エルドレインの王権(一箱)を手にしてウキウキのさとりちゃん。箱を脇に抱えて勝手知ったる他人の家と言わんばかりにお隣の家にお邪魔。その家の子であるはじめ君と一緒にパックを片っ端から開封してカードを種類別にいそいそと仕分けていく。その間、はじめは手にしたカードを興味深そうにしげしげと眺めては黒い長方形のボックスにカードを入れていった。
「はじめは『黒』が好きだから『黒』でいいわよね?」
カードの仕分けが一通り終えるとさとりははじめに「──ほれ『黒のカード』……」と束になった『黒』のカードを手渡し、しぶしぶ受け取りながらもはじめはゲームの準備を始めるためにデッキを考案し構築する。
さとり vs ネコかまど
【1ターン目】
通常60枚以上と決められているが、今回は初めてということもあって「エルドレインの王権」のみ、それぞれ単色40枚でデッキを構築。はじめが先手で始まった。
「はじめは初心者だから先手を譲るわ。先手はドロー無しだからね?」
「いや、お前も初心者だろ。……えーと、土地は1ターンに1枚しか出せないんだよな?」
……と尋ねつつもはじめは7枚ある手札のうち『沼』を戦場(プレイする場所)に出してタップ(カードを横向きにする)黒のマナ1点を引き出す。
「──んで、こいつを出すぜ」
その黒マナ1点を使って手札から出されたのは黒のカード。
《大釜の使い魔》クリーチャー・猫「1/1」*1
「こいつの戦場に出た時に発動する能力でそっちはライフを1点失って、こっちは1点回復するぜ」
さとり 20点 → 19点 手札7枚
はじめ 20点 → 21点 手札5枚 沼1枚
《大釜の使い魔》「1/1」
「……んで『クリーチャー』は基本、呼び出したターンは召喚酔いの影響で攻撃できないから、ここでエンドと……」
「それじゃあ、こっちのターンね。『森』を出して《金のガチョウ》。《金のガチョウ》の戦場に出た時の能力で《食物・トークン》*2を1個生成。これで終わりよ」
さとりは山札(ライブラリー)からカードを1枚取って手札を増やすと手札から戦場に『森』を出してタップ、その緑マナ1点を使って……
《金のガチョウ》クリーチャー・鳥「0/2」
──を出し、ついでに《食物トークン*3》のカードを戦場に出すと、さとりはそこでターン終了を告げる。
さとり 19点 手札6枚 森1枚
《金のガチョウ》「0/2」
はじめ 21点 手札5枚 沼1枚
《大釜の使い魔》「1/1」
【2ターン目】
「アンタップ。まずは横向き(タップ状態)になったカードを縦向きにして、*4次にドローで手札を1枚補充……っと」
口に出して確認しつつ、タップ状態の『沼』をアンタップし、ライブラリーからカードを1枚引いて手札に加えるはじめ。手札から『沼』を1枚戦場に出してタップ、その黒マナ1点から……
「アーティファクトの《魔女のかまど》を設置。クリーチャーではないアーティファクトなら出したターンから能力が使えるんだよな?」
「エルドレインの王権」のアーティファクトの一つ、マナ1点で設置できる。《魔女のかまど》それの能力は自分のクリーチャー1体を生け贄に捧げることで《食物トークン》1個に変えることができるのである。
さとりは出されたそのカードを見るなり、見るからに至極イヤなそうな顔をした。
「《魔女のかまど》を使うなら相手のターン、私のターンの時に使った方がいいわよ?」
「なんでだ?」
「私が召喚酔いの影響を受けないクリーチャー・カードとか持っていたらブロックするのがいなくなるでしょ?」
「なるほど」
さとりに言われて、はじめはアゴに手を当てて思案にふけるものの、やがて言われた通りにするらしく、このターンの終了を告げる。
さとり 19点 手札6枚 森1枚
《金のガチョウ》「0/2」
はじめ 21点 手札4枚 沼2枚
《大釜の使い魔》「1/1」
「私のターン。アンタップして1枚ドローしてメイン。『森』を一つ置いて緑マナ1点で《切なる思い/恋煩いの野獣》の出来事呪文*5を使用。白の「1/1」《人間トークン》を置いて……。《切なる思い》は追放領域。これでこっちは終了よ。はい、どーぞ。ネコかまど*6やるならこの辺りがいいんじゃない?」
「ほほう、ずいぶんと余裕だな? ほんじゃあ遠慮なく、やらせてもらうぜ? ……《魔女のかまど》をタップして《大釜の使い魔》を生け贄に捧げて《食物トークン》に変える。……んでこの《食物トークン》を生け贄に捧げて墓地*7にいる《大釜の使い魔》を戦場に戻す。この時に《大釜の使い魔》の戦場に出た時に発動する能力が発動……ってややこしいな、これ」
■《魔女のかまど》をタップ
《大釜の使い魔》を生け贄に捧げる。 → 墓地に置かれる。
《食物トークン》1個生成
■その《食物トークン》1個を生け贄に捧げる。
墓地にある《大釜の使い魔》を戦場に戻す。
《大釜の使い魔》の戦場に出た時の能力が発動
《大釜の使い魔》の移動と《食物トークン》のカードの用意であたふたするはじめにさとりも面倒なったのか省略化を提案する。
「面倒だから《魔女のかまど》タップするだけでいいよ」
「……次からそうするわ」
さとり 19点 → 18点 手札5枚 森2枚
《金のガチョウ》「0/2」《人間トークン》「1/1」
はじめ 21点 → 22点 手札4枚 沼2枚
《大釜の使い魔》「1/1」
【3ターン目】
「……『沼』を置いてエンドだ」
このターン、はじめは《大釜の使い魔》「1/1」で攻撃しても、さとりの《金のガチョウ》「0/2」でブロックされるだけと考え、土地を一つ置いて終わらせた。
さとり 18点 手札5枚 森2枚
《金のガチョウ》「0/2」《人間トークン》「1/1」
はじめ 22点 手札4枚 沼3枚
《大釜の使い魔》「1/1」
「私のターン! せっかくだから《人間トークン》で攻撃よ! ちなみにこの時クリーチャーをタップ状態にするのよ」
「いきなりかよ!?」
さとりは攻撃を宣言すると《人間トークン》「1/1」をタップして攻撃表示に……
「そっちはブロック指定できるけど、どうする?」
「《大釜の使い魔》で《人間》をブロックして《魔女のかまど》を使う。どういう理屈でブロックが成立するのか、いまいち分からねえけど」
「ネコが残像して人間の攻撃を空振りさせたのよ」
「……なるほど。とりあえず《魔女のかまど》をタップさせて《食物トークン》を生成するわ」
そう言って、はじめは《大釜の使い魔》を墓地に置き、《食物トークン》1個を自分の戦場に置く。
「悪いけど私のターンはまだ終わっていない! 『森』を1枚置いて緑マナ3点から追放領域にある《恋煩いの野獣》を唱えるわ!」
……と追放領域に置かれていた《切なる思い/恋煩いの野獣》をクリーチャー呪文として唱え、そのまま戦場に置く。
「3マナで「5/5」って強くねえか?」
「その代わり「1/1」のクリーチャーをコントロールしていないと攻撃できないのよね。まあ、ブロッカーとしては使えるけど。ほいエンドよ」
「ああ、そのための《切なる思い》か……。ほんじゃあ、そっちのエンド前に《大釜の使い魔》復活」
「ほいほい」
「さらに黒マナ3点で出来事呪文インスタント*8の《不敬な洞察》でカードを1枚引いて、ライフを1点失う」
「……「
「どんなクリーチャーでもこいつから1点でもダメージを食らったら死亡するんだよなぁ?」
「ええ、そうよ」
さとり 18点 → 17点 手札5枚 森3枚
《金のガチョウ》「0/2」《人間トークン》「1/1」
《恋煩いの野獣》「5/5」
はじめ 22点 → 23点 手札4枚 沼3枚
《大釜の使い魔》「1/1」
《不敬な洞察》23点 → 22点 手札4枚 → 5枚
【4ターン目】
「俺のターン! ドロー! 黒マナ3点で《ロークスワインの元首、アヤーラ》*9! 《アヤーラ》の効果でそっちはライフ1点減って、こっちは回復!」
「ぬぬっ」
さとり 17点 → 16点 手札5枚 森3枚
《金のガチョウ》「0/2」《人間トークン》「1/1」
《恋煩いの野獣》「5/5」
はじめ 22点 → 23点 手札5枚 沼3枚
《大釜の使い魔》「1/1」《アヤーラ》「2/3」
「『沼』を一つ置いてタップ。黒マナ1点で追放領域の《穢れ沼の騎士》を唱えさせてもらうぜ。黒のクリーチャーだから《アヤーラ》の効果が発動する。これでエンドだ」
さとり → 15点 手札5枚 森3枚
《金のガチョウ》「0/2」《人間トークン》「1/1」
《恋煩いの野獣》「5/5」
はじめ → 24点 手札4枚 沼4枚
《大釜の使い魔》「1/1」《アヤーラ》「2/3」
《穢れ沼の騎士》「1/1」
「ドローして『森』を1枚置いて4枚の『森』から《意地悪な狼》*10を召喚。そっちの《アヤーラ》と格闘して破壊!」
さとり 手札6枚 → 4枚 森4枚
《意地悪な狼》との強制格闘で《アヤーラ》は破壊されて墓地に置かれ、はじめの陣営は《大釜の使い魔》と《穢れ沼の騎士》の2体になった。
「《人間》と《恋煩いの野獣》で攻撃!」
「……《野獣》は《使い魔》でブロックして《かまど》。《人間》の攻撃はプレイヤーで食らう」
はじめ → 23点
この後、さとりは終了を告げて、そこへはじめが《食物》を生け贄に捧げて《大釜の使い魔》を墓地から戦場に戻す。
さとり → 14点 手札4枚 森4枚
《金のガチョウ》「0/2」《人間トークン》「1/1」
《恋煩いの野獣》「5/5」《意地悪な狼》「3/3」
はじめ → 24点 手札4枚 沼4枚
《大釜の使い魔》「1/1」《アヤーラ》→墓地
《穢れ沼の騎士》「1/1」
【5ターン目】
「ドローして『沼』を設置。2枚タップして黒マナ2点で出来事呪文《運命の修正》。墓地の《アヤーラ》を手札に加えて、《真夜中の騎士団》を追放領域に、残り3枚の『沼』黒マナ3点で墓地から回収した《アヤーラ》を再び召喚、ライフ1点消失に1点回復」
さとり → 13点 手札4枚 森4枚
《金のガチョウ》「0/2」《人間トークン》「1/1」
《恋煩いの野獣》「5/5」《意地悪な狼》「3/3」
はじめ → 25点 手札4枚 沼5枚
《大釜の使い魔》「1/1」《アヤーラ》「2/3」
《穢れ沼の騎士》「1/1」
「ドロー。『森』1枚設置してから『森』4つから緑マナ4点で「警戒*11」「接死」「速攻*12」持ちでさらにパワーが2以下のクリーチャーはこいつをブロックできない《探索する獣》*13を召喚! 呼び出した《探索する獣》と《恋煩いの野獣》に《意地悪な狼》の3体で攻撃!」
「くそっ! 《探索する獣》は止められないな! 《意地悪な狼》には「破壊不能*14」があるから《穢れ沼の騎士》をぶつけてもこちらが死ぬだけだな。……なら《恋煩いの野獣》は《穢れ沼の騎士》でブロックして相討ち、《意地悪な狼》は《大釜の使い魔》で止める!」
「《探索する獣》は通った! 『森』一つと《食物》一つを生け贄に捧げて《金のガチョウ》のマナ生成能力を使ってエンチャント─オーラ*15《ケンリスの変身》*16を《アヤーラ》につける!」
「能力を封じられるのか、なら大鹿に変えられる前に《大釜の使い魔》を戻して能力を発動させる……ことはできるんだよな?」
「クリーチャーやアーティファクトの能力は呪文よりも早く処理されるからね。どうぞ。ついでに私のターンも終わりよ」
さとり 13点 手札3枚 → 4枚 森5枚
《金のガチョウ》「0/2」《人間トークン》「1/1」
《恋煩いの野獣》「5/5」→墓地
《意地悪な狼》「3/3」→ブロック
《探索する獣》「4/4」→プレイヤー
はじめ 25点 手札4枚 沼5枚
《大釜の使い魔》「1/1」《アヤーラ》「2/3」
《穢れ沼の騎士》「1/1」ブロック → 墓地
《探索する獣》→ 25点 → 21点
《大釜の使い魔》《アヤーラ》の能力
さとり 13点 → 11点
はじめ 21点 → 23点
「だいたいのコツは掴めた。どうでもいいけど読心術は使わなくていいのか?」
「最初ぐらいは能力なしでプレイしようと思ってね。……ところで最後まで続ける?」
「当然」
はじめはそう言うとカードを引くべくライブラリーに手を伸ばす。彼らの試合はまだまだ続きそうだ。
ざわ…( ´・ω・)にゃもし。ざわ…
■MTGを文字だけでどのように表せばいいのか悩んだ結果。
■ぱぱっと書けるだろう。→無理でした。