六花テーマを作って愛用したらそのまま俺への愛が重くなった件について 作:白だし茶漬け
できる限り使われたカードを採用していますので、お楽しみください。
薄暗い連絡通路を走り、目の先にいる彼方さんを追いかける。声をかけようにも彼方さんは聞こえておらず、息を切らしつつも曲がり角の所で彼方さんはようやく止まり、その先には他の誰かがいた。咄嗟に曲がり角の直前に足を止めて隠れ、少し顔を出して様子を見る。
そこには彼方さんと……誰だ? ローブのような物を着ていて姿が分からない。もう少しちゃんと見ようとしてもバレてしまうかもしれないからこの場では動けなかった。
「いきなり電話なんかするなんてな。……お前が天音を攫った奴か? 」
「そうよ。貴方の妹さんはここにいるわ 」
ローブの人から女性の声が聞こえた。どうやら相手は女らしい。ローブ姿の女性は右に一歩動くと後ろには天音ちゃんがいた。
「あ、お兄ちゃん! 」
「天音! 良かった…… 」
天音ちゃんをみた彼方さんは直ぐに駆け寄っては抱きしめ、安心感で涙を少し浮かべながら優しく天音ちゃんの頭を撫でた。
「無事で本当に良かった……! 何か酷いことされてないか? 」
「ううん、この人は私に優しくしてくれたよ……? すごく暖かくて、お母さん見たいだったよ 」
「残念ながら私には息子がいるわ 」
「当然だ。俺達の母さんはもう…… 」
「もし貴方の母親が生きていたとしたらどうする? 」
「……何? 」
ローブの女性が言った言葉は、まるで周囲を凍りつかせる魔法のようにその場が凍りついたような衝撃を与え、彼方さんと俺は心臓が跳ね上がる程の衝撃を受けた。
「母さんが……生きてる? 何でお前が 」
「何で私がそれを知っているのかは秘密。知っている証拠としてはそうね……貴方の母親は【
「……それくらい調べられる 」
「じゃあこれは? 父親の名前は【
彼方さんは何も言わず、家族の事を知り尽くしている彼女に恐怖しているのか天音ちゃんを抱いて距離を置いた。
「……お前はなんなんだ。天音を攫って、あまつさえ母さんをダシにして俺に何かをさせたいのか? 」
「私達はただ貴方に期待してるのよ。……あの子達を止めれる力があるから 」
「あの子……? 誰の事だ 」
「詮索はしなくていいわ。もしも貴方が次に戦う子、花衣に勝てば父親と母親の事を教えてあげるわ 」
(彼方さんが勝てば……自分の家族のことを……? 信憑性は薄いけどもし本当なら…… )
「因みにこの事はあの子には秘密よ。もし話したらこの話は無かった事にするから。それじゃ、頑張ってね 」
ローブの女性は壁に溶け込むようにして消えてしまい、彼方さんは天音ちゃんをそっと離した。
「お兄ちゃん? お母さんとお父さん、ここにいるの? 」
「天音、母さんと父さんに会いたいか? 」
「……うん、会いたい 」
天音ちゃんのその言葉を聞き、胸に針が刺さった痛みが襲いかかった。
俺が勝てば彼方さんは家族の事を聞き出せず、もしかしたらもう会えなくなる。そして、俺が負ければ彼方さんと天音ちゃんは家族に会える。だったら……俺がやる事は一つだ。
彼方さんに見つからない様にそっとこの場から離れ、ひとまず先に通路に出た。早歩きで通路を歩き、デュエルフィールドに続く出口に辿り着くと、まだ準備が終わっておらず、出口は封鎖されていた。
立ち往生を強制された俺は壁に持たれて座り込み、頭を丸めてその時まで1人でずっと待っていた。
「ちゃんと負けないとな…… 」
俺に出来る事と言えば、それだけなのだから。
『さぁ! 皆さんお待たせしました! いよいよAブロック準決勝が始まり、ここまで勝ち上がってきたのはこの2人! 土壇場のドローで勝ち上がってきた奇跡のドローの持ち主【桜雪花衣】選手と圧倒的なプレイスタイルで予選1位で通過した【星空彼方】選手! この2人はロマンス・タッグデュエルでもデュエルしており、勝者は彼方選手でしたが、果たして花衣選手はこの雪辱を晴らす事が出来るだろうか? 』
時間が経って俺と彼方さんはフィールドに立ち、今まさにデュエルが始まろうとしていた。
「花衣君、悪いが今回も勝たせて貰うぞ 」
彼方さんは力強い目で俺を見つめていた。それはそうだ、家族の事がかかっているんだ。真剣にもなる。対する俺は真剣な彼方さんに目を合わせることが出来ずに逸らしてしまう。
負けるつもりの自分が真っ直ぐ相手を見る事何て出来ず、罪悪感にも押しつぶされそうだ。今たっている場所が針の地面の様に痛く、注目視線も辛い。デュエルが始まったらサレンダーしてでも勝たせたいが、そうなればあのローブの女性が怪しんで彼方さんに情報を渡さない場合がある。そうなれば彼方さんと天音ちゃんは家族に会えない。何としてもそれは避けなければ……
「……花衣君、どうしたんだ? 様子が変だが 」
「っ……! な、何でもありません。ちょっと緊張しちゃって…… 」
「…………そうか? 」
彼方さんに悟られないように作り笑顔を浮かべ、仮初の体勢を整える。
『ではそろそろ始めましょう……Aブロック準決勝! デュエル……開始!! 』
「「デュエル! 」」
桜雪花衣vs星空彼方
開始と共にコイントスが行われ、結果は俺の表で先行になった。手札を見ると動けはするが、目的は勝つ事では無い。幸いARでのデュエルで手札は俺以外見れないから手札事故を装えば問題無いはずだ。
「俺は……これでターンエンド 」
『おっとまさかのターンエンド! 手札事故でしょうか? 』
『ふむ、だとしたらかなり後の展開がきつそうだな 』
1ターン 終了
星空彼方 残り手札5枚
残りライフ8000
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□□□□□
□ □
□□□□□
□□□□□
桜雪花衣 残り手札5枚
残りライフ8000
観客達もざわめき、目の端で見えた六花達の困惑の目からも逸らし、今目の前にいる人の為ならこれでいいと言い聞かせ、このターンを見過ごした。
「……俺のターン、ドロー 」
1ターン目から強烈な覇気を纏いながらドローし、俺を睨む目が更に強くなり、身体が無意識に震えてしまう。
「俺は手札から【エクスチェンジ】を発動 」
「それって確か……手札交換カード 」
「その通りだ。お互いの手札を公開し、それぞれのカードを交換する。君の手札を見せろ 」
ARの手札が表向きとなって彼方さんに公開され、逆に彼方さんの手札が俺の目の前に残った。どのカードを交換しようかと悩んでいると、コツコツと足音が近づくのが耳に入り、顔を上げると目の前に彼方さんが俺の胸ぐらをつかみ、そのまま俺の顔面に拳を殴りつけた。
「がハッ……!? 」
顔を殴られて脳が揺れ、体の立ち方さえも忘れて俺は地面に倒れ、尻餅を付いた。
『 What!? いきなり彼方選手が花衣選手の顔面を殴ったぞ!? これは一体どういう事だ!? 』
俺のターンよりもざわめきの擬音が見える程広がり、その中で一際異色な圧が向こうの方……六花達から広がっていた。
「何やってるんですかあの人は……! 花衣様の顔にっ……! 」
「……始末しましょうか! 」
「ままま待って下さいティアドロップさん、レイさん! きっと彼方さんには訳があるんですよ! 」
「そ、そうよ! とにかく落ち着きなさい! 」
「ほほう? では旦那様の顔に傷をつける理由とは何ですか? 」
「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す…… 」
向こうも向こうで花音やカレンさんが皆を押さえつけていたが、顔に広がる鈍い痛みが広がってあそこまで気が回らず、彼方さんは間髪に入れずに胸ぐらを掴み、真っ直ぐ俺の目を見た。
「ふざけてるのか君は……! この手札ならもう少しまともに動けた筈だ。なのにどうして何もしなかった! 」
『か、彼方選手! それ以上暴力行為を行うと失格にしますよ!?』
「答えろっっ!! 」
「そ、それは…… 」
Mixさんの警告を無視して彼方さんは問い詰め、俺は歯を食いしばって言葉を閉ざした。
「……やっぱり、俺の家族の話を聞いたのか? 」
図星をつかれ、体を強ばらせた事に気づいた彼方さんは胸ぐらを掴む力を弱め、ため息をついた。
「聞いたんだな。勝てば俺は家族の事を聞けるし、天音を取り戻したから君が勝つ理由は無い。そう思ったんだな 」
観念するように俺は頷いた。
「……君のその他人を思いやり、行動に移す事は人として素晴らしい物だ。だけど、今の俺にとってそれは俺の気持ちを踏みにじる行為だ 」
「踏みにじる……? 何でですか……貴方が勝てば家族のことが聞けるんだ! だったら俺が勝つ理由何て無い! 」
良かれと思っての行動と心の中の俺はそう思っていたのか、彼方さんの言う事に怒りを感じ、抵抗するように彼方さんを少し突き飛ばした。
「俺には勝つ理由何て無いし、貴方には勝たないといけない理由がある! だったら……俺が負けるしかないじゃないですか! 」
「それがふざけてるって言ってるんだ! もし君が友達と戦う事になったら、同情で勝ちを譲るのか? 」
「っ…… 」
友達という言葉で、俺はロマンス・タッグデュエルでの空との衝突を思い出した。俺がレゾンカードを使わないと宣言したあの時、空は使わないと絶交すると言ったあの日の事が脳裏に過ぎった。
「第一俺は家族に会ったら一発ぶん殴ってやりたい程嫌いだ。当然さ、ここまで俺と天音の事をほっといたからな 」
「でも天音ちゃんは……会いたいって 」
「あぁ……だが、そんなお零れのような勝ち方で会っても、天音に悪い。それに……君は彼女達に惨めな負けを見せるのか? 」
彼方さんは六花達の方に指を指した。
「今やろうとしているのは君と共に戦い、共に支え、信じ合う人達を裏切る行為そのものだ。君は彼女達を裏切るつもりか? 」
「………… 」
本当は分かっている。何もせず負けるのは決闘者として一緒に戦ってきた六花達とのこれまでの戦いを踏みにじる行為であり、それはこれまでの事への裏切りと同じ事だ。
だけど……俺は……
「頼む、これ以上俺を幻滅させないでくれ 」
「俺は……どうすれば…… 」
俯いていたその時、胸ポケットから青く小さな流出が帯びており、そこに目を向けると胸ポケットにはひとひらがいた。
「ひとひら……? いつの間にそこにいたんだ? 」
多分俺が彼方さんを追いかけていた時だろうか? ひとひらが胸ポケットから飛び出すとひとひらは白く輝きだし、手足が伸び、身体が成長した姿である六花のしらひめへと姿が変わった。
「なっ……ひ、ひとひら? 」
「どうやら何か言いたいことがあるらしいな 」
ひとひらの姿は周りの様子からして俺達以外見えておらず、ひとひらは胸に手を置いて口を空け、初めてひとひら自身の声を聞いた。
『花衣、お願い、自分のやりたい事、やって? 』
まだ上手く喋れないのかカタコトの言葉だが、その透明感ある優しい声は、傷を癒す薬の様に何故か俺の心に染み込んだ。
『花衣、とっても優しい。優しくて、暖かくて、大好き。だけど、今のそれ、この人にとって、傷つく刃。だから…… 』
「でも……自分のやりたい事なんて 」
『嘘。花衣、自分の過去知りたくて、ここに立っている。勝ってきた。違う? 』
「あっ…… 」
色んなことあって忘れかけたが、元々俺がこれに出たのは自分の過去、つまりカイリやカイムの時が知りたかったのが目的だった。俺が優勝すれば、皆はそれに答えてくれる。
過去を知りたい、そしてこれに本気で臨んでいる彼女達に応える為に、今まで全力でやってきて……それで……ここまで来た。
「花衣君、念押しで言うが俺自身もう家族の事はどうでもいいとは思っている。今はもう天音を取り戻せたからそれでいい。そして今度は君と心ゆくまで戦いたい。俺の今の願いはそれだけだ 」
『花衣、この人の言うこと……聞いて……あ……げ 』
最後まで言葉を言い終える前にしらひめとなったひとひらは光となって消えてしまい、俺の胸ポケットの中で力尽きたように眠ってしまった。どうやらしらひめの姿になると体力が消耗するらしい。
「答えはでたか? 」
「………… 」
胸ポケットで寝ているひとひらを見つめると、中でひとひらは眠りながら俺の服をギュッと握りしめた。きっと眠っている中でも必死に訴えているんだろう。
「……分かったよ。ひとひら 」
するとひとひらは心做しか笑い、ゆっくりと俺は立ち上がって彼方さんに目を向けた。
「彼方さん、すみません。俺はもう……負けたいとは思わない 」
「そう来なくちゃな。殴り返しても良いんだぞ? 」
「いや多分俺よりもあっちの方の心配をした方が良いかと…… 」
皆がいる所に指を指すと、案の定ストレナエとプリムとシクラン、そして花音とカレンさん以外の皆は彼方さんに向けて激しい憎悪を滲み出しており、隣の観客もその圧にビビりまくって遠ざかる程だ。その圧はここからでも伝わるのか、彼方さんは身震いしていた。
「これ終わったら俺生きてられるかな? 」
「説得はするんで大丈夫かと……! 」
「はは、じゃあ頼むよ【エクスチェンジ】で俺は君の手札から【カップオブエース】を貰う 」
「じゃあ俺は【カオス・フォーム】を貰います 」
『えっと、もう大丈夫という事で問題無いですか? 』
「あぁ。いきなり暴力沙汰になって済まない。もうしないから安心してくれ 」
彼方さんは後ろ向きで右手を振り、手振りで良い試合しようと言ってきた。
さっきの俺は、あの人の気持ちを踏みにじる所だった……何て馬鹿なんだろうな俺。気持ちを切り替えるように頬を叩き、今まで見てきた事全てを使ってあの人と戦う。それがあの人にとって礼儀なのだから。
「じゃあ行くぞ。俺は手札の【青眼の白龍】を公開し、効果で手札の【青眼の亜白龍】を特殊召喚する 」
青眼の亜白龍
レベル8/ドラゴン族/ATK3000/DEF2500
「更に魔法カード【トレード・イン】 発動。手札のレベル8【青眼の白龍】を墓地に捨て、更に2枚ドロー。……よし、魔法カード【復活の福音】を発動。墓地のドラゴン族の【青眼の白龍】を特殊召喚する 」
青眼の白龍
レベル8/ドラゴン族/ATK3000/DEF2500
『コストで墓地に行ったブルーアイズをここで特殊召喚! 2ドローからの2体のドラゴンを召喚するとは、流石予選を1位で勝ち抜いた実力はあります! 』
『しかも花衣選手のフィールドはがら空き、【エクスチェンジ】で手札の中身も公開されているから、対策も出来る 』
「【青眼の亜白龍】はフィールド上に存在する限り【青眼の白龍】として扱う事が出来る。俺は2体の【青眼の白龍】でオーバーレイ!」
2体の青眼が体が溶け合い、白く輝く身体の上に光彩が光る鎧を纏い、体の輝きと眩さはフィールド上を震撼させた。
「来い! 【銀河眼の光波竜】!! 」
銀河眼の光波竜
レベル8/エクシーズ/ドラゴン族/ATK3000/DEF2500
「まだ終わらないぞ! 魔法カード【スター・ブラスト】を発動し、ライフを1500払う事で手札の【アームドドラゴン・サンダーLv7】のレベルを3下げる 」
星空彼方 残りライフ8000→6500
「そしてレベル4になった【アームド・ドラゴンサンダーLv7】を通常召喚! 」
アームド・ドラゴン・サンダーLv7
レベル7/ドラゴン族/ATK2800/DEF1000
「この戦法って……見下にやっていた時と同じ物! 」
「更に俺は君から貰ったカード【カップオブエース】を使わせて貰う。表なら俺が2枚ドローし、裏なら君が2枚ドローする 」
初っ端から確率は五分五分の運試しだが……不思議と裏が出る気がしない。ARのコイントスが始まり、出たのは……表、つまり彼方さんの2ドローが確定した。
「幸先良いな。そして【アームド・ドラゴン・サンダーLv7】の効果発動。手札を1枚捨て、このカードを墓地に送ってデッキからレベル10以下の【アームド・ドラゴン・サンダー】を特殊召喚する! 俺はレベル10のモンスター【アームド・ドラゴン・サンダーLv10】を特殊召喚する! 」
アームド・ドラゴン・サンダーLv10
レベル10/ドラゴン族/ATK3000/DEF2500
「嘘だろ……2体のドラゴンを召喚するって…… 」
コストで送ったカードを無駄にせずドローし、更にはまだリソースを確保する流れに無駄が無さすぎる……!
「更に墓地へ送ったカードは【代償の宝札】だ。こいつが手札から墓地に送られた時、カードを2枚ドローする。カードを2枚伏せてターンエンドだ 」
2ターン目 終了
星空彼方 残り手札3枚
残りライフ6500
①□□②□
□③④□□
□ □
□□□□□
□□□□□
桜雪花衣 残り手札5枚
残りライフ8000
①②:伏せカード
③:銀河眼の光波竜
④:アームド・ドラゴン・サンダーLv10
「……攻撃してこないんですか? 」
「ここからが本当のデュエルだからな。君とは対等な条件で勝負させて貰う 」
「対等って……初めから攻撃力3000のモンスターを出して置いてですか? 」
「最初のターンで君に舐められたからな。お返しという意味もある 」
彼方さんは笑ってそう言った。この人、思ってたより根に持つタイプだな? だがきっと攻撃しなかった事にも意味があるに違いない。だがここはあのモンスターの布陣をどうにかするしかない。
「俺のターン、ドロー! ……よし、これなら行ける……! 俺は手札から儀式魔法【カオス・フォーム】発動! 」
『花衣選手も負けじと交換したカードで対抗していく! 』
「手札の【ブラック・マジシャン】をリリースし、俺はレベル7の儀式モンスターを儀式召喚! 」
「やっぱり【ブラック・マジシャン】を持っていたか! という事は…… 」
フィールドには青い鎖を帯びた黒い穴が生まれ、その穴から混沌を越えし黒魔術の使い手が降臨した。
「来い! 【マジシャン・オブ・カオス】! 」
マジシャン・オブ・カオス
レベル7/儀式/魔法使い族/ATK2500/DEF2100
『なんと彼方選手の儀式カートを使っての儀式召喚だ! 最初のターンとは打って変わってのやる気まんまんさだ! 』
「早速出した所申し訳無いが、【アームド・ドラゴン・サンダーLv10】の効果を発動する。相手ターンに手札を1枚捨てることでフィールドのカード1枚破壊する。俺は【マジシャン・オブ・カオス】を破壊 」
アームド・ドラゴンが右手で雷を纏った拳をエネルギーに変えてマジシャン・オブ・カオスに当てると、マジシャン・オブ・カオスは雷に撃たれて破壊された。
いきなりやられてしまって呆気ないと誰もが思う中、魔術師は偉大な魔術で人を欺き、進化する。破壊された筈のカオス・オブ・マジシャンは更に混沌を纏ったかのような鎧を纏い、フィールドに新たなモンスターとして留まり続けた。
「【マジシャン・オブ・カオス】が戦闘か効果で破壊された時、手札の【カオス】儀式モンスターを召喚条件を無視して特殊召喚出来る。俺が選んだのは、さっきドローした【マジシャン・オブ・ブラックカオス・MAX】! 」
マジシャン・オブ・ブラックカオス・MAX
レベル8/儀式/魔法使い族/ATK2800/DEF2600
「まさかさっきのドローで引き当てたのはやるな……だが、効果を使った事により【アームド・ドラゴン・サンダーLv10】の攻撃力は1000上がる 」
アームド・ドラゴン・サンダーLv10 ATK3000→4000
「更にさっき墓地に送ったカードは【アームド・ドラゴンLv3】。こいつがドラゴン族の効果を使う為に墓地に送られた時、カードを1枚ドローさせてもらう 」
相手ターンにも関わらず攻撃力アップとドローを両立させたのか……しかもこのモンスターだけじゃあのモンスター達の攻撃力には届かない。だけど俺には頼れるHEROが今ここにいる。
「魔法カード【インスタント・コンタクト】発動。1000ポイントライフをはらい、エクストラデッキから【E HERO フレイム・ウィングマン】を特殊召喚! 」
桜雪 花衣 残りライフ8000→7000
E HERO フレイム・ウィングマン
レベル6/融合/戦士族/ATK2100/DEF1600
「更に【ネオス・フュージョン】発動! フィールド、墓地、手札から【E HERO ネオス】を含む2体のモンスターで融合する! デッキの【ネオス】と【フレイム・ウィングマン】で融合! 」
「今フィールドにいるのは【ウィングマン】のみ、そしてデッキから【ネオス】か……となると、あれか 」
「俺は【E HERO シャイニング・ネオス・ウィングマン】を召喚! 」
E HERO シャイニング・ネオス・ウィングマン
レベル8/融合/戦士族/ATK3100/DEF2800
『花衣選手も負けじと2体のモンスターを召喚!! 』
「姿形は全部違うが【ブラック・マジシャン】に【ネオス】、そして【ブルーアイズ】と【アームド・ドラゴン】か……おあつらえ向きの対決だな 」
そう、ある意味対となっている俺と彼方さんのデッキに置いてこの場にいるモンスターは感慨深く、俺がこのデュエルモンスターをやるきっかけとなったモンスターばかりだ。
この胸の高鳴りは俺と彼方さんしか分からず、込み上げて来ない感情だ。もう俺たちの間にはどんな奴でも入る事はできない。
「【シャイニング・ネオス】の効果発動。このカードが特殊召喚に成功した時、フィールドのモンスターの属性の種類の数まで相手フィールドのカードを選んで破壊する! 」
『今場にいる属性は【ブラックカオス】の闇属性。【アームド・ドラゴン・サンダー】の風属性、そして【銀河眼】と【シャイニング・ネオス】の光属性で3種類。よって3枚のカードを破壊できるな 』
「俺は貴方のモンスター2体と右側の伏せカードを破壊! 」
「永続罠【DNA移植手術】を発動。俺は光属性を指定し、このカードが存在する限りフィールド全てのモンスターは指定した属性になる 」
「それじゃあ、俺は3枚から1枚破壊するだけになったのか 」
全破壊出来ると思ったが仕方ない。ここで破壊するべきなのは……伏せカードだろうか?
シャイニング・ネオスは効果で墓地のモンスターの数×300アップする。俺の墓地にいるモンスターは4体だから1200アップし、攻撃力は4300となってアームド・ドラゴン・サンダーを戦闘で破壊できる。
しかも戦闘破壊すれば元々の攻撃力分のダメージ、つまり3000の追加ダメージも与えられるからかなりライフ差が生まれる。
「よし、俺はその伏せカードを破壊します 」
「かかったな 」
「えっ? 」
伏せられていたカードが表側表示になると、そのセットされたカード名はやぶ蛇だった。
「しまっ……! 」
「セットされたこのカードが相手によってフィールドに離れた時、エクストラデッキのモンスター1体を召喚条件を無視して特殊召喚する。俺はこのモンスターを召喚する 」
彼方さんが1枚のカードを置くと空に浮かぶ雲が竜巻を作るように中央に渦が出来、その渦の中心には巨大なモンスターと龍がそれを背負って降臨した。
「俺は【DDD超死偉王パープリッシュ・ヘル・アーマゲドン】を召喚!」
DDD超死偉王パープリッシュ・ヘル・アーマゲドン
レベル10/融合/悪魔族/ATK3500/DEF3000
「やばい、あのカードって確か攻撃力を元々の数値に戻す効果があったような…… 」
「正解だ。因みにその効果に1ターンに1度という制限がなく発動しない効果だ。君の【シャイニング・ネオス・ウィングマン】の攻撃力アップは実質無いに等しいな 」
「だけど、ネオスの攻撃力なら【銀河眼】は破壊出来ます! 俺は【シャイニング・ネオス・ウィングマン】で【銀河眼の光波竜】を攻撃! 」
ネオスは銀河眼の光波竜の首を切り落とし、銀河眼の光波竜が爆散した。
星空彼方 残りライフ6500→6400
「更に効果で【銀河眼の光波竜】の攻撃力分のダメージを受けてもらいます 」
星空彼方 残りライフ6400→3400
「やはり厄介だなそれ……だが、それで終わりかい? 」
もう俺には残っている手札が無い。これ以上は何も出来ない……
「ターンエンドです…… 」
3ターン目終了
星空彼方 残り手札2枚
残りライフ3400
①□□□□
□□②③□
□ □
□④⑤□□
□□□□□
桜雪花衣 残り手札0枚
残りライフ7000
①:DNA移植手術
②:アームド・ドラゴン・サンダーLv10
③:DDD超死偉王パープリッシュ・ヘル・アーマゲドン
④:マジシャン・オブ・ブラックカオス・MAX
⑤:E HERO シャイニング・ネオス・ウィングマン
「俺のターン、ドロー。よし、じゃあ今度はこっちが全力で行くぞ 」
「来る……! 」
「魔法カード【クイック・リボルブ】発動。デッキから【ヴァレット】モンスターの【エクスプロードヴァレット・ドラゴン】を特殊召喚する 」
エクスプロードヴァレット・ドラゴン
レベル7/ドラゴン族/ATK2000/DEF2000
「そして手札からチューナーモンスター【太古の白石】を通常召喚 」
太古の白石
レベル1/チューナー/ドラゴン族/ATK300/DEF300
「ここでチューナー!? 」
「俺はレベル7の【エクスプロードヴァレット・ドラゴン】にレベル1の【太古の白石】をチューニング! 」
レベル合計は8。そして彼方さんのデッキからして出てくるモンスターはあれしか居ない。今度はチューニングの光の輪が赤く燃え上がり、機械の竜は赤く燃え盛る龍へと生まれ変わるようにして新しいモンスターが現れた。
「来い! レベル8【レッドデーモンズ・ドラゴン】! 」
レッドデーモンズ・ドラゴン
レベル8/シンクロ/ドラゴン族/ATK3000/DEF2500
「今度は【レッドデーモンズ】か……! こっちには手札が無いってのに! 」
」
「更に【太古の白石】を墓地から除外する事で、墓地から【青眼の白龍】を手札に加え、【アームド・ドラゴン・サンダー】の効果発動。手札を1枚捨て、【シャイニング・ネオス】を破壊する 」
「墓地の【ネオス・フュージョン】の効果発動! 【ネオス】を融合素材とする融合モンスターが戦闘や効果で破壊される時、代わりにこのカードを除外出来る! 」
「だが攻撃力はアップする 」
アームド・ドラゴン・サンダーLv10 ATK4000→5000
「更に速攻魔法カード【コンセント・レイト】を発動し、【アームド・ドラゴン】の攻撃力を守備力とプラスする。【アームドドラゴン】の守備力は2000。よって攻撃力は7000だ!」
アームド・ドラゴン・サンダーLv10 ATK5000→7000
あのヘルアーマゲドンの効果はこっちが攻撃をした時に発動できる効果だから、ネオスの攻撃力アップは残っている。だが僅かに攻撃力が届いていない……!
ネオスとアームドドラゴンの戦闘が始まり、アームドドラゴンは白い稲妻を宿した拳をネオスにぶつけた。ネオスはそれを2本の剣で防ぎ止めるが、剣は拳に打ち砕かれ、ネオス諸共破壊されてしまう。
桜雪花衣 残りライフ7000→4300
「次は【レッドデーモンズ・ドラゴン】で【マジシャン・オブ・ブラックカオス・MAX】に攻撃! 」
今度はレッドデーモンズが灼熱の業火をブラックカオスの全身を燃え上がらせ、その炎の余波が俺の方にも届き、ダメージを受けてしまう。
桜雪花衣 残りライフ4300→4100
「更に【DDD超死偉王パープリッシュ・ヘル・アーマゲドン】でダイレクトアタック!! 」
今度はアーマケドンの紫のビームが俺に襲いかかった。これがもし現実ならと思うとぞっとするような迫力のビームが俺に直撃し、これで俺のライフは……800となった。
桜雪花衣 残りライフ4100→800
「俺はカードを一枚伏せてターンエンド。そしてエンドフェイズ時に【太古の白石】の効果でデッキから【深淵の青眼龍】を特殊召喚する 」
4ターン目終了
星空彼方 残り手札0枚
残りライフ3400
①②□□□
□⑥③④⑤
□ □
□□□□□
□□□□□
桜雪花衣 残り手札0枚
残りライフ800
①:DNA移植手術
②:伏せカード
③:アームド・ドラゴン・サンダーLv10
④:DDD超死偉王パープリッシュ・ヘル・アーマゲドン
⑤:レッドデーモンズ・ドラゴン
⑥:深淵の青眼龍
『な、なんという状況! 彼方選手には強力ななモンスター4体に対し、花衣選手はライフも手札も、フィールドにいるモンスターすらありません! 』
『ここで勝つのは絶望的だな…… 』
しかも墓地効果のモンスターもいない状況だ。彼方さんのフィールドのモンスター達がトドメをさせろと言わんばかりに咆哮を上げ、今立たされている状況を思い知らされる。これがもし歴代主人公ならこの後最強のドローを見せるだろうが……それすら遠い。
恐らく一枚だけではこの盤面を崩すのは不可能であり、
立ちはだかる壁である彼方さんは油断ならない目で俺のターンを待っていた。
勝てるのか……? この盤面と壁に対して……!?
戦ってみたい決闘者は?(性格からの判断でも可)
-
逆境を覆す奇跡のドローの持ち主花衣
-
ルールの枠を外れて自分の土俵で戦う焔
-
圧倒的な制圧力で立ち塞がる空
-
相手の手を読み、その手を封殺する彼方
-
健気にライフを回復し続けて粘り勝つ花音
-
連続墓地蘇生から妨害する霊香
-
1ターンで全ての展開をやり遂げる雀
-
全破壊から一気に勝負を決めるカレン