戦いの場面は、はしょりました。勝敗は、原作通りです。
花梨が、シェリーの想いなどをポルナレフに伝える。
最後の方は、花京院side。
アヴドゥルとポルナレフの戦いは、アヴドゥルの勝利で終わった。
炎に焼かれて死ぬことが礼儀だとして、そのまま焼死しようとしていたので、アヴドゥルが炎を消し、肉の芽を承太郎が抜き、花梨がクレイジー・ダイヤモンドで怪我を癒した。
「なぜ…?」
「あなたの…大切な人からの頼みです。」
「……俺は、孤独の身だが?」
「………シェリー…。」
「!?」
「彼女は、あなたの…、っ。」
「どうしてその名を!」
「やめろ。」
名前を口にした花梨に、ポルナレフが目を大きく見開き、そして怒りの形相で掴みかかったため、承太郎達が助けた。
「彼女から…、頼まれました。あなたに、力を貸すようにと。」
「なぜ、妹の名を知っている!? お前は何者だ!」
「私は、いわゆる霊能力者…という奴です。」
「なっ…。」
「ですから、あなたの傍にいた…、シェリーという方とお話が、できました。」
「そんなことが…?」
「本当のことだ。彼女は、強大な力を持つ霊能力者だぞ。」
「…い、妹は…、シェリーは…、俺の傍に?」
「ええ。いますよ。あなたに寄り添うように漂っています。」
「…く…ぅうう!」
「おい、どうした?」
ポルナレフが急に下を向き、拳から血が出るほど握りしめて震えだした。
「シェリーは…、天国にすら行けていないのか! 奴のせいで!」
「どういうことだ?」
「なにか事情があるようじゃのう。」
それから、ポルナレフに何があったのか事情を聞いた。
話は、こうだ。
3年前に、学生だったシェリーは、友人と雨の中下校中だった。
だが、不可解な現象を起こしているひとりの男に出くわした。
そして友人の少女が突如、何もない、なにもされていないのに胸を切り裂かれ。
……ポルナレフの妹であるシェリーは、辱めを受けて、殺された。
九死に一生を得た友人の証言を誰も信じなかったそうだが、ポルナレフは、犯人がスタンド使いであると確信した。
そして、DIOからその犯人を捜してやるという取引を持ちかけられ、それに応じてあえて肉の芽を受けたのだそうだ。
妹の魂の誇りと尊厳とやすらぎは、その男の死で、償わせなければ取り戻せない。
そのためにポルナレフは、復讐のために故郷を捨て、妹の仇を探し続けていたのだ。
「許せん…。俺はより奴への怒りが強まった! 先立った両親のいる天国にすら、シェリーは行けていないなんて……。」
「うーん……、シェリーさんがあなたの傍にいるのは、仇討ちをして欲しいからじゃないと思いますよ?」
「なに!?」
「復讐に身を焦がす…、あなたを心配しているのです。自分が死んで、たった一人残してしまったことへの懺悔と、どうか…無事に生きていて欲しい。それが未練でしょう。」
「なぜ分かる!? あっ…、そうか、話せるんだったな? シェリーは…、復讐を…望んでいないと?」
「ソレは違います。」
声を震わせるポルナレフに、花梨がキッパリと言った。
「相手が、ただの人間で無いことを…、あなたの妹さんは、あなたを見ていたからすぐ理解できた。だから警察や他の大人達では、犯人を捕まえることも、死刑にすることもできないってことは、分かっていた。あなたなら、自分の死の真実にすぐに気がついてくれると信じていた。そして、これ以上自分のように酷いことをされる人間が現れないようにしてくれると、信じています。」
「……それは…。」
「あなたの手で……、あなたの妹を殺した犯人を…っと…。けれど、あなたひとりでは辿り着けないから、私を通して、あなたに力を貸してあげてほしいと。それが、彼女の願いです。」
「そう…か…。シェリー……!」
「…どうするかね? 我々と共に来るか?」
「……ああ! 行かせてくれ!」
ジョセフが聞くと、グッと涙を腕で拭ったポルナレフは、力強く頷いた。
それと…っと、ポルナレフが花梨を見た。
「……ありがとう。妹の想いを聞かせてくれて!」
ポルナレフは、花梨に深く頭を下げた。
「お礼は…、復讐が完遂してからにしてください。」
「ああ。そうだな。」
こうして、ポルナレフが旅の仲間になったのだった。
***
side:花京院
霊能力者。
胡散臭い代名詞だと思っていたし、考えていた。
霊能力者を名乗る男がいたが、生まれた時から共にいるハイエロファント・グリーンすら見えていなかったのだ。だから、そう名乗る人間達は嘘っぱちだと思っていたんだ。
だが……、それまでの常識が覆されていく。
花梨のいうとても綺麗な女性によって。(自分より背が高いが、歳を聞いたら、1歳下だったことにビックリした)
港までの道中、何気なく聞いてみた。
霊能力があって、不便は無いのかと。
「特にないです。私は、そう思ってました。けど、周りはそう思ってません。」
「っというと?」
「私…、幽霊と普通の人間の区別ができないぐらいよく見えるし、聞こえるんです。」
「それは…、不便じゃないのかい?」
「私にとって、これが生まれた時から当たり前でしたから。当たり前のことを否定されても変えようがありません。」
「そうか…。」
なんというか…、ドライというか…。
承太郎から言わせれば、相当なうっかり者の、おバカだと言っていたが…。
自分にとって当たり前のことを否定されること…。
それがどれほど辛いか…。
僕は、自分が一番よく分かっていると思っていた。思い込んでいたのか。
彼女…、花梨に比べたら…、僕の辛さなどちっぽけに思えてしまう。
そういえば…、飛行機では変な夢を見た。
黒くて、暗くて、寒い、泥の中を歩いている夢のような……。
暖かな光を漏らす穴から蜘蛛の糸のような糸がスルスルと降りてきて……。僕は、いつの間にかいた花梨に糸を……。
あれが、花梨の世界なのだとしたら、救われるべきは花梨だと思ったから糸を持たせたかった。
僕は、夢の中でそう思ったんだ。
シェリーは、自分を殺した犯人を許さないでという想いと、兄を心配する気持ちで板挟み。
たったひとりではなく、誰かとなら生き残れる可能性が高くなるから、花梨に助けを求めたのです。
そして、花京院。なぜか花梨と同じ夢を見ていた。