六花テーマを作って愛用したらそのまま俺への愛が重くなった件について   作:白だし茶漬け

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クロスデュエルで六花出してくれないかな〜
と言うより、タッグフォース的な感じのやつがやりたい茶漬けです。

さて、今回は少々話の根幹に繋がる場面が多い+デュエル描写があり、この話だけで2万文字程ありますが、最後まで見て頂けると幸いです。


ツナガル記憶

 

 

『さぁ、Bブロックの1回戦も残り2試合! どんどん進めて行きましょう! 第3試合はこの選手! チャイナ風なワンピースを着こなす異国な少女、ボタン選手と金髪活発のレイ選手! 元気な女性2人のこの試合、なかなか明るい試合になりそうですね〜! 』

 

 次の試合はボタンとレイか……レイとは1度本気(命がけ)のデュエルをしているからスタイルはよく覚えている。あの時は確かデッキを60枚にして、そのままデッキから魔法カードを墓地に送り、【閃刀姫カガリ】や【閃刀姫シズク】の攻撃力変動を最大限引き出すマッチポンプ戦法が目立っていたような気がする。

 

 今回もそんな戦法をとるのか、それとも……別の戦法を取るのか……

 

「さぁて、とっととやっちゃうネ! 」

 

「容赦はしませんからね! 」

 

『おおっと、2人ともやる気満々だぞ〜? それでは始めましょう! 』

 

「ふぅ、ギリギリ間に合ったかな! 」

 

「や、やっとここまで戻ってきました…… 」

 

 デュエルが始まる直前にティアドロップとスノードロップ、そして花音とカレンさんが同時に戻ってきた。

 

「遅かったなカレン 」

 

「まぁ、少し用が出来て遅くなりましたわ 」

 

「それにしても遅すぎだぞ。何かあったのか? 」

 

「何でもありませんわ 」

 

「そうか……? 」

 

 彼方さんは納得いかない表情を浮かべてもカレンさんはにも言わず、何食わぬ顔で当然のように彼方さんの隣に座った。

 

「なぁ、花音…… 」

 

「え、えーと……何も見てません 」

 

「……? 」

 

 どう見ても何か見たとしか言いようが無いぐらいの動揺さだ。だと言っても話を聞こうにも喋る気は無さそうだ。

 

『ねぇねぇ……ちょっと良い? 』

 

「ん……? 」

 

 俺に小さく声をかけたのは【アロマージジャスミン】だった。どこか切羽詰まった様な表情をしており、不穏な空気を感じぜずにはいられない。

 

「ど、どうした? 」

 

『この試合が終わってからで良いから、花音には内緒で人目がつかない所に来て欲しいの 』

 

「花音には内緒で? それは何で…… 」

 

『良いから! ……お願い 』

 

 ジャスミンの切実な眼差しは、まるで他に宛がなくさまよっている時に光を見つけたような目だった。それ程までに何か恐ろしい事……もしくは誰かを見たのだろうか。

 

「分かった。じゃあ試合が終わったタイミングで、あそこの連絡通路に行こう 」

 

 俺は目線で向こうの連絡通路をさし、ジャスミンは頷いて花音の元に戻った。

 

 それにしても、花音に内緒か……どういう事何だ? 少し不可解さもあるが、時間は身勝手に進み、試合は開始された。

 

『それでは行ってみましょう! デュエルスタート! 』

 

「「デュエル」ネ! 」

 

 レイvsボタン

 

 デュエル開始恒例と共にコイントスが行われ、出てきたコインの結果はボタンが表となった。これでボタンが先攻後攻を決められるようになったが……デュエルモンスターは基本的に先攻が有利な事が多く、これも先攻を取るだろうと思っていたが……

 

「よーし、私は後攻を選択するネ! 」

 

 まさかのボタンが選択したのは後攻だった。何か意図があるのだろうか……? 

 

「彼方さん、後攻選ぶメリットってあるんですか? 」

 

「基本的にはワンターンキルを狙うようなデッキなら選ぶ事が多いな。それか、手札事故を危惧して手札を増やしたい時とかも選ぶことはまぁある。今回の場合は前者の方だろ 」

 

 と言うけど、この大会でワンターンキルを狙えるようなデッキ何か作れるのだろうか? 大量展開で攻撃……は多分難しいだろうし、だったら特殊勝利か? 例えば……エグゾディアとか。

 

 いやそれの方が有り得ないか。エグゾディアなんて5枚のパーツを拾わなければならないし、拾ったとしても手札に揃えないといけないから拾うやつなんていないだろう。

 

 ……ふと考えたが、もし俺が最初にデュエルしたグリュックさんがエグゾディアを拾っていれば……もしかしたら初期手札でエグゾディアが揃っていたのかもしれない。そう考えると恐ろしくて仕方がない。

 

「先攻が貰えるなら遠慮なくいただきますよ! 私は【暗黒界の取引】を発動し、お互いはカードを1枚ドローし、その後1枚捨てます 」

 

あのカードって……俺が以前使ってたカードか。ドローも出来て手札も1枚捨てられて何かと便利だが、相手も条件が一緒になるから結局抜いたんだよなぁ……

 

「私は【聖殿の水遣い】を墓地に送り、墓地のこのカードを除外し、効果を発動。デッキから【アラメシアの儀】を加え、そのまま発動! 」

 

「ごふっ!! 」

 

「彼方さんっ!? 」

 

 レイが1枚のカードを発動した瞬間に彼方さんが吐血する勢いのダメージを受けてしまっている。ということはつまりあの魔法カードもとんでもないカードの1枚という事なのだろうか。

 

 というか彼方さんだけじゃなくて周りの決闘者も彼方さんと同じような反応しているぞ……どんだけやばいんだあのカード……

 

「ま、まさか開幕早々【勇者】カードが出てくるとは…… 」

 

「ゆ……【勇者】? 」

 

【勇者】って……RPGのゲームとかに登場するアレか? そういえば、ストレナエも確か勇者っぽいペンギンを使っていたような気が……それと同じ類かと思ったが、レイのフィールドに1つの水柱が出てくると、水柱の中からまる人の姿形をした光がフィールドに出てきた。

 

「な、何だアレ? 」

 

「【アラメシア儀】の効果により、私はフィールドに【勇者トークン】を召喚し、更に自分フィールドに【運命の旅路】がない場合、それをデッキからフィールドにセット出来ます! 」

 

 勇者トークン

 レベル4/トークン/天使族/ATK2000/DEF2000

 

「勇者……? でも言う割にはなんか人物像がはっきりしないな…… 」

 

「花衣君、あのトークンは言わばプレイヤー自身と言っても良い物だ。そうだな……異世界転生した自分って言えば良いかな? 」

 

「へ、へぇ……異世界転生モチーフのカードなのか 」

 

「ま、異世界転生って言う点では貴方も似たような物かも知れないけど 」

 

 ロゼの言うことは当たらずとも遠からずと言ったところか。まぁ普通と違う点は明らかに弱体化したって点だ。

 

 レイやロゼの言う限りでは、閃刀騎の頃は英雄呼ばわりされていたが、今はどうだ。何の力も無いし、そんな事覚えていない。なんてハードな異世界転生なのだろうか。まぁ、別に苦でも無いし色々あったけどここの生活も悪くない。寧ろ今は、この生活を手放しく無いぐらいだ。

 

 さて、デュエルに視点を戻すと、カード1枚でトークンと【運命の旅路】という永続魔法を設置した状態だ。ここからどう出るのか……

 

「【運命の旅路】の効果発動。デッキから【勇者トークン】と書かれているカードをデッキから手札に加えられます。私は【流離のグリフォンライダー】を加え、その後手札を1枚捨てます 」

 

「あーそうだよなぁ……それが来るよなぁ 」

 

「そして、さっき私が捨てたのは【代償の宝札】です。このカードは手札から墓地に送られた時、カードを2枚ドローします。自分フィールドに【勇者トークン】が存在する時、手札の【流離のグリフォンライダー】を特殊召喚します 」

 

 流離のグリフォンライダー

 レベル8/鳥獣族/ATK2000/DEF2800

 

「モンスターが召喚された時、また【運命の旅路】の効果発動! デッキから【勇者トークン】が記されている装備魔法をフィールドの【勇者トークン】に装備します。私は【光の聖剣ダンネル】を装備! これでトークンの攻撃力は【勇者トークン】と記されているモンスターの種類分500ポイントアップします! 」

 

 今それが記されているモンスターは一体だけだから、攻撃力が500アップか。

 

 勇者トークン ATK2000→2500

 

「さらに、自分フィールドに【勇者トークン】が存在する時、手札の【外法の騎士】を特殊召喚します 」

 

 外法の騎士

 レベル7/戦士族/ATK2000/DEF2000

 

 勇者トークン ATK2500→3000

 

「私はカードを1枚伏せて、ターンエンドです 」

 

 1ターン目先攻終了

 

 レイ 残り手札4枚

 

 残りライフ8000

 

 □□①②③

 

 ④⑤⑥□□

 

 □ □

 

 □□□□□

 

 □□□□□

 

 ボタン 残り手札5枚

 

 残りライフ8000

 

 ①:運命の旅路

 ②:光の聖剣ダンネル

 ③:伏せカード

 ④:勇者トークン

 ⑤:流離のグリフォンライダー(守備表示)

 ⑥:外法の騎士(守備表示)

 

 

「【外法の騎士】と【グリフォンライダー】か、中々キツい盤面だな 」

 

「えーと、【勇者】ってどんな物なんですか? 」

 

「【勇者トークン】を主軸にして相手の行動を妨害する系だな。【グリフォンライダー】は相手の効果を無効にし、【外法の騎士】は相手モンスターを手札に戻す効果がある 」

 

 なんか思ってたのと違うな。勇者ってもっとこう……仲間と一緒に強くなって魔王を倒す見たいな感じだとおもってたんだが、ここでの【勇者】は随分と堅実なタイプだったようだ。

 

 しかし効果の無効と手札に戻させる効果か……恐らくワンキルする為に後攻を選んだボタンにとってはこれ以上無いやりづらさだろう。

 

「むむぅ……これじゃあこのターンではケリを付けられないかもネ…… 」

 

「勝負を決めすぎて後攻なんて選ぶからですよ 」

 

「だけど何も出来ないって訳じゃ無いネ! 私のターン、ドローネ! 私は永続魔法【切り裂かれし闇】を発動し、更に魔法カード【予想GUY】を発動! 」

 

【予想GUY】って、確か花音が使ってたカードだったよな? 効果確か……デッキから通常モンスターを特殊召喚出来る効果だ。

 

 だが、レイの場にはカード効果を無効にする【グリフォンライダー】がいる。これが通すのか通さないのか、レイ次第だけど……

 

「ここは通します 」

 

「じゃあ遠慮なくやるネ! 私はデッキからこのモンスターを召喚! 」

 

 ボタンがモンスターを召喚したその時、フィールド上空から何か巨大な長方形のような物が落ちていき、謎の物体がフィールドに落ちた瞬間、そこには無かった水が表れ、大きな水飛沫が最前線にいる観客席にいる人達にぶちまけられた。

 

 もちろんソリッドビジョンだから濡れる心配は無いが、着地と同時に水が現れたという事は、それが必要な魚族のモンスターなのだろうか? 

 

 正体が気になる所で水飛沫がようやく落ち着くと、謎の物体の姿が目に映ると……それを見た俺は自分の目を疑った。何故ならそれは、誰しもが見た事……いや、食べた事がある物だったからだ。

 

 ふっくらと艶やかな白に、どっしりと巻かれていた濃い緑色の海苔に巻かれたそれは間違いなく……寿司のしゃりそのものであった。

 

「へ? え……えーと……カレンちゃん、あれってお寿司のシャリだよ……ね? 」

 

「what? Why is it sushi? 」

 

 花音もかなり混乱し、思わずカレンさんに自分が見ている物が本当に合っているのか確認したが、あまりの混乱でカレンさんも英語喋っていた。

 

 そういえばカレンさんって外国人だったな……そして何で彼方さんは平然としているんだ。

 

 え? 何? ほんとにあるの? シャリがあるって事は寿司のカードがあるのか? 

 

「えーと、彼方さん、あれって…… 」

 

「どう見ても寿司のシャリだろ? 」

 

「いやおかしいでしょ!? 何で遊戯王に寿司のカードがあるんですか!? 」

 

「ここじゃ珍しい事じゃ無い。【キラートマト】とかあるだろ? 」

 

「いやあれどう見ても俺達が食ってるのと全く同じ奴ですけど? しかもめっちゃデカいんですけど 」

 

 あれじゃまるで船そのものだ。多分だけどあのしゃりの1粒だけで腹が膨れそうだぞ……

 

「そりゃあそうさ。何故ならあれは【軍貫】だからな 」

 

「ぐん……かん? 」

 

 ぐんかんって……戦艦とかの軍艦? それとも軍貫巻きの軍貫? いきなりしゃりが出てきた事によりキャパオーバーした俺は、目を丸くしてもはや脳死状態で席にもたれた。

 

「まぁまぁ旦那様、驚くことは分かりますが私達の世界では普通の事ですよ? 」

 

「しかもまだまだ種類がありますよ 」

 

 カンザシとエリカの話を聞いて俺は更に絶句していた。あれがまだ居るのか……寿司の軍貫……字面的には違和感は無いが、ああして見ると違和感しかない。

 

「だが、見た目に騙されてはいけない。でないと痛い目を見る事になるぞ 」

 

「痛い目……ねぇ 」

 

「【切り裂かれし闇】の効果で、ワンドローネ! 」

 

「ですがネタの無いシャリなんておそるるに足りません! 」

 

「なら仕入れれば良いネ! 自分フィールドに【しゃりの軍貫】が存在している時、手札から【いくらの軍貫】を特殊召喚するね! 」

 

 いくらの軍貫

 レベル4/水族/ATK200/DEF300

 

「やっぱ他のもあるよな〜だって寿司だもんな…… 」

 

 これで巨大ないくらとしゃりと勇者とその仲間達がいるというとんでもない盤面が出来た訳だが……

 

「【いくらの軍貫】の効果発動! デッキトップから3枚カードをめくり、【しゃりの軍貫】があれば手札に加えるかフィールドに特殊召喚する! 運試し開始ネ! 」

 

 効果でボタンが捲った3枚のカードは……【神秘の中華鍋】と【簡易融合】と【赤しゃりの軍貫】の3枚であり、残念ながら【しゃりの軍貫】は無かった……筈だが……? 

 

「よし! 【赤しゃりの軍貫】は【しゃりの軍貫】としても扱うから問題なくフィールドに出せるネ! そのまま【赤しゃりの軍貫】も召喚! 」

 

 赤しゃりの軍貫

 レベル4/水族/ATK0/DEF2000

 

「今度は米がやけに赤いのが出てきたな…… 」

 

「あれは赤しゃりですね。普通寿司は米酢を使ってしゃりを作りますが、赤しゃりの場合は酒粕を発行したもの、赤酢を使います 」

 

「へー、流石カンザシだな。んで、美味しいのか? 」

 

「酸味はまろやかであり、香りもまるで黒糖の様に甘いですよ。良ければ今度、お義母様や皆の目を盗んでご馳走致しましょうか? 」

 

「カンザシ? それはこの大会に優勝してからにして下さい。抜け駆けは許しませんよ 」

 

 抜け駆けをしようとしていたカンザシにティアドロップが釘を刺すように鋭い目をカンザシに向け、カンザシも振袖を口元に持っていき、それを押し返す様な妖しい目を向けた。

 

「わかっていますよ。ですが旦那様、もし私の御料理をご所望でしたら何時でも仰って下さい。誠心誠意、真心込めてお作り致しますので 」

 

「私も花衣様の為に労力は惜しみません。と言うより、花衣様の胃袋は私が掴んでいるので、貴方の古臭い料理なんか目でも無いですわ 」

 

「ほぅ……大味な西洋料理しか作れない人がよく言いますね 」

 

「「うふふふふふ…… 」」

 

「俺を間に挟んで喧嘩はしないでくれ…… 」

 

 2人の笑顔から放たれる見えない火花のぶつかり合いの破片がこっちにも当たりそうで怖いし、主導権を主張するように俺の腕をしがみつく様に抱いているのは些かなものなのか。

 

 おかげで当たる所当たっているし正直目の前のデュエルに集中出来そうに無いのに、さらに追い打ちをかけるようにしていた。

 

「花衣君〜! 私も一応料理できるよ〜。スイーツ限定だけどね 」

 

「わ、私も一応料理はしていますよ? 異国の珍しいものならお任せを……! 」

 

「あら、私もそれなりに出来ますよ。和菓子ならこのエリカにお任せを 」

 

「花衣、私を忘れちゃダメ。この中で貴方の好みを把握しているのは、私 」

 

 へレボラスとロゼが料理できるのは知っているが、スノードロップとエリカが菓子系を作れるのは意外だ。

 というのも、あんまり見た事無いのが原因だと思うが。そしてストレナエ、プリム、シクランが物申す様に俺の方に寄ってきた。

 

「ねぇねぇ、花衣君って料理出来る人が大好きなの? 」

 

「えー! そうだったら練習しないとね!? シクラン! 」

 

「う、うん……そうだね。頑張らないとね 」

 

「いや待て待て、俺は料理が出来る人だけが好きな訳無いぞ 」

 

「じゃあどんな人が好きなの? 」

 

「んぐっ! 」

 

 まさかの誘導尋問!? ……ってそんな訳無いか。これは完全に俺のやらかしだ。

 

 本人には悪いけどストレナエは誘導尋問できるほど裏を読む能力は無いし、純粋に質問しているのだろう。だが他の皆は違う。一語一句聞き逃さまいと後から言う言葉のみに集中するように四方八方から俺は視線を集められていた。

 

 このままやり過ごそうなんて物は視線でかき消されるし、下手な事を言えばどうなるか分からない。口を×印の様にし、汗を流しながら考えた結果……俺が導き出した答えは……

 

「こ、この大会に優勝したら教えてあげるよ…… 」

 

「それが答えで良いのか君は…… 」

 

 彼方さんにも言われたが捻り出した結果がこれは自分でも悪手だったと思っている。おかけで勝ち進んでいるティアドロップとカンザシはやる気の炎を出し、負けん気な態度をとった。

 

「「勝ちます! 」」

 

「おー! 2人とも頑張ってねー! 」

 

 やはりストレナエも気になったのか2人の応援をしていた。とは言っても、俺は次に戦うカンザシとだけは負ける訳にはいかない。

 

「さて、盛り上がっている所悪いがそろそろデュエルが動くぞ 」

 

「どんどん行くネ! 私は【しゃりの軍貫】と【いくらの軍貫】でエクシーズ召喚! 産地直送からお届けネ! 【弩級軍貫-いくら型一番艦】! 」

 

 弩級軍貫-いくら型一番艦

 ランク4/エクシーズ/水族/ATK2200/DEF300

 

 いくらとしゃりの周りに突然クレーンアームが飛び出すと、アームはしゃりを握り、海苔を巻き、その上には大量のいくらを振りかけた。やがては2段3段と高さを増し、色和えにきゅうりと三葉、そして頂点にわさびが乗せられ、色んな意味で破壊力が凄まじい軍貫が現れた。

 

 いや産地直送どころかダイレクトに来てるんですけど。ここまで来たら最早芸術の域だ。あれだあれ、職人達が食材を使って芸術作品を作るみたいな物だ。あんなかんじだ。

 

「【弩級軍貫-いくら型一番艦】の効果発動ネ! これが【しゃりの軍貫】と【いくらの軍貫】を使ってエクシーズ召喚された時、2回攻撃かつカードを1枚ドロー出来るネ! 」

 

「見た目は美味しそうですがその効果は美味しくないのでさせません! 私は【流離のグリフォンライダー】の効果発動! このカードをデッキに戻し、その効果を無効にして破壊します 」

 

【グリフォンライダー】がデッキに戻った事により、これで【勇者トークン】の攻撃力が下がり、あの【いくら型一番艦】の効果は無効となって破壊された。

 

破壊された衝撃で乗っていたいくらが爆散し、そのまま地面に転がっていった。

 

 

 勇者トークン ATK3000→2500

 

「まだまだ止まらないネ! 私にはまだ通常召喚権が残ってるネ! 私は【しらうおの軍貫】を召喚ネ! 」

 

 しらうおの軍貫

 レベル4/水族/ATK200/DEF250

 

「うーん、赤しゃりとしらうおは少し組み合わせが悪いけど……仕方ないネ。私は【赤しゃりの軍貫】と【しらうおの軍貫】でエクシーズ召喚! へいお待ち! 【空母軍貫-しらうお型特務艦】の出来上がりネ! 」

 

 空母軍貫-しらうお型特務艦

 ランク4/エクシーズ/水族/ATK2200/DEF250

 

 いくらの時とは打って変わり、今度は少し平べったくなり、その海苔の上にしらうおが乗り、整列された攻撃機の様にしっかりと均一に並び、寿司で完成した空母が完成した……。

 

「【しらうお型特務艦】の効果ネ! これもエクシーズ素材……もといネタの種類で効果発動! 【しゃりの軍貫】を使ったなら1枚ドロー、【しらうお】を使ったなら【軍貫】魔法・罠カードを手札に加えるネ! 私はどちらとも使ってるから、どっちも使うネ! 」

 

「ここですっ! 私は【外法の騎士】の効果発動! このカードのコントロールを相手に私、相手モンスターを2体まで手札に戻す! その美味しそうなお寿司は帰って貰います! 」

 

 レイの【外法の騎士】が2つの寿司をぶっ飛ばした後、突然暴走した様に頭を抱え、【外法の騎士】はそのままボタンのフィールドに行き、寿司があった衝撃的な盤面は、勇者とそのライバルのような構図になった。

 

 また、【外法の騎士】によってぶっ飛ばされエクシーズ素材になったネタ達は地面にぼとりと落ちてしまい、そのまま墓地へと廃棄されてしまった。

 

「あぁ! 私の寿司がぁぁぁ! 食べ物を粗末にするなんてなんて罰当たりな人ネ! 」

 

「うぐっ……確かにちょっと気が引けましたけど、そっちこそ食べ物を武器にしたり軍貫にしたりしてるじゃないですか! おあいこですよ! お あ い こ! 」

 

 まぁどっちもどっちと言えばそうかも知れない。

 

「むむ、ならば天誅を食らわせるね! 手札には戻ったけど、【しらうお型特務艦】の効果は使えるネ! まずは【気まぐれ軍貫握り】を手札に加え、カードをドロー! ……お? これは中々良いカードネ 」

 

 何やら良いカードを引いた様子のボタンだが、今のボタンは召喚権を失い、【軍貫】カードは恐らくだが墓地に行った物で殆どの筈だ。ここで召喚出来るのは……何だ? 

 

「丁度そっちも勇者がいるから、こっちは龍を召喚するネ! 魔法カード【古のルール】を発動! 手札からレベル5以上の通常モンスターを一体特殊召喚する! 私が召喚するのは……これネ! 」

 

 突然フィールド上空に黒い雲がかかり、黒い雲の無効から赤い眼を光らせる眼光が勇者を襲った。

 荒れ狂う天気の中から黒の景色から飛び抜けた黒龍が表れた。

 

 黒龍の鱗は漆黒に染まり、瞳は真紅よりも紅く、力強く、ドラゴンに相応しい眼だった。

 

 黒く、気高く、熱い眼を持つあのドラゴンは……見間違えるモンスターでは無かった。

 

「いでよ! 【真紅眼の黒竜(レッドアイズ・ブラックドラゴン)】ー!」

 

 真紅眼の黒竜

 レベル7/ドラゴン族/ATK2400/DEF2000

 

『す……寿司の次には真っ当なドラゴンが出だぞぉぉ! やはりこの大会何が出てくるのが全くの予想外だぁ! 』

 

「なんてでだらめな…… 」

 

「ふっふっふ〜食べ物を粗末にしたからにはその責任は払って貰うネ〜。私は【外法の騎士】と【真紅眼の黒竜】でエクシーズ召喚ネ! 」

 

「こ、ここでエクシーズ召喚!? 」

 

 このタイミングでのエクシーズ召喚に驚き、一体どんなモンスターが出てくるんだ? ランク7で俺が知っているのは……【オッドアイズ・アブソリュートドラゴン】辺りだ。あれなら攻撃を無効に出来るし、フィールドから離れたらエクストラデッキから他の【オッドアイズ】を特殊召喚出来るが……

 

「私が出すのはこれネ! 【真紅眼の鋼炎竜(レッドアイズ・フレアメタルドラゴン)】! 

 」

 

 真紅眼の鋼炎竜

 ランク7/エクシーズ/ATK2800/DEF2400

 

【レッドアイズ】がまるで【外法の騎士】の鎧を纏ったかのようなモンスターが表れ、硬い鱗に更に硬い鎧と爪が掃除され、その黒さに磨きがかかったようで何だかカッコイイ。

 

「さてさて、どんどん行くネ! 【真紅眼の鋼炎竜】の効果発動! エクシーズ素材を取り除き、墓地の【レッドアイズ】通常モンスターを特殊召喚するネ! 私は【真紅眼の黒竜】を取り除き、そのまま召喚! 」

 

『おっとまさかの2枚目の【真紅眼の黒竜】を持っていました! の』

 

「これで【レッドアイズ】が2体か…… 」

 

「それじゃあ反撃行くネ! まずは【真紅眼の黒竜】で【勇者トークン】に攻撃! フィールドに仲間がいない今、そのトークンの攻撃力は2000のままね! 」

 

 勇者トークン ATK2500→2000

 

「今ここでやられる訳には行きません! 私は罠カード【攻撃の無敵化】を発動! 【勇者トークン】はこのバトルフェイズでは破壊されません! 」

 

「ここで【真紅眼の鋼炎竜】の効果ネ! 相手がモンスター、魔法、罠の効果を発動した時、相手は500のダメージを受けるネ! 」

 

 レイ 残りライフ8000→7500

 

【真紅眼の鋼炎竜】から炎の爪の斬撃がレイを襲い、更に【真紅眼の黒竜】の黒炎弾が【勇者トークン】を襲い、レイは炎の余波でダメージを受けてしまった。

 

 レイ 残りライフ 7500→7100

 

「まだまだ! 【真紅眼の鋼炎竜】で攻撃! 更に【切り裂かれし闇】の効果発動! 私はこのモンスターの素材に通常モンスターの【真紅眼の黒竜】 を使ったから、相手モンスターの攻撃分攻撃力アップするネ! 」

 

 真紅眼の鋼炎竜 ATK2800→4800

 

 レイ 残りライフ 7100→4300

 

「この程度……何ともありません! 」

 

「なら、カードを2枚伏せてターンエンドネ 」

 

 

 1ターン目後攻終了

 

 レイ 残り手札4枚

 

 残りライフ4300

 

 □□①②□

 

 ③□□□□

 

 □ □

 

 □④⑤□□

 

 ⑥⑧□□⑦

 

 ボタン 残り手札4枚

 

 残りライフ8000

 

 ①:運命の旅路

 ②:光の聖剣ダンネル

 ③:勇者トークン

 

 ④:真紅眼の黒竜

 ⑤:真紅眼の鋼炎竜

 ⑥:切り裂かれし闇

 ⑥⑦:伏せカード

 

 

 

「ワンターンキルは出来なかったけど、これなら充分ネ 」

 

「くっ……なかなかやりますね…… 」

 

「【真紅眼の鋼炎龍】か……これも中々キツイな 」

 

 確かに……モンスターだけではなく、魔法と罠の効果を発動したその時、あのモンスターの効果で500のダメージを与えられてしまい、しかもその効果はあのモンスターが存在する限りずっと続く。

 

 1発1発の威力が低いが、下手をすればどんどんダメージが溜まって最終的にはなんの効果も発動できない。

 

「あんなモンスター、効果が発動したらカウンターで効果を無効にして破壊すれば良いのでは良くって? 」

 

「残念だがカレン、あのモンスターのバーンダメージは発動しない効果だ。それに、あのモンスターがエクシーズ素材を持っている限り、効果では破壊されないぞ 」

 

「じゃあどうすれば良いんですの!? 」

 

「破壊以外の除去か戦闘で破壊するしかない……が、その手段があるかどうかだが 」

 

 破壊さずにフィールドから離れさすが、戦闘破壊しか倒す手段の無いモンスターか……なかなか除去が厳しそうだが、レイは一体どんな戦法を使ってくるんだ……? 

 

「私のターン! ……まだ足りない。私は魔法カード【サイクロン】を発動! 【切り裂かれし闇】を破壊します! 」

 

「効果が発動したからダメージを受けてもらうネ! 」

 

【真紅眼の鋼炎竜】が口から炎を吐き出し、レイはその炎に巻き込まれてダメージを受けてしまう。自分のターンでも関わらずダメージを受けるのは流石に厄介そうだ……

 

 レイ 残りライフ4300→3800

 

「私は【勇者トークン】を守備表示に変更してターンエンドです 」

 

 

 レイ 残り手札4枚

 

 残りライフ3800

 

 □□①②□

 

 ③□□□□

 

 □ □

 

 □⑤④□□

 

 □⑥□□⑦

 

 ボタン 残り手札4枚

 

 残りライフ8000

 

 ①:運命の旅路

 ②:光の聖剣ダンネル

 ③:勇者トークン(守備表示)

 

 ④:真紅眼の黒竜

 ⑤:真紅眼の鋼炎竜

 ⑥⑦:伏せカード

 

 

 

「ドローネ! ううん、ネタを仕入れないと私のモンスターが召喚出来ないアル…… 」

 

 どうやらボタンも思うように動けないようだな……という事は、あの手札のほとんどは魔法か罠、もしくは上級モンスターばかりなのか……? 

 

「とりあえずバトルネ! まずは【真紅眼の黒竜】で【勇者トークン】に攻撃! 」

 

 守備表示になっている【勇者トークン】に最早【真紅眼の黒竜】の攻撃を防ぐ手立ては無く、そのまま【真紅眼の黒竜】の炎に、勇者は耐えていた。

 

「【運命の旅路】の効果で、装備カードを装備している【勇者トークン】は、1度だけ戦闘では破壊されません! 」

 

「更にこの瞬間、罠カード【鎖付き真紅眼牙】を【真紅眼の鋼炎竜】に装備! 装備モンスターはバトルフェイズに2回攻撃出来るネ! 」

 

「2回攻撃……!? 」

 

 つまりこのターン、レイはどの道ダイレクトアタックを受けてしまう訳か……!

 

「行くネ【真紅眼の鋼炎竜】! 守備モンスターごとダイレクトアタックネ! 」

 

 2回攻撃を1回で済ますかの様に真紅眼の鋼炎竜は炎の爪の斬撃を勇者トークンとレイに向けられ、襲いかかった。

 

 レイ 残りライフ3800→1000

 

「私はこれでターンエンドネ! ふっふっふ、さぁどうするアルー? これでそっちはカード効果が使えるのは1回だけネ! 」

 

 レイ 残り手札4枚

 

 残りライフ1000

 

 □□①□□

 

 □□□□□

 

 □ □

 

 ②③□□□

 

 □④□□□

 

 ボタン 残り手札3枚

 

 残りライフ8000

 

 ①:運命の旅路

 

 ②:真紅眼の黒竜

 ③:真紅眼の鋼炎竜

 ④:伏せカード

 

 

 

『場にはモンスターが存在せず、ライフはたった1000であり、【真紅眼の鋼炎竜】の効果によってレイ選手がカード効果を使えるのは1回のみです! 果たして、ここから逆転は可能なのでしょうか!? 』

 

 逆転と言うがボタンのライフは減っていない。盤面は崩せたとしてもまだボタンには手札も残っており、充分に切り崩されてもまた作り直す余力は残っている筈だ。

 

 それ以前に、効果が1回しか使えないこの状況をどうにかしなければ、レイに勝ち目は無い。

 

「……私のターン! 」

 

 もしかしたら最後かも知れないドローに全てを込め、レイは目つぶってカードをドローし、ゆっくりと目を開いてドローしたカードを見ると、ハッとしたような顔をした後、安心しきった様な顔を浮かべ、遠くにいる筈の俺に笑顔を向けた。

 

「……ふふ、やっぱり私にとっての勇者は貴方だけです。花衣さん……私は【閃刀騎-カイム】を召喚! 」

 

 閃刀騎-カイム

 レベル4/戦士族/ATK0/DEF0

 

『このタイミングでレゾンカードが来たァァァ! 』

 

 数枚しかないレゾンカードである【閃刀騎-カイム】の登場に会場は熱狂したが、カイム自体の攻撃力は0だ。だが、カイムの真骨頂はここからの筈だが……

 

「私は【閃刀騎-カイム】の召喚時効果は使わず、このままバトルフェイズ!! 」

 

「攻撃力0のままバトルアルか!? 血迷ったのネ!? 」

 

「これで良いんです! 行ってください! カイムさん! 【真紅眼の鋼炎竜】に攻撃! 」

 

 カイムはレイの言うことに頷き、2本の閃刀を手に持ってそのまま【真紅眼の鋼炎竜】に向かっていった。

 

 迫り来る戦士に【真紅眼の鋼炎竜】は【カイム】に向けて黒の炎を纏った紅い炎を放ち、【カイム】を焼きつくそうとしたが、【カイム】は難なくその炎を避け、【真紅眼の鋼炎竜】の喉元まで高く飛んだ。

 

「速攻魔法発動! 【九十九スラッシュ】! 自分のモンスターが戦闘した相手モンスターの攻撃力より低い時、その自分と相手のライフの差だけ攻撃力がアップします! そして、効果が発動した事により、貴方の【真紅眼の鋼炎竜】で500のダメージを受けます! 」

 

 レイ 残りライフ1000→500

 

 真紅眼の鋼炎竜の炎のブレスにカイムは巻き込まれたが、カイムは2本の閃刀をX時に振り下ろし、ブラスを切り裂き、カイムの2本の閃刀が黄金に輝き出した。

 

 閃刀騎-カイム ATK0→7500

 

 カイムは黄金に輝き出した閃刀を重ねると1つの巨大な光の剣へと変わり、巨大な光の剣を振り下ろすと、真紅眼の鋼炎竜は膨大なエネルギーの前に為す術なく切りふせられ、圧倒的なエネルギーの影響か破壊された瞬間大爆発を起こした。

 

 ボタン 残りライフ8000→3300

 

「ま、まさか反撃するとは思わなかったネ…… 」

 

「私はいつでも攻めの姿勢は忘れません。カードを1枚伏せて、ターンエンドです 」

 

 レイ 残り手札2枚

 

 残りライフ500

 

 □□①②□

 

 □□③□□

 

 □ □

 

 ③□□□□

 

 ④□□□□

 

 ボタン 残り手札3枚

 

 残りライフ3300

 

 ①:運命の旅路

 ②:伏せカード

 ③:閃刀騎-カイム

 

 ④:真紅眼の黒竜

 ⑤:伏せカード

 

 

 何とか最悪な盤面からは抜けられたが、まだ状況はボタンが有利だ。しかも、カイムの攻撃力は0のままだから、真紅眼の黒竜に攻撃されたらレイのライフが消し飛んでしまう。

 

 その為の伏せカードだとは思うが、あれが破壊されたら今度こそ終わりだ。

 

「私のターン! 」

 

 ボタンの引きによって変わるドローに、レイは冷や汗を流し、早る心臓の鼓動を抑えるよに胸に手を置いていた。さぁ……どうなる? 

 

「仕入れ時が来たネ! 私は魔法カード【貪欲な壺】を発動! 墓地の【しゃりの軍貫】【赤しゃりの軍貫】【いくらの軍貫】【しらうおの軍貫】【弩級軍貫-いくら型一番艦】をデッキに加えて2枚ドローするネ 」

 

「ちょっと! 廃棄された食材を再利用するなんて衛生管理はどうなっているんですか!? 訴えますよ! 」

 

「人聞きの悪い事言わないで欲しいアル! これは仕入れネ! 」

 

 物は言いようとはまさにこの事と言えよう。

 

「第一レイは食べ物を粗末にしたネ……まだまだ食べ物の恨みは終わってないアル! 私はフィールド魔法【軍貫処海せん】を設置して、罠カード【気まぐれ軍貫握り】を発動ネ! 」

 

 ボタンが罠カードを発動するといきなり木の立て札が三つ現れ、黒字で力強い字で何か書かれていた。

 

「レイにはこの3つの中から好きなネタを選んで貰うアル! さぁ、どうするネ? 」

 

 立て札が書いてあるのは【いくらの軍貫】【しらうおの軍貫】そして、【しゃりの軍貫】だった。

 

「では、【いくらの軍貫】を 」

 

「ほい、【いくらの軍貫】一丁ネ! 」

 

 すっかり板前見たいな感じになっているボタンだが、妙に違和感が無い。

 

「よーし、それじゃあ新ネタ開局ネ! 手札の【いくらの軍貫】を相手に見せ、手札の【うにの軍貫】を特殊召喚! 」

 

 うにの軍貫

 レベル5/水族/ATK900/DEF500

 

「今度はうにか……うにねぇ…… 」

 

「ん? うには苦手かい? 」

 

「まぁ……ちょっと見た目が…… 」

 

「まぁ、食わず嫌いは良くないですわよ旦那様。うにはとても絶品何ですから 」

 

「いや話は分かるけど…… 」

 

 味は美味しいと言う人が多いが、どうしても食べる気になれない。あのオレンジ色でぶよぶよ感のある感じがどうしても受け付けられず、食べるのを敬遠している食い物の1つだ。

 

「フィールド魔法の効果発動! 【軍貫】モンスターが召喚された時、デッキの【軍貫】モンスターをデッキの1番上に置けるアル! 私は【しゃりの軍貫】を上に置くネ! 」

 

「しまった……! さっき私が選んだのって…… 」

 

「更に【いくらの軍貫】を召喚して効果発動! デッキから3枚めくり、【しゃりの軍貫】を手札に加えるネ! 更に【うにの軍貫】の効果発動! 他の【軍貫】モンスターのレベルを4から5にするネ! 」

 

 これでレベル5のモンスターが2体……まさか……

 

「これが最後のネタね! 私はレベル5の【うにの軍貫】と【いくらの軍貫】でエクシーズ召喚! 」

 

 フィールド魔法のクレーンアームが2つの軍貫を握り直し、寿司の大きさがどんどん大きくなっていき、その上にありったけのうにを詰め込みに詰め込んでいるのにも関わらず、形や列を崩れていない作業はまさに職人のようであった。

 

「へいらっしゃい! 【超弩級軍貫-うに型二番艦】の出来上がりネ! 」

 

 超弩級軍貫-うに型二番艦

 ランク5/水族/ATK2900/DEF500

 

『ここでうにが来たァァァ! あぁ〜お腹空いてきましたね。今日は出前をとることにしましょうか 』

 

「私も何だかお寿司が食べたくなって来ちゃいました〜花衣さん、この大会が終わったら一緒にどうですか? 」

 

「え!? うーん……考えておくよ 」

 

 花音から寿司を食べようと誘われたが、花音は一応金持ちの娘……一緒に来たらどんな高級寿司が振る舞われてしまうのか分からない。

 

 いちいち食べさせて貰うのも花音に悪いからここは保留にしておいたが……

 

「ちょっと、なにしれっと花衣に食事を誘っているの? 抜け駆けは許さないわよ 」

 

「ひゃう! ろ、ロゼさん? 別に抜け駆けなんて……あ、そうだ! 良ければ皆さんも一緒にどうですか? 実は私、行ってみたいお寿司屋さんがあるんですよ! 」

 

「え!? お寿司食べたーい! 」

 

 ストレナエが寿司を食べられると聞いて小さくジャンプしながら喜んでおり、断るに断れない状況になってしまった。

 

「えーと……花音、因みに行きたい寿司屋ってどんな所? 」

 

「はい、回転寿司です! 」

 

「はっ? 回転寿司……? 」

 

 てっきり聞いたことないような高級店だと思ったけど……回転寿司って、あの回転寿司か? 

 

「だって、レーンの上にお寿司だけじゃなくてデザートやラーメンもあるんですね!? 私行ったこと無いので楽しみです!」

 

「what!? この国は寿司の他にもデザートも回転しているんですの? どういう事なのですか彼方? 」

 

「お前それだと寿司自体が回ってるぞ。説明するのも面倒だから、終わったら花衣君達と一緒に行こう。そうだ、今から予約しておこうか 」

 

「なんか急に話が決まったんですけど 」

 

 彼方さんは携帯で回転寿司の予約を手早く済ませ、これはもう行くしか選択肢は無かった。

 

 このデュエル終わったらボタンとレイにも言っておかないとな……まぁ、そのデュエルも終盤に差し掛かってはいる。

 

 新たな寿司のモンスター……どんな効果があるんだ? 

 

「【超弩級軍貫-うに型二番艦】は【うにの軍貫】を素材にしてエクシーズ召喚した時、相手に直接攻撃が出来るネ! 」

 

「直接攻撃……! 」

 

「ダメージは変わらないけど、花衣君を傷つけてしまうのは忍びないから直接攻撃するネ! 行くアル! 【超弩級軍貫-うに型二番艦】でダイレクトアタック! 寿司を食べるネー!」

 

 うにの戦艦の砲塔から赤い砲弾……というかあれいくらじゃねえか! 

 

 いくらの軍貫も素材にしているからってまさかうにの戦艦から出てきた弾がいくらって……なんでもありかよ遊戯王……いや、元からそういう物だったな。

 

 とにかく、これを受けたらレイは終わりだ。だが、レイはすかさず伏せていたセットカードを発動した。

 

「罠カード【和睦の使者】を発動! このターン、自分のモンスターは破壊されず、このターン受ける戦闘ダメージは0になります 」

 

 フィールドにいたカイムはいくらの砲弾を斬撃で撃ち落とし、何とか難は逃れた様子……だと思うが、レイの様子がおかしい。まるで次の自分のターンどうすれば悩んでいる様子だった。

 

「仕留め損ねたね……私はカードを2枚伏せてターンエンドネ 」

 

 

 レイ 残り手札2枚

 

 残りライフ500

 

 □□①□□

 

 □□③□□

 

 □ □

 

 ③□④□□

 

 ⑤⑥□□□

 

 ボタン 残り手札2枚

 

 残りライフ3300

 

 ①:運命の旅路

 ②:閃刀騎-カイム

 

 ③:真紅眼の黒竜

 ④:超弩級軍貫-うに型二番艦

 ⑤⑥:伏せカード

 

 

「私のターン、ドロー! 」

 

「ここで2枚の罠発動! 【立ちはだかる強敵】と【スノーマンエフェクト】ネ! 」

 

「っ……! 」

 

「これは……ちょっとキツいな 」

 

「え? どういう事ですか? 」

 

 あの2枚のカードを発動した瞬間、レイと彼方さんの表情が苦い顔つきになった。

 

「まずは【スノーマンエフェクト】の効果からアル。このカードはモンスターを1体対象にして発動し、他のモンスターの攻撃力分攻撃力がアップするネ! つまり、【超弩級戦艦ーうに型2番艦】の攻撃力は【真紅眼の黒竜】の攻撃力の2400アップするネ 」

 

 超弩級軍貫-うに型二番艦 ATK2800→5200

 

「更に、【立ちはだかる強敵】は私が対象にしたモンスターに攻撃しなければならず、攻撃可能なら攻撃しないとダメネ! 」

 

「えーと……つまり、レイは絶対はあの寿司に攻撃しないとダメって事か? 」

 

「いや、攻撃可能ならしなければならないから守備表示すればそれは問題ないが、問題はそこじゃない。今この瞬間、レイはこのターンで決着をつかなければならないという事になってしまったのが問題だな 」

 

「どういう事ですか? 」

 

「ボタンが今設置しているフィールド魔法の効果にはもう1つあるんた。その効果は……【軍貫】モンスターが墓地に送られた時、その守備力分のダメージを相手に与えるという効果だ 」

 

「守備力分……? 」

 

「いわば寿司の代金を払うという事だな。そして、あのモンスターの守備力は500。という事は……? 」

 

「……そうか! レイのライフは500だから、ただ戦闘破壊したら負けが決まるのか 」

 

 今のあの超弩級軍貫-うに型二番艦の攻撃力は5200で、ボタンのライフは今3300だから……最低でも8500の攻撃力が必要だ。

 

 だけどカイムの攻撃力は0……ここからどう8500まで届かせるのか……そこが鍵になる。レイの手札は2 枚……どうなる? 

 

「中々厄介なコンボですね。しかも、【閃刀姫ーハヤテ】のような直接攻撃が出来るモンスターも、必ずそのモンスターに攻撃しなければならない。かといって守備表示にしても、貴方の【軍貫】モンスターの直接攻撃で私は負け…… 」

 

「どう転ぼうともこの寿司には勝てないネ! 」

 

「いいえ、勝ってみせます。私と花衣さん……いえ、私達ならどんな敵だって乗り越えて見せます 」

 

「その私達って、レイとロゼの事アル? それとも…… 」

 

「……ふふ、ご想像にお任せします 」

 

 ボタンとレイの間に何か絆の様な物が芽生えた様な気がした。明るい性格上、どっちもシンパシーか何かを感じたのだろうか。

 

 だけとどっちも本気の本気だ。このターンで、このデュエルの結末が決まる……! 

 

「魔法カード【閃刀起動ーエンゲージ】デッキから【閃刀術式ーアフターバーナー】を加え、更に墓地に魔法カードが3枚以上あるのでカードを1枚ドロー! 」

 

『ここでエンゲージが来たのは大きいぞ! 果たしてあれが突破口に繋がるのか!? 』

 

「私は魔法カード【手札断殺】を発動。お互いはカートを2枚墓地に送り、2枚ドローします 」

 

 これでお互いの手札は2枚だから、どっちも全ての手札を交換するような形になる。果たしてこれが吉と出るのか……それとも……

 

「私は魔法カード【モンスターゲート】を発動! 自分フィールドのモンスターをリリースし、その後デッキから通常召喚可能なモンスターが出るまで、私はデッキの上からカードを墓地に送り続けます! 私は【閃刀騎ーカイム】をリリース! 」

 

『おっとレイ選手! ここでレゾンカードを手放したァァ! 』

 

「今の私には、カイムさんであってそうじゃない大切な人がいます。もう、過去には縛られたりはしません! 」

 

「……!! 」

 

 レイの言い放った言葉に、俺はどこか胸を突きつけられた様な感覚が襲いかかった。ハッとしたような何かが俺の胸を駆け巡り、気づけば俺はレイの真っ直ぐな目に引き込まれていた。

 

(私が勝つにはもうあのカードしかない。だけどその以前にこの墓地送りでもう一枚必要なパーツを揃えなきゃ……! やるしかない )

 

 レイは1枚ずつカードを墓地に送り、この墓地送りで全てが決まろうとしていた。まだかまだかとデッキの山は崩れていき、十枚程でその墓地送りは止まった。止まったモンスターカードの名前は……【閃刀姫ーロゼ】。

 

「来た! 私は【閃刀姫ーロゼ】を召喚! 」

 

 閃刀姫ーロゼ

 レベル4/戦士族/ATK1500/DEF1500

 

「私は、【閃刀姫ーロゼ】でリンク召喚! 召喚条件は水属性以外の閃刀姫モンスター1体! 私は、【閃刀姫ーシズク】 をリンク召喚! 」

 

 閃刀姫ーシズク

 LINK1/リンク/機械族/ATK1500

 

 ロゼからレイへとバトンタッチをするかのようにモンスターが入れ替わり、閃刀姫ーシズクが召喚されて相手モンスターの攻撃力は下がってはいるが、倍率が低すぎてそれでも届いていない。

 

「そんな雀の涙見たいな攻撃力減少ではなんともないネ! 」

 

「まだです! もう一枚【閃刀起動ーエンゲージ】を発動! 今度は【閃刀起動ーリンケージ】を手札に加え、カードをドロー! そして更に、魔法カード【強欲で貪欲な壺】を発動! デッキの上から10枚裏側除外して……2枚ドロー! ……よし、これなら! 」

 

 ん……? 今、レイなんて言った? リンケー……ジ? 

 

「私一人じゃ確かに届きません。ですが、ロゼちゃんや花衣さんと一緒なら届きます。今からそれを見せます! 私は速攻魔法【閃刀起動ーリンケージ】を発動! 」

 

「【リンケージ】……? 【エンゲージ】じゃ無くてか? 」

 

 聞いたことない閃刀カードで一瞬聞き間違いかと思われたが、フィールド上には間違いなく閃刀起動ーリンケージと、倒れ込んでいるロゼを抱き抱えているレイの姿が描かれているカードがある。

 

 ……そういえば、夏休み前のテスト勉強の時に閃刀カードの新規が発売されたのを焔と見た事があるような。まさかあの時のカードか? 

 

「【閃刀起動ーリンケージ】は自分メインモンスターゾーンにモンスターが存在しない時発動可能。このカード以外のカードを墓地に贈り、エクストラデッキから【閃刀姫】リンクモンスターを特殊召喚します! 私は【閃刀姫ーシズク】を墓地に送り、エクストラデッキから【閃刀姫ーカガリ】を特殊召喚! 」

 

 閃刀姫ーカガリ

 LINK1/リンク/機械族/ATK1500

 

 シズクの装甲がパージされ、新たに紅色の装甲を纏ったカガリがレイの体を覆った。

 

「【リンケージ】の効果には続きがあります。フィールド・墓地に光と闇属性の【閃刀姫】モンスターが存在する時、特殊召喚したモンスターの攻撃力は1000ポイントアップします! 」

 

「光と闇属性? 光属性はロゼだけど……まさか! 」

 

「そう! 【手札断殺】の時に、【閃刀姫ーレイ】がそこにあったんです。よって、【閃刀姫ーカガリ】の攻撃力が1000アップ! 」

 

 閃刀姫ーカガリ ATK1500→2500

 

「まだまだ! 私の墓地の魔法カードは16枚! よって攻撃力が更に1600アップ! 」

 

 閃刀姫ーカガリ ATK2500→4100

 

 攻撃力が上昇する度にカガリの背後の炎が激しく燃え上がっている。だけどこれだけじゃまだまだ足りない。

 

 ただ戦闘破壊するだけじゃボタンのフィールド魔法の効果でレイは500ダメージを受け、その場で敗北が決まってしまう。

 

「まだまだ届いてないネ! 」

 

「言ったはずです。皆となら乗り越えられるって。……力を貸してね。私は【閃刀姫ーカガリ】を対象に、手札から【エルロン】を装備! 」

 

「エル……ロン? 」

 

 フィールドに白髪で白い服を着ている少年を見た瞬間、俺の頭は頭痛を起こし、頭の中に途切れ途切れ何かを映り出した。

 

 レンガ創りの家に囲まれたのどかな町に俺はいつの間にか立っており、木剣を持って俺は何かと戦っていた。

 

 戦うといっても命をかけた物では無く、模擬戦とかその辺の緩い感じの奴だ。相手は……誰だ? 顔が良く見えない……だけど2人かつ子供なのは確かだ。

 

 いや、子供と言う割には何だか違和感がある。何だか人間味が感じられないというかなんというか……

 

「……さま? 花衣様? 」

 

「つぁ……? 」

 

 背景は変わり、周りを見ると俺を見るティアドロップとカンザシ、それにロゼや花音、皆が皆俺を見ていた。

 

「大丈夫ですか? 旦那様、やはり調子が優れないのですか? 」

 

「……まさか、【エルロン】を見て少し記憶を取り戻したの? 」

 

「いや……分からない 」

 

 あまりにも短く、断片的な物だったからあれがどこの記憶なのかも分からなかった。

 

「なぁ、あの【エルロン】って奴は何だ? 閃刀姫に何か関係あるのか? 」

 

「……あの子は私たちの仲間。今はそれだけ知っていれば良い 」

 

「……? 」

 

 やはり俺にカイムの事を思い出して欲しくないのか、ロゼはそれ以上何も言わなかった。

 

「【エルロン】を装備した事により、【カガリ】の攻撃力は400アップ! 」

 

 閃刀姫ーカガリ ATK4100→4500

 

「更に速攻魔法【リミッター解除】!これで【カガリ】の攻撃力は倍の9000! 」

 

閃刀姫ーカガリ ATK4500→9000

 

『こ、攻撃力9000!! これでボタン選手のライフが無くなる所まで辿り着いたぁぁぁ! 』

 

「……なんて奴ネ 」

 

「さぁ行きますよ! 私は【閃刀姫ーカガリ】で【超弩級戦艦ーうに型2番艦】を攻撃! 」

 

 リミッター解除とエルロンの力を借りたカガリの装甲は、限界出力のせいで火花が散り、背後の炎もカガリを包こもうとしていた、だがカガリはその炎すらも力に変え、真っ直ぐ弩級戦艦に突っ込んでいた。

 

 戦艦もやられまいと全ての砲弾でカガリを撃ち落とそうとしていたが、小さい的のカガリには当たらず、カガリは天高く飛び、太陽を背に炎の剣を上げ、そのまま炎と共に戦艦に突撃した。

 

 まるでカガリは炎の剣そのものとなり、うにの戦艦を真っ二つに貫いた。

 

 敵を貫いたカガリはその後装甲がパージされ、閃刀モードのレイへと姿を変え、うに型2番艦はそのまま大規模な爆発を起こした。

 

 

 ボタン 残りライフ3300→0

 

 WINNER レイ

 

『勝負ありぃぃ! 寿司とドラゴン、勇者と閃刀姫という何とも目まぐるしい勝負を制したのはレイ選手だぁぁ! 』

 

 勝者が決まり、拍手喝采の会場の中だが、俺はどこか疲弊しきっていた。さっきの出来事のせいか、まだ頭がくらつき、ゆっくりと締め付けられるような痛みがまだ消えない。それに、何だか眠い……

 

「花衣様、大丈夫ですか? 花衣様……? 花衣様っ!! 」

 

 誰かが俺を呼ぶ声がするが……何だか……遠く……なって……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(あれ、どこだここ……何してたんだっけ……)

 

 

 目を開くとそこにはレンガ造りの家が立ち並んでいるいかにも中世ののどかな町の様な光景が目に映った。

 まだ頭がぼぅっとしているせいなのか、体も思うように動かせない。それに何だか体が俺の意思に反して動いている様な……? 

 

 _ぼさっとしないでよカイム

 

 _そうそう、それとも僕達の行動予測機能に恐れを無した感じ? 

 

 _あぁすまん。ちょっと腹減ったな〜って。

 

 俺は何を言ってるんだ? いや、これは……カイムだった時の記憶なのか? 

 

 よく見れば着ていた服も変わっており、カイムと同じ黒い服を俺は身にまとい、手には木刀の様なものを持っていた。

 

 どうやらさっき見た光景の続きと言うことなのだろうか。

 

 _ふーん、でも時間になるまで食事は無しだよ。カイムはこの前つまみ食いしてアーカスに怒られたじゃん

 

 _別に良いだろエルロン? 腹減った時に食い物を食う。これ人間の特権よ? 

 

 _ダメ人間じゃなくて?

 

 _ダメ人間って……それは無いぜパイロン

 

 エルロンとパイロンと呼ばれた少年達と面白おかしく談笑していたのを見た俺は、どことなく懐かしい感じになれた。それにどこか……焔と空と一緒にいる時と同じ様な気持ちにもなれる。

 

 安心して、楽しくい気持ちだ。こんな日々がずっと続けば良いのに……

 

 

お前にそんな権利は無い

 

 

「え……? 」

 

 突然恐怖心が駆り出される声が聞こえると、のどかな町が暗転し、何も見えなくなった。暗闇に恐怖を覚えながら困惑すると、徐々に暗転した世界が見え……いや、燃え始めていた。

 

 いつの間にか町は炎の海へと変わり、家は燃え、空は赤く濁り、炎が木を燃やす音と崩れゆく瓦礫の音がこの町を包んでいた。

 

「何だこれ……!? って、体が動く……? 」

 

 いつの間にか体が動く事に戸惑いを隠せず、それに俺の着ている服も変わっていた。

 

 と言っても、俺が着ていた服になっていたから正確には戻ったと言うべきなのだろうか。

 

「なんだよこれ……俺の過去の記憶を見ている訳じゃ無いのか? 」

 

 何だか様子がおかしい。今すぐにでも逃げ出したい。だけど、行かなければならないと俺の心が叫んでいた。俺の目の前には、いかにも通って下さいと言わんばかりの道が広がり、その道には全く炎が寄ってこなかった。

 

 足を動かそうにも1歩動かすのに数分が必要なくらい足が震え、呼吸も少し荒い。

 

 怖い、逃げたい、早くこの悪夢の様な物から覚めてほしい。だがその願いは届かず、俺の背後にあった少し大きい家も崩れ去っていき、逃げ場は完全に失った。

 

「行くしか……無いよな 」

 

 震える足を黙らせるように足の太ももを叩き、震えを止めて一気に走った。

 

ここまで(〜90話)出てきたレゾンカードの中で強いと思うのは?

  • 六花聖華ティアドロップ、カイリ
  • 閃刀騎-カイムと閃刀騎-ラグナロク
  • 銀河心眼の光子竜
  • RRRリノベイルイグニッションファルコン
  • 炎転生遺物-不知火の太刀
  • 常闇の颶風
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