あと、女帝のカード。
オリジナル展開。
ちょい、グロ?
妹であるシェリーの仇討ちを無事に終えたポルナレフは、DIO討伐のたびにこれからも同行することになった。
なのだが……、バスの中で、ポルナレフ……絶賛ナンパ中。
ナンパしているのは、ネーナというインド人の美女。
「まったく…、アヴドゥルさんが知ったら呆れ返るだろうに。」
やれやれと花京院がため息を吐く。
「……寒い…。」
「寒い? おいおい、インドのこの暑苦しい気候で寒いってのは…、花梨?」
「……寒い…、寒い…。」
花京院の隣の席に座っていた花梨は、窓側に体を寄せて眠っていたが、寒い寒いっとうわごとを言っていた。
その体がガタガタと震え、顔色は青く、変な汗をかいている。
「様子がおかしい! 花梨ちゃん! 起きろ、花梨ちゃん!」
「こりゃ、いかん!」
花京院達が尋常じゃない花梨の様子に焦る。
「ベナレスで一旦降りましょう!」
花京院が花梨を背負うが、花梨の口からポタリッと黒い液体のようなドロリとしたモノが一滴落ちた時…、バスの床がジュッと溶けた。
そして黒い穴のように黒い影のようなモノが広がり、少しずつ少しずつ穴が大きくなっていたが、誰も気づかなかった。
***
その後、ベナレスの病院に行ったが…、診察結果は、異常なしであった。
ただ、寒気を感じているということは、風邪を引きかけているのかもしれないと、処方箋として風邪薬だけを貰うことになった。
「インドは不衛生だからな~。変な病気がついちまったのかも…。」
ナンパを中止し、花梨を心配するポルナレフ。
「薬は貰ったことだし、ひとまず様子を見よう。」
「……すみません。」
「別に良いぜ。謝るな。」
ベットで寝ている花梨が謝ると、承太郎がそう言ったのだった。
「まだ寒いかい?」
「…マシになりました。」
「そうか。よかった。」
「なんか買ってきてやろうか?」
「………だいじょうぶ、です。」
「花梨。こーいうときは、ワガママ言っていいんだぜ?」
「……ラスグラ。」
「らす?」
「インドのお菓子…。」
「へ~、甘いの好きなのか?」
「私…、甘党…。」
「意外だぜ。」
「じゃ、俺らの分も買って帰ろうぜ。」
「……。」
ポルナレフ達は知らない。
ラスグラ。
それは、インドの菓子にして。
世界一甘いと評される凄まじい物であることを。
「じゃあ、誰かが残って…。」
「私が…見ています。」
「ネーナ?」
「ベナレスまで送っていただいたご恩ですから。」
「そうか、そりゃ悪いな! じゃあ、お言葉に甘えるぜ。」
「……いや、僕が残るよ。」
「花京院?」
「見ず知らずの方にお任せするのは…。」
「花京院さん…。だいじょうぶですから。」
「そーだぜ、花京院。ネーナは悪い子じゃねーよ。なあ、承太郎。」
「……。」
ノーコメントの承太郎。
「まあまあ、すぐに戻ってくるんじゃ。少しの間だけならだいじょうぶじゃろう。さあ、早く行こう。」
ジョセフがそう言い、一行が出て行く中、花京院は後ろ髪を引かれる思いで出発した。
ホテルの部屋には、横になっている花梨と、椅子に座ったネーナが残された。
「………二人きりに…なりましたね。」
「ええ。そうね。」
するとネーナが、花梨が寝ているベットに乗り上げた。
「…なんですか?」
「ポルナレフ様には悪いですが…、私…、貴女の方が好みで…。」
「ふーん…。」
「お近づきに……、口づけを…。」
「……お断り、します。」
「ーーっぐ!?」
次の瞬間、ネーナの後ろに現れたムーディー・ブルースがネーナの首を掴み、花梨から引き離した。
『やはり、ポルナレフの言うことは信用ならないな。』
「!」
『僕が見えているということは…、ネーナ、お前は刺客と見ていいんだろう。』
そこへ花京院のハイエロファントグリーンが現れ、それに驚いたネーナが反応した。
見えるということは、ネーナがスタンド使いであることを意味する。
「ちぃっ!」
ネーナがムーディー・ブルースをその細い腕で振る払い、部屋から飛び出そうとしたが、ハイエロファントグリーンが立ちはだかった。
「ハッ!」
ネーナが体術でハイエロファントグリーンを撃破しようとする。
「花京院さん…、その人のスタンドは…、物質同化型…。アイツと…節制と同じ。でも…。」
「!」
「こっちの方が虚弱。」
『なるほど。なら…。』
「きゃあああああああ!」
『!』
次の瞬間、ネーナが大きな悲鳴を上げた。
「どうした、ネーナ!?」
そこへ買い物を終えたポルナレフが駆けつけた。
「なっ、ハイエロファントグリーン!? 花京院、てめーなにやって…。」
『コイツは敵だ、ポルナレフ! スタンド使いだ!』
「ポルナレフ様、助けて!」
「えっ、えっ? わっ!」
混乱するポルナレフの後ろへ隠れたネーナは、素早くナイフを取り出し、ポルナレフの首に当てた。
さらにその腕から肉と同化したスタンドを出す。
「まったく、油断しちまったよ…。ひとりひとり…このエンプレス(女帝)で喰らい殺してやるつもりだったが、予定が狂っちまったじゃないかい!」
『ホレホレ! ポルナレフの命が惜しかったら動くんじゃないよー!』
本体とスタンド、両方で喋るネーナ。初めて接触したときとは違い、ガラの悪さが浮き彫りになっている。
その時であった。
ゴルルル…
何か…獣の唸り声のような音が聞こえた。
「?」
花梨は、ブルッと寒気に襲われた。
そして、ホテルの部屋の窓ガラスが割れ、何かが飛び込んできた。
黒く、ドロドロの表面。
四本足なので辛うじて動物を彷彿とさせるが、その匂いは最悪で、下水も脱兎で逃げ出しそうな悪臭を放っている。
『ゴルル…、ぶぐゴボ…!』
獣の唸り声のような音に混じって、何かが湧き出すような奇怪な音が混じっている。
「ひっ!」
その得体の知れないナニかに恐怖したネーナが短く悲鳴を上げた瞬間、ポルナレフは隙を突いてシルバー・チャリオッツでネーナを弾き飛ばした。
『ゴボボボーー!!』
「あっ…、ぎゃあああああああああああああああああああ!?」
壁に叩き付けられたネーナに、その得体の知れないナニかが飛びかかった。
「な、なんなんだ、コイツは…!?」
「おい、なんのさわ…、うっ!」
「うえええ! なんじゃ、この匂いは!?」
後から追いついた承太郎とジョセフが、ナニかの匂いに鼻を塞いだ。
ホテルの部屋の中に、バリボリ、バキブチャ…っと、貪り食う音が鳴る。
「ぁ…っ…う…ぁ…。」
『花梨ちゃん!』
寒気に震え、ベットの上で蹲る花梨に気づいたハイエロファントグリーンが駆け寄る。
すると、ネーナを喰っていたナニかがあり得ない角度で首を回し、そちらを見た。
「オラァ!」
承太郎がスタープラチナで、その得体の知れないナニかを殴った。
その瞬間。
「ぐっ!?」
「承太郎!?」
突然白目を剥いて倒れ込む承太郎にジョセフが焦った。
『グ、ギ…ギャ、ォォオオオ!』
ソレは、奇妙な鳴き声を上げながら、花梨とハイエロファントグリーンの方へ飛びかかろうとした。
「ーーーオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!」
グルンッと目が戻った承太郎が立ち上がり、スタープラチナで、ソレをメチャクチャに殴った。
ドロドロの体は、みるみるうちに飛び散っていき、部屋中に飛び散って、壁や床、家具を溶かして、やがて黒い煙となって蒸発した。
承太郎は、フラリッと倒れそうになったのでジョセフが支えた。
「承太郎、なにが起こったんじゃ!?」
「わ、からねぇ、だが……アレは………、生易しいモノじゃ…。」
承太郎は意識を失った。
「承太郎!」
気絶した承太郎にジョセフが叫ぶ。
あと、花梨も寒気のあまりに気を失っており、ホテルの部屋を変えて、看病した。
ベナレスを離れたのは翌日であった。
なお……、ラスグラについては、花梨が目を覚ましてからあげたが、平然と食べている花梨を見てからジョセフ達も食べて、その激甘に悶絶、悲鳴モノの阿鼻叫喚になったのだった。
筆者は、女という身を利用して悲鳴を使って陥れるやり方のアレは、大嫌いです。
ラスグラのネタは入れたかった……。
花梨、実は甘党っという設定追加。
世界一甘いと言われているインドのお菓子で、白くて丸い形をしたシロップ漬けみたいな菓子です。
ネーナを喰った謎の存在の正体とは……?