じゃないと、詰るからね。
月のカード編だけど……?
J・P・ポルナレフ。
戦車のカードの暗示を持つ、針剣の騎士の姿をしたシルバー・チャリオッツの使い手。
騎士道の精神を持つ、敵ながらあっぱれな奴であるとアヴドゥルはコメント。
が……、その素の姿は、女好きな明るいフランス人である。
「花梨ちゃ~ん、どうせだから泳がねぇ?」
「……。」
海を眺めていたらポルナレフが笑顔で近づいてきた。
「お? お?」
馴れ馴れしくポルナレフが花梨に近づくと、ムーディー・ブルースが出てきて、壁になる。向きを変えても壁になる。
「花梨ちゃん…、俺のこと嫌い?」
「嫌いでは無いけど、ナンパ好きな人はちょっと…。」
ミナミと同じく、女好きなタイプが苦手な花梨である。16にしてこの容姿なのだから、声を掛ける人間も山ほどいる。
「ヒヒヒ、嫌われてやんの。」
ジョセフがイタズラっぽく笑っていた。
「そりゃ悪かったな。けど、美人には声を掛けなきゃ失礼って言葉があってな~。ま、挨拶みたいなもんだと思ってくれよ。なにも変質者じみたこと目当てってナンパじゃねーんだからな。」
「……私、綺麗ですか?」
花梨がポルナレフを見た。
「そりゃもちろん! こんな美人さんはそうそういないって話だぜ!」
「ふーん。」
「あり? 興味ないって感じ?」
「はい。」
「……もうちっと笑った方が可愛いぜ?」
「よく言われます。」
花梨はそう言うと、また海を眺めることにした。
「う~ん、こりゃ難攻不落だぜ。」
「言っておくが、彼女は、16歳だぞ?」
「へっ?」
「そうですよ、僕らと歳同じぐらいですよ?」
そう言われて、ポルナレフは、花京院と承太郎と花梨を見比べた。
「まあ、よく言われますよ? 育ちすぎって。」
「あっ、いや別に、老けてるって言いたいわけじゃ…。」
「分かってます。」
「……なんかドライだよな。」
「よく言われ…。」
その時、船の後方の方から騒ぎ声が聞こえた。
なにがあったんだとジョセフが船員に聞くと、密航者がいたということらしい。別の船員が密航者である子供を引っ張ってきた。
子供は、シンガポールにいるお父さんに会いに行きたいだけだと言っているが、密航は許せないと船員は聞き入れない。
すると子供は船員を振り切って海に飛び込み、泳いで港へ戻ろうとした。
それを見た船員が焦る。この海域はサメの巣窟だと。
そして空気読んだサメが子供を襲おうと迫ってきた。それを海に飛び込んだ承太郎が救った。
ついでに子供が男の子ではなく、女の子であることが分かった。帽子が取れて長い髪の毛が露わになった上に、承太郎がうっかり胸に触ってしまったのだ。
「承太郎! 早く上がれ! 何かがいるぞ!」
ふと見ると、先ほど承太郎のスタープラチナで殴られ気絶したサメが、海に潜む何かに引き裂かれて真っ二つになっており、承太郎と女の子に迫ってきていた。
この距離ならと、花京院がハイエロファント・グリーンで二人を甲板に引っ張り上げた。
ゼーゼーと荒い呼吸をする女の子に視線が集まる。
この船は、チャーター船であり、船員はスタンド使いでないはずであるから、この中で怪しいのはこの女の子だった。
だが花梨は違った。
花梨は、余所を見て、ヒソヒソと何か、見えない誰かと話をしていた。
「花梨?」
「……その子…違いますよ。」
「けどよぉ、一番怪しいのはこん中じゃ…。」
「この子が密航者かね?」
そこへテニール船長。
「あっ、この人です。」
「はあ!?」
「?」
船長が現れた瞬間に、花梨が指差したので、ジョースター一行はビックリした。
「待ちなさい! なぜそう言い切れる? テニール船長は、SPW財団を通じて身元はしっかりと分かっている人間じゃぞ!」
「入れ替わっていますよ。」
「なにーーー!?」
「港で……、本物を殺し…、海に投げた…。」
「なにを…言っているのかね?」
「うっ…。」
「???」
ジョースター一行の顔色が悪くなった。船長を見て。その視線にわけが分からないと船長は不思議がる。
「せ、船長…あんた…。」
「どうしましたかね? そんな…幽霊でも見たようなお顔をされて…。」
「う…後ろ…。」
後ろ後ろっとポルナレフが指差す。船長の後ろを。
言われて、船長が後ろを振り返る。
そこには……。
『よくも……、私を殺したな? うらめしや~~~。』
「うわあああああああああ! 海に捨ててサメのエサにしたはず…、あっ!」
血塗れで、スプラッター映画顔負けの有様の本物の船長の霊に、思わず悲鳴、そして白状。
ハッとして口を塞いだときには遅し。
「ごめんなさい。そんな有様でわざわざ出てきてもらって。」
『いえいえ、私を殺した真犯人を捕まえてもらえるなら。』
スイ~と花梨の方へ移動した本物の船長の霊が、花梨とペコペコと頭を下げあった。
「えっ、えっ? なに? なにが起こってるの?」
女の子だけは分かってなかった。というか見えてない。
「ちくしょーーー!」
「きゃあああああ!」
「しまった!」
自棄になった贋物船長が半漁人のスタンドを出し、女の子を捕まえた。
「水のトラブル! 嘘と裏切り! 未知の世界への恐怖を暗示する月のカード、このダークブルームーンがひとりひとり始末してやろうと思ってたが…、とんだ伏兵がいたぜ!!」
贋物船長は、忌々しそうに花梨を睨んだ。
「海の中なら6対1でも戦える! このガキの命が惜しけりゃついてき…。」
「『ザ・ハンド』。」
次の瞬間、背中に咲いた白い炎の花からザ・ハンドが出てきて、右手を振った。
その瞬間に、船長がジョースター一行の傍まで一瞬で引き寄せられた。
「なっ!?」
「オラァ!!」
「ゲボォ!?」
近くに引き寄せられて混乱した贋物船長を間髪入れず、承太郎がスタープラチナで殴って反対側の海の方へ殴り飛ばしたのだった。そしてボチャーンっと音が鳴った。
「承太郎さん。」
「ふんっ。」
花梨と承太郎は、拳をコツンと合わせあった。
「君ら…、いつの間にそんな息ぴったりに…?」
「いいや。花京院が襲ってきたときに披露した技だったからな、すぐになにをするか分かっただけだぜ。」
アヴドゥルに、承太郎がそう答えたのだった。
殴られダメージフィードバックで同じ傷を負ったダークブルームーンは、女の子を手放し、スタープラチナが女の子を掴んで海に落とさないようにした。
ザ・ハンド……、便利すぎる。
それにしても、花梨自身がラッシュするほど戦ってないなぁ。
そろそろ、戦わせたいが……。誰と戦わせようかなぁ?