上条は今困っている。
あのバケモノには銃やナイフは効かないだろう。
かといって物理攻撃はともかく、精神攻撃である『外装代脳』が通用するとは思えない。
幻想殺しは規制されているし、『発条包帯』を使って突っ込むのも意味は無い気がする。
「くそッ! こんなのどうやって相手しろっていうんだ」
何らかのきっかけがあれば消える可能性もある。(消滅ではなく、沈静され見えなくなる状態)
「おい、木山。解決方法を知らないのか!?」
上条は問いかける。しかし、
「アレは、『
「あんなのバケモノで十二分だ。早く答えろ!」
「ネットワークは私の手を離れているし、あんなものは予想外だよ」
否定の言葉。
上条にはバケモノを止める術は無い。
ならば、邪魔なもの全てを排除するだけだ。
「ならばいるだけ邪魔だ。消えろ」
そう言いバケモノに突っ込む。
腕にも触手にも見えるものが上条に向かって伸びる。
それを蹴り飛ばし、掴まれてしまったときは、ナイフ等で切り落とす。
戦いを始めて五分。警備員が銃を構えているのを確認し、上条は高速道路まで一気に後退する。
「ふふ、ハハハハハ。もう無理……か。おしまいだな」
木山は自分の頭に銃を突きつける。
自殺だ。
しかし、偶然か必然かそれを初春が目撃する。
「ッ! だ、ダッメーッ!」
勢いで飛び出す。そして、そのまま木山に体当たりして押し倒す。
「ななななな、何考えてるんですか! 早まったら絶対ダメです!」
「……わかった、……苦しいから退いてくれ……」
その後、木山は口を開いた。
そして、最後に答えを出した。
「預けたものはまだ持ってるかい? アレは『幻想御手』が産んだ怪物だ。ネットワークを破壊すれば止められるかもしれない」
初春はそれを聞いて走り出した。
「ありがとうございますっ」
一斉に放たれた銃撃もほとんど意味をなしていない。
しかし、何もできない自分よりはましだろうと、警備員の後ろにまわる。
「何で一般人があんなことをしたの!?」
当然警備員に怒られる。だが、上条は清ました顔で、
「一般人じゃないからだけど」
直後、バケモノの攻撃により、警備員が吹き飛ばされる。
しかし、上条は右手を前につきだし、なんともない顔でたたずんでいた。
そんな上条の視界に、一人の少女が映る。初春である。
そのとき、一人の警備員がそこに飛び込む。
そして、バケモノの攻撃を盾で受け止めた。
そのとき、会話をしているように見えたので、上条は『外装代脳』で読心を行う。
『この子は何をやってるの!? 早く逃げないと危ないでしょう』
『このデータを使えば、アレを止められるかもしれない』
上条は心にゆとりができた気がした。