DIO戦は、はしょった。いまだかつてないことだけど!
後日談的なモノです。
「花梨!」
「………………ま、マ…?」
「私が分かる?」
「ここは…。」
「病院。」
「あぁ……、うぅう…。」
「花梨!?」
「ごめんなさい…、ごめんなさい!!」
花梨は、ベットの上で両手で顔を覆った。
繋がっている心肺装置が大きく乱れたため、SPW財団の医師達が駆け込み騒ぎになった。
花梨は、意識不明で発見された。
その後、50日近く昏睡しており、スタンドの白い炎が発生したため、スタンドによる害悪だと思われていた。
目を覚ました花梨は、パニック状態に陥り、鎮静剤を使われるなどしてひとまずは落ち着かされた。
何があったのか、入院している間花梨は、少しずつ語り出す。
同じようで同じじゃない過去の世界に行っていて、そこでDIOを倒す旅に同行したこと。
花京院に好意を抱いたこと。
そして……、自分がその別世界のイギーという犬や花京院を死なせてしまったことなど。
花梨の体は、ずっと病院にあったので、意識だけが現実のような夢を見ていた、と判断するにはリアルすぎる。
そして何より、内容が明らかにミナミと仗助、そして承太郎と花京院が旅したあのDIO討伐の旅に酷似しているのも引っかかる。
ただ、あの旅で死んでない人間が次から次に死んでいたのだ。そのすべてがメイド・イン・ヘブンを体内に取り込んでいた花梨を使ってメイド・イン・ヘブンを羽化させようとしていたDIOのやり口だと聞いて、メイド・イン・ヘブンを知っているミナミ達は、驚いた。
なによりパラレルワールドなる世界へ飛ぶきっかけになったのが、そのメイド・イン・ヘブン(らしきスタンド)だと聞いて、驚いたし、呆れたし、怒ったりと大変だった。いつも通りのつもりで迂闊に触るんじゃない!っと。しかし結局、無意識に死人や死んだスタンドを持って来てしまうのだから、言っても無理だろうっとミナミも父・ナランチャも諦め気味ではある。
その後であるが、花梨は、酷く落ち込み、暗くなってやつれた。
パラレルワールドとはいえ、悲劇に見舞われたことや起こしてしまったことを後悔しているのかと話を聞くと、ボソボソと、門の人柱になった花京院(パラレルワールド)が、ずっといるのが分かるのだという。しかし、花梨にしか視認できないらしい。ただあの昏睡から変わったことと言えば、何かと保護者みたいにムーディーブルースが出てきていたことから、なぜかハイエロファントグリーンが出る頻度が増えたことだろうか。コチラでは、花京院はまだ死んでないのでパラレルワールドのハイエロファントグリーンらしいが、言葉を喋るわけではないので確認しようもないが、出ている時間が長いので死亡しているスタンドであることは分かった。
花京院を呼んで確認させたが、自分のスタンドとそっくりだが違うとコメント。
会話できないかと試みたりもしたが、花梨曰く、花京院(パラレルワールド)が嫉妬しているらしく、拒否るうえに、ハイエロファントグリーンもその花京院(パラレルワールド)の意識を反映しているのかかなり攻撃的で、触るどころか会話が成り立たない。そのことで花梨は余計にふさぎ込むようになり悪循環となる。
食事を摂ろうとせず、すっかり栄養失調でやつれた花梨に、親であるミナミもナランチャも、弟妹も気が気でない。このままだと本当に死んでしまう。
ミナミが愛陽になんとかならんかと相談し、ブルー・ブルー・ローズによるスタンドへの干渉を行うこととなった。
ミナミの意識が暗く寒い空間に投げ出され、その下にある泥に落ちた。
「ここは?」
『……余計なことをするのがそんなに好きかい?』
「えっ?」
見ると、門のような物の前に白い服を纏った若い花京院が立っていた。その目は敵意に満ちている。
「待って! 私は、この子の…、花梨の母です!」
『母? …ああ、確かに似ている。だがそれがなんだ?』
「このままだと花梨が死んでしまう! それを防ぐために来ました。」
『僕が花梨の死を望んでいるとでも?』
「違うの?」
『まさか。……でも、それなら彼女の魂がココへ来るだろうから、永劫一緒にいられるなら、それでも…。』
「そんなこと、させません。」
『貴女は、この門がなにかご存じで?』
「門? その天使と悪魔の?」
『そう…、この門の向こう側は決してコチラ側の世界の者が触れてはいけないモノで満ちている。世界の裏側とでも言えようか。この門が開かれれば、たちまち世界は裏返るだろう。破壊をもって。』
「なぜそんなことを貴方が?」
『僕は、今やこの門の守り人…とでも言いましょうか。人柱とも言えますがね。この門はこれまで無防備だった。だから、容易に隙間が空いてそこから、裏側の世界のモノが溢れ出て害悪をもたらした。貴女が今浸かっている泥は、その残骸だと思っていただいていい。』
「なぜ花梨にそんなモノが…。」
『これが…、おそらく彼女に…花梨に背負わされた運命とでも言えましょうか。彼女は、万物を創世した神が創造せし世界を破壊する権限を持っている。そう捉えることも可能です。』
「!」
『世界という生命のアポートシス…、自殺因子とでも言いましょうか。この門はまさにその力の出入り口。僕のいた世界で一度門は開かれかけましたが、僕が死ぬことで門を閉じました。僕は、人柱であり、守り人であり、門の一部となり、未来永劫ここから逃れられません。』
「貴方は……、そこまでして花梨を…。」
『ええ。守りたかった。傍にいたかった。いずれ元の世界に帰るのならと、利用した……。』
「傍にいたいのなら、あの子の死を望むの?」
『……それは…。』
「その裏側の悪影響でも受けたかしら? もしあの子が死んだら…、その門は…、スタンドは一人歩きでするの? 世界を滅ぼすために。」
『……。』
「沈黙は肯定と取るわ。貴方は、思い人に永遠の悲しみと苦しみを味合わせるつもり?」
『それは違う!』
「だったら…、貴方も協力して。あの子が生きたいと思うように。」
『……分かりました。』
花京院(パラレルワールド)は、頷いた。
そして、意識を浮上させたミナミは、花京院(パラレルワールド)と話をつけてきたことを、ナランチャ達に伝えた。
花梨は、その後、自分から食事をやっと摂るようなった。
なにかあったかと聞くと、花京院(パラレルワールド)から、自分は君を恨んではいない、ただ傍にいられれば幸せだから、君は君の幸せを追求して生きて欲しいと頼まれたと言っていた。
「…恨んでくれていた方が、楽だった…。」
花梨はそう言って泣いた。
「花京院さんが言ってた…、スタンドの名前をつけるって。それが楔になるだろうからって。名前は…、『スピリット・イン・ザ・スカイ』。それが、アナタ(スタンド)であり、私(スタンド)の名前。生きてやる……、石にかじりついてでも。」
花梨は泣きながらそう宣言したのだった。
16歳という多感な時期に、好き合った相手に死なれた上に、その魂が自分のスタンドと癒着していたら、そりゃショックを通り越すは……っと、不憫でしょうがなかった。
なお、ミナミは、花梨に花梨のスタンド、スピリット・イン・ザ・スカイの門については言えなかった。そして花京院(パラレルワールド)も言っていないらしく、ヤバいスタンドだという認識だけはある状態となった。
察しの良い承太郎と花京院達にだけは、花梨には内緒だということで伝えておいた。
花梨が回復にこぎづけてから、スタンドの状態も調べたりもしたが、依然として死者の魂とスタンドを持って来てそれを借りるというのは変わらず、ミナミが見てきた門は出てくることは無かったし、泥もなかった。
「ノトーリアス・Bigと同じタイプ?」
ノトーリアス・Bigとは、死んでから発動するタイプの特殊型スタンドだ。
ナランチャとミナミが出会った頃に遭遇し、猛威を振るったのを覚えている。
表面上は、霊能力とスタンドを取り込むという能力だが、スピリット・イン・ザ・スカイのその真の姿があの門だとしたら……?
「花梨の未来が心配だ…。」
「だいじょうぶ…って言いたいけど、私も色んな事があったものね。」
ナランチャとミナミは、花梨がいる病室の外で話をした。
「あの子は、私以上の辛い運命を背負わされている…。でも…、独りぼっちじゃない。」
「?」
「あの子を想って、死んでいって、ずっと傍にいてくれる人がちゃんといてくれる。私が周りの人達に助けてもらったように。」
「信用できるのか?」
「分からない。でも信じるしかないんだよ。ソレが…、敵になるか味方になるか…、私達は見守らなきゃいけないし、戦わないといけない。けれど、最後に決めるのは、あの子…花梨だから。」
「…そうだな。」
ナランチャは、ミナミの手を握った。
退院した花梨だったが、元々淡々としていたのだが、余計に笑うことはなくなった。
元々、人を寄せ付けぬ雰囲気と力を持っていたが、こうなって余計に人が離れていった。
唯一、不思議を恐れない性格をした四ノ原野乃佳だけが花梨の傍にいた。
ある日、花梨は野乃佳に独り言のように言った。
「…人を、好きになるって…、辛いことなんだね。」
そう言って、野乃佳ですらほとんど見たことがなかった一筋の涙を、花梨は零した。
しかし、そんな彼女に新たな試練が訪れるのを、誰も知らない……。
花梨の、第三部(パラレルワールド)の旅は、コレで終わりです。
なんか色々と期待を裏切るような真似をしましたが、元々花梨の物語はミナミと違って、悲しい終わりにしたいと思っていましたので……。
思い人が死んで、自分のスタンドとほぼ癒着しているというのは、16歳の少女には、重すぎたかな……。
しかも、このあと、まだスティールボールラン編が待っているから……。
スティールボールラン編では、スピリット・イン・ザ・スカイが、あれやこれがあって別名のモノとなり、猛威を振るうことになる予定です。
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