ここでやっと花梨のラッシュをやらせました。
使ってるスタンドは、借り物ですが。
ボガーン、ドガーンっと船が爆発していく。
「……映画?」
「どこのB級だ。」
まるで映画のお約束のように、爆弾を仕掛けられていて、起爆を許してしまった。
花梨が映画みたいだと言うと、下手なつまらない映画だと承太郎がツッコむ。
自分達と、船長以外の船員達を含めて救命ボートに乗り、SOS信号も出して、あとは救助を待つばかりとなった。
もちろん、密航者の女の子もいる。
静かに黙って全員がボートに乗っていたが、女の子は落ち着かない様子だった。
「水…、飲む?」
「う、うん。」
花梨が気を利かせて水の入った水筒を女の子に渡した。
「あ、あのさぁ…。」
「なに?」
「あんた達…何者?」
「旅を急いでいるだけの旅人だよ。」
「へ?」
「色々と事情があるの。あなたには、関係の無いことだけど。」
「あっそう…。ブッ!?」
「あ! こりゃ、貴重な水を!」
「そ、そうじゃねーよ! あ、あれ!」
水を吹き出した女の子が指差す先には、霧を切り裂くように現れた大型タンカーだった。
さっきまでなかった霧に隠れるように現れたタンカー……。
怪しすぎる。
っとは口に出せない、花梨である。
そしてなにより……。
花梨は、別のボートに乗っている船員達を見た。
ほぼ全員…、死相がメチャクチャ見えているとも言えない。
けれど…っと、花梨はフウッと息を吐いた。
「死ぬ時は……、死ぬ。」
「花梨ちゃん?」
「ん…、なんでも、ないです。」
「嘘を吐いたらいけない。」
「……。」
「このタンカーについて…、君はどう考える?」
「怪しさ、100パーセント。」
「そうだね。タラップは降りてきたのに、誰も顔を出していない……。罠だとしても行くしかないんだ。」
「はい。」
こうして、怪しさ満点過ぎるタンカーに、一行は乗船した。
***
乗船してみると、もっと怪しかった。
なぜなら甲板に通じる操縦室にも、内部にも誰もいないのだから。
それなのに、船として機能しており、勝手に計器が動いていた。
唯一生きているモノとして、甲板にある別室に、檻の中に入ったオラウータンがいたが……。
「どうします。このオラウータン。」
「君は、このオラウータンが怪しいと思うのかい?」
「スタンド使いの動物を知っています。」
「あり得るな。」
「ふむ…。誰かがこのオラウータンの挙動を見張って、本当に誰もいないのか探すべきか。」
「船員さん達は?」
「会議室を見つけたので、そこに集まっておるようじゃぞ。」
「……。」
「あー、シャワー浴びたいわ。塩水でベッタベタ。」
「シャワー室なら、船内にあるぞ。」
「私も行きます。」
「えっ? なぜだね?」
「…ボディーガード。」
「ふむ…。では、頼むぞ。」
ジョースター一行に見送られ、花梨は女の子と一緒に船内に入った。
船内の会議室で地図を広げ、会議をしている船員達を見て、それからその横を通り過ぎてシャワー室に。
「私が見張ってるから、安心して。」
「分かった。ありがと。」
そう言って女の子はお先にっと、シャワー室に入った。
シャーーっと、微かな水音が扉の向こうから聞こえる。花梨は、その横の壁に背を預けて待った。
やがて……。
船員達の霊魂がフワフワと飛んでいるのを見た。
「ああ…。」
花梨は、頭をかきむしり、それから招かざる客を見た。
檻にいたはずの、オラウータン……。
ゲヘゲヘと下品な声を漏らしながら近づいてくる。オラウータンのずっと後ろの方に、船員達の死体の山があった。
「殺す…ということは、殺される覚悟もある?」
「!」
花梨が薄ら笑ったのを見て、ゾッとするオラウータン。
「花梨? どうし…。」
「出てきちゃダメ。」
「えっ?」
シャワー室内部にいる女の子が異変に気づいて出てこようとしたので、花梨がそう言った。
「さてと…。」
花梨は、オラウータンを見る。オラウータンは、先ほどついゾッとしたのもあり、花梨を警戒した。
花梨は、スッと右手の指をオラウータンに向けた。
「?」
オラウータンは、その動きを不思議に思っていると。
花梨がまた薄ら笑った。
「死人がなにもできないと思う? ……『リンプ・ビズキット』。」
背中にフワッと白い炎の花が咲き、その言葉が吐かれたとき、オラウータンは、野生の勘で咄嗟に後ろを振り返る。
そこにあったはずの船員達の死体の山が消えていた。
そして…、直後に、オラウータンの両腕の肉に人間の歯形が無数にできて出血した。
「ギャアアアアアアアアア!?」
オラウータンは、見えぬ存在に本能から恐怖しデタラメに暴れた。すると腕に食らい付いていた見えぬ死体が壁に叩き付けられ、潰れたのを気配で感じた。
それでオラウータンは、瞬時に理解した。消えた死体達は、自分の力で難なく倒せると。
それに気づいてからは、オラウータンは、動物として発達した嗅覚と勘で襲ってくる死体を撃退していった。
「見えない死体に気づくなんて…、頭良いね。でも……。」
ハッとしたオラウータンの首を、『キッス』が掴んだ。
「これは…、あなたが殺した船員達の分だよ。」
ピッと、シールがオラウータンの頭に張られ、その瞬間にオラウータンの頭が二つになった。
その現象に混乱したオラウータンの頭からシールを剥がすと、バチーンと頭が戻り、頭が割れるように出血した。
「ギエエエエエエエアアアアアア!?」
「ボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラ! ボーラ・ヴィーア!」
キッスによるラッシュがオラウータンを襲い、ボコボコにされたオラウータンが倒れた。
オラウータンの霊魂が抜け、それとともにタンカーがグニャグニャと変型を始めた。
「………『力(ストレングス)』か。」
コピーしたとて、使う機会はおそらくはないだろうと、花梨はそう思いながら、混乱している女の子を引っ張り出し、甲板へ飛び出して、承太郎達と合流し、ボートに飛び乗ったのだった。
「信じられん! あの猿は、自分の精神力だけで海を渡ってきたのか!」
「タンカーが…、あんな小さな船に…。」
「物質同化型スタンド。ってところでしょうか。」
「詳しいね。」
「ええ。色々とありますから。」
「これから先…、あんなスタンド使いと戦わなければならないのか…。」
その言葉に、場の空気が悪くなる。
「ガム…噛むかい?」
空気を変えようとポルナレフがそう言ったのだった。
その後、運良く、船が通りがかり、救助され、シンガポールに上陸することになった。
タンカー型のスタンドって……、使いにくくね?って話。
でも、今まで出てきたスタンドじゃ、大きさだけなら最大級かなって思ってます。
花梨、なんやかんやで怒っております。顔にあんまり出ないけど。
次回は、怨みで強くなるアイツ。