さて、前置きは省略しよう。上条は今バケモノを食い止めるために戦っている。
しかし、銃は効かず、ナイフで切り落としても生えてくる相手とまともに戦えるはずが無い。
だから引き付けて避けるを繰り返すのが今の戦法だ。
「っあぁ、うぜぇ。早くしてくれよ木山。」
そう呟いて、避けきれなかった手(触手?)を切り落とした。
何だかんだで木山は無事に建物に到着した。
「……なんだここは。入口はおろか、武器庫の扉まで鍵がかかっていないじゃないか」
そこはあまりにも無用心で、スキルアウトにでも盗まれる危険がありそうだった。
しかし、木山はこれでも学園都市の科学者だ。
銃を手に取って眺めたときその仕組みに気がついた。
(……指紋認証式のロックがかかっているのか。さらに超合金で壊れない)
納得だ。使えない物を盗むほどのバカは滅多にいない。
木山は言われた通り、ガトリングガンを担ぎ、歩き出した。
パン。軽い拳銃の音が響く。
上条が引き付けるために放った最後の一発。
(チッ、拳銃用は使いきっちまった……。あ……? 木山……)
上条の視界の端に木山が写る。
総合的に限界だった上条は、木山に向かってはしる。
「おい、木山。早く貸せ」
「……ん、ああ。元々君が持ってこいと言ったんだろう」
木山に銃を差し出した。上条はそれを受け取り、再びバケモノに突っ込む。
安全装置に手を掛ける。『指紋認証完了』。安全装置を動かす。
ある程度まで近づき、引き金に手を掛ける。『指紋認証完了』。引き金を引く。
ガガガガガガッ。
銃弾はバケモノのからだを貫く。
その内、何回か手応えが違った。
(ここだ!)
上条は狙いを定め、ガトリングガンを乱射する。
銃弾が『核』に命中する。何発も何発も命中し、ダメージを蓄積させる。
「人間なめんなバケモノ」
銃弾が『核』を貫く。
そこからはあっという間だった。バケモノが崩れ、消え去る。
「……終わった、のか?」
木山が呟く。
上条は答えず、木山の腕を掴む。
「行くぞ。警備員がくると厄介だ」
そのまま引きずるように引っ張り、病院へ向かった。
病院へ向かった理由は二つ。
一つは怪我や疲労を何とかするため。もう一つは食蜂と介旅がいるからである。
ちなみに木山は指名手配同然なので、髪を結んでサングラスをかけている。
「イテッ、痛たたた。先生、もっと優しくしてくれよ」
「優しくやっているつもりだけどね。『発条包帯』は使いすぎると筋肉を駄目にするよ」
上条は痛がるが、当然の正論で一蹴される。
「わかってるさ。ありがとう、先生」
上条は礼を言い、部屋を出る。そして介旅の部屋へ向かう。
扉を開け、
「はぁー、疲れた……。介旅は大丈夫か」
声をかける。
目が覚めた介旅、さっきまで『仕事』をしていた食蜂、先に治療を終えた木山の三人が上条を見る。
介旅が返事をする。
「問題ないよ。少なくとも今は影響ない」
その言葉を聞き、上条が話し始める。
「それじゃあ話を始めよう。
新しい仲間が増えた。ようこそ暗部組織『デビル』へ――」
上条は理由がない限り、『ドラゴン』を使わず『デビル』で通します。
最重要機密に直結する暗部組織名なので。
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