六花テーマを作って愛用したらそのまま俺への愛が重くなった件について   作:白だし茶漬け

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マスターデュエルにHampだ!リンケージだ!エルロンだぁぁ!ってエルロンSR!?SRの性能してたかなあの子……。

マスターデュエルの方ではついにリンケージと閃術兵器-H.A.M.P.とエルロンが来ましたね〜特にリンケージは閃刀姫の弱点である火力不足を補ってくれるのでずっっと待ってた。しかしUR……だがイラストがくっそ良いからやむを得ない!

あとついでに斬機のやべぇ奴(サーキュラー)が出てきたので僕達はサイバース族の嵐に怯えることになります。なんであの子無制限なん?(素朴な疑問) 

あと後書きになーんかつけようかなって思ってますけど結局思いつけない今日この頃。(꒪⌓꒪)


見えなくても聞こえなくても

 

「僕は【ジェネリア】。今は貴方の敵です」

 

 雪の様に白い肌と白い髪、そして全てを諦めたかのよううな力のない紫の目をした少年はそう言った。

 

 この少年が着ている黒コートは、以前俺が出会ったウェルシーが着ていた物と同じであり、彼自身ウェルシーの事を知っていた。つまり、こいつがウェルシーやポルーションの仲間だということは確定だった。

 

「今は……だって?まるで後々敵じゃ無くなる見たいな言い分だな」

 

「事実そうなりますよ。貴方がどれだけ他の方と一緒にいようと、貴方の存在理由は変わらないので」

 

「どういう事だ」

 

『花衣様!この男から離れて下さい!』

 

『ここは私達が請け負います』

 

 デッキケースからティアドロップとレイが現れ、ジェネリアに対して激しい嫌悪を剥き出しにしていた。レイとティアドロップはジェネリアに対し攻撃を真っ先に仕掛けた。

 

 ジェネリアに近づいた2人息の合った攻撃でジェネリアをX字で斬ろうとしたが、ジェネリアには攻撃は当たらず、すり抜けるままで終わってしまった。

 

『実体が……無いっ!?』

 

「閃刀姫ーレイに、六花聖ティアドロップですか。そして他にも居るようですし、ここで失礼しますよ」

 

「逃げるのか!?」

 

「僕はウェルシーさんの様に強くないですからね。それに、僕は確認しに来ただけですから」

 

 ジェネリアが紫の瞳を見開くと、何故か心の中がざわめき始めた。

 

 まるで俺の中にある何かがアイツに対して抗うように暴れだしているかのような感覚だ。

 

 まるで体全体が雑巾の様に拗られながらも締め付けられているような感覚だ。首を絞められている訳でも無いのに息が出来なくなり、苦しさが込み上げてくる。

 

 _堪えて!

 

「んな事言われても……と言うより、またこの声っ……!」

 

 また聞こえた謎の声と圧迫されている苦しみに耐えていると、六花達から貰った指輪と髪飾りのネックレスと腕輪が青く光だすと、不思議と苦しみが和らぎ始めた。

 

 それを見たジェネリアが何を思ってか目を閉じ、後ろに振り返った。

 

「やはり貴方の中に不純物がいるのは確定ですね。そのせいでカードも消滅したらしいですし」

 

「カードだって……?」

 

 カードと言えば、アリアさんとソナタさんを襲った男の背中にカードがあったが、結局俺は触れられずに消えてしまったカードがあったが……

 

「まさか、お前があの男に何かしたのか!?」

 

「僕はただ後押しをしただけですよ。人間の心には必ず闇がある。あの男を思っていることを吐き出す手伝いをしたに過ぎませんよ」

 

「関係無い人を巻き込んでおいて……!」

 

 こいつはポルーションと同じだ。平気で他人を脅かし、その事になんの躊躇いも無い。正真正銘、俺の敵だ。

 

「お前のせいで危険な目にあった奴もいるんだぞ!」

 

「僕には関係ない事です。それに貴方も人の事言えてないじゃ無いですか」

 

「なんだって……!?」

 

「貴方がもし六花や閃刀姫に出会わなければ、その人達は僕達と敵対する事も無く、ましてやポルーションの時の様に命を落とす事は無かった筈ですよ」

 

「何を……言って……」

 

 その時、俺が見た悪夢がフラッシュバックした。ポルーションの毒のせいでレイとロゼ、そしてティアドロップが倒れたあの時の光景が、俺の目と頭から離れずにいた。

 

 倒れてそのまま動かないレイとロゼに、最後に血を吐きながら俺に手を差し伸べ、その手は届かずに倒れたティアドロップを思い出してしまい、体が震えて半狂乱状態になりそうだ。

 

「貴方に出会わなければ、閃刀姫達は平和な戦後を過ごしたのでしょう。貴方に出会わなければ、六花達も平穏に過ごせたでしょうに」

 

「俺が……皆と出会ったから……」

 

 じゃあ俺達は出会わなかった方が良かったのか……?あの時ティアドロップの声を聞かずに店から出ていって、ずっと1人でいれば良かったのか……?

 

 じゃあ……俺が皆と出会った意味って……何だ?

 

 そんな事はない。否定したい。否定したい筈なのに言葉が出ない。何故なら、ジェネリアが言っている事は事実なのだから。

 

「俺は……俺は……」

 

『さっきから聞いていれば……』

 

『勝手な事を言わないで下さい!』

 

 ジェネリアの背後でまたティアドロップとレイが攻撃したが、ジェネリアへの攻撃はすり抜けられてしまい、それでも彼女達は俺を守るように立ってくれた。

 

『花衣さんと出会わなければ良かった?冗談じゃありません。もし花衣さんと出会ったおかげで私は希望を見つけられた』

 

『花衣様と出会ったからこそ私達の心には太陽の陽が照らし出されました。出会わなければよかったなんて事は一瞬もありません』

 

 2人は氷の傘と剣をかざし、互いの背中を合わせてジェネリアに対して言い放った。

 

『『この人との出会いと愛は否定させない。そして、繋がりも絶対に断ち切らせはしません』』

 

「2人とも……」

 

 ……何考えてたんだ俺は。2人がこんなに言ってくれるんだぞ。だったら俺も2人と同じように思ってなきゃダメだろ。

 

 馬鹿な事を考えた俺は自分自身に喝を入れ、鈍い痛みと共に立ち上がってジェネリアに真っ直ぐ目を向ける。

 

「……興ざめですね。まぁせいぜい、そのいつか壊れる関係を楽しんください」

 

『私と花衣様の関係が壊れるなんて事はありません』

 

「いいえ、絶対壊れますよ。何故なら……その人はそっち側にいる存在じゃありませんから」

 

 ジェネリアは怪しい笑みを浮かべながら体を闇に纏わせ、この場から居なくなろうとしていた。

 

「待てっ!!」

 

 ジェネリアを捕まえようと走ったがもう遅く、ジェネリアはそのまま地面に溶けるように消えてしまった。

 

 やるせない気持ちになりながらもこの場は何とか収まり、ティアドロップとレイは俺の元に駆け寄り、カンザシ達もデッキケースから飛び出してきた

 

『旦那様っ!お体の方は大丈夫ですか……?』

 

『花衣……!怪我は!?』

 

「だ、大丈夫だ……ありがとうな」

 

 苦しさは若干残っているが、目立った外傷は無い。ゆっくりと息を整え、中で暴れていた感覚も無くなっている。  

 

 それと同時に、あの謎の声も聞こえなくなっていた。誰なんだ……あれは。女性の声で、どこか懐かしいあの声俺は、あの声の人と会ったことがあるのだろうか。

 

 思い出そうにも思い出せず、思い出そうとする度頭がぼやけてしまう。思い出したくないのか、あるいは思い出すのを止めているのか、定かでは無かった。

 

『あ、あの……今の人は誰ですか?凄く禍々しい雰囲気を漂わせてましたけど……』

 

 キューティアが恐る恐る訪ねてきた。この際だ、トリックスターとドレミコードにもジェネリアの他に、ポルーションやウェルシーについて話した。

 

『そのような方がいるなんて……』

 

「それに、こいつらのせいで住処を失ったモンスターもいる。何か知らないか?」

 

『すみません、何も……』

 

 やはり情報は無しか……それはそうだ。ホーリー・エンジェルもキューティアもジェネリアの事を初めて知ったんだから。

 

 にしても情報がないのに次々と現れてくるな。わかっているのは……ウェルシーがリーダー格なのと、俺の事を知っているという事ぐらいだ。

 

 規模も目的も分からず、相変わらず底が見えない。何をしたいのか分からないイラつきで頭を掻いてしまった。

 

 そんな俺をキューティアはじっと見ており、何か言いたそうな顔をしていた。

 

「ええと……キューティアだっけ。俺の顔に何かあるのかな?」

 

『い、いや!何だかどこか見た事ある顔だなって……』

 

「は?」

 

『そういえば、私もその顔どこかで見覚えがありますね』

 

 ホーリー・エンジェルもそんな事を言い出し始め、2人は俺の顔をじっと吸い込むように見つめ、思い出そうとしていた。

 

『ちょっと!私の花衣さんを見ていいのは私だけです!部外者は見ないでください』

 

『それ以上私の花衣様に近づいて見てください、貴方方をリリースしますよ?』

 

「おいおい、こんな時喧嘩はやめろって」

 

 流石にこれもティアドロップ達は許せなかったのか、キューティアとホーリー・エンジェルの間に割り込み、俺を守るようにしているのか、それとも欲に忠実なのか、俺の体に抱きついた。

 

『かい……?あぁ!思い出した!貴方はリカイさんですよね!?』

 

 キューティアの言葉の一部にノイズが走り、その瞬間俺の頭に一瞬だけ激痛が走った。

 

『何を言ってるんですか。この人の名前は花衣です』

 

『で、でも私達の楽器とか直してくれたりしましたし。私の指揮棒だってほら!見覚えありませんか?』

 

「楽器……?」

 

 キューティアはピンクの指揮棒に何故かドーナツが突き刺さっているのを見せると、また俺の頭に激痛が走り、脳裏にはモノクロの光景が映し出された。

 

 周りには機械類の物が無く、まるで中世のファンタジーのような世界観の建物の中だ。

 

 そして、頭の中の映像では俺視点で映し出されていた。自分の顔は見えず、見えるのは俺の手とその手に持っているピンクの指揮棒……キューティアが持っていたのと同じものだった。

 

 そんな俺が指揮棒キューティアに返すと、キューティアが泣きながら喜んび、そこで映像がノイズで乱れ、やがてその映像は消えた。

 

「がっ……ァァ……!」

 

 激痛が強まり、その場でうずくまってしまう。痛みが走り続け、頭の中がどうにかなりそうだ。

 

『花衣様っ!?どうかしたんですか!?』

 

『り、リカイさん?どうして……』

 

『触らないで!それと二度とその名前を呼ばないで下さいっ!この人は桜雪花衣ですっ!』

 

 ティアドロップはキューティアを振り払い、それとは逆に俺の事を優しい手つきで俺の体を支えてくれた。

 

「だ……大丈夫だティアドロップ。もう何とも無いから。それに……2人には話しておかないとな。俺の事」

 

 痛みの引きが少し悪く、立ち上がる際に少し頭がぐらつきつつも、俺は2人に俺がどう言った存在であり、閃刀騎ーカイムの事と、六花精華カイリの事を知る範囲で話した。

 

 キューティアとホーリー・エンジェルは信じられない様な顔で戸惑いつつも、俺の話を聞き入れてくれた。

 

『そうですか……でしたら他人の空似という事でしょうか?』

 

『そうに決まってますよ。私の花衣さんがそんなにいてたまりません』

 

 レイはそう言ってるが、もしかしたらホーリー・エンジェルの言う通り、俺はドレミコードやトリックスターにも出会ってるかもしれない……そんな気がする。

 

 そう考えられたのは、激痛と共に浮かんだあの光景……どこかの建物の中で、喜んでくれているキューティアの姿、それがどこか懐かしい。

 

 心が温まると言うか、それが俺の生きている意味だとも思える。

 

 俺の新たな過去かもしれない存在、【リカイ】。一体何者なのかは分からないけど、キューティアとホーリー・エンジェルの様子からして悪い奴では無いのが唯一の救いだ。

 

『それにしても、旦那様は酷く女性との交流関係が多いですね。私達の他に閃刀姫、蟲惑魔、ドレミコードにトリックスター……そしてここでは花音さんと、浮気者にはお仕置ですかね?』

 

「じょ、冗談よせよ!それに俺は……」  

 

『俺は何〜?花衣君』

 

 ストレナエが期待に満ちた目をしながら待っており、ティアドロップや皆も同じような目だ。観念した俺はため息をはき、少しの抵抗の表れのように目を逸らしながら言った。

 

「今の俺、お前らで手一杯だから」

 

 ティアドロップ、カンザシ、ストレナエ、スノードロップ、ヘレボラス、ボタン、エリカ、プリム、シクラン、ひとひら、レイ、ロゼ。

 

 俺の周りだけで12人もいる。手が焼くと言うか、逃げられないと言うか……十分すぎるぐらい恵まれている。これ以上増えたら多分愛の重さで潰れてしまうかもしれないほどに。

 

 そんな俺の答えに皆はニヤニヤと笑っており、なんかちょっとした敗北感を受けて意地っ張りになり、心做しか顔が熱い。きっと俺の顔は熟したトマトのように赤いのだろう。

 

『ふふ、えぇそうです。花衣様はもう私だけで手一杯なのです』

 

『なーに言ってるのですか!花衣さんは、私にだけ手一杯何ですよ〜』

 

 いつも通りティアドロップとレイの睨み合いが始まり、2人も2人でいつまでも譲らなかった。

 

『な、何だか2人とも仲良いですね』

 

『『良くないです!』』

 

『ひぇぇ!』

 

 キューティアが思う事も最もだ。喧嘩するほど仲がいいって言うが、それを体現している光景なのだから。

 息のあった2人はたまらずもう一度向かい合い、睨み合あった。

 

(……変わんないな)

 

 また新しい敵が現れ、俺の周りにおかしな事が次々と起こっていると言うのに、この光景だけは変わらなかった。

 

「おいおい、そこまでにしろ。俺もそろそろ焔達のところに行きたいんだから」

 

『むむむむ……』

 

『まぁ、花衣さんに免じてここは引き下がりますよ。でも忘れないで下さい、花衣さんは私とロゼちゃんの物にしますから!』

 

『子供が軽く大口を叩かないでください』

 

 両者とも譲らないままカバンの中にあるデッキに戻り、喧嘩は無事に終わった。

 

『随分と仲が良い方たちですね』

 

「そう見えるか?」

 

『はい。まるでアリアとソナタのようでした』

 

「へぇ、あの2人も喧嘩するんだ」

 

『そうですよ。勝手にお菓子を食べたりとか、そんな感じで些細な事でいつも喧嘩してるのです。まるでさっきの2人のようにね』

 

「という事は……仲良しって訳か」

 

 まぁ仲良く無ければあんな凄いライブが出来るわけなのだが。

 

「そういえばわ、アリアさんとソナタさんってお前らの事見えてない様だけど……どうして2人についてるんだ?」

 

『そうね……強いて言えば、ソナタにパッションを感じたからかしら?』

 

『私達ドレミコードはアリアから凄く幸せな協奏が聞こえたからでしょうか』

 

「と言うと?」

 

『あの子ならきっと誰よりもステージで輝く事が出来て』

 

『あの人ならきっと誰よりも素晴らしい曲を色んな人に届かせるような気がしたからです。そして、私達はあの2人の活躍を近くで見たいと思ってここにいるんです』

 

 何だかメルフィーの心咲ちゃんの事を思い出す。

 

 心咲ちゃんという9歳の女の子の傍には、メルフィーという可愛らしい精霊が傍にいるけど、心咲ちゃんには残念ながら精霊を見る力は無く、メルフィー達を見ることは無い。

 

 それでもメルフィー達はきっと今日も森の中で心咲ちゃんの傍にいる事だろう。あの子、どうしてるかなぁ……

 

「なぁ、悲しくは無いのか?ずっとそばにいるのに、言葉一つすら交わせないなんて……」

 

『いいえ、寂しいと思ったこともありません。それに、言葉を交わせないからって言って、交流の手段が無いという事は無いから』

 

 するとホーリー・エンジェルが薄い赤色の封筒に、赤いリボンを結んでおり、表紙にはクリボンが描かれた手紙を見せた。

 

 あれって……そうそう、罠カードのプレゼントカードの物と同じ物だ。裏面を見るとメッセージが付いており、『今日のライブも良かった』と書いてあった。

 

 多分、さっきやっていたライブの事を指しているのだろう。そしてその裏面の端には、トリックスターとドレミコードという表れなのか、星と音符のマークがあった。

 

 ホーリー・エンジェルはプレゼントカードを俺に渡すと、中身は1枚の楽譜と手紙……いや、歌詞とSDカードがあった。

 

 見るからに楽譜はドレミコード、歌詞はトリックスター、そしてきっとSDカードの中身はドレミコードとトリックスターが共同で作った曲があるのだろう。

 

『私達には音楽という繋がりがあります。ファンレターの中にこれを忍ばせて、ちょっとした曲を送ってます』

 

「それで何か伝わるものなのか?」

 

『まぁあの子達だからこそ出来る手段ですけどね。返信の際はあの子達も曲を作ってそのまま世に放ってますけどね』

 

 曲同士による手紙のやり取り……どんな物なのか想像つかない。だが、歌詞を見ると確かにメッセージ性のある歌詞が一部があり、おそらくさっきライブで歌っていた物は、トリックスターとドレミコードに対して作った物と考えていいだろう。

 

『姿が見えなくても、声も聞こえなくても、歌や音を通して私達は伝わっている。それだけで私達はここにいるんです。まぁ、私はまだ指揮も下手くそでほとんど曲に参加してないんですけど……あはは』

 

『そんなこと無いわよ。この前だって妖精達一同の演奏を成功させたじゃない。自信を持って!』

 

 ホーリー・エンジェルとキューティアは談笑を交わし、俺は渡された楽譜を見直そうとすると、奥の方から大勢の足音が近づき、曲がり角から焔達がこの場に来た。

 

「お、いたいた。そんなところで何してんだよ」

 

「焔?先に行ってるんじゃ……」

 

「元々はお前と空とで食べ歩きしたかったからな。お前と一緒じゃないとやっぱダメだと思ってな」

 

「そういう訳だ。お前の為に後の3人も待っているんだぞ」

 

 空が親指で後ろにいるアリアさん達に指を指すと、気にしないでと言わんばかりに3人とも笑ってくれた。

 

「……ん?何だよ花衣、その手に持ってるのは」

 

「何かのカードらしいな……持ってるのは楽譜か?」

 

 空と焔が俺が持っていた楽譜と歌詞を見ると、丁度後ろにいたアリアさんとソナタさんもそれに気づき、目の色を変えて焔と空を押しのけるように割り込んだ。

 

「そ、それ!何で貴方が持ってるの!?」

 

 アリアさんがグイグイと迫り、俺が持っているプレゼントカードをガン見していた。

 

「まさかとは思うけど、もしかして貴方が【星音符】ちゃん?」

 

「【星音符】……?」

 

「うん。裏面のメッセージに楽譜と歌詞の紙に、それを完成させた物が入っているSDカードを入れた手紙よく送ってくれる子の事。裏に星と音符があるからそう言ってるだけだよ」

 

 ソナタさんがそう言うと、アリアさんと同じように俺にグイッと近づき、まるで尋問見たいな圧が感じられる。

 

「それでどうなの?貴方が星音符ちゃんって訳?」

 

「それに裏面のメッセージの今日のライブって、さっきやってたライブの事だよね?今日の事知ってる人はかなり限られるからやっぱり貴方が……」

 

「い、いやいやいや!!これは貰ったと言うかなんというか……あっ」

 

「貰った……?」

 

 やべっ、口が滑った。皆には見えないホーリー・エンジェルとキューティアに目を向けると仕方ありませんと目で言っており、ホーリー・エンジェルは何とかして下さいと手を挙げて丸投げしてきやがった。

 

 しかもホーリー・エンジェルに関してはこの状況を楽しんでやがる……!

 

「貰ったって事は本人に会ったって事!?どこに行ったの!?」

 

「し、知りません!」

 

「そっか〜会ってみたかったんだけどな〜」

 

 アリアさんはガッカリしながら時点にへたりこんでしまい、ソナタさんも少しガッカリしていた。

 

「ねぇねぇ、どんな人だった?」

 

「どんな人って言われても……」

 

 もう一度ホーリー・エンジェルとキューティアを見ると、ありのまま話して良いと言うように2人はコクリと頷いた。

 

「えーと、白金のポニーテールで綺麗な女性と、ドーナツが大好きな子供です」

 

「へぇ〜何だか【トリックスター・ホーリー・エンジェル】と【ドレミコード・キューティア】みたいだね!」

 

 やばい、特徴を言い過ぎたか……?だが、精霊が見えない彼女達にとってはホーリー・エンジェルとキューティアを確認する手段は無い。バレる事は無いが、俺の内心はビクついていた。

 

「それで、その子達は何か言ってた?」

 

 ソナタさんはその事を楽しみにホーリー・エンジェルとキューティアの言葉を聞きたがっていたが、2人からはそんな言葉は聞いてないし、2人も俺に何かを言おうとはしなかった。という事はつまり、アリアさんとソナタさんに伝えたい事はもう、俺の手にあるという事だ。

 

「ここにありますよ」

 

 俺はトリックスターとドレミコードが作った歌が入った手紙をアリアさんに渡し、アリアさんとソナタさんはそれぞれ歌詞と楽譜を見つめた。

 

「凄い……!ワクワクする曲で楽しくなっちゃう」

 

「素敵な歌詞。顔も知らないけど、きっとこれを書いた人は凄く良い人だって伝わってくる」

 

 するとアリアさんは楽譜を見てその音程の鼻唄を歌い、ソナタさんはそのリズムに乗って透き通る歌声で歌詞の言葉を紡いだ。

 

 ここでしか聞けない小さな小さなライブは瞬く間に俺達を歌の世界へと惹き込ませた。

 

 アリアさんとソナタさんの2人の声しか無いはずなのに、まるで背景には音楽が鳴り響き、本当に楽器がそこにあるかのようにも惹き込まれてしまう。

 

 耳だけじゃない、彼女達の声は体全体にも響き、胸の中が熱く昂る。彼女達も心からの笑顔で歌を歌い、体全体でリズムに乗り、ここにいる全員に歌の世界へと招待した。

 

 目が離せない。呼吸さえも忘れて息を飲み込んでしまう。この世界のアイドルと、トリックスターとドレミコードが作った歌だからこそ出来る芸当だ。今この瞬間、歌で2つの世界が繋がっていると思うと、本当にアリアさんとソナタさんが精霊が見えない事を悔いる。

 

 そして、小さなライブの終わりを告げるようにソナタさんが最後の歌詞を歌い終えると、俺達は盛大な拍手を2人に向けて送り、俺はこの場にいるもう2人のアイドルと指揮者に拍手を送った。

 

「すっげぇ……これがプロの実力かよ……!」

 

「思わず息を飲んだな」

 

「くっ……!この堕天したはずの身が浄化されるほどの歌声とは!ふっ、下界の賛美歌もなかなかやる物になった……!」

 

 どうやら3人も満足したようであり、それはこの歌を歌った2人も同じ心境であった。充実感に溢れた2人の笑顔は何か思いついたのか、2人で顔を見合わせていた。

 

「そうだソナタ!私、ビビッと来ちゃった!」

 

「私もピカッて来た。じゃあ……やろっか」

 

「「新曲作り!!もちろん完成まで!」」

 

 2人は笑顔でサラッととんでも無いことを言い出した。ちょっと待て……俺達とやるデュエルは1時間後だぞ?それを作るだけじゃなくて完成……させる?

 

 詳しい事は知らないが、そんなに新曲がぽんぽん出せるものなのか……?

 

「あ、あの〜この後のデュエルは……?」

 

「勿論やるよ。でもね、あんな楽しい楽譜を見せられたらもう胸がクレシェンドの様にどんどん昂っちゃう!」

 

「私も、あんなにいい歌詞を歌わされたら。グッと来ちゃう」

 

 どうやら止まる気配は無さそうだった。

 

「花衣君、この手紙渡してくれてありがとう!すっごいワクワクドキドキで、キラキラな曲作るから楽しみにしてて!」

 

 そう言って2人は急ぎ足で自分達の楽屋に戻り、この場は俺達だけになってしまった。

 

「なんて言うか……すげぇ音楽好きだな。……なんか差し入れでも持っていくべきか?」

 

「良いんじゃ無いか?雀……いや、トバリも行くか?」

 

「ふっ、馬鹿な奴め。この私が下界の餌を食べる訳が無かろう!まぁ……どうしても言うのなら行かないて手は……」

 

「そうか行かないのか。誘って悪かった」

 

「あぁ嘘です冗談です!行かせてくだじゃい!お願いしまず〜!!」

 

「だぁぁ寄るな!鬱陶しい!」

 

 呆気なく突き放した空の態度に雀は泣きながら空の腰に飛びつき、子供のように泣いては着いていくと縋っていた。

 

「花衣も行くだろ?というか、俺達3人で食べ歩きしようって話なのにお前抜きだと話になんねぇ。嫌でも連れてくぜ」

 

「あぁ。すぐ行くよ」

 

 行く前に俺はホーリー・エンジェルとキューティア目を配った。

 

「じゃあまたな。デュエルでは、負けないからな」

 

『はい、望むところです』

 

『わ、私も頑張ります!』

 

「何してんだ花衣ー!早く行くぞ!」

 

「あぁ!……じゃあな!」

 

 俺は焔の元に走り、2人も光の粒子と共に消えてしまった。多分、アリアさんとソナタさんのカードへと戻ったんだろう。

 

 姿が見えなくても、声が聞こえなくも、彼女達との繋がりは確かにそこにあった。 

 

 俺はいつしか2人が精霊が見える様にと願いながら、焔達の所へと走っていった。

 

 

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