六花テーマを作って愛用したらそのまま俺への愛が重くなった件について   作:白だし茶漬け

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あけましておめでとうございますm(*_ _)m

まだまだ季節は冬ですが、ここではなんと夏。炎天夏真っ只中です。

約半年のピックアップデュエルが終わり、ようやく花衣君のお友達である焔君と空君が登場し、やっと書ける心情でございます。

それでは、今年も何卒よろしくお願いいたします


第6章 集い
炎天夏の中の歌姫


 

 満月の夜、月夜に照らされて輝いた花畑の中心で小さな赤ん坊が泣いていた。

 

 その鳴き声を聞きつけた女性が駆け寄り、泣いていた赤ん坊を抱きしめた。

 

 _大丈夫よ、私が必ず守ってあげるから……

 

 女性は優しく赤ん坊を抱きしめ、その優しさを肌から心を通して安心したのか、赤ん坊は泣き止んで女性の胸の中でゆっくりと目を閉じ、心地よい寝息を立てて眠った。

 

 どこだっけここ……あぁ、そうだ。ここは俺が……

 

 

 

 

 捨てられた(産まれた)場所だ。

 

 ___

 __

 _

 

 

 目が覚める。何だか不思議な夢を見たような気がする。

 だけどそれがどんな夢だったのか覚えてはいなかった。夢あるあるだ。

 

 とにかくベッドから起き上がり、カーテン開けて夏の陽射しの眩しい太陽の光を浴びる。

 

 さて、今日は焔達と約束した【オールイートカーニバル】に行く日だ。

 

 軽く調べたところによると、世界中の料理が集まるところらしく、それが2日間に渡って開催されているらしい。今日がその2日目なので、焔は今頃楽しみながら準備をしているところだろう。

 

 俺も準備をし始めよう。ショルダーバッグに財布と携帯、ハンカチに……デッキケースを2つ。勿論デッキは六花と閃刀姫だ。

 

 そして、このデッキはピックアップデュエルでの経験を活かし、良いと思ったカードを入れた言わば新生デッキだ。まぁ、食べ歩きするだけだからデュエルする暇は無いと思うが、一応ね。

 

 食べに行くのにデッキが必要かと疑問に思うだろうが、ここ最近は謎の勢力が多くなってしまった。

 

 まずは【ウィッチクラフト】だが、ここではウィッチクラフト・ハイネと面識があり、この勢力は今の所俺に対しては監視しているだけだ。

 

 次はポルーションとウェルシーがいる勢力だ。こいつらに至っては1番危険でもあるが……同時に俺の事、正確には俺の中にある【何か】に対して1番よく知っている勢力だろう。特にウェルシーという女性は俺に対して狂信的であり、それ以外の物は興味なしと言わんばかりの性格であり、要注意だ。

 

 あとは……俺に対しての実害は無いが、天音ちゃんをさらった者だろうか。あれに関してはウェルシーは何か知っているようだが、残念ながら情報は無い。

 

「改めて考えてみると……かなり厄介事を抱え込んでるな 」

 

「そのために私達がいるのです。花衣様は必ず守ってみせます 」

 

 途方に暮れているとティアドロップが当然の如く顔を見せ、俺を安心させる為なのか微笑んでくれた。

 

「あぁ、だけど無理はするなよ 」

 

「花衣様もですよ 」

 

「……分かってるよ。んじゃ、朝飯食べてくるよ 」

 

「はい、行ってらっしゃいませ 」

 

 朝飯を食べる為に部屋から出ていき、リビングへと足を運んだ。リビングにはもう母さんが朝飯の支度をしているのか、キッチンに居た。

 

「おはよう、母さん 」

 

「ん、花衣……おはよう 」

 

「……元気無いね? 」

 

 ここ数日、母さんの元気が無いように思えて仕方がない。所々返事が無いし、笑顔を見せる事は無かった。

 そうなった原因はやはり……あの時の夜の言葉だろう。

 

 _花衣、どこか遠くにいかない?誰も知らない所に……ね?

 

 あの時の母さんは少し様子がおかしく、目が異様に本気だった。あの時は母さんから一言謝り、この話は無かった事になったんだが……母さんの様子からしてあの時の事を引きずっているようだった。

 

「ちょっと……ね、それよりも今日は焔君達と遊びに行くんでしょ? 」

 

「うん。【オールイートカーニバル】って所にね 」

 

「気をつけて行くのよ。絶対に 」

 

「う、うん…… 」

 

 母さんはやけに真剣な目つきでそう言った。

 

 やはり、母さんはあの日から少し神経質というか……何か焦っているようだった。結局、俺は誕生日の日の事を伝えられずにいた。

 

 そして、数時間が経った。

 

 

「暑い日差し!白い砂浜!青い海!そして美味いもんの匂い!くぅ〜!夏って感じがするぜ! 」

 

「相変わらず暑苦しいテンションだな 」

 

 ついにやってきたオールイートカーニバル。場所は海沿いの所でそこら一帯を貸し切っての開催だ。最終日だからか人混みも多く、あまりの暑さと海があるのせいか水着を来ている人もいた。

 

「ねぇねぇマジ暑くなーい? 」

 

「ね〜?あそこにアイスあるから食べに行こー 」

 

 参加者らしい女性が胸元や下半身がくい込んでいる際どいビキニ姿をしており、焔はそれを目玉が飛び出るほど凝視していた。

 

「おぉ……!流石夏、際どい衣装している人がいて目の保養になるな〜! 」

 

「お前な…… 」

 

 焔はガン見しているのに対し、俺は見ないように目を伏せていた。そうでなければ皆に殺されてしまうからだ。

 

『花衣様?今回私達は姿を表しませんが見てはいますからね? 』

 

「分かってる。分かってるからその圧を閉まってれ 」

 

 そう、六花と閃刀姫達だ。勿論極力は見ないようにはする。するんだが、思った以上に参加者が多いから目に映る事は許して欲しい。

 

 それにしてもやはり日差しが熱い……いつも六花達と一緒にいて涼ませて貰ってるから熱さに対しての耐性がなくなり、地面からの熱気でもう溶けそうだ。

 

「うし、じゃあ何か食べるか!俺朝飯食ってねぇから腹減ってしゃーね! 」

 

「胃がびっくりしても知らないぞ 」

 

「大丈夫だって!んじゃ試しに……あのでけぇ肉巻きにしようぜ! 」

 

「シュラスコな 」

 

 焔は近場にあったシュラスコがある店に移動し、シュラスコを1つ頼んだ。注文を受けた定員は串に刺さった肉を削ぎ落とすように切り、とてつもない早業で俺達に手渡した。

 

「はいよ!肉の旨みを活かすために味付けは岩塩のみだぜ! 」

 

「おお、美味そう!いったたぎまーす! 」

 

 焔はかぶりつく様に肉を食べると、満足そうな笑みを浮かべた。

 

「かー!うめぇ!やっぱ肉は最高だなおい! 」

 

「はむ……確かに普通のバーベキューとは一味違うな。これは美味い 」

 

「花衣はどうだ? 」

 

「あぁ、美味しいと思う……」

 

「次はあそこ行こうぜ!マグレ・ド・カナールって奴!あれも美味そうな肉だな〜 」

 

 マグレ・ド・カナールって……確か鴨のローストビーフの様な料理か。これは確かヘレボラスが作ってくれた記憶があるから覚えている。

 

 その店に付き、中が綺麗な赤色の鴨肉に特製のソースをかけるのを渡されると、焔は味わうこと無く一口で食べた。

 

「うおおこれもうめぇ! 」

 

「確かに美味いな……花衣はどうだ? 」

 

「あぁ、美味しいとは思う……けど 」

 

 この特製ソースが少し苦手だな……酸味と甘味が同時に来る感覚に苦手意識を覚え、思ったよりも少し味わえなかった。

 

 ……そう考えると、あの時作ってくれたヘレボラスのソースって、完全に俺好みに仕立ててくれたって事になるな。流石だな……

 

「……花衣、お前さっきから様子が変だぞ。どうしたんだ? 」

 

 空が俺の異変に気づき、真剣な目付きで見ていた。

 

「食欲が無いのか?だったら無理はするな 」

 

「いや、そういう訳じゃ…… 」

 

「だったらなんだ。言ってくれないと分からないぞ 」

 

 言える訳が無い。言いたくも無い。

 

 俺の周りにある事は焔と空にだけは巻き込め無い。話したら俺の問題に巻き込んでしまう。そう思って俺は固く口を閉ざし、空はそれ以上何も言わなかった。

 

「……言いたく無いならいい。だが無理はするなよ 」

 

 空は何かを察して焔の後をついて行った。

 

(……ごめん。だけど、これでいいんだ )

 

 心の中で言い訳を繰り返し、俺も後についていく。

 

 この後も珍しい料理を食べ続け、中にはこんな物もあった。

 

「お、見ろよこれ!【ハングリーバーガー】 の形をした奴があるぞ 」

 

「こっちには【モウヤンのカレー】があるぞ 」

 

「【ブルーアイズマウンテン】……コクが違うコーヒーって書いてある 」

 

「いやブルーアイズ要素どこだよ 」

 

 他にも軍貫とかマドルチェ等、食べ物モチーフにされているカードをそのまま逆輸入する形での料理もあり、遊戯王というカードゲームが如何に世界に浸透しているのか目に見えた。

 

「ひゃぁ〜!どれもうめぇ!これが安く食えるからまじで最高だなおい! 」

 

「確かに美味いが技術も凄まじい。モンスターを型どった料理もあったが、あの造形を料理に落とし込むアイデアと技術も評されるべきだな 」

 

「空、お前どんな所見てんだよ〜。美味いもん食えるから美味いって言えば良いんだよ。な、花衣 」

 

「まぁ俺はどっちでも…… 」

 

「えぇ〜!ダメなの!? 」

 

 3人の談笑を交わす中、それを遮るように近くのお店から女性の叫び声が聞こえた。思わず俺達は叫んだ女性の方に振り返ると、女性は駄々をこねていた。

 

 隣のお店はラーメン屋であり、その前に定員の男性とノースリーブの白い服に手首から肘までしか無い袖を来た服を着ていたサングラスの女性が何やら話し込んでいる様子だ。

 

「ダメだよお姉さん。このトッピングはこの詰めデュエルを成功した人だけがやれるんだ。失敗したからもうダメだよ 」

 

「そんな〜!食べ物とデュエルは関係ないじゃーん!! 」

 

「流行り物は取り入れるのが商売さ 」

 

「うぅ……がっくし 」

 

 ごもっともな意見だが流石にデュエルと料理は関係は無いだろうとツッコミたくなる気持ちも分かる。だが、決まり事は変えられずに女性は肩を落として店から去ると、俺達と目が合った。

 

「……ん?あ!君! 」

 

 目とあった女性はこっちまで走り、俺たちを戸惑いを隠せずにいた。

 

「ねぇ君、デュエル出来る子だよね!来て!」

 

「は?お、おい! 」

 

 女性は俺……では無く、空の手を握ると直ぐにラーメン屋の方に走り去って行った。

 

「何だ?空の知り合いか? 」

 

「いや、様子からしてそんな事は無いと思うけど……とにかく行ってみよう 」

 

 空を追いかけてラーメン屋に向かうと、女性は空を知り合いだと言って空を詰めデュエルをさせようとしていた。

 

「ねぇねぇおじさん〜!この子私の知り合いなの〜だからチャンス頂戴〜 」

 

「おい!俺はお前の知り合いなんかじゃ…… 」

 

「ちょっとだけで良いから!ね?話合わせてよ〜 」

 

「……はぁ、分かった。やれば良いんだろ 」

 

 どうやら空は詰めデュエルを受ける様子だ。対する店の人は余程詰めデュエルに自信があるのか、ニヤニヤしていた。

 

「ほう、これは若い子が来たな。だが、うちの詰めデュエルを解けるかな? 」

 

「特典に興味は無いが、頼まれた事はやってみせる 」

 

 詰めデュエルの内容を俺も見たが、手札も多く、墓地にも使えそうなカードがあり、あまつさえエクストラデッキにも多くカードがあった。

 

「あ〜もう無理。俺詰めデュエルって苦手なんだよなぁ 」

 

「俺もこれできるかどうか…… 」

 

 そもそも見た事ないカードばかりでどんな風に動けば良いかすら分からない。そんな中でも空はじっと相手の盤面と自分の盤面を観察し、正解のルートを探っていた。

 

「因みに制限時間は3分ね! 」

 

「さ、3分!?そんな無茶な! 」

 

 明らかに成功させる気無い時間でムッとしたが、それでも空は考えに考えていた。こうなった空はもうテコでも動かないだろう。

 

「あと2分〜 」

 

「うぅ〜空くんお願い……! 」

 

(……?この人、何で空の名前知ってるんだ? )

 

「あと1分 」

 

 疑問が店の男性の声によって遮られ、残り時間も秒読みになってしまい、傍にいる女性や焔が冷や汗をかいていた。

 

「おい!お前大丈夫なのかよ? 」

 

「………… 」

 

「あと45秒〜もう諦め…… 」

 

「よし、解けた。少し急ぎ足になるが、正解を知っているなら分かるはずだ 」

 

 空は手札のカードを1枚発動し、その後は流れ作業の様にカードの効果を言いながら処理していった。手札の枚数が徐々に減り、墓地やエクストラデッキのカードも駆使し、僅か30秒足らずで相手ライフを0にし、相手を詰ませた。

 

「ブラフのカードが多かったが、やる事は単純だったな。さて、これでラーメンのトッピングが出来る話だったな。まぁ、俺には興味無いがな 」

 

「み、見事……!約束通り、トッピングをしようじゃないか 」

 

「やった〜!ありがとう! 」

 

 女性は小さくジャンプして全身で喜びを表現し、詰めデュエルを終えた空はその場から立ち上がった。

 

「ふぅ、まぁまぁだった 」

 

「すげぇな空。よくあれ分かったな 」

 

「まぁ、異常にエクストラデッキや墓地のカードが多かったから、使わないカードがあるとは分かっていたからな 」

 

「それ詰めデュエルとしてはどうなんだよ…… 」

 

「あまり褒められた物では無いな。だが、やること事態は簡単だったから難易度はそこまでだったな 」

 

 それでも残り時間が少ない中で集中力を切らさないどころか、更に集中力を上げて解いたのは賞賛するべきだ。

 

 空の集中力は他の人よりも高いというより、ずば抜けており、一旦さっきみたいに集中すると周りの声とか音が一切聞こえない状態となり、空の頭の中では色んな考えが張り巡らされているとの事。

 

 だからしょっちゅうご飯を食べずに作業したり、寝る事も忘れるのがあるのだとか。

 

「へいお待ち!激辛トッピング、名付けて【レッドデーモンズ・ラーメン】だ! 」

 

「わぁ〜あかーい!ん〜辛そうな匂い! 」

 

 女性が欲しがっていたトッピングを見ると、なんとそこには溶岩の様に赤く沸騰しているラーメンのスープがあり、麺までもスープに絡んでいて赤くなっていた。見るからに辛そうな食べ物に思わず舌がひりついてしまい、強烈な辛さ故なのか少しむせた。

 

「な、何だこれ…… 」

 

「明らかに通常の香辛料の数十倍は使ってるな……【レッドデーモンズ】系統が多かったのはこの為か 」

 

「おぉ、美味そうじゃん。ちょっと食っても良いか? 」

 

「うん、良いよ〜 」

 

 焔が店から橋を貰って早速1口激辛ラーメンを食べると……焔は一瞬で口の中から火を吹いた。

 

「がぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!! 」

 

 火を吹いた焔は口の中で暴れ回る辛さに耐えきれずにその場でのたうち回っており、水をくれと体全体を使って訴え、そのまま力尽きた様に仰向けになって倒れた。

 

 それを見かねた空は店から水を少し多めに貰い、紙コップに入った水をそのまま半開きになっている焔の口に立ったまま器用に注いだ。

 

 口の辛さが和らいだおかげなのか焔は意識を取り戻し、体に顔には滝のような汗が流れ出しながら復活した。

 

「し……死ぬかと思った…… 」

 

「そこまで辛いのか? 」

 

「辛い通り越して痛えけど美味かった 」

 

「どんな料理だそれは…… 」

 

「2人も食べる〜? 」

 

「遠慮する 」

 

「お、お構いなく…… 」

 

 焔の惨劇を見た俺と空はあのレッドデーモンズラーメンを食べる気はしなかった。等の本人である彼女はそんな惨劇を目にしていた恥ずなのになんの躊躇いも無くラーメンを食べ始めた。

 

 思わず止めようとしたがもう遅く、嬉々として女性の口に赤い麺が入ると、女性は辛さに身を悶え、箸を置いて頬を抑えると……

 

「んっ……んん〜!辛うま〜!!何これ何これ!口の中がビリビリするけど美味しい〜! 」

 

 予想とは違った反応に戸惑い、焔と食べたのと本当に同じ物かと疑ってしまう。だが彼女の顔から大量の汗が流れ出し、熱いのか薄めの上着を脱ぐと体全体まで汗が出ていた。

 

 脱いだことにより露出面が多くなり、彼女が来ているのは胸だけを隠している丈の短い白いVネックだけどなった。

 

「はふはふ……んん〜美味しい!でも暑いから上着脱いじゃお 」

 

 辛さを楽しむ様に赤いラーメンを1口、もう1口と食べ進め、食べ進める度に彼女の体から熱気と汗が漏れ出た。よく手入れされている白い肌は汗を弾いては流し、流れ出る汗は彼女の豊満な胸の間の谷間へと落ちていった。

 

 際どい衣装も相まってか男としてはつい端目で見てしまい、煩悩を振り払う様に顔を振る。

 

『花衣様〜?他の女にうつつを抜かしてはダメですよ? 』

 

「いや分かってる。分かってるから……! 」

 

 背後に霊体化しているティアドロップが光を無くした目で左耳に囁き、そばに居るティアドロップを説得させて再度カードに戻した。し、心臓に悪いな……全く。

 

「なぁなぁ花衣……お前も分かるか?あの胸、エロいよな。汗で垂れた所が透けてもう少しで下着が見えるのも中々…… 」

 

「お前は黙ってろこの変態が……! 」

 

「んだとゴラァ!?男が変態で何が悪いんだよ!」

 

「時と場合を考えろって言ってんだよ! 」

 

「ご馳走様ー!美味しかったけどやっぱり辛かった〜もう舌がビリビリで汗もだくだく……胸にまで汗が出ちゃってるよ 」

 

「……よく完食出来たな 」

 

「すげぇ…… 」

 

 焔と空の驚きも当然だ。常人が食べだら焔の様に口から火が出る物をこの人は辛さを楽しみながら完食したのだから、並の人では無いのは確かだ。

 

 ……だが焔、お前が女性の胸を凝視している事は見逃さないぞ。

 

「ん〜!食べたい物食べれて良かった〜!空くん、ありがとうね! 」

 

「あ、あぁ……ちょっと待て。何故俺の名前を知っている。俺と貴方は初対面の筈だろ 」

 

 ようやく空は不信感に気が付き、目の前にいる女性を睨みつけた。

 

「え?覚えてないの?私だよ、私! 」

 

「お前のような女は知らん 」

 

「あ、そっか。帽子とサングラスしてるからかな?でもここだと人気が多いし……そうだ、お礼したいからちょっと着いてきてよ。そしたらサングラスと帽子取ってあげるから 」

 

 女性は席から立ち上がり、ラーメンの代金を払って店の外で俺達の事を待っていた。

 

「おーい!早く早く〜! 」

 

「どうする? 」

 

「まぁどうするかは空に任せるわ 」

 

「俺に丸投げか。そうだな…… 」

 

 空はラーメンの店員の方に目を向けると、ため息をこぼした。

 

「いや、ここはいこう。あの定員に実はあの女性とは関係ありませんでした。なんて知られたら面倒だ 」

 

「確かに…… 」

 

「そういう事だから行くぞ 」

 

 空が先導して店から出ていき、砂浜に出ると女性はウキウキと俺達にどこか案内をした。

 

 人混みをかき分け、見失わ無いように女性はちょくちょく俺達の後を見たり、感覚を狭めたりと気遣いはしてくれていた。

 

「なぁ空、本当にあの人と知り合いじゃないのか? 」

 

「その筈だが…… 」

 

「でもあっちはお前の事知ってる見たいだぜ?あんな美人さんと知り合いだなんて、やるな空 」

 

「からかうな。……いや待てよ。あの声……どこかで 」

 

 空が何か気づいたらしいが、女性が行こうとしている目的地に辿り着いたようだ。辿り着いた場所はここに来た時に見えたステージの傍だった。

 

「ここだよ!ここなら……良いかな 」

 

 すると女性は帽子とサングラスを外すと、帽子から短めの桃色の髪がなびき、星のように煌めいている桃色の目が顕になった。

 

「ああああ!! 」

 

「やっぱり…… 」

 

「あ、貴方って……【ミスティック・メロディー】の…… 」

 

「そ、私は【アリア】!よろしくね 」

 

 トップアイドルの星が飛ぶようなウィンクを受けた俺達3人が受けたのは喜びでは無く衝撃であり、俺達3人は夏の日差しの中、氷のように固まったのだった……




用語解説
・ミスティック・メロディー

アリアとソナタの2人組アイドルユニットの事であり、煌めく歌声と曲やダンスで若い世代に人気があり、その人気は世界中に轟かせているトップクラスのアイドル。

この2人はピックアップデュエルにも出場しており、アリアはドレミコード、ソナタはトリックスターを使用しており、空と対面した経験がある。

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