六花テーマを作って愛用したらそのまま俺への愛が重くなった件について   作:白だし茶漬け

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さぁ、シリアスの始まりだ(絶望)

どうも、マスターデュエルのレジェンドイベントではコードトーカー使ってる茶漬けです。トーカーならどんな物でも手札からリンク素材に出来るの優秀過ぎて事故っても何とかなるのすんごい(2敗)

さて、今回は何とあの2人の閃刀姫が最後にチョコンと出てきますし、敵側の新たなカードが次の話ぐらいで出てきます。

ついでにひとつ、私の個人的な疑問ですが今まで出てきたレゾンカードの中で強いのは何だろう?という疑問ですね、今まで出てきたカードを募ってアンケートをするので、もし良ければ投票してみて下さいm(_ _)m


紅色の再開

 

「貴方のお友達、貴方を殺す力を持ってますよ」

 

黒ローブを来ている女性であり、俺の敵でもあるウェルシーがそう言ってきた。いつも通り飄々として頬杖をしながら、信じ難い事を話した。あまりの話題にたじろぐと、すかさずティアドロップとレイが実体化し、ウェルシーに対して武器を構えた。

 

「貴方っ……しょこりもなくまた花衣様を!」

 

「一体貴方は何なんですか!」

 

2人はウェルシーに攻撃したが、ウェルシーの闇の壁に傘と剣が遮られ、ウェルシーには指一本も触れられなかった。

 

「まぁまぁ落ち着いて下さい。別に私は花衣さんをどうこうしようとした訳じゃありません。ただ警告をしに来ただけですよ」

 

「警告……?貴方達の存在自体が危険そのものの癖に!」

 

「心外ですね、私は誰よりも花衣さんの事を知っていますし、愛してもいるんですよ?ここはお互い花衣さんが大好きな人同士、仲良くしましょうよ。それに、これは花衣さんにとっても有益な情報なんですよ?」

 

「有益?何を言ってるんだ……?2人が俺を……殺す力を持ってるって……何だよそれ」

 

「事実ですよ。心当たりはあるんじゃないですか?」

 

「そんな事……」

 

無い。とは言いきれなかった。空のレゾンカードのイグニッション・ファルコンは俺に対して敵意剥き出しな行動を一瞬だけ取っていた。

 

焔のレゾンカードでは、皆が感じられなかった熱が俺にだけ感じられた。そして、空のデッキに触れようとしたら、触れられなかったあの時……あれにレゾンカードを入っていたとすれば、あの反応は敵意を向けていた現象だとしたら……

 

「……嘘だ」

 

「嘘じゃありませんよ。あ、もしかしてお友達が貴方を殺めるかも知れないと思っているんですか?ごめんなさい、それは私の言葉足らずです。正確には、レゾンカード自体にその力があるんです」

 

「レゾンカードに……?」

 

「そう、元々レゾンカードというのは、貴方や私達を倒す為に作られたカードと言えばご理解頂けると思います」

 

「俺を……倒す?何言ってるんだよ。そんな訳……」

 

「あるんですよ。ご自身でも分かっているのでしょう?まぁ、結論を言えば……レゾンは貴方の存在を消滅させようとしている。って言えば分かりますか?」

 

俺は何も言い返せなかった。何も言えず、何も答えられず、ウェルシーが嘘をついているのかさえ疑わなった。

 

「じゃあ俺はなんなんだよ……俺が消滅される理由は何なんだよっっ!!」

 

やるせない気持ちをぶつけるように机を叩きながらウェルシーに叫ぶと、ウェルシーは変わらない態度でスラスラと話してくれた。

 

「貴方がこの世界……いえ、この宇宙すら滅ぼす力を持っているから」

 

「……………………は?」

 

「あれ?分かりませんでした?まぁ簡単に言えば、貴方がその気になればこの宇宙全てを我が物に出来る存在という事ですよ」

 

何言ってるんだこいつ……?宇宙を支配?誰が?俺が?

 

俺がいつそんな力を持っていたんだ?

 

なんの為に支配するんだ?

 

俺が宇宙を滅ぼすって何なんだよ?

 

分からない。

       分からない。

 

俺という存在にまた疑問を持ってしまう。体の震えが止まらない。そんな中、隣にいたレイが俺の肩を優しく抱き、震えを止めさせた。

 

「大丈夫ですよ花衣さん。こいつの言う事は全部嘘ですよ」

 

「その通りです。花衣さんは普通の人間です」

 

「2人とも……」

 

「普通?おかしな事を言いますね。蟲惑魔達の住処で見たじゃないですか、闇を纏ったあの花衣さんを雄々しい姿を。はぁぁ……今思い出しただけでもウットリしますね……♡」

 

「ふん、あんな花衣さんを見て惚れ惚れするなんて、貴方、花衣さんの事何にも分かって無いですね」

 

「…………はっ?」

 

レイの挑発にウェルシーはさっきまでの態度から一変し、背後からどす黒い闇のオーラを発した。

 

「分かって無いのは貴方の方です。あんなの花衣さんなんかじゃありません!花衣さんはもっと普通なんですから!」

 

「その通りです。それに、貴方は花衣様を見ていない。貴方が恋焦がれているのは、花衣様にいる何かです。そんな方が、花衣様を愛するなんて甚だしいです」

 

「分かってないのは貴方達の方ですよ。あれが花衣さんの本来の姿なのです。そんな事が分かってない貴方方に愛する云々言われる筋合いは無いですよ」

 

わなわなと初めてウェルシーが余裕の態度を捨て、ティアドロップ達に敵意を剥き出しにしていた。黒いオーラもどんどん濃くなり、びりびりと肌を焼き付かせる様なオーラが強くなっていく。

 

気迫だけでこの場を震撼させ、ウェルシーの右手に黒い炎が見えた瞬間、ティアドロップとレイ、そしてデッキにいる皆も飛び出そうとしたが、その前にウェルシーが手を下げて攻撃を直前で止めると、ウェルシーの背後にはもう1人の姿があった。

 

「そこまでですよ〜ウェルシーさん。貴方が暴れたらここが焼け野原になりますよ〜?」

 

ウェルシーの背後にいたのは、陽気な口調で髪に複数の色のメッシュがついた桃色の髪をした女性だった。服装や風貌からしてウェルシーの仲間である事は間違いないが……なんだあの緊張感の無さは。本当に仲間でさえ疑う所だ。

 

「分かっていますよディペン。ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ怒っただけですよ」

 

「えー?本当にちょっとだけですかー?」

 

「黙ってください。本当に消滅させますよ」

 

「おぉ……怖っ、すみませ〜ん」

 

ウェルシーの一瞬の殺気がこの場を凍りつかせ、レイとティアドロップもその場から動けなくなるほど気圧されてしまった。俺も心臓が貫かれた様な圧と恐怖に襲われ、細胞までもが震えているようだった。

 

「何だ……?今のは……」

 

「あ、ごめんなさい。少し怒りすぎてしまいましたね。でも、私が花衣さんを愛しているのは本当ですからね?それよりもディペン。頼んでいた事はしましたか?」

 

「それは勿論〜。もうジェネリア君も仮メンバーの子とあの2人の所にいるし、もう始めているかも知れませんね〜」

 

「あの2人……?」

 

「はい。貴方のお友達の所ですよ」

 

「なっ……!」

 

焔と空の所に……ジェネリアが!?その事実を聞き、体の中から焦りと恐怖が湧き出し、鼓動がうるさく鳴り響いた。

 

「私は貴方の事を片時も見逃していません。朝起きる時もご飯を食べている時も学校に行ってる時も授業を受けている時も遊びに行っている時も家に帰っている時もお風呂に入っている時も寝る時もずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっっっっと、見ています」

 

「うわぁ……本当に酔狂な方〜」

 

「そしてさっきのデュエルも拝見しましたけど……ガッカリしました。さっきのデュエル、貴方は仲間を守る戦い方をしていましたね」

 

「それが何がいけないんだ」

 

「貴方に仲間なんていらない。そばにいる存在も、頼るべき存在もいらない。貴方は1人で全てを成す存在なのです。歯向かうものは容赦なく蹴散らし、何者にも頼らない絶対孤高の存在!それが貴方何ですよ?」

 

まるで宣教師の様に高らかに、それでいて絶対正しいと思っているようにウェルシーは俺という存在がどういう者かを話した。

 

「だから、貴方にはそれを思い出して貰います。まぁ、レゾンの方も本格的に強硬策に出たので、私達もそれなりの動きはさせて貰います」

 

「一体……何を」

 

「今からお友達やその周りにいる人達をこの世から消します」

 

その言葉を聞いた瞬間、頭の中全てが真っ白になった。やる事は許されない事の筈なのに、ウェルシーの言動が軽いのが恐ろしかった。

 

「貴方が危険な目に遭うより、お友達が消えた方が貴方は貴方自身を思い出すかもしれませんから。あ、慈悲として亡骸を持っていくのはどうでしょうか。今からジェネリアの所にいってちょっとだけ手加減するのも良いかも知れませんね」

 

こいつは人の命を奪う事を躊躇わない。いや、人がどうなる事すら興味を示して無いんだ。こいつが興味を示しているのは、俺だけだ。現にウェルシーは、仲間であるディペンと呼ばれた奴を全く見てない。フードの先にいる目線にいるのは、いつも俺だった。

 

「お前は……俺に何をさせたいんだ?」

 

「え?別に何もありませんよ?」

 

「はっ……?」

 

「貴方は貴方がやりたい様にして欲しいだけです。本能のままに、その闇が赴くままに!」

 

「だったら焔達に危害を加えるのを止めてくれよ!アイツは関係無いっ!頼むから関係ない人達を巻き込まないでくれっ!!」

 

「それは出来ません。だってこれは貴方の為何ですから」

 

「俺の為……?ふざけるなよっっ!!こんなの俺は望んで無い!」

 

「いずれ分かりますよ。では、私はこれで失礼します。さようなら花衣さん。次会う時は貴方が貴方であるように願っています」

 

「待てっ!」

 

ディペンと共に黒い靄に包まれたウェルシーを捕まえようと飛び出しが、時すでに遅し、ほんのわずか、あと数秒あれば届いてた距離で完全にウェルシーとディペンはここから姿を消した。

 

やるせない気持ちで拳を作り、そのまま行き場のない怒りを地面にぶつけた。

 

そしてそれと同時に、外からの衝撃のせいでの揺れが起こった。どうやら、もう始まってしまったようだ。

 

「何なんだよ……なんなんだよっっ!!」

 

言いたいことばっかり行って、挙句の果てには関係ない人達を平気で巻き込むウェルシー達を、俺は許さない。

だが今は、焔達を守られなければならない。

 

「レイ、ロゼ。先に行って焔や皆を守ってくれ!この際誰かに姿を見られてもいい、とにかく守ってくれ」

 

「分かりました。ティアドロップ、花衣さんを頼みましたよ」

 

「誰にものを言っているんですか。……貴方こそ気をつけてください」

 

「まさかそう言われる日が来るなんてね。行こう、ロゼちゃん!」

 

「了解」

 

レイとロゼは普段の私服から閃刀モードのスーツへと姿を変え、目にも止まらぬ速さで焔達の元へと駆けた。レイとロゼが間に合ってくれると祈りながら、俺達も後を追いかける。

 

(頼む、無事でいてくれ……!)

 

扉を壊すほど勢い良く開け、そのまま()()()()()()()を走っていく。人がいなかかった為、走る邪魔にはならないのが幸いし、最初からトップスピードで向かう事が出来る。これならレイとロゼも同じ様に向かえている筈だと考えていたその時、廊下の違和感に気づいた。

 

(……誰もいない?)

 

そう、ここは仮にもトップアイドルのミスティック・メロディーがいるステージの廊下だ。やる事なんて沢山あるだろうし警備の人だって居てもおかしくない。

 

逆に誰もいない方がおかしいんだ。まさかとは思うが……もうとっくに……いや、そんな事は無い。あってたまるか。はやる気持ちを足に込めて、俺は息が血の味になろうとも走り続ける。止まっている時間なんて無いのだから。

 

曲がり角を曲がり、直線を思い切り走り抜けると、廊下の雰囲気が変わり始める。あともう少しでステージ裏の筈だ。あと1つ曲がり角さえ曲げれば後は直線でステージ裏だ。

 

無事でいてくれることを願いながら曲がり角を曲がり、その後の光景を見た。

 

見るべきでは無かった。いや、見ざる負えなかった。

 

俺が外の光景は……地獄だった。

 

「だ、誰か助けてくれぇぇぇ!!」

 

     「い、痛いっ!血、血が出てる!」

 

   「なんで警察は来ないんだっ!?」

 

         「おいどけよ!邪魔だっ!」

 

  「嫌だっ!死にたくないっ!!」

 

阿鼻叫喚がこの世からあふれ出したような光景だった。逃げ惑う人々は他人を蹴落としてでも自分が生きれば良いと思う人ばかりであり、ステージもボロボロに燃えていた。

 

「酷い……」

 

隣で見ていたティアドロップは思わずそう言葉を漏らしていた。酷いなんて物じゃない。ここは地獄そのものだ。

 

空は紅色になっており、最早この世の物とは思えないぐらいだ。

 

「そうだ……!焔と空はっ!?」

 

ステージ裏にいるはずの2人を探していると、またとてつもない光景が目に映った。上空にはなんとイグニッション・ファルコンが空を飛び、ステージの上をよく見るとレイとロゼがジェネリアと戦っていた。

 

「あれって空のモンスター……?なんで実体化してるんだ!?」

 

「花衣様、あそこを!」

            

ティアドロップがステージ上にいたアリアさんとソナタさん、そして焔と空、トバリが1箇所に固まっていた。焔と空が3人を今まで庇っていたのか、焔と空の服はボロボロになっていた。

 

「焔!空!」

 

「……!花衣かっ!良かった〜無事だったか!」

 

俺の姿を見て安心したのか、焔はこんな状況でも笑っていた。

 

馬鹿じゃないのかアイツ……急いで焔達の元に向かい、ようやく合流すると、アリアさんとソナタさんが目を閉じていた。どうやら気絶しているらしい、トバリはこんな状況になったせいで恐怖で震えており、震える手で空の体を掴んで離さずにいた。

 

「やだ……怖いっ……助けてっ……!」

 

「雀……大丈夫だ。ちゃんと耳を塞いでろ」

 

「焔、一体何があったんだ?」

 

「知らねぇよ……ただ、あのアルビノの子供が急にステージに乱入したと思ったら、いきなりステージをぶっ壊したんだよ!そんでライブはめちゃくちゃになってよぉ……どうなったのかこっちが知りてぇよ。というか、なんでレイとロゼがいるんだよっ!」

 

焔は奥でジェネリアと交戦しているレイとロゼに向けて指を指した。ここでいうレイとロゼとは、デュエルモンスターズのモンスターではなく、俺たちのクラスメイトであるという意味だろう。

 

実体化したモンスター特有である、認識阻害の影響により、精霊が見えない物に対して使える物であり、自身をデュエルモンスターズのモンスターとは認識されない能力だ。

 

これのおかげで焔と空には、レイ達がどこにでもいる普通の女子高生に見えた訳だが……その2人がステージの壁や閃刀を使いこなし、戦っている姿を見て困惑が溢れ出していた。

 

「アイツら何なんだよ……剣持って戦ってりしてよ、あれじゃあまるで……閃刀姫見たいじゃねぇか」

 

「……ん?おい、花衣。そいつは誰だ?」 

 

空は隣にいるティアドロップに目を向け、正体を聞こうとしていた。だが、この状況ではそれを話す時間も惜しい。

 

「……話してる暇は無い。とにかくここから離れよう」

 

「そうはさせませんよ」

 

「それはこっちのセリフですっ!」

 

ここまで近づいてきたジェネリアをレイはウィドウアンカーで捕縛し、そのままジェネリアを投げ飛ばした。

 

「花衣さんっ!早く皆さんを連れて逃げてくださいっ!」

 

「これ以上……面倒みきれないっ!」

 

ジェネリアの攻撃は予想以上に激しいようで、流石のレイとロゼも限界が近いようだった。

 

「わかった!ティアドロップ、皆、頼む」

 

デッキから残りの六花達を呼び出し、焔達の前に全ての六花達が実体化した。いきなり俺のデッキから現れたものだから焔達も驚いているが、時間が無い。手早く済ませよう。

 

「皆、焔達を頼む」

 

「分かりました旦那様。皆さん、少々手荒になりますがご了承ください」

 

スノードロップ、ヘレボラス、しらひめとなったひとひらがステージ裏に移動し、カンザシ、ボタン、エリカが氷のツタで形成した小さな方舟を作り、ストレナエ、プリム、シクランが氷の傘に魔力を集中させ、傘先を方舟に向けた。

 

「早く、皆乗って乗って!」

 

ストレナエが急かすと、焔達は急いで方舟に乗り、後は俺が乗れば準備は完了だった。

 

「……!花衣様、危ない!」

 

突然ティアドロップが俺の前に立ち、氷の花のバリアを前面に展開すると、そこにぶつけられた黒色のエネルギー弾がぶつかり合い、俺とティアドロップは吹き飛ばされてしまった。

 

「きゃぁぁ!!」

 

「うわぁぁぁ!」

 

吹き飛ぶ中でティアドロップの抱きしめ、着地の傷を追わせないようにティアドロップの下敷きとなって地面に倒れた。

 

背中どころか全身が痛いが、大した事では無かった。

 

「っ……ティアドロップ、大丈夫か!?」

 

「は、はい……何とか……」

 

「良かった……!一体どこから……」

 

攻撃した所は上空だった。だとすると俺達を攻撃して来たのは……上空にいる空のレゾンカード、イグニッション・ファルコンだった。

 

空が操っている……訳では無い。空もこの状況で混乱しており、使役している様子もない。という事はつまり、イグニッションは自分の意思で俺に攻撃をしているという事になる。

 

_レゾンカードは元々貴方や私達を消滅させる為に作られたのですから。

 

「こういうことか……!」

 

元々俺を倒す為に作られたのなら、真っ先に狙うのは俺やジェネリアだ。そして、その最優先の狙いは俺も言うわけだ。

 

「クォォォァァァァ!!」

 

イグニッションが叫ぶと更に小型のエネルギー弾が俺目掛けて雨のように連射させた。

 

ティアドロップがまた壁を作って雨のような砲撃を防いだ。だが、次はもう耐えられないと叫んでいるかのようにバリアに亀裂が走り、ティアドロップも疲弊しきっていた。

 

さっきの攻撃で服や装飾もボロボロになっており、額から血も流れていて見るのも辛い姿になっていた。

 

「花衣様はっ……絶対に、守り……ますっ!今のうちに……早くっ、お友達と一緒にっ!」

 

「ティアドロップ……」

 

何も出来ない無力さが溢れ出そうだ。情けなさすぎる。狙われている俺が近くにいるせいでティアドロップが傷ついている。多分次を受け切れる保証は無い。

 

分かってるだろ花衣。ティアドロップを守れるのは……これしかないって。

 

「ティアドロップ」

 

「……?何ですか、花衣s……」

 

振り返るティアドロップを、俺は強く抱き締めた。後悔の無いように、離したくない程強く抱きしめた瞬間、ゆっくりとティアドロップから離れて目を合わせた。

 

「か、花衣様……?」

 

「……ありがとうな」

 

困惑するティアドロップに笑顔を向け、俺はティアドロップから離れて焔達とは反対方向に走った。

 

「……花衣様っ!?どうしてっ!?」

 

「レイィィィ!!ティアドロップを頼むっ!」

 

「花衣さん!?……ロゼちゃん!」

 

「行って。少しだけなら耐えるから」

 

俺の意図を組んだレイは、イーグルブースターを背中に付け、爆発的な加速でティアドロップの元に駆け寄り、そのままティアドロップを抱いてカンザシ達の元に送り届けた。

 

「レイ!?離して下さい!私は花衣様を守らなくてらなりません!」

 

「そんな怪我で守れる訳無いですよ。大丈夫です、花衣さんは私とロゼちゃんが守ります。絶対に」

 

「…………分かりました、頼みましたよ」

 

レイはティアドロップをカンザシ達が作った方舟の乗せると同時にイーグルブースターの出力を最大にし、すかさずロゼの援護に戻り、その間俺に護身用のホーネットビットを数基手渡した。

 

イグニッションが俺に攻撃を仕掛けるというのなら、俺が近くにいると焔達が危ない。だが、俺自身イグニッションの攻撃を生身で受け切れるのも怪しい。その為、レイからホーネットビットを貰ったのだ。名前を叫んだだけなのに、この状況を理解したレイには、感謝してもしきれなかった。

 

「カンザシ!焔達を頼む!」

 

「っ……分かりました。ストレナエ!」

 

「分かった!行くよ2人とも!せーの!」

 

ストレナエの合図でプリムとシクランは同時に傘先から風花を生み出し、焔達を乗せた方舟をスノードロップとヘレボラスとひとひらがいる所に猛スピードで吹き飛んだ。

 

「だァァァァ!?」

 

焔が猛スピードの中で叫んでおり、このままでは壁に激突は必須だ。激突したら只事ではすまないが、その先にいるスノードロップ達がストレナエと同じ様な風花を吹き荒れださせた。方舟のスピードが徐々に低下したが、まだ激突させてしまう程のスピードだ。

 

「うぇぇ!?ちょっと強すぎるよストレナエ!!」

 

「このままじゃ、花衣の友達が、危ない……!」

 

魔力を集中する時間が無く、スノードロップとひとひらは混乱していたが、ヘレボラスが傘をスノードロップに預け、両手を前に出した。

 

「2人とも、離れていて下さい」

 

「うぉぉぉぉぶつかるぅぅ!!」

 

猛スピードに突入してくる方舟を、ヘレボラスは真正面から受け止めた。無茶だ……現にヘレボラスは方舟の速さに押し負けており、このままではヘレボラスが壁と方舟に挟まれてしまう。

 

「んっ……ふんっ!」

 

ヘレボラスがもう一度足腰に力を入れ、地面が抉れながら進んでいくと、地面の摩擦で徐々に方舟は失速し、壁との距離がヘレボラスの体3つ分程で方舟は止まってくれ、ヘレボラスも無事だった。

 

「ふぅ……疲れました」

 

「おぉ〜!さっすがヘレちゃん!力持ち〜!」

 

「こんな時にやめてください……とにかく皆さん、奥の方はまだ安全なので、早く避難を……!」

 

「でも花衣君が!」

 

「大丈夫……です、花衣様なら、レイが……」

 

「ティアドロップさんの言う通りですよ。旦那様のことは、あの子達に任せましょう。だからティアドロップさん、貴方も休んでください」

 

チラリとステージを裏を見ると、ティアドロップはダメージを受けて気絶してしまったが、カンザシが介抱してくれていた。ひとまずは安心だ。

 

後はこの状況をどう乗り切るかだが……。

 

 

 

 

「花衣……おい、空!あれお前のモンスターだろ?何とかなんねぇのかよ!」

 

「無理だ。そもそも今がどうなっているのかも分からないんだぞ」

 

「だからって花衣をほっとくわけいかねぇだろがよ!」

 

「死ぬ気かっ!?」

 

「じゃあお前は花衣を見捨てろって言うのかよ!」

 

「俺はっ……何も分からないまま死にたくない」

 

「……俺だって怖ぇよ。死にたくなんか無い」

 

 

 

 

相も変わらずイグニッションはこっちに攻撃を仕掛けまくっている。数基あったホーネットビットも残り僅かとなっており、そろそろ限界が近かった。

 

だが、イグニッションを引き付けたおかげで一般の人もようやくこの場から離れる事が出来、ティアドロップ達も無事だ。後は何とかしてこの場を治める事が出来れば良いんだが、そんな方法は無いに等しい。

 

このまま逃げ続ける事も出来ず、最後のホーネットビットが爆発し、爆風で吹き飛ばされてバランスを崩してしまう。

 

その隙をイグニッションは逃さず、最大出力のビームキャノンの銃口を空高くから狙い定めた。

 

「花衣さん……!」

 

俺を助けようとレイとロゼが高速で俺の前に立ったと同時に、レイはシズクに換装し、ロゼも同じくシズクに換装すると、前面に巨大なバリアを形成した。

 

イグニッションは四門のビーム砲から最大出力のビームを発射させ、黒いビームと青いバリアがぶつかり合った。ビームはバリアに遮られて何とか防いではいるが、バリアが許容限界に達していると警告音と表示が鳴り響いていた。

 

それでも2人は決してバリアを解くことを止めず、バリアとシズクの装甲がどんどん崩れ落ちて行った。

 

「レイ、ロゼ!」

 

「大丈夫……!今度は私が守ってみせる。貴方が私を救ってくれた様に!」

 

「貴方は私を2度も救ってくれた!1度目はカイムさんの時で、2度目は貴方と私が初めて出会った時に、手を差し伸べてくれました。貴方に酷いことをしたのに、貴方は……救ってくれました。そんな優しい花衣さんが、私は大好きです!」

 

閃刀の警告音がなり続き、いつしかレイとロゼの青い装甲が粉々に砕け散ると、元の私服に戻ってしまい、もはや閃刀モードを維持する力も無かった。

 

このままじゃ間違いなくレイとロゼはやられてしまう。ダメだ、そんなのダメだ。止めてくれと言っても2人は絶対に止めず、ボロボロになる体で何とか最後の力を振り絞る様に耐えていた。

 

「「大好き、愛してる」」

 

2人は自分の最後を悟ったかのような笑顔で告白をした。それは目に焼き付かせ、俺の心に刻み込もうとしている様な気がした。

 

最後だからせめてと思ったのだろう。だが、こんなの認めない。これが最後だなんて俺は……認めない、認めちゃダメだ。

 

「ダメだぁぁぁぁぁ!!!!」

  

この状況を否定する叫びをすると、イグニッションの左右の空間から青い六角形のサークルがそれぞれ出現し、そこから2人の人影がサークルを足場にして飛び出すと同時にそれぞれ太刀と大剣の様なものをイグニッション・ファルコンに切りつけ、イグニッション・ファルコンの四羽の羽のうちの1つを切り落とした。

 

意識外からの攻撃でイグニッションは攻撃を止め、ボロボロになったレイとロゼは力が抜けて地面に倒れそうになり、急いで2人を支えた。

 

「一体、どうなった?」

 

イグニッションに攻撃した2つの人影は俺の前に立った。

 

1人は黒い刀身に紫のラインが入った閃刀とスーツを来た銀髪のポニーテールをしており、もう1人は同じようなスーツだが、持っている閃刀はレイ達と持っているのとは一回りもふた周りも違う大きさの大剣を持っていた。

 

閃刀の剣に黒い閃刀モード……まるでロゼの様だった。という事は、こいつら閃刀姫か?レイとロゼの他にまだ閃刀姫が居たのかと思ったが、2人の姿を見た瞬間、俺の頭の中には2つの花の花びらと、その名前が浮かび上がり、思わずその名前を口にした。

 

「アザレアとカメリア……?」

 

名前を呼ばれた2人は俺に振り返り、まるでようやく再開出来た喜びを噛み締めるような笑顔を見せた。

 

「助けに来たよ、カイム」

 

「やっと会えたね。ボクのマスター」

 

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