ナツメグ探訪記   作:Almin

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閃霆万里の坂道はオールカットです。
本編でも特に描写の少ないエリアなので仕方ない。





昇り坂の先に果ては無く

「カルダモンさん、ありがとうございました!」

 

「いえ、こちらこそありがとう」

 

閃霆万里の坂道を越えた私達は、遂に旧大陸最後の街、フィフティシアに到着した。

編成時の役割を完遂した野良パーティは早々に解散され、各々街の雑踏に消えていく中、私はある場所を目指していた。

 

それは未だ抽選待ちの続く()()()()()()ではない。なぜ新しい船が造られないのか、ゲーム的に言えば何故新コンテンツに課金要素の欠片もない(運営的にもメリットの薄い)制限が課せられているのか私には分からないが、移動にリアルタイムで一週間もかかる船に乗るのは、今の私には時間の無駄でしかない。

 

私のアバター、ペッパー・カルダモンのレベルはまだ99(レベル上限)に達していない。ケイとレベル上げ(デート)していたとは言え、そもそものゲーム設定として旧大陸踏破そのものにはそこまでのレベルは必要無いし、私自身レベルキャップ(上限)解放よりも、錬金術師(最上位職業)を優先したかったというのもある。

 

故に、フィフティシアのもう1つの特徴である()()()も目的地ではない。ユニークモンスターの関わるクエストが発注されていたことで幾らか注目されているらしいが、私には関係ない。

 

「……そういえば、何も聞いて無かったわね」

 

R()P()A()から聞いた、フィフティシアならまだ()()()()()()()()()()()()()()()()という情報をもとに、急いでここまで来た。

しかし、そもそも誰がどこで売っているのか分からない。

 

「失念してたわ」

 

それならやることはひとつしかない。

 

「まずは情報収集ね」

 

 

 

◇◇◇

 

「で、ここに来たわけね」

 

「まあ、そういうことです」

 

私が最初に扉を叩いたのは、当然と言うか必然と言うか、薬剤士系職業が集まるギルドだった。

餅は餅屋というが、薬の材料については薬剤士ギルドに聞くのが一番早い。ウィキという手も無くはないが、とにかく重いし、本格的に閲覧するには一度ログアウトしなければならない。

リアルタイムの情報としてはおそらく掲示板がもっとも早いのだろうが、どうもこれまでの経験からしても、情報の早さと正確性を両立するのであれば、ギルドが最適だろうという結論に至った。

 

「それで、どういう状態なんですか?」

 

私が尋ねると、おそらく先輩であろう女性プレイヤーは少し苦々しい顔を見せた。まあ何となく理由はわかる。

 

「聞いてるとは思うのだけど......アセンションホーンの角、特にあなたが求めてるものは完全に品薄な状態よ」

 

「神話の大森林にレイドモンスターが出現した影響と聞いたわ」

 

「こちらにもそういう話が来てるわ。ウィキはまだ検証段階みたいで、詳しい情報は載ってないけれど、聞く話によると『緑色の昆虫』が出るらしいわ。それもたくさん」

 

「うわぁ......あまり近寄りたくないですね」

 

「まあそんなこんなで、アセンションホーンの流通量が激減してるのよ。より正確には、NPCの正規店ではまず取り扱ってないわ」

 

ここまではおおよそRPAから聞いた内容と合致する。

 

「そうすると、非正規のNPCかプレイヤーから直接買わないといけないんですね」

 

「そういうこと。それに関してはギルドに()()のある商人プレイヤーがいるから教えてあげるわ」

 

おや、これは意外だ。

 

「紹介までしてもらえるんですか?」

 

「一応ギルドの方針があってね。ここまで品薄だとどうしても買えない人は出てくるから、当面の間はどうしても必要な人......あなたみたいに『ジョブチェンジに必要なプレイヤー』優先ってことになったのよ。私たちとしてもある程度錬金術師が増えてジョブの研究も活発化してほしいしね」

 

「ありがとうございます」

 

それから、商人プレイヤーと取引を行っている路地裏を教えてもらった私は、共有設備でポーションを作成し、ギルドを後にした。

 

◇◇◇

 

「なるほどなるほど」

 

商人プレイヤー『ヨルム』に事情を話すと、まず所持金の確認を確認された。

 

「残念ながら金額が足りませんねぇ」

 

「……高騰してると聞いて、かなり用意したつもりだったのだけれど」

 

「いや、惜しい線いってますよ?ええ。あともう少しあれば足りますからぁ」

 

「……因みに値引きとかは……」

 

「残念ながらこれ、値引き後価格なんですよぉ。あなた、薬剤士ギルドの人でしょ?これでも仕入れ値ギリギリでさぁ」

 

しばらく待ってますから、貯まったらまた来て下さいなぁ。と頭を下げるプレイヤーにそれ以上の値引き交渉をする気も起きず、私はその場を後にした。

 

「取り敢えず、さっき作ったポーションはRPAに売るとして……それでも少し足りなさそうなのよね……」

 

高騰に高騰を重ねた価格に対する()()は、私が今から稼ぐには余るほどに高額だった。

 

 

◇◇◇

 

モグモグ……

 

いや、これは違うのよ。

 

モグモグ……

 

RPAを探して蛇の林檎フィフティシア支店を見つけ(どうも各街にあるチェーン店みたいなものらしい)、無事ポーションを売却して路地裏を抜けたところで見つけてしまったのだ。

 

モグモグ……

 

……ポテトフライの屋台を。

 

目算通り、ポーションの売却額は目標には足りなかったので、別で稼がなきゃいけない。ポテト一個くらい誤差だから大丈夫。

 

モグモグ……

 

大丈夫大丈夫。

 

「……ん?」

 

ふと目が合ったプレイヤーがこちらに手を振っている。プレイヤー名(マニュラ)は……見覚えが無いわね。

 

「……どうやら私みたいね」

 

後ろを振り向いて見たが、誰もいないので、やはり私に対して手を振っているのだろう。

勧誘や出会い目的で来られても困るので、こういう時は無視するに限る。

 

「はじめまして。えっと、ペッパーさん」

 

踵を返したところで先手を取られた。

 

「……なに、かしら?」

 

「装備を見るに、薬剤士系の方ですよね?」

 

「……まあ、そうだけど」

 

「アセンションホーンの聖角、買いませんか?」

 

「前?後ろ?」

 

「もちろん前角ですよ」

 

なるほど。買い取り手を探しているところに、私が通り掛かって手を振っていたのね。

 

「金額は?」

 

「おっ。買ってくれますか?」

 

「金額を聞いてから考えるわ」

 

マニュラが手招きする。はいはい。こっそり耳元で言いたいのね……

 

 

 

……安い。とても安い。

ヨルム(商人PL)の指定した額から一回り二回り安くなっている。

 

「……随分安いのね」

 

「え?あ、あぁ。……そう、かもな。……実を言うと僕は商人プレイヤーじゃなくて……友人、パーティメンバの狩った角の販売窓口みたいな?形なんですよ。だから、そう、実質直売みたいなものなので、他より安いのではないですかね」

 

「なるほど。そういうことね」

 

それでも幾らか安すぎる気もするけど、私の手持ちでもなんとか買える金額だし、悪くは無いわね。

 

「それで、角の受け渡しなんですけどね」

 

「ん?何かあるの?」

 

「ついさっき狩ったところなので、まだパーティメンバーが森の中なんです。神話の大森林の入り口で受け渡しになるので、ついてきてくれませんか?」

いや、私はまだ買うとは……いや、そこまで安かったら買いたくなるけどね?

 

返事も聞かず歩き始めるマニュラに軽く不平を覚えつつも、私は付いていくことにした。

 

 

◇◇◇

 

「おぉ……」

 

フィフティシアから開かれる門の一つをくぐり、エリア『神話の大森林』に出た私は息を呑んだ。

 

跳魎跋扈の森とは違う。文字通り()()()な森の出で立ちに、改めてこのゲームのクオリティの高さを実感する。

 

「もう来る筈なんですが見えませんね」

 

マニュラが取引場所として指定した、森の前の空き地には、軽く見た限り人影はない。

 

「ちょっと呼びに行ってくるので待っていてください」

 

 

マニュラが森に消え、私は一人になった。

 

 

……いや、違う。

 

背後から微かに空き地の土を踏む音がする。

背後からだけではない。よく聞けばまるで()()()()()()()人の気配がする。

 

「……っ」

 

地を踏みしめる音に体をずらせば、直剣が先ほどまで私がいた空間に滑り込む。

 

レッドネーム(プレイヤー名が赤い)、PKね?」

 

「ちっ、仕留め損なった!」

 

「なにやってんだよ!」

 

「バレたら仕方ない」

 

いつも通り(袋叩き)ってな」

 

「1、2、3……4人かしら?」

 

プラン1(奇襲)に失敗したのでプラン2(数の暴力)に切り替えた、ってところかな?」

 

「ずるいとは言わせねぇぜ」

 

相手の武器はそれぞれ直剣に両手剣、クナイにメイスって感じね……おっと

 

メイス使いの上段大降りを最小限のステップで回避しつつ、カウンター気味に斬撃を叩き込む。

 

「かふっ……」

 

「うぉらぁぁあああ!!!」

 

入れ替わりに薙ぎ払われる両手剣を屈んで回避、逆サイドから来ていた直剣も、屈むとは思わなかったのか空振りする。……クナイ使いは射程外ね。投げる素振りも無い。

 

「ちっ、躱しやがって!」

 

空振った直剣使いに足払いをかけ、そのまま体勢が崩れたところを蹴り飛ばす。

「……っつ!!」

 

「こっち来んな!邪魔!」

 

クナイ使いと直剣使いは衝突、メイス使いはまだ怯んでいる。となれば

 

「お前、薬剤士(生産職)じゃ無かったのかよ!!」

 

先に両手剣の対処!

直進して斬撃、防がれる直前でスライドムーブ起動。武器の無い左側面へ移動してラッシュスラッシュを起動!

 

「あっ?何処に行きやガッ……」

 

連撃を浴びせつつ見やれば、メイス使いが起き上がり初めている。今起きられると面倒ね。

 

ラッシュスラッシュの終了と同時にインベントリを操作開始。起き上がりかけのメイス使いとついでに直剣使い達に向けスプラッシュボムを投擲する。

 

これでもう数秒は怯んだままだろう。

 

「てめっ、ふざけやがって……!」

 

両手剣のこれまた大振りの薙ぎ払いをしゃがみ回避、からの足払い。体勢を崩したところにドリルピアッサー、怯んだら斬撃、斬撃、斬撃、起き上がりに足払い……

 

あ、これループ入ったわね。

 

 

 

「こいつ、よくもガナーを!」

 

メイス使い達が起きる頃には大剣使い(ガナー)を倒せていた。取り敢えずここまでで分かったことがある。

 

「あなたたち、随分軽装なのね」

 

武器は質の良い量産品に見えるが、斬った感触からして、防具は安物だろう。でなければ嵌め殺しでもこんな早くは倒せていない。

 

「だからどうしたぁ!」

 

私の対人戦闘の経験は9割9分格闘ゲーム、特に最近はGH:C、もっと言えばシルヴィア(全米一)ケイ(日本一)がほとんどを占めているわけだが、それ故に対戦相手の動きの癖にはそれなりに精通しているつもりだ。

 

肉薄するクナイを剣で弾き落とす。

 

「!!……このっ」

 

反射的に打ち込まれたもう片手のクナイの軌道を左手で反らし、そのまま腕を掴み……

 

「ちょ、あっ……」

 

返しの刃でクナイ使いの胴を下から掬うように斬り上げる。

 

懲りずに大上段に振り上げたメイス使いに向かってクナイ使いを蹴り飛ばせば……

 

「ゴトー!ナンベ!!大丈……あっ」

 

端的に言えば、このPK集団は強くない。

直剣使いを近接格闘(インファイト)で沈める。

 

「てめぇ!アリリベをよくも……!」

 

プロと一般の差はあるにしても、とにかくPK達(彼ら)のプレイヤースキルが低すぎる。

武器の射程や特性を理解していなければ、当然空振りや隙は増えるし、有効打は減る。……稀に筋の良い動きはしているが、あれは恐らくスキルなのだろう。 とにかく武器に合わせた体の()()()()が分かっていない。

 

立ち上がったクナイ使い……もとい忍者プレイヤーの右手には刀……確かあれも高レベル量産品(フィフティシア産)の武器だった筈だけど、それも使いこなせなければ宝の持ち腐れね。

 

「いくぞ!ナンベ!!」

 

絶妙なディレイを挟んだ同時攻撃……だが、恐らく偶発的なものだろう。これが狙ってできるなら()()()()()()()()()

 

メイスの一撃をワンステップで躱せば、直後の刀の一線にカウンターを叩き込める。

 

私はシャンフロ以外では格闘ゲームしかやらないが、格闘ゲームにだって武器を使うものはある。そして、格ゲーに置ける武器は一部のキャラクターの特徴(クセ)でしかない。中にはキャバレークライシスのような騎乗かつ武器戦闘メインのような特殊な作品もあるけれど、基本的に武器持ちだから強いなんて調整はされていない。

そんな格ゲーにも『素手よりも武器の方が強そうだから』『射程が素手より長いから』という理由だけで武器使いを選ぶビギナーは一定数居たりする。

 

……そして地方の対戦イベントでそういうプレイヤーに会った時は、決まってこう返すのだ。

 

「結局のところ、使()()()()()()()が強いのよ」

 

 

◇◇◇

 

まぁ、シャンフロは格闘ゲームではないのでステータス差とユニーク持ち出されると厳しい部分もあるのだけれど。

 

「あったわ。これね」

 

特に苦戦も無くギルドに戻った私は、PK情報掲示板を覗いていた。

 


237:名無しの開拓者

ナンベ、アリリベ、ゴトー、ガナーって四人組なんだよあれ

森の前で待ち伏せされた

 

238:名無しの開拓者

>>237

また来たな

 

241:名無しの開拓者

>>238

俺、純騎士だけど初耳

 

243:名無しの開拓者

↑さっきから生産職しか被害者がいない件


 

見立ての通り、プレイヤースキルはあまりなく、専ら弱者(生産職)を囲んでアイテムとマーニをがめていたらしい。

 


250:名無しの開拓者

>>237

待ち伏せって言ったけど、なんで森なんか行ったん?

 

259:名無しの開拓者

そういえば生産職がソロで行く場所じゃねぇよな

 

265:名無しの開拓者

>>250

待ち合わせ


 

「ん?」

 

 


290:名無しの開拓者

聖角買う約束だったんだよ

 

294:名無しの開拓者

あれ、原産地あそこだっけ?

 

296:名無しの開拓者

>>294

らしい。俺は見たことないけど

 

311:名無しの開拓者

>>290

もしかしてそいつマニュラ?

 

320:名無しの開拓者

お?

 

328:名無しの開拓者

ん?

 

340:名無しの開拓者

流れ変わったな


 

なるほどそういうことね。

 

 

◇◇◇

 

「ヨルムさん」

 

「おお、ペッパーさんじゃないですかぁ」

 

あの路地裏に行ってみると、タイミングよく商人プレイヤーのヨルムがそこにいた。

 

「もしかして、お金集まったんですかぁ?」

 

「ええ、なんとかね」

 

インベントリを操作してマーニを取り出し、ヨルムのインベントリ操作を待つ。

 

「ペッパーさん強いんですねぇ。PK四人相手に快勝は中々ですよぉ?」

 

「あら、知ってたのね」

 

「最近出てきた人たちでしてぇ、商人ロールプレイヤー(わたしたち)としても困ってたんですよぉ」

 

「お陰様で、なんとかお金も集まったわ」

 

お互いに譲渡処理を行い、マーニと聖角の交換を行う。

他にも必要な素材は幾つかあるが、最高難度のコレを手に入れられたのはかなり大きい。

 

「四人分ともなるとぉ、結構な額になったんじゃないですかぁ?懸賞金」

 

「まあ、それなりには、ね」

 

ヒュンッ

 

「……?!」

 

風切り音と共に、HPが減少した。足元に刺さった矢に、右腕に走る僅かな痺れ。

 

……屋根の上ね。

 

路地裏の壁となっている家屋の上を見上げると、弓を引き絞るプレイヤーの姿。

 

「はへぇ?!あ、あれマニュラじゃないですぅ?!!」

 

◆◆◆

 

くそっ、外しちまったか。

 

「まぁ、次で仕留めりゃ問題ねぇか。「天眼の一矢」」

 

あたんねぇなら、スキルで命中をあげりゃいいだけだ。

 

「ちっ。避けやがった」

 

命中が当たるって言ってもホーミングじゃねえしな。

さっきの(一射目)で気付かれちまった。

 

「ほかに命中上げれるスキルは……めんどくせぇ。適当に使うか。「鶴瓶射ち」「噴流の螺矢(ストリーム・アロー)」」

 

あとは引き絞って……ん?

 

「あ?どこ行きやがった?」

 

大通りに向かったか?流石に人混みに入られると殺りにくい。

 

「取り敢えず出口塞いで……ん?どこにもいねぇぞ?」

 

んなバカな。たかが生産職にこの一瞬で路地裏抜けれるほどのアシがあるとは思えねぇ。

となると脇道に逃げられたか?

 

パリン

 

「ん?なんだ今の音……」

 

一本手前の脇道からだな。

 

「なるほど。さてはそっちでポーション浴びてやがるな?」

 

「今度こそワンショットキルしてやる」

 

そうと決まりゃぁ、話は早ぇ。弓引きながら脇道を見下ろして……

 

「ん?」

 

いねぇぞ?

 

 

◇◇◇

 

「ヨルムさん、大丈夫ですか?」

 

「いやぁ、こっちは大丈夫ですけどぉ。どうするんです?」

 

屋根の張り出しの()()に入ったので、囮のポーションとあわせてもう少しの間は見つからないだろうけど……

 

「まぁ、時間の問題でしょうね。あの高さじゃ投擲は届かないし……ヨルムさんはインベントリに何かない?」

 

「んー。そうですねぇ……」

「あぁ、使い捨て魔術媒体(マジッククロール)ならありますよぉ」

 

なるほど。ラインナップは……

 

 

◆◆◆

28:ヨルム@聖角あります

マニュラ捕ったどー

[添付画像…]

 

31:名無しの開拓者

>>28

え?これマジもん?

 

33:名無しの開拓者

>>28

つか、ヨルムって商人ロールプレイヤーじゃ?

 

36:名無しの開拓者

>>28

kwsk

 

38:ヨルム@聖角あります

ほぼほぼペッパーさんの功績ですねー

 

41:名無しの開拓者

>>38

ペッパーis誰

 

43:名無しの開拓者

>>41

前板の752で四人組PKK報告した人

 

45:名無しの開拓者

>>43

あれマジだったのか…

 

48:ヨルム@聖角あります

PKKへの報復だったみたいけど、最終的にアポートショックボム落下スタンから私が縛ってそっち系のプレイヤーに引き渡したよ

まさか鑑定用で取ってた考古学ジョブが役に立つとは

 

50:名無しの開拓者

>>48

落下スタンってどこで戦ったんだ

 

51:ヨルム@聖角あります

>>50

街中

屋根の上から弓打ってきたのよ

 

54:名無しの開拓者

つまりアポートで屋根上まで転移→ショックボム当てて屋根から落とす→ヨルムっちが縛って終わりって流れか

 

57:名無しの開拓者

シャンフロって重力がちゃんと働いてるから遠距離だと高台有利になりがちなんだよな

 

 

◇◇◇

 

ごくり。と炭酸が喉を通り過ぎる。

 

「ふぅ」

 

冷蔵庫を開け、いつもの(ポテトフライ)を取り出し、電子レンジに放り込む。

 

「時間は……まだあるわね」

 

こうして定期的にシルヴィアと対戦しているものの、当然のように全戦全敗で、ケイも巻き込んで反省会の毎日が続いている。

 

 

温め終わったポテトフライをつまみ、ふと今日の出来事(PKたち)を思い返す。

 

「PKであのレベルなのよね」

 

やっぱり対人に関しては格闘ゲームをした方がいい気がするのよね。

 

「でもイレギュラーが多いのは確か、かな」

 

特にマニュラというプレイヤーに無警戒で攻撃を受けたのは良くなかった。可能性は十分あったことなのに、勝手に()()()()()()と思い込んでいた。

 

「カリカリになるまで温めても美味しいけど、ちょっと温めてしんなりしてるのもいいのよね」

 

そもそも、最初にPKに囲まれた事そのものが、想定不足と油断が招いたようなもので

 

「安すぎるとは思ったのよね……」

 

相手の思考を読む、引き出す会話術も勉強しないとダメかもしれない。シャンフロだけでなく、格ゲーにも活かせる技能には違いないわけだし。

 

……流石にアレ(名前隠し)はやりすぎだと思うけれど、ね。

 

 

 







PK5人組は、元阿修羅会でも所謂オルスロット側のPKです。阿修羅会でも特に目立った位置でもなく、取り巻きみたいな状態でトップクランの襲撃を受けました。根本的にプレイヤースキルが高くなく、ユニークアイテムを得られるほどの運も地位も無かったため、弱いものいびりに徹しています。
元々は低レベル狙いでしたが、聖角の高騰を機に戦闘能力の低く、それでいて聖角購入のための資金を集めていた生産職、特に薬剤士系プレイヤーを狙うようになります。生産職はパーティーを組んでのエリア攻略が基本のようになっており、高レベルでも戦闘に秀でていないプレイヤーが多かったのも理由でしょう。
今回はマニュラが仕掛人として立ち回っていましたが、偶然にもPKKされていてレッドネームが外れていた状態だったためです。最初の1人がやられた時点でマニュラも戦闘に参加していれば、もう少し善戦できていたかもしれませんが、レッドネームになると仕掛人として立ち回れなくなるため、静観を決め込んでいました。実際は1人がPKKされた時点で仕掛人を交代できるため、特にデメリットは無かったのですが……

ちなみに彼らは今回限りのモブの予定です。
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