原作展開と、オリジナル展開入り乱れ?
人体の一部を切断描写有り。注意。
イギーは、ビクビクしてアヴドゥルの膝の上に乗っている。イギーの視線の先には、花梨がいる。
ウ~だの、グルル~だのっと、唸ったりしているイギーは、気が気じゃないのだろう。
花梨は、いつものように淡々とした様子でいるが、花京院には分かる。これは、好きな動物に嫌われて落ち込んでいると。
花京院は、イギーを睨んだ。イギーは、なんだよ?と言わんばかりににらみ返してくる。
「…彼女に何かしてみろ。僕が許さないからな?」
「ウウウ…。」
そう警告する花京院に、イギーは唸る。
「落ち着け、花京院。」
「ですが…。」
「イギーもだ。言っておくぞ。イギー、お前では花梨には勝てん。」
「グルルル!」
そんなことは分かっとるわ!っと言わんばかりに、アヴドゥルを睨んで怒るイギー。
「ざまーねーな。」
「ワン! グルルルルル!」
「へん、オメーにはしてやられたがよー。花梨に勝てねーって分かったら怖くなくなったぜ。でも、ま、なんでそこまで怯えんだ?」
「フンッ!」
「まっ、犬のお前に聞いても理由を喋れるわけねーもんな。」
「……。」
「おい、なんだその目は? いかにも何か言いたげだな?」
イギーが何か言いたげにポルナレフを見る。
だが、その時。
運転したジョセフが突然急ブレーキをかけた。
「わっ。」
「危ない!」
「どうした、ジジイ?」
「あ、あれを…!」
ジョセフが指差す先、そこには、ヘリコプターが砂漠に墜落していた。
車から降りてヘリコプターに近づくと、そのヘリコプターには、SPW財団のマークが書かれており、つい先ほどイギーと荷物を持って来てくれたSPW財団の使者の物であることがすぐに分かった。
だが不自然だった。
通常、墜落すれば火が上がるものだし、ヘリコプターという飛行物の形状の都合、前か後ろかがグシャグシャになってしまうが…、まるでドスンッと真下に落とされたような壊れ方をしており、斜めになっていた。
「…! 見ろ。」
承太郎がヘリコプターの反対側の、砂に生まれてしまった扉の所に挟まれる形で死んでいる財団の使者の一人を見つけた。
だが死に方が妙であった。
ヘリコプターの装甲を引っ掻いたように爪を立てており、大きく口を開いた状態で固まって死んでいた。
「水が…。」
「どういうことじゃ? 小魚が入った水で死んでおる! この者の死因は溺死じゃ!」
「この砂漠のど真ん中でか!?」
「ジョースターさん! こっちの財団の人間は生きています!」
反対側で倒れていたもうひとりを、アヴドゥルが見つけた。
「いったい何があった? 喋れるか?」
「うぅ…、み、水…。」
「水? ほら、水ならここに…。」
「ひ…! ひぃぃいいいいい!! 水が襲ってくるーーーーー!!」
傍に落ちていた水筒を拾い与えようとしたアヴドゥルを見た彼は、そう悲鳴を上げた。その直後、水筒から悪魔のような爪を持つ水の手が出てきて、彼の顔を掴み、首をねじ切ってそのまま頭部を小さな水筒の中に引きずり込んでしまった。
「なんだとーーー!?」
ソレを見てしまった全員が慌てて水筒から離れて、砂に伏せた。
水筒からはドクドクと、血と水が流れ出ている。
「み、水だ…、水のスタンドだ! 水を触媒としたスタンドだろう!」
スタンド使いじゃない財団の人間に見えたということは、そういうことだ。
「ヘリコプターひとつ落とす…ということは、アクア・ネックレスより強い…。」
花梨は、そう冷静に分析する。
「承太郎! 本体を探せ!」
「今やっている。どうやら敵はそーとーな距離離れてるぜ。太陽みたいに間抜けな鏡も無い。」
「な、なあ、花梨…、あの水筒、攻撃してみてくれよ。」
「えっ?」
「おい、ポルナレフ。」
「分かってるって。何かあったらすぐ対応するさ。けど、こん中で安全に攻撃できるスタンド持ちって、花梨ぐらいだろ?」
「もう、やってます。」
「えっ?」
見ると、砂漠の砂の上を行軍する、小さな軍隊と戦車とヘリコプターが水筒に近づいていた。
「バット…。」
バット・カンパニーに攻撃指示を出そうとしたとき、花梨の顔の下辺りから、水たまりが出来ていた。
「花梨ちゃん!」
「!」
隣にいた花京院が気づき、右腕を花梨の顔の前に延ばすと、水たまりから出た悪魔の爪が花京院の右腕を切断した。
「ぐああ!!」
「花京院さん!」
「花京院!」
「しまった! 敵はすでに水筒から出て砂に染みこんでいた!!」
花京院の右腕を切り落とした後、すぐに砂に染みこんだ悪魔の爪は、すぐにポルナレフの頭を狙って伸びようとした。
その時だった。
ヘリコプター内にあるアラームが鳴り、そちらに悪魔の爪が移動した。
「なっ…。」
「これは…、音…。あのスタンドは、音を頼りに…!」
「音だって?」
その時、ポタポタと花京院の切断された右腕から血が砂の上に垂れる。アラームを破壊して止めた水のスタンドがこちらへ移動してきた。
「うわあああああ! やべぇ!」
「早く! こっちじゃ!」
車に近いところにいた承太郎、ジョセフ、アヴドゥルが手招きする。
花梨とポルナレフは左右で、花京院を支えて走った。
水のスタンドの動きは早く、すぐに追いついてきた。
「ホワイト・アルバム!」
「シルバー・チャリオッツ!」
襲ってくる寸前にホワイト・アルバムの絶対零度で、凍らせ、それをポルナレフがシルバー・チャリオッツで破壊した。
そして、急いで車に飛び乗る三人。そうこうしていると、砂漠の熱で凍った水のスタンドが溶けて砂に染みこんで消えた。
「凍らせて砕いてもダメか!」
「花京院の右腕置いて来ちまった…。なんとかなるか?」
「クレイジー・ダイヤモンド。」
クレイジー・ダイヤモンドを発動すると、離れた位置に落ちていた花京院の右腕が飛んできて、花京院の右腕の切断部位に引っ付いた。
「便利だな~、ソレ。」
「花京院さん…、花京院さん。」
「う…、だ、だいじょうぶだ。ありがとう。」
「よかった…。」
「しかし、どうします? 敵は音を探知して我々を攻撃してくる。しかも、砂に染みこめる水そのもののスタンド。」
「このままでは、ジリ貧じゃ…、水に対抗できる手段は……、アヴドゥルのマジシャンズ・レッドか。」
「なーるほど、水さえ蒸発させりゃ勝ちか。」
「……砂漠の水脈って…、どれくらいの規模あるんでしょうか?」
「さあのう? …まさか……?」
「もし…、操られる水の量が考えられる以上だとしたら…、この辺り一帯の水源を掌握されている可能性があります。」
「おいおい、いくらなんでも…そりゃ…。」
「いや待て、町一つ分を霧で再現していたバーさんのことを思い出せ。相当な精神力の持ち主ならそれぐらいは可能じゃろう。」
「財団の人間を溺死させた水に魚が入ってたってことは、オアシスひとつ分か?」
「それほどの規模となると…、すべての水を蒸発させるのは難しいですね。」
「蒸発した水に混ざれるタイプ…ではないのがせめてもの救いでしょうか?」
「ああ! そういうことも考えられるか!」
「あっ、ごめんなさい…。」
余計な不安を与えたので、花梨は反省した。
花梨は、落ち着こうと深呼吸してから考える。
アクア・ネックレスは、水分と水分から生まれる水蒸気や湯気といった液体関係全てを触媒に出来た。しかし、その代わり破壊力自体は低く、相手を攻撃するにしても体内に入るなどして内部から破壊するなどが常套手段となる。しかも、ゴム手袋さえ破れないほど弱い。つまり、今襲ってきている敵ほどのパワーはないのだ。
アクア・ネックレスが器用さ重視なら、敵はパワー重視…、それも遠距離パワー型だろうか。
エアロスミスで周辺を調べているが、人間の呼吸が自分の周りにいるジョースター一行の物しか見つからない。いったい、どれくらい遠くにいる!?っと思わざる終えないほどだ。
だが遠くであればあるほど、こちらの動きを把握するのは難しいだろう。自動操縦型スタンドではないのは間違いないが、どうやってこちらの動きを……。
そこで花梨は、ハッとした。
「音…。耳…。そもそも、視力に頼っていない…。」
五感の内の視力が無いから、目で見ることがない。それ故の射程距離なら納得がいく。そして視力の代わりは、発達した聴覚だ。だから、砂の僅かな音さえも拾えるのだろう。
その時、車の前輪が大きな水たまりに沈んで傾いた。
「ぬあ! し、沈む! 全員後ろへ行け!」
「ダメです!」
「なぜじゃ! 砂に落ちたらお終いじゃぞ!」
「これで、前輪を切られて軽くさせられたら、テコ原理で砂に放り出されてしまう。こうします。『ゴールド・エクスペリエンス』! 車を大樹に!!」
「その能力は、治療用じゃ…。」
「これが本来の使い方です! 無機物から生命を生み出す!」
「うおおおおお! 車が木になっていく!」
「枝に掴まれ! 木に登るのだ!」
そうして、砂漠に合わない緑の大樹が1本そびえ立った。ジョースター一行を守るように枝を広げて。
***
一方その頃。
「…ぬぅ? 車が消えた? そしてなんだ、砂をかき分けるように枝分かれするように伸びていくコレは…、根っこか!? 馬鹿な、この砂漠のど真ん中に植物を即席で成長させただと!? いかん、スタンド戻さなければ植物に水分を吸い取られる!」
慌てて砂に染みこませているスタンドを戻す。
しかし、一瞬焦ったものの、すぐに落ち着いた。
「植物の上に逃れたか…、車を失ったなら移動手段も無くなったということ…。逃れたはずが、自ら逃げ場を奪うとは…。ならば、この砂漠の中で持久戦と参ろう。降りてきた瞬間に、仕留めてやる。」
砂の上に座り込んで、杖を耳に当てている男は、そう呟いて笑みを浮かべた。
***
「……吸い取られてない。」
大樹の上の方の幹に、両手と右耳を当てた花梨が呟く。
「分かるのかい?」
「植物の気持ちぐらいは分かります。感応能力と言われています。」
「花梨。お前、どんだけハイスペックだよ…?」
「……失敗してしまったかも。」
「どうした?」
「……逃げ場がねぇ。車をそのまま木にしちまったからな。」
「能力を解除すれば、車には戻せます。」
「そしたら、俺達は砂の上か?」
「…はい。」
「食料と水のタンクや、他の荷物は、枝が上に持ち上げてくれたからよー。こうなりゃ、持久戦だな。」
「ごめんなさい…。」
「幸い、枝と生い茂る葉っぱが太陽を遮ってくれているから、まあまあ快適ではある。自分を責めすぎるな。」
ションボリする花梨に、アヴドゥルがそう慰めた。
「どうします? せめて敵の顔だけでも把握できればいいんですが。」
「砂を使えばハーミットパープルで、敵の位置を探知できるかもしれんがのう…。じゃが…、みろ。」
そう言ってジョセフがポケットからコーヒーガムを1枚出し、木の根元に投げた。
砂の上に落ちた瞬間、水のスタンドがコーヒーガムを切断し、再び砂に染みこんだ。
「あの通り、わしらが下の降りた瞬間、仕留めるつもりのようじゃな。」
「あっ。」
「どうした?」
急に声を上げた花梨。
「もしかしたら…、位置を追うぐらいならできるかもしれません。」
「どうやって?」
「この大樹の根を水分に向かって伸ばさせます。植物というのは、凄まじいです。種から育ったカボチャの芽ですら光りを求めて、暗闇の中を唯一照らす穴に向かって伸び続ける執念を見せますから。」
「やれるのか?」
「やるしか…ないんです。今の私は、他のスタンドが使えません。今の状態を解除しない限り。」
「ク~~~ン。」
「ん? イギー? アイツ、なんで下に!?」
「もしかして、攻撃された際に自分だけ外へ逃げたのか?」
「なら、自業自得じゃねーかよ。」
「……花梨、根っこを伸ばす手間は必要ねーかもな。」
「えっ?」
「おい、承太郎?」
すると、承太郎が、スルスルと枝を降りていき、根元で困っていたイギーの元へ行った。
「おい! 砂の上は危険じゃ!」
「分かってるぜ。」
「ワン?」
「おい、イギー。てめー匂いで敵の接近を感知しただろう? なら、敵の本体の位置も分かるんじゃねーのか?」
「グゲッ!」
イギーの首を掴んで持ち上げた承太郎がイギーにそう言うと、図星だったのかイギーの顔が歪む。
「この砂漠のど真ん中で救助もないまま俺らにほっとかれて干からびるか…、それとも協力するか、選びやがれ。」
「ウウウ…。ワオオオオオオオン!!」
「!」
イギーがザ・フールを出した。
ザ・フールの背中には大きな翼が出来ており、承太郎を掴むと、イギーごと大樹の根元から飛び立った。
「あの犬! 飛ぶこともできんのか!」
「器用な奴じゃわい。」
「でも……。」
「どうしたんだい?」
「見てください。高度が…。」
見ると、高く飛び上がったザ・フールが徐々に高度を落としていっていた。
「紙飛行機のように滑空するしかできないみたいです。」
「ちょっと、待てよ! このままじゃ、承太郎の体格じゃ足を砂に当てちまって、敵に気づかれるぜ! 俺らが敵の注意を引けば…。」
「そうか! せめて距離を詰めることはできるか。」
「頼むぞ、我が孫よ!」
ジョセフ達は、とにかく敵の注意をコチラに引き付けることにした。
思ったより長くなってしまった。
ゲブ神に対抗できるスタンドって……なんでしょうね?
ゴールド・エクスペリエンスなら、水分を吸収する生命を使うことで封じることはできるかな?
7人目のスタンド使いだと、音を使うオリジナルスタンドをプレイヤーが選択次第で使えるからなぁ。
聴覚頼りの盲目のンドゥールをどう騙しながら、承太郎を接近させるか……。
難しい展開にしちゃったので、書き直すかも…。(そう言いながら書き直したことは無いが)
今回の花梨のうっかりは、全員を助けるために焦って、車を大樹にしてしまって逃げ場と、移動手段、あと自分がスタンドを解除したらヤバくなったこと。