ホル・ホースの最後が原作とは全然違います。
注意!!
「花梨…、つれーならホテルで待ってろ。」
「……。」
「おい、花梨。」
「…あっ…、なんですか?」
「マジで休んどけよ。聞き込みは俺らがしとくから。」
ダービーとの戦いの後から、花梨は少し目を離すとボーッとするようになった。
まるで心がそこにないみたいに。
危ないので花京院が横から手を繋いで歩いている始末だ。しかし、心がすぐに消えるようにボーッとしだすので、足場が悪いとすぐこける。
承太郎は、花梨のその様子に心配と同時に不信感を抱いていた。
特にンドゥールの最後の言葉が気になるのだ。
白き炎に、罪人の魂をくべる
罪人とは、悪人の魂と仮定できるかもしれない。これまで倒してきた敵スタンド使いのほとんどは命を落とした。
その魂を花梨は、無意識に吸収しているのだとしたら?
ンドゥールは、初めから死ぬつもりでやってきて敵対した。すべてはDIOのために。そしてDIOの目的のために。
だがンドゥールの例から見て別のスタンド使い達は、恐らくであるがDIOの目的を知らず自分達と敵対しているのだろう。マライヤという女はまさにその一例だ。DIOの命令により死ぬことは想定外であったことが花梨の口から語られている。ダービーも同じだろう、おそらくは。
そして今、花梨の不調が目立つ。
まるで……、花梨という存在を内側から喰った何かが、今からサナギか卵が内側から殻を破ろうとでもしているように…。
「まさかな…。」
「承太郎?」
「いや、なんでもないぜ。」
「……。」
「冗談抜きでだいじょうぶじゃないじゃろ! いいからホテルに行ってなさい!」
「……。」
「聞こえてないのか?」
「すみません、ジョースターさん、花梨ちゃんを僕がホテルに連れて行きます。何かあったらすぐ連絡を。」
「そうじゃな。頼むぞ。」
「ん? ポルナレフがいない。」
「あそこにいるぜ。」
見ると後方の建物の曲がり角のところにポルナレフが立っていた。
「なにをしている?」
「あ、いや~っちょっともようして…そこで立ちションを…。」
「こんな人の往来でか?」
「恥ずかしい奴じゃのう。」
「……おい、ポルナレフ。後ろに誰かいるのか?」
「い、いや、誰もいないけど?」
「ならいいが。」
「とりあえず花梨ちゃんをホテルに連れて行きますので。」
「ああ、そうしろ。ポルナレフ、さっさと行くぞ。」
「さ、先に行っててくれ。」
「……いや、待て。後ろに何かがあるのか?」
「っ! ぶ…ふぇーくしょん!!」
「わっ!」
怪しんだ直後ポルナレフが大きくくしゃみをし、ポルナレフの後ろに隠れていたホル・ホースがバランスを崩して姿を見せた。
「あっ!」
「貴様は!」
「しまっ…。」
「オラよ!」
ポルナレフがその隙を突いてシルバー・チャリオッツの肘打ちでホル・ホースを殴打し、吹っ飛ばした。
吹っ飛ばした際に転がったホル・ホースは、油が入ったツボをいくつか壊した。
「気をつけろ! コイツだけじゃねえ! 箱の中にも誰かいるぜ!」
「ぐ…。ち、ちくしょーー!」
ホル・ホースは、大汗をかいて焦っていた。
だが、その時、すごいスピードで走ってきたトラックが地面に広がっていた油でスリップし、ジョースター一行…、ただし花梨を抜く全員のところへぶつかりはね飛ばした。
「な、なんだとーーー!? よ、予言は本当だった! 鼻に指を突っ込んだらその通りになったぜ! ヒヒヒ! たいしたもんだぜ、トト神ってのはよー!」
「は、は、はい…、予言は…絶対なんです…。運命なんです…。」
木箱の中からボインゴが顔を出し怯えきった顔で言う。
「って、花梨が残ってやがるじゃねーか! ……ん? なんか様子がおかしいが…。」
ホル・ホースは、他のジョースター一行が倒れているのにボーッと立っているだけの花梨の様子を不審がった。
「よ、予言には…、花梨のことは描かれてません…。だ、だだ、だから…。」
「なるほどな! おりゃあ世界一女を尊敬しているからよぉ、花梨は攻撃しないぜ! で、この後は!?」
「漫画に……、出るまで待つ…です。」
「OK!」
「…あっ…、き、ききき、来た!」
「見せろ!」
ホル・ホースがトト神である漫画を奪い取って見た。
そこには、下水工事中の下水管にホル・ホースのスタンド弾丸を撃ち込むと、承太郎の頭が撃ち抜かれるという内容だった。
「こりゃすげぇ! ひとまず承太郎だけはぶっ殺せる!」
「で…でも時間が…指定されて…。」
「なに!? あっ、マジだ…、この絵じゃ…12時!? あと少しじゃねーか! 急がねーと!」
「ヒッ!?」
「ん? …えっ?」
ボインゴの短い悲鳴を聞いて振り返ったホル・ホースは、まるで心が無いみたいに表情の無い花梨を間近で見た。
「びっくりしたー! って、いつの間に!?」
自分達がいた場所までそこそこ距離離れていたはずなのに、音も無く接近していたことにホル・ホースは腰を抜かしかけた。
しかし、目の前にいる花梨は、ホル・ホースの挙動にまったく無反応。
怪訝に思ったホル・ホースは、試しにヒラヒラと手を目の前でやってみたが無反応。
「どーしたんだよ? あ、それよりか、時間がねー!」
「ひ、ヒィイイイイイ!」
「どうした!? んん!?」
悲鳴を上げるボインゴの方を見たホル・ホースは、目を見開く。
腰を抜かして漫画本から離れていったボインゴはともかく…、開かれた漫画に。
魔、狂、痛、呪、死、獄、怨、負、邪、壊、醜、辛、闇、虐、滅、亡、腐、憎、鬱、苦、恐、凶、恨、悪……etc
凄まじい数の赤い文字が浮かび上がり、ひとりでにページがめくれていく。
先ほど浮かび上がっていた承太郎を殺す絵も塗りつぶされていた。
死
死死
死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死
「な、なんじゃこりゃーーー!?」
「ゴボッ…ぼっ…。」
「えっ?」
妙な音が聞こえたので、花梨の方を振り返ったホル・ホースが見たのは…、口から赤黒い泥を吐き出す花梨の姿だった。
ボタッと落ちた泥は、ボコボコブクブクと泡立ち奇妙な形を取る。
それは、ホル・ホースのような場数を踏んだ、あるいは死線をくぐり抜けてきた者ならすぐに直感するモノだ。
コレは。
見てはいけないモノだと。
『§△★÷〆※◎●ーーーーーー!!』
「う……うわあああああああああああああああああああああああああああ!!」
叫ぶのが早いか、スタンド銃、エンペラーを出すのが早かったかは分からない。だが思考が恐怖を通り越したホル・ホースが、引き金を引く、撃つという動作をこなせたのは奇跡的だったかもしれない。
ソレは、無数の弾丸を頭らしき部分に受けて、ブグブグ、ゴボゴボと奇怪な音を立てながら崩れて染みこむように消えた。
花梨は、いつの間にか地面に横に倒れて気絶していた。
ホル・ホースは、ヘナヘナとその場にへたり込んだ。彼の股は濡れていた。恐怖のあまりの失禁だった。
ガタガタと震えるホル・ホースは、イヒ…イヒヒヒ…っと泣き笑いながら、エンペラーの銃口を自分のこめかみに…。
そんなホル・ホースに、狙撃銃を向けている人間がいたが、通信機が反応したため通信機に出る。
「はい…、はい。分かりました。ホル・ホースは、抹殺しません。トト神の使い手も…。仰せのままに。」
ボインゴと同い年ぐらいの少年は、通信機を切り、狙撃銃を納めてから、ホル・ホースがいる位置からずっと離れた建造物の屋上から去って行った。
「……死んじゃダメ。」
「!?」
ホル・ホースの引き金を止めたのは、花梨だった。
花梨は打って変わってきちんと生気がある顔でホル・ホースを見ていた。
その澄んだ青い目を見ているだけで、ホル・ホースの能を支配していた狂気が消えていった。
「おめぇさん……、いったい何なんだよ? 何者なんだよ?」
「……私は…、東方花梨…それ以上でもそれ以下でも無い。そう、ありたい。」
花梨の目から一筋の涙が零れる。
「これ以上…、私の中に、入ってこないで。だから、…生きて。」
「………分かったぜ…。」
「だいじょうぶ…、あなたは、殺されないから。きっと…、あなたは罪人としては魂が弱いから。」
「そりゃ…、良いのか悪いのか?」
「そっちの子も連れて……。」
「あ、ああ…分かってるぜ。あばよ…、できることならお前さんもDIOに逆らわない方がいいぜ。じゃあな。」
ホル・ホースは、失神しているボインゴ抱えて、去って行った。
「花梨ちゃん。」
「花京院さん…。」
そこへ花京院がやってきた。
「だいじょうぶかい?」
「はい…。」
「おーい…、傷治してくれ…。ホル・ホースは!?」
「逃げました。」
「はあ? 人の鼻に指突っ込んだりわけ分からねーことしやがって…、なにか妙だな?」
「深追いはしない方が良いだろう。」
「それより、花梨。本当にだいじょうぶなのか? さっきまで心が無いみたいな状態だったぞ?」
「はい。もう…だいじょうぶです。」
「無理するんじゃねぇぞ?」
「分かっています。」
「それより、傷も治ったし聞き込みを続けよう。」
そうして一行は気を取り直して聞き込みを再開したのだった。
ムチャクチャ悩みました……。
ダービー編で燃え尽きて、全然執筆が進まず……。
勢いが少し戻ったかな?
狙撃銃を持っていた少年は、6部で登場した徐倫を罠にハメた奴です。
確か年齢的に、この頃は、ボインゴと同じぐらいの年頃だったはず…?
花梨の身に起こる異変は、DIOに近づくごとに増していく…。