悩むかと思ったが、案外ネタが出てくるものでした。
オリジナル展開だけど、決着のつけ方は、ほぼ原作に近いかも。
ただ、ンドゥールは、最後に?
「ふふふ…。」
水のスタンド使いである盲目の男は、杖から伝わる音に笑っていた。
『うぅ…。』
『花梨? どうした?』
『もう限界です…。』
『おいおいおいおい! どうしたこった!?』
『私の精神力じゃ…、もう限界です…。木が…車に戻る…。』
『もうちょっと踏ん張れ! 頑張らんか!』
『ぁ…無理…です。』
『わああああああああああああああ!!』
そして、悲鳴と共に上から人間が落ちてきた衝撃音が杖を伝わった。
「ふふ…、あの女がもっとも要注意すべき相手だとは聞いていたが、この程度とは。砂の上に落ちたのなら、あとはじっくりとひとりひとり…、貫き、この砂漠にぶちまけてくれる!」
男がスタンドを使い、落ちたジョースター一行を襲わせようと操作した時だった。
自分とジョースター一行との間の中間点ぐらいだろうか? それぐらいの距離のところで、大きな衝撃音があった。
「?」
『キュオーン!』
『シャー!』
「……なんだ、ホルス(鷹)が、ヘビでも捕えたか。」
そう思ってホッとした直後だった。
「オラァ!!」
「なにぃ!?」
その声と、風を切る音を聞いた男は、咄嗟に伏せた瞬間、自分の上を通り過ぎる人間の存在を感じた。
「よくやったぜ、イギー。あとでコーヒーガム、箱いっぱい用意してやる。」
「ウウウ…。」
「その声は…、そしてこの歩幅…、若い男の声ということは、空条承太郎か!」
「たいした野郎だぜ。空中からの奇襲を、盲目でありながら避けるとはな。しかし、スタンドは、いまだにジジイ達のところだ。上手いことあっちの策にハマっちまったな?」
「策だと? ハッ! まさかわざと植物を…。」
「正直、俺も驚いたぜ。花梨が今使っているスタンドは、無機物を生命にする力を持つらしい。俺がイギーの滑空の手助けをしたときに、同じタイミングで鷹とヘビを、ほぼ同じ位置に用意していたんだからな。いつの間に補給物資を生命に変えていたんだか…。」
「ぬう! やはり、あの女が要注意人物だったか!」
「出しな。てめーのスタンドを。」
「……。」
「……。」
「ここまで…追い詰められたのだ。この杖でもう音を探知する必要は無い。だが、帰る時に…必要。」
男が杖を手放した。
直後、男の周りに水が発生した。
「シュートヒム!!」
「オラァ!!」
それは、まさに西部劇のガンマンが早抜きで勝負するソレのような、スピード対決だった。
伸びてきた悪魔の爪が承太郎の帽子と共に、額の一部を切り裂き、スタープラチナの一撃が敵の男の胸に打ち込まれた。
「ぐぉあ!」
男は血を吐いて倒れた。
「安心しな。手加減はしてある。」
承太郎は、表面が少しキレた額を触って確かめてからそう言った。
しかし、倒れている男が、ニヤリッと笑った。
そして、水が男の頭を貫いた。
「なっ、てめー、何してやがる!?」
「…ふ、ふふふ…。承太郎…、お前達は…この俺から…これから襲ってくる敵のことを聞き出そうとしていただろう? ジョセフ・ジョースターの、ハーミットパープルは、相手の考えることを読める……。あの方に…、DIO様に…不利になることは…させん。」
「…なんだって、てめーらは…、そこまでやつに?」
「ふふふ…。承太郎…、俺はな、死ぬのは…これっぽちも怖くない…。子供の頃からスタンド能力のせいで…なにも怖くなど無かった…。だが、あの方だけは…あの方にだけは、見捨てられ、殺されるのだけはイヤだと…初めて思えたのだ。あの方は、美しく…そして強い…、この俺を、初めて…認めてくださったんだ……。お前達が……黄金のような精神と希望を持つように…、悪には…悪の救世主と希望が……必要なのだ。あの方こそ…俺にとって……。」
「……。」
「俺の…名は、ンドゥール…。スタンドは…、タロットカードの…起源……、エジプト9栄神…『ゲブ神』の暗示を持つ……!」
「エジプト9栄神…!」
「それと……、俺は、どのみち…死ぬ……つもりだったのだ……。」
「なに?」
「白き炎に……、数多の…罪人の魂を……くべて………。」
「おい? おい! どういうことだ? 白い炎だと!? まさか、花梨が…。おい! ……チッ。」
ゲブ神の使い手、ンドゥールは、死んだ。謎を残して。
「おーーーい! 承太郎!」
そこへ、木から車に戻った車に乗って、ジョセフ達が駆けつけてきた。
車が到着し、止まるとすぐに承太郎が花梨に近づいた。
花梨は、ぐったりとしていた。
「どうした?」
「本当に限界だったんだって…。」
「演技じゃなかったのか?」
「承太郎、お前、怪我…。」
「かすり傷だ。それより、花梨、聞こえるか?」
「……ん。」
「お前…、この旅で何か自分の体やスタンドに変化があったりしなかったか?」
「……?」
「どういうことじゃ?」
「……少しな…。気がかりだが…、それどころじゃなさそうだな。」
「このまま砂漠を横断するのは心身共にもたんじゃろう。進路を変えて、アスワンを目指す。みんな、それでよいか?」
「ええ、構いません。むしろ行くべきです。」
「俺もいいぜ。」
「同じく。」
「……ジジイ、急げ。」
「分かってる!」
そして全員を乗せてから、車を発進させアスワンを目指したのだった。
急ぐ車に、どう見ても追いつけなさそうな白い炎の鳥が飛んできて、花梨の肩に乗り、それを見ていた承太郎は顔をしかめたのだった。
白い炎の鳥が、勝手に死者と、そのスタンドを連れてくる。
そう聞いていたし、目撃もした。
だが、ンドゥールが言っていたことが気になる。
東方花梨が、自分達の元へやってきたのは、そして今、共に旅をしているのは、本当に偶然なのだろうか?
そんな疑問を承太郎は抱いたのだった。
ンドゥール。気になる謎を残して死ぬ。
最後に白い炎の鳥が連れてきたのは、見えてないけどゲブ神です。
どんどん敵スタンドを吸収していく花梨。(本人は望んでいない)
そんな花梨に疑惑を持ち始める承太郎。
さて、次回は、あの兄弟だから…どーしようかな?