六花テーマを作って愛用したらそのまま俺への愛が重くなった件について 作:白だし茶漬け
という訳で、ついにマスターデュエルに待望の六花新規とソロが貰えました。もう何周もしています。百合ポエムがてぇてぇぜ……0(:3 _ )~
小説に話を戻しますと、今回から敵側に新たなオリジナルテーマが出てきます。
前はポルーションの【汚染大罪】。フィールド自体にカウンターを置くという少しトリッキーなやつですが、今回も少し特殊なカード達ばかりです。
キーワードは【奴隷】と【コストの押し付け】……!?
燃え盛る炎、人々の悲鳴、煌びやかなステージだった物が瓦礫になり、ここはまさに地獄の様な光景だ。
そんな光景の中でデュエルをするとは生きている内に思っても居なかった。レイから貰ったデュエルディスクにデッキを装着し、向こうも黒い禍々しいオーラを纏ったデッキをまるでそこに台があるかのようにデッキは空中で静止した。
デュエルの相手は……以前ロマンス・タッグデュエルで戦い、俺のデッキや、俺の命を奪いかけた男、見下だった。前々からいけ好かない奴だったが、その外道も地に落ちた。
今ではあのポルーションと同じ勢力に入り、こんな光景を生み出した奴の仲間でもある。挙句の果てには何も関係無い人を躊躇いなく手にかけようとした。こんな奴とはデュエルなんかせずに、この手で倒したい所だが、デュエルの準備が終わった途端、ステージを覆うように複数の黒色の鎖が地上から伸び、まるでドーム状の鳥籠が完成された。
「これでどちらかが勝負をつけるまでここからは出られない。さぁ、始めようか」
「……あぁ」
「「デュエル!」」
見下成金vs桜雪花衣
「先行はそちらからで良いぞ?」
「じゃあ遠慮なく行くぞ。俺のターン!」
最初の5枚の初期手札を引き、中々良い手札だ。これならやりたい事が出来るはずだ。
「俺は魔法カード【解呪の神碑】を発動。その効果でエクストラデッキから【神碑の翼フギン】をEXデッキから特殊召喚!」
神碑の翼フギン
レベル2/融合/天使族/ATK0/DEF0
「ほう……
そう、俺の新たな閃刀姫デッキは
魔法カードもほとんどが速攻魔法であり、魔法カードを軸とする閃刀姫とは相性が良い。それに、神碑の真骨頂はここからだ。
「【フギン】の効果発動。手札の【神碑の穂先】捨て、デッキから神碑フィールド魔法【神碑の泉】を加えて発動!」
俺の背後に龍魔人の石像がある泉が出現し、泉の水が溢れて地面まで流れ、地面が水面の水色で煌めいた。
「さらに魔法カード【モンスターゲート】を発動。【フギン】をリリースし、デッキの上から通常召喚可能なモンスターが出るまでカードを捲る!」
「なるほど、墓地送りというわけか。通りでデッキが多い訳だ」
そう、俺の閃刀姫デッキは60枚のフルデッキだ。レイが使っていた戦法を参考にし、墓地に送るカードを何枚か採用しており、閃刀姫の効果を最大限引き出すように自分なりに考えたデッキだ。
モンスターゲートの効果でどんどんデッキから墓地に魔法カードが送られ、送られた枚数によって墓地の枚数が30枚に達した所でレイのモンスターカードが捲られ、そのカードが特殊召喚された。
「よし……!俺は【レイ】を使ってリンク召喚!来い!【閃刀姫ーカガリ】!」
閃刀姫ーカガリ
LINK1/機械族/ATK1500
「【カガリ】の効果で墓地から【閃刀起動ーエンゲージ】を加えて発動!デッキから【閃刀機ーウィドウアンカー】を加え、墓地には3枚以上魔法カードが存在する為、1枚ドローする」
……よし、この手札なら何とか妨害は出来る筈だ。閃刀カードで妨害手段と言えば、速攻魔法のウィドウアンカーぐらいしか無く、先行妨害と言えるものは無い。
だがここから俺のデッキは更に動き出す。
「俺は手札から2枚目の【神碑の穂先】を発動!デッキから【凍てつく呪いの神碑】を手札に加え、お前のデッキの上1枚を除外させてもらうぞ」
フィールドからカードに描かれている槍が見下のデッキの上を突き刺し、カードは墓地ではなく除外された為か粉々になって砕け散った。
その後、俺の背後にある神碑の泉の石像の目と水が光出し、神碑の泉の効果が発動した。
「この瞬間【神碑の泉】の効果発動!俺が【神碑】カードを発動した時、墓地の【神碑】速攻魔法カードを3枚までデッキの下に戻し、その分だけドローする。俺は3枚デッキに戻し、3枚ドロー!」
これが神碑の真髄、ドロー加速だ。神碑のカードを使い、墓地にカードがあればある程ドローをすることが可能だ。
しかも神碑の泉が存在する限り、俺は相手ターンに手札から神碑の速攻魔法が発動出来る。
つまり、セットしたカードが破壊されて発動出来ない事を防いでくれるという訳だ。使っているこっちが引きそうな程とんでもない効果だが、この際勝てるなら何だって良い。
「俺は【カガリ】を素材して【シズク】をリンク召喚し、カードを3枚伏せてターンエンドだ。そしてこのエンドフェイズ、【シズク】の効果で墓地にない閃刀魔法カードをデッキから手札に加える。俺は【閃刀術式ーアフターバーナー】を加える」
1ターン目終了
見下成金:LP8000
手札:5 墓地:0 除外:1 デッキ:34
□□□□□
□□□□□
② □
①□□□□□
③④⑤□□
桜雪花衣:LP8000
手札:5 墓地:31 除外:0 デッキ:20
①:神碑の泉
②:閃刀姫ーシズク
③④⑤:伏せカード
これが今俺が出来る盤面だ。幸い俺の手札には神碑カードがある。これを使って妨害が立てられる筈だ。
……だが、神碑にも弱点がある。
神碑速攻魔法の共通効果として、次のバトルフェイズを行えない制約がある。
この場合だと、次の俺のターンのバトルフェイズがスキップされ、攻撃は行えない。
デッキ破壊をコンセプトしている純正の神碑ならこの制約は何とも無いが、ラグナロクや攻撃力がアップするカガリに置いてこの制約は少しばかり歯がゆい感じがするが、仕方ない。
だが、シズクの効果で墓地の魔法カード数×100ポイント。今だったら3100ポイント攻撃力をダウンさせる。これで耐えれれば良いんだが……胸騒ぎが収まらない。
そんな胸騒ぎの中、見下のターンが始まろうとしていた。
「僕のターン、ドロー。ふっ、ならばこっちもフィールド魔法を発動するとしようか」
「……来る、気をつけろ。レイ」
「はい!」
「僕はフィールド魔法【
あちらもフィールド魔法を設置させると、見下の背後には煌びやかで華やかな街並みが並んだが、その影にはまるでスラム街の様な無惨な街並みが下敷きの様になっており、よく見るとその下敷きには微かに人型の様な物もあった。
「【
「あぁ、これが僕だけの力であり、相応しいカードだ」
「だったら粉砕してやる。俺は手札から速攻魔法【破壊の神碑】発動!お前のフィールド魔法を破壊し、その後お前はデッキの上4枚を除外して貰う!」
今度は上空から黄金の拳が見下が居る玉座に向かい、拳が天辺にある黄金の塔の様な物に触れると、フィールド魔法は爆散され、その衝撃で見下のデッキから4枚のカードが除外された。
「呆気ない最期だな」
「いいや?また作れば良いんだからな。僕は【
主義大罪-物心無しの奴隷
レベル1/サイキック族/ATK0/DEF500
見下が出てきたカードはその名の通り奴隷のような姿のモンスターだった。服は白い無地でボロボロになっており、細い手足には逃げられないように足枷がつけられている。
いや、それよりもその奴隷の姿は……子供だった。10歳……いや、6歳にも満たないであろう小さな子供を見た俺は思わず戦慄した。見てはいけない物を見ているような、まるでこの世の闇を見たかの様な、言い表せない気分の悪さが俺を襲った。
(なんだ……この感じ?俺はこの光景を知っている……?)
胸のざわめきが収まらない。なんなんだこの感じは?まるで他人の記憶を見ているような感じだ、この胸騒ぎがザワつく中、デュエルは続いて行った。
「まだだ。【物心無し】の効果発動。こいつが召喚された時、デッキからこいつよりレベルが上の【奴隷】と名の着くモンスターをデッキから特殊召喚出来る」
「悪いがそれをさせる訳には行かない。俺は【神碑の泉】の効果により、手札から速攻魔法【凍てつく呪いの神碑】を発動!お前の効果モンスターの効果を無効にし、デッキの上から3枚除外させて貰うぞ」
「ちっ……」
「更に【泉の神碑】の効果発動!墓地から3枚まで【神碑】カードをデッキの下に戻し、その分だけドロー!俺は3枚戻して3枚ドロー!」
「まぁ良い。だったら僕は手札【
主義大罪-奴隷商人
レベル5/悪魔族/ATK2000/1000
「奴隷の次はそれを売りさばく商人か……随分と悪趣味なデッキだな」
「悪趣味?これはただ身寄りの無い人に働きを与えているだけだぞ?まぁ、その後の処遇は買い手次第だかな。くくく……」
「お前は人を物扱いしているのを楽しんでいるつもりなのかっ!」
「僕にとって僕より下は全て物さ。これが力を持つ者の特権って奴だ。お前だって、そこにいる閃刀姫を使役して物の様に扱っているじゃないか」
「貴方と花衣さんを一緒にしないで下さい。私は自分の意思で花衣さんに尽くしているのです」
「それは最早道具じゃないか。自分の意思を捨て、愛する人の言葉のみを信じる。いやぁ良かったなぁ、自分に都合がいい道具が居て」
「レイを道具扱いするな。レイは人間だ。いや、レイだけじゃない。ロゼも、アザレアもカメリアも、そしてティアドロップ達も誰かの物じゃない」
「人間?……くっ、くふふ……あはは!本気で思っているのか!?モンスターをか!?これは傑作だな!」
「何がおかしい!」
見下が高らかに笑う姿に苛立ちが湧き上がり、笑い過ぎて涙目になっている見下はレイを嘲笑うように見ると、再度俺に哀れみの目を向けた。
その目には慈悲とかそんな善良な意思は無く、ただ道化を見るような嗤っている目だった。
「お前、閃刀姫の
「閃刀姫の……
「ああそうさ。後、代償についてもな?」
「っ……!」
代償の言葉に対してレイが少し動揺した。
閃刀姫の事については良くは知らないが、レイの様子からして何かただならぬ事というのは察せる。
「馬鹿にしやがって……お断りだそんな事っ!」
「ふふ、まぁいいさ。続けよう。僕は【主義大罪-奴隷商人】の効果発動。自分フィールドの【奴隷】モンスター一体を、相手フィールドに移す!」
「なっ……!」
しまった……!これでメインモンスターゾーンにモンスターが存在するため、俺が伏せている閃刀魔法カードを発動出来ない!
「更に僕はフィールド魔法【
「それ墓地にあるカードだぞ!?」
「あぁそうさ。このカードが墓地にあり、フィールドに【奴隷】と名のつくモンスターがいる時に発動するのさ。そのモンスターをリリースし、このカードをフィールドゾーンに戻るのさ。僕はお前の場にある【物心無し】をリリースし、再びフィールド魔法を発動!」
「くっ……折角破壊したのにまた来るのか」
その瞬間、リリースされた奴隷に黒い靄が溢れ、俺の体を貫いた。
貫かれた痛みはあるが、激痛と言うほどでもなかった。だが、貫かれた瞬間に頭の中に叫び声や憎悪にも似た声に溢れ出した。
お腹……空いた……よぉ
いやだ!痛い!!もう来ないでぇぇ!!
イヤァァァ!!来ないでっ!いやぁぁっ!!
もうヤダ……死にたい
ぼくたちがいきるいみってなに?
「あぁ……あああああああああああ!!!!!」
雪崩のように絶望や悲痛の叫び、そしてあらゆる苦痛の光景が俺の中に入り込み、俺の心を蝕んできた。
飢えていく子供達に、無理矢理痛めつけられ、心さえも蝕み、生きる希望さえ失っていく奴隷達の姿が目を閉じても頭の中に見せられて見てしまう。
叫ぶ女性、何も言えず倒れていく青年、そしてあまりの過酷な環境で自ら命を絶つ子供達。
吐き気がする。頭が痛い。だが、苦しさよりもこんな事になった張本人達の怒りが収まらないのと同時に、また俺の中の『何か』がドクンと跳ね上がった。
「かはっ……!ガッ……あァっ!」
痛み、苦しみ、悲しみ、絶望。負の感情が俺の中になだれ込み、頭の中がかき混ぜられている様な気分だ。
傍に来てくれたレイを俺はあまりの痛みで振り払ってしまい、この痛みを抑える様に暴れそうな体を押さえつける。
「ぐがっ……あっっ……!」
とにかく、少しづつだがさっきの衝撃……というより、思念が収まって来た。これならデュエルを続けても問題は無い。
「花衣さん……大丈夫……ですか?」
「はぁ……はぁ……あぁ、すまないレイ。大丈夫だ……」
それに、メインモンスターゾーンにまたモンスターがいなくなった為、伏せの閃刀カードが使える。これが救いだな……
「更に行くぞ。僕は魔法カード【主義大罪-広がりし繁栄】を発動。デッキからレベル5以上の【主義大罪】モンスターか、魔法・罠カードを1枚加える。僕はレベル7の【
レベル7/悪魔族/ATK2000/DEF2400
「【支配人】の効果発動!このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、デッキ・墓地から【奴隷】又は【隷属】モンスターを手札に加える」
「隷属……?」
「今回加えるのはこのレベル3の【主義大罪-妖精奴隷】だ。そして、場に【
主義大罪-妖精奴隷
レベル3/天使族/ATK0/DEF1300
今度はエルフ耳の奴隷がフィールドに現れ、隣にいる奴隷商人が首にかけてある首輪の紐をグイッと引っ張り、見世物の様に見せびらかしていた。
強引に引っ張ったせいかエルフ耳の奴隷は苦しそうな声を上げ、それを見下ろしているアイツは愉悦に浸った顔をして笑っていた。
「さて、こんなもので良いだろう。そして、貴様にはこの【主義大罪】の力を見せてやろう」
「……なに?」
「僕は魔法カード【強欲で貪欲な壺】発動!効果は知ってるな?自分のデッキの上10枚を裏側除外して2枚ドローするカードだ」
「それがどうした」
「ふっ……この瞬間、フィールド魔法【主義大罪-独裁】の効果発動!カードを発動する為に支払うコストを、相手が払う!」
「っ!?それってつまり……」
「そう!僕はお前のデッキの上10枚を除外して2枚ドローするっ!!」
見下のフィールドから闇のオーラが俺のデュエルディスクに触れ、俺のカード10枚を除外された。
「そして、フィールド魔法【独裁】の効果により、発動したカードと同じカードをデッキや手札、墓地から全て除外し、このカードはこのデュエルでは使えない。まぁ、このカードは1枚しか入れてないがな」
本来ノーリスクでドローするカードは、禁止カードの強欲な壺というカードしかなく、他は何かしらの効果を受けて複数枚ドローするカードが多数だ。
だがこのカードはやばい。本来受けるコストを相手に支払わせ、自分は2枚ドローする。まさに独裁だ。
「攻撃したい所だが、【シズク】の効果で攻撃力は下げられてる。僕はカードを2枚伏せてターンエンド」
2ターン目終了
見下成金:LP8000
手札:2 墓地:1 除外:9 デッキ:22
□□⑪⑩□
⑨⑧⑦□□ ⑥
② □
①□□□□□
③④⑤□□
桜雪花衣:LP8000
手札:6 墓地:30 除外:10 デッキ:10
①:神碑の泉
②:閃刀姫ーシズク
③④⑤:伏せカード
⑥:主義大罪-独裁
⑦:主義大罪-支配者(守備表示)
⑧:主義大罪-奴隷商人(守備表示)
⑨:主義大罪-妖精奴隷(守備表示)
⑩⑪:伏せカード
まずい……!さっきの10枚を除外でコッチのデッキもあと僅かだ。墓地と除外されたカードを確認してみると、ほとんどの閃刀カードが失われ、神碑カードの種類も少ない。これでは最大限の効果が発動出来ない……!
だが、幸いカイムとロゼは墓地に残っている。ラグナロクさえ出せばこの状況はマシになる筈だ。
「行くぞ、俺のターン!」
「永続罠発動!【
「なっ……!」
「更に、このカードが存在する限り、セットしたカードは自身の次のターンのエンドフェイズ時まで発動出来ない!」
あのカード……まるで魔封じの芳香じゃないか。俺のデッキはほとんどが魔法カードで構成されているデッキだ。あんなカードがあれば、俺のデッキは機能停止してしまう。
「ふふ、どうだ?懐かしい感じだろう?これでお前の魔法を封じた。お前のデッキは死んだんだよ」
「くっ……!」
「あはははは!!もがけ!足掻け!あはははは!!やっぱりこの力は良いなぁ!この支配こそが僕が求めた力だ!」
見下は勝ちを誇ったかのように高笑いし、その背後では黒いオーラが溢れており、最早アレを人と言うのは違っていた。
言うなればアレは人の形をした悪魔だ。あんな奴に負けてたまるか……!
_同時刻にて
「さぁ、このカードを手に取れば貴方の望んだ物が手に入ります」
「私が望んだ物……」
誰しも、望んだ物が手に入ると言われたら心が揺らぐものだ。
誰しも名前を知っているトバリもその1人だ。そんな彼女が今、ジェネリアから差し出された黒いオーラを纏ったカードに手を伸ばし、触れようとしていた。
だが彼女は既のところで手を止めた。
「ん?どうしたのですか?早く触れてください」
トバリは恐怖で震えていた。望みが叶う事よりも、今目の前にいるジェネリアや、それを持っているカードに本能で恐れていた。震えた手をもう片方の手で引き止め、トバリは片方の手を押さえつけた。
「何してるんですか?望み、あるんですよね?」
「っ……それは……」
「あるなら手に取って下さいよ。正直、周りの六花達の攻撃を受け切れるのはちょっとしんどいのですよ」
ジェネリアは表情を崩さず言ったが、それは事実だった。次々と迫り来る氷の弓矢や礫はジェネリアが覆っているバリアで防いでいたが、少しづつ、目には見えないほどの亀裂があった。そこを集中的に狙われれば、いくらバリアでも壊れるのは必須だ。
「何を躊躇っているのですか?もしかして、僕が怖いのですか?確かにこの状況なら恐怖もしますが、この闇さえあれば貴方の恐怖も無くなりますよ?」
「そ、それは……」
「そいつの言うことを聞くなっ……雀!!」
ジェネリアの攻撃によって壁際に吹き飛ばされた空が、雀に向かって声を上げていた。その声は弱々しく掠れており、立っているのもやっとという状態は火を見るより明らかだった。
それを見た焔は空を支え、空は雀に声をかけた。
「いつもお前……言ってるだろ!『我は己の力で道を切り開かん。誰の指図も受けず、我は我が道をゆく』って!」
「それ……私の配信の……何で?」
「だったらそれを……ぐっ……貫け!」
叫んだせいでとうとう空の体力は限界となり、最後まで言葉を言えずに膝を崩してしまった。
(あれ?何だろう、この感じ……どこかで)
こんな状況の最中、雀は脳裏にある出来事を思い浮かべていた。
幼い頃、彼女は虐められていたらしい。
彼女は1度だけ、黒い翼を持った天使を見た。幼い頃の彼女にとって、その姿は何よりも美しく感じたのだ。それ以降彼女はその姿を追い求めいたが、それが虐めの原因にもなった。
そんな事ある訳が無いと、考えが分からないと言われ、殴られ、蹴られ、次第にエスカレートしていく中、たった一人だけ、それを馬鹿にしない男がいた。
その男の姿を、今雀は脳裏に思い浮かべ、ある決意を抱いた。そしてその決意に応えるように雀の服のポケットにあったカードから黒い風が吹き荒れ、ジェネリアとそのバリアを吹き飛ばした。
「何っ!?」
予想外の出来事にジェネリアは初めて焦りの表情を浮かべ、雀が生み出した黒い風は当たりにある椅子や机を吹き飛ばし、更には黒い鎌鼬が生まれ、ジェネリアに襲いかかってきた。
「この力レゾンカードですか……!やはり厄介ですね」
目的を果たすのが不可能だと判断したジェネリアは黒い空間を生み出し、その中に入ってこの場を去ろうとした。
「一手遅かったと言うべきでしょうか。残念です」
「逃がしません!」
逃げるジェネリアにすかさずティアドロップ達は一斉にジェネリアは口を開けた。
「おっと、僕よりも花衣さんの方を心配した方が言いですよ?」
「何ですって……!?」
「今あの人は闇のデュエルをしていますよ。恐らくですが相当ピンチな筈です。早く行って助けてあげないと……死にますよ?」
「っっ……!」
ティアドロップ達は動きを止めたその瞬間、ジェネリアは無表情のまま空を見ていた。
「それと1つ。貴方の言う事は綺麗事すぎる。世の中には命さえ自分で望めずに掴めない人だっているんですよ……」
「なに……?」
ジェネリアは空に言い残すかのように消えていき、一先ずの脅威は去っていた。
だが、この一先ずの脅威はティアドロップ達に取っては火の粉当然だった。
「ねぇねぇ!早く花衣君の所に行こう!」
「えぇ。ですがあの方達の方も守らなければ……」
急かすプリムをヘレボラスが止め、ヘレボラスの言う通り、気絶しているアリアとソナタ、そして疲弊した空や雀の護衛も必要なのは違いなかった。
もしまたジェネリアが襲って来たら、それこそもうどうしようも無いのだから。
「では、最初に提示した通り私とヘレボラス、エリカで行きましょう。それ以外の方はここを頼みます」
「うん!気をつけてね、ヘレちゃん」
「花衣を頼むネ!エリカ」
ティアドロップの提案に全員納得し、急いでティアドロップ、ヘレボラスの3人は花衣の元へと走り去った。
あまりの衝撃的な出来事に焔は脱力してしまい、その場に座り込んでしまい、空を支えていた力も抜けて思わず空を下ろしてしまい、力が入らない空は思い切り地面に顔をぶつけた。
「いっった!お前……ちゃんと支えろ」
「あ、ああ悪ぃ。にしても……何なんだこれ、俺は夢でも見てんのか……?」
「夢……だったら良かったかもな」
「ね、ねぇ2人共。この部屋で救急セット合ったから、治療……しよう?」
救急セットを見つけたシクランが2人に駆け寄り、シクランはまず空の治療に当たった。幸い空に外傷は無く、雀も同様だった。
「怖かった……うぅ、何がどうなってるの……?」
「確かに……それに花衣もどうなっているのか」
「花衣君なら、きっとティアドロップさん達が何とかしてくれると思う……よ?だから、大丈夫」
「…………」
シクランはそう言うが、焔や空の心情は複雑だった。いきなり知らない奴に大丈夫と言われても、信じられる材料が無いからだ。しかも、焔に至ってはティアドロップに武器を向けられ、命に手を握られたのだ。信じきれない気持ちが少しだけ生まれるのは無理もなかった。
「……なぁ、空。俺さ」
「俺の事は大丈夫だ。行け」
焔が言う前に、空が何かを察したかのように話した。
「良いのかよ?」
「こいつらは信用出来る。あのティアドロップと言われた奴、お前の事を煽るように喋っていたような感じがした。恐らく、俺たちの事も知っているんだろう」
「はぁ?じゃあ何で俺に武器……と言うか氷の傘を首筋に触れたんだよ。まるであれ、研ぎ澄まされた真剣見たいな冷たさだったんだぞ」
「それは多分……本当の事なんだろうな。もしこれ以上踏み込んだから、命に関わる。その覚悟があるかどうか、今この場で決めさせたいんじゃないのか?」
「覚悟か……?」
焔は悩んだ。自分の命可愛さにこのまま貝のように閉じこもり、全てを忘れてしまうか。
それとも、友を助ける為にこの訳の分からない『何か』と向き合うか。
焔は目を閉じて考えた。いや、考えるまでも無かった。
ティアドロップに言われた時、焔の心情は怒りよりも、対抗心が燃えていた事を。あんな風に言われちゃ黙っちゃいられないのと、先程の空の行動を目の当たりにし、それが起爆剤となったのだ。
焔は笑い、空を見た。
「……うし、じゃあ行ってくるわ」
「死ぬなよ」
「今それ言われるとフラグしか聞こえねぇわ……でも、あんがとよ。危なくなったら俺でも逃げるさ」
もしかしたら最後かも知らない会話を終え、焔は空の顔を見収めるた瞬間、立ち上がってこの部屋から出た。
「へ?ほ、焔さん……?」
「あれ?焔がどこか行っちゃったアル!?」
「まさか花衣君の所に!?カンザシちゃんどうする?」
「……ストレナエ、止めてきなさい」
「りょうかーい!待て待て〜!!」
ストレナエは羽を広げて全速力で焔を追いかけた。
空を飛べるストレナエに対し、息を切らしながら走る焔とはまさにウサギとカメだった。ストレナエはあっさり焔を追い越すと、そのまま弱めの風花を出して焔を壁に吹き飛ばさせ、進行を止めた。
「ふぅ〜!危なかったー!もう、危ないから早く戻ろうよ!」
「んな事出来るかよ。早く花衣の所に行かねぇと」
「ダメ!私達が花衣君の事守るから大丈夫だよ!」
「ダチが危ない目に遭ってるのに黙って見ている訳には行かねぇだろ!」
「そんな危ない目に花衣君は焔君達を巻き込ませたく無いの!!」
ストレナエはまた風花を振りまき、また焔を吹き飛ばした。
「花衣君は焔君達が巻き込まないようにずっっっと1人で背負ってきたの!危ないから……もしかしたら死んじゃうかもしれないってずっと!だから分かってあげてよ。お願い」
ストレナエはまた強く風花を吹かせ、焔はもう立ち上がる事さえ難しかった。
(少しでも全身の力を抜けば奥の廊下まで吹き飛ばされそうだなおい……)
焔は地面にへばりつくように踏ん張り、何とか片膝を立つことに成功した。少しづつ、膝を擦りながらストレナエに向かっていった。
「むぅ〜!何で分からないの!?死んじゃうかもしれないんだよ!?」
「ここで逃げたら俺は死ぬより後悔するかもしれねぇからだ」
風花に立ち向かうように焔は立ち上がり、吹き荒れる風の中でストレナエと話し合う。
「ダチが苦しんでいる時に、俺が何も知らねぇ所で何も知らずにいるのが我慢ならねぇ!それに、あのティアドロップとか言うやつに散々言われたからな!そいつにも文句も言えてねぇしな!」
「ティアドロップも焔君の事も心配してわざと嫌な事を言ったんだよ!」
「へっ!それはお節介だバーカ!」
「ば、バカ!?むぅ、悪いこと言っちゃダメなんだよ!」
「うるせぇ!とにかくここで動かねぇと俺は俺自身許せねぇんだよ。それにさ、俺のここが何も知らずに終われば後悔するって燃えているんだよ」
焔は自分の胸をドンと叩き、湧き上がる炎の意志をストレナエにぶつけていて。だがそれでもストレナエは引き下がらなかった。
花衣の為に、それだけの純粋な気持ちを乗せて、更に風を吹かせる。
「……きっと、花衣君は残念がるよ」
「へっ、俺は俺のやりたい事をするさ。たとえ『傲慢』だって言われても、俺はアイツのダチだからよ。……俺もさ、支えてやりてたいんだよ」
その瞬間、焔の胸の内の炎が強く燃え、やがてそれは体から焔の右手へと移り、炎は刀の型となって焔の手へと現れた。
「ほ、炎の刀?」
「空も雀の為に勇気振り絞ったんだ。俺も全身が燃えたぎるまでやってやるらなきゃかっこ悪いってもんだ!」
風花に抗い、焔はありったけの力を込めて炎の刀を振り下ろした。振り下ろされた刀は紅蓮の斬撃へと変わり、風花で消えること無く、むしろ風を飲み込むかのように激しく燃え盛った。
「あっつ!!熱ッ!なんじゃこりゃあ!?いきなり刀出てきたら思い切り振ったらやべーのが出来たぞ!火!消えろー!」
消えろと念じて焔が刀をぐるりと振り回すと、火はまるで焔の言う事に従うかのように鎮火していき、火事になる事は無かった。
2人とも安堵の息を漏らし、安心したせいでその場で尻餅を着いてしまっていた。
一呼吸置いた焔が先に立ち上がり、早速花衣の所に向かおうとするとストレナエはすれ違いざまに体全体を使って焔の右足にしがみついた。
「な、おい!離せよ!」
「いーやーだー!絶対に離さないー!」
モンスターとは言え、流石に幼い少女を引きずり回る事は良心に痛むのか、焔はしがみつくストレナエを何とかして振りほどこうにも、ストレナエはてこでも動かなった。
「私、花衣君の事が大好き!だから花衣君が思っている事や願っている事は全部叶えてあげたいの!」
必死な想いをぶつけられた焔は、その純粋さに呆然としていた。
「そこまであいつの事好きなのか?」
「うん!誰にも負けないぐらい!」
「……そっか。でもな、俺もアイツのことほっとけないんだよ。初めて会った時、なんかぼけ〜ってしてて、目を離したら自殺するんじゃ無いかってな」
「えぇ!?」
「それぐらいあいつ暗かったんだよ。だからさ、ほっとけないつーかなんと言うか……まぁ、色々あったんだよ」
「へぇ〜、なんか今の花衣君を見たら全然思いつかないね」
「まぁな。本当、あいつはこの1年で変わった。でもな、変わってないところもあるんだ。それがほっとけない所だ。アイツがこんなの事を抱え込んでいるのなら、俺はそれをその抱え込んでる重りをバッサリ切ってやるぜ」
「どうやって?」
「…………これから考える!」
あまりの無鉄砲な考えにストレナエは目を丸くした。
「えぇ〜なーんか心配〜!」
「まぁでも、話せば何とかなるもんだぜ?俺もそれで花衣とダチになったからな!」
「でも、ここは通さないよ!カンザシから言われたもん!」
「それならばもう良いですよ、ストレナエ」
コツコツと下駄と地面がぶつかる音を鳴らしながらカンザシがこの場に現れ、焔の足にしがみついていたストレナエをそっと叩き抱えた。
これで焔は自由に動け、今すぐにでも花衣の所に迎えるが、焔は突然来たカンザシを気にしていた。
「……良いのかよ」
「えぇ。ここまで来たら、貴方には命を賭ける覚悟があると見たので。ですが、最後の引き際と言うものを準備させて下さい」
するとカンザシは焔が1歩前に出たら越えられそうな氷の線を地面に引き、焔に最後のチャンスを与えた。
「焔さん。今ならまだ引き返せます。これから先、旦那様の問題を共に背負うというものなら、それ相応の覚悟を決めて貰います。ティアドロップも言っていましたが、貴方は私達のように他人の為に命を差し出せますか?」
最後の瀬戸際、焔は行こうとしていた歩みを少し止めた。確かに焔は直接的に花衣が抱えていた問題に触れてはいない。
このまま引き下がり、全てを忘れれば命を落とすこと無くいつも通りの日常を過ごす事が出来るだろう。
「一応言っておきますが、私達は旦那様……花衣さんの為に行動します。貴方がもし旦那様を裏切ったりでもすれば、問答無用で貴方を亡き者にします」
「おいおいそれは……って、マジそうだな」
カンザシの目が殺気に満ちており、本気で焔の命を落とす事に抵抗は無かった。焔はビリビリとその殺気に気圧された。
今すぐにでも逃げ出したい気持ちもあったが、そんなものは心の炎で燃やし、一瞬でも怯えた自分を許さなかった焔は自分の拳を胸にぶつけた。
「俺は……それでもダチを見捨てねぇよ」
焔は振り返り、氷の線を飛び越えた。
それを見たカンザシは何も言わず、焔を見送った。
「ねぇねぇカンザシ、焔君が裏切ったら……本当にするの?」
「まさか。旦那様のお友達なのですからそこまではしません。ただ……」
カンザシは氷の扇を遠くなっていく焔に向け、先程と同じ目を向けた。
「あの方が相対するというのなら、私は旦那様の味方です。例え誰が相手でも……」
カンザシはゆっくりと氷の扇を粉々にさせ、その破片を踏んで消した。
【主義大罪-物心無しの奴隷】
レベル1/サイキック族/光属性/ATK0/DEF500
このカード名の①の効果は1ターンに1度しか使えない。
①:このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、デッキからこのカードのレベルより上の【奴隷】となのつくモンスターを一体特殊召喚出来る。
②:このカードがフィールドから離れた場合発動する。このカードがフィールドから離れた直前のコントローラーはこのモンスターの守備力分のダメージを受ける。
③:このカードは融合・S・X・Lの素材には出来ず、アドバンス召喚、儀式召喚の為のリリースは出来ない。
【主義大罪-妖精奴隷】
レベル3/天使族/光属性/ATK0/DEF1300
①:自分フィールド上の【主義大罪】カードが場から離れる場合、代わりにこのモンスターをリリースする。
②:このカードがフィールドから離れた場合発動する。このカードがフィールドから離れた直前のコントローラーはこのモンスターの守備力分のダメージを受け、元々のコントローラーのライフを500回復する。
③:このカードは融合・S・X・Lの素材には出来ず、アドバンス召喚、儀式召喚の為のリリースは出来ない。
【主義大罪-奴隷商人】
レベル5/悪魔族/闇属性/ATK2000/1000
このカード名の①②③はそれぞれ1ターンに1度しか使えない。
①自分フィールドに【奴隷】モンスターが存在する時、このカードは手札から特殊召喚出来る。
②1ターンに1度、自分フィールドの【奴隷】モンスターを対象にする。対象のモンスターを相手フィールドに置く。この効果を使用したターン、自分はエクストラデッキからモンスターを特殊召喚出来ない。
③:【奴隷】モンスターに加わった場合発動できる。そのカードを特殊召喚する。
主義大罪-支配人
レベル7/悪魔族/闇属性/ATK2000/DEF2400
①:このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合発動出来る。自分の手札・墓地から【奴隷】または【隷属】モンスターを1枚手札に加える。
②:1ターンに1度、自分フィールドの【奴隷】または【隷属】モンスターが相手の効果によってフィールドから離れた場合発動出来る。そのモンスターを相手フィールド上に特殊召喚する。
主義大罪-広がりし繁栄 通常魔法
このカード名は1ターンに1度しか発動出来ない。
①:デッキからレベル5以上の【主義大罪】カードを手札に加える。自分フィールドに【主義大罪】フィールド魔法が存在する場合、手札に加えたモンスターを手札に加えず、特殊召喚する。
【主義大罪-独裁】フィールド魔法
・このカードがフィールドから離れた場合、自分フィールドのカードを全て破壊する。
①:1ターンに1度、効果を発動するための条件を相手が代わりに受けて発動する事が出来る。
②:①の効果を使用してカードを発動した場合、発動したカードと同名カードをデッキ、墓地、手札から全て裏側除外しなければならない。その後そのカードはこのデュエルで使用できない。
③:【主義大罪】と名のつくカードで①の効果を発動した場合、②の効果を発動しなくて良い。
③:このカードが表側で存在する限り、【奴隷】モンスターによる効果ダメージは相手が受ける。
④:このカードが墓地に存在する時、自分フィールドの【奴隷】または【隷属】モンスターをリリースして発動する。このカードをフィールドゾーンにセットする。
主義大罪-圧制(永続罠)
・このカードが存在する限り、セットされたカードはその次の自分のターンまで発動出来ない。
①:自分フィールド上にフィールド魔法が存在し、自分スタンバイフェイズ時に500ライフを払って発動出来る。
このカードが表側で存在する限り、お互いはフィールドからしか魔法・罠カードを発動出来ず、効果は無効になる。
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