六花テーマを作って愛用したらそのまま俺への愛が重くなった件について 作:白だし茶漬け
この度、この話を投稿しましたが、謝って編集前の本文を投稿してしまいました。
こちらの管理不足が招いた事でこのような事になってしまい、大変申し訳ありませんでした……
遊戯王には名前に【神】とついているカードが多数存在するがもう1つ、属性に【神】があるカードがあり、それらは神のカードと呼ばれている。
そのカードは3枚あり、一つはオベリスクの巨神兵。もう1つはラーの翼神竜。そして最後は、今フィールドに降臨している赤い鱗を纏った無限にも思えるような体を持った竜、オシリスの天空竜だ。
そんなオシリスの天空竜が今、年端もいかない少女の下に使役されているのがなんとも言えない光景だった……
オシリスの天空竜
レベル10/幻神獣族/ATK????/DEF????
「オシリスの攻撃力は、私の手札×1000ポイントになる!私の手札は今3枚だから、攻撃力は3000になる!」
オシリスの天空竜 ATK3000
「バトルだよ!私は【オシリスの天空竜】でセットモンスターに攻撃! 」
上下あるオシリスの下の口が開き、そのまま雷の如く雷光をセットモンスターであるシャドール・ドラゴンに浴びせると、シャードル・ドラゴンは声も挙げずに消滅した。
「【シャードル・ドラゴン】のリバース効果発動。相手モンスター1体を手札に戻す 」
「でもオシリスは召喚したターンはモンスターと魔法と罠の効果は受けないよ! 」
「……私は【ふわんだりぃず×すのーる】を手札に戻す 」
「私はカードを1枚伏せてこれでターンエンド! 」
1ターン目 後攻終了
ロゼ:残りライフ 8000 残り手札2枚
③□□□□
□①□②□
□ □
□□④□□
□□□□⑤
プリム:残りライフ 8000 残り手札3枚
①:エルシャドール・ミドラーシュ
②:シャドール・ドラゴン(裏側守備表示)
③:伏せカード
④:オシリスの天空竜
⑤:伏せカード
完全にペースはプリムに傾いており、ロゼはほぼ何も出来ない状態でいた。特殊召喚したとしても、オシリスは召喚したモンスターの攻撃力を2000下げ、それが0になれば破壊する強力なカードもある。下級モンスターなんか出したら即終わるこの状況……どうする、ロゼ?
「私のターン、ドロー 」
流石のロゼもこの状況ではどうする事も出来ないのか、手札を見て長考していた。
「キツそうだな……ロゼ 」
「だが、シャードルデッキはリバーステーマだ。オシリスは裏側表示までは効果は使えない。それを上手く使うしか無いが…… 」
「ロゼちゃん……! 」
同じ閃刀姫のレイもこればかりは心配し、神に祈るように両手を合わせていた。最も、その神様もプリムが使っているんだが……
「私はモンスターをセット。そしてミドラージュを守備表示にしてターンエンド 」
2ターン目 先攻終了
ロゼ:残りライフ 8000 残り手札2枚
③□□□□
□①□②□
□ □
□□④□□
□□□□⑤
プリム:残りライフ 8000 残り手札3枚
①:エルシャドール・ミドラーシュ(表側守備表示)
②:セットモンスター
③:伏せカード
④:オシリスの天空竜
⑤:伏せカード
やはり場にミドラージュが存在しているから展開しづらいのか、それとも手札に動かせるほどのカードが無いのか、ロゼは何も出来ずに終わって行った。
「私のターン、ドロー!ええと、じゃあ私は【ふわんだりぃず×とっかん】をもう1回召喚!鳥獣族が召喚されたから、除外されているふわんだりぃずは手札に戻るよ。でも1枚だけ残して、とっかんの効果で1枚回収〜! 」
「プリムちゃん、さっきも同じ様な事をしてましたがどうしてわざわざ効果を使って戻せるカードを手札に加えてるんでしょうか……? 」
「そうじゃないと追加召喚が出来ないからですよ。全部のモンスターが自前の効果で手札に戻してしまうと、効果が使えなくてもう召喚は出来なくなりますからね 」
「なるほど…… 」
またも花音の疑問に答えた彼方さんだが、説明すればする程彼方さんの落ち込み具合が目に見えて大きくなっていた。やっぱりふわんだりぃずとは戦いたく無いんだろうなぁ……
「とっかんの効果を使ったから、私はもう1回召喚できる!私が召喚するのは、【ふわんだりぃず×いぐるん】!いぐるんが召喚されたから、デッキからレベル7以上の鳥獣族の【ふわんだりぃず×えんぺん】を加えるよ加えた後は〜追加召喚!私は【ふわんだりぃず×すとりー】を召喚! 」
次々と渡り鳥が帰ってくるかのようにフィールドにはオシリスの周りにふわんだりぃずの鳥たちが飛び交い、フィールドはある意味のカオスと化していた。
「すのーるの効果で私は【招神鳥-シムルグ】を加えるよ 」
「シムルグ? 」
「あー……それもあるのか…… 」
「すとりーの効果を使ったから更に追加召喚!私はもう一回召喚!今度はすとりーととっかんをリリースして、もう一回【ふわんだりぃず×すのーる】を召喚!すのーるの効果で、私は3回通常召喚出来る! 」
『おおっとここに来て怒涛の展開だ!しかし、その分オシリスの攻撃力が下がるが大丈夫なのかな!? 』
「いや……それ程心配はしなくて良いと思うけどな 」
彼方さんは嫌な予感が来ると予測しているかのように頭を抱えていた。
「まずは〜【招神鳥-シムルグ】を召喚!召喚時効果で、私は【絶神鳥-シムルグ】を手札に加えて召喚〜!そしてこの2体をリリースして、【ふわんだりぃず×えんぺん】を召喚〜! 」
ふわんだりぃず×えんぺん
レベル10/鳥獣族/ATK2700/DEF1000
「えんぺんが召喚されたら【ふわんだりぃず】の魔法・罠カードを手札に加えられるけど、もう持ってないんだよね……でも、えんぺんが召喚されたから、除外している【ふわんだりぃず×すとりー】と【ふわんだりぃず×とっかん】を回収するね 」
「い、今プリムの手札って何枚ですか? 」
「4枚だ。よってオシリスの攻撃力は……4000 」
オシリスの天空竜 ATK4000
「バトルだー!私は【ふわんだりぃず×すのーる】でセットモンスターに攻撃!すのーるの効果で、私のモンスターは貫通効果を得るよ! 」
「て事は……守備表示にしても意味ないじゃないか! 」
すのーるがセットモンスターに突撃すると、セットモンスターは恐らくシャドールモンスターであろう紫と金の装甲を纏ったトカゲの様なモンスターは、あっさりとすのーるの突撃貫かれた。
『おおっとこのセットモンスターは【シャドール・リザード】!このモンスターの守備力は1000なので、1900のダメージだ! 』
ロゼ 残りライフ 8000→6100
「リバースしたモンスターは【シャドール・リザード】!リバースした事によって相手モンスターを一体破壊する! 私は【オシリスの天空竜】を破壊! 」
シャドール・リザードの残骸から紫の槍がオシリスの天空竜へと向かっていき、オシリスは召喚したターンを過ぎると耐性が無くなる。これでオシリスを破壊出来れば状況は少し楽にはなるが……
「させないよ!罠カード【シフトチェンジ】!その対象を【ふわんだりぃず×すのーる】に変更! 」
紫色の槍はオシリスからすのーるへと急に起動を変え、空を飛んでいたすのーるの体に突き刺さって消滅してしまった。
「ごめんね……すのーる……。続いて【ふわんだりぃず×えんぺん】で【エルシャードル・ミドラージュ】に攻撃! 」
えんぺんは両腕をばたつかせると突然の吹雪がエルシャードル・ミドラージュを襲い、ミドラージュの顕になっている丸関節が凍りつき、そのまま氷漬けにされて破壊されてしまった。
これでロゼの場にはモンスターが存在しなくなり、プリムにはまだオシリスの攻撃が残っていた。オシリスは早く攻撃したくて疼くように巨大な口を開き、そこから雷が溢れだしていた。
「行けー!【オシリスの天空竜】でダイレクトアタックだー! 」
オシリスの攻撃はロゼの周り数メートルを巻き込む程の強力な雷となり、ロゼは4000もの大ダメージをまともに喰らってしまった。
ロゼ 残りライフ6100→2100
「くっ…… 」
「私はこれでターンエンド! 」
2ターン目 後攻終了
ロゼ:残りライフ 2100 残り手札2枚
①□□□□
□□□□□
□ □
□□②□③
□□□□□
プリム:残りライフ 8000 残り手札4枚
①:伏せカード
②:オシリスの天空竜
③:ふわんだりぃず×えんぺん
これはキツイな……フィールドには攻撃力4000のオシリスに、特殊召喚されたモンスターの効果を無効にするえんぺんがいる。それ以前に、オシリスが場にいるから召喚したら攻撃力2000以下のモンスターは速攻で破壊されてしまう。俺以上に絶望的な状況に、ロゼは何とか打開策を練ろうとマフラーを深く付けた。
(状況は絶望的……手札に対抗出来るものは無いわね。……ここで諦めるのが得策。以前の私ならそう考えていたけど )
するとロゼはいきなり俺とレイの事を見つめ、何かを思い出すようにしていた。
(花衣、レイ、貴方達2人のおかげで私は変われた。そのせいで私も諦めが悪くなったけど )
ロゼはデッキに指を置き、呼吸を整えた。
(奇跡なんて不確定な事情は苦手。そんな確率が低い物に全てをかける
_知ってるかロゼ?奇跡って言うのは……
「……奇跡は創るものっ!! 」
力強くロゼはカードを引き、その力強さは引いた風圧が辺りまで届き、プリムの服を風でめくれる程でもあった。あまりの風圧に観客全員はロゼのドローカードを固唾をのんで見守り、ロゼがドローしたカードを確認すると、マフラー越しでも分かる笑みを浮かべた。
「魔法カード【強欲で金満な壺】を発動。エクストラデッキを6枚裏側除外し、2枚ドローする 」
『ここでドローカードが来たァァァ!果たしてロゼ選手はこの盤面をどうするのか!? 』
「私は手札から【ギミック・パペット-ハンプティ・ダンプティ】を召喚 」
ギミック・パペット-ハンプティ・ダンプティ
レベル4/機械族/ATK0/DEF0
「攻撃表示!?それじゃあオシリスに破壊され……
」
「いや、それは無い 」
彼方さんこ言う通り、攻撃表示で召喚されたにも関わらず、何故かオシリスは何もせず、召喚されたモンスターは破壊されずにいた。
「私が出したモンスターの攻撃力は0。0よりも下にする事は出来ない……つまり、オシリスの効果では破壊されない 」
「でも攻撃力0で何が出来るのー? 」
「そうね、0じゃ何もできない。でも、0って言うのは無でもあるし、無限でもある。今から貴方にそれを証明する。【ギミック・パペット-ハンプティ・ダンプティ】の効果発動。手札から【ギミックパペット】モンスターを特殊召喚する。私は【ギミック・パペット-ネクロドール】を特殊召喚! 」
ギミック・パペット-ネクロ・ドール
レベル8/機械族/ATK0/DEF0
「うぅ……また攻撃力0だぁ……だけど、それは特殊召喚されたモンスターだからえんぺんの効果で効果は無効だよ!」
「そうね、だけどこのモンスター達はただのリリース要因。私が次に出すカードで、この盤面は覆る 」
「へ?でも通常召喚はもう終わったんじゃ…… 」
「魔法カード発動【
ここでロゼも負けじと追加の召喚権が使えるカードを出してした。ロゼの残り手札……1枚。そしてあのカードはさっき【強欲で金満な壺】で引いたカードでもあった。
「私は【ギミック・パペット-ネクロ・ドール】と【ギミック・パペット-ハンプティ・ダンプティ】をリリース! 」
2体のギミック・パペットが黒い光となって消えると、その光が合わさり、悪魔のような翼を持ったモンスターがその翼で身を隠し、額に大きな目を開かさた。
開いた目が動くと同時に翼がゆっくりと広げられ、そのモンスターの全容が明らかとなった。
白と青が半分に別れた神に、男でも女でもあるかのような体……そして、研ぎ澄まされた爪と足は、間違いなく俺の知っているモンスターでもあった。
「現れなさい……【ユベル】!! 」
ユベル
レベル10/悪魔族/ATK0/DEF0
「こ……ここでユベル!? 」
「確かにこの状況を打開出来るモンスターだな。にしてもまさかあの状況で引くとは……君譲りの引きの良さだな 」
彼方さんが笑ってそう言ったが、あんな風にピンポイントで目当てのカードを引くのは中々無い。あれしか無かったとは言え、ロゼがあんな確率の低い戦法を取るなんて意外でもあり、どちらかと言うと俺はそこに驚いていた。
「だけど、確か【ユベル】ってエンドフェイズにモンスターをリリースすると破壊されるんじゃ…… 」
「いえ、ロゼちゃんならそれも織り込み済みの筈! 」
「私は永続魔法【進撃の帝王】を発動。このカードが存在する限り、アドバンス召喚したモンスターは効果の対象にならず、効果では破壊されない 」
1ターン目から伏せていたセットカードはまさかの永続魔法だった。アドバンス召喚という事は……ユベルは自壊されないし、通常召喚だからえんぺんの効果も受けない。正しく今の状況に最も相応しいカードであり、会場は大盛り上がりした。
「私はこれでターンエンド。エンドフェイズ時にユベルの効果は発動するが、【進撃の帝王】により、ユベルは破壊されない 」
3ターン目 先攻終了
ロゼ:残りライフ 2100 残り手札0枚
①□□□□
□□②□□
□ □
□□③□④
□□□□□
プリム:残りライフ 8000 残り手札4枚
①:帝王の進撃
②ユベル
③:オシリスの天空竜
④:ふわんだりぃず×えんぺん
「やった!状況を打開しました!これでロゼちゃんは何とかなりましたね!花衣さん! 」
「あぁ、凄いなロゼ…… 」
奇跡のドローで状況は打開され、会場の盛り上がりは最高潮となり、あまりの嬉しさなのかレイは溢れんばかりの思いで俺に抱きついてきた。気持ちは分からなくも無いから振りほどくことはせず、そのまま俺はロゼのデュエルを見守ったが、何故か近くにいた彼方さんが難しい顔をしていた。
「いや……状況は打開はしてない。むしろ拮抗状態だな 」
「どういう事ですか? 」
「【ユベル】は攻撃対象にされないと相手に戦闘ダメージが取れないモンスターだ。いくら戦闘では破壊されなくとも、攻撃されなければ意味が無い。このままプリムがターンを稼ぎ、【サイクロン】見たいな除去カードで【進撃の帝王】を破壊されれば…… 」
「あ……ユベルはコストを支払えずに破壊される 」
「そうだ。だからこれは……どちらかが決め手のカードを引くまでの勝負になる 」
なるほど、まだ勝負はこれからって言うことか……
「私のターンドロー!魔法カード【リロード】を発動!手札を全部デッキに戻して、戻したぶんドローするね!私は4枚戻して、4枚ドロー! 」
プリムも負けじとドローカードを引き、一気に4枚もカードをドローした。果たして除去カードは来たのだろうか……
「うーん、残念!無い!何かを出しても仕方ないからターンエンド! 」
3ターン目 後攻終了
ロゼ:残りライフ 2100 残り手札0枚
①□□□□
□□②□□
□ □
□□③□④
□□□□□
プリム:残りライフ 8000 残り手札4枚
①:帝王の進撃
②ユベル
③:オシリスの天空竜
④:ふわんだりぃず×えんぺん
見ているこっちがハラハラするような長期戦だ。僅かカード1枚出るだけでどっちの勝ちか決まるこのドロー……瞬き1つでも許されず、誰もが息をすることを忘れていた。
「私のターン、ドロー。私はカードを1枚伏せてターンエンド」
4ターン目 先攻終了
ロゼ:残りライフ 2100 残り手札0枚
①⑤□□□
□□②□□
□ □
□□③□④
□□□□□
プリム:残りライフ 8000 残り手札4枚
①:帝王の進撃
②:ユベル
⑤:伏せカード
③:オシリスの天空竜
④:ふわんだりぃず×えんぺん
『ここで先に動いたのはロゼ選手だ!果たしてあのカードはこの状況を打開するカードか、それともただのブラフなのか!? 』
ここでロゼはプリム相手に揺さぶりをかけ、プリムは口を尖らせ、目を細くしながら伏せカードに対してかなり警戒をしていた。
「彼方さん、もしロゼがこの状況を打開出来るようなカードだったら、例えばどんなのですか? 」
「うーん、今の状況なら……【激流葬】辺りだと思うけどな……ロゼがこの状況で何が1番辛いかと言うと、プリム達にダメージが与えられず、除去カード1枚で盤面が崩されるのが辛い所だ。だからまず、崩されても良いようにあのモンスター達をどうにかしたいのが現状な筈だ 」
確かに……頼みの綱のユベルが破壊され、もしユベルの進化形態モンスターがデッキに居なければロゼのフィールドががら空きになり、総攻撃どころかオシリスの攻撃でロゼのライフは消し炭となり、デュエルに負けてしまう。
果たしてプリムにこの読み合いを制する事ができるのか……
「私のターン、ドロ〜!あ、来た!魔法カード【ツインツイスター】を発動!手札を一枚捨てて、そっちの伏せカードと魔法カードを破壊! 」
プリムの手札から2つの竜巻が永続魔法と伏せカードを吹き飛ばし、これでユベルの自壊は免れない。しかも伏せカードがこのタイミングで発動しないという事は、やはり激流葬の様な召喚したタイミングで発動する罠カードだったろうか……?
「かかったわね。もう少し我慢というものを覚えた方がいいわよ 」
「ほぇ? 」
「貴方が破壊した伏せカードは……【やぶ蛇】!伏せた状態でこのカードが破壊された時、エクストラデッキからモンスターを特殊召喚する 」
やぶ蛇って確か……俺が特訓している時にロゼが使ってたカードか。まさかあれが来るなんてな……このタイミングで来るとは誰しもが思わず、プリムもこの場にいる全員も度肝を抜かされていた。
「で、でもえんぺんの効果で特殊召喚されたモンスターは効果が発動出来ないですよね? 」
「そう、攻撃表示ならな 」
「やぶ蛇の効果で私が召喚するのは……このカード、【召喚獣アウゴエイデス】!守備表示! 」
ロゼの背後に何やら人型の……像見たいな物が現れ、召喚された瞬間像の手から光の糸が無数にえんぺんに伸びると、エンペンは破壊された。
召喚獣アウゴエイデス
レベル10/魔法使い族/ATK2000/DEF2800
「【ふわんだりぃず×えんぺん】は、攻撃表示のモンスターしか効果を無効に出来ない。そしてエイデスは召喚成功時、相手モンスターを一体破壊する。私は邪魔なえんぺんを破壊したわ 」
「でも守備表示なら簡単に破壊できちゃうもんね! 」
「そうね、だけどこれで状況は楽になった。まだまだこれから 」
「じゃあこのままバトル!行けー!オシリスー! 」
オシリスのサンダーフォースはエイデスを無惨にも粉々にし、これでフィールドにはユベルが残ったが……リリース要因がいなくなったユベルはこのターンこのフィールドに残ることは無い。
だが、モンスターが破壊された瞬間、突然残骸の中からミサイルの様な物がオシリスに直撃し、オシリスがフィールドから破壊されてしまった。
「えぇ!?何何!?何で!? 」
「モンスターが破壊された時、墓地の【ミサイル・ナイト】を除外する事で、攻撃したモンスターを破壊する 」
「え!そんなのいつ使ったの? 」
「最初のターンで【手札断殺】を使ったでしょ。あの時捨てた2枚の1つがそれよ 」
「み、【ミサイル・ナイト】?聞いた事ないカードだな…… 」
「【ミサイル・ナイト】はZEXALで出てきた末OCGのカードだ。……やはりあんなカードも使えるのか 」
「え、じゃあ本来は存在しないカードってことですか? 」
「そうなるな。……徐々にだが【あっち】の世界になりつつあるのが感じられるな 」
彼方さんが言った【あっち】とは恐らく、俺と彼方さんが知る物語の遊戯王の事だろう。ほかの皆はミサイル・ナイトが元からあったカードだと認識しているが、俺と彼方さんは違う。……何なんだホントにこの世界は……。
4ターン目 後攻終了
ロゼ:残りライフ 2100 残り手札0枚
□□□□□
□□□□□
□ □
□□□□□
□□□□□
プリム:残りライフ 8000 残り手札3枚
さっきまでフィールドにはモンスターや伏せカードがあったのに、激しい攻防の結果フィールドは更地になってしまった。
「あの場面を乗り切ったのか……」
「いやプリムの手札の中に2100以上のモンスターが召喚できる物があればその時点でロゼの負けだ。……乗り切ったと言われると微妙だな 」
彼方さんも見事言わんばかりの賞賛の笑みを浮かべ、ライフ差こそあるが形勢はロゼに傾きつつあった。だけどプリムはまだ手札を3枚もある状況……油断はできない。
「私のターン!ドロー!えへへ、凄いねロゼ!何だか楽しくなってきちゃった! 」
「楽しく……? 」
「うん!次はどうしようかなとか、これを出したらどうなるのかなとか、私の胸の中で一杯になってるの!だからすごく楽しい! 」
「……純粋だな、まるで俺と君が最初にデュエルしたあの時のようだ 」
「え?俺、あんな感じでしたか?」
「あぁ。不利な状況を諦めずにただ真っ直ぐ見つめるあの目……間違いなく同じだ。あの時の君は笑ってもいたさ 」
自分の顔は自分では見えないからそんな事全然知らなかった……いや、忘れていただけなのかも知れない。
ここ最近、俺の周りにはおかしな事ばかり起きており、その情報量の多さは俺の身が押し潰されそうな程であり、時には命を落とす様なこともある。
現に俺……蟲惑魔達にやられそうになったし。
だから笑う事なんて最近無いし、笑おうともしなかった。それのせいなのか、最近のデュエルも昔のように楽しめなくなっている自分もいた。
これじゃあまるで……昔の俺のようだ。
「……花衣様?どうかなされましたか? 」
いち早く俺の異変に気づいたティアドロップは心配している目を向け、俺の膝に乗っているストレナエも同様に俺を見上げていた。
「大丈夫花衣君?どこか具合が悪いの? 」
「大丈夫だ2人とも。ありがとうな 」
2人に感謝の言葉を述べ、心配させまいとストレナエの頭をポンと撫で、ストレナエの機嫌をとろうとしたが……やはり心配は拭えきれず、ストレナエは靄がかかったかのように顔を曇らせた。
「何かあったら私達に言うんだよ?私、何でもするから! 」
「……あぁ 」
俺は笑ったが、ストレナエは何も言わず、体を俺の体に寄せた。
気持ちを切り替えてデュエルに目を通すと、何やらプリムが仕掛けて来そうだ。
「こうなったらこれで勝負!魔法カード【クイズ】!今からロゼは私の墓地にある一番下のモンスターを答えてね!正解だったらそのモンスターは除外して、不正解だったら特殊召喚するよ! 」
『ここでまたもや盤面をかき乱す様なカードがきたぁぁ!さぁ、ロゼ選手はなんと答えるのか! 』
「一番下のモンスターって事は……一番最初に墓地に行ったモンスターですよね。ええと確か……」
「分かった!【ふわんだりぃず×すのーる】だ!ふわんだりぃずの上級モンスターは除外せずに墓地に行くから!そうだよね?花衣君! 」
花音より先にストレナエが元気よく手を挙げて答えを出した。確かにフィールド上で墓地に行った最初のモンスターはふわんだりぃず×すのーるだが……なんか引っかかるんだよなぁ。
ストレナエが合ってるかな?と言っているが残念ながら俺に自信は無く、彼方さんに任せるように目線を送り、彼方さんが代わりに答えてくれた。
「確かにフィールド上で最初に墓地に送られたのは【ふわんだりぃず×すのーる】だ。だけど……ロゼが最初に【手札断殺】を発動したからプリムも同じように最初のターンにカードを2枚捨てた筈だ。あの2枚の中にモンスターかーが入っていれば、その時点で特殊召喚される 」
「じゃあつまり…… 」
「……恐らくだが、ほぼ確実に外れるな 」
「……貴方、本当に何かしらかき乱すのが好きね 」
「そう?私はやりたい事をやってるだけだよ 」
「無邪気さもここまで来ると厄介ね…… 」
「そんな事よりも早く答えてよ〜!後10秒だからね! 」
プリムがゆっくりとカウントダウンを始めると、ロゼはマフラーで口元を覆わせてなんのモンスターか考えていた。
選択肢はおおよそ【ふわんだりぃず×すのーる】ぐらいしか無さそうにも思えるが……
「……私が答えるのは【ふわんだりぃず×すのーる】よ 」
果たしてどうなる……?ロゼが答え、プリムが一番下に眠るモンスターを確認すると、すぐ答えは出た。
「…………ぶっぶー!ざんねーん!正解はこのカード!こーい!【カタパルト・タートル】!」
カタパルト・タートル
レベル5/水族/ATK1000/DEF2000
「更に永続魔法【水舞台】を発動!これで私の水属性モンスターは戦闘では破壊されないよ! 」
「あれって……!へぇ、結構メカメカしいんですね彼方さ…… 」
「さ……サイエンカタパワンキル…… 」
また彼方さんが呪文を唱えているけど落ち込み具合からしてろくなものでは無いのは確かだった。
「行くぞー!【カタパルト・タートル】でダイレクトアタックー!うて〜! 」
カタパルト・タートルの上部から弾丸の様なものがレールから射出されると、ロゼはその衝撃でダメージを受けてしまった。
ロゼ残りライフ2100→1100
「カードを1枚伏せて、私はこれでターンエンド! 」
5ターン目 後攻終了
ロゼ:残りライフ 1100 残り手札0枚
□□□□□
□□□□□
□ □
□□①□□
□□②□□
プリム:残りライフ 8000 残り手札2枚
①:カタパルト・タートル
②:水舞台
「私のターン、ドロー 」
結構な長期戦となったデュエルは6ターン目に入り、ロゼはカードをすかさずドローした。するとロゼはドローしたカードを見つめた。
「……ターンエンドよ 」
6ターン目 先攻終了
ロゼ:残りライフ 1100 残り手札1枚
□□□□□
□□□□□
□ □
□□①□□
□□②□□
プリム:残りライフ 8000 残り手札2枚
①:カタパルト・タートル
②:水舞台
『まさかのターンエンド!!ついにここで幕引きとなるのか!? 』
「……逆転のカードを引けなかったのか 」
誰もが諦めた。そう考えていた。だけど俺とレイ、そして六花達は他の誰とも違っていた。
「いえ、そんな事無いですよ。ロゼちゃんの目は死んでません 」
そう、ロゼの目はまだ死んでない。じっと息を潜めて獲物を待つ獣のように、密かにチャンスを伺っていた。マフラーの奥の気高き目が、そう物語っていた。
「私のターン!よーし、これでトドメ!行けー!【カタパルト・タートル】でダイレクトアタックー! 」
これが決まればロゼのライフは尽きる。セットカードも無ければモンスターもいない状況で、ロゼを守れるカードと言えばあの手札一枚だけだ。カタパルト・タートルが弾丸をロゼに向けたその瞬間、ロゼがそのカードを墓地に捨てた瞬間、ロゼのフィールドに杖を持った緑髪の女神が氷のブレスを吹き飛ばし、杖を掲げて緑の光を溢れだし、そのままカタパルト・タートルが光にのまれるように破壊された。
「ええ!?なんでなんで!? 」
これにはプリムだけではなく会場全員ざわめき、ロゼはあるカードの名前を口に出す。
「私が捨てたカードは【煌々たる逆転の女神】。フィールドにモンスターが存在せず、手札これ一枚の時、相手が攻撃した時に墓地を送ることによって相手モンスターを破壊するカードよ 」
「うう~ここでそれを引くなんて~! 」
またしても勝ちを逃したプリムはまた悔しそうに地団太を踏み、それでもロゼはまだなにか動いていた。
「更にモンスターを破壊した後、私はデッキからモンスターを特殊召喚できる。私はデッキから【スプライト・ブルー】を召喚! 」
スプライト・ブルー
レベル2/雷族/ATK1100/DEF1000
「このモンスターが召喚した時、私は【スプライト】モンスターをデッキから手札に加える。私は【スプライト・ジェット】を手札に加える 」
なにやら黒いジャケットを着た雷のモンスターが現れ、それを見た彼方さんはふわんだりぃずを見たかのように顔を青ざめ、トラウマのようなものに入っていた・
「【スプライト】もあるのか……はぁ 」
多分だけどふわんだりぃずとにたようなカテゴリーだろうか、そっとしておこう……
「ぐぬぬ……もうこれしかないかな……カードを一枚伏せてターンエンド!」
7ターン目 後攻終了
ロゼ:残りライフ 2100 残り手札1枚
□□□□□
□①□□□
□ □
□□□□□
□□②③□
プリム:残りライフ 7700 残り手札2枚
①:スプライト・ブルー
②:水舞台
③:伏せカード
「私のターン!私は【スプライト・ジェット】を召喚 」
スプライト・ジェット
レベル2/雷族/ATK1100/DEF700
「ジェットの効果で私は【スプライト・スターター】を加え、私はレベル2の【スプライト・ブルー】と【スプライト・ジェット】でオーバレイ!ランク2【ダイガスタ・フェニックス】を召喚!」
ダイがスタ・フェニックス
ランク2/エクシーズ/炎族/ATK1500/DEF1100
ロゼのフィールドから炎を纏った緑の大鳥が現れ、ロゼはすかさず効果を発動した。
「【ダイガスタ・フェニックス】の効果発動!エクシーズ素材を1つ取り除き、フィールドの風属性モンスター1体はこのターン2回攻撃ができる。私は【ダイガスタ・フェニックス】を対象にし、2回攻撃する!【ダイガスタ・フェニックス】で貴方に2回攻撃!! 」
炎を纏った大鳥は2つの翼の羽ばたきで竜巻を2つ生み出し、2つの竜巻はプリムに襲い掛かり、プリムは3000のダメージを受けてしまった。
プリム 残りライフ8000→6500
「もう一度! 」
プリム 残りライフ6500→5000
「全然痛くないもんねー!」
「そう、ならもっと痛くしてあげるわ。この瞬間速攻魔法発動!【狂戦士の魂】!! 」
「ば、【狂戦士の魂】!? 」
あの名シーンを生み出したカードがまさかロゼが使うとは思わず、俺は思わずストレナエを抱えたまま席から立ちあがった。
「わわ!花衣君どうしたの!? 」
「え、あぁ……ごめん。なんか意外なカードが来たからさ…… 」
興奮を抑えるように席に座り、ロゼの行く末を見守った。
「相手に1500の直接攻撃を与えたときに発動。手札を一枚捨て、デッキの上からカードを引き、それがモンスターカードならば墓地に送り、相手に500のダメージを与える!ます一枚目、……モンスターカード【インフェルニティ・デーモン】! 」
見事モンスターカードを引いたロゼは引いたカードを墓地に送り、ダイガスタ・フェニックスはまた竜巻を生み出してプリムにダメージを与えた。
プリム 残りライフ5000→4500
「まだよ。わたしは後7回この処理を続ける!2枚目ドロー!モンスターカード【コードブレイカー・ゼロティ】! 」
プリム 残りライフ4500→4000
「三枚目!モンスターカード【ゼロ・ガードナー】! 」
プリム 残りライフ4000→3500
「4枚目!モンスターカード【アルカナフォース0ーTHEFOOL】! 」
プリム 残りライフ3500→3000
「5枚目!モンスターカード【オプション】! 」
プリム 残りライフ3000→2500
「6枚目!モンスターカード【DDD運命王ゼロ・ラプラス】! 」
プリム 残りライフ2500→2000
「7枚目!……【ZERO-MAX】魔法カードね。この瞬間、【狂戦士の魂】の効果は切れるわ 」
「や、やっと終わった~!もう引きすぎだよ~! 」
確かにここまで6連続モンスターカードは引きすぎにも程がある。だがそのおかげでライフは並び、これで本当に勝敗は分からなくなった。
「私はこれでターンエンド 」
6ターン目 先攻終了
ロゼ:残りライフ 1100 残り手札0枚
□□□□□
□①□□□
□ □
□□□□□
□□②③□
プリム:残りライフ 2000 残り手札2枚
①:ダイガスト・フェニックス
②:水舞台
③:伏せカード
「私のターン!私は魔法カード【火炎地獄】を発動!私は500のダメージを受けるけど、そっちは1000ダメージを受ける! 」
フィールド全体にどこからともなく炎が2人を包むと、炎はまるで雪崩のように一瞬で通り過ぎ、2人のライフを奪っていった。
ロゼ 残りライフ1100→100
プリム 残りライフ2000→1500
「小賢しいわね……貴方は【ダイガスト・フェニックス】を破壊しないと負けは確定よ。その様子からすれば、貴方の手札にはもうモンスターは居ないのかしら 」
「うぅ、バレてる。そう、私の手札にもうモンスターは無いよ。だから……もうこれしかないの。私は罠カード【運命の分かれ道】を発動! 」
「っ!貴方……本当に場を引っ掻き回すのが好きね…… 」
ロゼが諦めたかのように笑い、プリムは悪戯大好きの小悪魔の様に肩を竦めて笑った。
「え、どういう事ですか? 」
「【運命の分かれ道】は言わゆるギャンブルバーンカードだ。お互いにコイントスを行い、表が出ればライフは2000回復するが、裏だった場合……2000のダメージを受ける 」
「それって……まさか 」
「プリムという子は……相手を巻き込んでこのデュエルを終わらせるつもりだ 」
場を巻き込んでのギャンブル……場をかき乱し続けたプリムにとってこれ以上無いカードであり、これでこのデュエルが終わると思うと会場全員は静まり返り、2人のコイントスの行方を見守った。
フィールド上にホログラムの2枚のコインが浮かび上がり、このフィールドを管理しているコンピュータは2人の心構えなんて知らないようにコインを上空に投げ飛ばした。
ホログラムのコインが宙を舞う中、ゆっくりと確実にコインは地面に降りていく。降りていくコインが地面に近づく度に緊張が高まり、心臓の鼓動も早くなる。
ロゼかプリムか、今このデュエルが終わりを告げるように、コインは地面にぶつかった甲高い音を2回鳴り響かせた。
コイントスの結果は………………どっちも裏だった。
「え……裏って事は……どっちも2000ダメージ?でも2人は2000以下だから……どうなるんですか? 」
「簡単だ。どっちも2000のダメージを受ける 」
ロゼ 残りライフ100→0
プリム 残りライフ1500→0
nonever WINNER Draw
運命の分かれ道のバーンカードの演出なのか、突然2人の下が爆発を起こし、2人のライフは同時に0となった。
これにより勝者は無し。引き分けという結末になってしまった。
『な、なんと!引き分け!この勝負は引き分けとなり!Aブロック第3試合は勝者なしの為、次に行う第4試合の勝者は無条件で準決勝進出となります! 』
引き分けというデュエルでは稀な結果に会場の皆はポカンとし、会場は静寂を続けた。少し重苦しい雰囲気となり、とにかく早く2人を迎えに行こうとストレナエをどけて席を立とうとしたが、その前にストレナエは大きく息を吸って、大きな声を出した。
「プリムちゃーーん!ロゼーー!2人とも頑張ったよーー!! 」
ストレナエはその後俺から離れて2人に聞こえるようにと大きく拍手をし、それを見たレイや皆も拍手し、2人に言葉を送った。
「ふ、2人とも凄かったですよー! 」
「2人ともお疲れ様ー!す、凄かったよ!本当に! 」
「見ていてハラハラするデュエルだったネー!! 」
「楽しいデュエルでもありましたよ! 」
六花達のエールに感化されたのか、会場にいたプリムとロゼに縁もゆかりも無い人達も立ち上がり、拍手を上げながら2人に言葉を送った。
「2人とも良くやったぞー! 」
「プリムちゃんナイスデュエル! 」
「ロゼもよくあの盤面を抜け出したー! 」
「このルールで良く頑張ったーー!! 」
「勝敗なんて関係ないぞー!ありがとうー! 」
静寂を包んでいた空気が一気に変わり、2人に絶え間ない拍手が響き、もしここに紙吹雪があれば2人に向けて放たれた事だろう。
ロゼとプリムはその拍手に応えるように手を振り、Mixさんは気分良く2人に向かっていった。
『2人とも良いデュエルでした!引き分けでしたがとても良いデュエルでした!最後に2人に拍手を! 』
今最高潮の拍手を背に、ロゼとプリムはフィールドから去り、それと同時に彼方さんが席から立ち上がった。
「よし、じゃあ俺も行くか 」
「なら一緒に行きますよ。プリムとロゼを迎えに行きたいですし 」
「しっかりしてるな 」
「私も行きますわ!未来の夫を出迎えるのも妻の務めだすわ! 」
「夫では無いがな 」
「あ!ちょっと待ちなさいよ! 」
彼方さんはカレンさんの言うことを適当にあしらい、そそくさと席から離れ、カレンさんは少し喚きながらも彼方さんについて行った。
「んじゃ、俺も行こうかな 」
「あ、なら私もついて行きます 」
「わ、私も行きたい! 」
「はいはーい!私も私も〜!」
いち早く声をかけたレイとストレナエとシクランは素早く俺の元に駆け寄ってきた。まぁ、3人くらいなら問題ないし、どっちもロゼとプリムと最も仲が良い3人だ。きっと1番早く労いたい気持ちもあるだろう。
俺はコクリと頷き、4人一緒に行くことにした。
「ねぇねぇ花衣君〜手繋いで行こ! 」
「はいはい、ほら 」
「か、花衣君!私も良い……? 」
「ん?良いぞ。ほら、左手だけど 」
右手にストレナエ、左手にシクランとまさに両手に花……と言っても良いのだろうか。六花達のモチーフが冬の花だからあながち間違ってはいないが、こうしてストレナエとシクランに両手に握られて一緒に歩いている姿はまるで……
「何だか親子みたいですね 」
「レイから見てもそう見えるか…… 」
「まぁ高校生のパパというのはどうかと思いますけどね 」
「ま、まぁそれは……な? 」
未成年のパパとかなんの冗談だ……そんな責任の取れないパパにはなりたくは無いかな。
「ねぇねぇパパ〜おんぶして〜 」
「誰がパパだ!! 」
突然ストレナエがパパと呼び、俺は酷く動揺した。動揺して思わずストレナエが握っている手を強く握ろうとしたが、寸前でグッと堪え、握る力はそのままにした。
「えへへ、冗談だよ!だってパパになったらお嫁さんになれないも〜ん 」
ストレナエはぎゅっと俺を寄りかかり、何時でもその座を狙っていると体で豪語していた。
「ストレナエ、ちょっと歩きづらいんだけど…… 」
「じゃあ抱っこかおんぶして〜!じゃないとずっとこうする〜 」
「えぇ?しょうがないな……片手でおんぶとか出来ないから、片手で持ち上げるからな 」
一旦足を止めて腰を下げ、ストレナエに座る場所を作るように右腕を曲げ、ストレナエは俺の右腕に腰をかけるようにし、体を俺の方に寄せた。乗せられた右腕の感じからしてストレナエの体は思ったよりも軽く、逆に力みすぎて心配になりそうな程だ。
「ちょっと怖いな……ごめんシクラン、一旦両手を使うから離しても良いか? 」
「うん、良いよ? 」
ひとまずシクランから手を離し、ストレナエをしっかりと抱えて立ち上がると、ストレナエは目線が上がった事で気分も上がっていた。
「えへへ、花衣君と顔が近い〜!チューできちゃうね 」
「だ、ダメだよ!そんなのダメー! 」
ストレナエの冗談を真に受けたシクランがストレナエを下ろそうと俺の服を引っ張り出し、思わずバランスを崩しそうになった。
「うわっと!や、やめろシクラン!ストレナエの冗談だから! 」
「随分と騒がしいわね、相変わらず落ち着きが足りないんじゃ無いのかしら 」
道の奥から呆れた様子のロゼの姿と直ぐに俺の元に駆け足で飛んできたプリムが見えた。
「花衣君〜!たっだいまー!さっきのデュエル見てくれた!? 」
「あぁ、最初から最後までな。よく頑張ったなプリム 」
ストレナエを抱き上げている左手をプリムの頭まで持っていき、頑張ったご褒美と言うべきか、プリムの頭を撫で、満面の笑みを浮かべて更に頭を擦り寄せいき、さっきのストレナエと同じような仕草をしていた。
「えへへ〜嬉しいな〜もっとして〜! 」
こう言っているが、俺の意思関係なくプリムは俺の左手を両手で抑え、自分の頭を撫でるようにさせた。右手はストレナエを抱き抱え、左手はプリムの頭を撫でる為に使わされてしまい、身動きが取れない状態になってしまった。
更にはシクランも羨ましそうに俺の服の裾を摘むように掴み、何も言わなかったが私にも構って欲しいと言っているような気がした。
「……子育て中の父親みたいね 」
「それはさっきレイにも言われた。でも、父親ってこんな感じなのかな 」
父親という言葉で、ふと俺は自分の父親について考えた。と言っても、俺が産まれて間もなく亡くなったと聞いているからあまり思い出らしい思い出も無く、父親というものがどういうものなのか分からない。
もしも俺が結婚して子供を授かったら、そんな俺が父親という子供にとって大切な存在になれるのかどうか……その気持ちが渦巻き、なにか心に引っかかりを生んだ。
俺の父さんって……どんな人だったのかな。
「花衣さん?どうかされました? 」
「あ……いや、何でもない。そう言えばプリム、彼方さんはもう行ったのか? 」
「え?見てないよ?まだ後ろにいるんじゃないの? 」
「そんな筈無いだろ。だって彼方さんは俺達よりも先に行って…… 」
「いい加減にしなさいっ!!この下衆! 」
突然後ろの道から女性の甲高い怒号が響き、俺たち全員は驚きつつも声がした方向を振り返った。
今の声……カレンさんか?そう言えばカレンさんは彼方さんについて行ったから、彼方さんもいる筈だ。だけど声の様子からして何か起こったに違いない。
「何だ……?とにかく行ってみよう 」
「私も行きます 」
「私もー! 」
「よし、じゃあ行くか 」
抱いているストレナエを下ろし、声がした方へ俺たちは向かった。同じ景色の通路が続く中、その先に見えたのは3つの人影があった。
1人は誰かの背中に隠れ、あとのもう1人は2人と対面しているようだった。恐る恐る近づいていくと人影が色をつき、顔が見え始めた。
2人は彼方さんとカレンさん、そしてもう1人は……派手な金の服を来た奴、見下だった。
何やら言い争っている様子だから出るに出れず、俺達は壁際の影に隠れて盗み見をした。
「お前、花衣君の事を突き落としたらしいな?お前……何したのか分かってるのか? 」
「別に、当の本人は生きていたから大したこと無いだろ 」
「ふざけないでくださませ!貴方は人の命を1つ落とそうとしたのですわよ!?それを大したこと無いって……下劣ですわ! 」
「あんな有象無象の庶民1人、居てもいなくても大した問題はなりませんよ。私や貴方のように、国を動かす程の財力も力も無い人など、居ても居なくても変わりませんよ 」
まるで自分のやること全ては許されるとでも言ってるような言い草だ。あの様子からして俺と会っても謝る気どころかその事についてもしらばっくれるに違いない。
体の奥から怒りがこみ上げるが、それ以上にレイ達の顔が俺よりも険しく、今にでも見下をどうかしようとしている目になっていた。
目に光は灯っておらず、怒りの感情が体の外に溢れんばかりに息を細かく吐き、身を震えだし、特にレイとロゼはその感情が暴れているのか、閃刀を取り出していた。
「今……あの人なんて言いました?居てもいなくても変わらない?そんなわけ無いじゃですか。花衣さんは私とロゼちゃんの生きる理由です 」
「許さない許さない許さない許さない許さない………… 」
「花衣君を突き落としたって……そんなの許さない! 」
「落ち着け皆危害を加えるな……! 」
必死になだめている俺達のことを気にとめず、向こうでは話は進んで行った。
「それで、何の用だ。個人的に俺はアンタの事が嫌いでなるべくだが話したくは無いんだが 」
「なに、庶民の貴様に用は無い。ただそこにカレンさんがいたから声をかけただけだ 」
「私の方からは用はありませんわ 」
「そうですか、では僕はこれで失礼します。……あ、そうそう。庶民に付き合うのも程々にした方が良いですよ?貴方の可憐さにその庶民も迷惑しているでしょうし、何より遊び飽きたでしょう。はっはっは! 」
「なっ、私は彼方とは本気で…… 」
「本気!?ご冗談を。釣り合う訳が無いでしょう。その辺の有象無象の輩と高貴な貴方……もし本気と言うのならば、貴方も大層見る目が無くなりましたね〜。流石は傲慢な姫君と呼ばれるだけはある 」
「傲慢な姫君……? 」
カレンさんが呼ばれていると言っていたが……どういう意味だ?その言葉を聞いたカレンさんは顔には出ていないが、手を少しだけ震えさせた。
「プライドだけ高くて何も出来ない娘とまでも言われてますし……あぁそうそう、じゃじゃ馬娘とかも言われてますね。確かに見る目もこれじゃ納得だ!あっはっは! 」
「っ……! 」
思い当たる節があるのか、カレンさんは何も言わずに顔を赤く染め、悔しそうに下唇をかみ締めながら拳を握った。
カレンさんのことを気にもとめずに見下はその名の通り他人を見下し、蔑むように笑っていた。レイ達を止めたのは俺だが、その俺もそろそろ我慢の限界だ。今すぐにでも出ていって何とかしようと思ったその矢先、彼方さんは見下の左肩を左手で掴んだ。
「おい、ちょっと良いか 」
「ん?何だ触るなこの庶民。汚らわしい雑菌が付くだろ 」
見下が彼方さんの手を払い除けたその瞬間、彼方さんの渾身の右ストレートが見下の頬を貫くかのように力強くお見舞いした。
「ごぶぇ……へぇ!? 」
殴られた見下は何が起こったのか分からないまま彼方さんに殴られ、拳を頬に突き出した彼方さんはそのまま腰に力を入れ、足に踏ん張りを入れて最後の一押しを右手に込め、見下をそのまま殴り飛ばした。
相当力強く殴られたのが分かるぐらい見下は壁際まで吹き飛ばされ、彼方さんは殴った右手を軽く振り、倒れた見下を見下ろした。
「い……痛いぃ!痛い……!!貴様ぁぁ!庶民如きが僕に暴力なんて……許されない事だぞ! 」
「黙れ、これは花衣君とカレンの分だ。それにお前は花衣君にこれ以上の事をしたんだ。これぐらいで済んだと有難く思え 」
「はっ……知るか!僕はお前やアイツのように地べたで生きる人間とは違うんだ!覚えとけよ……この馬鹿馬鹿しい大会が終わった後、貴様の人生をどん底の吐き溜めの様な人生にしてやるっ! 」
そう捨て台詞を吐いた見下はよろめきながらここから離れ、反対側にいた俺たちに気づかないままデュエルフィールドへと走っていった。
「……ふぅ、やってしまったな 」
「あ、貴方……大丈夫なの?あの下衆は仮にも有数の資産家の一人息子よ?一体何されるか…… 」
そう心配するカレンさんの頭を彼方さんはそっと手を置いた。
「大丈夫だ。それ以上に、俺があいつを許せなかっただけだ。お前の本質を見ようともしないで好き勝手に言ったあいつがな……」
「彼方…… 」
「まぁ確かにお前は我儘でじゃじゃ馬みたいな所はあるな。でもな、それで助けられた人がいるのも俺は知ってるし、お前が並ならない努力をしているのも知っている。だからそれを馬鹿にする奴は……俺が許さない。それだけだ 」
「……馬鹿っ。本当に馬鹿ね 」
恐らく2人の過去に繋がる事だろうが、今の俺達には皆目検討がつかない。……が、あの二人にとってはとても大切な思い出があるに違いない。じゃないと、カレンさんが泣く理由が無いのだから。
「……ところで、いつまで君達はそこにいるんだ?花衣君 」
「え"!?ば、バレていたんですか? 」
「いつから居たかは分からないが……いつからだ? 」
「ええと、結構前から…… 」
「……て事は、俺がカレンに言った事も……? 」
俺は何も言わずに頷き、その意味を知った彼方さんはやってしまったと言わんばかりに顔に手を当て、そのまま壁に向き合うようにもたれかかがった。
カレンさんもさっき泣きも他人に見られたと理解すると急いで涙を拭いてそのまま顔を隠し、その場にしゃがんだ。
「……忘れてくれ 」
「というか忘れなさい!貴方の頭を叩いでも忘れさせてあげるわ! 」
「花衣さんに危害を加える者は誰であろうと許しません! 」
「おどきなさい!私のみっともない所を見ていいのは彼方だけなのですから! 」
「いーえ絶対退きません!! 」
カレンさんとレイの取っ組み合いが始まり、これでほとぼりが冷めたと判断した彼方さんは壁から離れ、気持ちを切り替える様に深呼吸した。
「ふぅ……それじゃあ俺も行ってくる 」
「彼方!絶対あんな男に負けてはなりませんわよ! 」
「あぁ。俺があんな奴に負ける訳無いだろ 」
サラッと勝ちを宣言した彼方さんはその後小さな笑みを浮かべた後、歩きながら右手を横に伸ばし、グッと親指を立ててその場を去った。
この時見た彼方さんの背中は、とても男らしく憧れを抱くような大きな背中をしていた。
その背中が見えなくなるまで彼方さんを見送り、俺達は元いた席へと戻って行った。
戻った先にはもう歓声が上げられ、デュエルフィールドに彼方さんと見下がもう立っていた。
『さぁ、Aブロック第4試合!これで一旦Aブロックは終了となり、この試合に勝てば準決勝に駒が進められます!果たして勝つのはどちらか!? 』
「後悔させてやるぞ、僕に手を出した事を今更謝っても知らないぞ! 」
「そんな事どうでもいい。お前なんかに構ってる暇は無いんだからな 」
今ここに、Aブロック第4試合のデュエルが始まろとしていた。
ここまで(〜90話)出てきたレゾンカードの中で強いと思うのは?
-
六花聖華ティアドロップ、カイリ
-
閃刀騎-カイムと閃刀騎-ラグナロク
-
銀河心眼の光子竜
-
RRRリノベイルイグニッションファルコン
-
炎転生遺物-不知火の太刀
-
常闇の颶風