ナツメグ探訪記   作:Almin

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この二次小説は
メグに勝ってもらいたいという「強い意志(感情)
によって構成されています。



また、この二次小説はシャンフロ漫画化記念アンソロジーへの投稿作品となっております。
※企画主よりハーメルンへの投稿は可と聞いております。


ゼンイチ一本勝負

~♪

 

「ん? 着信だ……メグから?」

「もしもし?」

 

「あ、ケイ?」

 

「どうしたのさ、こんな時間に」

 

「あ、あの、その、ね?」

 

「ケーイー!ワタシ、hungryネ!」

 

「シ、シルヴィア?!」

「ケイ、どういうことよ!」

 

「あー、いや、これはその「Oh!メグ!こんばんわ!」

 

「シルヴィア、なんで貴方ケイと一緒に……」

 

「いや、シルヴィアがほっとくとジャンクしか食べないから……」

 

「メグ!こんどhamburger食べに行こ!」

 

「シルヴィア?!話聞いてた?!」

 

「まぁ、食べに行くのは構わないけど……」

「シルヴィア」

 

「What's?」

 

「明日、ケイオースシティで合いましょう」

 

「……」

「OK」

 

「ちょっと待って?何の話?」

 

「ケイは知らなくて良いわ」

 

「えぇ……」

 

 

◇◇◇

 

ツー…ツー…

 

やってしまった。

これでは宣戦布告だ。

 

モグモグ……ここのポテトも悪くないわね。

強いて言えばもう少し塩気が欲しいところだけれど。

 

ケイに連絡することがあったから掛けたのに、伝える前に切ってしまった。

 

切ってすぐにまた掛けなおすのも忍びないし、シルヴィアと一緒にいる様を想像すると私の心も持たない。対した内容でもないし、代わりにメールで済ませてしまおう。

 

「それより問題は明日の対戦ね……」

 

負けるつもりは更々無いが、相手はシルヴィア(全米一)だ。研究と対策だけ(普通の戦い方)では、万に一つも勝ち目はない。

 

ケイが成し遂げた前人未踏の勝利でさえ、二人の協力者(顔隠しと名前隠し)あってのものだ。

 

……ん?

ここは塩気が強いわね。振り方が荒いのかしら……じゃなくて。

 

「良いこと思い付いたかも」

 

 

 

◇◇◇

 

ピコン

 

「hmm?」

 

「シルヴィア、食べながら喋るのは……」

モグモグ……ゴクン

 

「mailがきてるワ……メグからネ」

 

「ん?メグからシルヴィアに?」

 

「Ah……」

 

「どうかした?」

 

「ケイにも、mail送った、だっテサ」

 

「あぁ、……ほんとだ。ありがとう」

「さっきの電話の件かな?」

 

「maybe.And…」

 

「ん?まだなにかあった?」

 

「This chicken…テリヤキ?オイシイ!」

 

 

◇◇◇

 

「……できた」

 

この作戦なら、もしかしたらシルヴィアに勝てるかもしれない。

……完璧に作戦が成功したら、だけどね。

 

「このままじゃダメね」

 

中国拳法で更にパワーアップしたシルヴィアに、これまでの戦法(アムドラヴァ)がどこまで通用するかは未知数だ。

 

ポテトを掴む手が空を切った。

新しいのを出してこないと。

 

シルバージャンパー?ないわね。

あれは入念な準備(前の2試合)あってこその作戦だし、恐らく今のシルヴィアには通用しない。

 

私はミーティアス(シルヴィア)に追い付けない。とすれば、やはり取るべきはアムドラヴァ(カウンター)だ。

 

「あとはユグドライアか……」

 

あら。チキンナゲットがあるわね。

 

ただ、同じカウンタータイプとして扱うにしても、ユグドライアは足が遅すぎる。それこそシルヴィア(ミーティアス)と戦うには致命的なほどに。

 

こんな時名前隠し(天音永遠)がいればと、ポテトをつまみながらつい、あの邪悪な笑顔を思い出してしまう。

JGEでは一緒に仕事をしたけれど、未だに同一人物なのが信じられない。

 

そう言えば顔隠し(ノーフェイス)は彼女さんとデートしてたっけ。羨ましい。当の本人はよく分からないマスクを付けてたけど……顔を見せると死んでしまうのかしら?

 

「クロックファイアとカースドプリズンかぁ……」

 

無い。はっきり言って無い。

私にはあんな邪悪な所業(ビルドミノ)はできないし、あんな動き(摩訶不思議変態挙動)もできない。

 

何より、ミーティアス(シルヴィア)相手ににカースドプリズン(宿敵)を出すなんて、残機が幾つあっても足りないだろう。

 

チキンナゲットも美味しかった。

 

 

◇◇◇

 

「ごきげんよう。こんなところで会うなんて奇遇ね」

 

「奇遇?あなたが会いに来ただけでしょう?」

 

私は今、M()s().()()()()()()()()()()()と対峙していた。

 

「私も目を疑ったわよ?まさか()()()()()()()()なんてね。名前隠し(ノーネーム)の影響?」

 

「あんなの真似したくないわよ」

 

そう言いながら、Ms.プレイ・ディスプレイ(シルヴィア)の足元に仕掛けていた透明爆弾(くまちゃん)を起爆した。

 

 

◆◆◆

 

ピコン

 

「hmm?……」

着信音、メールね。

 

「シルヴィア、食べながら喋るのは……」

分かってるわ。ケイ。

モグモグ……ゴクン

 

「mailがきてるワ……メグからネ」

 

さっきの電話の件かしらね。

 

 

Subject: about GH:C

 

翻訳機にかけるから日本語でいい、って言ってるのだけど。

やっぱり、明日の対戦の話ね。

 

Text:

Silvia,

I'll wait in the W-delta.

Look forward to it!!

p.s. Tell K to check his mail.

 

「Ah……」

 

「どうかした?」

 

「ケイにも、mail送った、だっテサ」

 

 

◇◇◇

 

立ち込めていた爆煙が、少しずつ風に流されて行く。

 

「要件を聞こうかしら?」

 

その言葉に振り替えると、いつの間にか背後に回っていたシルヴィアの姿があった。

 

「……あのタイミングから避けれるの?そのキャラ(ディスプレイ)で?」

 

「場所とタイミングが分かれば余裕でしょ?」

 

シーカータイプとは言え、Ms.プレイ・ディスプレイはそこまで足の速いキャラクターではなかったと思うのだけれど?

 

「わざわざ対戦申し込むくらいだもの、何かあるんでしょ?」

 

「……」

 

「んー?メグ?もしかして昨日のはその場の勢い?」

 

「あー、もう、そうよ!悪い?」

 

貴方ばっかりケイと一緒で少しイラついたのよ!

 

「いいえ。メグのそう言うとこ、私は好きよ」

 

Ms.プレイ・ディスプレイの画面が、笑顔のそれに切り替わる。

 

「特に無いのね?」

 

「いえ、折角だから決めましょう」

 

「そう?」

 

ディスプレイの顔が切り替わる。「なんでもいいよ。どうせ私が勝つから」という顔だ。

 

「……こうしましょう。私が勝ったら、一緒に料理教室に通いましょう」

 

「料理教室?」

 

「料理を憶えれば、ケイも少しは安心するでしょ」

 

それに

 

「私もケイに手料理を振る舞いたいし?」

 

「OK。メグが勝ったら、一緒に行ってあげる。その代わり、私が勝ったら……」

 

起爆。

ドンッっと言う音とともに、今度こそシルヴィア(ディスプレイ)がふっ飛ぶ。

 

「メーーーグーーー!!!」

 

「油断してる方が悪いのよっ!」

 

今のシルヴィア(Ms.プレイ・ディスプレイ)に空中ジャンプはない!

宙を舞うディスプレイに向かってぬいぐるみ(爆弾)を投擲!起爆!

 

「ぐぅぅぁあ!!」

 

これぞシャンフロリスペクト、()()()クロックファイア!

錬金術師ジョブ目指してアイテムを投げ続けている分、私個人の投擲スキルも上がっているのよ!

 

因みにクロックファイアユーザーは基本設置使いだ。理由としては

・可視爆弾は投げても見てから避けられる

・不可視爆弾は投げると起爆タイミングが分からなくなる

・そもそも当たらない

・そんなことよりビルドミノしたい

 

そりゃあ、あんなもの(名前隠し)を見たら、ナーフされていても真似したくなるわよね。

 

とにかく、次弾投擲、起爆!投擲!

 

「くっ電磁誘爆(パルス・ボマー)!」

 

電磁誘爆(パルス・ボマー)は、電磁波を放出して周囲の機械を誘爆させる技だ。

流石にゲーム的配慮でDr.サンダルフォンの携帯端末などの装備機械は爆発しないが、設置アイテム扱いになるクロックファイアの爆弾は爆発させることができる。

 

先ほどまで爆発で上へ上へと打ち上げられていたシルヴィアが地に足を着ける。

 

対策される前になるべく減らすつもりだったのだが、想定が外れた。とは言え、不意打ちの攻撃も含めて、シルヴィアの残り体力はおよそ4割。

トップディスプレイ(捨て駒運用)を加味しても、悪くないダメージではある。

 

「やってくれるじゃない」

 

「あら。私としては、あなた(全米一)相手にここまで上手く行ったことの方が驚きなのだけど?やっぱりヒーロー(ミーティアス)じゃないと気乗りしない?」

 

「否定しないわ。でも、それは負ける理由にはならないわ」

 

シルヴィアがこちらに詰め寄るべく走り出す。

 

「こっち来ないでもらえる?!」

 

「近づかないと殴れないでしょ!」

 

中国拳法使いと至近距離?冗談じゃないわ。

 

「逃げるの?メグ!」

 

クロックファイアの武器(爆弾)は至近距離じゃ使いにくいのよ!

 

 

◇◇◇

 

「見つけたよ!ミス・クロックファイア!」

 

ドォォ…ン

 

爆弾と爆風の嵐を、()()()()()()()()()が華麗に避けきる。

 

「どこを狙っているんだい?」

 

「だったら避けないで貰えるかしらね?!」

 

シーカータイプの中でも、情報収集に長けたMs.プレイ・ディスプレイとは異なり、シルバージャンパーは移動能力、特に空中ジャンプに長けたキャラクター。

 

「僕に簡単に攻撃が当てられると思ったら大間違いだよ」

 

加えて、ヴィラン(ディスプレイ)からヒーロー(シルバージャンパー)になったことで、シルヴィアのテンション(パフォーマンス)が一段階上がった。

 

「これならどうよ!」

 

ぬいぐるみ(可視性の爆弾)を複数投擲!

さらに回避先に不可視の爆弾を投擲(置き攻撃)

 

「それじゃあ軌道が見え見えだよ!」

 

避けられてしまった可視爆弾を視界に入れて起爆(残弾確保)……よし。狙いどおりの方向に避けた!

 

視界に入れて……今だ(起爆)

 

「なっ……」

 

ジャストタイミングで起爆した筈の爆炎は、それでもシルヴィアには届かない。

起爆の瞬間にステップを刻まれる。

 

「ノンノン。起爆タイミングさえ分かれば避けるのは簡単だよ?」

 

見えない攻撃(不可視爆弾)位置とタイミング(有効範囲)を、私の目線の動きだけで把握したっていうの?!

 

「今度は逃げても無駄だよ?」

 

「分かってるわよ!!」

 

これは逃走ではなく、そう、戦略!

 

 

 

 

 

「何か言い残すことは?」

 

一瞬で捕まった。

シルバージャンパーの腕が、クロックファイアの襟元を掴み、持ち上げる。

 

「そうね……」

 

項垂れるように地面へ顔を向けて(胸元を見つめて)、辞世の句を……

 

言う前に起爆!

 

「ちょっ、メグ!?」

 

至近距離での爆破にさしものシルヴィアもその手を緩め、私は吹き飛ばされた。

 

 

クロックファイアの残り体力が3割を切った。シルバージャンパーは8割以上残っているかしら?

 

実質捨てゴマ運用とはいえ、Ms.プレイ・ディスプレイを落とせただから、クロックファイアはよくやった方だと思う。

 

「今のは効いたんじゃないのかしら?!」

 

硬直から復帰し、立ち込める爆煙の先にいるであろうシルヴィアに問いかける。

 

「あら、()()()()そっちにいたのね」

 

次の瞬間、霧を掻き分け出現したシルバージャンパーの脚が|クロックファイアの胸を打ち据え……

 

 

シルバージャンパーのゲージ技「銀の足(シルバーフット)」は走力と跳躍力、そしてキックの威力を増大させる。シルヴィア本人の格闘術(足技)によって繰り出されるそれは、私を硬直させるに足る威力を持ち、それは同時に

 

デコイ爆弾(ゲージ技)を起爆するのに十分な威力を持つことを意味する。

 

 

 

爆音とともに、クロックファイア()のHPは尽きた。

 

 

◇◇◇

 

「ここは俺に任せな!」

 

「あ、ありがとうございます」

 

アムドラヴァ(ヒーロー)が突如現れた恐竜(元トカゲ)をその熱腕で吹き飛ばす。

 

WΔ限定の敵性NPC「再古代(レプディノス)」。その特徴は街中に屹立する牙の塔(専用オブジェクト)と、予兆なくどこにでも現れる恐竜型エネミーだ。

 

WΔではこの第三勢力の撃破でヒーロー・ヴィラン問わずゲージが溜まる。そして市民を救出する場面(シチュエーション)であれば、更にヒロイックゲージを稼ぐことができる。

 

「まあ、あっち(シルヴィア)もゲージ溜めてるんでしょうけどね」

 

取り敢えずこの元トカゲは倒して……おっと

 

「来たなシルバージャンパー(シルヴィア)

 

「あんたが中々来ないから、こっちから来てやったんだよ」

 

「そりゃほとんど動いてねぇからな。遠かったろ?」

 

WΔルールでは3つのうち、K.O.された場所からもっとも遠い開始地点からの引継ぎとなる。

 

シルヴィア(シルバージャンパー)の残り体力は……6割。

 

 

「それはそうと、久しぶりだね。アムドラヴァ」

 

今までアムドラヴァが議論の中心だった対シルヴィア(ミーティアス)対策は、そのほとんどがシルバージャンパー(ケイ)カースドプリズン(顔隠し)で埋め尽くされた。

 

GH:B(バースト)以来になるのかしらね?まぁ、今のあなたはシルバージャンパーだけど」

 

「だとしても、やることは変わらないよ」

 

先手を取り、最短距離で蹴り込んできたシルバージャンパー(シルヴィア)の攻撃を腕でガー……フェイントか!

 

視界右隅に消えた白銀の上着(ジャンパー)を追うように腕を振り回す。

 

 

いない。

 

……上?

 

考える前にこれまでの積み重ね(全戦全敗の経験)が、天啓をもたらす。

反射的に上方をガードした左腕(溶岩)に白銀の脚が突き刺さり、()()()()体力が僅かに削れる。

 

「あら、残念」

 

シルヴィア(シルバージャンパー)が宙を蹴り、私の真後ろに着地する。反転では間に合わない。右旋回に併せて右手を最速で伸ばして、ガードを……

 

シルヴィアが?着地点に留まる?あのシルヴィアが?

 

一瞬浮かんだ疑問。

微かに聞こえた地を踏みしめる音。

アムドラヴァ(溶岩の腕)が放つ熱気が揺らぐ感覚。

 

視界の()()に白銀が見えた気がした。

 

動き始めてしまった上半身の旋回そのままに、自由な両の脚が、右へ一歩ステップを踏む。

 

 

上下あべこべな動きでバランスを崩したアムドラヴァを、シルヴィアが見落とす筈もなく。

 

 

「ぐっ……あぁ!」

 

崩れた体幹では銀の脚を受けきるには程遠く、ビルの壁を突き破り吹き飛ばされる。

 

硬直は……無い。

 

シルヴィアを警戒しつつ、瓦礫で溶鉄弾を補充する。どうせ当たりはしないだろうが、無いよりはよほど良い。

 

 

「仕切り直しと行こうぜ。シルバージャンパー(シルヴィア)

 

「そうだな……折角の天気だ。外でお茶でもどうだい?」

 

「けっ……男に言うセリフじゃあねぇな」

 

「ははっ。ごもっとも」

 

 

シルバージャンパーが跳躍し、アムドラヴァが構えるのと同時、()()()が咆哮を上げた。

 

「キュァアアァグァォアアァア」

 

 

再古代(レプディノス)はいつだって唐突に現れる。

 

 

◇◇◇

 

「……」

 

体力、残り3割。

 

結果だけみれば、アムドラヴァはシルバージャンパーを倒した。ただし、体力の半分以上を失って。6割を削るのに7割、タフネス(最大体力)の差も加味すれば、恐らく1.5倍かそれ以上のダメージを受けている。

 

(トライアングル・トリニティ)なら、ミーティアス(持ちキャラ)でないシルヴィアなら、余りにもか細い糸と知りながら、どうにかなるんじゃないかと期待(思考停止)していたことを後悔する。

そもそもクロックファイアが自爆込みで4割しか削れなかったのが……止めておこう。

 

まだ勝負は終わっていない。

 

 

「キュァァ……」

 

「引っ掻き回してくれてありがとう、恐竜さん(このクソトカゲ)

 

 

◇◇◇

 

「やあ、久しぶりだねアムドラヴァ」

 

そして純白の戦士(ヒーロー)は降り立った。

 

「さっきぶり、の間違いじゃないかしら?」

 

そうでしょ?()()()()()

 

 

……ここからが()()()勝負だ。

 

「キュォオオァアアアア」

 

おっと、もう一人(一体)いたわね。

シルヴィア(ミーティアス)が来たとき、私は丁度ターゲットエネミーをとの交戦中だった。

そして彼女が降り立った瞬間、再古代(レプディノス)のヘイトがアムドラヴァ()からミーティアス(シルヴィア)に移ったのを、私は確かに視た。

 

ターゲットエネミーのヘイトは、他のターゲットの討伐数に大きく影響される。

 

つまりシルヴィアにとってこいつは2体目(HP回復)。交代直後のミーティアスには旨味がない。

 

だから、

 

「あんたにやるよ。ミーティアス」

 

旨味のほとんど無い第三者(レプディノス)と、痛手を追い逃走を始めたアムドラヴァ(相手プレイヤー)、どちらを優先するかなんて火を見るよりも明らかだ。

 

だがそれでも、

 

「さて、()()()()、街をメチャクチャにした罪は償って貰うよ?」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

◇◇◇

 

ミーティアスが跳躍する、脚に蒼い粒子が収束しその輝きを増すのが見える。

 

体は完全に硬直している。

 

「また会うときを楽しみにしているよ」

 

そして

 

アムドラヴァの体内から光が溢れ出た。

 

 

 

 

『カウンター戦術は、変化し続けるリズムに対応し切れなくなり、いずれコンボを喰らう。』

 

こうしてミーティアス(シルヴィア)対アムドラヴァは、顔隠し(ノーフェイス)がGGCで推論していた通りの結果に終わった。

 

 

◇◇◇

 

女の子(NPC)を見つけたので拉致する。ヴィラニックゲージが溜まる。

 

「さあミーティアス(シルヴィア)、早く来ないとこの子がどうなっても知らないわよ……!」

 

僅かに残っていた市民(NPC)がパニックを起こす。報道ヘリの音が近い。

 

「うるさいわね」

 

すぐ側にあった瓦礫を持ち上げ、投擲。

尾翼を損傷したヘリコプターが視界の外へと消える。爆発音とともにヴィラニックゲージが溜まったが、たぶんきっとおそらく関係ないことだろう。

 

 

その時、シャラシャラという馴染みのある音が聞こえた。

 

「あぁ、折角騒音が止んだと思ったのに」

 

「その子を離して貰おうか」

 

「嫌。これは私のものよ?」

 

「そう。それなら「いいえ。やっぱりやめておくわ」

 

拉致していた女の子(NPC)を丁重に地面へ降ろし、

 

「……良かったわねぇ」

 

「ひっ……うわぁぁああんんんん……」

 

ニタリ、と笑うと女の子は泣きながら逃げていった。

 

 

「随分とヴィラン(ユグドライア)演技(RP)が上手くなってるじゃない。GGCじゃ()()()だったのに」

 

「仕方なく、そう。仕方なくよ」

 

思い入れのあるキャラって訳ではないのよ?ただ、あの日(GGC)以降よく使うから慣れてしまったというだけ。

イベントでGH:Cをやると、()()()必ず一人はユグドライア(しかもなりきりRP(ロールプレイ)込み)を指名してくるのよ。

 

っと、そんなことを考えている場合ではなかった。

 

既にミーティアス(シルヴィア)が跳躍している。

 

「あぁ、そうだ。メグ、1ついいかしら?」

 

ミーティアスの初撃を(触手)でガードする。アムドラヴァとは違い、防戦一方ではミーティアスの体力は削れない。

 

「こんな時に何かしら?」

 

罠種子(トラップシード)起動。死角から伸びる蔦が、コンクリートを打ち破りミーティアスに……当たらない。

 

「私が勝った場合の報酬、まだ決めてないでしょ?」

 

「それ本当に今必要な話!?」

 

ミーティアスが宙を蹴り、ピンボールの如く加速を始める。

 

「先に決めておかないと不公平でしょ?」

 

歪んだ標識を踏みしめ、跳躍。

 

「いい?」

 

ビルの窓枠を踏んで更に加速。

 

「私が勝ったら」

 

そして罠種子(トラップシード)で宙に浮き上がっていた瓦礫を踏み

 

「ハンバぐはぅぁ!」

 

()()

 

「隙ありっ!」

 

自前の触手で攻撃!攻撃!攻撃!

 

罠種子(トラップシード)で追撃!

 

さらにゲージ技(範囲攻撃)

 

硬直から復帰したミーティアス(シルヴィア)の取った行動は上空への跳躍(顔隠しと同じ)

 

「なっ……」

 

突如()()()()襲いかかってくる蔦を、それでもすんでのところで回避する。

 

 

「メグ、一体何を……いえ。瓦礫に罠種子(トラップシード)を付けて投げたのね?イカれてるわ」

 

「それを避けるあなたも大概よ?」

 

「問題はその前の爆発……」

 

「そうだ、シルヴィア」

 

「なに?」

 

「あなたが勝ったときは、何をすればいいの?さっきはよく聞こえなかったのよ」

 

「ハンバーガー」

 

ん?今なんて?

 

「ハンバーガー、今度奢って貰おうと……そうか」

 

「ハンバーガー……って、それだけで「クロックファイアね?」

 

ん゛っっ

 

「そう、そうよね。ダストの銃と弾丸が持ち越せるなら、クロックファイアの爆弾もできるわよね」

 

速すぎて当たらない?当たってもスタン(硬直)まで持っていけない?

ならシルヴィア自身が攻撃に当たりに行けばいい。

 

「そのために、アムドラヴァは移動(逃走)していた」

 

手品の種はバレてしまったが、同じ種でも罠種子(トラップシード)の残弾はあるし、顔隠し(ノーフェイス)曰く

『多数の選択肢(可能性)を提示すれば、相手の思考を縛れる』

らしい。

 

所在不明(不可視)の爆弾がここには散らばっているとシルヴィアは気付いた。

普通に走るだけならともかく、ミーティアス(シルヴィア)特有の人力ピンボールを耐えられるほど爆弾は頑丈ではない。

駆ければ駆けるほど、起爆率は上がり、自らの足が起爆剤であるが故に、避けることは敵わない。

 

 

 

その対策か、数歩早く攻撃に転じたミーティアスに薙ぎ払い(カウンター)を敢行する。

 

「おっと」

 

空中ジャンプで躱されたが、確信した。

このミーティアスになら大技も当てられる。

 

()()()()鳥の気分はどうかしら?」

 

 

シルヴィアが着地する瞬間、罠種子(トラップシード)を起動する。が、これも不発に終わる。

 

 

「だれが()()()()って?」

 

そして、ミーティアスが始動する。

 

地面を蹴り一歩。

消える寸前の罠種子(トラップシード)を踏み、二歩。

ビルの側面にて三歩。

空中に四歩目、五歩、六歩……

 

ちがう!これは

 

スターロード(ゲージ技)!」

 

「これなら足場なんて関係ないわ」

 

ミーティアスのスターロードは、発動から五秒間()()()()空中を歩行……否、跳び回る。

 

「ぐっ」

 

対応が追い付かない……!

 

「ほらほら!メグ!もうネタ切れかしら?!」

 

連撃をうけて、一瞬の硬直がユグドライアの体を襲う。

通常ならシルヴィア(ミーティアス)はこの隙を見逃さない……が、

 

 

「あら、超必殺(ウルト)はなし?」

 

シルヴィア(ミーティアス)はなお通常攻撃を選ぶ。なぜなら

 

「生憎ゲージが足りなくてねっ!」

 

アムドラヴァが爆散してから、まだ数分と経っていないのだから。

 

 

よし、硬直が解けた。

すかさず瓦礫を数個投げつけるが……

 

「そこにあったのね!これで2個目!」

 

全て避けられた上に、爆弾付きの瓦礫を看破される。

 

「いや、なんで分かるのよ?!」

 

「んー、ナイショ?」

 

 

 

 

 

 

 

スターロードの効果時間残り1秒未満というところで、再び硬直を受ける。

が、先ほどとは違う。

 

硬直から数度の通常攻撃の後、シルヴィア(ミーティアス)が跳躍し、その足に蒼の粒子を宿す。

 

「さっきは悪かったね。今度こそ超必殺(ウルト)だ」

 

 

まだだ、まだだ!

このタイミングなら、ミーティア・ストライクが当たる直前に硬直は解ける!

今の状態は、奇しくも顔隠し(ノーフェイス)と同じ状態とも言える。

動けるが、避けられない。

 

なれば、対処もまた顔隠し(ノーフェイス)と同じであるべきだろう。

 

直前で硬直の解けた蔦を最速最高効率で動かし、体の下に隠しておいた()()()()を、ミーティア・ストライクの経路上へ放り投げ、

 

瞬間、ミーティアス(シルヴィア)の右足が()()()

 

「はははっ!ミーティア・ストライク破れたり!!!」

 

蒼き閃光と爆発がユグドライアを……襲わない。

代わりにクロックファイアの爆弾によるダメージを受けるが……これは必要経費だ。

 

「今のでもうゲージも無いでしょう?空中跳躍(スターロード)もできないわよ!」

 

 

 

 

◇◇◇

 

翌日、私はシルヴィアにハンバーガーを奢っていた。

 

「……で、なんで分かったのよ?」

 

ポテトを頬張りながら訊ねる。

 

「bombあるとき、少しヤサシク?投げてるでしょ?」

 

「そっちじゃなくて、最後のよ」

 

「サイゴ?」

 

「最後、爆弾の位置全部把握してたでしょ」

 

そう、ミーティア・ストライクを封じて、少しだけ、ほんの少しだけ慢心した私を襲ったのは、空中跳躍(スターロード)無しでの高速多段跳躍(ピンボール)だった。

 

「あー、アレ」

 

あっ、それ私のポテト……

 

「見えなくても、ふんだら()()()よ」

 

私のポテトを摘まみながら、シルヴィアが答える。あぁ、ここの特製ソースは美味しいのよ。付けてみなさい。

 

「いや、踏んだら爆発するでしょうが」

 

「だから、bombしないspeedでふみ……マクッて?場所覚えたの」

 

あー、途中まで少し遅めだったのはそういう……化け物かな?化け物(全米一)だったわ。

 

でもまぁ

 

「次は負けないわよ。シルヴィア」

 

「んふふ。楽しみに待ってるよ」

 

 

あ、店員さーん!ポテト追加で!

……いや、違うのよ?彼女(シルヴィア)も食べるから追加注文を、ね?

 

「そうだ、ここソースがもう1種類あるのよ。試してみる?」

 

「イイね!サンキュー、メグ!」

 

たまにはポテトをシェアするのも、悪くないと思った。




この二次小説は
でもやっぱりシルヴィアには勝てないでしょ?という「強い意志(判断)
によって構成されています。


アンソロジー投稿のためにハーメルンフォーマット12,000字強を10,000字以内になるよう調整しましたが、蛇足的な説明文が減ったので結果的に良かったと思います。



メグの作戦を改めて書くと
①特殊ルール:(トライアングル・トリニティ)の採用
②勝利条件を「ミーティアス二人」から「ミーティアス一人とその他二人」に変える
③二人以上持ち越しでミーティアスと対峙し、2対1で戦う
④クロックファイアの爆弾持ち越しで跳弾起動を封じる
⑤ミーティア・ストライクを爆弾を身代わりにして回避する(先に爆弾が爆発・消失するため、ミーティア・ストライクの爆発が発生しない)
というような感じです。



それはそれとしてGH:Cの3戦分を10,000字に収めるのは大変だと思いました。
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