企画タイトルは「チャンネル8ネフホロ2チャレンジ」。
『さあ、始まりました
放送
『夏目ちゃん調子はどうですか!』
「上々かしらね!」
第1回放送のあと、BLACK DOOL社に思うところがあったのか、ネフホロ2に実況リンクシステムなるものが導入された。
事前の申請は必要だが、イベントなどで特定のマイク音声をゲーム内プレイヤーにも出力できるというもの。
このお陰で第2回は大盛り上がりとなったのだから、BLACK DOOL社の判断は正しかったと言えるだろう。
「ルストさん、今どこですか?!」
「……B-17-24。こちらから合流するから
その位置だと私よりボスに近い。視界に映るのは廃ビルばかりで見えないが、ルストさんはレーダーでこちらの位置も
『夏目ちゃんがボスに向かうようです!ルストさんB-17-24と言ってましたがまだ見えません!』
『こ、今回のルストの機体はレーダー搭載なので……ルストは夏目さんとボス双方の位置を把握してます。このステージは合流後はボス一択なので、移動しながら合流しようと』
『なるほど……っと、そうこうしているうちにルストさんの機体が見えましたね!』
笹原さんとモルドさんの声を聞く前に、私は確かにルストさんを見つけていた。そして、その間に割り込む
『野良
ブースター出力
「野良
「……」
近距離は
これで互いに
シザーハンドの薙ぎ払いは屈んで回避可能!
ギョリン!
『レーザーブレードの
継ぎ目を破壊されたシザーハンドがただの鉄塊となってビルの下へと埋もれていく。
『……あ、はい。そうですね。……これで相手
『展開……あぁ!攻撃の直前にブレードを出してましたね!』
『レザブレは展開中燃料を喰うので、展開時間は短い方が理想的です。回復アイテムがあるストーリークエストとはいえ、節約は大事です』
『あ、説明しているうちに倒しましたね!グッジョブ夏目ちゃん!』
「……いい感じ。このままボスまで行く」
「もちろんよ!」
◆◆◆
鉛筆騎士王:モルドちゃんもテレビ慣れしたねぇ。先週はもうそれはコチコチだったのに
カッツォ:宣伝に逃げるそこの鳥頭より優秀だよね
サンラク:悪魔が猫被った上に化粧してるようなお前らとは違うんでな
鉛筆騎士王:次言ったらスクショを瑠美ちゃんに転送する
サンラク:おまっ、きたねぇぞこの
鉛筆騎士王:この?
サンラク:ルストに至ってはJGEから素全開だよな
カッツォ:露骨に逸らしたね……まぁ、ルストはペンシルゴンと同じで物怖じしないタイプだよね
鉛筆騎士王:番組の流れや尺を無視して語り続ける辺りまだまだだけどね
サンラク:素人に求めるライン高すぎねぇか?
カッツォ:戯れは構わないけどそろそろボスだよ
◇◇◇
「えっと……なんとなく分かってたけど、大きすぎないかしら?」
「……
ミサイル……!
右下方へ旋回し、ミサイル同士の間に滑り込む。
『ギガントの装備その1、左肩の遠距離ミサイルランチャーです』
まだギガントまではかなりの距離がある。私の
「……
「全部避けろってことでしょ!」
要するに直撃したら十中八九ゲームオーバーってことでしょ!
どこかの
とにかく一発を堅実に避ける!
「……次、
オッケーチャンスね!!
ここからは中距離武器での攻撃が通るはずね。
今はエネルギー残量は気にしない。とにかく攻撃と前進あるのみ!
「……3WAYレーザー、避けて」
『夏目ちゃんギガントの攻撃を避けながら接近を試みます!ここまでダメージゼロです!』
『あ、ミサイルが来ます』
『至近距離からのホーミング!これは避け』
『易いです。いえ、あれは遠距離のルスト狙いなので』
『あっ、ホントですね!あっさり避けてミサイルは後方へ!』
『次のバラ玉は夏目さん狙いなのできっちり避けたいところです』
『……ボスの攻撃パターンを憶えているんですか?』
『前作ではボスでもパターンは数えるほどだったんですけど、2の動きはほとんど対人レベルです。流石シャンフロシステムです。……とはいえパターンには限界はあるので、ギガントの各部位を注視すれば予備動作からの予測は可能です』
私も同じ質問を控室でルストさんにしたことがある。
曰く「やってればそのうち覚える」らしいが、マイナー含む全装備の予備動作をそらで言えるまでには一体どれだけの経験が必要なのか、
っと、また3WAYね。
流石にそこまでは憶えていないけど、銃口を向けられれば次の攻撃に備えるくらいのことはできる。
銃口の傾きからレーザーの拡散方向を確認して、発射と同時に垂直方向に避け……
「……ホーミング注意」
「え?」
直後、発射されるホーミング弾が
しまった、3WAYレーザーはフェイント……
いや、
ちがう。
これはディレイだ。
爆風と白煙が視界の片隅を遮る。
「……っルストさん!」
「……ホーミング残り7」
「了解!」
見えているのは5発、残り2発は煙の向こうね!
3WAYは……チャージまで目測2秒?
置きレーザーを考慮してルートを再構築、マージンを考慮して……
ええい、とにかく駆け抜けるわよ!
レーザー光が
3WAYを壊すにはあと数発必要だろうけど、もう関係はない。
「やっとここまで来たわよギガント……!!」
レーザーブレード展開!一気に畳み掛ける!
1HIT、2HIT、素手薙ぎ払い、回避
6HIT、回避、そうだゼロ距離レーザー撃ってみよう
7、8……多分17HIT、
遠距離武器でもゼロ距離多段ヒットならそれなりにダメージ出るのね。ブレードの方が効率がいいけれど。
25HIT、ギガントの3WAYが左腕から明らかな異音が鳴り響く。
「もうそろそろ限界でしょ!!!」
エネルギー残量は……
ホーミングは
バラ玉も問題ない。
刀のように振り回される3WAYレーザーの根元を、腕の内側に回り込むように旋回する。攻撃は止めないし止まらない。
……
…………
舞飛ぶ光線が、突如その軌道を変える。
それは腕の動きとはまるで連動しておらず、3次元的に回転しながら私の機衣人《ネフィリム》の横を通り過ぎていった。
3WAYが地上へと落下していくのを音と空気で感じながら、私は視線を、未だ不動のギガントへと向ける。
ギガントが、いやギガントの背中から轟轟と金属の擦れる鈍い音が響く。
ガコン、と何かが開く音。
『ギガントの
『ギガントの
ええ。真正面の私にもようやく見えたわ。
ギガントの上半身が唸りと共に捻上がる。
次の一瞬には
一度距離を取って……
「……ギガントは
「え、ちょっと?!」
もしかして
あわててバックステップした私の眼前を、チェーンソーが通り過ぎる。
……さっきまで当たり判定が大きいだけの
ネフホロ2では多段ヒットの仕様が追加されたことでチェーンソーは高火力武器に化けている。おそらく
背中から伸びた一本腕がチェーンソーの装備部位。右手に見えるけど左右のリーチの差はほぼなし。
バラ弾とホーミングを回避しながら、ギガントの攻撃動作を観察するしかないわね。
動きを観察して隙を探し、そこを突く。シルヴィア相手だと観察する余裕は無いけれど、
とはいえやっぱりあのリーチの長さは厄介なのよね……
近接武器がないから割と楽に倒せるんじゃないかと思っていた私が恥ずかしい。
…………
……ん?
「これ弱くなってない?」
待機から一転攻勢、ギガントの懐、胸部パーツの目の前に滑り込み、ブレードを連打する。
標準型の機衣人《ネフィリム》ならここにコアがあるはずだ。
ギガントの身体が唸る。もう一度チェーンソーが来る。
が
届かない。
そもそも背中から生えた腕で
要点を纏めると
「ギガントは真正面胸元が安置!」
「……正解。……この構成なら」
……
…………
………………
VRマシンから起き上がり一言。
「いや、硬すぎでしょ、あれ」
「えっと、最短ルートは
あぁ、モルドさん落ち着いたのね。笑いだすとスタッフがマイクを切るから状況が分からないのよね。
「もちろん、安置を維持して攻撃するのも、正攻法、です」
「皆さんお疲れ様でした~!いやぁ、流石でしたね夏目ちゃん!」
「……近接の立ち回りのセンスは流石」
「おっとルストさんからも良い評価が出ましたね!夏目ちゃんはどうでしたか?!」
どうでしたか、と聞かれると……そうね。
「うーん。相性に助けられた感じね。体格差も苦じゃなかったし」
「……ギガントが遠距離型だったのは幸運。近接型ギガントだと
「私としても予定時間ギリギリでクリアできたのでひと安心……あっ……いや、仕込みとかじゃないですよ?今のカット……生放送?えへへへへ」
「ルストもお疲れ様」
「……ん。私はここから
スタジオが一度暗闇に満たされ……そしてスタジオのMRがその様相を変える。
「さて!本今日はスペシャル長時間生放送!ご支援ありがとう
映し出されたのは格納庫、そこに鎮座する深紅の
「
5thステージ再戦~7thステージまでは第2回でしたが、尺の都合もあり8~9thステージはネット配信の裏特番として限定配信されました。