六花テーマを作って愛用したらそのまま俺への愛が重くなった件について   作:白だし茶漬け

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学校が始まってしまったぁぁぁぁ……
まぁ、それはさておき。今回でようやくピックアップデュエルの一回戦が全て終わります。
長かった……次話から2回戦……頑張るます!


魔法の言葉

 

「では、体には気をつけて下さいね 」

 

「はい、ありがとうございます 」

 

突然意識を失い、この会場の医務室に連れてこられた俺は、ここの女医さんにさっきまでお世話になっていた。聞いたところ体に以上は無いし、熱中症とかの心配は無いとの事だ。

 

原因が分からないまま気絶したというのはまぁ怖い所だが、体に異常が無いことはありがたい事だ。

そう、体だけは何とも無いが、どうしても何か引っかかっる感じが抜けていなかった。

 

医務室のベットで寝ていた時、俺は夢を見ていた様な気がする。よくある事だ、夢を見たけどどんな夢か忘れている現象のあれだ。

 

大抵なら忘れる程の夢なら大した事では無いと気に止めることは無いだろうが、俺にとってはこの忘れた夢はどうしても思い出さなければならないと同時に、思い出してはいけないと誰かが言っているような気がした。

 

矛盾するこの気持ちが如何せん気持ち悪く、頭の中でずっとモヤモヤが続いている。

 

「……どうかなさいましたか? 」

 

思い詰めている感情が顔に出ていたのか、女医さんがまたどこか体が悪いのかと言うように心配そうに見つめており、俺は慌ててそれを否定した。

 

「だ、大丈夫です! 」

 

「そうですか?……では、お気を付けて 」

 

「はい、それじゃあ 」

 

女医さんは丁寧にお辞儀をして俺を見送り、俺も少し体を傾けてお辞儀した後、医務室の扉を開けて外へ出た。

 

空調が聞いていた医務室から蒸し暑い外に出た気温差てま体がぐでっとなったが、早くしないとシクランとエリカの試合が始まってしまう。急いで元いた席に戻らなければ……と思ったが、意識を失ったまま医務室に連れてこられたから道順なんて知らない。幸い近くに地図があったからそこから席に戻るルートを見つけようとしても、意外と複雑な書き方で今いる現在地さえも分からずにいた。

 

「お、戻ってきたのか 」

 

地図を見た俺に声をかけたのは彼方さんだった。

 

「彼方さん。どうしてここに? 」

 

「君と一緒に元いた所に案内する為さ、本当はティアドロップかレイ辺りがこの役目を買って出たんだが…… 」

 

「どっちも喧嘩になって、迷惑になるから仲裁案とし彼方さんがここに残った……って事ですか? 」

 

「お、正解だ。やっぱり自分の精霊の事はよく分かってるね 」

 

やっぱり、ティアドロップとレイ達がそんな簡単に俺の事を放って置く事は無いし、双方譲れない態度を取った事が簡単に目に浮かぶ。

 

仲裁案を出したのは……多分彼方さん自身だろうが、皆を納得させる彼方さんはやはり凄い。

 

「よく皆を納得させましたね 」

 

「こんな所で喧嘩したら、花衣君がどう思うかなって言えば、素直に行ってくれたよ。本当は回復した君を誰よりも見たいはずなのに、よっぽど君の事が好きだと見えたよ 」

 

「あぁ…… 」

 

確かに俺を使えば六花達は素直に言う事聞くかもしれないが、それだけじゃ彼女達は動かない。多分だが、彼方さんは信頼出来る人だと彼女達も思ったのだろう。

 

そう判断するのも頷ける。俺よりも背高いし、大人びてるし、落ち着いていて何より男の俺からしてもカッコイイと思える人だ。

 

クールという言葉がこれ程似合う人なんてそうそういないだろう。

 

「羨ましいな…… 」

 

自分との差の劣等感みたいな物を吐き出すかの様に俺はそう呟いてしまった。

近くに彼方さんがいるのにも関わらずに喋ってしまった自分に驚きながら吐き出した物を急いで戻すかのように口を塞いだが……

 

「羨ましい?なんでだ? 」

 

時すでに押すし、どうやら聞かれたようだ。

 

「いや……その…… 」

 

俺よりも勝っている所が多いからなんて恥ずかしくて言える訳が無い。かと言って何か言い訳が思いつくことも無い、時間が解決するのを期待しているのか、俺は悩みに悩み、彼方さんとは顔を合わせられなくなった。

 

そんな俺の行動を見て彼方さんは何がおかしいのか、笑った。

 

「どうしてそんな事思ったのか分からないが、俺から見れば君の方が羨ましいと思うけどな 」

 

「え? 」

 

考えてもいなかった答えが帰り、俺は思わず目を丸くして彼方さんと顔を合わせた。

 

「あの……なんでですか? 」

「何でって、俺には持ってない物が君にはあるからかな 」

 

「例えば……?」

 

「そうだな……他人の為に行動出来る所かな 」

 

彼方さんはそう言ったが、俺にはピンと来なかった。そんな顔を見た彼方さんは、さらに話を続けてくれた。

 

「ここに来る前の数週間前、君と会って話してくれただろ?えーと、メルフィーパークだっけ?その出来事を 」

 

メルフィーパークの出来事……多分俺を狙う謎の敵、ポルーションとの出来事を指しているのだろう。

 

ポルーションとはいきなり遭遇し、俺を連れていくと言って自分で作った毒をばら撒き、そこにいた動物や植物、果てには何も関係ない子である心咲ちゃんと言う少女にも危害を加え……六花達も全員命の危機にまで陥れた奴だ。

 

あの時はカンザシの新しい力六花聖華カンザシによって何とか難を逃れ、ここではポルーションの仲間であるウェルシーという奴まで来ており、まだまだ底が知れない連中だ。

 

「それで、それがどうして…… 」

 

「実は詳しい話を六花達に聞いたんだが。君、随分と暴れたようだな 」

 

「そ、それは…… 」

 

そう、あの時の俺は自分でもよく分からない力に飲み込まれて我を失っていた。とにかくポルーションを殺す。その為だけに生きていたようでも思えてしまったあの頃は、1歩間違えれば俺自身がどうなるか分かった物でも無かった。

 

そして、俺が自分を取り戻せたのはティアドロップのおかげだ……あいつがいて、今の俺がいると言っても良いだろう。

 

「褒められた物ではありませんよ 」

 

「だけど他人の為に行動した。それに、花音さんからも聞いたが、閃刀姫レイとデュエルした時、君は自分よりも花音さんの身を案じたらしいな?見知らぬ所で連れていかれたら普通に自分の身を案じるだろ。俺ならそんな余裕は無いかな 」

 

「そんな……彼方さんだってするはずですよ 」

 

「出来ないんだ。天音の身が危険ならやると思うが……天音以外だと多分そこまで気が回らない。事実、天音が誘拐されている今、これ以上気が回っていない 」

 

そうは言うが、表面上ではそんな風には見えなかった。これ以上他人を巻き込まず心配させない為か、それともそうでもしないと焦りで何をするか分からないのか……他人の心の中は見る事は出来ない。だから彼方さんの心境は今でもこれからも知る由もない。

 

「……いや、この話は止めよう。それよりも、もうシクランとエリカの対決は始まってるぞ。なかなか面白いデュエルになってるぞ 」

 

彼方さんは無理やり話を切り上げ、シクランとエリカのデュエルに話を切り替えた。俺もこれ以上話すと心が沈みそうだから丁度いいと言えば丁度いいかもしれない。

 

「へぇ……どんなデュエルになってるんですか? 」

 

「見ればわかるぞ、なんたってどっちも手札は0。手札をあまり使わないデュエルをしている 」

 

「は?手札を……使わない? 」

 

普通手札にあるカードを駆使して展開や妨害をするのが遊戯王なのに……手札を使わないとなるとどうやって盤面を進めていくんだ?

 

パッと考えた所だと……ロゼが使っていたシャドールの様な墓地を利用したデッキ同士の対決か、それともスノードロップが使っていたデッキ融合か……もしくはあの某満足さんが使ったハンドレス……?どちらにしろ想像がつかないが、ここを抜ければ全容が分かる筈だ。

 

陽の光も近づき、通路を抜けると……フィールドには2体のモンスターがいた。

 

1体はまるで人魚のような姿形のモンスターであり、もう1体は……炎を纏った刀を持っていた武士……いや、あれは……不知火か?

 

『さぁ、Bブロック第4試合はこれまた異色!なんと今お互い手札0でのデュエルとなっています!しかし展開が止まる事を知りません! 』

 

「さぁ、フィールドを確認だ。インチキ融合とインチキシンクロ同士のぶつかり合いだ 」

 

 

2ターン目後攻 現在

 

 シクラン 残り手札0枚

 残りライフ8000

 

 □①□□□

 □□②□□

 □ □

 □③□□□

 □④□□⑤

 

 エリカ 残り手札0枚

 残りライフ8000

 

①伏せカード

②ティアラメンツ・キトカロス

 

③戦神-不知火

④⑤伏せカード

 

 

どっちも手札0という異色なデュエル……にも関わらず場には融合とシンクロモンスターが存在しているのか……

 

「というか今どっちのターンなんですか? 」

 

「先行がシクランだったから今はエリカのターンだな 」

 

「バトル!【戦神-不知火】で【ティアラメンツ・キトカロス】に攻撃! 」

 

「罠発動【カオス・バースト】!相手の攻撃宣言時、自分フィールドのモンスターをリリースした後、相手モンスターを破壊して相手に1000ダメージを与える! 」

 

シクランの罠カードに対抗するカードが無いのか、罠カードが発動し、シクランのモンスターがフィールドから消えた瞬間、戦神-不知火がいた地面が爆発し、その爆風がエリカに襲いかかった。

 

エリカ 残りライフ8000→7000

 

「破壊された【戦神-不知火】の効果発動。除外されている守備力0のアンデッド族モンスター、【妖刀-不知火】を墓地に戻すわ 」

 

「私もリリースして墓地に送られた【ティアラメンツ・キトカロス】の効果発動!このモンスターが効果で墓地に送られた時、デッキからカードを5枚墓地に送る 」

 

破壊されてもお互いのモンスターが発動し、チェーン処理でまずはシクランのモンスター効果が処理された。

 

それにしても5枚も墓地に送れるのか……今どきの遊戯王の墓地は第2の手札なんて呼ばれているらしいから、見ようによっては凄まじいアドバンテージになるだろう。

 

次にエリカの不知火の効果が発動し、エリカは妖刀-不知火を墓地に戻した。この戦法は焔とのデュエルで見た事あるやり方だ。

 

「よし、私は墓地に送られた【ティアラメンツ・ハゥフニス】の効果発動!このカードを素材に、手札、フィールド、墓地、の素材をデッキの下に戻して融合召喚する!私はこのカードと墓地の【ティアラメンツ・キトカロス】で融合召喚! 」

 

「墓地のモンスターを除外じゃなくてデッキに戻して融合召喚!?何てカードだ……あれは一体どんなカード何ですか彼方さん……? 」

 

「…………」

 

「ま、真っ白に燃え尽きてる…… 」

 

彼方さんのこの反応……間違いなくヤバいカードだと言うのは分かる。そりゃあ墓地融合が出来るカードがヤバくない訳が無い。だがどのようなカードが全容がほぼ分からないから彼方さんの解説が無いと何も始まらない。

意識を失っている彼方さんの体を揺すり、何とか彼方さんは意識を取り戻した。

 

「はっ、すまない。いつ見てもここで【ティアラメンツ】が出てくる衝撃に耐えられなくてね 」

 

「いやそれは大丈夫なんですけど……ええと、【ティアラメンツ】でしたっけ?どんなカードなんですか? 」

 

「簡単に言えば墓地送りも出来て墓地融合出来るカードだ。共通効果で効果で墓地に送らればさっきみたいに墓地融合も可能だし、テーマ内で高い完結力を持ったテーマだ。これは相当手強いぞ 」

 

1つで墓地送りと墓地融合が出来るのか……それにしても青い鱗と魚のヒレのような外見からしてモチーフは人魚だろうか。

 

あんなモンスターが居たのか……まだまだこの界隈は広いな。

 

「何故他の女を見ているのですか?花衣さん? 」

 

「そうですよー?これ以上女性関係を増やすと流石に私も怒りますよ? 」

 

(もう怒っているのでは……?)

 

というツッコミは心の中にしまい込み、背後から見なくても分かる気配、ティアドロップとレイがまるで剣と銃を背中に突きつけられている様な圧を放っていた。

2人は何も持ってないはずなのに降参するように両手を上げてしまうほどの迫力だ。

 

現に俺は両手を上げ、全面降伏の態度を示した。

 

「早くお席に戻りましょう。花衣様は病み上がりなので無理はなさらないようにして下さい 」

 

ティアドロップとレイはいつものように俺と腕を組み、そのまま元の席へと案内した。

 

「あ、俺の事を置いていかないでくれ 」

 

遅れて彼方さんも俺達の後に着いていき、少し遅れての合流となった。

 

「花衣さん!もう大丈夫なんですか? 」

 

「うん、もうなんとも無いよ 」

 

俺を見て席から立ち上がる程の心配している花音にこれ以上心配かけないように、小さくガッツポーズをした。

 

花音はどことなくまだ不安の芽が残っているかのような顔をしていたが、どうにかして納得してくれた。

 

「でも本当に良かったです。これで2人も安心して試合に挑めますね 」

 

するとカンザシの袖から扇を取り出し、フィールドにいるエリカ達に向けて小さく扇を扇いだ。すると少し冷たい風がエリカ達まで流れ、その冷たさを感じたエリカとシクランがこっちの席に顔を向け、俺の姿を見るとホッとしたような顔を浮かべているのが見えた。

 

どうやら俺が帰ってきたという合図を2人に送ったらしい。

 

「花衣君だ!良かった…… 」

 

「えぇ、本当に心配をかける殿方ですね。さて、でしたら問答無用で貴方と戦うから覚悟しなさい 」

 

「こ、こっちも負けないもん。私が召喚するのはこれ!【ティアラメンツ・ルルカロス】! 」

 

ティアラメンツ・ルルカロス

レベル8/融合/水族/ATK3000/DEF2500

 

フィールドに海水が流れ込むように現れたと同時に、また人魚の姿のモンスターが現れた。

 

深い青色鱗はまるで鳥のような羽を形をし、騎士のような鎧とドレスが合わさった服装や、ステンドグラスの様な装飾が施された剣を持っているせいか人魚というか女騎士の様な印象を持った。

 

というか今って確かエリカのターンだよな?普通に融合と墓地肥やしをしているからてっきりシクランのターンだと錯覚しそうになった。

 

「これ以上は何も出来ないわね。私はこれでターンエンド 」

 

2ターン目後攻 終了

 

 シクラン 残り手札0枚

 残りライフ8000

 

 □□□□□

 □□①□□

 □ □

 □□□□□

 □②□□□

 

 エリカ 残り手札0枚

 残りライフ7000

 

①ティアラメンツ・ルルカロス

 

②伏せカード

 

 

「私のターン、ドロー!私は魔法カード【烙印融合】を発動! 」

 

「うぐほっ! 」

 

シクランの魔法カードに彼方さんは何か致命傷を受けたようなリアクションを取ると、そのまま椅子と一体化しそうな程彼方さんの体は溶けて行った。

 

「か、彼方!?一体どうしたの!? 」

 

「烙印……アルバス……ミラジェイド……」

 

「何を言ってますの貴方……ほらシャキッとしなさい!私のフィアンセ何ですのよ! 」

 

「誰が婚約者だ…… 」

 

「あ、良かった生きてた 」

 

何とか彼方さんは体を起こしたが、未だにシクランが使った烙印融合というカードに畏怖していた。そんなにヤバいのかあのカード……

 

「いや……勇者やふわんだりぃずも出てきたんだ。ちょっと考えればあのカードが出てくるのは当然だよな…… 」

 

「あのカード、名前からして融合カードらしいですけど、どんなカード何ですか? 」

 

「ノーリスクでデッキ融合するカードだが 」

 

その一言だけで俺や花音、そしてカレンさんは固まった。いや、デッキ融合自体はスノードロップが使っていたダイノルフィアで見たが、あれは罠カードかつライフを2000払ってようやくデッキ融合するカードだ。

 

にも関わらず、ノーリスクでデッキ融合出来るカードが来たら驚くしか無い。

 

「私はデッキから【アルバスの落胤】と【ドラゴンメイド・フルス】をデッキから墓地に送って、融合召喚! 」

 

『さぁまさかのデッキ融合!果たして何が出るのか!? 』

 

「出すのはこれ!【深淵竜アルバ・レナトゥス】! 」

 

深淵竜アルバ・レナトゥス

レベル8/融合/ドラゴン族/ATK2500/DEF2500

 

フィールドに突然マグマが溢れ出し、溢れ出したマグマの中から現れたのは赤色の鱗を纏った黒いドラゴンだった。

 

同じ炎から現れたモンスターのせいか、どことなくレッドデーモン・ドラゴンと似ているような気がするが、全く持って性質が違う。

 

レッドデーモンは荒れ狂いながらも王者のような風格があったが、あのモンスターはただ暴れ回っているだけに感じる。

 

と言うより、何故か分からないが胸の奥がざわめいて気がならない。どれかのモンスターの名前を聞いた時からざわめきが止まらず、フラッシュバックは起こりはしないが落ち着かない気分になった。

 

「【深淵竜アルバ・レナトゥス】は融合素材にしたモンスターの数だけ攻撃出来る!私が素材に使ったのは2体たがら、2回攻撃できる! 」

 

『今場ががら空きなエリカ選手にこの2回攻撃とキトカロスの攻撃が決まればエリカ選手のライフは尽きます!これは勝負あったか!? 』

 

「そう簡単には行かないわよ?罠発動【春化精の暦替】。自分の墓地に存在する【春化精】モンスターを手札に加えるか、そのまま特殊召喚する 」

 

「はる……けしょう?それに六花とは1文字違いだけど何か関係あるのか? 」

 

「あの子達は春を告げる妖精見たいな物だから、私達とはあまり関係ないかなー。春の間に見れるらしいけど、ほんっっとうに小さいから見た事は無いね 」

 

スノードロップの言うことは正しいと言わんばかりに他の六花達もこくりと頷いたが、胸ポケットにいるひとひらだけは違った。

 

「ん?ひとひらは【春化精】に会ったことあるのか? 」

 

俺の問いにひとひらは頷いて答えたが、同時に俺の顔に指を指していた。

 

「ええと……俺も会ったことあるって言いたいのか? 」

 

ひとひらはまたこくりと頷いてくれた。

 

「ええー!良いなー!春化精に会った人は、その春にすっごい幸せが訪れるって話だよ!私も会ってみたいな〜」

 

ストレナエが羨ましそうにしているが、当の俺はそんな事覚えてもいないから、少し物寂しい気分だ。また会うこと……あるかな。ソリッドビジョンじゃなくて、本当の春化精に。

 

「私が墓地から特殊召喚するのは【春化精の女神 ヴェーラ】。守備表示よ 」

 

春化精の女神 ヴェーラ

レベル8/天使族/ATK2200/DEF3000

 

現れたのは花のようなドレスを身にまとった正しく女神の様な姿のモンスターだった。しかも守備力が3000であり、シクランの場に存在するモンスターの中で1番攻撃力が高いティアラメンツ・ルルカロスと同じ数値だ。これで戦闘面での問題は無くなり、手札も無いシクランは攻め手を失った。

 

「うぅ……私はこれでターンエンド 」

 

3ターン目 先攻終了

 

 シクラン 残り手札0枚

 残りライフ8000

 

 □□□□□

 □□①②□

 □ □

 □□③□□

 □□□□□

 

 エリカ 残り手札0枚

 残りライフ7000

 

①ティアラメンツ・ルルカロス

②:深淵竜アルバ・レナトゥス

 

③:春化精の女神 ヴェーラ

 

 

「私のターン、ドロー。私は【BF-幻耀のスズリ】を通常召喚 」

 

BF-幻耀のスズリ

レベル4/鳥獣族/ATK1400/DEF1400

 

「【BF】って、雀ちゃんが使っているカードですよね? 花衣さん? 」

「あぁ、だけど手札1枚からどうやってこの場を乗り切る気なんだ? 」

 

攻撃力もそれ程高くなく、このままではすんなりとやられるだけだが……エリカがみすみすそんな事をする筈が無い。

 

「【BF】の効果を使う前に、【春化精の女神 ヴェーラ】の効果発動。相手モンスター1体のコントロールを奪うわよ、当然選ぶのは【ティアラメンツ・ルルカロス】! 」

 

「うぐっ……」

 

ヴェーラーがの効果により、キトカロスがエリカのフィールドに移動されてしまい、これでシクランのフィールドには深淵竜アルバ・レナトゥスしか場に残っていなかった。中々えぐい事をするな……エリカ。

 

「【BF-幻耀のスズリ】の効果発動。このカード以外の【ブラックフェザー・ドラゴン】と記されたカードを1枚デッキから手札に加えるわ、私は【BF-無頼のヴァータ】を手札に加えるわ 」

 

何か知らないカードが出てきたな……あれも新しいカードか?

 

「そして、自分フィールドに【BF】モンスターが存在している時、さっき加えた【BF-無頼のヴァータ】は特殊召喚できる。当然、特殊召喚よ 」

 

BF-無頼のヴァータ

レベル2/チューナー/鳥獣族/ATK800/DEF0

 

白い特攻服を着ており、まるでヤンキー見たいな感じのモンスターが現れた。だが……かなり体が小さい。

レベル2でBFだから仕方ないと思うが、体が小さくともいかつい目つきが威圧感を生み出しているが……

 

「あの鳥さん可愛いですね! 」

 

「小さいながらも強気な態度……好感が持てますわね 」

 

女性陣からすればそれが可愛らしい行動なのか、ヴァータに好感を持っていた。こっちからすればまぁまぁ怖いんだが……女心は分からないな。

 

「だが、小さいからって侮っちゃいけない。ここから先があのモンスターの真骨頂だ 」

 

「【BF-無頼のヴァータ】の効果。このカードとデッキからレベル8になるようにデッキから【BF】を墓地へ送り、【ブラックフェザー・ドラゴン】を特殊召喚するわ。私はレベル6の【BF-刻夜のゾンダ】と【ヴァータ】を墓地に送り、【ブラックフェザー・ドラゴン】を特殊召喚!」

 

ヴァータの背後に紋章が浮かび上がると、同時にヴァータは黒い翼を羽ばたかせ、翼が舞い上がると共にヴァータは消え、浮かび上がった紋章からブラックフェザー・ドラゴンが現れた。

 

ブラックフェザー・ドラゴン

レベル8/シンクロ/ドラゴン族/ATK2800/DEF1600

 

「ブラックフェザー・ドラゴンか…… 」

 

5Dsのクロウのエースカードがこんな所で見れるとは……アニメで見た通り、四枚羽の黒い翼が特徴的であり、見たままの姿だ。

 

「更に墓地に送った【BF-刻夜のゾンダ】を墓地から除外し、デッキからレベル5以上の【BF】を特殊召喚する。私は【A BF-霧雨のクナイ】を特殊召喚! 」

 

A BF-霧雨のクナイ

レベル5/鳥獣族/ATK2100/DEF1600

 

「本来【ゾンダ】の効果でモンスターを召喚した場合、召喚したモンスターの攻撃力分のダメージを受けるけど、私の場には【ブラックフェザー・ドラゴン】がいるから、攻撃力を下げてダメージを無効にするわ 」

 

ブラックフェザー・ドラゴン ATK2800→2100

 

エリカのダメージを肩代わりするように赤い光がブラックフェザーを襲い、ブラックフェザーの羽の一部が赤く光り始めた。

 

「次は【BF-幻耀のスズリ】の効果発動。フィールド上の【BF】モンスターをリリースし、レベル2のトークンを特殊召喚。私は【スズリ】自身をリリースして特殊召喚 して、その後700ポイントのダメージを受けるけど…… 」

 

「場に【ブラックフェザー・ドラゴン】がいるからダメージは受けない…… 」

 

ブラックフェザー・ドラゴン ATK2100→1400

 

またブラックフェザーの翼が赤く染まり、幻耀のスズリが小さくなったトークンが場に現れた。

 

「それにしても【黒い旋風】が無いのに良く回るな…… 」

 

「【BF】は元々の展開力は強い方だからな。それにエリカの墓地には【不知火】がいる 」

 

「まだまだ行くわよ?私はレベル5の【A BF-霧雨のクナイ】にレベル2の【スズリトークン】でシンクロ召喚! 」

 

「え!?あのトークンチューナーなのか!? 」

 

トークンでありながらチューナーである事に驚きながら、合計レベルは7のシンクロ召喚を見届けた。

 

レベル7のシンクロと言えば、パッと思いつくと言えば花音が使っている月華竜ブラック・ローズだが……BFと言えば、あのモンスターしか無いだろう。

 

「レベル7【A BF-涙雨のチドリ】を召喚! 」

 

A BF-涙雨のチドリ

レベル7/シンクロ/ATK2600/DEF2000

 

黒い翼を羽ばたかせ、日本刀をしなやかに振ったモンスターが登場した。全体的に和風テイストなモンスターだからエリカが使うと絵になる。

 

「更に墓地の【妖刀-不知火】の効果!墓地のこのカードと他のアンデット族モンスターを除外する事で、そのレベルと同じアンデットシンクロモンスターをエクストラデッキから特殊召喚する! 」

 

『デッキシンクロの次は墓地シンクロ!エリカ選手のシンクロ召喚は止まることを知りません! 』

 

確かに手札0で良くここまで展開できるのは流石シンクロ召喚とエリカの手腕と言ったところだ。

一体今度は何を出すんだ……?

 

「私はレベル2の【妖刀-不知火】とレベル1【ヴァンパイアの使い魔】を除外し、エクストラデッキからレベル3【燐廻の三弦猫】を特殊召喚! 」

 

墓地からコウモリのようなモンスター、ヴァンパイアの使い魔が妖刀-不知火の蒼い炎を身に纏うと、その炎に引かれたかの様に人魂が溢れ出し、同時に三味線の音もひびき出した。

 

三味線の弦が鳴る度に人魂は増えだし、アンデット族らしく不気味な雰囲気を漂わせ、夏の怪談を見せられているみたいで少し体に震えが走り、後ろにいたストレナエとプリムが涙目で震えていた。

 

「いやー!お化けいやー! 」

 

「お化け怖いよー!!! 」

 

ついに2人は我慢の限界なのか人魂から目を合わせないように隣にいたストレナエはヘレボラスの胸に、プリムはスノードロップの胸にうずくまってしまった。

 

「だ、大丈夫ですよ。本物では無いですから。だからその……私の胸の中であまり動かないで下さい。くすぐったいです…… 」

 

「そうそう、ほら見てよ。フィールドにいるシクランはちゃんと立っているよ? 」

 

確かにフィールドにいるシクランは人魂を真正面から見てはいるが……明らかに足が震えていて大分怖がっている様子だ。だってシクラン半泣き状態だもん……

 

三味線の音が鳴る度に足は震え、音が早くなる度に体の震えも早くなっていた。やがて三味線の音は最高速にまで鳴り、ようやく人魂の向こうから姿が現れた。

 

現れたモンスターは着物を纏った猫であり、音の原因どある三味線を担いでいた。

 

燐廻の三弦猫

レベル3/チューナー/シンクロ/ATK1600/1200

 

『なんとこれでフィールドにはモンスターが5体!メインモンスターゾーンが埋まってしまう大軍団となってしまいました!果たしてシクランちゃんはこの状況を受け切れるのでしょうか!? 』

 

「だけど手は緩めないわよ。【ブラックフェザー・ドラゴン】の効果発動!このカードに乗られている黒羽カウンターを全て取り除き、取り除いた数×700ポイント相手モンスターの攻撃力を下げ、その分のダメージを相手に与える!カウンターの数は2つ。貴方のモンスターの攻撃力は1400ポイントダウンし、貴方のライフもその分受けてもらうわよ! 」

 

深淵竜アルバ・レナトゥス ATK2500→1100

 

シクラン 残りライフ8000→6600

 

「【ヴェーラ】を攻撃表示にしてバトルフェイズ!まずは【A BF- 涙雨のチドリ】で【深淵竜アルバ・レナトゥス】に攻撃!【涙雨のチドリ】は墓地の【BF】の数×300ポイント攻撃力がアップ! 」

 

「えーと、今墓地にいる【BF】は……」

 

「4体だ。よって攻撃力は1200ポイントアップだな 」

 

A BF涙雨のチドリ ATK2600→3800

 

『ここで攻撃力アップはキツい!【深淵竜アルバ・レナトゥス】は逆に攻撃力が下げられ、これは手痛いダメージが出てしまいます!』

 

チドリは雷鳴の如く一気にアルバ・レナトゥスの喉元まで飛び、すかさず首ごと落とすように刀を振り下ろした。

 

チドリの斬撃は首どころか体が真っ二つになる程大きかったが、流石にそこまでの描写は許されていないのか体に剣の傷が生まれた瞬間アルバ・レナトゥスの体は爆発し、シクランは攻撃力の差の2700のダメージを受けた。

 

シクラン 残りライフ6600→3900

 

「あぅ……【深淵竜アルバ・レナトゥス】が破壊された時、デッキから【融合】魔法か【フュージョン】魔法カードを手札に加える!私が選ぶのは……【円融魔術】! もうこれしか今使える融合カードが無いけど…… 」

 

「続けて【春化精の女神ヴェーラ】でダイレクトアタック! 」

 

今シクランの場にはモンスターおろか伏せカードも無い。それに手札もない今、シクランがこの攻撃を受け切れる手段は……無い。

 

シクラン 残りライフ3900→1100

 

「このままじゃ…… 」

 

「最後は貴方のモンスターでトドメをさすわよ。【ティアラメンツ・キトカロス】でダイレクトアタック! 」

 

キトカロスがトドメをさすがのように剣を構え、一直線にシクランに向かって飛び出した。水の中にいる魚よりも早くしなやかな動きは目で追うことは出来ず、影を追うのに精一杯な程速い。

 

「あぁ!シクランちゃん負けちゃう! 」

 

プリムが叫んだその時、シクランが墓地にある1つのカードの存在を気づいたかのようにデュエルディスクを操作し、墓地にあるカードを発動した。

 

「っ……!墓地の罠カード【ダイノルフィア・ソニック】を発動!自分のライフが2000以下の時に墓地のこのカードを除外し、戦闘ダメージを0にする! 」

 

シクランの前に衝撃波が走り、キトカロスは衝撃波に吹き飛ばされてしまった。吹き飛ばされただけでシクランのフィールドには戻っておらず、そのままエリカのフィールドに戻って行った。

 

シクランを守った衝撃波そのままシクランを守る様に走り続け、エリカのモンスターはシクランに攻撃出来ない状況が続いた。

 

「ふぅ……危なかったけど…… 」

 

ギリギリの状況にシクランはホッとはしているが、状況事態には何も変わっていない。シクランのフィールドは何も無く、逆にエリカのフィールドにはモンスターが5体だ。どう見ても不利な状況にシクランは顔を俯かせ、戦意を失いつつあった。

 

「私はこれでターンエンドよ 」

 

3ターン目 後攻終了

 

 シクラン 残り手札1枚

 残りライフ1100

 

 □□□□□

 □□□□□

 ① □

 ②③④⑤□

 □□□□□

 

 エリカ 残り手札0枚

 残りライフ7000

 

①:ブラックフェザー・ドラゴン

②ティアラメンツ・ルルカロス

③:春化精の女神 ヴェーラ

④:A BF 涙雨のチドリ

⑤:燐廻の三弦猫

 

 

「おいおい……これ行けるのか? 」

 

「無理だろ。まぁあの小さい子はよく頑張ったと思うけどな 」

 

周りの参加者はこの状況を無理だと悲観し、諦めムードを漂わせていた。

 

無理もない。ライフの差は歴然所かシクランはこのターンでエリカのライフを0にしなければ恐らく次のエリカのターンで負ける。

 

だがエリカのライフは7000だ。手札が少ない今このライフを削り切るのはほぼ不可能だ。シクランもそれを痛感しているのか、シクランのターンにも関わらずシクランはデッキに指を置く事すらしなかった。

 

「何をしているの、貴方のターンよ 」

 

「無理だよ。私なんかじゃやっぱり…… 」

 

「諦めるの?あの人なら最後まで諦めない筈でしょ?それに、あの2人は一生懸命貴方を応援してるわ 」

 

するとエリカはこちらというより、プリムとストレナエの方に指を指し、シクランはプリム達2人に顔を向けた。

 

顔を向けた先のプリム達は、席を立って周りの諦めムードを目もせずにシクランの応援を続けていた。

 

「頑張れシクランちゃーん!最後まで分からないのがデュエルだよ!! 」

 

「そうだよ!!諦めないで! 」

 

2人の声援は沈んでいた会場の雰囲気を少しずつだが変えていった。純粋無垢で真っ直ぐな声援はやがて他の者を感化していった。

 

「そ、そうだー!頑張れー!」

 

「墓地のカードもまだある!諦めるな! 」

 

「融合召喚の維持を見せてくれー! 」

 

シクランへの声援も少しだが増え初め、暗かった雰囲気が一気に明るくなり、2人だけじゃなくシクランとは面識も無い人達が今シクランを応援している。

 

今この瞬間プリムとストレナエの事を凄いと思った。周りに縛られず、今やりたい事を精一杯真っ直ぐに突き進むその姿勢は、周りの人達にも感化される。純粋だからこそ惹かれる物があるのだろう。

 

周りの人達からの応援を浴びているシクランは顔を上げてはいたが、あともう一押し足りないのかドローはまだしていない。

 

「シクラン…… 」

 

「応援してあげてください、旦那様 」

 

「そうですよ、背中を押してあげてください 」

 

隣にいたカンザシとティアドロップからも一押し押され、俺は感謝の言葉を述べて席を立ち、周りの声援に負けない声を出す為に大きく息を吸った。

 

「シクラーン!! 」

 

名前を叫ぶとシクランは多数の声の中で俺の声が聞こえたのか、俺の方に振り向いた。

遠いシクランと目が合い、俺は何も言わずに笑顔で親指を立てた。

この行動には、シクランに対して様々な意味を持ったエールを込めた。最後まで諦めないのもあるが、1番はシクラン自身の力を信じて欲しいという意味合いが強い。

 

シクランはひたむきに努力をする性格だ。

ティアドロップやカンザシが料理している所を見ては、後から見よう見まねで実践したり、家事全般もささやかだが手伝ったりしている。多分この大会でも誰よりも負けないぐらいひたむきに接し、臨んでいるだろう。

 

だからきっとカードは応えてくれる。そう目で伝えようとしてシクランを見つめると、シクランは1度自分の腕につけられているデュエルディスクを見つめ、ゆっくりと立ち上がった。

 

「……花衣君 」

 

「妬けるわね。花衣さんの応援を受けるなんて……それでどうすのかしら? 」

 

「勿論……続ける!花衣君のように、私も最後までやる! 」

 

「そう、それで良いのよ 」

 

「私のターン、ドロー! 」

 

ようやくシクランはデッキからカードを引き、観客達も諦めないシクランの姿に歓声を上げた。果たして、シクランが引いたカードは何だ……?

 

「私は手札の【円融魔術】を発動!自分のフィールドか墓地の魔法使い族モンスターを除外して、その素材の融合モンスターを特殊召喚する!私は墓地の【ブラックマジシャンガール】と【憑依装着-エリア】で融合! 」

 

魔法カードを発動したシクランの上空に金色の縁に文字が描かれている鏡が現れ、鏡の向こうからブラックマジシャンガールが現れた。

 

ブラックマジシャンガールは鏡に向かって杖を向け、紫色の光を鏡に浴びさせた時、鏡の周りから光が漏れた。

 

漏れた光と共に鏡も光だし、その鏡の向こうにもう一体の魔法使いかフィールドに現れた。

紫の鎧を身にまとい、いかにも最強の魔法使いと戒めるその姿は、見る物を圧倒させた。

 

「融合召喚!【超魔導師-ブラック・マジシャンズ】! 」

 

超魔導師-ブラック・マジシャンズ

レベル8/融合/魔法使い族/ATK2800/DEF2300

 

『シクラン選手が出してきたのは【超魔導師-ブラック・マジシャンズ】!だがこれだけでは倒せないぞ!?』

 

確かに攻撃力は若干殆どのモンスターに負けており、今倒せるとしたら【燐廻の三弦猫】辺りだ。

 

「何を考えているのか知らないけど、低い攻撃力のまま挑まないわよ。私は【燐廻の三弦猫】の効果発動。相手メインフェイズ時、このカードとフィールドのモンスターを素材にしてシンクロ召喚する! 」

 

「相手ターンにシンクロ!? 」

 

「それってアクセルシンクロじゃないか……! 」

 

「花衣君、今は相手ターンにシンクロ召喚するカードはまぁまぁあるぞ 」

 

「え、そうなんですか? 」

 

俺にとって相手ターンにシンクロ召喚する=アクセルシンクロ何だけど……まぁ、時代は進んでいるからな……

 

「私は【燐廻の三弦猫】と【ブラックフェザードラゴン】でシンクロ召喚! 」

 

あの2体のレベル合計は11。奇数のシンクロモンスターはそれ程見た事は無く、ましてやレベルも高い。一体どんなモンスターが出てくるんだ……?

 

三弦猫が三味線を引くと猫は3つの光の輪となり、ブラックフェザードラゴンはその輪をくぐると光の道となり、新たなモンスターを呼び出した。

 

光の向こうからは緑の雷が轟き、黒い鱗と翼を羽ばたかせて2人の魔法使いを3つの頭で威圧した。

 

「レベル11【サイコ・エンド・パニッシャー】! 」

 

サイコ・エンド・パニッシャー

レベル11/シンクロ/サイキック族/ATK3500/DED3500

 

「攻撃力3500……!流石レベル11だな 」

 

「しかもあいつはバトルフェイズ開始時にライフの差の分だけ攻撃力が上がる奴だ。今の状況だと攻撃力は5900上がって、9400になるぞ 」

 

「そんなモンスター今の状況でどう対抗できるんだ……? 」

 

「シクランのあの最後の手札と……あのデッキトップに全てがかかっているな 」

 

彼方さんは何故かデッキトップまで注目していたが、一体どういう事なのだろうか……とにかく、これがシクランのラストターンになる事は間違いなかった。目が離せない展開の中、シクランは最後の手札のカードを発動した。

 

「魔法カード【拡散する波動】を発動!ライフを1000払って、私の場のレベル7以上の魔法使い族モンスターは

、相手モンスター全てに攻撃しなければならない! 」

 

シクラン 残りライフ1100→100

 

『ここで全体攻撃が来たぁぁ!が、しかし!攻撃力では全てのモンスターに負けているかつ、ライフの差が開いたので【サイコ・エンド・パニッシャー】の攻撃力アップ効果は更に高まり、現状では何と攻撃力は10400! 』

 

「それに【拡散する波動】は相手モンスター全てに()()()()()()()()()()()強制効果だ。【サイコ・エンド・パニッシャー】に攻撃する前にライフを0にするか、攻撃力を上回らなければシクランの敗北が決定する 」

 

「でももうシクランの手札は…… 」

 

「いや、魔法カードが発動したという事は【超魔導師-ブラック・マジシャンズ】の効果が発動する 」

 

「【超魔導師-ブラック・マジシャンズ】の効果!魔法・罠カードが発動した時、デッキの上のカードをドローして、それが魔法カードならその場でセット出来る!そして、セットしたカードはその場で使える! 」

 

彼方さんが言っていたのはこの事だったのか……だが、これは無謀過ぎるドローだ。拡散する波動のせいで全てのモンスターに攻撃しなければならないから、あのドローが攻撃力をアップさせるカードでは無ければその時点で負けが決まってしまう。

 

シクランはゆっくりとデッキの上に指を置き、これから起こる事を受け入れるかのように目を閉じていた。

 

「お願い花衣君……見守っていて……! 」

 

目を閉じながらシクランはカードをドローした。

 

シクランは目をゆっくりと開けると、ハッとしたような顔をし、良いカードなのか悪いカードなのかすら分からなかった。だが、それは直ぐに分かった事だった。

 

「私がドローしたのは……装備魔法【月鏡の盾】!これをセットして、そのまま発動!【超魔導師-ブラック・マジシャンズ】に装備! 」

 

「ここに来てそれを引いたのね……! 」

 

『こ、これはなんということでしょう!あのカードは装備モンスターの攻撃力を、戦闘したモンスターの攻撃力か守備力の高い数値+100にするカードだ!これなら相手がどんなに攻撃力をアップしても、必ず100上回ります! 』

 

「シクランちゃん凄い!最後の最後にそんなカードを引くなんて! 」

 

「ねー!やっぱりシクランちゃんは凄いんだよ!ね、花衣君! 」

 

ストレナエとプリムは自分の事のように大喜びし、俺は内心驚いている。まさかあの土壇場で盤面をひっくり返せるカードを引けるのは並大抵の運じゃ無理だ。

 

やっぱりシクランにはシクランなりの力があると感じた場面だ。これで戦闘面では問題ないどころか、エリカのモンスターはシクランのモンスターに戦闘では敵わなくなった。

 

「バトル!【超魔導師-ブラック・マジシャンズ】で、全てのモンスターに攻撃! 」

 

月鏡の盾によって戦闘するモンスターの攻撃力か守備力が高い数値+100になったブラックマジシャンとブラックマジシャンガールは互いの杖を重ね合わせ、重ね合わせた所から魔術の刃がエリカのモンスターに襲いかかり、刃に切り裂かれるように破壊された。

 

エリカ 残りライフ7000→6600

 

ダメージはさほどだが盤面自体は逆転した。

 

「や、やった……!私はこれでターンエンド! 」

 

4ターン目 先行終了

 

 シクラン 残り手札0枚

 残りライフ100

 

 ②□□□□

 □□□□□

 ① □

 □□□□□

 □□□□□

 

 エリカ 残り手札0枚

 残りライフ6600

 

①超魔導師-ブラック・マジシャンズ

②月鏡の盾

 

 

「まさかモンスターを全滅させるなんてね。やるわねシクラン 」

 

「そ、そうかな……きっと花衣君が応援してくれたおかげかな……?えへへ 」

 

シクランは頬を赤く染め、指で赤くなった所を少し触れながらチラリと俺の方を見た。

 

「だけどまだ終わってないわよ。このターンで決めるから覚悟しておきなさい 」

 

「へ? 」

 

「私のターン、ドロー 」

 

エリカは笑顔を崩さずにいたが、少しだけ滲み出ている圧はシクランも感じているのか、さっきの赤らめた顔は消え、ピリついた空気に耐えるように態度を切り替え、エリカのターンに備えた。

 

そして、ドローカードを見たエリカは……勝ちを確信した笑顔を浮かべた。

 

「私は墓地の【燐廻の三弦猫】の効果発動。このカード以外のシンクロモンスターをデッキに戻し、このカードを墓地から特殊召喚する。私は墓地の【A BF 涙雨のチドリ】 をエクストラデッキに戻して、【燐廻の三弦猫】を特殊召喚 」

 

墓地からまたあの猫のモンスターが蘇り、しかもあのモンスターはシンクロチューナーだ。もしエリカの手札がモンスターだった時、4〜7ぐらいのシンクロモンスターが召喚可能だ。さっきエクストラデッキに戻した涙雨のチドリのレベルは確かレベル7だから、レベル4のモンスターを召喚すればそれが特殊召喚出来る。

 

……が、月鏡の盾を装備しているブラックマジシャンズ相手に戦闘では歯が立たない事は事実。どうする気何だと気になり始めた時、エリカは手札のモンスターを召喚した。

 

「私は【不知火の武部】を通常召喚 」

 

不知火の武部

レベル4/アンデット族/ATK1500/DEF0

 

現れたのは桃色の袴と赤色の緋袴(ひはがま)(巫女服にある下半身に履くもの)を履いた薙刀を構えた女性型のモンスターだった。

 

あのモンスターには見覚えがある。確か焔がかなり愛用しているモンスターの1体だ。

 

「【不知火の武部】は召喚した時、デッキから【妖刀-不知火】を特殊召喚出来るけど……あいにくもう私のデッキにはそのカードが無いから効果は使えないけど、その代わりアンデット族モンスター以外でも特殊召喚は可能になるわね 」

 

「な、何を出すつもりなの……? 」

 

「今から見せてあげるわ。私はレベル4ほ【不知火の武部】とレベル3の【燐廻の三弦猫】でシンクロ召喚 」

 

合計レベルは7。ここから勝つ事が出来るモンスターは一体何だ……?

 

シンクロ召喚の演出の光の輪と道が作られると思われたが、今回は少し違った。燐廻の三弦猫が人魂に変わった所は同じだが、その人魂が不知火の武部に乗り移る様にしていた。不知火の武部は乗り移った人魂を受け入れるように体を燃やし、その火を薙刀と刀に移し、姿形は変わらなくともその姿から発する雰囲気はガラリと変わり、新たなモンスターとして現れた。

 

「レベル7、【妖神-不知火】をシンクロ召喚! 」

 

妖神-不知火

レベル7/シンクロ/ATK2100/DEF0

 

「あのカードって…… 」

 

「終わったな…… 」

 

「【妖神-不知火】の効果。自分の墓地かフィールド存在するモンスターを除外し、その種類によって様々な効果を得る。アンデット族なら自分モンスターの攻撃力を300アップさせ、炎属性なら相手の魔法・罠を破壊し、シンクロモンスターなら……相手のモンスターを破壊する効果を得る。私はアンデット族の炎属モンスター【不知火の師範】を除外! 」

 

アンデット族で炎属性という事は……攻撃力が300アップするかつ相手の場の魔法・罠カードを破壊できるという事か。

 

妖神-不知火 ATK2100→2400

 

「私が破壊するのは当然【月鏡の盾】よ 」

場の月鏡の盾が破壊された事により、これでブラックマジシャンズは戦闘での破壊が可能になった。

 

「で、でも攻撃力はまだこっちの方が高いよ! 」

 

「いいえ、私が墓地から除外したカードは【不知火の師範】。このカードが除外された場合、フィールドのアンデット族モンスター1体の攻撃力は600ポイントアップする 」

 

「あ…… 」

 

「あと1歩、足りなかったわね 」

 

妖神-不知火 ATK2400→3000

 

「さて、覚悟は良いかしら? 」

 

「え、えーと、もしかして花衣君に応援されて嫉妬してる……とか?」

 

「……ふふ 」

 

エリカはシクランの言葉に笑顔で答えた。そしてその笑顔はとてつもない程の圧があるものだった。

 

「やっぱり嫉妬してるーー!! 」

 

「バトルよ、【妖神-不知火】で【超魔導師-ブラック・マジシャンズ】に攻撃! 」

 

妖神-不知火は炎を纏った刀を振り上げ、炎は更に燃え上がり、天にも届くほどの業火へと生まれ変わった。

業火の刀はブラックマジシャンとブラックマジシャンガールを掴んで身動きを封じ、炎の縄で縛った隙を見逃さず懐に飛び込み、2体の黒魔道士を斬り裂いた。

 

「うぅ……負けたー! 」

 

シクラン 残りライフ100→0

 

WINNER エリカ

 

『デュエル終了ー!融合vsシンクロの対決はシンクロ召喚のエリカ選手が制したー! 』

 

「ふぅ、なかなか危なかったわね 」

 

「うぅ、負けた…… 」

 

「十分やれた方よ。良く頑張ったわね 」

 

エリカはシクランの元に歩き、褒めるようにシクランの頭を撫でた。確かにこっちから見てもどっちも善戦していたし、どっちが勝ってもおかしくない試合だった。

 

俺以外にもそう思った人は多かったのか、歓声以外にも拍手も耳に届いていた。

 

エリカとシクランは観客達の拍手を浴びながらフィールドから離れ、こっちに戻って行った。

 

『さぁ!これでAブロックBブロック共に一回戦が終了したぞ!ここで2回戦に出場する選手を発表するとしましょう! 』

 

そうか、この試合でどちらのブロックの一回戦が終わったのか。どのデュエルも目が離せない所ばかりだったから、誰が誰とデュエルするのか忘れてしまった。

この辺でもう一度振り返るのは大変ありがたい。

 

『では、まずはAブロック2回戦第1試合の発表!デュエルするのはこの選手だ! 』

 

会場中心の大きなモニターに俺とカンザシの姿が映し出された。

 

『Aブロック2回戦は【桜雪 花衣】選手vs【カンザシ】選手!不利な状況から逆転している花衣選手と、相手のプレイを制限するカンザシ選手の対決になります! 』

 

「よろしくお願いしますね、旦那様 」

 

「お手柔らかにな 」

 

カンザシは隣で笑っていたが、その笑顔の裏には必ず勝つ意思がひしひしと感じられた。俺にだって、負けない理由はある。少なくともカンザシとの試合では……な。心做しか彼方さんからも少し圧が感じられる。

 

やっぱり彼方さんもこの試合に関しては思う事もあるだろう。だからこそカンザシとのデュエルは負けられない……!

 

『続いて第2試合!……と言いたい所ですが、第1試合の【プリム】選手vs【ロゼ】選手の結果が引き分けなので、一回戦の勝者である【星空 彼方】選手はそのまま不戦勝につき、準決勝進出です! 』

 

「まぁこっちとしては助かったけどな 」

 

確かにふわんだりぃずと神のカード、そしてシャドールと墓地のカードを利用するカードばかりのデッキはこっちもやりたくは無いからな……

 

『Aブロックの2回戦は第1試合のみですが、Bブロックは2試合あります!まずはこの人達!【ティア】選手vs【先咲 花音】選手! 』

 

「よ、よろしくお願いしますね!ティアドロップさん 」

 

「恋敵として負けるつもりはありません 」

 

ティアドロップと花音のデュエルか……ありそうで無かった試合だから、ある意味注目出来る試合だ。

 

『最後はこちら!【レイ】選手vs【エリカ】選手! 』

 

「よーし、頑張りますよ! 」

 

「あら、その空回りが仇にならなければ良いけどね 」

 

「あれ、もう戻って来たんですね 」

 

思ったより早く帰ってきたエリカとシクランがレイの後ろに立ち、エリカとレイの間には火花がもう散っていた。彼女達のデュエルは、もう始まっているという事か……

 

「以上7名が2回戦進出です!それでは10分後花衣選手とカンザシ選手はフィールドに来てください! 」

 

「それでは私は先に行ってお待ちしております。旦那様、悔いの無い試合に致しましょう 」

 

カンザシは一足早く席に立ち、会場中心にフィールドに去っていった。俺も後から席に立ち、一呼吸を置いてからフィールドに行こうとすると、ティアドロップに服を摘まれて動きを止められた。

 

「待ってください旦那様。少しだけお話があります 」

 

「何だ? 」

 

「この試合、今一番大切な試合というのは重々承知はしています。ですがそれに押し潰されず、自分を見失わないでください 」

 

「……あぁ、ありがとう 」

 

この試合に勝たなければ、俺は準決勝で待っている彼方さんとは戦えない。そして戦えなければ天音ちゃんの無事は保証できない。

 

だからこの試合は勝たなければならないが、天音ちゃんが誘拐された事を知っているのは俺と彼方さんを除くとティアドロップとレイだけだ。下手に皆に言いふらすと誘拐犯が天音ちゃんをどうするか分からないし、こっそりカンザシに何かを伝えるにしてもその方法どころかバレたら本当に何をするのか分からない。

 

「じゃあ、行ってくる 」

 

「頑張ってね!花衣君! 」

 

「頑張ってください!精一杯応援しますから! 」

 

何も知らない皆からエールを送ら、それだけで気分が軽くなった。彼方さんも何も言わずに親指を上げ、無言のエールを送ってくれた。

 

「皆ありがとう……頑張ってくる 」

 

彼方さんや天音ちゃんの為にも……負ける訳には行かない。固い意志を持ちながら、俺はフィールドへと向かった。

 

だが1歩1歩歩く度に、重圧が少しづつ大きくなっていく。俺に出来るのか、勝てるのか、俺のせいで1人の命がどうにかなると考えるとやはり不安に押し潰されそうになる。

 

ティアドロップに自分を見失うなと言われたばかりなのに、冷静さが取り戻せず、連絡通路の壁に持たれてしまう。

 

「やっぱり空元気か 」

 

後ろから彼方さんの声が聞こえ、振り返るとやはりそこには彼方さんがいた。

 

「……すみません、やっぱり自信無くて 」

 

「無理も無い。それに俺も悪いとは思っている。俺だけ不戦勝だから君にだけ重みを背負わせてしまってすまない 」

 

「いや、そんな…… 」

 

「そこでだ。少しアドバイスを君にする。カンザシのデッキは確かに【D-HERO】があるが、真骨頂はそこじゃない 」

 

「え?何で知ってるんですか?」

 

「予選で1度戦ったからな。良いか?カンザシのデッキには………… 」

 

俺は彼方さんから聞いたカンザシのデッキとプレイスタイルを聞き、大きく悩んだ。

 

「まさかのアレが来るのか…… 」

 

「しかもかなり凶悪なコンボも使うぞ。あいつのせいで、君のデッキの大半の機能は失う筈だ。だからあの2枚のカードが来たら優先的に除去した方が良いのとあと1つ、君は…………のようなカードはあるか? 」

 

「え?一応これがありますけど 」

 

俺は彼方さんに言われたカードに近いカードを1枚取り出した。

 

「もしそれが手札に来たら最後の手段に使え。きっと君に幸運を運んでくれる 」

 

「幸運か…… 」

 

確かにこのカードなら幸運を運んでくれる気がする。何だか少しだけ体が軽くなったような気がした。

 

「わざわざありがとうございます。アドバイスとか教えて貰って 」

 

「もう俺や君だけの問題じゃ無いからな。せめてもの助けになれれば幸いだ 」

 

「十分すぎるぐらいですよ 」

 

少なくとも暗闇の中で微かな光の道が生まれたような感じだ。あとはその道の先にある勝利を作っていくのが……俺の仕事だ。

 

「じゃあそろそろ行ってきます 」

 

「あぁ待ってくれ。最後に一言だけ言わせてくれ 」

 

彼方さんはコホンと声を整え、俺に真っ直ぐな目を向けると、ある一言を放った。

 

「かっとビングだ。花衣君 」

 

「あ、それって…… 」

 

「魔法の言葉さ。ちょっとは元気出たか? 」

 

「……はい! 」

 

かっとビング。今となっては俺と彼方さんしか知らない魔法の言葉。折れそうな心を震えたたせ、こうして他人の鼓舞にも使える言葉。

 

これを聞いた瞬間、ある男が目に浮かんできた。物語の男だが、あの真っ直ぐで大きな勇気を持ちながら進んでいく姿は、いつ見ても忘れられない。

 

「じゃあ行ってきます 」

 

「あぁ、頑張れよ 」

言葉で背中を押され、心の中でまた魔法の言葉を呟きながら、俺は太陽の光が差し込む出口へと歩いた。

戦ってみたい決闘者は?(性格からの判断でも可)

  • 逆境を覆す奇跡のドローの持ち主花衣
  • ルールの枠を外れて自分の土俵で戦う焔
  • 圧倒的な制圧力で立ち塞がる空
  • 相手の手を読み、その手を封殺する彼方
  • 健気にライフを回復し続けて粘り勝つ花音
  • 連続墓地蘇生から妨害する霊香
  • 1ターンで全ての展開をやり遂げる雀
  • 全破壊から一気に勝負を決めるカレン
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