ほぼほぼ原作通りだけど、花梨が自動操縦型スタンドの説明をするなどオリジナル部分もアリ。
「暑い…。」
「我慢しとくれ。お国柄の問題じゃから。」
アラブの宗教上の理由で、女性は全身を包むような布の服を身につける決まりになっている。男性の前で髪の毛や肌を晒してはならないのだ。
一行は、カラチから船に乗り、治安の不安からイラン、イラクを横断せず、アラブ首長国連邦に入国した。
アラブに入って車を購入し、道路をひた走る。
その途中で見渡せる家々は、どれもこれも豪邸だった。東京ならば相場で30億や40億はするような豪邸だ。この国は、石油ショックでこのような状態らしい。
ジョセフがこれからのルートについて地図を広げて説明をした。
まず、砂漠を横断し、そして砂漠の町でセスナを買ってサウジアラビアの砂漠を横断するというルートである。
承太郎は、セスナと聞いて、生涯に3回も墜落を経験した男(3回目はギリギリ)と一緒に飛行機に乗りたくないっとコメント。ジョセフは、それについて不服そうにしていた。
「私の世界の祖父は…、母の話だと、飛行機に乗るのを諦めてもっぱら船を利用していたそうです。」
「だ、そうだ。」
「こりゃ! まだ決まったわけじゃないわい!」
孫×2(ひとりパラレルワールド)に言われ、ジョセフがプンプン怒った。
「まあ! とにかく! まずヤプリーンという村へ行くため、砂漠をラクダで横断する!」
「ちょ、ちょい待てよ! セスナはともかく、ラクダは…。」
「ふっふっふっ…、それはわしに任せておけ。」
「……。」
すでにイヤな予感しかしないが、花梨も承太郎も黙っていた。
***
人数分のラクダが、ブフーっとヨダレと鼻息を吐く。
「くっせ~!」
動物特有の悪臭に、ポルナレフが鼻を摘まむ。
「どうやって乗るんですか?」
花京院が聞くと、ジョセフが自信満々に胸を張る。
「まあ、見ておけ。こう…、こうやって…、こりゃ! 座れ! 座らんか!」
「おい、ジジイ。実は知らねーな?」
「知っとるわい! わしゃ、あのクソ長い映画『アラビアのロレンス』を三回も観たんじゃぞ! 乗り方くらい…、ブッ!?」
悪戦苦闘するジョセフに、ラクダがヨダレをぶっかけた。顔に。
「そのラクダ…、オスですね。オスのラクダは、威嚇行動としてヨダレを飛ばすそうです。」
「よく知ってるね?」
「変なことするから、怒るんですよ。この子達は、売り物なら、人慣れさせてあるはずです。」
そう言って花梨が、自分に宛がわれたラクダを座らせ、要領よく乗って見せた。
「………負けたな、ジジイ。」
「うっさいわい!」
「乗るときが肝心です。後ろ足から上げるので、前のめりになって振り落とされないように。あと乗ってからも、ラクダ酔いに気をつけてください。」
「ラクダ酔い?」
「車酔いと同じです。」
「あっ、そういうことね。」
「それにしても、随分となれてるな、花梨。誰かから教わったのか?」
「はい、シーザーさんって方から。」
「!?」
「どうした、ジジイ?」
「あ、いや…なんでもないわい。」
ジョセフは慌てて首を振る。
そして全員がラクダに乗り、出発。
***
ラクダの後ろに木の枝と葉を吊るし、足跡を消しつつ、進んでいく。
しかし、花京院はしきりに後ろを気にしていた。
「花京院、だいじょうぶか? そんな後ろを気にする必要ねーぜ?」
「いえ…、しかし、さっきから視線を感じる気がするんです。」
「数十キロ先まで見渡せるんだぜ? 何かいたらすぐ分かるだろ?」
「いや…、俺も気になっていた。」
「私もです。」
「承太郎、スタープラチナの視力で調べろ。」
「ああ。」
承太郎がスタープラチナを出し、周りを見回す。
しかし、なにもいない。
だが気配はあるのだ。
花梨は、アッと気づいて、声を漏らした。
「どうした?」
「時計が…。」
「へっ? ……なっ、午後8時!?」
「お、俺の時計もだ! 8時10分だぜ! どういうことだ!?」
「太陽が…。」
花梨が指差す。
その先を見ると、本来なら沈むはずの太陽がグングン昇ってきて自分達を暑く照らし始めたのだ。
「ぐわ、あっちーーー! 温度が急上昇してるぜ! このまま俺達を時間を掛けて焼き殺す気か!?」
「いや、そんな時間はかからん。サウナでも30分もいれば命の危険になる。」
「まずい、ラクダが熱でやられそうだ…。」
「手っ取り早いのは…、本体をぶっ飛ばすことだが…。」
「遠距離型って可能性があるんじゃねーか!?」
「それはない! このパワー…、間違いなく本体は近くにいる!」
「『ホワイト・アルバム』。」
「うお! 涼し!」
「マイナス200度以上までいけますけど?」
「そこまでせんでいい!!」
「せめて距離だけでも測ってみます! ハイエロファントグリーン!」
「花京院、気をつけろ!」
花京院が挙手し、ハイエロファントグリーンを出して敵のスタンド『太陽(ザ・サン)』に近づいた。
「10…、40…、50…、80…100…!」
その時、太陽がカッと光った。
「気をつけろ! 仕掛けてくるぞ!」
その叫びが遅かったか、太陽から放たれた攻撃がハイエロファントグリーンを襲った。
「ぐあっ!」
「花京院さん!」
「げっ、ラクダが!」
太陽から放たれる光線のような弾丸が、ラクダを撃ち抜いて殺した。
「穴を掘るぜ! 避難しろ!」
承太郎がスタープラチナで砂漠に穴を掘り、そこに全員が逃げ込んだ。
「だいじょうぶか、花京院?」
「え、ええ…、なんとか。」
ホワイト・アルバムで穴の中を涼しくしながら、花梨がジッと穴から太陽を見た。
「……自動操縦型ではないみたいですね。」
「じどう…?」
「スタンドの中には、本体の意思に関係なく何らかの条件が揃えば動くスタンドがあります。本体がありながら、ダメージフィードバックがなく、そして、目的を達成するまで永遠と動き続けるという特性があります。ただし、自動…オートで動くので、本体はスタンドの動きをまったく把握できないという弱点はありますし、シンプルなため、攻撃力も防御力高いですが、決まっている単純行動しかできないという欠点もあります。」
「でも…、あの太陽は違う。明らかに僕のハイエロファントグリーンが近づいたから攻撃をした。」
「はい。だから、自動操縦型ではありません。間違いなく…本体が目で見て行動しています。」
「何らかの方法で、姿を隠しながら、俺達を追跡してきたってわけか?」
「これだけのパワー…、やはり近いですね。自動操縦型は例外として、近ければ近いほどパワーは強まる。……あっ。」
「どうしたんだい?」
何かに気づいた花梨が、グイッと花京院の袖を引っ張って、指差した。
「……プッ…、は、ハハハハハ、アハハハ、クヒヒヒ、ノォホホホ!」
「おい、花京院、どうした!?」
急に笑い出した花京院に、ジョセフが焦った。
「…クッ…、ふふ…ハハハハ。」
「承太郎!?」
「ブフッ! く、ククク! ギャハハハハ!」
「ポルナレフ!? オーノー! お前達、暑いところから急に涼しくなったから頭がいかれたか!?」
「違うぜ、ジジイ。見ろ、アレを。」
「なんじゃ? 岩しか無いぞ?」
「ボケるにゃまだ早いぜ。見てな。オラァ!」
承太郎がそう言いながら石を拾い上げ、スタープラチナで投げた。
するとガシャーン!と景色がひび割れ穴が空いた。
「なんじゃ!? 一方の岩の傍にひび割れが…。」
「ここまできても分からねーか? 太陽は…消えたな。」
「単純なスタンドほど強いとは言うが、スタンドじゃなくても単純な仕掛けも脅威になるものなんだね。」
「特にこんな砂漠じゃな。」
そして、一行は、割れた景色の部位に行ってみる。
そこには、小型の車があり、鏡を前に設置して移動していた事が分かり、そして投げた石でノックアウトした太陽のスタンド使いらしき男が倒れていた。
「見てください、冷房に、水…食料…、なんて快適な旅をしていたんだか?」
「おそらく、あの太陽のスタンドは、本体まで巻き込んでしまうのでしょう。だから万全な状態でなければ自分もやられていた。」
「位置からすると…、あの太陽の真下か…。真上に出現するじゃ、そうするしかねーな。」
「えっ? コイツ、もー終わり? あの凶悪な太陽のスタンドだったというのに?」
「コイツ…律儀に免許持ってるぜ。名前は、アラビア・ファッツ。」
「それよりか、早いとこ砂漠を越えようぜ。夜の夜中で寒くってよぉ…、はっ…ハーっクション!」
最悪氷点下まで温度が下がる夜の砂漠に、ジョースター一行の笑い声が響いたのだった。
3部じゃ、まだ自動操縦型スタンドは出てませんよね?
次回は……、ホラーっぽい展開を予定します。
マニッシュボーイが……?