六花テーマを作って愛用したらそのまま俺への愛が重くなった件について   作:白だし茶漬け

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どうも白だし茶漬けです。
今回は主人公のデッキ内容を描写していますが…正直言って初心者が考えたデッキなので多分結構ムラがあります。もっとこうした方が良いとか何かあればアドバイスが欲しいぐらいですねw



雪と植物は共存するがそれは選ばれた植物だけである

何処かも分からない場所で俺はデュエルをしていた。

腕にはアニメである様なデュエルディスクが左腕に装着されていた。

俺の場には【六花聖ティアドロップ】しかおらず、手札も伏せカードも無い。相手の場には黒い靄がかかったモンスターとそのプレイヤーがいた。だがどうしてだろうか、俺はその相手に怒りを向けていた。

 

「俺のターンっ!」

 

怒りに任せたデュエルディスクからカードをドローし、そのカードが何なのか直感で感じ取る。俺はそのカードに全てを込めて、デュエルディスクに差し込んでカードを発動する。

 

RUM(ランクアップマジック)六花開花を発動!」

 

見た事も聞いたことも無い魔法カードを発動した瞬間、辺りに雪と白い花が咲き乱れる。その花と雪はティアドロップの周りに集まり、ティアドロップはその花と雪に包まれるように囲まれる。

 

「来い!■■■!」

 

自分の口から発した言葉の筈なのに、その言葉がノイズ混じりで聞き取れなかった。世界が雪と花の白き世界に塗り替わり、俺の意識はここで途切れる。

 

 

 

 

 

 

締め切られたカーテンの隙間から朝日が俺の顔に射し込み、雀の鳴き声が俺の耳に入る。

普段ならもう起きる時間だが、今日は土曜日で学校は休みだ。何ならもうちょっとだけ寝ていようと思い、俺は寝返りをうつ。

駄目だ…さっきの夢のせいで目が冴えてしまう。

 

「今の…夢だよな?というか六花のRUM(ランクアップマジック)って…あったか?」

 

右手で頭を抱えながら、その魔法カードについて考える。

RUM(ランクアップマジック)とはエクシーズモンスターを対象にして、そのモンスターのランクをあげることが出来る魔法カードだ。

ランクを1つ上げるものや2つ上げるもの、果てにはその倍ランクをあげるものだってある。

しかし、【六花】と名のつくRUM(ランクアップマジック)は存在しないのだ。

 

「ま…俺の妄想か。」

 

俺は体を起き上がらせ、ベッドから出ようとした。

だが俺は変な夢を見たせいで忘れていた…隣にはスノーが寝ていた事を…右手に弾力を持った餅のような物を掴んだ感触を感じた。俺の手よりも大きいながらも柔らかな感触で掴んでる辛さは無い。半ば寝ぼけている俺はそれを何か確かめる為にその方向に顔を向けると、そこには恍惚な表情をしたスノーが俺を見ていた。

 

「おはよう…朝から大胆だね…♡」

 

「のぉぉぉぉぉお!?」

 

俺が右手でつかんでいたのはスノーの胸だった。俺はすかさず離そうとしたが、当の本人が俺の腕をがっちり掴んで離さないでいた。俺の右手は依然としてスノーの胸を鷲掴んでいるままだ。

 

「ついに私の事を求めてくれるんだね…」

 

「い、いやいや!今のは事故でわざとじゃ…」

 

しかしスノーは俺の話を聞かずに、そのまま俺をベッドに押し倒した。これが漫画とかだったらスノーの目はハートを描いているのだろう。そんな顔をしていた。

 

「今日は土曜日で学校はお休みだよね?なら、沢山愛し合えるね!」

 

そう言うとスノーは自分の着てるナイトウェアを脱ぎだした。肩にかかっていた服の紐が離れ、そのままスノーの両肩を全てさらけ出し、もう少しで胸まで全てをさらけ出す所まで来た。

 

「お、おい!何をするつもりだ!?」

 

「何って…ヤダなぁ花衣君…そんなの決まってるよ。い・い・コ・トだよ?まだお日様が高いけど、愛さえあれば関係ないよね!」

 

「何を言ってるんだ!?あぁクソ!力じゃ勝てない!」

 

流石に生身の人間とデュエルモンスターズのモンスターでは力の差が圧倒的で俺の抵抗は無いに等しかった。

無意味な抵抗を続けてる間、遂にスノーの顔が目と鼻の先まで近づき、あと少しで俺とスノーの唇同士が触れ合う所まで来た。最早俺の目には恍惚の表情をしたスノーしか見えなかった。

俺は思わず目をつぶり、今から来る現実を受け止めようとした。

しかし、俺の唇に襲いかかる柔らかな感触は襲ってこず、代わりに頬に口付けされた感覚が感じられた。

俺は困惑で目を開け、そこには優しく微笑むスノーの姿があった。

 

「そんな拒んだ顔じゃ、私だって嫌だからね。もし、花衣君が私達を受け入れたその時が…本番だからね。」

 

スノーは俺の体から離れ、ナイトウェアの服からいつものドレスの服装に着替えた。

 

「それまで…待ってるからね?…好きだよ。花衣君。」

 

そう言いながら、スノーは扉を開けて俺の部屋から出ていった。

俺は依然呆然としたままで、口付けされた頬に触れる。

 

「…どうして皆、俺の事をそんなに…」

 

思えば出会った時からそうだった。俺の事をさっきみたいに好きとか言って告白してきたり、俺の為にわざわざ家事までやってくれてる。どうしてそこまでやるのか一度聞いた事があるが、答えは「貴方の為」の一点張りだった。俺はそんな俺の為に尽くす彼女達を一緒に暮らしていて、俺は心のどこかで恐怖を感じていた。

彼女達に対してでは無く、このままだったら彼女達に依存してしまう自分が生まれるのでは無いかと言う恐怖だ。だからこそ俺はさっきみたいに抵抗する事で自分を保っているのかもしれない。もし全てを受け入れて全てを委ねたら…俺が俺で無くなる気がすると思うから。

 

「はぁ…ま、とりあえず今日はどうしようかな。」

 

スノーが言った通り、今日は土曜日で学校は無い。家でゴロゴロしてゲームするのも良いが、明日は俺の初めての大会なので、それをするのは気が引ける。ここはやはりカードショップに行って、明日の大会に向けて店長さんのアドバイスを聞くのも良いだろう。

 

「とりあえず着替えるか…」

 

俺はベッドからようやく起き上がり、クローゼットから自分の服を取り出して着替える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

扉のドアを閉め、スノードロップは一人静かに先程の事を思い出していた。

 

「あぁ…あの時の花衣君の表情…!可愛いかったなぁ…!あの時恥ずかしかって赤く染めた顔、私の胸を掴んでくれたあの手、そして私の唇が付いたあの頬…!

あぁ、全部全部、昨日から今まで全部私の物だったのね…!」

 

スノードロップは自身の中にある独占欲が満たされ、その喜びが全身に駆け巡るようにも感じていた。

 

「あら、随分と嬉しそうね。」

 

突然後ろから声をかけられたスノードロップは後ろに振り返る。そこには和服に茶髪のポニーテールをした【六花精エリカ】がいた。

 

「エリちゃん!?いつから居たの?」

 

「ついさっきからよ。それにしてもなんだか随分と楽しそうだったわね?」

 

エリカは先程の花衣とスノードロップの事を見ていたのか、全てを見透かしてるかのようにクスリと小さくわらう。スノードロップはそれを察したのか隠しもせずに誇らしい顔でその事を伝える。

 

「ふふ〜ん。花衣君がね、朝から大胆に私の胸を鷲掴みしたんだよ〜。いや〜やっぱり私の魅力の虜になったのかな〜?」

 

「あら?部屋から聞こえた声が確かなら、花衣さんが事故だって言ってたけど?」

 

「うぐっ…確かに事故だったけど…って、やっぱり見ていたんでしょ!」

 

スノードロップはエリカにからかわれてるような気がしたのか、その場で地団駄を踏む。その姿を見てエリカは面白おかしいのかまた小さく笑う。

 

「うふふ。…でももう少し責めた方が良かったんじゃないかしら?」

 

「?どういう事?」

 

「私だったらあのまま快楽の暴力で花衣さんのことを虜にしてたわ。」

 

「か、快楽のぼぼぼ…」

 

スノードロップはエリカが何をしようとしたのか簡単に想像出来てしまい、その事を目に浮かぶと赤面して顔を隠してしまう。

 

「まぁ…そんな事したら他の子達が黙ってないからやらないけどね。…けどもっと責めても良かったでしょうに…ま、攻撃力1200程度じゃあの程度が限界かしらね?」

 

「こ、攻撃力は関係ないでしょ!それにそっちだって守備力たった1000で花衣君に顔を近づけられただけであわあわして何も出来ないくせに!」

 

「な!?そ、それは急にこられたらああなるだけで、私が責めたらずっと私のターンなのよ!」

 

いつの間にか口喧嘩になってしまい、2人共お互いの目を睨みつけてがんを飛ばす。しかしその喧嘩はあっという間に収束する事となった。ドアノブが下がる音が2人の耳に入り、花衣が部屋から出るのを察知した2人は喧嘩を止めて花衣を笑顔で出迎える。

ドアが開けられ、部屋から私服姿の花衣が出てきた。

 

「あれ?エリカもいたんだ。」

 

「おはようございます。花衣さん。あら?私服姿で今日はどこに行かれるのですか?」

 

「あぁ。明日は大会があるからちょっと店長さんにアドバイスを受ける為に朝ごはん食べたらカードショップに行こうかなって。」

 

「「…は?」」

 

スノードロップとエリカは息を合わせて疑問の声を出した。2人が…いや、六花達が嫌悪してる女の元に花衣自身が行こうとしてる事に2人はまるで不安が風船のように膨らんでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

相変わらずの暑い日差しの中、俺はいつものカードショップに足を運ぶ。そしていつも通り俺は六花と一緒に道を歩く。

今日一緒に歩いてるは【六花精ボタン】だ。ボタンは六花の中では一番の元気っ娘で独特の訛りが特徴の子だ。

 

「おーい!早く早くネー!」

 

「いやこのクソ暑い中で…良く動けるな…」

 

炎天下の中、普通の人間は俺のように汗が滝のように流れている。対してボタンは汗ひとつかかずに元気に走り回っている。まぁ、させば涼しくなる傘をさしてるのだからあの傘の下はきっとエアコンのつけた室内のような快適な空間になってるだろう。

 

「なぁボタン〜俺もその傘の下に入れてくれよ〜!今日凄い暑いんだよ〜!」

 

「ふふん〜なら、条件があるネ。もしこれを呑んでくれたら、この傘の下に入れてあげるヨ!」

 

「条件?」

 

ボタンは傘をクルクルと回しながら、小走りで俺に近づく。

 

「私と腕組みしながら歩いて欲しいネ!」

 

何となく予想はついていたのでそれほど驚きはしない。

俺はこの暑さに耐えきれず、ボタンの条件を呑んだ。

 

「わかったよ。あ、傘届くか?」

 

俺とボタンは身長差があり、俺の方が数十センチも上だ。ボタンの背では俺の頭の上までは傘は届かない。

しかし、俺がからかってるように聞こえたのかボタンは頬を膨らませて怒ってしまう。

 

「届くよ!もう、子供扱いしちゃいやネ!」

 

そう言いながらボタンは腕をピンと伸ばしながら背伸びして何とか俺に傘をさすが、ギリギリ俺の頭に届く程度で頭の上には届かなかった。それでも懸命に腕を伸ばして見せるが、腕が伸びる訳も無く途中でへばってしまった。

 

「はは。ほらな、傘さしてやるから傘を貸して。」

 

「うぅ…今日から毎日牛乳飲んで背を高くするネ…」

 

(デュエルモンスターズの精霊って成長するのか?)

 

そう疑問に思いながら、俺はボタンの傘に触れる。氷の柱のような棒を持つと、見た目とは裏腹に冷たくは無い。

 

「へぇ…大して冷たくな…いな?」

 

「?どうしたネ花衣?」

 

氷の模様をした傘を見つめると何故か俺の意識は遠のく。…何故だろう。こんな風な事が前にあったような…

それは遠い昔、気が遠くなる程の昔のような…

 

___ ___ _____

 

 

 

 

 

日が優しく射し込む森の中、俺はボタンと一緒に歩いていた。しかし、今のこの時期はかなり暑い。

 

_なぁボタン〜俺にもその傘さして〜暑いよ〜

 

_しょうがないナ〜じゃあ私がさしてあげるネ!

 

_良いけど…届くのかな?

 

_届くヨ!

 

そう言いながらボタンは懸命に背伸びして腕を伸ばすがやはり届かなかった。

 

_ほらやっぱり。

 

_うぐぐ…今日から毎日牛乳飲んで背を伸ばすネ…

 

そう言いながらボタンは諦めたのか俺に傘を差し出した。雪のような傘模様をしてる傘はその見た目とは裏腹に冷たさは一切感じられなかった。

俺は傘を広げると、その傘の下に涼やかな空気が広がるのを感じた。

 

_あ〜生き返る〜

 

_もう!もう少し背が高ければ私がさしてたの二!

 

_あはは。お詫びと言っては何だけどおんぶとかしてあげようか?

 

_子供扱いみたいでヤダな〜…そうだ。腕を組んで良イ?

 

_え?ううん…それでいいなら良いけど。

 

_やったネ!

 

ボタンは兎のように跳ねながら俺の腕に飛びついて強く抱きしめた。

 

_さぁ!早く行くネ!みんな待ってるよ!

 

_そうだね。じゃ、行こうか。

 

俺とボタンは涼やか空間を2人で一緒に過ごしながら歩いていく。

 

 

 

 

 

___ ____

 

「…君。」

 

何だ…今の?ボタンは分かったけど、肝心の男の姿が全く見えなかった。まるで俺に見せるのを拒んでいるかのように。

 

「…い君?」

 

それにあの感じ…俺は間違い無く()()()()を感じていた。それだとおかしい。俺はボタンとは1ヶ月前に出会ったばかりなのに、懐かしさを感じるなんておかしい。

 

「花衣君!」

 

ボタンの叫び声で俺の意識は現実へと帰る。ボタンの方に顔を向けると、そこには心配そうに見つめながら俺の腕を強く抱いていたボタンの姿が映った。

 

「花衣君どうしたの!?どこか具合が悪い所でもあるノ!?」

 

「あ、いや…何でもない。」

 

目頭に涙を溜めてるボタンの顔を見て、これ以上心配をかけまいと俺は笑って誤魔化した。俺は俺とボタンしか見えない傘をさして誰もいない道を進む。今日この時の涼やかな空気が何故が酷く冷たく感じた。

 

いつも見るビルに入り、カードショップがある2階へと上がり、ショップの扉を開ける。まだ開店直後のせいか、客が誰もいない。店長さん目当てで来てる人もいなかった。

 

「あら、花衣君いらっしゃい。今日は早いわね。」

 

「こんにちは店長さん。ちょっとデッキについて相談が…」

 

俺はここに来た理由を説明し、店長さんは快く俺の相談を受けてくれた。

 

「成程ね。じゃあデッキを見せてくれるかしら?」

 

「分かりました。ちょっと待ってくださいね…」

 

俺はカバンの中からデッキケースを取り出し、中にあるデッキを店長さんに見せる。店長さんは慣れた手つきで俺のデッキの中身を確認する。全てのカードを確認し終えると、少し悩んだ顔をした。どうやら俺にこれから言う事を言っていいのか悩んでいるのだろう。

 

「いいですよ店長さん。どんどん言っちゃって下さい。」

 

「そ、そう…?じゃあちょっと言わせてもらうわね?」

 

俺は店長さんの確認に首を縦に振る。

 

「【六花】はね、単体で運用するにはちょっとデッキパワーが弱いの。だから、他の植物族を展開とかをサポートしたりするのが現状はいいと思うわ。このデッキを見ると、ちょっと六花のカードが多いような気がするの。だから既存の汎用カードをもう少し加えたらいいと思うの。」

 

「そう言われても…どのカードを入れたらいいか…」

 

「ううん…植物族なら【ギガプラント】、【光の王マルデル】あ、【アロマ】カードとか良いかも。」

 

聞いた事無いカードの名前が耳に入り、俺の頭の上には疑問のマークが無数に浮かんだ。店長さんはそんな俺の反応を面白がったのか小さく笑った。なんだか馬鹿にされてるような気がして、俺は小さく頬を膨らませる。

 

「うふふ…ちょっと待っててね?今そのカードを見せてあげるから。」

 

そう言って店長さんは後ろにある無数のカードの中から先程言ったカードを見せる為に少し席を離れた。

 

「ねぇ花衣君…ちょっと良イ?」

 

「ん?どうしたのボタン?」

 

店長さんが離れた事によってようやく話せる状況になり、ボタンが俺の服の袖を掴んで話しかけて来た。

俺は目線をボタンに合わせずに店長さんを待ってるかのように装いながらも、ボタンと会話する。

 

「あんな女のアドバイスを真に受ける必要あるのかナ?」

 

「え…?いや、店長さん結構デュエル強いから良いアドバイスにはなると思うけど…」

 

「ふぅん…まぁ花衣君が良いならそれで良いネ。」

 

ボタンはそのままそっぽ向いてしまった。何か怒らせるような事をしたのか考えたが、心当たりがまるで無かった。そんな事を考えてる内に店長さんがいくつかカードを持ってきてこちらに戻って来た。

 

「お待たせ〜ってあら?どうしたの花衣君?何も無い所に顔を向けて?」

 

「え?あ、いや何でも無いです!」

 

今のボタンは実体化してない為、俺以外には姿が見えていない。傍から見れば、俺は何も無い所で1人で会話してるヤバいやつにしか見えない。幸い、ボタンと会話してる時には誰もいなかったのが助かった。

 

「そう…?じゃあ、使えそうなカードを持ってきたから見てみて。」

 

店長さんはカードを広げ、1から俺にカードの説明と使い方を教えてくれた。

 

「まずこの【光の王マルデル】は召喚されたらデッキから植物族のモンスターを手札に加えられるから、【六花精】スノードロップの効果を使って一緒に出せば、また更なる展開が期待出来るわ。あと、この【アロマセラフィージャスミン】も植物族を使うなら必須みたいな感じのモンスターで…」

 

迫るくる様々なカード情報を店長さんのわかりやすい解説や実技で何とか呑み込み理解していく。しかし気になった事がある。

 

「…なんか植物族って、女の人のイラストが多いような…?」

 

「それはどの種族でも言えることよ。」

 

「えぇ…」

 

しかし、困った。まさかこれ程女性のイラストが多いとは思わなかった。何故困るのかと言うと、六花達がそれを良しとしないのだ。現に俺が他の植物族のカードをじっと見つめるとそこにいるボタンだけでは無く、デッキにいる六花達全員が俺に物凄い視線を送ってくるからだ。

 

「ねぇ花衣君…?何でそんなに他の女のカードを見てるのかナ…?」

 

「いやいや効果の確認だから見てるだけで決してイラストを見てる訳じゃ…」

 

ボタンは俺の服を強く握りしめて光を失った目でこちらを見る。この目だ…六花達全員がこんな目を俺に向けるのでかなりの心労が襲ってくる。しかし、店長さんが薦めてくれたカードを使えば、戦略の幅が広がり勝ちやすくはなるだろう。ただの遊びだとしても勝負には勝ちたい。その気持ちの方が強かった。

 

「ねぇ花衣君?さっきからブツブツ言ってるけどどうしたの?」

 

「あ…えぇと…どれ使えば良いか悩んじゃって!ちょっとあっちで考えていますね!あ、カードお借りします!」

 

俺は六花達と話し合う為、店長さんに薦めてくれたカードを借りて、そのまま誰もいないデュエルスペースの隅っこのテーブルの椅子に腰を下ろした。

ここなら地味で目立たないのでゆっくりと話し合う事が出来るだろう。

 

「ねぇ花衣君…私達の事捨てちゃうの?」

 

デッキからシクランの声が聞こえる。俺はデッキからシクランのカードを取り出すとシクランが出てきて俺の腕の中に出てきた。

 

「嫌だよ…捨てないで…ずっと使ってよ…お願い…!」

 

シクランは涙を流しながら懇願するように俺に捨てないでと連呼した。

 

「捨てないし、これからもずっと使っていくよ。大丈夫だから!」

 

「…本当に?」

 

「本当に。」

 

「その言葉に嘘偽りはありませんか?」

 

シクランでもボタンでもない声が俺の前に聞こえて来る。この声はティアドロップだ。ティアドロップは向かい合うように向こうの椅子に座って俺の事を見ていた。

 

「貴方の言葉…信じてもいいのですね?」

 

ティアドロップは真っ直ぐ俺を見つめながら震えた声でそう言った。まるで何かに怯えているような様子だったが、今の俺にはそんな事を考察する余裕も無く、ただその質問に答える事しか出来なかった。

 

「あ、あぁ。」

 

「…分かりました。でしたら他のカードを使っても構いません。…ただし。」

 

ティアドロップはテーブルに身を乗り出して両手を俺の頬に触れさせた。ティアドロップの手に伝わる体温が俺の頬に伝わってくる。そして自分だけを見ろと言わんばかりに俺の顔を固定させる。そしてティアドロップは小さく微笑んでこう言った。

 

「浮気はいけませんからね?」

 

「浮気って…俺とお前は恋人でも何でも」

 

「いけませんからね…?」

 

俺の冗談まじりの言い草が気に入らなかったのかティアドロップはいつもよりトーンが低い声でもう一度忠告をした。俺はそのティアドロップを恐れ、咄嗟に顔を背けるが、顔を背けた先にはボタンがティアドロップと同じような雰囲気で俺を見つめていた。さらに俺の腕の中にいるシクランまで同じ雰囲気を醸し出していた。それだけじゃない、姿を表してない皆もまるで俺を見つめているような気がした。

 

「わ、分かった…」

 

恐怖で震えた声で俺は情けなくそう言った。するとティアドロップ達は先程の雰囲気が無かったかのような笑顔を見せた。

 

「では、デッキ作り頑張って下さいね。私もお役に立てるように頑張りますからね!」

 

「私も〜!あ、絶対1枚は入れてよね!」

 

「私も邪魔にならないように一旦カードの中に入るネ。」

 

そう言って六花達は俺の前から姿を消した。俺は先程のプレッシャーの空気からようやく抜け出せた気がして、全身の力が抜かれたかのように椅子にもたれ掛かる。

 

「…とりあえずデッキを組み直さないと。」

 

俺はさっきの事を忘れようとするようにデッキ作りに没頭した。こうでもしないと、さっきのティアドロップの顔を思い出すようでならないからだ。しかし、六花のカードを抜く度にそれを拒んでいるかのように手が震えてしまう。何とかカードを抜いたとしても先程の恐怖がまとわりつくようでならない。

 

「大丈夫…捨てるわけじゃない。絶対に使うから心配するな…」

 

それは自分への慰めか六花達に言ったのかどちらかに言ってるのか分からなかった。ただ確認するようにそう呟いただけで意味なんてないのかもしれない。俺は一人静かにデッキ作りに励んだ。

 

 

 

 

 

 

 

もっと強くなりたい。今日までその事を渇望した事は無かった。私達が強ければそもそもこんな事にはならなかったかもしれない。私達が強ければ、あの女に弱いと言われずに花衣様との繋がりを断ち切られる心配は無かった。

他の女のモンスターなんて必要ない。ずっと私達だけで良いようなそんな力が欲しい。そうすればデッキ作りに悩む時間は、私達とどのように過ごすかで悩んでくれるし、カードを見つめるその目だって私達を見つめる目となり、カードに触れるその手も私達を優しく触れてくれる手に変わる。

 

「もっと…もっと…」

 

私の中でそんな想いが雪のように積もっていくのを感じた。それは純粋な愛でありながら、他の全てを拒む愛でもあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん〜これも良いけど…こっちの方も良いかな?いやこっちも捨て難い…」

 

使えそうなカードを見つけてはまた別の良いカードの繰り返しでどんなカードが良いか目移りしてしまう。

 

悩んだ末に俺のデッキはこのようになった。

 

【モンスターカード】 22枚

 

六花のひとひら×3

 

イービル・ソーン×3

 

ローンファイア・ブロッサム×1

 

六花精プリム×1

 

六花精シクラン×1

 

六花精ボタン×2

 

六花精エリカ×1

 

六花精スノードロップ×3

 

六花精ヘレボラス×2

 

光の王マルデル×2

 

ギガプラント×2

 

【魔法カード】13枚

 

ワン・フォー・ワン×2

 

墓穴の指名者×2

 

六花絢爛×2

 

六花の風花×2

 

貪欲な壺×3

 

強欲で金満な壺×2

 

ハーピィの羽根帚×1

 

 

【罠カード】9枚

 

六花の薄氷×3

 

六花深々×3

 

無限泡影×3

 

 

【エクストラデッキ】15枚

 

六花聖ストレエレナ×3

 

六花聖カンザシ×2

 

六花聖ティアドロップ×3

 

No.87雪月花美神クイーン・オブ・ナイツ×2

 

No.107銀河眼の時空竜(ギャラクシーアイズタキオンドラゴン)×1

 

妖精騎士イングナル×2

 

アロマセラフィージャスミン×2

 

 

少しメインデッキの枚数が40枚より上になったが、少しなら大丈夫…だろう。結局、俺は六花中心のデッキを組んでしまった。さっきのティアドロップの顔を見たせいもあるかもしれないが、俺は初めて組んだ六花で勝ちたい心が自分の中にあったのかもしれない。

デッキ作りに没頭してた俺はいつの間にかどうすれば六花達の効果を最大限活かせるのかどうかを考えていたからだ。

 

「その様子だとデッキは完成したみたいね。」

 

「うわっ!?いつの間にそこに居たんですか?」

 

いつの間にか俺の隣の席に座っていた店長さんを見て、俺は椅子から立ち上がりそうな程驚いた。

 

「ん〜ほぼずっとかな?花衣君が楽しそうにデッキを組んでるのを見て思わず黙って見ちゃった。」

 

店長さんが笑顔を見せると、それに合わせるようにデッキから六花達の圧が強くなる。頼むからその圧を出すのは辞めてくれ…俺の気が持たない。

 

「じゃあ早速デュエル!…と言いたいけどもう他のお客さんが来ちゃうから私とする訳にはいかないし…」

 

「じゃあ私がやりましょうか?店長さん。」

 

突然他の女性の声が聞こえ、俺と店長さんはその声がした方向に顔を向ける。そこには肩までかかってる緑色の髪に、白のスカートと一体になってる白い服に少し明るい緑色のカーディガンを着ていた。

 

「あら花音(かのん)ちゃんいらっしゃい。今日は1人なのかしら?」

 

花音と呼ばれた彼女は丁寧にお辞儀をして、店長さんに挨拶した。かなりの育ちの良さを感じる割には髪を染めたりはっちゃけてるなと思う。

 

「そうですね。明日はここで大会がありますし、少しデッキの改良をと…」

 

「あら、だったらこの花衣君と一緒ね。花衣君も初心者で明日の大会に出るつもりなのよ。」

 

「え!そうなんですか!良かった…私と同じ初心者がいてくれて!」

 

「ど…どうも。」

 

俺は名前を呼ばれたので椅子から立ち上がり、花音に軽く挨拶をした。花音も丁寧にお辞儀を返してくれた。

 

「こんにちは。私は咲初 花音(さきそめ かのん)です。咲き初めの漢字に花の音でかのんです。」

 

「あぁこれはどうも、俺は桜雪 花衣(おうせ かい)です。」

 

「おうせ…かい…?ごめんなさい。どのように書くのでしょうか?」

 

「まぁ、あまり聞かない苗字だからな。桜の雪でおうせで花の衣でかいだ。」

 

一応俺はスマホで自分の苗字名前の漢字をスマホで打って花音に見せた。

 

「まぁ、同じ花がついてるもの同士ですね!やっぱり植物族を使っているんですか?」

 

同じ名前に【花】がついてるもの同士で親近感が湧いたのか、花音はグイグイと心の距離を近づかせる。

そして忘れてはならない。六花達の圧がこれまで以上に強くなってる事を。

 

「…花衣様?言いましたよね?浮気は駄目だって。あのお言葉は嘘だったのですか?違いますよね?そうですね?そうでないとダメですよ…」

 

突然ティアドロップが俺の後ろに憑くように現れ、そのまま俺の肩を掴む。決して強く握られては無いが、俺の額にダラダラと冷や汗が流れ出る。姿こそ出てきてないが他の六花達も同様な視線を送ってくるのが俺の肌を通して伝わってくる。だがそんな事は目の前にいる咲初(さきそめ)

には見える訳が無いので俺は喋る事も出来ずただ黙ってる事しか出来ない。もしここでティアドロップと話すと目の前の咲初との会話が成り立たなくなる&変な奴だと思われるので俺は咲初の会話を繋げることにした。

 

「そ、そうなんだよ。ほら、これが俺のデッキ【六花】だ。今改良が終わった所なんだ。いや〜このデッキ1boxで出来たからさ。ほんと運命の出会いみたいな感じで!」

 

俺は会話をしながらもティアドロップを落ち着かせるような言い分をして何とか咲初との会話を成り立たせようとした。その場で思いついた言い分だが、ティアドロップの様子が少し落ち着いたようで俺の肩を掴んでいた手を離して恥ずがしがるように両手で自分の頬を添えていた。

 

「そ、そんな…運命の出会いだなんて…!当然じゃないですか!だって貴方と出会う事は()()()()()()()()()()()!」

 

(…?今ティアドロップはなんて言ったんだ…?()()()()()()…?)

 

俺はティアドロップが言ったことを一瞬気になったが、またいつもの事だろうと今この時は流し、今は咲初との会話を優先する。

 

「やっぱり植物族なんですね!私も【アロマ】デッキを使ってるのですよ。ほら、これが私のデッキです。」

 

咲初は小さい肩掛けバックからデッキケースを取り出すとその中のデッキを俺に見せた。【アロマ】…そうだ、確か俺が入れたカードに【アロマセラフィージャスミン】がいたはずだ。恐らく、それに関連するカードを集めたデッキなのだろう。

 

「ですからその…貴方が良ければ私とデュエルしませんか?」

 

咲初からデュエルを申し込まれたが、それは願ったり叶ったりの展開だった。丁度改良したデッキを試したいと思っていた所だ。俺はその誘いに乗り、咲初は向かいのテーブルの椅子に座る。

 

「やった!それじゃあよろしくお願いいたします。」

 

「それじゃあ私はお仕事に戻るわね。どっちも頑張ってね!」

 

店長さんはレジに戻り、このデュエルスペースには俺と咲初と…咲初には見えないがティアドロップの3人きりになった。

 

「それじゃあ始めましょう!あぁ…友達以外とデュエルするのは初めてだから緊張します…」

 

そういえば…俺も友達以外とやるのは初めてだったな…

俺は少しの不安と緊張を持ったが、それ以上に相手がどんな戦法で来るのか楽しみという好奇心の方が強かった。

俺は咲初と向かい合うようにテーブルの椅子に座り、デッキをテーブルの上に置く。改めて咲初の顔を見るとそこには緊張と楽しみが混じったいい顔をしていた。

しかし、それだけではなかった。一瞬だが、咲初の後ろに誰か人影のようなものがあった。俺は目を凝らしてその場所をよく見ると確かにそこに人はいた。

その子は俺や咲初より背丈が小さく、プリムやシクランより少し背が小さい子供で床まで届きそうな長い銀色の髪をしていた。そしてその子は俺が自身を見ている事に気づいたのか咲初の後ろに縮こまるように隠れてしまう。あれは…確か店長さんに見せてもらったカードの中にあったはずだ。確か…【アロマージジャスミン】と言うモンスターカードだった筈だ。という事は…咲初は俺と同じようにデュエルモンスターズの精霊が…!?

 

「さぁ、始めましょう!」

 

そんな俺の考えを無視するように咲初は楽しそうにデュエルを始めようとした。

 

ここまで(〜90話)出てきたレゾンカードの中で強いと思うのは?

  • 六花聖華ティアドロップ、カイリ
  • 閃刀騎-カイムと閃刀騎-ラグナロク
  • 銀河心眼の光子竜
  • RRRリノベイルイグニッションファルコン
  • 炎転生遺物-不知火の太刀
  • 常闇の颶風
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