「受かった…」
本当に受かりました…。
「やったわね翔太ちゃん!」
「お兄ちゃんとコラボできるんだね!」
で、来週の日曜に本社で同期と顔合わせをするようです。まずは同期とコラボさせるのがアスタリスク・コードのお約束みたいになっているので連絡が取れるように、という意図もあるようです。
2回目のコラボは1期前。つまり、3期生の誰かとコラボさせるらしいですけど…。
「にしても…ほとんどモデルは現実と変わりませんね」
黒髪でちょっと長め。目はこげ茶。大きさもこちらと変わらず童顔が似合っている。ショタなのはわかっていましたけど…。これは心に来ますね。
「そうねえ。でも現実の翔太ちゃんのほうが可愛いわ!」
「うんうん。もう少し可愛くできなかったのかな?」
それは製作者に失礼かと…。
「で、本社には…」
「送っていくわ。翔太ちゃんを電車なんかに乗せたら攫われちゃうわ!」
「はあ…」
まあ別にいいんですけど…。流石に心配しすぎでは…?
「お兄ちゃんはショタコンにとって本当にドストライクなんだよ!自覚持ってね?」
「知りたくないですそんなこと」
自分が変態のストライクゾーンに入っているとか嫌です。
―――日曜日―――
ついにこの時がやってきました。
「秋葉原なんですね…」
王道らしいといえばらしいですけど…
「じゃあメロブにいるから。何かあったらすぐに連絡してね、お兄ちゃん!」
ああ、趣味の薔薇が咲くやつでも買いにいったのでしょう。妹が腐るとは夢にも思いませんでしたが、まあ彼女の趣味にとやかく口出しする権利は僕にはありません。
「すみませーん」
「おや?迷子かな?君」
そう言われました。
クール系の美女ですね。スラッとしているのに一部は豊かでモデルさんみたいです。スーツ姿と相まってキャリア・ウーマンの雰囲気です。身長も妹より少し低いくらいでしょうか。サラサラとした艶のある長髪が似合ってます。
「違います。あの、今日の同期の顔合わせに来ました」
「あ、もしかして綺羅星の」
「はい。妹と母がここに所属しています」
「そうか君が4期生の綺羅星 翔太くんか…本当に17かい?」
「こんな見た目ですけどれっきとした17歳です!」
「そ、そうか…フフッ…」
あ、微笑ましいものを見た顔ですねこれ。まあショタが背伸びしたようにしか見えないので仕方ないですが…ちょっとむくれてしまいます。
「そうだ。自己紹介しないとな。私は清川 冷子。冷たそうな名前だろう?Vtuberとしては春川 ひやしんすとして活動している」
「ひやしんすさんでしたか!?」
春川 ひやしんす。
アスタリスク・コード2期生の一人。
声が綺麗でかなり歌が上手く、よく歌配信をしている。
また独特のネーミングセンスによって配信ではよく視聴者が腹筋を鍛えるのに使えるとのコメントが殺到するというなかなか見ないタイプのVtuberだ。
個人勢からアスタリスク・コードに入ったため、1期生よりキャリアが長かったりする。
名前のセンスが残念ですけどそれも魅力なんですよねえ。
「ええ。そういえば時間は大丈夫なの?」
「え?あ、あと30分あるので大丈夫ですよ」
「時計がずれてたなんてことは…」
「そんな漫画や小説じゃないんですから…念のため聞きますけど何時ですか?」
「9時30分ね」
「なら大丈夫です。10時からですし」
30分前行動を心掛けないと落ち着きません。流石に早すぎるとは思いますけど。
「とりあえず、入りましょうか。流石に暑くなってきたわ」
初夏だからそこまで暑くないとはいえやっぱりずっと外にいるとキツイものがあります。
「そうですね」
ひんやりとした空気が心地いいです。ただちょっと半袖で過ごすと寒いですね。
「ふー…涼しくていいわあ…」
「おや、冷子さん。もしかしてその子は?」
「浅野さん。おはようございます。この子は4期生の綺羅星のとこの」
「ああ、星野くんですね。初めまして、浅野 宏人です。2期生の総合マネージャーをしています」
「初めまして、僕は星野 翔太です。こんなナリですけど17歳です」
挨拶してきたのは好青年というか爽やかイケメンの浅野さん。見た目的には20代後半だろうか。
「ええ。写真と履歴書で知っていますし日菜子さんからよく聞かされてます…とても」
ああ…。お母さん…この人が少しの間、遠い目をするくらい話してたんですね…。
「ええと、お疲れ様です?」
「まあまだ日菜子さんはマシですよ…。雷電さんほどハチャメチャなわけでも準堂下さんよりもおとなしいですし」
雷電とは2期生でも突拍子のないことをするトラブルメイカーの雷電 電電。マイクラのサーバーをTNTで埋め尽くしたりポケモンで一撃必殺技だけを使ったりBloodborneを24時間耐久配信をしたりと何かと話題に絶えない人物だ。
今更ながらここはまともなのが少ないんじゃないかと不安になってきました。
「まあ、いいんです。迷惑料代わりに高給ですし自分のやりたいことでしたし」
「はあ…」
その割には目が死んでるような…。
「あ、顔合わせは3階でやります。顔合わせ会場って書いてありますのでその部屋に行ってください」
「わかりました」
さて、どんな人が同期なんでしょうか。
……濃い面子なんだろうなぁ。
――――――――――
う~ん。そんなに見た目は変わってないですけど…部屋にいる5人の本性がわかるわけがないんですよね。
「はいはーい。今日から私がプロデューサーになります武藤 霧華です。皆よろしくね」
部屋に入ってきたのは小柄…といっても僕より大きい美少女ですね。ツインテールが似合っているんですけど…本当に18歳以上でしょうか…。いや僕が言えた口じゃないんですけど。
「じゃあまずは君から自己紹介してね!」
「わ、私ですか…ええと、上条ニアといいます。母がアメリカ人なのでこの名前です。Vtuberとしての名前はトラペゾヘドロンです」
……ええ…?何故にそのチョイス…。
「クトゥルフ神話じゃないですか…」
「あ、わかるんですね!いや~いいですよねクトゥルフ神話。あれの発想はすさまじいと思いますよ。私もあんな狂気の世界を書きたいですねえ」
クトゥルフ系Vtuber…新しいと言えば新しいんでしょうか。
「好きなゲームはバイオハザードとダクソです!Vtuberは初めてなのでよろしくお願いします!」
なんというか…いきなり元気になりましたね。
「じゃあ、次は…君行ってみよう!」
「俺ですか。俺は山田太郎。あ、ネタじゃないですよ。本当にこの名前です。Vtuberとしては御堂 ルイスで活動してました」
あ、御堂 ルイスといえば個人勢としてもそれなりに名が知れているVtuberですね。
話題になった理由は2時間お経を読むという謎の配信のせいでしたっけ?『名前は外国風なのにお経を読むVtuber』という切り抜きが一時期トレンド2位になりました。
「配信から察していると思いますけど寺生まれです。ホラー系だとお経を読んでしまうんですよね…」
そういえばそんなことを…。『むしろお前がホラー』とかコメントがありました。
「じゃあ「次は私だね!」…ええ…」
突然割り込んだのは隣の自分よりほんの少し背が高い女性でした。
正直いきなり言ったので体が跳ねました。心臓に悪いです…。
「私は神無月 真莉愛!Vtuberとしては花園マリアです!Vtuberになった理由はアイドルになりたいからです!ちっちゃい体だからって甘く見るなよう!私はホラーにもつよつよなんだぞ!ってやっていきます!みんなよろしくね~!…まあこんな口調疲れるんですけどね…」
キャラ作ってんですね…。素とのギャップで採用されたのでしょうか。
「本当は家に引きこもっても生きていける仕事が欲しかったからです。よろしくお願いします…」
ぶっちゃけましたね!?そして発想がニートです!引きこもりです!
大丈夫でしょうか…。早速不安です。
「次は「私だニャン!」ちょっとぉ!?」
2人目の割り込みですか…!?
「私は猫田 夏帆だニャン。得意なのは空気を読むことと歌と料理だってばよ!口調がぶれるのは気にするな!そういうもんであります!」
もうこの人が爆弾にしか思えなくなりました。大丈夫でしょうか。
というか空気読めてないです。頭大丈夫じゃなさそうです。
「Vtuberとしては天下 猫で行くでコン!」
それは狐です。
「…じゃあ次は君」
あ、疲れてますね…。分かりますけど。
「…僕は平野キリヤ…Vtuberとしては…院鬼矢 久良で…よろしく…」
院鬼矢 久良といえばダウナー系の中のダウナー系としてコアなファンがいるVtuberです。そのあまりのダウナーさでホラーでもアクションでもほとんどリアクションを取ってないので人形みたいと言われてたりします。唯一リアクションが大きいのはギター配信のときで、ヘドバンやスクリームをするというあまりにも普段との差があるため2人でやっているのではとまで思われています。
「じゃあ最後は君だね」
僕の番ですね。
「びょ!?…噛みまみた…。ええと、星野 翔太です。Vtuberとしては綺羅星 翔太で活動します。基本ゲームは得意です。初心者ですので皆さんよろしくお願いします。あと、僕はこれでも17歳です。ですので子ども扱いだけはしないでください!」
…口の中がちょっと鉄っぽいです…。痛い。
「はい。じゃあ皆はLINEのほうで連絡するから友達登録はしておいてね」
さて、この後は自由時間という名の交流会ですね。