この力は誰かの為に・・・   作:とあるP

25 / 36
とあるPです。

今回も3部作になります。タッグマッチトーナメント以来の3部作です。

それでは、本編どうぞ!!


第二十四話 臨海学校2日目(中編)

次の日。今日は1日使ってISの実習がある。専用機持ちは、本国から送られてきたパッケージをインストールする作業がある。

 

一般生徒はISに触れるまたとないチャンスで、整備課志望の子達は操縦者志望の子達のISを整備できる。逆に操縦者志望の子達はこの機会に、IS完熟訓練を受けることが出来る。

 

そんな中、箒と静寐はなぜか専用機持ちのグループへ案内された。そこには、一夏、信二、セシリア、鈴、シャルロット、ラウラ、ロラン、ヴィシュヌがいた。

 

千冬「全員揃ったな」

 

静寐「あの~織斑先生」

 

千冬「何だ」

 

箒「私達は、専用機を持っていませんが」

 

千冬「その事なのだが実は「ちーーーーちゃーーーーんーーーー!」うん…」

 

箒「すみません…」

 

千冬と箒が頭を抱えていると、束(元凶)が笑顔で走って来た。そして、ハグをしようとした時に、千冬の右手イアンクローによって止められた。

 

束「さぁハグハグしよう!愛を確かめ合うよ!」

 

千冬「束いい加減にしろ!」

 

そして、万力のごとく束の頭を締め上げる。ギギギ…と人間が上げてはいけない音が響くのであった。

 

束「あ、ちょっと待って!割れる!頭が割れる!!」

 

千冬「良い事だ!これで、両方の脳で考えられるぞ」

 

束「ああああああああ!」

 

信二「ちょっと!織斑先生、ダメですよ」

 

千冬「むぅ…そうか」

 

そう言って、千冬は束を解放した。解放された束は、信二の背中に隠れて、千冬を馬鹿にし始めた。

 

束「シンちゃんありがとう///」

 

信二「わ、ちょっと束さん!抱き着かないでください」

 

束「いいじゃん!私とシンちゃんの仲なんだからさぁ」

 

信二「それでもです!」

 

箒「姉さん!いい加減話してくれないか」

 

束「わかったよ。さぁ!大空をご覧あれ!」

 

その時空から、銀色のコンテナが2つ落ちてきた。そして、中から赤いISとヤークトティーガーに似た茶色のISが鎮座していた。

 

束「最高性能にして規格外!そして、最新にして最強のIS。その名も【紅椿】」

 

箒「紅椿…」

 

真っ赤なフォルムにシャープな出で立ち。いかにも高機動に特化している機体であり背中の翼部分から赤いリフレクターが目立つ。そして、両方にある2本の刀が印象的だった。

 

束「そして、シズシズの専用機!各部の装甲を強化した【Ⅳ号戦車H型】だよ♪」

 

静寐「これが、私のIS」

 

対してもう一機のISは全体を装甲に覆われた防御特化のISだった。信二同様背中にレールカノンを装備しているが、少々小ぶりであった。

 

束「どう?気にいってくれた?」

 

静寐・箒「はい」

 

束「じゃあ、今から最適化(フィッティング)とかしちゃうから待っていてね」

 

そう言って、それぞれのISにコードを刺して2つのキーボードと4枚の空間パネルを見ながら、物凄い早くタイピングをしている。どうやら、最適化(フィッティング)を同時に、かつ高速で行っているようだ。

 

束「箒ちゃんのデータは予め入力していたから、誤差修正するくらいだね。あれ?またおっぱいが大きくなってる!」

 

箒「姉さん!余計なこと言わなくていいから!」

 

束「アハハ!ごめんごめん」

 

そう言って、一瞬信二の方を見た。信二は赤くなり、顔をそむけてしまった。箒は心の中で(恥ずかしい///)と思っていた。

 

一方で静寐は一からデータを作成しなければならない。時間がかかるかと思っていたが、束にかかれば、ものの30分で静寐の基本的なデータは作成した。

あとは、これをⅣ号戦車H型に取り込んで行けばいいと思っていたが、ある生徒が発した一言でこの場が荒れた。

 

「でも、これって篠ノ之さんが血縁関係だから、貰えたんだよね…」

 

「いいよね~開発者の妹さんだと」

 

「はぁ~何だったのかな。今までの時間は…」

 

箒「っ!」

 

マズイ!今の発言だと、妹贔屓で貰えたことになっている。ここは、フォローしておかないといけないと思っていた。

 

信二「確かにそれもあるね」

 

箒「信二!」

 

信二「けど、それ以上に箒は陰ながら努力したんだ。自分だけ専用機がない事を一度も周りに言わず!君たちは、箒と同じくらい努力したかい?血反吐を吐くような努力はしたかい?努力せずに専用機が欲しいなんてお門違いだ」

 

「けど、それなら貴方は努力して手に入れたの?篠ノ之さん程の努力はしたの?」

 

信二「確かに僕は、箒以上に努力したとは言えない」

 

「じゃあ!「だけどね…」」

 

信二「僕には夢があった。空に宇宙に行きたいと言う夢が。そして、ISと出会い、束さんと出会い、IS学園に来て皆と出会い、専用機ヤークトティーガーと出会い、専用機の意味を知った。アメリカの映画でこんな言葉がある「大いなる力には大いなる責任が伴う」ってね。

そこからは、血反吐を吐くくらい努力をした。毎日毎朝トレーニングをして、早く他の専用機たちに追いつきたい一心でね。それに…」

 

一度言葉を切ると、箒、静寐、セシリア、シャルロット、ロランを見た。

 

信二「それに、守りたい人が出来た。だから、箒を馬鹿にするならこの僕が相手になる!」

 

そう言って、【ヤークトティーガー】を展開し箒の前と女子生徒との間に立った。それを見た箒は(ありがとう信二)と思っていた。

 

「ふ、フンちょっと気取っちゃって」

 

信二「ごめんよ。けど、君も努力すれば、いつか報われる。そう信じているよ」

 

「フン///行くわよ」

 

「あ、ちょっと待って梨花」

 

「待って~」

 

あれほど騒いでいた女子生徒は遠巻きを連れて旅館の方に逃げて行った。

 

束「ありがとうねシンちゃん」

 

信二「大丈夫ですよ。それと、すみませんでした。箒を馬鹿にするような発言をしてしまって」

 

束「ううん。さっきのゴミに比べれば些細な事だよ」

 

信二「束さん…」

 

千冬「オッホン!それで鷹月の方はどうなっている?」

 

束「もう終わってるよ~」

 

そう言って、コードを抜いて静寐と箒の2人はその場で起動と試運転を兼ねて上空に飛びたった。

 

束「それじゃあ箒ちゃんの方から説明するね」

 

箒「お願いします」

 

束「うん!先ずは、右側に付いている日本刀型ブレードのが雨月(あまづき)って言って、打突に合わせてエネルギー刃を放出するよ。射程はアサルトライフル程だよ。じゃあこれを撃ち落としてみて~」

 

そう言って、何処からともなくミサイルランチャーを展開させて、箒めがけて発射した。箒は追尾性の高いミサイルをかわしながら雨月を突き出した。

 

箒「はぁ!」

 

その時、巨大なエネルギー刃が飛び出しミサイルを木端微塵にした。

 

束「うんうん!いい感じだね!じゃあ今度は左側に付いているもう一本のブレードは空裂(からわれ)だよ。対集団仕様の武器で、斬撃に合わせて帯状のエネルギーを放って、振った範囲に自動展開するよ。じゃあもう一回いくよ~」

 

また、同じ様にミサイルが発射された。しかし、空裂を振るうと帯状のエネルギー刃が飛び出し、箒に向かってきた、ミサイル群を一掃した。

 

箒「出来る!この紅椿があれば!」

 

箒は喜んでいたが、信二は逆にそれを危惧していた。今の箒は新しいおもちゃを貰って浮かれている子供と同じ状態である。奢れることなく冷静になれるのであろうか不安になっていた。

 

束「それじゃあ次にシズシズだね」

 

静寐「はい!よろしくお願いします」

 

束「そんなに緊張しなくてもいいよ」

 

静寐「えっと、どうすればいいんですかね」

 

束「先ずⅣ号戦車H型の兵装だけど、シンちゃんと同じで戦車のⅣ号戦車を基に作ってるから、背中に搭載されているレールカノンは75mm KwK40 L/48で主砲弾:87発だよ。副砲として7.92mm MG34を2門、5 cm KwK L/60を2門搭載しているよ。但しその分速力が落ちちゃうけど、シンちゃんと大差ないから安心してね」

 

静寐「わかりました!」

 

そう言って、束は遠距離に的を出現させて静寐に砲撃するように指示した。

 

束「それじゃあ、あの的を狙ってみようね。大丈夫、射撃補正や反動補正はISがやってくれるからね」

 

静寐「わかりました!」

 

そう言って、的から数百メートル離れた位置に固定し砲撃を開始した。

 

静寐「目標物確認!徹甲榴弾装填完了!ファイヤー!」

 

 

『ドゴーン!』

 

 

「キャ!」

 

レールカノンからの砲撃により徹甲榴弾は勢い良く飛び出した。そして、見事に目標物を破壊した。その時、発生した爆音により他の生徒達は少し驚いていた。

 

静寐「凄い…」

 

束「気に入ってくれた?」

 

静寐「はい!私頑張りますね!」

 

束「うんうん!」

 

こうして、箒と静寐のIS慣熟訓練は終わりを告げた。その時、旅館の方から真耶が走って来た。

 

真耶「織斑先生~大変です!」

 

千冬「どうした?」

 

真耶「これをどうぞ」

 

千冬「特殊任務レベルAか…」

 

真耶から受け取ったタブレット端末を見て千冬の目付きが変わった。

 

千冬「訓練は中止する!一般生徒はISを片付けた後に自室で待機!一歩も外に出ることは許さん!もし破った場合、それ相応のカリキュラムを受けてもらうぞ。専用機組はこっちだ」

 

真耶「鷹月さんと篠ノ之さんもこちらに来てください」

 

静寐・箒『はい!』

 

そう言って、旅館に戻って行った。信二達専用機組+束も部屋に集合した。そして、千冬から概要が説明された。

 

千冬「全員いるな。それでは説明する。今から4時間前アメリカ・イスラエルで共同開発された軍用IS【シルバリオ・ゴスペル】通称「福音」とする。その福音が制御訓練中に暴走した」

 

ロラン「それと、今回の招集に何か意味があるのでしょうか?」

 

千冬「そうだ。その福音が今から2時間後、ここから2㎞先の沖合を通過する。そして、IS学園から連絡が入り…この問題は専用機組で行うことになった」

 

 

『…』

 

 

皆事の重大さに気づいて何も言えなかった。ただ一人を除いて…

 

一夏「なぁ信二。軍用ISってなんだ?」

 

信二「一夏…」

 

一夏「な、なんだよ!」

 

鈴「はぁ~アンタバカなの?いい!私達は競技用に改造されているから威力もダメージもそんなにない。けど、軍用ISはそれを遥かに上回る威力と速力もあるの!

ましてやアメリカとイスラエルなら、それなりの装備をしているでしょうね」

 

一夏「…マジかよ」

 

信二「これで事の重大さがわかった?」

 

一夏「なんとなく…」

 

信二「はぁ…」

 

とりあえず、一夏には説明したけど納得出来ない部分があり、信二は千冬と真耶に問い詰めた。

 

信二「織斑先生。貴方方教師陣はどうなさるおつもりですか?」

 

千冬「その…」

 

信二「ハッキリと申し上げてください」

 

千冬「…う、うむ」

 

静寐「珍しい。信二君が怒っている」

 

ロラン「そうなのかい?」

 

静寐「うん。ああなった信二君はとことん追求してくるよ」

 

千冬「我々は海上封鎖と旅館の防衛にあたる。すまない…」

 

信二「…分かりました。それを聞いて安心しました」

 

千冬「安心した?」

 

信二「僕が、いえ僕達が全力で止めることが出来るからです」

 

そう言って、みんなを見た。皆既に覚悟を決めており、やる気があった。

 

千冬「それでは本題に戻るぞ」

 

セシリア「織斑先生、相手の詳細なスペックを教えてください」

 

千冬「いいだろう。しかし、情報漏洩には気を付けろ。もし漏洩した場合、皆には2年間の監視と査問委員会への招集がかかることになる」

 

セシリア「構いません。お願いします」

 

千冬「わかった。山田先生お願いします」

 

真耶「はい」

 

そう言って、真耶は卓上の空間ホログラムに福音のスペックを映し出した。

 

シャルロット「広域殲滅を目的とした特殊射撃型で、オールレンジ攻撃を行える、攻撃と機動の両方に特化した機体か。中々に厄介だね」

 

ロラン「それに、最高速度は時速2450kmを超える飛行が可能か…私のシード・ショットを使ってもすぐに弾き飛ばされるね」

 

真耶「兵装に関しては、以下の通りです」

 

ヴィシュヌ「銀の鐘(シルバー・ベル)。大型スラスターと広域射撃武器を融合させた新型システムで36の砲口をもつウィングスラスターですか」

 

信二「僕はこのエネルギー翼が気になるね。まだ情報が開示されていないから対処のしようがない」

 

千冬「そうだ、だから今回はアウトレンジ攻撃ではなく、一撃離脱の戦法にする」

 

ラウラ「そうなると」

 

皆一斉に一夏の方を見た。一夏は突然見られて焦っていた。

 

一夏「お、俺か!?」

 

鈴「そうよ。アンタの零落白夜で倒すしかないのよ」

 

千冬「織斑。これは、強制ではない。もし辞退するのであれば先に行ってくれ」

 

信二「一夏。この作戦には君の力が必要なんだ。織斑先生が言ったように強制ではないよ」

 

一夏「俺は、まだ分からない。けど、皆が必要と思っているのであれば俺は全力で戦う!」

 

千冬「分かった。それでは作戦の指揮はボーデヴィッヒに任せる」

 

ラウラ「は!」

 

そう言って、ラウラは福音捕縛作戦の概要を説明し始めた。

 

ラウラ「では、作戦について説明する。先ず、私とセシリア、兄上、鷹月で遠距離攻撃を仕掛ける。それと同時に鈴とシャルロットで福音をかく乱する。そして、ヴィシュヌ、ロラン、箒で注意を引き付け、最後に嫁で目標ISに零落白夜を行い福音を捕獲する。以上が大まかな内容だ。問題は…」

 

鈴「どうやって福音まで一夏を連れて行くかね…」

 

???「ハイハイ!いい案があるよ!」

 

そう言って、天井の一角を取り外し部屋に入って来たのは、大天災束である。

 

千冬「山田先生、こいつを引っ張り出してください」

 

真耶「は、はい!」

 

束「そんな事言わないでよちーちゃん」

 

千冬「ちーちゃん言うな!それで、いい案があるのか?」

 

束「モチノロンだよ!ここは、断然紅椿の出番だよ」

 

千冬「なに?」

 

束「だって、紅椿にはパッケージ換装を必要としない万能機が付いてるんだもん。それに、自動支援装備と展開装甲を持って高速機動もこなす優れものさぁ~更に攻撃・防御・機動の全てに切り替えて、即時対応できる即時万能対応機(リアルタイム・マルチロール・アクトレス)がいっくんと箒ちゃんをサポートするからね」

 

千冬「束!また余計なことをペラペラと!」

 

束「アイアンクローはやめて!」

 

千冬「仕方ない。先程の作戦を修正する。福音には、織斑・篠ノ之両名が当たれ。それ以外は先程と同様だ。作戦決行は今から2時間後では、解散!」

 

 

『了解!』

 

 

それぞれが準備している中信二は、箒を呼び出した。

 

信二「箒ちょっといいかな?」

 

箒「ああ、いいぞ」

 

信二「箒、今回の作戦だけど決して無理はしないでくれ」

 

箒「どうしてだ?」

 

信二「箒は今浮かれている。専用機を持ったことで慢心している部分がある。だから、落ち着いて対処するんだよ。いいね?」

 

箒「なんだ、その事か。大丈夫だ。私はいつも通りだ!」

 

信二「だといいけど…」

 

箒「では、行ってくる!」

 

信二「ああ…」

 

その言葉を言ったきり、箒は準備に向かうのであった。それが最後の言葉となる事も知らずに…

 

そして、2時間後。皆の準備が終わっていよいよ作戦が開始する時に、信二へ千冬から個人秘匿回線(プライベートチャンネル)があった。

 

千冬『新田。織斑と篠ノ之こと頼むぞ』

 

信二『了解です。先生方も海上封鎖お願いします』

 

千冬『ああ、本来であれば我々教師陣が対応すること事になるのだがな…すまない』

 

信二『謝らないでください。もう過ぎた事です』

 

千冬『大人な対応だな。見習いとな』

 

信二『アハハ…』

 

千冬『…それと箒の事だが、少し浮かれている。嫌な事が起きなければいいが』

 

信二『それは、僕も同じです』

 

千冬『何かあったら直ぐに連絡するんだぞ』

 

信二『はい!』

 

千冬『ではまた連絡する』

 

そう言って、千冬は個人秘匿回線(プライベートチャンネル)を終了した。今度は真耶からも個人秘匿回線(プライベートチャンネル)がかかって来た。

 

真耶『新田君…』

 

信二『どうしましたか山田先生』

 

真耶『あの…』

 

信二『はい?』

 

真耶『あの、無茶しないでくださいね』

 

信二『それは、出来かねます』

 

真耶『え!』

 

信二『これから向かうところは、言わば戦場です。いつなんどき福音からの襲撃があるか分かりません』

 

真耶『…』

 

信二『なら、先生は無事で帰ることを祈っていてください』

 

真耶『はい…』

 

信二『それじゃあ、行ってきます』

 

真耶『待って!』

 

信二『はい?』

 

真耶『もし、もし、無事で帰ってきたら話したいことがあります』

 

信二『…わかりました。なら、今度こそ行ってきます!』

 

真耶『はい、いってらっしゃい』

 

そう言って、真耶との個人秘匿回線(プライベートチャンネル)も終えた信二達はそれぞれの位置に着くのであった。

 

箒「それじゃあ一夏行くぞ」

 

一夏「ああ、箒頼む」

 

箒「うむ!大船に乗ったつもりでいてくれ」

 

一夏「分かった」

 

信二「僕達も行こう」

 

 

『ええ、(はい・うむ)』

 

 

シャルロット「じゃあいくよ」

 

 

『はい』

 

 

それぞれの想いをのせて、少年・少女達は飛び出した。その背中を千冬は静かに見守っていた。

 

千冬「さて、我々は我々に出来る仕事をしましょう」

 

真耶と他の先生『はい!』

 

千冬(頼んだぞ、一夏・信二!)

 

 

 

 

 

~~信二・静寐・セシリア・ラウラ~~

 

遠距離攻撃部隊は後詰めとして、海上から4㎞沖合上空に待機していた。既にシャルロット達中備えは近くの小島に待機しており、間もなく一夏・箒も到着する。

そんな中、実践経験がない静寐は幾分緊張していた。

 

信二「静寐大丈夫?」

 

静寐「え!だ、大丈夫だよ」

 

セシリア「無理しないでください。手が震えていますわよ」

 

静寐「ほ、ホントに?」

 

見てみると、真冬でもないのに静寐の手はガチガチに震えていた。

 

静寐「あれ、どうしてかな…震えが止まらないや…」

 

ラウラ「無理をするな。怖いのであれば戻っても良いんだぞ」

 

信二「そんな事言わないでよ。ラウラ」

 

ラウラ「しかし…」

 

そんな中、信二は静かに静寐の手を握った。

 

静寐「し、信二君!」

 

セシリア「まぁ!」

 

信二「静寐。もし、怖いなら言って欲しい。これからやる事は一歩間違えれば命に関わることになる。それでもやる覚悟はあるかい?」

 

静寐「私は…」

 

信二「僕は、その覚悟は当の昔に決めていた。専用機を貰った時からね」

 

静寐「私は、やる!信二君と一緒にどこまでも付いて行くって決めたんだ!」

 

信二「そっか。分かったなら、僕も新たに覚悟を決めるよ。みんなを守る覚悟を」

 

セシリア「わたくしは元より、信二様と共に歩む覚悟を決めておりますけどね」

 

信二「ありがとう。セシリア」

 

ラウラ「おしゃべりはその辺にしてくれ兄上。そろそろ時間だ」

 

信二「了解!それじゃあ行くよ」

 

約束の時間になり、福音が4人の肉眼に映った。それを見て4人は攻撃態勢に移るのであった。

 

ラウラ「目標を肉眼で確認!距離8㎞!」

 

セシリア「大気状態。問題ありませんわ!」

 

静寐「風、北北西2km」

 

信二「こちら信二。シャルロット、行くよ!」

 

シャルロット『OK!任せて!』

 

ラウラ「シュバルツァー・レーゲン!大型レールカノン目標固定!」

 

セシリア「ブルー・ティアーズ!スターライトmkⅢ!目標固定!」

 

静寐「Ⅳ号戦車 徹甲榴弾装填完了!」

 

信二「ヤークトティーガー 三式弾装填完了!」

 

 

『ファイヤー!!!!』

 

 

それぞれの攻撃が発射された、爆炎が福音を包んだ。

 

 

 

~~シャルロット・鈴・ロラン・ヴィシュヌ~~

 

 

『ドゴーーーーン』

 

4人の砲撃が福音に直撃し爆炎が広がっていった。それを小島から覗いていたのは、シャルロット・鈴・ロラン・ヴィシュヌだった。

 

シャルロット「うひゃ~凄い砲撃」

 

鈴「あれ、まともに食らいたくないわね」

 

ロラン「確かにそうだな」

 

ヴィシュヌ「お喋りはそこまでです。来ます!」

 

そう言って、4人は散開した。次の瞬間、4人がいた場所に大量のエネルギー弾が撃ち込まれた。

 

ロラン「あれがシルバー・ベル(銀の鐘)の威力か…」

 

鈴「なに?怖気付いたの?」

 

ロラン「全然、寧ろ楽しみだよ」

 

鈴「流石は、オランダ代表候補生ね」

 

ヴィシュヌ「お喋りする暇があるのなら参加してください!」

 

ヴィシュヌはヨガで鍛えたしなやかな脚線美と「肉体凶器」の異名をもつムエタイチャンプの母親から格闘技の指導を受けており、福音との戦闘でも蹴り技を主体としていた。

 

その一撃一撃は重く、福音の防戦一方だった。そこに、ロランのシード・ショットが左腕に決まり、爆散した。鈴も双天牙月を振るい応戦してた。途中、シャルロットの~ヴェント(五五口径アサルトライフル)ガルム(六一口径アサルトカノン)レイン・オブ・サタディ(六二口径連装ショットガン)も加わった。

 

鈴「はぁーーーー!」

 

ヴィシュヌ「フン!、ハァ!」

 

シャルロット「やぁーー!」

 

ロラン「私を忘れては困る!」

 

 

『LaLa!』

 

 

しかし、福音もバカではなかった。即座に、鈴達の攻撃パターンを分析し回避運動を行った。それにより先程までの劣勢が噓の様に無くなり、鈴達の攻撃が当たらなくなった。

 

鈴「チッちょこまかと、しつこいわね!一夏達はまだ来ないの!?」

 

シャルロット「落ち着いて鈴。箒達ならあと3分で到着予定だから」

 

ロラン「それにしてもこの動き。本当に有人機なのか」

 

ヴィシュヌ「織斑先生からの話しだと、パイロットを乗せたまま暴走モードに移行したと言っているわ」

 

鈴「それじゃあ、一夏の零落白夜だとマズイわね…」

 

シャルロット「そんなこと言っている暇ないよ!避けて!」

 

そしてまた、シルバー・ベル(銀の鐘)が放たれて皆バラバラになっていた。そこを福音は持ち前のスラスターで一気に肉薄し4人に攻撃して行った。

 

鈴「ぐぁ!」

 

シャルロット「きゃあ!」

 

ロラン「くっ!」

 

ヴィシュヌ「チィ!」

 

一撃でSEが2割持っていかれるくらいの攻撃をし、なおも追撃をしてくる福音。そして、鈴の足を捉えた。

 

鈴「ちょっと放しなさいよ!え!」

 

徐々にシルバー・ベル(銀の鐘)の発射体制が整えてもうダメと鈴が思った瞬間、一夏達が到着し、零落白夜で切り付けようとした。

 

 

一夏「やめろーーーー!」

 

 

 

~~一夏・箒~~

 

『ドゴーーーーン』

 

信二達の砲撃音から10分後、箒は一夏を乗せて高速移動をしていた。これにより一夏はエネルギーを消費することなく、福音に近づくことが出来る。

 

一夏「始まった!」

 

箒「落ち着け一夏。今のは信二達の砲撃だ。これから鈴達が仕掛ける。その後に、零落白夜で落とせばいいんだ」

 

一夏「でもよ、もし失敗したらどうする?」

 

箒「なに、その時は私が全力でお前を守る」

 

一夏「そうだったな」

 

箒「ん?来るぞ!」

 

一夏「おわ!」

 

突然目の前からシルバー・ベル(銀の鐘)が飛んできて箒は回避運動を行った。そして、鈴達が交戦しているのが見えてきた。

 

一夏「鈴!」

 

箒「飛ばすぞ!」

 

鈴達は懸命に戦うも既に攻撃パターンを読まれていて、回避されていた。また、福音も徐々だが攻撃が当たる様になっておりSEがどんどん減っている。

 

一夏「箒!ここでいい、降ろしてくれ!」

 

箒「分かった!3…2…1…行くぞ!」

 

一夏「やめろーーーー!」

 

 

 

一夏と福音が戦闘を始める少し前に、後詰めの部隊にある動きがあった。

 

信二「ちょっと待って!あそこに何かある」

 

信二は自身のハイパーセンサーを駆使して確認した。それは、所属不明の船であった。しかも、運悪く福音の近くにいた。信二はまずいと思い、瞬時加速(イグニッションブースト)を使って向かうのであった。

 

『信二君(様)兄上!』

 

信二「くそ!先生達の海上封鎖が間に合わなかったのか!」

 

尚も瞬時加速を続け、ボロボロになっているシャルロット達をすり抜けた。

 

『信二(新田さん)!』

 

信二「間に合え~~!」

 

そこでは、一夏と福音の一対一での戦闘が行っていた。しかし、一撃必殺の零落白夜が外れしまい通常の戦闘が行われている。

 

そこに、瞬時加速(イグニッションブースト)を終えて信二は福音と所属不明の船の間に信二が入った。しかし、福音からの銀の鐘が数発飛んで来てそれを、全て防いだ。その行為に箒は驚いていた。

 

箒「信二!何でそんな奴らを守っているんだ!そ奴らは、密漁船なのかもしれないんだぞ!」

 

信二「彼らだって好きでここに来たわけではないんだ!そんなに無下にするなよ箒…」

 

箒「違う…そんなんじゃない…私は、ただ…」

 

一夏「箒危ない!」

 

箒「一夏!」

 

そう言って、箒は回避運動を取ろうとしたがすぐ目の前に、大量のエネルギー弾が迫っていた。間に合わない!そう思って目を瞑ってしまった。

 

しかし、待てども痛みが来ない。恐る恐る目を開けるとそこには、身を挺して防いでいた、信二の姿があった。

 

箒「信二!」

 

信二「あ、ぐぁ!」

 

一夏「信二!大丈夫か!」

 

信二「…何とかね。それよりも、一夏頼みがある」

 

一夏「あ、あ!」

 

信二「僕が注意を引いている。その隙に…シャルロット達を…回収して欲しい」

 

一夏「馬鹿野郎!信二を置いていけるかよ」

 

箒「そうだ!信二を置いて行けるか!」

 

信二「ハァハァ、多分それが最善の策だと思うけどね。…そうだろうラウラ」

 

ラウラ『あ、あ、確かに兄上が言っている通り、その方が部隊の損害リスクが減る。ただ…』

 

一夏「ただ、何だ!」

 

ラウラ『ある程度の距離を離れておかないと、この撤退作戦は成功しない』

 

信二「それなら、大丈夫…何とか稼いでみせるよ」

 

箒「信二…」

 

信二「さぁ…行くんだ箒」

 

一夏「行こう箒…」

 

箒「いや!嫌だ!信二~~!」

 

嫌がる箒を一夏は力強く引いて行った。それを見届けた信二は、箒と逆方向に移動して誘発射撃を何回か福音に行った。

 

案の定福音は誘いに乗り、信二を敵として追ってきた。その間《マホ》と思念会話をしていた。

 

 

この撤退作戦上手くいくと思う?

 

(わからん。しかし、シンジが時間を稼げば上手くいくだろう)

 

だといいけど…うぐ!

 

(どうした!)

 

さっきの攻撃でかなりのSEを持っていかれた

 

 

見てみると、ダメージレベルがBまでになっており、いつ絶対防御が発動してもおかしくない状態だった。しかも、箒を庇った時に背中にエネルギー弾を受けたので中度の火傷を負っていた。

 

けど…こうもしないと皆を救えないんだよ

 

(シンジ…)

 

さて、福音はどんな感じ

 

(ああ、福音は絶えずこちらとの距離を保っている)

 

なら、仕掛けるなら今しかないね

 

(何をするんだ)

 

まぁ見ててよ

 

 

そう言って、信二は傷ついた身体を反転させて、福音と対峙した。福音は絶えずこちらの様子を伺っている。信二は大型レールカノンに“徹甲弾”を装填した。

 

信二「目標確認!徹甲弾装填完了!ファイヤー!」

 

信二は徹甲弾が命中したのを確認すると、咄嗟にパンツァー・ファウストを取出し福音に肉薄して行った。そして、とんでもない事をした。何と、福音に取り付いたのであった。流石の福音も必死に振りほどこうとしたが、思いの外信二の力が強く振りほどけなかった。

 

信二「これなら、色々手を出せまい!」

 

福音「ギャシャアーーーーーーーーーーーー」

 

信二「これで、お互いチェックメイトだ!」

 

そして、零距離でパンツァー・ファウストを爆発させた。その後、信二の信号がロストしたのが知らされたのは、皆の撤退が完了した時だった。

 

信二を基に次回作(サクラ大戦)を執筆しようと思いますがどのシリーズにしますか?

  • サクラ大戦
  • サクラ大戦 熱き血潮に
  • サクラ大戦2
  • サクラ大戦3
  • サクラ大戦4
  • サクラ大戦Ⅴ
  • 新サクラ大戦
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。