ありふれたRTAでラスボス撃破 タンクチャート 作:エチレン
消えろ、イレギュラー!(遺言)なRTA、はーじまーるよー!
前回はメルジーネ海底遺跡をクリアしたところまででしたので、今回はその続きからですね。
日付は27日目、今回の迷宮は入ったら時間が止まるタイプの迷宮だったので、入る時そのままです。
さて、何はともあれ、まずは次の迷宮の攻略です。
お次に攻略するのは神山。聖教教会の本部がある標高8000メートルの山です。ですがその前に、空いているパーティの枠を埋めるために後二人勧誘しておきましょう。
本当は一人だけで良いです。もう片方は必須と言う程ではありませんが、安定して走るため念のために居れば勧誘しておきます。『私は何も間違えない』と自信満々な方はそのまま神山に直行しましょう。
移動中にチャート解説を少ししておきます。
本来であればまずはハルツィナ樹海の迷宮を攻略してから神山に行く予定でした。
それは何故かと言うと、中村姉貴をパーティに咥え入れるためです。
正直な話、中村姉貴は戦力的な意味ではパーティに加える意味はありません。魔法に関してはすでに強力な手駒…もとい仲間がいますからね。
では何故、中村姉貴を仲間に咥えるのかと言うと、それは以前も言ったイベントの消失が関係しています。例えばアンカジ公国に早めに到達した事で熱病イベントが起こらなかったあれです。
中村姉貴は放っておくと裏切ります。魔人族に連絡してホイホイと付いて行ってしまうのです。そして王都とかラストダンジョンで面倒くさいイベントを多数発生させてくれやがります。ついでに檜山兄貴とかも連鎖して裏切りやがります。あーもう滅茶苦茶だよ。
その裏切りのタイムリミットが40日目なのです。つまり、中村姉貴の裏切りイベントをスルーするためにはそれまでにパーティに咥える必要があるのです。
咥えなければ原作同様、何人かキャラロストする上にクソ長いイベントシーンを強制的に見せつけられることとなります。
40日目までに中村姉貴をパーティにずっと入れておけば裏切りイベントは当然発生しなくなります。そして、それに連鎖して起こるフリード兄貴の王都襲撃や檜山兄貴の裏切りも同様に発生しなくなります。良い事尽くめだぁ…。
ですが、王都からハルツィナ樹海に行くためには最短でも3日かかります。
そして、ハルツィナ樹海で次に霧が晴れる日が37日目です。
なら日数的に間に合うので神山→ハルツィナ樹海でいいじゃんと思うかもしれませんが、中村姉貴が王都に出没する日数が27日目以降は35日目、37日目~40日目朝までになっているため、40日目以外では咥え入れるためにハルツィナ樹海の攻略可能日をスルーする必要があるのです。
ハルツィナ樹海の迷宮は、一度スルーしてしまえば20日経たないと再入場できないので、本来のチャートとしては『37日目にハルツィナ樹海→40日目に王都に立ち寄って中村姉貴を回収してから神山攻略』となります。
ですが、運よくブルックの町で咥わってくれたのでそのチャートはキャンセルだ。
素直に神山→ハルツィナ樹海の順番で攻略します。大体20分くらいの短縮ですかね?
私は運ゲーが嫌いなのでブルックの町で中村姉貴が加入しない前提でチャートを組みましたが、今回はラッキーでした。
そもそもファストトラベル機能があればこんな面倒くさい計算をしなくても良かったのに、どうしてこうなってしまったのか…。一応、『ワープポータル』というアイテムがありまして、各町に設置すればポータル間を一瞬で移動できるようになるんですが、それが解禁されるのはラスボス撃破後なんですよね…。
クリア後にストレス解消機能を開放するとか開発者は何考えてるんだか。
閑話休題。という訳で、次は神山を攻略します。
「うわぁ~、ここが王都ですか! 高い建物がたくさんですね!」
「……夜でも明るい。魔石を使った街灯がお洒落」
「ふう、戻ってきたね。取りあえず宿をとって、皆に会いに行くのは明日にするのはどうかな?」
「王宮ならタダで泊まれるんだけどな」
「それじゃあ久しぶりの王宮にレッツゴー!」
「妾が行って大丈夫なんじゃろうか…」
「き、きっと大丈夫です。私達の紹介があれば、多分…」
おっと、そんな益体もない事を話している内に王都に着きました。現在は30日目です。
ハイリヒ王国の王都は、このゲームの中でも屈指の広さを誇ります。面積だけで言えばアンカジ公国の1.5倍くらいですね。街中で迷う事もしばしば。じゃけんあらかじめマップは作成しておきましょうね~。
現在の時刻は夜ですが、昼になると街の様子が変化するので色々と探索してみるのもいいかもしれません。王都ならではのサブイベントも充実しており、クリアすることでトロフィーがもらえたり特殊なアイテムが手に入る事があります。まあ、RTAなので今回は全部スルーしますがね。
ちなみにティオ姉貴がスキットとかで「竜人族である自分が迂闊に王都や教会に近付くわけにはいかない」みたいな事を宣いますが、ティオ姉貴を先頭にして王宮や神山の聖教教会本部を訪ねても何も起こりません。
さて、王都でやる事なのですが、まずはアイテムの補充です。道具屋でポーション類を補充しまして、食料品が少なければ食料品屋で補充します。ちょっとマジックポーションが少なめなので買っておきましょう。
……はい、補充が終わりました。そんじゃあ次行きましょ。
それではこれから神山に向かいますが、神山は王宮から行けるのでまずはそこに向かいます。
今回の目的の人物は31日目に王宮に出没するので一晩泊っていきましょう。王宮であれば無料で泊まれるのでおススメです。なお、ユエ姉貴、シア姉貴やティオ姉貴も普通に通してもらえます。
勇者一行が相手とは言えなんてガバガバなセキュリティなんだぁ…。
メイドさんに話しかければ宿泊するかどうか訊かれるので、「はい」を選べば大丈夫です。
この時、王宮にいるクラスメイトに話しかければ『おかえりなさいイベント』が起きますがロスになるのでキャンセルだ。
あ、檜山兄貴だ。オッスオッス! ごめんね、ゆっくり話すのはラスボスを撃破してからにしようね。
>王宮で一休みすることになった……
>朝になった
王宮で休憩を取ると暗転して翌日になるだけで特にイベントなどは発生しません。日数を早送りしたい場合は宿屋で休むよりこっちの方が効率的です。
さて、31日目になりましたので目的の人物に話しかけましょう。訓練所に居るのでそこまで移動します。
「久しぶりだね。無事で何よりだ。随分と大所帯になったみたいだけど寄り道をしていたのか? 皆心配してたんだからなるべく早く戻ってくるべきだ」
お久しぶりです師範! よろしくお願いします!
そんじゃ誘いましょ。勇者を誘って大丈夫なのか?と思われるかもしれませんが、普通に大丈夫です。
補足ですが、天之河師範は何らかの補正が働いているのか何があってもストーリーの終盤までは生きてます。
試しにオルクス大迷宮で魔人族に襲われる日時(40日目昼)に奈落ハジメくんをパーティに入れてスルーしても何故か普通に生還してました。
なお、絶対に生き残るのは天之河師範だけで、他のキャラは場合によってはロストする模様。確か5人くらい帰らぬ人になってましたが、むしろあの状況から5人の犠牲で済ませたのが凄いと思います。調査中には八重樫姉貴とか白崎姉貴も普通に氏んでましたね。
「世界を救うためにはもっと力がいる。悔しいけど今のままじゃまだ足りないのは事実だ。北条が神代魔法とやらを手に入れて強くなったのなら、俺だってきっと強くなれるはずだ。もちろん同行するよ」
あ、ちなみにですが、ブルックの町で愛ちゃん一行と再会した時点でほもくんの行動は皆に伝わってます。という訳で9人目のパーティメンバーは『天之河光輝』です。性能についてはまた後ほど説明しましょう。
10人目のメンバーですが、ちょうど隅っこの方に居ますね。神山に行くためのリフトまでの道中で探して、そこで居なければスルーする予定でしたのでラッキーです。
「ハジメくん、久しぶりだね。それに北条くんも無事で何よりだよ。話は愛ちゃん先生から聞いてたけど大きな怪我が無くて本当に良かった」
白崎姉貴オッスオッス!
最後のパーティメンバーが『白崎香織』です。万が一の時のための回復薬(誤字にあらず)ですね。ポーション類は十分に確保していますが、最後の方になると敵の攻撃も痛いので保険のために咥えておきます。恐らくは大丈夫ですがここまで来て再走なんてしたくないのでね。
「うん、もちろん私でよければ力になるよ。これからよろしくね」
よろしくナス!
これでパーティメンバーが10人になりました。これにて布陣は完成、このメンバーと、後はワンポイントの助っ人で駆け抜けます。
もう王宮に用は無いので神山に向かいましょう。さっそく扱き使ってやるからな~。神山は、王宮の外れにある塔から行くことが出来ます。屋上にある円形の足場みたいなのに乗ればOKです。
では、『移動する』を選ぶ前にパーティの編成です。天之河師範と清水くん、ティオ姉貴とシア姉貴を入れ替えて、ほもくん、ユエ姉貴、天之河師範、シア姉貴をフロントに配置します。当然、隊列はほもくんを一番前にして、少し下がって左右に天之河師範とシア姉貴を、ユエ姉貴は定位置の最後尾です。
バックにはいつも通りハジメくんと、今回は谷口姉貴に外れてもらってティオ姉貴に入ってもらいます。ティオ姉貴の補助効果は『主人公が行動するごとに物理・魔法の複合攻撃を行う』です。
物理耐性が高い敵には魔法攻撃、魔法耐性が高い敵には物理攻撃として働くのでどんな敵にも一定の効果は見込めるそこそこ便利な補助効果です。
>この装置に乗れば神山に行けそうだ
>装置を起動しますか?
ではイクゾー!
神山に着きました。そして、着いてすぐイベントバトル発生です。魔人族との戦争が発生していない状態で4つ以上の迷宮をクリアしていることが発生条件です。
「初めましてイレギュラー。私はノイントと申します。神の使徒として主の盤上より不都合な駒を排除させていただきますのでお覚悟を。」
ノイント姉貴オッスオッス! このワルキューレって感じの格好をしたヤツが今回の相手です。ベラベラと説明してくれてますが大雑把に要約すると、エヒト兄貴が「勇者一行が順調に行き過ぎてて何もイベントが行らないから退屈だえ」と駄々をこねた結果、ほもくん一行を排除すれば面白いことになりそうだと言う事になって刺客を差し向けてきた感じです。
やはりエヒト兄貴は人間の屑、ハッキリわかんだね。
正々堂々名乗りを上げてきたのでボコしてやりましょう。
此方も抜かねば…無作法というもの…。
>『使徒ノイント』が襲い掛かってきた!
神山最初にして実質ボスである『使徒ノイント』戦の開始です。
ノイント姉貴は、原作設定でもあったようにスペックが凄まじく高いです。全ステータス10000オーバーと言う奈落ハジメくんにも決して引けを取らない性能を誇ります。
接近戦、魔法共に高水準の戦闘能力があり、回復を使ってこないという一点以外は非の打ちようがないやっかいな敵です。ですが、ノイント姉貴で一番やっかいなのが固有技能の『分解』です。
その効果はなんと『即氏効果』です。双大剣による近接攻撃と、〝滅光〟という魔法に追加効果として付与されているのですが、どれだけ状態異常耐性があろうとそれを貫通して即氏させてきます。
防ぐ方法はただ一つ、『魔法ダメージを100%カットする』ことです。
どうやらこの即氏効果、『魔法ダメージを1以上与えた時に対象の最大HP値の追加ダメージを与える』という仕様のようで、例えレベル200にして魔耐をカチカチにして挑んでも即氏させられます。
ここでほもくんの防御時に魔法100%カットが生きてくるわけです。谷口姉貴をバックに入れても素のままでは60%カットにしかならず、結局防御しないと即氏するので今回はお留守番になったという訳です。
幸い、挑発は効くのでいつものように開幕でほもくんが挑発します。
「ほうれ、オマケじゃ! 受け取るがよい!」
ほもくんが行動した事でティオ姉貴の補助効果が発動しました。竜の爪みたいなカッコいいエフェクトが発生してますね。ノイント姉貴は魔耐>耐久なので、今回は物理攻撃として計算されます。
「排除します」
「……お返し。〝炎天〟」
ノイント姉貴の近接攻撃です。どう見ても物理攻撃ですが、追加で僅かな魔法ダメージが発生します。
当然ですが、挑発しているのでほもくんは防御していません。
【技能『起死回生』が発動した!】
まあ、当然の結果として即氏する訳ですが、起死回生があるので凌げます。後は一気に押し切りましょう。
天之河師範お願いします!
「俺が守ってみせる! 聖剣よ、俺に力を!」
今使ったのが天之河師範のスキル『聖剣の加護』です。
その効果は『自分のステータスアップ&味方の状態異常・能力低下解除&自分の間合い内にいる敵の能力値を下げる』という何ともゴージャスなものです。これがまた強く、天之河師範を強キャラに押し上げている柱になっています。
具体的に効果を言いますと、『自分の筋力、耐久、魔耐、俊敏を10%アップ』および『敵の筋力、耐久、魔耐、俊敏を10%ダウン』です。ヤバイですね。また、このバフとデバフは通常のものとは違う固有枠なようで、他のバフデバフと重ねることが出来ます。
しかも一度使うと戦闘中は効果が永続します! さらにさらにぃ、『聖剣の加護』はディレイが無いのですぐさま次の行動に移れます! これがお値段たったのMP100!
インチキ効果もいい加減にしろ! と言いたくなるような優遇っぷりです。このスキル、エヒトにも通じるんだよなあ…。どういうことなの…。
これのせいで天之河師範はぶっ壊れキャラになってしまいました。対ボス戦では取りあえず入れておけば仕事をしてくれます。制作陣に枕営業♂したのかな?
「行くぞ! 万翔羽ばたき、天へと至れ――天翔閃!」
後はダメージ効率の良い天翔閃を連射してもらいましょう。一番威力の高い神威は詠唱時間とディレイが長いので今回は封印です。現在の天之河師範のレベルは89です。ノイント姉貴の適正レベルが95ですが聖剣の加護のお陰もあって結構ダメージは通ります。
10レベル差程度なら覆せる男、それが天之河師範光輝です。
「全力全開! これが私の本気ですぅ!」
シア姉貴は強化魔法を使った後ひたすら轟爆をします。と言うか、むしろシア姉貴は基本的にこれ一本で食っていけるくらいです。物理ゴリラは伊達じゃない。
ユエ姉貴も出し惜しみは無しです。MP効率など考えず威力の高いのをお見舞いしてやりましょう。
「〝蒼龍〟」
やっぱりユエ姉貴の火力は…最高やな! 天之河師範のデバフによってダメージがさらに加速しています。もうすでに3割くらい削れてますね…。
おっと、魔法陣が出てきましたね。色は銀色なので次に打ってくる魔法は〝滅光〟です。
そのまま受けると即氏するので、ほもくんの要塞で流しましょう。
「隙だらけじゃのう!」
ダメージ100%カットなので即氏効果も不発に終わります。ティオ姉貴の補助効果も良い仕事してますね。
「消えなさい、イレギュラー!」
あ、ちなみに〝滅光〟はフィールド全体攻撃です。対策してないと全員即氏します。クソみてェな魔法ですが要塞の前では無駄無駄ァ! ほもくんはこれから要塞をし続けるだけの装置になってもらいます。
このように、初見殺しのノイント姉貴もほもくんがいれば完封可能です。要塞は若干ディレイが重いですが、聖剣の加護で相手の俊敏も下がっているので要塞が間に合わない、などという事もありません。やっぱり守護者の防御力を…最高やな!
>どこからか歌声が聞こえる……
>体の力が抜けていく!
ノイント姉貴のHPが50%を切ると、イシュタル兄貴達聖歌隊がデバフを掛けてきます。こっちのステータスを低下させてきますが、それも特に問題ありません。
「聖なる光よ、我らを邪悪から守りたまえ!」
そう、天之河師範ならね。『聖剣の加護』をもう一回使えばあら不思議、デバフが解除されました。ちょっとこのスキル便利すぎんよ~。
もう見所さんはないのでちゃっちゃと終わらせましょう。ユエ姉貴のゲージが溜まってるので止めです。
「これで終わり……〝五天龍〟」
地・水・火・風・雷の5つの龍を召喚して相手を攻撃する魔法です。相手に一番通る属性での極大ダメージに咥えて火傷・凍傷・裂傷・感電・石化の状態異常判定が発生します。
すごい強いじゃん、と思うかもしれませんが、そもそもボスクラスの敵は状態異常耐性が高く、上記の5つの状態異常はほとんど入りません。肝心の威力に関しても最上級2回分ほどと消費に見合ってません。
つまり、止めの一撃に使うくらいで普通に弱点属性の最上級魔法を乱射してた方がMP効率が良いのです。RTAではリソースも限られているのでポンポン使う事はありません。
「この力……やはり……あなた達は……危険……」
>戦闘に勝利した!
>少しだけ強くなれた気がする……
>『使徒の器』を手に入れた!
これにてノイント姉貴は出番終了です。おつかれちゃーん。必殺技で止めを刺すとハジメくんのオートアイテムは発動しないのでマジックポーションの節約にもなります。後でほもくんから吸血しておきましょう。
「ぶい。私達の勝ち」
「ふふ~ん、どうですか私達の連携は! 逃れられるもの無し、ですぅ!」
『使徒の器』がドロップしましたが、これはノイント姉貴を始めとする使徒系の敵を倒すと時々ドロップするアイテムです。ノイント姉貴だけは確定でドロップしてくれます。
これ、フレーバーテキストを見る限りでは使徒の遺体なんですよね…。なお、アイテムのカテゴリは素材な模様。つまり、売れます。
はい、売れます。
普通にギルドの買取窓口とかで売れちゃいます。以前『なんなら使徒とかエヒトとかからドロップした素材とかも普通に買い取ってくれます』と言いましたがそれです。おひとつ300万ルタです。非常に高く売れます。
これのお陰で最後の金策では使徒を狩るのが一番効率が良くなってしまいます。
狩られて遺体を売られるとかエヒト兄貴も流石に想定外でしょう。やはりイレギュラー…。
あ、今回取得した『使徒の器』は後で使うので売りません。宝物庫でゆっくり死ていってね!
ノイント姉貴も始末しましたし、とっとと神山に殴りこんで神代魔法を手に入れましょう。
雑魚敵としてイシュタル以下聖職者が徘徊していますが、ナニモイウコトハナイ。清水くんの『戦慄の視線』で追い払える程度のレベルです。
それでは進軍しましょう。オラオラ、勇者様一行のお通りじゃ~! ついでに金目の物も頂いて売りさばいて今回はここまでです。ご視聴ありがとうございました。
□どうでもいいオマケ□
「よーし、今日はここまで! しっかり休めよ!」
「「「ありがとうございました!」」」
ハイリヒ王国の王宮、そこにある訓練場では今日も戦士達が鎬を削っていた。
日が沈む前に訓練は終わり、各々休息をとったり、体力に余裕があったり時間があれば趣味に打ち込んだりする。
「よう、お疲れさん光輝。今日も頑張ってたな」
「お疲れ様ですメルドさん。俺にはもっと力が必要です。こんな所で立ち止まっている訳には…」
「ったく、真面目過ぎんのがお前の欠点だ。もっと肩の力を抜いたらどうだ?」
呆れたように溜息をつくメルド。オルクス大迷宮に最初に行った時から光輝は何かと気負い過ぎているような気がするのだ。勇者と言うのが重圧のかかる重要な立場と言うのはただの騎士であるメルドにも分かる。
だが、だからこそ時には気を緩めることが大切なのだ。ずっと張り詰めていると何かの拍子でいとも簡単に切れてしまう事がある。そうなってからでは遅い。
ここは大人である自分が息抜きの方法を教えてやるべきだと余計な事を思いついた。
ニヤリ、と下品な笑みを浮かべて光輝の肩を叩く。
「たまにはガス抜きでも……おっ、そうだ。街にそれは美人なお姉さんがいる娼館があるんだが、今夜どうだ? 経験も豊富だから色々と相談にも乗ってくれると思うんだが」
「んなっ! お、俺は勇者です! そんな不純な事をするわけにはいきませんよ!」
「勇者だからこそ女を知るべきだ。俺はそう考えてるんだがな」
光輝は女性にモテる。それはもう、騎士の皆さんが歯軋りするくらいに。だが、それに反して光輝は女性を知らないままなのだ。口説くようなセリフは言うのにその先が無い。つまり、女性経験がない。
顔を真っ赤にして反論する光輝をからかっていると、慌ただしい声とバタバタと走り回る音が聞こえてくる。
「白崎が脱走したぞ! 追え!」
「今週三回目じゃねえか! 取りあえず城の出入り口を固めろ!」
「吉野がやられた! 漫画みたいなたんこぶができてる! 誰か辻を呼んできてくれ!」
「つ、辻ケアル……よろ……」
聞こえてくる声に光輝は「またか…!」と頭を抱えたくなった。
愛ちゃん親衛隊に同行していたハジメ、幸利、鈴、恵里の四人が北条に引っ付いて行ってからたまにこうして香織は脱走しようとするようになってしまった。幸い、今までそれが成功したことは無いし、ある意味では訓練にもなっているのだが、元凶であると思われる北条には一言文句を言ってやりたかった。
溜息をついていると雫が訓練場にやってくる。もしかして迎えに来てくれたのかと思い、光輝は笑顔で出迎えるが、般若のような表情の雫を前にして顔が引きつるのを感じた。
「し、雫…? どうしたんだそんなに怖い顔をして。雫にそんな顔は似合わな――」
「香織のバカは何処!?」
雫の両手には抜身の曲刀が握られていた。ギラリと光る刀身を見てついホールドアップしてしまう。漏れ出す闘気や魔力が原因か、ポニーテールがゆらゆらと海に漂う海草のように揺らめいている。
「し、知らない! 俺はここでずっと訓練してたんだ! で、ですよねメルドさん!」
「お、おうそうだな! 少なくともこっちには来てないぞ!」
「……そう。嘘は言ってないみたいね。お邪魔したわ」
メルドと一緒に必死になって弁明していると、思いが通じたのか雫は踵を返して訓練所から去って行った。背中が見えなくなるまでホールドアップしていた光輝とメルドは、最初にベヒモスを見た時よりも威圧感を感じてチビりそうになっていた。
「……俺も香織を探してきます」
「……おう、無理はするなよ」
しばらく無言の空間が続いていたが、やがて光輝が香織の脱走を止めるために動き出す。最近は香織の事を「もしかしてヤバイ奴なのでは?」と思う事が無い事も無いのだが、光輝にとってはずっと一緒にいる大切な幼馴染だ。
それを見送るメルドの目には、何だか光輝の背中が煤けてみえた。