六花テーマを作って愛用したらそのまま俺への愛が重くなった件について   作:白だし茶漬け

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さぁ始まりました決勝トーナメント編。
ここからライフが8000となるかつ16名トーナメントなのでなんということでしょうかなりの話数になります。

ほぼ連続のデュエル描写……頑張るぞ!


進めや進め!勇者と玩具の行進曲

 

『さぁ!ピックアップデュエル決勝トーナメント!勝ち残った16名の発表が終わり、続いてはトーナメント発表だぁ! 』

 

予選も終わり、決勝が始まる時間が進む度に会場には完成の熱気が立ち上る。

 

決勝進出者はさっき言った通り16名であり、彼方さん、カレンさん、見下、ティアドロップ、スノードロップ、ヘレボラス、カンザシ、エリカ、ボタン、ストレナエ、プリム、シクラン、花音、そして俺だ。

 

16名という事は4回勝てば優勝になり、ここにいる全員とは戦えない、だけど皆ここまで来た強者だ、誰が相手でも油断はならない。

 

『では、決勝トーナメントは……これだ!! 』

 

会場に至る所にある大型モニターに決勝トーナメント表が映し出され、Aブロック,Bブロックと別れ、それぞ8名ずつ別れた。

 

『ではまずAブロックから!Aブロック第1試合の対戦は【桜雪花衣】選手VS【ストレナエ】選手! 』

 

「いきなり俺か……しかもストレナエとやるのか…… 」

 

『続いて第2試合【カンザシ】選手VS【ヘレボラス】選手! 』

 

2試合目がカンザシとヘレボラス……ということは、この試合に勝った奴が、俺かストレナエと戦うことになるわけか。

 

『第3試合、【ロゼ・ジーク】選手VS【プリム】選手! 』

 

これは珍しい組み合わせだな、クールなロゼに笑顔のプリム。ちょっと面白い展開が機体出来そうだ。

 

『そしてAブロック最後の第4試合は【星空彼方】選手VS【見下成金】選手!以上がAブロックの選手達です! 』

 

最後も意外は組み合わせだ。しかも彼方さんと見下というこれはまた接点が薄く、展開が読めない。

ちょうど近くに彼方さんがいたので話しかけようとした時、タイミングが悪く彼方さんは何処かに言ってしまうようにその場から離れてしまった。

追いかけても何だから諦めようと思っていた直後、彼方さんのポケットから何か紙のような物が落ちた。

紙くず?の割には形が綺麗だ。落し物かなと直ぐに拾い、何の紙かなと表面を読むと……衝撃的な事実が書かれていた。

 

「えっ……これって…… 」

 

「その手紙を見るなっ! 」

 

読み終えた瞬間に彼方さんが戻り、血相を変えて俺が持っている手紙を取り戻し、乱雑にポケットの中に入れた。

手紙を取り上げた時の彼方さんは今まで見た事ないような焦りが見受けられ、現に今も呼吸が安定しておらず、浅い呼吸と深い呼吸が入り交じっていた。

 

「……見たのかい? 」

 

「はい……」

 

彼方さんは隠し通せないと踏んだのかため息をつき、誰にも聞こえないように耳打ちしてきた。

 

「この事については後で話す。君の試合が終わった後にでも話そう 」

 

「は、はい…… 」

 

巻き込んでしまったことに申し訳ないと言ってるような顔で彼方さんは俺の前から離れていった。

 

「確かにあんな事になってたら参加さぜる負えないよな…… 」

 

間違いなく、この大会において1番危険な状況にあるのは彼方さんだ。だが、今のこの状況では何もする事が出来ない。いつもそうだが、俺は自分の無力さを呪った。

 

『では続いてBブロックの紹介!まずBブロック第1試合は【先咲花音】選手VS【宝石カレン】選手! 』

 

それでも時間は進み、トーナメントの発表も進んでいく。Bブロックの第1試合はまさかの組み合わせとなり、カレンさんが1番望んでいた組み合わせとなっただろう。

 

『第2試合!【ティア】選手VS【スノー】選手! 』

 

ティアドロップとスノードロップの対決か……俺のデッキの中では一二で頼りになる2人だから、見物ではあるな。

 

『第3試合!【エリカ】選手VS【シクラン】選手! 』

 

第3試合はエリカとシクランか……順位的にはエリカの方がかなりの上位に位置しているけど、それをどう見るか……さて、ここで呼ばれてないのはあの二人だから……

 

「そして第4試合!【レイ】選手VS【ボタン】選手!」

 

やはりこの2人か、レイとは1度戦っており、レイの戦闘スタイルは攻撃力をアップさせるマッチポンプ戦法を取っていたけど、ここではどんなデッキを使っているのやら……そして、気になるのはボタンもそうだ。

ボタンは予選順位を6位という好成績を残しているから、侮れない。

 

『以上トーナメント発表でしたっ!さぁ早速Aブロックの方から始めましょう!第1試合の選手である花衣選手とストレナエ選手は、ステージに来てください! 』

 

「よし、じゃあ……やるか 」

 

いきなりストレナエとのデュエル……精霊とのデュエルは初めてでは無いが、いつも過ごしてきた奴とは始めてで少し緊張している。

 

しかもデュエルを近くで見てきた六花達は俺のプレイスタイルを把握していると言っても過言では無いだろう。逆にこっちは把握どころかどんなデッキを使うのか、どんなデュエルをするのかさえ分かっていない。

 

ステージの距離が近づくにつれて緊張の鼓動が早くなり、夏の熱さも相まってか首元の汗が止まらない。丁度隣にストレナエもステージにやってきており、思わず目をあわせた。

 

「花衣くん!よろしくね!私負けないからね〜! 」

 

ストレナエは元気よくステージに続く階段を登ったが、ストレナエは勢い余って階段に足を躓かせてしまい、壇上に転けそうになった。

 

「危ないっ! 」

 

すぐ様倒れ込むストレナエを見て景色が周りがスローモーションになり、慌てて両手を伸ばし、壇上に体がぶつかる前に何とか俺はストレナエを助ける事に成功した。

ストレナエを抱き抱えると同時に景色は元の速さに戻り、ストレナエにも怪我は無かった。

 

「大丈夫かストレナエ? 」

 

「うん、ありがとう!ねぇねぇ、このまま壇上に連れってよ〜 」

 

「えぇ?流石にそれは…… 」

 

「ぶぅ〜。でも仕方ないか、今の私とは敵だもんね! 」

 

不満そうに口を尖らせながらストレナエは俺の手から離れ、先に壇上に上がった。

 

『おー、中々機敏な動きでしたね〜。しかも慣れた手つき……もしかしてお知り合いですかね? 』

 

「い、いえ、つい体が勝手に動いただけなんで 」

 

やっぱりこの人勘が鋭いな。この場では何とか誤魔化しはしたが、逆にストレナエが口を滑らないか心配だ。

でもまぁとにかく、俺もストレナエと対面するようにステージに立ち、準備は万端だ。いつでも行ける。

 

『では、これよりAブロック決勝トーナメント第1試合を始めます!フィールドカモン! 』

 

Mixさんが指を鳴らすと、ステージ上にある機会が作動してデュエルフィールドを展開した。予選とは違ってかなり大掛かりなものであり、この広い会場を包み込むほどの広さのフィールドだった。

 

『さぁ、この決勝トーナメントからライフは8000になり、通常通りのデュエルになるぞ!思う存分戦って下さい!! 』

 

「負けないぞ〜!! 」

 

「頑張れ〜花衣君ー!ストレナエー! 」

 

「ふぁ、ファイト〜! 」

 

会場内でプリムとシクランの声が聞こえ、2人は大きく腹の底から声を上げて俺とストレナエに声援を送っていた。更には胸ポケットにいるひとひらも俺とストレナエを応援するように氷で作った小さなサイリウム見たいな物を振っていた。なんか応援のベクトルが違うような気がするけど……

 

「ありがとな、皆 」

 

「ありがとう〜2人ともー!よーし、力が湧いてきたぞ! 」

 

『さぁそろそろ始めますよ!デュエルスタンバイ開始! 』

 

「「デュエル!! 」」

 

桜雪花衣 残りライフ8000

VS

ストレナエ 残りライフ8000

 

デュエル開始と同時にコイントスが始まり、コインの結果は俺から見れば表で、ストレナエから見れば裏となっていた。ここでは表が出れば先攻か後攻が決められる為、決定権は俺に移った。

 

「先攻は貰うぞ 」

 

「ふふん、ハンデとして良いよ! 」

 

「どこから目線なんだそれ……まぁ、良いや。俺のターン! 」

 

デジタル上の初期手札の5枚が目の前に映し出され、初手の手札は悪くない。これならあのモンスターが出せそうだ。

 

「俺は【ジャンク・チェンジャー】を通常召喚 」

 

ジャンク・チェンジャー

レベル3/戦士族/ATK1500/DEF900

 

「【ジャンク・チェンジャー】の効果発動。こいつが召喚に成功した時、自分フィールドの【ジャンク】と名乗つくモンスターのレベルを1上げるか下げる。俺はこいつ自身のレベルを1上げる 」

 

ジャンク・チェンジャー レベル3→4

 

「更に、自分フィールドに【ジャンク】モンスターが存在する時、手札の【ジャンク・サーバント】を特殊召喚出来る 」

 

ジャンク・サーバント

レベル4/戦士族/ATK1500/DED1000

 

「レベル4の【ジャンク・サーバント】にレベル4になった【ジャンク・チェンジャー】をチューニング! 」

 

ジャンク・チェンジャーが自分の体のギアを激しく回すと、緑色の4つの輪となり、ジャンク・サーバントがその輪を潜るようにすると体が透け初め、そのうちにある4つの星と4つの輪が重なり合うと、一筋の光さす道が産まれた。

 

「飛翔せよ!【スターダスト・ドラゴン】! 」

 

光さす道の向こう側から白い翼から美しく羽ばたかせ、観客達を魅了させながらも雄々しくフィールドにスターダスト・ドラゴンが降臨した。

 

まさかこんな目の前にスターダスト・ドラゴンを見れるなんて……ちょっと感動している。ついうっかり召喚じゃなくて、飛翔せよ何て言ってしまったし。幸い皆はスターダスト・ドラゴンに夢中でこっちにあまりに気にもとめてなかい様子だった。

 

スターダスト・ドラゴン

レベル8/ドラゴン族/ATK2500/DEF2000

 

「更に魔法カード【テイク・オーバー5】を発動。デッキの上からカードを5枚墓地に送り、カードを1枚伏せて、ターンエンドだ 」

 

1ターン目 先攻終了

 

ストレナエ:残りライフ 4000 残り手札5枚

 

□□□□□

□□□□□

□ □

 

①□□□□

□②□□□

 

桜雪花衣:残りライフ 4000 残り手札0枚

 

①:スターダスト・ドラゴン

②:伏せカード

 

手札を全部使ってこの盤面は少し心もとないが、スターダストは破壊耐性があり、攻撃力も2500はある。

大丈夫だと思いたいが……

 

「じゃあ私のターン!ドロー!ええと〜じゃあ私は永続魔法【ロイヤル・ペンギンズ・ガーデンズ】を発動!効果処理で、私はペンギンカードの【大皇帝ペンギン】を手札に加えるよ 」

 

ストレナエが永続魔法を発動させると、ストレナエの背後にまるでテーマパークにあるお城が建ち、城の前には白い石造りの道やペンギンの模様をするように配置された花壇や、白の上にはペンギンの形をした雲が流れていた。

 

「さらに【ロイヤル・ペンギンズ・ガーデンズ】の効果発動〜!手札を1枚捨てる事で、手札にあるペンギンのレベルを1下げれるよ! 」

 

手札のモンスターのレベルを下げるカードか……そして、俺の脳裏には先程ストレナエが加えていたカードの光景が振り返っていた。

 

「ん?ちょっと待て、確かさっきストレナエが手札に加えたモンスターのレベルは5だよな……まさか! 」

 

「そう!手札にいる【大皇帝ペンギン】はレベル5から4になってるから、この子を召喚! 」

 

大皇帝ペンギン

レベル5/水族/ATK/1800/DEF1500

 

「【大皇帝ペンギン】の効果発動!この子をリリースする事で、デッキからペンギンモンスターを2体特殊召喚するよ!ペンギンさん集合〜! 」

 

ストレナエが指笛を吹き、高い音を出したと同時に大皇帝ペンギンが仲間を呼ぶように大きくな鳴き声を上げ、ストレナエの後ろから2体のペンギンがよちよちと歩いて登場した。

 

その可愛らしく愛くるしい行動に観客席の人達はまるで我が子のお遊戯会を見に来る親の様な表情を浮かべていた。

 

『か、可愛いいいい!!ストレナエ選手もペンギンさんも可愛いぞー!きゃー!こっち向いて〜! 』

 

「えへへ、私はデッキから【極氷獣ポーラ・ペンギン】と【否定ペンギン】を召喚! 」

 

極氷獣ポーラ・ペンギン

レベル3/チューナー/水族/ATK800/DEF1000

 

否定ペンギン

レベル3/水族/ATK/1600/DEF100

 

「まだまだー!【ポーラ・ペンギン】が召喚された時、相手のカードを手札に戻す!花衣君の【スターダスト・ドラゴン】を選ぶよ! 」

 

「やばっ…… 」

 

スターダスト・ドラゴンはエクストラデッキから召喚されたカードだから、手札には行かずエクストラデッキに戻ってしまう。ポーラ・ペンギンが自分の羽をパタパタと動かすと、スターダスト・ドラゴンの周りに氷の礫が周りに巻かれ、そのままスターダスト・ドラゴンはエクストラデッキへと消えてしまった。

 

「行くよ!私はレベル3の【否定ペンギン】とレベル3【極氷獣ポーラ・ペンギン】をチューニング! 」

俺がスターダスト・ドラゴンを出す時のような演出がまた行われ、2体のペンギンが新たなモンスターを誕生させた。

 

「こーい!【ペンギン勇者】!!」

 

ストレナエの目の前に、ストレナエの膝までの大きさしか無い小さなペンギンが盾と鎧、そして剣を天に掲げており、まさに勇者見たいな格好をしていた。

 

ペンギン勇者

レベル6/シンクロ/水族/ATK2400/DEF1200

 

「【ペンギン勇者】が召喚された時、デッキからペンギンさんを一体裏側守備表示で特殊召喚出来るよ。えーとね、じゃあ【ファーニマル・ペンギン】を裏側守備表示にするよ 」

 

「え、それもペンギンなのか? 」

 

『【ペンギン】と名がついてますからOKです! 』

 

Mixさんの解説により出来ることが証明された。しかもファーニマルか……確かあれってデストーイとかいう融合モンスターの素材になるんだっけ。店長さんとの特訓でめちゃくちゃ殺意の高いデッキというのは覚えているから、何とかしたいものだけど……

 

「バトル!【勇者ペンギン】で花衣君にダイレクトアタック!突撃〜! 」

 

勇者ペンギンがペちペちと足音をたてながら剣を掲げて突撃をかけてきた。行動自体は可愛いけど攻撃力が2400あるから侮りがたしだ。

勇者ペンギンが俺の目の前まで行くと飛びかかって俺に突撃を仕掛けたが、そう易々と攻撃を受ける訳には行かないと心の中で呟きながら、俺は伏せカードを発動する。

 

「罠発動【くず鉄のかかし】。相手の攻撃を1度だけ無効にする。そして発動後、再びこのカードはセットされる 」

 

飛びかかったペンギン勇者は俺のくず鉄のかかしに顔面から入り、鉄の硬さでペンギン勇者はぶっ飛ばされて地面をコロコロと球のようにストレナエの前まで転がってしまった。

 

やがてストレナエのフィールドまで転がされたペンギン勇者は目を回しながらぶつかった衝撃が痛かったのか、涙目を浮かべていた。

何か凄い悪い事をしたようで罪悪感増すんですけど……

 

「む〜!私はこれでターンエンド!」

 

 

1ターン目後攻終了

 

ストレナエ:残りライフ 8000 残り手札3枚

 

□□④□□□

□②③□□

□ □

 

□□□□□

□①□□□

 

桜雪花衣:残りライフ 8000 残り手札0枚

 

①:くず鉄のかかし(セット状態)

②:ペンギン勇者

③:ファーニマルペンギン(裏側守備表示)

④ロイヤル・ペンギンズ・ガーデン

 

 

何とかノーダメージで切り抜けたが、こっちの方がまだ状況が悪い。折角出したスターダスト・ドラゴンもエクストラデッキに戻ってしまい、手札でこの盤面をどうこう出来る訳でも無い。

セットカードであるくず鉄のかかしでいつまでも耐えられる訳で無いし、早めに何とかしなければ……。

 

「俺のターン、ドロー!よし来た!俺は魔法カード【炎の護封剣】!」

 

光の護封剣では無く、炎の護封剣をすかさず発動し、ストレナエのフィールドに青白く燃える十字形の剣が空から降り注ぎ、ストレナエのモンスターの動きを封じた。

 

「俺の場にモンスターが存在しない限り、お前は攻撃宣言を行う事が出来ないぞ 」

 

このカードは光の護封剣と違って数ターンしたら破壊する物では無く、俺のフィールドにモンスターが存在するか、相手の手札が5枚になった破壊されるカードだ。

今のストレナエの手札は3枚だから、ストレナエがこのまま何もしなければ2ターンの時間は稼げる。その間に、何かこの状況を打破出来るようなカードを引かなければちょっとキツいけど。

 

「更に墓地の【テイクオーバー5】を除外し、カードを1枚ドロー。俺はこれでターンエンドだ 」

 

 

2ターン目先攻終了

 

ストレナエ:残りライフ 8000 残り手札3枚

 

□□④□□□

□②③□□

□ □

 

□□□□□

□①□⑤□

 

桜雪花衣:残りライフ 8000 残り手札1枚

 

①:くず鉄のかかし(セット状態)

⑤炎の護封剣

 

②:ペンギン勇者

③:ファーニマルペンギン(裏側守備表示)

④ロイヤル・ペンギンズ・ガーデン

 

「じゃあ私のターン!うーん、どうしようかな〜 」

 

ストレナエはこのままどうするか酷く悩んでいた。

今のストレナエの手札は4枚であり、このターン何もしなければ次のストレナエのターンで手札が5枚になり、炎の護封剣は破壊されてストレナエは俺に攻撃する事ができる。

 

だが、逆に言えばそれは何も準備をせずに相手のターンを渡す事になる為かなりリスキーな行動だ。と言っても、俺の手札には通常召喚出来ないモンスターばかりだから、どっちかと言えばこのターンストレナエには動いて欲しい。

 

ストレナエがこのターン、場にいるファーニマル・ペンギンを融合素材にして融合しても、融合+素材のモンスターでストレナエの手札は2枚……いや、ファーニマル・ペンギンは確か融合素材にすればカードを1枚ドロー出来るから、3枚になる。

 

ストレナエは無邪気に悩んでいるが、俺は張り付くようなこの駆け引きに緊張している。

 

「よーし!私は魔法カードゆ……ん? 」

 

何かを仕掛けようとストレナエは魔法カードを出そうとしたが、ストレナエは俺の顔を見てその行動を止めた。

顔にやらせたい事がバレたかとポーカーフェイスを維持しているつもりだが……ストレナエはニヤリと笑い、嫌な予感がしてならなかった。

 

「私はこれでターンエンド! 」

 

『おっと、ストレナエちゃんは次のターンで仕掛けるつもりですかね? 果たしてこの行動が吉と出るか凶と出るか見物です! 』

 

不味い……1番やって欲しくない行動をさせられてしまった。このターンモンスターを召喚しなければ恐らくだが俺のライフは一気に削られてしまう事になるかもしれない。責めてあのファーニマル・ペンギンを破壊して融合をさせないようにはさせたいが……!

 

 

2ターン目後攻終了

 

ストレナエ:残りライフ 8000 残り手札4枚

 

□□④□□□

□②③□□

□ □

 

□□□□□

□①□⑤□

 

桜雪花衣:残りライフ 8000 残り手札1枚

 

①:くず鉄のかかし(セット状態)

⑤炎の護封剣

 

②:ペンギン勇者

③:ファーニマルペンギン(裏側守備表示)

④ロイヤル・ペンギンズ・ガーデン

 

 

「俺のターン、ドロー! 」

 

とにかく何か召喚できるモンスターが来てくれと願って引いたカードは【ロードランナー】だった。こいつなら攻撃力が1900以上のモンスターの攻撃では戦闘破壊されず、仮に1900以下のモンスターを召喚したとしても、【くず鉄のかかし】で二重に守れば少しは耐えられるはず。

 

「俺はモンスターをセットしてターンエンド 」

 

 

3ターン目先攻終了

 

ストレナエ:残りライフ 8000 残り手札4枚

 

□□④□□□

□②③□□

□ □

 

□□⑥□□

□①□⑤□

 

桜雪花衣:残りライフ 8000 残り手札1枚

 

①:くず鉄のかかし(セット状態)

⑤炎の護封剣

⑥:ロードランナー(裏側守備表示)

 

②:ペンギン勇者

③:ファーニマルペンギン(裏側守備表示)

④ロイヤル・ペンギンズ・ガーデン

 

「私のターンドロー!私の手札が5枚になったから、【炎の護封剣】は破壊してね! 」

 

フィールド上の炎の護封剣が鎮火して消えてしまい、これでストレナエは問答無用で攻撃を仕掛けにくる。

 

「ふっふっふ〜前のターンでは何もしなかった分、ガンガン行くよ!私は魔法カード【融合】を発動〜!手札の【エッジインプ・DTモドキ】とフィールドの【ファーニマル・ペンギン】で融合召喚! 」

 

フィールドのファーニマル・ペンギンと手札のエッジインプ・DTモドキが融合の渦と共に混じり合い、混じり合った姿は8本の手足に鎌が付き、その鎌で無惨にも俺を切り刻もうとするイカのモンスターが表れた。

 

「こーい!【デストーイ・ハーケン・クラーケン】!そして【ファーニマル・ペンギン】を融合素材にしたから、カードをドローするね 」

 

デストーイ・ハーケン・クラーケン

レベル8/融合/悪魔族/ATK2200/DEF3000

 

(あんな可愛いらしい動物の玩具がめっちゃ殺意マシマシなモンスターになったんですけどー? )

 

いやまぁそういうカテゴリーなんだけどさ。直で見るととんでもないギャップの差と天真爛漫のストレナエがあんなモンスターを使っている事も相まってそのギャップの差で俺は呆然とした。

 

クラーケンは手足の鎌をブンブンと振り回して今にも俺の事を切り刻もうと殺意マシマシの黒目で見つめられて俺は身震いし、足を一歩後ろに下がってしまう。いやホログラムなのは分かっているけどめちゃくちゃ怖い。

 

「【デストーイ・ハーケン・クラーケン】の効果発動!相手モンスターを墓地に送る! 」

 

「嘘だろっ!? 」

 

コストも無しで問答無用で俺のモンスターを一体墓地に送るって……とんでもなく強力な効果じゃないか。しかも破壊ではなく墓地に送るって書いているから仮にこのフィールドにスターダスト・ドラゴンがいてもあの効果は無効にされないって……厄介すぎる!

 

クラーケンは自身の大きな体を回転させながら手足をムチの様にしならせ、俺のセットモンスターに向けて突撃をかけた。

 

セットされたモンスターであるロードランナーはその鎌の嵐に巻き込まれて墓地に送られてしまい、俺の場にモンスターはいなくなってしまった。

 

「更に私は魔法カード【サイクロン】を発動!花衣君のセットカード、【くず鉄のかかし】を破壊するよ! 」

 

あれはファーニマル・ペンギンの効果で引いたドローカードか。何て引きがいいんだ……流石は精霊と言うべきだろうか。

 

いや感心してある場合じゃない。ストレナエの手札から激しい竜巻が発生し、こちらの伏せカードであるくず鉄のかかしを粉々に破壊し、これで本当に俺の場はがら空きになってしまった。

 

「バトル!行っけー!【勇者ペンギン】!今度こそ花衣君に攻撃ー!!」

 

勇者ペンギンは先程のリベンジで燃える様な瞳を灯し、空高く飛び、落下の勢いで剣を振り下ろし、俺の体を一閃を喰らわさせた。

 

桜雪花衣 残りライフ8000→5600

 

「やったー!やったね、【勇者ペンギン】! 」

 

勇者ペンギンとストレナエは触れ合ってこそいないが仲良くハイタッチをし、それを見た観客達はほんわかした雰囲気の中で歓声をあげた。

 

「いいぞー!【勇者ペンギン】!! 」

 

「頑張れーストレナエちゃぁぁんん!! 」

 

『さぁ!可愛らしい行動で会場は一気にストレナエちゃんエールの渦だ!この空気の中花衣選手はどう出るのか!? 』

 

応援してくれている観客にストレナエは大きく手を振りながら笑顔で感謝を伝えており、まるで小さなアイドルが生まれたようだ。

ああいう素直な所が愛いらしくもあるから、ストレナエのその魅力に観客の人達はもうストレナエの虜……と言うより、父性やら母性やらが刺激されていた。ここでストレナエは俺の娘なんて言う奴が出ないか心配だ。

 

「よーし、頑張るぞー!私はこれでターンエンド! 」

 

「ん?【デストーイ・ハーケン・クラーケン】で攻撃してこないのか? 」

 

『【デストーイ・ハーケン・クラーケン】は効果を使ってしまうとダイレクトアタックが出来なくなるので、攻撃したくても出来ないんですよ。命拾いしましたね、魔王花衣さん! 』

 

「いや誰が魔王だ!! 」

 

3ターン目後攻終了

 

ストレナエ:残りライフ 8000 残り手札2枚

 

□□③□□□

□②①□□

□ □

 

□□□□□

□□□□□

 

桜雪花衣:残りライフ 8000 残り手札1枚

 

①:デストーイ・ハーケン・クラーケン

②:ペンギン勇者

③:ロイヤル・ペンギンズ・ガーデン

 

 

いくらストレナエのフィールドに勇者って名がついている勇者ペンギンがいるからって……俺が魔王って呼ばれる筋合いは無い。

その筈なのにMixさんに感化されて観客達もストレナエの事を勇者とか呼んでるし……アウェイな空気に取り残された俺はどうしても気持ちで負けてしまい、この盤面をどうにかできるビジョンが全く見えなかった。

 

カードをドローしようとした瞬間観客席の方からこのアウェイな気分を吹き飛ばすような声援が俺の耳に届かた。

 

「花衣さーん!!頑張って下さい!! 」

 

大勢の声から確かに聞こえた花音の声が耳に届き、向こうの方に顔を向けると声を届ける為に口に手を添えて大声を出し続け、顔を真っ赤にした花音が大群の中から見えた。花音だけじゃない、六花達も閃刀姫達も周りの奴らに負けないぐらいの声援を送ってくれた。

 

「ファイトですよ!花衣さーーん!! 」

 

「花衣君もストレナエもどっちも頑張れー!! 」

 

「気張っていくネー! 」

 

「みっともない勝負はしないで 」

 

確かに聞こえた声援は耳から心へと響き、思わず目頭が熱くなってしまった。

熱くなると同時に涙もでかけてしまい、涙が溢れる前に俺は右手で誰にも気づかれないようにそっと涙を拭いた。

 

「あーくそ……よくあんな風に応援出来るなぁ…… 」

 

「みんな花衣君の事大好きだからだよ 」

 

「……そっか 」

 

「そうだよ!私も負けないぐらい大大だーいすきだからね! 」

 

大勢いる観客の歓声が大きすぎるせいでストレナエの声は対面にいる俺にしか聞こえずにいた。

仮に聞こえたとしても、子供の無邪気な告白だと誰しもが思うがそれは違う。ストレナエのこの告白は、一世一代の告白と同じように、真面目で、真剣で、本気だった。

 

「だから勝つよ。本気で、そして花衣君と一緒にやりたい事をやるの! 」

 

「ちなみにそれは一体なんだ? 」

 

「ふふーん、それは私に勝ってからしてね! 」

 

「言ったな?それなら……俺も全力で行くからな!魔王らしくな!俺のターン、ドロー! 」

 

落ち込んでいた気持ちから明るく前向きな気持ちでドローし、引いたカードは……【オッドアイズ・ファントム・ドラゴン】だった。だが、これではまだモンスターは召喚できない。となれば……

 

「更に墓地の【錬装融合】の効果発動。墓地のこのカードをデッキに戻し、カードを1枚ドローする! 」

 

俺が狙うのは複数ある。残り1枚、あの場所に置けるカードがあれば……!俺はもう一度願いを込めて、カードをドローした。

 

「来てくれた……!俺はスケール4の【オッドアイズ・ファントム・ドラゴン】とスケール8の【オッドアイズ・アークペンデュラム・ドラゴン】で、ペンデュラムスケールをセッティング!」

 

俺のフィールドに二色の眼を持った骨を纏った紫の龍と黒龍がフィールドに表れ、そのモンスターのスケールである4と8の数字が表示された。

 

「これで俺はレベル5から7のモンスターを同時に召喚可能!行くぞストレナエ! 」

 

「よしこーい!! 」

 

2匹の龍の背後に巨大な青い水晶のクリスタルが吊るされ、大きく左右に揺れるとその軌跡は満点の星空の様に輝き、その輝きの向こうから二色の眼を持つ赤い龍が登場を待ち望んでいた。

 

「俺は手札からレベル7の【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】をペンデュラム召喚!! 」

 

輝きのその向こうから二色の眼の龍が雄叫びをあげ、ペンデュラムの軌跡の虹彩から抜け出してフィールドに降り立った。

 

オッドアイズ・ペンデュラムドラゴン

レベル7/ペンデュラム/ドラゴン族/ATK2500/DEF2000

 

「わわ!攻撃力が私のモンスターより大きい! 」

 

「龍ってのが如何にも魔王っぽいだろ?そのままバトル!俺は【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】で【デストーイ・ハーケン・クラーケン】を攻撃!そしてこの瞬間、ペンデュラムゾーンにいる【オッドアイズ・ファントム・ドラゴン】の効果発動! 」

 

ペンデュラムゾーンにいるファントム・ドラゴンから紫のオーラをフィールドにいるペンデュラム・ドラゴンに纏わせた。

 

「【オッドアイズ・ファントム・ドラゴン】はもう片方のペンデュラム・ゾーンが【オッドアイズ】モンスターの時、俺のモンスターの攻撃力を1200アップさせる! 」

 

オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン

ATK2500→3700

 

「更に【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】がバトルする時、戦闘ダメージは2倍になる!リアクションフォース!! 」

 

オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンの体にある色とりどりの宝石が輝きだすと、紫のオーラを込めて放った赤い炎は黒い螺旋と紫の螺旋を纏い、全てを焼き尽くしながらクラーケンを破壊し、そのままストレナエを焼き尽くした。

 

ストレナエ 残りライフ 8000→5000

 

オッドアイズ達の効果によってストレナエは3000の大ダメージを受けながらも、ストレナエはどんと胸を張ってまだ諦めてないと体で伝えてきた。

 

「まだまだだよ!ペンギンさんの仲間はいーっぱいいるもん! 」

 

「じゃあかかってこい、相手になってやる 」

 

二色の眼の龍と小さなペンギンの勇者は睨み合い、小さな勇者と少し情けない魔王の戦いはまだ続いていく。

 

ここまで(〜90話)出てきたレゾンカードの中で強いと思うのは?

  • 六花聖華ティアドロップ、カイリ
  • 閃刀騎-カイムと閃刀騎-ラグナロク
  • 銀河心眼の光子竜
  • RRRリノベイルイグニッションファルコン
  • 炎転生遺物-不知火の太刀
  • 常闇の颶風

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