復讐の炎がこの身を焼き尽くす前に   作:上光

42 / 70
氷の魔人

 部屋の扉が開き、管理局の将官服を着た初老の男性と、彼に付き従う二人の年若い女性が入って来た。

 初老の男性がベッドの横へと歩み寄る。体幹を揺らさないその歩き方は、彼がかつては実戦で戦う魔導師であったことをうかがわせる。お固い将官服を規則通りに着用していながらも、洗練された優雅と洒脱を兼ね備えていた。

 付き従う二人の女性局員は男性の副官なのだろうか。印象こそ異なるが、互い双子かと思うほど似通った顔立ち。

 

 ウィルは半身を起こして彼らの方を向き背筋を正そうとするが、傷口にはしる痛みに顔をしかめる。

 男性は落ち着きはらった声と態度で、やんわりとウィルの行動をたしなめる。

 

「無理に動かなくてもかまわない。目覚めたばかりのきみに面会しようなど、非常識なことだとはわかってはいる。しかし、わからないことばかりで気が気でない状態では、きみも落ち着いて休めないのではないかと思ってね。無論、失礼ならおいとまするが」

「お心遣いに感謝します。ですが、英雄ギル・グレアムとお会いできるなんて、望外の光栄です。無理をする価値はあります」

「私を知っているのかね?」

 

 驚いたような言葉とは裏腹に、男――グレアムは眉一つ動かさない。対して、ウィルの声には熱がこもる。

 

「教本にだって載っている英雄の名前を忘れていたら、卒業を取り消されてしまいます」

 

 ギル・グレアム。

 管理局でも最難関とも言われる執務官、その彼らを束ねる執務官長、管理局の運営に関する諮問機関たる評議会のメンバー、支局の艦隊司令など、数々の重要な役職を歴任。現在は一線を退き、法務顧問官として局に勤めている。

 一介の魔導師としても、指揮官としてもその功績は輝かしい。

 直接会うのは初めてだが噂はいくつも聞いていた。その大半は、ウィルの友人であるクロノからだ。

 

「クロノからもお話は伺っています。良き師だったと」

 

 クロノは士官学校に入るまでグレアムのもとで指導を受けていたそうで、彼のことを非常に尊敬していた。聞いてもいないのに話を聞かされて辟易したこともある。

 グレアムは微笑みを絶やさずに首を横に振る。

 

「私はただ心得を伝えただけで、たいしたことはしていない。クロノを鍛えたのはこの二人だ。紹介しよう。リーゼロッテとリーゼアリア。私が若い頃から使い魔として公私を支えてきてくれた二人だ」

 

 グレアムの後ろに控えていた二人の女性が頭を下げる。

 彼女たちはグレアムの護衛も兼ねているのだろう。立ち居振る舞いにまるで隙がない。

 

「こうして直接話すのは初めてだが、私もきみのことは以前から知っていた。クロノやリンディ君から聞いていたのもあるが……きみは私の担当した闇の書事件の被害者の遺族だ。仕事上だが、きみのお父さんとも何度か話をしたことがある」

 

 ウィルはうなずいた。グレアムは十一年前の闇の書事件の捜査司令だ。

 元捜査司令としてのグレアムに聞きたいことは山のようにある。だが、今この時に聞くべきことは、また別にある。

 

「グレアムさんは俺に事情を説明するために来てくださった、と考えてもよろしいのでしょうか?」

「私はそのつもりだ。もっとも、きみが何を知りたいかによるが」

「では、グレアムさんの目的を教えていただきたいです」

「随分と漠然とした質問だ。まるで私が何かを企んでいるようだね」

 

 ウィルがここにいる理由とグレアムが無関係なわけがない。クアットロからの情報がなくとも、グレアムが不審人物であることに変わりはない。

 ウィルはヴォルケンリッターと遭遇して、戦い、死に瀕した。殺される直前に管理局に助けられたのなら、まずは事情聴取に捜査官が来るはずだ。

 まだこれがリンディやクロノといった旧知の面子が来るのであれば、事情聴取と共に怪我を負った知人の様子を見に来たとも思えるが、いくら接点があるとはいえグレアムが来るのは不自然にすぎる。

 そして、もう一つ。グレアムを疑う決定的な理由がある。

 

「では、質問を変えます。おれの友人に八神はやてってかわいらしい女の子がいるんですが、ご存じですか?」

「その子と私に関係があるのかね?」

「彼女の財産管理をしている人の名前が、グレアムと言うらしいんです」

 

 グレアムという名前自体はそれほど珍しくはない。もしもはやてからグレアムの名前を教えられた時に、ギル・グレアムのことを思い出していたとしても、管理外世界のよく知らない国に住むグレアムおじさんと、管理局の偉人であるギル・グレアムを関係づけることはできなかっただろう。

 しかし今は違う。

 闇の書の主である八神はやてに密接に関わる人物と、かつて闇の書事件の捜査司令の名前が同じで、なおかつウィルが闇の書の守護騎士と接触した直後に会いに来た人物がまさにそのギル・グレアム。これがただの偶然であるわけがない。

 

 所詮は情況証拠。確実な証拠は何もない。関係ないと言われればそれで終わり。

 しかし、隠しておきたいのならば、他の人に捜査官のふりをさせてウィルのもとに寄越すくらいのことはするはずだ。わざわざ顔を出すあたり、グレアムは初めからはやてとの関係を隠すつもりはない。

 正確には、外界との情報を遮断されている今のウィルに知られることに何の脅威も感じていない。

 それならば、その油断を利用してなるべく大きく踏み込んで情報を得るまでだ。

 

 その推測通り、グレアムは口の端を緩めると滔々と語り始めた。

 

「きみが気がつかないようであれば、隠し続けるつもりだったが……私の出身は地球でね。はやて君のご両親とは私の実家の都合で面識があった。こうなるとわかっていれば、偽名を使ったのだがな」

 

 グレアムはウィルから視線をそらし、虚空をさまよわせる。何もない宙空に、過去の光景が広がっているとでも言うように。

 その仕草が疲れきった老人に似ていて、目の前の人物が超人ではなく一人の人間だというごく当たり前の事実に、ウィルはこの時はじめて気がついた。

 

「あの子と私の出会いは、偶然の産物だ。私は管理局に所属しながらもたびたび地球に戻ることを許されており、地球にも友人がいた。闇の書事件を解決できなかった私は当時本当にまいっていてね。責任をとるという形で前線から退いた代わりに、少しでも人の力になって気を紛らわせようとしていた。他者を己の心の救済に利用しようという、救いがたい自己満足だ。その中で亡くなった友人の遺産管理を引き受け、その手続きとただ一人残された娘に会うために海鳴を訪れ、()()を見つけた」

「……闇の書」

 

 グレアムは微笑みながら肯定する。変わらない表情とは異なり、双眸には憤怒と悲嘆の入り混じった救われない渇きが宿る。

 

「私は管理局には連絡せず、独自に闇の書を調べ初めた。手始めに海鳴へと秘密裏に繋がる転送ポートを用意した。次に、親交のある管理世界の学者を内密に地球に呼び寄せ、闇の書を調べた。適切な施設は用意できなかったが、いざとなれば管理局ではできないような手段で調べるつもりだった。本当にどうしようもなければ、はやて君を殺して問題を先送りにすることも。そのような方法に手をつける前に、闇の書を止める方法を見つけることができたのは幸運だった」

 

 呼吸が途絶する。さらりと語られたおぞましい言葉への怒りも、その後に語られた事実に塗りつぶされた。

 にわかには信じられない。これまで何百年の間、誰も解決法を見つけられなかったのに。

 

「完全に暴走し無尽蔵に肥大化していく闇の書は手のつけようがないが、蒐集完了後、銀髪の女の姿となって暴走を始めた時点では、魔力こそ膨大なものの無限にも等しいはずの再生能力がほとんど機能していない。その間であれば、凍結魔法によって闇の書の機能を完全に停止させることができる。そのための凍結封印の式と専用デバイスの開発は終えている。後はヴォルケンリッターが蒐集を終えるのを待つだけだ」

「蒐集を見逃すつもりですか!?」

 

 発した言葉は、自分で思っていた以上に大きかった。

 闇の書が完成するまでには三桁を越える人が犠牲になる。その中には家族を持つ者もいるはずだ。蒐集を見逃せば、ウィルと同じように家族を奪われる者が大勢生み出される――たとえ必要だとしても、すぐに納得できることではなかった。

 

「蒐集による犠牲者の心配はしなくても良くなりそうだ。ヴォルケンリッターはきみを襲った翌日から蒐集を開始したが、今のところ死者は一人も出ていない。どうやら彼らは意図的に死者を出すことを禁じているようだ。このままうまくいけば犠牲者は最小限ですむだろう」

 

 グレアムの言葉に安堵しかけ、最小限という言葉にひっかかりを覚える。

 ウィルの頭に一つの疑問が浮かび上がり、同時に背筋を氷塊が滑り落ちる。たまらず疑問を口に出す。

 

「凍結するのは闇の書だけですか?」

「きみが想像している通りだよ。その段階になれば、もはや闇の書と主は不可分だ。闇の書を凍結すれば、はやて君も運命を共にする」

 

 血の気が引く音を聞いた気がした。口の中が乾き、指先が冷たくなる。

 怒りか、恐怖か。歯の根が合わずに、かちかちと音をたてる。歯を食いしばって震えを止め、さらに問い続ける。

 

「管理局には、まだ内密に?」

「幾人かの協力者はいるが、管理局そのものは関わっていない。最初から最後まで私の判断だ」

「……でしょうね。管理局がこのことを知れば、あなたの計画も頓挫して――」

「それはない。時間はかかるかもしれないが、最終的に管理局もはやて君を犠牲にする選択をとるはずだ。それ以外に解決の方法がないのだから」

 

 半世紀を管理局で過ごした人物の言葉には、単なる憶測ではなく確信の響きがあった。

 

「なら、どうして隠しているんですか?」

「管理局にその決断を下させてはならないからだ。大衆が求める管理局は弱者と正義の守護者であり、被害者の多寡を計る天秤ではない。尋常の事件であれば事件の存在そのものを秘匿することもできるが、凍結した闇の書を管理し続けなければならない以上、いつまでも隠し通すことはできない。はやて君のような罪のない子供を犠牲にしたことが知られれば、管理局への信用は著しく悪化する。ようやく安定し始めた管理世界全体のバランスを崩壊させるわけにはいかない。不祥事には代わりないが、部下を死なせ復讐に狂った老人が管理局をあざむき独断で実行し、管理局は必死に止めようとしたが間に合わずに封印が為されてしまった、という形にした方が世界全体への影響は遥かに小さくなる」

 

 語る未来の中ではグレアム自身も罪人として裁かれているのに、そのことに対するためらいはまるで感じられない。まるで管理世界全体を舞台にしたシミュレーションゲームの結果を述べているようで。

 半世紀を越えて管理世界を見てきた彼の見ているものが、ウィルには理解できない。

 

「あなたは……いったい何のために行動しているんですか」

「大勢が犠牲になることを防ぎ、勇敢なる局員に降りかかる脅威を取り除く。今の私はそれだけを思って行動している」

 

 犠牲者の数を予測し、その期待値が最も低い道を選ぶ。それがグレアムの行動理念。

 もしかしたら、あとちょっと待てば、ぎりぎりになれば、もっと良い方法が見つかるかもしれない。そんな希望を一蹴する、絶望に満ちた妄執。それがグレアムの原動力。

 閃光のように煌めき駆け抜ける雷のようなプレシアや、掴みどころがなく名状しがたい混沌めいたスカリエッティとはまた別種の狂気。

 目の前にいる人物は超人でも只人でもない。

 凍結された意思を刃として振るう冷徹な管理者。まぎれもない魔人だ。

 

「長くとも二月以内に事態は収束する。きみはそれまでの間この部屋に監禁され、全てが終わった時には被害者として救出される。それまで不自由を強いるが、世界のためにおとなしく囚われていてほしい。……病み上がりに辛い話を聞かせてしまった。今は休みなさい」

 

 一方的に告げて去ろうとするグレアムの背を見た瞬間、思わず声が出た。

 

「待ってください。……管理局以外の……たとえばロストロギアに関係する企業に協力を仰いで、今からでもはやてを犠牲にしない方法を模索することはできないんですか」

「いくつかの企業や国家とは知遇を得ているが、闇の書ほどの危険な代物を管理局に隠れて受け入れるようなまねができる所はない。古代ベルカの叡智を手にできるとしても、リスクがあまりに高すぎる」

「犯罪組織ならどうですか?」

「同じことだ。合法であれ非合法であれ、組織がこれほどの危険に手をだすことはない」

「……では、個人なら」

「私が協力してもらった学者も相当に優秀な人だったが、それでも完全な解決策はとても見つけられなかった。闇の書に対抗できる個人などいない」

 

 頭の中で理性的な自分が警鐘を鳴らす。

 スカリエッティのことを話してしまえば、闇の書事件が終わった後で自分に待っているのは破滅だ。いいや、自分が社会的に破滅するだけならかまわない。はやての命には代えられない。それに元から闇の書への復讐さえ果たせれば良いと考えて生きてきたのだ。たとえ命を失っても後悔はない。

 だが、きっとグレアムはウィルとスカリエッティが個人的に付き合いがあるとは思ってくれないだろう。養父のレジアスがスカリエッティに協力していることまで知られてしまう可能性は高い。

 その時、レジアスのさらに背後にいる者たちはどのように判断するのか。管理局の高官が大勢関わる恐るべき組織だとは聞いているが、それは失墜してなおいまだに強い影響力のある英雄ギル・グレアムに対抗し得るものなのか。

 

 このままグレアムに何も告げずに、クアットロたちに逃がしてもらうのが一番確実だ。

 ……けれど、その選択をした後でどうする?

 管理局にグレアムのことを教えたところで、グレアムの発言が正しいのであれば彼らもはやての命と引き換えにする方法を選んでしまう。

 ではスカリエッティに協力してもらい、闇の書、管理局、グレアムに続く独自の第四勢力になるか? 本当に? 子供の頃から世話になっているとはいえ、自分が頼み込んだだけでスカリエッティが喜んで協力してくれると? その妄想はあまりに楽観がすぎる。

 

 ここでグレアムの譲歩を引き出し、協力を取り付ける。それは避けられない最低条件だと直感で判断した。

 

「もしも……そんな人がいて、渡りをつけることができるとしたら。グレアムさんはたとえ相手が犯罪者であっても、協力を得ることをよしとしますか?」

 

 親父ごめん、と心の中で謝る。

 

「考慮するまでもない。不確定な可能性のために、犯罪者に闇の書のことを教えることはできない。管理局の未来を担うべき士官が犯罪者と繋がりを持つのは感心しないが、今は聞かなかったことにしよう。きみは意識を取り戻したばかりで、うまく頭が働いていないのだろう。ゆっくり身体を休めると良い」

 

 グレアムは話は終わったとばかりに再びウィルに背を向ける。

 

「なら、俺とあなたは敵同士ですね。俺ははやてを見殺しにはできませんから」

 

 グレアムはウィルに向き直り、笑う。

 

「敵? 重傷を負い、デバイスを持たず、この部屋から出ることさえできない。きみは私の敵ではない」

「でしょうね。でも、もしも、万が一……俺がここを脱出できたなら。その時にはあなたの計画を白日のもとにさらして、味方になってくれる人を募って必ず全てひっくり返します。そして――」

 

 これから語るのはただのハッタリだ。相手の協力を得るための恐喝だ。

 けれど、溢れる感情の奔流とともに、自然に言葉が湧き出てくる。言葉にすることで、ウィルは遅れて自分の中に渦巻く激情を自覚した。

 

「はやてを殺そうとするあんたらは、闇の書と同じで俺から大切な人を奪おうとする仇だ。闇の書と一緒に殺してやる」

 

 宣言と同時に、リーゼロッテがウィルの隣に一瞬で移動。その指先がウィルの首筋に触れる。リーゼアリアは位置はそのままに、掌をウィルに向けていた。

 ウィルは先生が――スカリエッティがよくやるように、不敵な笑みを浮かべ、彼のように語る。

 

「さあ、選んでください。俺を敵にまわすのか、まわさないのか――あなたの自由意思で」

 

 二人の間には、分子一つさえ動いていないのではないかと錯覚するような静謐。

 時間さえ忘れそうになった時、グレアムがようやく口を開いた。

 

「いざという時にそなえて、蒐集は続けさせる。何も解決策が見つからないようであれば、当初の予定通りにはやて君を犠牲にすることを受け入れる。きみがこの条件を飲むなら、私もきみの提案を受け入れよう」

「約束します」

 

 即答するウィル。しかし納得しない者が二人。

 

「「お父様!」」

 

 リーゼ姉妹が、同時に抗議の声をあげた。

 ウィルの首に手をやるリーゼロッテが、先に続ける。

 

「こいつの言葉は、私たちの自滅を狙うハッタリです! こいつがここから逃げ出すことはできません!」

 

 続けて、瞳孔を猫のように細めながら、リーゼアリアが言葉を紡ぐ。

 

「私はそうは思いません。彼の言葉には、ハッタリと一蹴できない何かがあります。彼はここから脱出できるような、何らかの稀少技能を保持しているのかもしれません。逃げられないように残りの三肢を折るか、麻酔で半覚醒状態のまま留めておきましょう」

「二人とも、手を下げなさい。私はカルマン君の発言をハッタリだとは思わないし、彼が逃げることを危惧しているわけではない。敵にまわさない方が良いと決定したのだよ」

 

 グレアムはリーゼロッテとリーゼアリアを交互に見据え、やがて二人の手がゆっくりと下がる。

 死地から生還した心持ちに、ウィルは大きく息を吐いた。と、その時ウィルの腹が大きく音をたてて空腹を知らせる。

 

「そういえば、きみは三日も何も食べていなかったのだな。すぐに食事を用意しよう。ああ、その前に――」

 

 グレアムが突然、指を鳴らした。その音に重なって、目にも止まらない高速で魔法が構築される。部屋の片隅で青色の光が輝く。発声ではなく、フィンガースナップの音をトリガーワードとした、極小規模な魔法。

 

「うぅ」「きゅう」

 

 グレアムの青い魔力光が消えると、何もないはずの空間がカーテンが風に揺らぐように歪む。

 透明なカーテンの向こう側から、二人の少女がかわいらしい悲鳴をあげながら姿を現す。クアットロとセインだ。どちらも今の魔法で気を失っている。

 黙って隠れて見ていたのは、単なる見物のつもりだったのか、それともウィルがスカリエッティのことを漏らさないように監視するつもりだったのか。何のアクションもなかったところからすると、きっと前者なのだろう。

 問題は、いざという時の脱出方法も、スカリエッティへの連絡方法も奪われてしまったということだ。

 

「先ほどから何かがいると思えば、こんな子供だったとは。きみの言葉が持つ何かも、この子たちと関係があるのだろうね。きみの発言はあまりにも自信に満ちていた。何か保障がなければ、あのような言葉は出せない」

 

 そう言って、グレアムは声もなく笑った。

 ウィルの口が酸素を求める鯉のように動く。しかし、声は喉でつっかえて出てこない。空気だけが抜けて、ひゅうと笛のような音をたてる。

 

「では、食事をしながらこれからのことを話しあおう。もちろん、この少女たちも交えて、ゆっくりと」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。