六花テーマを作って愛用したらそのまま俺への愛が重くなった件について   作:白だし茶漬け

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どうも、スピードロイド投稿です。
嘘です、すみませんでした。スピードロイド全然使ってませんどう扱えば良いのか分からないレベルです。

今回デュエル描写が無いのでスピード投稿しました。

今回はリクエストにあった、エルロンやパイロンを出して欲しい要望を加味しての制作しました。

ただ、今回……少しの閲覧注意が含まれています。

少々過激で残酷な描写がありますので、何卒ご了承ください。

それでは……どうぞ


燃え盛る炎の中の深淵

 

 焼き尽くされる町の中、俺は走っていた。炎の黒煙で息がしづらく、蒸しかえる熱さで体も熱い。

 

 だが俺は導かれる様に走っていく。まるで俺を急かすように背後の炎は俺を追い掛け、その度に行く手を阻んでいた炎は俺から離れて言った。

 

 なんなんだここは……いや、俺はここを知っているう様な……そんな気がする。

 

 レンガ造りの家達は炎に焦がされ、瓦礫と化しているが、俺が進む度に一瞬だが元の姿に戻っていた。まるで、巻き戻しで一時停止をするかのように。

 

 炎の道を進むと、突然広い場所へとたどり着いた。広場の真ん中には噴水があり、炎はその広場を囲むように広がった。

 

「閉じ込められた……! 」

 

 逃げ道が閉ざされ、水を使って炎を消そうにも噴水の水は枯れ切っていた。

 

 ここまでかと絶望する俺に追い討ちをかけるかの様に、また俺の頭に痛みが走り、俺はその場でうずくまってしまう。

 

「がっ……こんな……時に……! 」

 

 両手で頭を抱え、また俺はセピア色の過去の記憶を見てしまう。

 

 _カイム、待ちましたか? 

 

 _いえ、今来た所ですよ。シエラさん

 

 ここは……今俺がいる噴水広場か? それに目の前にいる女性……シエラと呼ばれた彼女だが初めて見る人物だが、カイムにとってはそうでは無いのだろう。

 

 どうやらいつかの日、カイムはこの女性とこの場所で待ち合わせしていたのだろう。

 

 という事は……これはカイムの時の記憶と言う事か? 

 

 _いきなり買い物に付き合って貰ってごめんなさい。でも、機械である私より、レイと同じ人の貴方の方が、より良いプレゼントを渡せると思って

 

 _いや〜俺もまだレイと仲良い訳じゃ無いですから……しかも俺の事避けてるし

 

 _うーん、そんな筈は無いと思うけど……だって、あの子はいつも貴方の話をしているから……

 

 _え、そうなんですか? 例えばどんな? 

 

 _例えば……

 

 記憶はここで途切れてしまい、酷いノイズと共に俺はまた炎に飲まれた町へと戻った。

 

「つぁ……またここなのか。夢なら早く醒めてくれ…… 」

 

 いつの間にか倒れていた体を起こし、さっきまで遮られていた道が開いていた。どうする事もできない俺は開けられた道に進み、早くこの夢から醒めたいと願っていた。

 

 歩き続けていると町が一変して無くなり、目の前には広大な海が広がっていた。相も変わらず炎がここにも存在し、海の上にも関わらず炎は消えず、海を焦がすかのように燃え盛っていた。

 

「海……か……」

 

 海を見つめているとまた頭痛が走り、俺の意識はまたもや消えた。

 

 

 

 _いやっほー! どうだエルロン! 気持ちいいだろー!? 

 

 _ちょっと飛ばしすぎだと思う! もうちょっとスピード落としてよ! 

 

 記憶の中の俺はエルロンと言う少年を乗せ、空飛ぶバイクらしき乗り物に乗り、空をかけていた。

 

 _それに高度も高すぎ! もし落ちたら人間のカイムはひとたまりもないよ! 

 

 _大丈夫だって。おっ、あれは海か? 丁度いいから海の上でも走るかな

 

 _ちょ! 僕一応機械だよ!? 防水機能は付いてるけど流石に海水は……

 

 _ギリギリだから心配するな! じゃあ行くか! 

 

 カイムはバイクを垂直に傾かせ、海に真っ逆さまで降りていった。

 

 _カーイーム!? このままじゃあ海に直撃するよ!? 

 

 _お前の行動予測機能で分かるだろ? これから俺がする事がな! 

 

 海との距離が近くなり、残り数秒で海に直撃する刹那……カイムは直角にバイクを傾かせ、水面ギリギリで、バイクを走らせた。

 

 バイクの推進力で海をかき分け、一見無茶苦茶にスピードを出している様子だな水しぶきがエルロンに当たらないように推力を調整していた。

 

 _もう……無茶苦茶だよ

 

 _でもお前が動いているって事は、行動予測の範囲内って事だろ? お前の行動予測は的はずれな事をすると少しの間フリーズするからな。俺の事をよく知っている証拠だ

 

 _ほんと、予測が無茶苦茶になったよ

 

 _それが人間だ。んじゃ、ちょっと飛ばすぞ

 

 _え? ちょっとこれ以上は……

 

 カイムはバイクの速度を更に上げ、一気に地平線までバイクを走らせた。

 

 そして、ここで記憶はまた途切れた。

 

 

「はぁ……はぁ……どうなってるんだ一体……」

 

 

 そろそろ痛みで体が疲弊しきり、歩く気力すら無い。だけどこの場所はそんな俺の意思や事情なんか知らずに俺を進みたがらせており、俺の隣に何やら黒い扉が出てきた。

 

 いかにも進めと言わんばかりに扉が開けられ、重くなった体を起こし、よろめきながらもその扉に入る。

 

 黒い扉を抜けた先はさっきの海とは一変し、巨木がある事以外何も無い広場に出た。試しに巨木の方に足を運び、もう少しで巨木に触れる所でまた俺の意識は途切れる。

 

 

 _またここにいたんだね、カイム。もうすぐ夜だから早く戻らないと。人間は体が冷えると風邪を引いたりするんだから

 

 _分かってるよパイロン。だけどもうちょいここに居させてくれ。

 

 カイムは巨木を背に寝ていた様だ。それを見かけたパイロンと呼ばれた少年はため息を吐き、カイムがここから離れるまでじっと待っていた。

 

 _……そんな所で寝てどうなるの? 

 

 _どうって、結構気持ちいいぞ? 良かったらお前もこうして寝てみろよ

 

 _良いよ、ちょっと草は硬いし、そんな姿勢じゃパーツに負担が掛かるから、カイムも姿勢悪くなるよ? 

 

 _まぁたまにはなって感じだ。

 

 _僕は機械だからよく分からないや

 

 _その内分かるさ、多分な

 

 カイムは寝転びながらパイロンと談笑し、結局そのまま夜になっても2人は話を続けていた。夜風が服と巨木の葉がざわめき、傍にあった小さな花も揺られ、時間も忘れられるようだった。

 

 だが、楽しい時間というものは一瞬だ。

 

 

 

「……またか 」

 

 いつの間にかまた俺は意識を取り戻し、さっきみた広場は焼け野原にされており、巨木も枯れていた。巨木の傍にあった花も何もかもが無惨にも枯れており、良い気分にはなれなかった。

 

「……まだ醒めないのか 」

 

 もういい加減現実に返してくれと心の底から愚痴ったが、それでも俺はまだこの変な夢から戻れずにいた。

 

 まさか、とっくに現実に戻り、これが現実で今まで過ごしてきた物は夢だったのか……? いや、そんな事は無い。

 

 六花や閃刀姫、そして花音や彼方さん、焔や空達と過ごした時が夢だとは考えられない。有り得ない事を考えた俺は自分の頬を叩き、意識を保ち続けた。

 

「……それで、次は一体何を見せる気なんだ 」

 

 落ち着きを取り戻し、恐らくまだ終わらないだろうと一人呟くと、また目の前にさっきと同じ扉が現れた。

 扉の前にたった瞬間、ご丁寧に扉は開かれ、一呼吸置いてから俺は中に入っていく。

 

 扉を抜けた先はまたさっきの町へと戻り、今度はどこかの施設の様な感じの場所にやってきた。

 

 施設には明かりが点っており、人の気配が感じられる所から中に誰かがいるのは間違いない。恐る恐る中に入ると、入った瞬間頭痛が遅い、過去の映像が重ねって映し出された。

 

 _貴方の剣撃は甘さがあります。そんな事では敵はまた貴方に襲い掛かります

 

 _って言ってもなぁ……俺、敵でも人は殺したく無いんだよアーカスさん

 

 アーカスと呼ばれた女性はカイムの言うことに非常に不満を持ったような表情を浮かべ、木刀をカイムの喉元に突きつけた。

 

 _これでも貴方はそう言いきれますか? 

 

 鋭い目でまるで敵とでも認識するかのような冷たい眼差しを前に、カイムは恐れる事も怯むことも無かった。ましてや、笑っていた。

 

 そんな姿を見たアーカスは呆然とし、剣を下げようとしたが、カイムは木刀を掴み、そのまま喉元ギリギリの所まで剣を上げさせた。

 

 _アーカスさん、俺は敵味方関係無しに全員救いたい。俺はこれを……貫いて見せる。だから……

 

 _……はぁ、全く、貴方が傷つかないように剣術を教えているのにも関わらず、貴方は敵を傷つけ無い様にするなんて……度し難い他無い

 

 カイムが木刀を離し、アーカスは木刀をしまうとこの場を後にする様に歩いていった。

 

 _では、そんな貴方の馬鹿みたいな要望に答える【閃刀】を構築しましょう。貴方も来なさい

 

 _本当に!? ありがとう! 

 

 カイム専用の閃刀……? それが閃刀騎ーラグナロクなのか……? 確かめに2人の後を追おうとすると、急に世界がノイズに侵されるように滲むと、今度は扉が出る前に場所が変わった。

 

 今度は屋根の上に移動され、顔を上げるとそこには星々が空を多い、流れ星さえ出ている満点の星空があった。

 

「凄っ…… 」

 

 思わず声を出してはそのまま見上げてしまっていた時、横から誰かの足音がなり、俺は音がした方向に顔を向けた。

 

 足音を出した人はこれはまた高齢の爺さんだが、どこか隠しきれない実力を持っていた人物の印象を受けた。

 

 _ほっほ、またこんな所で星を見ているのかい? 夜は冷えるぞ? 

 

 _だってこんなに綺麗なんだぜ? 見ないと損だって、ほら、ヒンメルの爺さんも見てみろって

 

 _ほっほ、機械のワシが星を見てもただのデータとしか捉えられんよ。星や花を見て綺麗と感じられるのは心がある人間の特権じゃよ

 

 ヒンメルと言われた爺さんは、どこか悲しげに満点の星空を見ていた。

 

 ここまで気づいたが、今までカイムと一緒にいた人達は全員機械だと言っていた。見た目は間違いなく人だが、どこか違和感があったのはその為だったのか……

 

 あの人の言う通り、心が無い機械は何かを感じる術が無い。出来ることと言えばそれがなんの物か、どんな種類なのか判別するぐらいだろう。

 

 だが、そんな答えにカイムは否定し、思わず立ち上がった。

 

 _そんな訳無いさ、だってあの時、俺にバイクをプレゼントしてくれただろ? あの時、アンタも笑っていた! 嬉しかったんだろ? あるんだよ心が! 

 

 カイムはヒンメルの肩を掴み、真っ直ぐ目を見てそう言った。

 

 あまりの言い様にヒンメルは目を丸くさせ、その後遅れて笑った。

 

 _はっは、凄いことを言うな。じゃが、嬉しい限りだ

 

 ヒンメルの笑顔は、造られた物である事は間違いない。だけど、俺から見ればその笑顔は心から笑っているようにも思えた。

 

 それ程精巧に作られていると誰かは言うが、この瞬間に置いてはそうは言わせない。それ程までに、人の笑顔をしていた。

 

 _そうだ、俺結構バイクの運転上手くなったからさ、勝負してくれよ

 

 _ほう? ワシに挑むか。まだまだ若いもんには負けんぞ? 

 

 満点の星空の下、まるで孫とその爺の様な光景に心が何故か暖かくなり、懐かしいさも思い出していた。

 

 ……なんでこんな記憶忘れてしまったんだ? 

 

 暖かくて、優しくて、懐かしい。もしこれが本当に昔あった記憶なのだとしたら、忘れてしまった自分が憎い。

 

 レイとロゼだけじゃない、大切な人達との思い出。これだけでも見て良かったかもしれない。だが、見てしまってますます分からなくなった。

 

 何でカイム()は、レイ達に何も言わず、そのまま消えてしまったんだ? 

 

 俺でさえも安心出来る思い出からして、大切な人達と言うのは間違いない。だとしたら何故出ていった? 

 

 頭の中に考えを巡らせていると、それを邪魔するように激しい頭痛が頭の中を暴れ回り、俺は意識さえ保てずにいた。

 

「がっ……あぁあアアアアア……!! 」

 

 景色が壊れる。

 

 頭が痛い。

 

 体も全身が引き裂かれるように痛い。

 

 痛い……痛い……痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い

 

「がっ……ああああああああぁぁぁぁアああああああ!!!! 」

 

 喉が潰れるほど叫ぶと、今の光景がガラスのように砕け散り、周りがまた炎に呑まれていた街に戻った。

 

 景色が変わった瞬間痛みも無くなり、あまりの激痛に痛みが無くなったのにも関わらず俺の体は動けずにいた。

 

 思い出すだけでも嫌になるあの痛みはもう逢いたくない。何とか体を動かそうと少しずつ、ゆっくりと体を起こし、周りが瓦礫と炎で埋まった街を足を引きずりながら歩いていった。

 

「はぁはぁ……っあ、レイ……ロゼ……ティアドロップ、スノードロップ、ヘレボラス、 カンザシ、エリカ、ボタン……ストレナエ、プリム、シクラン……ひとひら……」

 

 まだ記憶の中で会って居ない2人の名前と、カイムの記憶だから会うことは絶対に無い六花達の名前を呟いていた。

 

 呼べば来る筈なんて無いのに、何故か名前を言ってしまう。それ程まで痛みで心がボロボロになってしまい、縋りたくなってしまう。

 

 だけど誰も来ない。

 

 そんな事実に押しつぶされるように俺はついに倒れてしまい、もう1歩も動けなかった。このままじゃ周りの炎に呑まれて焼死してしまう。

 

 動かなければ死んでしまうのに体が動かない。

 

 焦りや恐怖で呼吸が荒く、体も血の気が引いたように冷たくなる。

 

 死にたくない一心で必死に体に力を入れ、立ち上がろうとしたその時、俺の手に何かついた感覚が走った。

 

 見るより前に少し熱く、何か鉄のような臭いが鼻につき、まさかとは思い手を見ると……俺の手の甲に血が着いていた。

 

 思わず尻餅をついて視線が前の方になり、顔を見上げると……そこには想像絶する……というか、信じ難い光景が目に焼きつかれた。

 

 黒い服に、灰色の髪のツインテールの女性は間違いなくロゼだ。ロゼに違いないが……そのロゼが地面に倒れているのは何故だ……? 

 

「ろ……ぜ? 」

 

 震えた声でロゼの名前を呼び、恐る恐るロゼの体に近づき、そっとロゼを見ると……全身の血の気が引き、一気に吐き気が襲った。

 

「うぇっ……あっあぁ…… 」

 

 ロゼの体が……何かに斬られていた。そのせいでロゼの体が血の赤黒い色に染まり、目も動かずそのまま開いたままで、触った瞬間体が冷たくなっていた。つまりロゼは……

 

「うっ……おぇっ! がはっ……! 」

 

 頭が回らず、吐き気が抑えきれず、人間の斬られた姿を見てしまった俺は無様に嘔吐してしまった。

 

 微かに見てしまった臓器や……閉じる事が出来なかった死に様がトラウマとなってしまいそうだ。だけど、ロゼが倒れているんだ。止まっては……いられない。震える体を動かし、倒れているロゼをもう一度触れた。

 

「おいロゼ……ロゼ! しっかりしろ! ロゼぇぇぇぇぇぇ!!!! 」

 

 ロゼの体を揺すっても返事もせず、体も動かなった。揺すったせいでロゼの帽子が頭から離れると、三重隠れていたロゼの目が顕になり、ロゼの赤い目には光が点っておらず、瞬きもせずにそのまま死んだような……いや、その目をしていた。

 

「あぁ……ああああ……あああああああああああああ!!!!!!!! ロゼ! ロゼ!? ロゼぇぇぇ!!! 」

 

 冷たい体のロゼを抱き寄せ、斬られた断面から血が俺の服まで付いてしまったが、今の俺にはそんな事どうでも良く、ロゼが……ロゼがどうにかなってしまった事に戸惑いが涙となり、涙が枯れ果てるまで泣き叫んだ。

 

 何でだ? どうしてだ? ここは俺の……カイムの頃の記憶じゃいないのか? もしそうだとしたら、今現実にいるロゼは何なんだ? 誰なんだ? 

 

 訳が分からない。頭がおかしくなりそうだ。頭が働かない。そんな俺に対し、更に追い討ちをかけるかのように何かが刺された音が俺の耳に入った。

 

 何だと顔を上げると、瓦礫の上に2つの人影があった。1人は剣を持った奴と、もう1人はその剣を腹に刺された長い金髪の少女……レイの姿がぶら下がっていた。

 

「レ…………イ……? 」

 

 名前を呼ぶと片方の人影がレイを振り払う様に剣を振り、レイは俺の所まで吹っ飛んでいき、壊れた人形のように地面に転がった。

 

「レイ……! おい、レイ! 大丈……っ! 」

 

「……か……ィ…………さ 」

 

 まだ意識があったレイは口から血を吐きながらも俺に手を伸ばしていた。俺もレイの手を必死に伸ばし、あと少しで指が触れるその時、レイの腕は地面に落ち、レイは動かなくなった。

 

「……レイ? おい、レイ。どうした? レイ? ……レイ? 」

 

 ロゼを抱きながらレイを抱き寄せ、必死に声をかけ続けた。だがレイの目は固く閉ざされ、貫かれた所から血が止めどなく流れていた。

 

「おーい、レイ、ロゼ。こんな所で寝たら危ないぞ……? ほら、早く逃げないと……な? おい、動けよ、目を開けてくれよ…………なぁ……なぁ 」

 

 受け入れられない現実に俺の心は壊れかけた。何度も何度もレイとロゼに声をかけ、力強く抱きしめても2人は動いてくれなかった。

 

「何だよこれ……なんなんだよ……これ 」

 

「本来、こうなるはずだった 」

 

 瓦礫の上から反響していて少し聞き取りずらい声がすると、瓦礫の上にいた人物が俺の目の前に降りていき、その姿を表した。

 

 服は黒く、手に持っているのは白に青色のラインがあった剣。あれは間違いなく閃刀だった。恐る恐る、ゆっくりと顔を上げると、そこには……(カイム)がいた。

 

「なん……で? お……れ? 」

 

 あまりの事実に言葉を失い、そんな俺をカイムは見下していた。

 

「本来全てが終わればこうなるはずだった。だが貴様は我を拒み、あまつさえこの我ごと消しかけようとしていた 」

 

「何を……言って…… 」

 

 俺が今まで見てきた記憶とは随分と喋り方と雰囲気が違いすぎる。こいつは……誰だ? 

 

「だが、今はこうして断片的にだが我と会えている。時は近い。さぁ……我の糧となれ……我は……お前だ! 」

 

 カイム……いや、黒い影を守った何かは俺を取り込もうと左手を伸ばしてきた。逃げたい、逃げないと行けないのに体が動かない。せめて2人だけは守ろうと必死に2人を抱きしめ、同時に諦めて目をつぶった。

 

 何も分からず、このまま消えてしまうのか? 

 

 俺はここで……終わるのか? そう呟いた時、俺の周りに光が生まれた。

 

 _させない! 

 

「何っ!? 」

 

 突然俺の中から光が溢れると、影はその光から離れ、光は雄々しくもありながら美しい翼を持った龍の様な姿へと変え、影に向かって咆哮をあげた。

 

「お前……お前かっ! そいつの中に入り、我の邪魔をしているのは! 」

 

「この子はもう貴方ではありません。この子から離れなさない! 」

 

「離れる? 馬鹿なことを、そいつは我だ。その事は分かっている筈だ 」

 

「いいえ、この子は……貴方ではありません! 」

 

 光の龍は影に噛みつき、影は閃刀を使って龍を切り裂こうとしていた。

 

 もう何が何だか分からず、あまりの出来事に俺の心身は粉々だ。

 

 光の龍と影のカイムは街を破壊しながらも戦い続け、俺はそれをただ見ている事しかできなかった。

 

「…………何なんだよこれ、俺は……俺は…… 」

 

 俺の腕の中で動かない2人を抱き、背後から迫る炎に気づかないまま、俺たちは炎に巻き込まれた。

 

 だが不思議と熱く無く、それよりも女性の声が俺の耳に入った。

 

「大丈夫です。私が貴方の傍にいる限り、私が貴方を護りますから 」

 

 ……聞いた事あるような声だ。そのせいなのか、どこか懐かしくて安心出来て……信用出来る声だった。まるで、母さんのようだった。

 

 

 

 

 

 

 

「花衣様! 」

 

「旦那様! 」

 

「花衣君! 」

 

「花衣さん! 」

 

 誰かが読んでいる声がする……必死に俺の名前を繰り替えして、その声が聞こえると、俺はゆっくりと目を開けた。

 

 目を開くとそこには知らない天井と、俺を見る六花達やレイとロゼ、それに彼方さんとカレンさん、そして花音もいた。

 

「みん……な? って、あれ? ここは……? 」

 

「医務室だ。君、ボタンとレイのデュエルが終わった瞬間に倒れたんだぞ 」

 

「え……? そう……だったん……ですか? 」

 

「花衣さん、大丈夫ですか? 」

 

「凄くうなされていたけど……何か嫌な夢でも見たの? 」

 

「レイ……ロゼ! 」

 

「ひゃう!? 」

 

「ひぅ!? 」

 

 無事な2人を見た俺は2人を思わず抱きしめ、レイとロゼは聞いた事無いような裏声を出し、六花達は驚きの声を出した。

 

「ちょ、花衣君!? いきなり何でその2人を…… 」

 

「待ちなさいスノー 」

 

「あら、珍しいですね。貴方が止めるなんて…… 」

 

「いいえカンザシ、私だってあの二人と花衣様から離れさせたい所ですが……何故か、邪魔してはいけないような、そんな気がするのです 」

 

 本能的にティアドロップは俺とレイとロゼの間を引き裂こうとはせず、少し戸惑いながらも様子を見てくれた。

 

「あぁ……良かった。2人が無事で……! 」

 

「か、花衣さん。こ、こんな昼間から大胆ですね…… 」

 

「ん……悪く無いけど……一体どうしたと言うの? 」

 

「あ、あぁ……えーと………………あれ、俺……何を見たんだ? 」

 

 おかしい、とても懐かしく、とても酷い夢を見たような気がするけど……全く思い出せなかった。

 

 だけどレイとロゼの2人を見たら、無事だったという言葉が最初に出てしまった。まるで、2人が誰かにやられた見たいな感じだ……思い出そうとしても、何かが邪魔して思い出せないもどかしい感じが続き、少し気持ちが悪かった。

 

「あら目覚めたんですね 」

 

 思い出そうとしている時に女性の声が聞こえると、白衣を着た女性が歩いてきた。

 

「あ、花衣さん。この人はこの医務室の先生ですよ 」

 

 花音が医務室の先生を紹介すると、先生は小さく頭を下げた。

 

(……? 何かこの人どこかで見た事あるような )

 

 いや、気の所為だろう。これまで会ってきた女医の人はロマンス・タッグデュアルの時に出会った人と、母さんと一緒に行ったメルフィーパークの人と、この人だけだ。

 

 多分誰かも見間違えたのだろう。その誰かは分からないけど……

 

「では皆さんーこれから年の為に診察しますので、お部屋から出てください〜 」

 

「そんな! 私は花衣様の隣に…… 」

 

「そうですよ! 私も花衣さんと…… 」

 

 ティアドロップとレイだけじゃなく、他の皆もここに残ると行ってきたが……

 

「ごめんなさい、一応決まりなので…… 」

 

「仕方ないだろ、先に観客席まで戻ってくれ。あと、エリカとシクランは次の試合もあるだろ? 俺は大丈夫だから 」

 

「う……うん 」

 

「はぁ……分かりました。……信用してますからね 」

 

 エリカはシクランの手を繋いで一足先に医務室から離れ、残りの皆も医務室から出ていった。

 

「ふふ、とっても愛されていますね。花衣さん 」

 

「まぁ……そうですね……って、ん? 」

 

 何だこの違和感? 何か違和感があったような……気のせいか。

 

「どうかしましたか? 」

 

「あぁ、いや……なんでもないです 」

 

 あまり気にをとめずに女医さんの検査を受け、結果は異常なしとの事だった。

 

「うーん、何も異常はないですね。ですが、熱中症の可能性もありますので、しっかりと水分と塩分を摂取してください 」

 

 そう言って女医さんはスポーツ飲料を貰い、念を押されてさらに塩飴も貰った 。

 

「あ、ありがとうございます 」

 

「いえいえ、彼女さん達に心配をかけないようにしてくださいね 」

 

「か、彼女!? 別に俺はそんな関係じゃ…… 」

 

「恥ずかしがる事無いですよ? 世の中には複数の人を愛してる結婚している人だっているんですから 」

 

「だーかーら! そんな関係じゃないですからぁぁぁぁ!! 」

 

 俺の心からの叫びは残念ながら届かず、女医さんは分かってるという様な笑顔を浮かべていた。……絶対分かって無いだろ、この人……

 

ここまで(〜90話)出てきたレゾンカードの中で強いと思うのは?

  • 六花聖華ティアドロップ、カイリ
  • 閃刀騎-カイムと閃刀騎-ラグナロク
  • 銀河心眼の光子竜
  • RRRリノベイルイグニッションファルコン
  • 炎転生遺物-不知火の太刀
  • 常闇の颶風
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