにコインを動かし、最後に手のひらを見せるとコインはいつの間にか消えてしまった。

「貴方……マジシャンとかですか? 」

 

「とんでもない、俺はギャンブラー。種も仕掛けも必要ない運のみで上り詰めた男さ 」

 

やけに自分の運に自信がある人だな……運が絡むこの大会では優勝候補かも知れない。注意しないと……

 

「それじゃあデジタルコイントスだ。まぁ、出るのは表だけどな 」

 

「え? 」

 

まだコイントスを行っていないのにも関わらず表が出ると宣言し、中央に表示された巨大なコインは回転しながら宙に上った。

 

そして最高度に達したコインは地面に落ち、出てきた面は……表だった。

 

「な、なんで分かったんだ? 」

 

「決まってるさ、運は俺に微笑んでいるのさ 」

 

イカサマ……じゃない、そもそもこのARだらけのデュエルにイカサマの余地は無い。という事は……本当に運だけで?

 

いやいや慌てるな俺、そもそもコイントスだなんて五分五分の確率だ。それくらい当たる事なんて珍しくも無い。だが、コイントスをする前のあの確信めいた表情を思い出すと……やはり気になってしまう。

 

「先に宣言した俺から先行でいいかな? 」

 

「もちろん、どうぞ 」

 

『さぁ先行も決まった事で……いざ!! 』

 

「「デュエル!! 」」

 

 

桜雪花衣 LP4000 vsグリュックLP4000

 

「俺のターン!……やはり運は俺に味方している。俺は魔法カード【カップ・オブ・エース】を発動!コイントスを行い、表なら俺が2枚ドローし、裏ならそっちが2枚ドローする 」

 

「いきなりそんなギャンブルカードを……! 」

 

「別に問題無いだろ?じゃあ……行くぜ 」

 

フィールドに出現したホログラムの【カップ・オブ・エース】に描かれている金色のカップの中からコインが飛び出すと、コインはまたもや回転しながら宙を上り、地面に落下した。そして、コインの面は……表。その瞬間金のカップから大量のコインがばらまかれると、グリュックはカードを2枚ドローした。

 

「幸先が良いな 」

 

「いきなり2ドロー…… 」

 

「まだまだだ。更に俺はモンスターをセットし、カードを2枚伏せてターンエンドだ 」

 

1ターン目終了

 

グリュック: 残りライフ 4000 残り手札3枚

□□□①②

□□□□③

 

□ □

 

□□□□□

□□□□□

 

桜雪花衣:残りライフ 4000 残り手札5枚

 

①,②伏せカード

③裏側モンスター

 

随分とシンプルに終わったな……しかも裏側表示にモンスターをセットしたということは……恐らくリバースモンスターだろう。一体どんなカードなのか検討もつかないが、とにかくここは強気に行くしかない。

 

「俺のターン! 」

 

ホログラムのカードを触れていつも通りのドローをすると、俺の目の前に6枚のカードが映し出された。やはりごちゃまぜなデッキだから初期手札の事故率が相当高い。

 

だけど、やれない事は無い。とにかく全力で行く!

 

「俺は手札から【E HEROスパークマン】を召喚! 」

 

E HEROスパークマン

レベル4/戦士族/光属性/ATK1600/DEF1400

 

「バトルだ!俺はスパークマンで、裏側モンスターに攻撃! 」

 

スパークマンが右手から青い稲妻をセットモンスターに浴びせると、セットしたカードが裏返って表側となり、セットされたモンスターが明らかとなった。そのモンスターの名は【ダイスポット】だった。

 

ダイスポットは不気味な笑顔と共にスパークマンの雷に撃たれると不気味な顔はポットの中に隠れてしまう。

 

「【ダイスポット】のリバース効果発動!お互いにサイコロを投げ、相手より小さい目が出たプレイヤーは、相手の出た目によって以下のダメージを受ける!! 」

 

「えぇ!?俺も振るのか!? 」

 

ダイスポットの笑い声と共にホログラムの青と赤のダイスが出現した。

 

「赤が俺、青が君だ。そして、【ダイスポット】にはもう1つ効果がある。出た目が6の場合……相手に6000のダメージを受ける! 」

 

「ろ……6000!? 」

 

それって今のライフを消し飛ばすダメージだぞ。今俺の手札はおろかフィールドにその効果ダメージの発動を無効をにするカードはない。いきなりこの6分の1で勝負が決まるのか……!?

 

「さぁ行くぞ!ダイスロール! 」

 

赤と青のダイスがフィールドに転がり出し、6以外出るなと祈りながら固唾を飲んで2つのダイスに吸い込まれるかのように凝視した。

 

やがてダイスはその回転の力を失い、青のサイコロは5、そして赤のサイコロは……6と出た。

 

「嘘だろっ!? 」

 

「さぁ、【ダイスポット】の効果で君に6000ダメージだ!これで終わりだ!! 」

 

ダイスポットの壺から紫色のビームが真っ直ぐにこちらに向かっていき、何か方法は無いかと手札をもう一度確認する。

 

「これだっ!!俺は【ハネワタ】を手札から墓地に捨てる事で効果発動!このターン俺が受ける戦闘ダメージは0になる! 」

 

ビームが俺に直撃する直前、目の前にハネワタが現れてビームをその小さな体で受け止め、その直後に爆発を起こした。爆煙がこっちに飛んできたが、ソリッドビジョンなのでこっちの身体には影響は無かった。

 

……が、まるで本物と変わらないような見た目で思わずゾッとした。ARと分かっていても身体が思わず防御の姿勢になってしまう。

 

「へぇ、君も中々持ってるね。というより土壇場での引きの強さ、やはり侮れない 」

 

「俺の事知ってるんですか? 」

 

「ギャンブラーっていうのは相手を観察するものさ、相手の癖、動向、駆け引きのパターン……全てを熟知するのさ。君の事は、【ロマンス・タッグデュエル】で確認出来たから調べるのは容易だったよ 」

 

そういえば全国中継で生放送してたからそういう所も見られていたのか……!

 

「さて、この後どうするだい? 」

 

「え?あぁ、まだ俺のターンか 」

 

ダイスポットのリバース効果は俺の攻撃によって効果が発動したから、まだ俺のバトルフェイズのままだ。

と言っても、俺のフィールドにはもう攻撃出来るモンスターがいないからこれ以上攻撃は出来ない。

 

「俺はカードを1枚伏せてターンエンド 」

 

 

 

1ターン目 後攻 終了

 

グリュック: 残りライフ 4000 残り手札3枚

□□□①②

□□□□□

 

□ □

 

□③□□□

□□□□④

 

桜雪花衣:残りライフ 4000 残り手札3枚

 

①、②伏せカード

③ EHERO スパークマン

④伏せカード

 

 

 

「俺のターン、ドロー。俺は【サイコロプス】を召喚 」

 

サイコロプス

レベル4/機械族/ATK1800/DEF200

 

「【サイコロプス】の効果発動。ダイスを振り、出た目の数によって効果が変わる。先にダイスを振っておこうか 」

 

「というかまたそんなギャンブルカード!?どんだけ拾ってるんだこの人…… 」

 

「俺のデッキはこんな感じのばかりだぞ?俺は自分の運に全てを賭けるのが好きでね。さぁ行くぞ!ダイスロール! 」

 

ダイスと共にサイコロプスの顔面のルーレット回り出した。恐らくサイコロの出た目があの顔に表示されるだろう。

 

「予言しよう。サイコロの出る目は1だ! 」

 

『おおっとグリュック選手まさかの出た目の宣言をしたぞ!? 』

 

「俺が言った目は必ず出る!何故なら俺は……運の女神に愛された男だからだ! 」

 

そう高らかに言うと同時にダイスとルーレットの動きが止まると、ダイスの出た目は1。グリュックの宣言通りの数になった。

 

「嘘だろ…… 」

 

ここまで来てあっちに有利な効果しか発動しておらず、しかも大半がサイコロとかいうコイントスよりも確率が低いものばかりであり、しかもピンポイントな目を指定している物だけだ。

 

行ってしまえば同じ数のサイコロの目を出し続けるような物だぞ……そんな不安定な確率に自分の全てを簡単に預けられるあの人は、正しくギャンブラー……いや、天性のギャンブラーと言わざるおえない。

 

「【サイコロプス】の効果発動。出た目が1の時は、相手の手札を確認して相手の手札を1枚捨てる。さぁ、君の手札はどんなものかな? 」

 

サイコロプスの顔が1と表示されると同時に顔面からビームが飛び出し、それが俺の手札に当たると手札は俺の意思に関係なく裏表が逆になり、俺の手札が暴露された。

 

「ふむ、【ジャンク・サーバント】【EHERO クレイマン】そして【O-オーバーソウル】か。よし、俺は【O-オーバーソウル】を選択だ 」

 

オーバーソウルは墓地の通常HEROモンスターを特殊召喚するカードだったから残して置いたが……こればかりは仕方ない。手札のオーバーソウルが消滅し、手札に関してもかなりの不利を背負ってしまい、俺は彼の運の前に翻弄されるだけだった。

 

「ダメ押しだ。更に俺は【二重召喚】を発動。俺はこのターン、もう一度モンスターを召喚できる。そして、俺が召喚するのは【キューブン】だ 」

 

キューブン

レベル4/光属性/ATK600/DEF1900

 

「キューブンの効果発動。ダイスを振り、出た目のかずと同じレベルのモンスターは、このターンお互いに出す事は出来ない 」

 

サイコロがまた出ると思ったら今度はキューブンがサイコロのような形になり、サイコロになったキューブンはフィールドを転がりまくった。

 

「そうだなー確か君の手札にあるモンスターはどちらもレベル4だったな。よし、このダイスは4が出る! 」

 

『おおっとまた宣言したぞ!?さぁ、ここまで連続で思い通りの目が出てるが、今度もそうなるのか!? 』

 

こっちとしては宣言した4の目は出て欲しく無い……!

俺の手札にあるジャンク・サーバントとクレイマンのレベルはどちらもレベル4だ。

 

もし4が出たら次のターンレベル3以下のモンスターしか召喚出来ない為、俺のフィールドはがら空きになり、スパークマンがこのターン破壊されると次のターンダイレクトアタックされてしまう。ライフ4000でのダイレクトアタックはかなりの致命傷だからそれだけは何としても裂けたい!

 

最悪な状況を思い浮かべていると【キューブン】が動きを止め、目を回しながら倒れてしまったが、腹の面にあった数字が表示された。

 

その数字は……4だった。

 

『な、何という豪運!!2回連続宣言通りの数字を当てたぞ!?これにより花衣選手の手札にあるモンスターは召喚ができません!! 』

 

「マジか……! 」

 

落胆している俺とは対照的に観客達は余りの豪運に感動しているのか、歓声を上げており、グリュックはその歓声をまるでシャワーを浴びるかのように手を平げてその声を聞いていた。

 

「どうだ!俺の運は機械さえも止められないのさ!バトル!俺は【サイコロプス】で【スパークマン】を攻撃! 」

 

「させるか!罠発動【攻撃の無力化】!相手の攻撃を1度だけ無効にし、バトルフェイズを終了させる!」

 

スパークマンの目の前にブラックホールのような空間が表れるとその穴がビームを歪み、サイコロプスのビームを全て受け止めてくれた事によりスパークマンは無傷ですんだ。

 

「やるな、俺はこれでターンエンドだ 」

 

2ターン目 先行 終了

 

グリュック: 残りライフ 4000 残り手札1枚

□□□①②

□③④□□

 

□ □

 

□⑤□□□

□□□□□

 

桜雪花衣:残りライフ 4000 残り手札2枚

 

①、②伏せカード

③サイコロプス

④キューブン

⑤ EHERO スパークマン

 

 

 

何とか攻撃出来るモンスターは残しておいたが、【キューブン】が存在している限り、俺はレベル4モンスターを召喚する事が出来ず、手札にいる【クレイマン】と【ジャンク・サーバント】を召喚する事が出来ない。

 

【スパークマン】で【キューブン】を破壊する事が出来れば召喚する事が出来るが、グリュックの場にはまだ使っていない伏せカードが2枚ある。あれがかなり気になるが、とにかくカードをドローするしかない。

 

「俺のターン、ドロー! 」

 

引いたカードはレベル3の【カードガンナー】だ。これなら召喚できるし、効果を使えば攻撃力が1900になるから、問題なく【サイコロプス】を破壊できる筈だ。しかもレベル3だから、問題なく【キューブン】の効果を受けない。

 

「よし、俺は【カードガンナー】を召喚! 」

 

カードガンナー

レベル3/戦士族/ATK400/DEF400

 

「カードガンナーの効果発動。デッキの上からカードを3枚まで墓地に送り、墓地に送った枚数×500ポイント攻撃力がアップする。俺はデッキから3枚墓地に送り、カードガンナーの攻撃力を1500アップさせる 」

 

カードガンナー ATK400→1900

 

「これで【サイコロプス】の攻撃力を上回った!俺は【カードガンナー】で【サイコロプス】にこうげ…… 」

 

「ここで俺は2枚の罠発動!【ラッキーパンチ】と【モンスターBOX】!! 」

「ここに来て2枚の永続罠? 」

 

 

『な、なんと!しかも片方の【ラッキーパンチ】というカードは下手すれば自分に6000のダメージを食らってしまうかなりリスキーなカードです!グリュック選手、それ程まで自分の運に自信があるのか!?いや、ここまで見せたからには相当な運の持ち主!果たしてどうなってしまうのか目が離せません! 』

 

「まず俺はモンスターBOXの効果を発動だ。相手が攻撃宣言をした時、コイントスを行う前に、俺は表裏を決める。そしてコインが俺が決めた面ならなら……君のモンスターの攻撃力は0になる 」

 

「という事は……コインを当てると俺は戦闘ダメージを受けるということか 」

 

「その通りさ。俺は表を宣言する 」

 

またフィールド上にコインが上空に弾き出され、今度こそ外れてくれと願うばかりだが……

 

「残念、次も俺の運によって表がでる 」

グリュックの宣言通り、コインの面は表が出てしまいモンスターBOXの効果が発動した。モンスターBOXの効果が発動したからかいきなりモンスターBOXの複数ある穴の中からマジックハンドが出現するとその大きな手でカードガンナーの進軍を阻止してしまい、同時にその攻撃力を0にさせた。

 

カードガンナー ATK1900→0

 

「これで【サイコロプス】の攻撃力の方が上だ。seeyou again! 」

 

サイコロプスの目から放たれるビームがカードガンナーに襲いかかり、カードガンナーは無惨にも爆発して俺はダメージを受けてしまった。

 

桜雪花衣 残りライフ 4000→2200

 

「くそ……かなり痛いな……だが、【カードガンナー】が破壊された事により、俺はカードを1枚ドローする 」

 

「まだまださ、次に【ラッキーパンチ】の効果発動だ。相手の攻撃宣言時、コイントスを3回行い、3回連続で表が出ると俺はカードを3枚ドローする。ただし3回とも裏だったら……このカードは破壊されて俺は6000のダメージを受ける 」

 

つまり、2回とも表や裏だったらドローも破壊もできないという事になる。というかここまでコイントス全部表を出しており、ここまで表が出るなんて約10パーセント未満だぞ……。だが、彼の運の前にはそんな確率論だなんて無いのも当然なのだろう。

 

と言うより……あの2枚のカードは確か前のターンに伏せていたカードだよな?

 

前のターン、俺は【スパークマン】で【ダイスポット】を攻撃する時に【ラッキーパンチ】を発動しておけば、グリュックの豪運なら前のターンでも3枚ドロー出来た筈だ。

 

「どうして前のターンに【ラッキーパンチ】を発動しなかったんですか 」

 

俺は気になって彼にそう聞くと、彼は笑って答えてくれた。

 

「賭けというのは駆け引きさ、まるで恋の駆け引きかのような押し引きが目には見えないけど確かにあり、ギャンブラーはその一瞬のチャンスを運に託す……そう、駆け引きを見事制して女神を落とすか……それが俺のやり方だ。前のターンでは女神は俺にそっぽを向いてたからな 」

 

要は前のターンは仕掛けるタイミングでは無かったということだろうか?彼の運なら仕掛けるタイミングなんてあっても無いような気がするだが……

 

もしかしてイカサマをしている?いや、それは有り得ない。何故なら今のコイントスやダイスロールは全てARであり、いわばプログラムで確率が決められている。

予めプログラムに細工をしない限りはイカサマは出来ないし、彼にはこのデュエルディスクを作っているであろう先咲コーポレーションとレゾンとの関連性は恐らくない。

 

本当にこの人は、機械さえ運で支配しているのだ。そう考えると恐ろしくもあり、皆は羨ましくも思うだろう。俺は……そうだな、不思議とそんな気はしない。だって、俺は自分で運がいいって思っているのだから。

 

「そうですか……俺はこれでターンエンド 」

 

2ターン目 後攻 終了

 

グリュック: 残りライフ 4000 残り手札4枚

□□□①②

□③④□□

 

□ □

 

□⑤□□□

□□□□□

 

桜雪花衣:残りライフ 4000 残り手札2枚

 

①ラッキーパンチ

②モンスターBOX

③サイコロプス

④キューブン

⑤ EHERO スパークマン

 

 

 

「そして、そんな俺は今……君に惚れてるのさ! 」

 

「は、はぁ!? 」

 

「な……何ですって!? 」

 

俺よりも近くにいたティアドロップが驚いており、目を血走らされたように鋭くなっていた。

 

「あ、貴方何を言ってるんですか!花衣様にほ……ほ、ほ、惚れるですって!?ふざけないでください!花衣様は私の伴侶です! 」

 

『おおっとこれはデュエルよりも中々面白い展開だぞー!! 』

 

「あの人余計な事言って……! 」

 

そんな余計な一言で観客席の奴らは皆こぞって騒ぎ出しており、人の気も知らないでと心の中で叫びながら拳を握った。もしこれが焔なら一発殴ってる所だ。

 

「おや、あの人は君の彼女さんかい?いやでも伴侶って言ってたし……ん?君確か【ロマンス・タッグデュエル】では別の女性と組んでなかったか? 」

 

「それに関しては並々ならぬ事情がありまして…… 」

 

「……君、意外と優柔不断ぽいな 」

 

「うぐっ…… 」

 

痛い所刺された……流石ギャンブラー、俺の顔色で大体の所を察するのは流石だ。

 

「すまないね、俺が君に惚れてると言ったが、正確には君の土壇場の運なのさ 」

 

「土壇場の……運? 」

 

「そう、そんな君と勝負したかったのさ。あの決勝戦でのデュエル……俺は誰よりも君のあの引きに惹かれたんだ 」

 

決勝戦っていうと……彼方さんとカレンさんとのデュエルの時か?

 

「あの時のデュエル……君は誰よりも俺と同じ目をしていた!最後の時、この1枚で全てが決まるあの一瞬!誰よりも目を輝かせ、そして引き寄せた!あれを見た時は俺の魂が震え、君に興味を持った! 」

 

「そ、そうですか…… 」

 

「そ、だからそこのお嬢さん、花衣君の事は取らないから安心したまえ 」

 

「なら問題ないです 」

 

「いや良いのかよ! 」

 

「だから今日はそれを期待しているよ。俺のターン、ドロー、 この瞬間【モンスターBOX】の維持コストとして、500ポイントライフを削る 」

 

グリュック 残りライフ4000→3500

 

「更に俺は【サイコロプス】の効果発動! 」

 

またもサイコロプスの目がルーレットのように回転し、グリュックは人差し指を空に突き出した。

 

「もちろん、俺の運によって出る目は…… 」

 

グリュックが言い終わる前にサイコロプスの目は1で止まった。

 

「くっそ……! 」

 

「さぁ、君の新しい手札は何かな? 」

 

また俺の手札が確認されてしまい、【カードガンナー】の効果でドローしたカードである【速攻のかかし】がバレてしまった。

 

「へぇ、やっぱり中々の引きの良さだ。じゃあすまないが、そのかかしを墓地に遅らせてもらう 」

 

「くそっ…… 」

 

【速攻のかかし】は、相手がダイレクトアタックにした時に手札から発動し、攻撃を無効にしてバトルフェイズを終了させるものだ。このターン、グリュックがモンスターを召喚してスパークマンは破壊されてダイレクトされたら使おうと思ったが……やはり彼の運の前ではそれは無理があったか……!

「まだまだ俺のレイズは続くよ!俺は手札から【一撃必殺居合いドロー】を発動!手札を1枚捨て、君のフィールドにあるカードだけデッキの上から1枚捨てる。君の場には1枚だから1枚捨てる。そして……」

 

「ドローしたカードが同じ【一撃必殺居合いドロー】なら、フィールド上の全てをカードを破壊して、最初に墓地に送った枚数分2000ダメージを与える…… 」

 

「知ってたのかい?流石決闘者って事かな。じゃあ早速ドローさせて貰うよ 」

 

『しかし!【一撃必殺居合いドロー】はダメージを与えるには最低2枚は必要です!しかもグリュック選手のデッキはまだまだ数があります。もし2枚目をあったとしてもデッキの山からピンポイントに引くことは可能なのか!? 』

 

「可能さ。さぁ運の女神!俺に惚れろ! 」

 

グリュックがデッキからカードをドローし、グリュックはやはり来たと言っているかのような笑みをこぼし、ドローカードを公開した。ホログラム上で公開されたカードは……【一撃必殺居合いドロー】だった。

 

『な、な、なんとぉぉぉぉ!!この男!運の女神に愛されているというのかぁぁぁぁ!? 』

 

「さぁ、全て場のカードは破壊され、君は2000のダメージを受けてもらう! 」

 

グリュックの周りから無数の斬撃が飛び出し、フィールドのモンスターやカードを全て破壊し、更に留まることを知らずに斬撃は俺に襲いかかった。

 

桜雪花衣 残りライフ2200→200

 

「やば……! 」

 

ライフはたった200でフィールドはがら空き……しかもグリュックの手札は3枚ある。ここでモンスターを出されたら俺はダイレクトアタックを受けて負ける……!

あの3枚の手札に攻撃力が200未満のモンスターしか無いことを祈るばかりだ。だがそんな時、俺の胸ポケットにいるひとひらが何かを伝えようとぺしぺしと俺の体を叩いていた。

 

「ひとひら?どうした? 」

 

ひとひらはデュエルディスクの方に飛ぶとデュエルディスクをまた強く叩き、これを見てと言っているようだった。しかしデュエルディスクを触っても何も変化は無く、ただ映し出されたのはフィールドと手札と墓地のカードの状態だった。

 

「……墓地に何かあるのか?ひとひら 」

 

この場で使用出来るカードがあるとすれば墓地以外無く、恐る恐る尋ねるとひとひらは首を大きく頷き、どうやら正解らしい。墓地のカードリストで今使えるカードを見ると……1枚、この瞬間だからこそ使えたカードがあった。

 

だがもしここでこのカードを使ってもその後の行動によって勝敗が左右し、どっちみち俺は次のターンほとんど動けない。ここはもう信じるしか道はない……!

 

「効果ダメージを受けたことにより、墓地の【青い涙の天使】を発動!効果ダメージを受けた時に墓地のこのカードを除外し、デッキから通常罠を1枚セットする! 」

 

目の前に俺がデッキに入れている全ての通常罠が目の前に表れ、俺は慎重にセットするカードを選んだ。

 

「俺は、このカードをセットする!」

 

「そんなカードいつから…… 」

 

「俺が【カードガンナー】の効果で捨てた3枚の中に、このカードが入っていたんです 」

 

「なるほど、だったらそのカードがいわば君の切り札……いや、自分の息の根を止めかねないジョーカーということか。いいねぇ……凄く良いよ 」

 

そう、俺が伏せたカードは言わばジョーカー……このカードが活きるか死ぬかは、この後にかかっている。

 

「だったら相応しく状況を彩ろう!俺は【ヨーウィー】を召喚! 」

 

ヨーウィー

レベル3/爬虫類族/ATK500/DEF/500

 

「攻撃力500…… 」

 

「それだけじゃない。このカードが召喚されたことにより、君は次のターンドロー出来ない 」

 

「なっ……! 」

 

「そして俺は永続魔法【デンジャラスマシン TYPE-6】を発動。こいつもサイコロの目によって効果が変わるカードでね、早速使わせて貰う。ルーレットスタート! 」

 

デンジャラスマシンとやらにある6つの画面が一斉に動き出し、1から6の数字を目まぐるしくランダムに表示していた。誰もがそれに注目する中、デンジャラスマシンのルーレットが止まり、止まって出た数字は2だった。

 

「出た目が2なら、相手は手札を1枚捨てる。さぁ、手札を捨ててくれ 」

 

これで最後の手札は失われ、ドローフェイズさえも失った俺は次のターンもうどうする事出来なかった。

 

「さて、最後の仕上げだ。俺は手札から魔法カード【アフター・グロー】を発動。デッキ、墓地、手札から同名カードを除外して、除外したカードから【アフター・グロー】をデッキに戻す、まぁ俺は【アフター・グロー】を1枚しか無いから、これをデッキに戻すけどね 」

 

グリュックは発動した【アフター・グロー】をデッキに戻し、デッキはシャッフルされた。

 

「ここからだ、もし俺が次のドローで【アフター・グロー】を引けば……君は4000のダメージを与える 」

 

これはまた……かなり確率の低いバーンカードだ。だけどさっきの【一撃必殺居合いドロー】の件を考えると、この人なら引きかねない。行けるのかと周りがざわめき始めたが、彼はそんなざわめきが聞こえないように俺の事をじっと見つめ、俺もその目に対して見つめ返した。

 

「やっぱりいい目をしている。最後まで諦めないその輝く目、それでいて最後まで食らいつく貪欲さを兼ね備えた目……君、ギャンブラーの素質あるよ 」

 

「すみませんがギャンブラーになるつもりはありません 」

 

「つれないね……まぁ良いさ、俺は君と純粋な勝負をすれば今日はそれで良いからね。俺はこれでターンエンド 」

 

「攻撃しないんですか?この伏せたカードは罠で確定しているんですから、このターンじゃ発動しませんよ? 」

 

「君が【カードガンナー】で僕に送ったカードを今確認したが、その内に【ネクロガードナー】があった。そのカードは確か、墓地から除外する事で攻撃を1度無効にするんだっけ?だったらここはお大人しく下がって、【アフター・グロー】に賭けるさ 」

 

「引けると思ってるんですか 」

 

「あぁ、思うどころか確実に引けるさ 」

 

周りから見れば、この人は狂っていると言う人もいるだろう。事実、彼の目は純粋なようで狂っている目をしていた。まるで、運に取り憑かれているかのように……ギラつき、貪欲で、底が知れない目だった。

 

「さぁ、君のターンだ。と言っても何も出来ないだろうけど 」

 

俺のターンが回ったが、確かに俺はこのターン何も出来ない。このターン出来ることと言えば、ターンを終えることだけだ。

 

「……ターンエンド 」

 

「俺のターンだね。さぁ、運命の引きだ。これがもし【アフター・グロー】なら、君のライフは0だ。外したとしても俺にはダメージは無いし、そもそもモンスターなら君は総攻撃によって負ける 」

 

そう、全てはこのドローで決まる。俺が負けるか、俺が勝つか。全てあの運の女神を味方につけいているあの人に掛かっていた。この場にいる全員が固唾を飲み、息をすることさえも忘れて彼のドローを見届けていた。

 

「そう、これだ……この瞬間さ!皆が俺に注目し、この1枚で全て変わるこの空気!!気分が良い!だがそれよりも、この絶望的な状況の中で君の目は死んでいない!むしろ誰よりも生き生きしている!!そうさ!その目だ!俺はその目をしている君とこんな勝負がしたかったのさっ!!!! 」

 

グリュックこの緊迫した空気の中で気分が高揚し、そんな目をしている俺を見て体を震えさせていた。

 

というか俺そんな目をしているのか……鏡とかあれば見てみたい様な気がするけど……

 

「ひとひら、俺そんな目してるのか? 」

 

ひとひらに尋ねるとひとひらは腕を組みながら目を皿のようにさせ、悩むようにして首を傾げていた。悩みに悩み、眉間にシワを寄せてまで考え抜いた結果、ひとひらはこくりと頷いた。

 

「まじ?じゃあ俺は……あぁ、言っちゃ悪いけどあんな風な悪い……というか、少しハイテンションな顔いつもしてるの? 」

 

しかしひとひらはそれは違うと首を横に振った。

 

「えぇ……分かんないな…… 」

 

ひとひらはこれ以上伝えられないと言うように諦めて両手を上げた後、集中してと伝えるようにしてグリュックに指を指した。

 

「そうだよな……よし、あの引きで、勝負が決まるっ! 」

 

「覚悟は出来たようだね!行くぞ!俺のターンっ!ドロォォォ! 」

 

カードがホログラムでありながらも力強いドローを見せたグリュックは息を荒らげ、肩を激しく動かすとゆっくりドローしたカードを確認した。

 

あれほど白熱していた会場はまるで全員が凍りついたかのようにその場で動かず静まり返り、ドローカードの結果を待ち遠しくしていた。

 

「……ふっ 」

 

グリュックが小さな笑みを見せた後、ホログラムのカードが裏返って公開されると……公開されたカードはやはり【アフター・グロー】だった。

 

『な……な……なんと言うとだぁぁぁぁぁぁぁ!!【一撃必殺居合いドロー】に続き、【アフター・グロー】まで引いたァァァァ!!やはりこの男は、運の女神に愛されているというのかぁぁぁ!!? 』

 

Mixさんの激しい実況に会場も再度白熱し、周りの選手もその結果に驚いて騒然としていた。

 

「さぁ……終わりだ!花衣君!Showdownだ! 」

 

グリュックは空に指を指すと、空から一筋の星のような軌跡がこちらに向かってきていた。あれが直撃すれば俺のライフは消し飛び、俺はデュエルに負けるということだろう。

 

俺は確信して笑った。

 

その笑みを見たグリュックは初めて動揺した表情を浮かべると、俺は前のターンにセットしたカードをオープンした。

 

「罠発動!【リフレクト・ネイチャー】!このターン、俺が与えるダメージは、全て貴方に跳ね返る!! 」

 

「何っ!? 」

 

伏せカードも手札も無い相手はこれを防ぐ手は残っていない。目の前に石版のようなものが地面から生えてくると、石版が空から落ちてくる光を受け止めた。

 

受け止めた石版は光の衝撃で崩れ去ると同時に光はグリュックの方向に飛んでいき、グリュックは閃光の速さに反応出来ず、そのまま体を貫かれた。

 

「……はは、君……凄いな 」

 

満足したようにグリュックはそのまま尻餅をついて座り込み、負けを認めるように笑みを浮かべていた。

 

グリュック 残りライフ3500→0

 

WINNER 桜雪花衣

 

デュエル終了のブザー共に、ARで俺の顔と勝利画面が表示され、会場の皆はあまりの結果に呆然としたが、最後には大逆転劇を見て興奮し、喝采を上げた。

 

『な、なんとぉぉぉぉ!?勝利したのは相手の豪運を逆手に取った花衣選手だぁぁぁ!これにより、この【ピックアップデュエル】最初の勝者は花衣選手!暫定1位です! 』

 

あぁ、そうか。最初のデュエルだからここの勝者が暫定1位になるんだっけ。まぁ、1ポイントだけだし、まだまだこれからだ。デュエルはまだ始まったばかりだから、気を引き締めなければはらない。

 

と言っても、初見から結構ハラハラドキドキというか、本当にカジノのギャンブルをしているかのような感じだからもう神経が疲れた……。

 

「……はは、君……まさか俺の運を逆手に取るとはね。というか、あのカードは引いたカードじゃなくて君自身が選んだカードだろ?あの時俺がモンスターカードだったら君は負けてたんだぞ?何で【リフレクト・ネイチャー】を選んだんだい? 」

 

グリュックさんがこちらに近づき、興味津々に俺の行動を訪ねてきた。

 

「あれは……なんというか、貴方なら多分ああいうカードを引いて、効果を発動するだろうって思ってたから…… 」

 

「は? 」

 

「だからその……貴方の運を信頼したというか信用したというか…… 」

 

「……ぷっ、ははははは!! 」

 

するとグリュックさんは腹を抱えて笑い、あまりの笑いで目頭に涙を浮かべていた。

 

「な……俺そんな変な事言いましたか!? 」

 

「いやいや、という事は君、初対面で見ず知らずの人の運に自分の全てを賭けたんだぞ?流石の俺でもそれはしないさ!はっはっは!! 」

 

「いやまぁそれはそうですけど!あんな風に自分に有利な効果が発動すればそうなるでしょ!?な、ティアドロップ!? 」

 

「花衣様なら信用しますが他の方は信じられませんね 」

 

「えぇ…… 」

 

「という訳だ。君、中々イカれてるね、良い意味で 」

 

「なんか褒めてるような気がしない……! 」

 

「まぁとにかく勝ちは勝ちだ。君はそれを誇っても良い。……良い勝負も出来た事だしね 」

 

するとグリュックさんは俺に1枚のカードを渡した。渡したカードはただのトランプカードであり、何か細工をしている訳でも無い普通のカードだった。裏返してみると、そこには黒いローブを身にまとい、大きな釜に乗っていたジョーカーの絵柄があった。

 

「君に似合うカードさ、様々な顔がある君にね 」

 

「はぁ……? 」

 

「君のそのいつもの顔、そしてデュエル中の顔……まるで別人のようだ。ジョーカーというのは二面性を持っている。ババ抜きでは最悪だけどポーカーなら切り札だ。君には何故かそんな風なものが感じられるよ 」

 

「……二面性ですか 」

 

「そこが君の魅力かもしれないね。じゃあ俺はこれで失礼するよ。次にやる時はそうだな……ポーカーでもやろう 」

 

そうしてグリュックさんは次の決闘者を探し、ここから離れていった。そして、俺はグリュックさんの言葉を思い出しながら渡されたジョーカーのカードを見つめた。

 

二面性と別人のようだった……その言葉が妙に引っかかっていた。俺自身それには心当たりはあるし、事実今でもそうかもしれない。今の俺と……影に呑み込まれた俺……一体、どっちが本当の俺なんだろうか。

 

この時初めて、心の隅に隠していた疑問が顕になった。

 

「花衣様……?大丈夫ですか? 」

 

「あぁティアドロップか。何でも無いよ 」

 

「なら良いのですが…… 」

 

「大丈夫だって、んでどうするんだ?俺とデュエルするか? 」

 

丁度次の対戦相手も決めときたかったし、俺はティアドロップにデュエルをしようかと声をかけた。

まだポイント差は1ポイントだけだし、問題は無い筈だ。

 

「いえ、遠慮します。花衣様とは然るべき場所で手合わせたいので 」

 

しかしティアドロップはそれを断り、後ろに振り返った。

 

「ここでは早すぎます。それに、まだ花衣様はご自身のデッキを把握していないでしょう?ひとひらに助けられたのが良い証拠です 」

 

「うぐっ、何も言えねぇ…… 」

 

確かに、ひとひらが【青い涙の天使】が墓地にある事を教えてくれなければ確実負けてなぁ……というか、ちょくちょくひとひらにはデュエルでも危ない場面でも助けて貰ってるから頭が上がらない。

 

ひとひらもこくりと大きく頷いており、情けないと言われてるようだった。

 

「ですので、私は失礼します。決勝トーナメントでお会いしましょう 」

 

ティアドロップは対戦相手を探しに歩いていった。

 

俺も早く次の対戦相手を探しに走り、ティアドロップとはここで別れた。

 

幸先良くピックアップデュエルの予選が進み、残り時間は55分となっていた。

 

 




新キャラ紹介

グリュック (??)
現役ギャンブラーであり、彼に運で右に出る物はいないとされており、別名【運の女神に愛された男】と言われている。賭け事においては負け知らずとされており、その実年齢や本名等の詳細は不明。(尚、声の感じからして20代後半と予想されている)

デュエルには興味を持たなかったが、【ロマンス・タッグデュエル】で花衣のデュエルの様子みて花衣に興味を持ち、ギャンブルで儲けた資金を使ってこの大会の出場チケットを入手し、花衣にデュエルを挑んだ。

彼が今回使用したデッキは俗に言うギャンブルデッキであり、ほとんどのデッキがコイントスやダイスロールに関連するものばかり。

その圧倒的な豪運を武器に花衣に挑み、花衣を運で苦しめた。

ここまで(〜90話)出てきたレゾンカードの中で強いと思うのは?

  • 六花聖華ティアドロップ、カイリ
  • 閃刀騎-カイムと閃刀騎-ラグナロク
  • 銀河心眼の光子竜
  • RRRリノベイルイグニッションファルコン
  • 炎転生遺物-不知火の太刀
  • 常闇の颶風
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