ありふれたRTAでラスボス撃破 タンクチャート   作:エチレン

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幕間:惑わしの大樹海(後②)

 三つ目の試練を終えて、巨木の中にあった魔法陣で転移をした一行。

 もうそろそろゴール地点だと予想をしていたのだが、どうやらそうはいかないらしい。

 

 転移した洞窟を抜けた先にあったのは広い通路であった。

 ただし、通路と言っても土や石でできたものではなく、硬い枝の上であった。十人が横並びになっても余裕があるほどに太い枝であり、それがさらに幾本も絡み合って広大な空中回廊を築いている。

 

 上を見てみると、そこには青空は無く石か土かでできた天井があり、ここが今までと同じように地下にある空間であると推測できた。

 

「……まだ終わりじゃないんだね」

 

「そうみたいですねぇ。それよりも後ろのあれ、もしかして大樹ですか?」

 

 辺りを警戒していたシアが指さす先には規格外と言っても良いほどに巨大な木の幹があった。そうやら現在立っている枝はそこから伸びているようだ。

 

「あっ、本当だ! でもここって地下だよね?」

 

「そ、そうだと思う。だったら本当はもっと地下深くに根っこがあるって事になるけど……」

 

 争奪戦でユエから守り切った桜色の上着を揺らしながら鈴が首を傾げ、恵理が頷いて幹の下の方を見ようとする。かなりの高さがあるのか、下の果ては見えない。

 

「となるとハルツィナ樹海で見たのは地上に突き出たほんの一部分だったというわけじゃな。いやはや、全高がどれだけあるのかもはや想像すらつかぬな」

 

「んっ、世界には不思議がいっぱい」

 

 この中で長く生きているティオですらもこのような大樹は見たことがない。ユエも長生きだが三百年封印されていたので実質的には二十三歳と言える。愛子(25)よりも年下である。

 

「それにしても下が見えねえな。……いや、先に進むしかねェんだけど一応下に何があるのか見ときたくねェか?」

 

「確かに……万が一のことを考えるとそうかもしれない。でも飛び降りて確認するわけにもいかないし、そんな下の様子が確認できる都合のいい道具なんてあるわけが……」

 

「あるんだよなあ、それが。ほれ」

 

「それって……もしかしてドローンか? よく無事だったな」

 

「……ああ、まァな」

 

 幸利が取り出したのはいつぞやの王宮で見せたドローン。

 あの時はティオに野望を阻まれてしまい、そのままシアのバルムンクで破壊されそうになったが、拝み倒してなんとか返してもらうことが出来た。

 

 なお、その代償として王都のスイーツ店巡りをさせられて財布に甚大なダメージを受ける事になった模様。

 

 ドローンの効果は地球にある物とさして変わりないが、あれから少しだけ改良を加えており、スクリーンがあればプロジェクターのように映像を映し出して、ドローンで撮影したものをリアルタイムで見ることが出来るようになっていた。

 

「あっ、ユッキーが覗きに使おうとしてたやつだ!」

 

「幸利が覗きに使おうとしていたやつじゃな」

 

「うん、清水くんが覗きに使おうとしてたやつだね」

 

「ユキトシさんが覗きに使おうとしてたやつですぅ」

 

「マモルに覗かれたかった」

 

「むしろハジメくんを覗きたかった」

 

「う、うるせえ! そろって覗き覗き言うな! あと最後の二人は何かおかしいぞ!」

 

 音もたてず、空間魔法によって姿さえ見えなくなったドローンが枝の下へと降りていく。

 スクリーンに映し出される映像はしばらく真っ暗なままであったが、一分ほど経つと底にあるものの全貌が見えてきた。

 

「「「ヒッ!!」」」

 

「…………ッッ!!」

 

 ガサゴソと動き回る黒い塊。いや、小さな黒いものが山のように重なっている結果塊のようになっているだけだ。それを見てしまったメンバー……主に女性陣が顔を引きつらせる。もちろん男性陣も一人を除いて表情が歪んだ。

 

「……ゴキちゃんか」

 

「言わないでまもるん! あ、あんなに、いっ、いっぱっ、いいいいっ、一杯っ……!」

 

「……無理無理無理っ」

 

 鈴とユエが顔を青ざめて北条のコートの内側に避難した。わさわさと地下空間に蠢くゴキブリは数々の試練を潜り抜けてきた者でも精神的にキツいらしい。

 

 他の面々も同じようなものだ。香織はハジメの腕がうっ血しそうなほどに強く抱きしめているし、恵理は足が笑っていて光輝に縋りついている。

 シアは神速でバルムンクを取り出し、ティオは「何と言う事じゃ……何と言う事じゃ……」と慄いていた。口元を隠している扇子がカタカタと震えているし、今にも吐きそうな表情だ。

 

「な、なあ。これ、足を滑らせたらあの中に落ちてくんだよな……」

 

「や、やめてよ光輝くん! あそこに落ちるくらいなら死んだほうがマシだよっ!」

 

 ぼそりと呟いた光輝の言葉に恵理が珍しく悲鳴のような声を上げた。あのゴキブリの中に落ちていくなど考えただけで気が遠くなりそうだった。

 

 とにかくこれ以上映像を見るのは精神的にまずいのでドローンを戻して、ゴキブリに気付かれないうちに進んでいくことにした。皆が皆、足音と気配を出来る限り消して暗殺者のような足取りで枝の上を進んでいく。

 

「いいか、俺達は風だ。空気だ。今ここに居ないんだ」

 

「自然と一体となり気配を溶け込ませるのじゃ。そう、妾自身が大樹となるのじゃ……」

 

 このままゴール地点まで何事も無ければと心から思っていたが、やはり試練なのでそう簡単にはいかないようで。しばらく進んで足場となる枝から他の枝へと飛び移ったすぐ後に、下から巨大な気配と羽音が迫ってきた。

 

「やっぱり気付かれたああぁぁっ!」

 

「ひいいぃぃっ!! 〝聖絶〟っ!! 〝聖絶〟うううぅぅぅ!!」

 

「……焼き払うっ!」

 

「こうなりゃヤケクソですよ! かかって来いですぅ!」

 

 下から巨大な黒い津波が襲いかかってきた。それは数え切れないほどの、おそらくは一万匹を超えるゴキブリであった。トータスにゴキブリが存在するかは分からないが、認識としてはゴキブリなのである。

 半狂乱となった鈴が全力で結界を張り、その他が迎撃をする。

 

「でやああぁぁっ!!」

 

 シアが勢いよくバルムンクを振るうと、風の刃が乱れ飛ぶ。生成魔法によって付与された能力の一つだ。それによってゴキブリは切り刻まれ、体液をまき散らしながら絶命した。

 

「〝蒼龍〟……っ、キリがない」

 

「〝閃熱〟! ここでは場所が悪いのうっ! どこか広い足場があればいいのじゃが!」

 

 蒼い炎の龍が黒い波に突っ込んでいき、さらに追従するようにして放たれた白い熱線が斜線上とその周囲にあるゴキブリを灰にしていく。

 だがゴキブリの数は圧倒的で、焼いても焼いても数が減る様子がない。まさかこのゴキブリを全滅させろという試練ではあるまいし、きっと他にクリアの条件があるはず。

 

 となると強引に進んでいくしかないのだが、そのためには今もバシバシと結界にぶつかり群がり続けるゴキブリをどうにかしなければならない。

 

「……前に広い足場があった。そこまで行ければ……」

 

「もう無理……吐きそう……」

 

「頑張って鈴っ! 命が懸かってるから!」

 

「そ、そうだよ鈴ちゃん! 絶対に結界は解かないでね!? もし壁が無くなったら私達死んじゃうよ!」

 

 火炎放射器を構えた北条が前を見るが、そこには這い回るゴキブリの腹しかない。だが、確かに見たのだ。この先、いくつかの枝を飛び越えればかなり広い足場がある。そこであれば滑落の危険もないだろう。

 

 ただし、頼みの綱である鈴は顔を真っ青にしており今にも気を失ってしまいそうで、恵理と香織が必死に励ましている状態だ。

 

「谷口さんは動けなさそうだね。かなりマズい……あっそうだ。衛、ちょっと耳を貸して。僕に良い考えがあるから」

 

「……? 分かった」

 

 何かを思いついたのか、北条や幸利と一緒に火炎放射器で結界に張り付くゴキブリを焼いていたハジメが北条に耳打ちをする。ハジメが伝えた内容はシンプルであったが有効であった。なるほど、と頷いて北条は火炎放射器を宝物庫にしまう。

 

「うぅ……もう限界だよぅ……」

 

「リンリン、耳を塞いで目を瞑り結界だけに意識しろ」

 

「ふぇ……? わかった……わきゃっ!?」

 

 言われた通りに鈴が耳を塞いで目を閉じる。それを確認した北条はひょいと鈴を横抱きにした。これならば何かを見る必要も見く必要もなく、移動も北条が行えばよい。多少揺れはあるだろうが、無音無明の状態で他の事を考えずに結界の維持に専念できるだろう。

 

 メルジーネ海底遺跡以来、二度目のお姫様抱っこである。嬉しいやら恥ずかしいやらハジメくんナイスゥやら色々と言いたいことはあったが現在は試練中なので鈴は黙って結界に意識を集中させることにした。

 

「……私ももう無理……マモルのお姫様抱っこがあればもっと魔法を使えるのに……」

 

「ユエさんも限界なんですか? それじゃあ私が運びますね!」

 

「……ウグッ」

 

 お姫様抱っこされている鈴を見てユエがわざとらしく立ち眩みをしたようなモーションをして北条を露骨にチラチラと見やる。それを見たシアはユエを横抱きにした。完全に善意からの行動だったが、それによりユエの目論見は粉微塵に砕け散ってしまった。

 

 その際にユエに自身が持っていないシアの大きくて柔らかいものが当たって、格差社会を目の当たりにしたことにより地味に精神的ダメージを受け、小さく呻き声をあげた。

 

「キマシタワー」

 

「ここにキマシタワーを建てよう」

 

「何を言うとるのじゃお主等……遊んでおる場合ではなかろうに。ほれ、早う往くぞ!」

 

「全く、ティオさんの言う通りだ! 二人とも火炎放射器を持ってるんだから仕事をしてくれ! 〝天翔閃〟ッ!」

 

 不思議な事を言うハジメと幸利を呆れたような目で見てからティオは〝劫火浪〟を放ち、光輝が〝天翔閃〟を放つ。津波のごとく押し寄せた炎がゴキブリを焼き払い、さらに光の衝撃波が前方に道を作り出した。再生魔法のおかげなのか、この大樹は焼けたり削られたりしてもすぐに元に戻るので炎魔法を使っても安心である。

 

 全力で枝の通路を駆け抜け、いくつか枝を飛び移り、やがて広い足場にたどり着く。幾本もの枝が連なって出来ている足場であり、まるで空中に浮いている巨大な筏のようだ。

 

「よし、足場確保! 滑落の危険性は無し! 谷口の結界も乱れ無し!」

 

「ふふふ……安全な場所から一方的に虫駆除してやりますぅ……!」

 

「いきなり元気になったね清水くんとシアさん」

 

「あ、あはは……」

 

 安全圏から石を投げるのは人間が最も楽しく思う事の一つである。イキリ黒ローブ、およびユエを降ろしてイキリ兎と化した二人が杖と大剣を構えるが、それよりもゴキブリが動く方が速かった。波が引くように結界から撤退していく。

 

 逃げたのか、と思っているとゴキブリがワサワサと統率された動きを見せて空中に円陣を組むようにして連なった。それはまさにゴキブリで描かれた黒い円。さらにその円の内側や外側にも紋様を描くようにして連結する。

 

「……まさか魔法陣を作ってる?」

 

「リンリン、降ろすぞ」

 

「え? う、うん」

 

 ゴキブリが連結して魔法陣を作るという意味不明な光景であった。北条が鈴を降ろして、どの様な攻撃が来ても対応できるようにいつも通り前に出る。

 

 やがて魔法陣が光を放ち、光が弾けるとそこには巨大なゴキブリが出現していた。

 とは言っても鋭い鎌のような爪や針のような尻尾が付いているので、昆虫のキメラと言った方が正しいかもしれない。

 

「ギチチチチッ!!」

 

 体格に見合った巨大な虫の羽を広げて威嚇の声を上げる。

 あからさまなボスモンスターの登場である。おそらく、これがこの試練での倒すべき相手なのだろう。と言うか最初からこのモンスターを登場させておけば良かったのにゴキブリを大量に用意して嫌がらせをする必要はあったのだろうか?

 

 この大迷宮を作ったというリューティリス・ハルツィナ。解放者と言うことはミレディの同志ということ。圧倒的な説得力であった。

 

「どうやらアレがここのボスみたいだね」

 

「そのようじゃな。分かりやすくて良いではないか」

 

「ああ。あれを倒せば――」

 

 ぱっと見、今のメンバーで苦戦するような相手には思えなかった。とは言っても大迷宮にわざわざ用意されていたモンスターである。当然、素直にクリアさせてくれるようなものではない。

 

 各々が戦闘態勢に入った瞬間の事である。現在の足場の下側からの強大な魔力反応が発生した。紫のような、赤いような光を伴うそれは、足場の上にいる者にもハッキリと感じ取れるくらい程に強いものだ。

 

 北条達からは見えないが、彼らの下ではコッソリと、ドサクサに紛れてゴキブリが魔法陣を形作っており魔法の発動の準備を進めていたのである。

 

「……マモル、下っ!」

 

「分かっている」

 

 魔法が完成して魔力が爆ぜ、風が吹き抜けるようにして赤紫色の魔力が北条達を襲った。

 間一髪で盾から使い慣れた魔力壁を鈴の結界を覆うようにして展開し、二重の結界とする。

 物理的な攻撃に強い鈴の結界と、魔力的に強い北条の結界。これであれば容易く突破されるような事は無いだろう。

 

「……!」

 

「ぬおおっ!? 何の光ぃ!?」

 

 だが下から足場をすり抜けてきた魔力の波は抵抗もなく二重の結界をすり抜けて視界を塗りつぶした。

 物理的な破壊力は無いようで、前が見えない以外には特に痛みなどは無いようだ。

 

 数秒もすれば効果不明の魔法は収まったようで、特に体調に異変も感じる事もなく視界も回復する。まさかただの目つぶしだったのだろうかと北条が思い、皆が無事かどうか確かめるために後ろを振り返る。

 

「……気持ち悪いからこっち見ないで。殺されたいの?」

 

 たまたま目が合ったユエから飛んできたのは普段からは考えられないような冷たい言葉だった。眉をひそめて、まるで汚物を見るような目で北条を睨んでいて、今にも魔法を放ってきそうな剣呑な雰囲気すらある。

 

「……」

 

「無理」

 

 そっと視線を外して鈴を見ると、こちらも同じようなものであった。こちらは目を合わせようとすらしない。嫌悪感丸出しの表情で一言だけ呟いてそそくさと北条から距離を取った。

 

 明らかに異常な事態である。というのも、北条自身も二人を見ていたくないほどの嫌悪感を感じているからだ。それは例えるならば台所のしつこい油汚れを前にした時のような、早く消えてなくなってほしいという感覚。

 

 しかし、それはあり得ない感情である。確かに自分が二人に嫌われることはあるかもしれないから、二人の態度には納得がいく。だが、たとえ何をされたとしても自分が二人を嫌う事は無いはずだ。

 

 不可解な感覚を抱きつつ、他の面々を見てみる。

 

「ちっ、何だってんだ今のは……」

 

「ええ、ええ。本当ですよ。お得意の闇魔術があるんですからとっとと虫くらい支配して見せてくださいよぉ。あなた、何のためにここにいると思ってるんですか?」

 

「あァ? 何で俺がそんな事しなきゃいけねェんだよ」

 

「いや、だって全体的に黒っぽくてゴキブリみたいですし。せっかくだからこの際ゴキブリの王様にでもなってみたらどうですか?」

 

「ぶち殺されてェのかクソゴリラが……! 頭に行く栄養が全部無駄にデカイ胸に吸い取られてんじゃねェのか……!」

 

「ぬうっ……この感情は……。一先ず落ち着くのじゃ二人とも。一応とは言え仮にも仲間なのじゃから内輪揉めはいかんぞ。今はこの試練を突破することだけを考えるのじゃ。妾の見立てではこの試練は――」

 

「うるせェ! クソババアは引っ込んでろ!」

 

「自称十七歳は自分の年齢を堂々と言えるようになってから出直せですぅ」

 

「くっ、お、お主等……! 言わせておけば調子に乗りおって……!」

 

 全然駄目だった。ぎゃあぎゃあ騒ぐ三人は遠慮なしに大罵倒祭を繰り広げていた。

 

 ハジメは悪態を吐く事こそ無かったものの、明らかな作り笑顔を浮かべて距離を取り、香織や恵理もハジメと同じようなものだった。むしろ二人に関しては笑顔の下に殺意を隠していそうな気配すら感じる。

 

「これは一体どういう事なんだ……? 取りあえず南雲は俺の後ろに隠れてくれ。白崎が今にも南雲に襲い掛かりそうな凶悪な顔をしてる。何かされそうになったら絶対に守ってみせる」

 

「えっ、ああ、うん」

 

「うーん……天之河くんならともかく、南雲くんが視界に入ると殺したくなっちゃうから私としても天之河くんが間に入ってくれるのは有難いかなって」

 

「南雲を殺すだって? そんなふざけた事、俺がさせると思ってるのか?」

 

「いっその事天之河くんが白崎さんに殺られてくれればいいのでは……? 色々手間が省けるし」

 

 ささっと光輝がハジメと香織の間に入り、聖剣を抜き放って香織を睨みつける。睨まれた香織はと言うと、にっこりと笑顔のまま穏やかではない発言をした。そしてそれを眺めていた恵理がボソッと黒い事を呟く。

 

 突如陥った仲間割れのような状態。

 だが状況は待ってはくれない。ゴキブリキング、略してゴキングが鋭い爪が付いた前足を振り抜くとその軌道上に赤黒い光弾がいくつも出現して北条達に襲い掛かった。

 

 そこそこの速さで飛んできた光弾は鈴の維持していた結界を容易く突き破り、そのまま北条に叩き落された。弾き飛ばされた光弾はそのまま足場となっている枝に当たり、当たった部分を腐食させた。

 

 結界が消失したのを好機と見たか、ゴキングが音速に迫る速度で突進を仕掛けるが、北条がそれを正面から迎え撃つ。鉄すらも切り裂くであろう爪を振りかざしての一撃。シンプルではあるが速度、威力共に非常に強力だ。

 

「ギッ!?」

 

 瞬きにも満たない交錯の後、吹き飛ばされたのはゴキングの方だった。爪を完璧に受け流して出来た隙に盾での打撃を打ち込む、ただそれだけの事をしただけだ。一連の動作は淀みなく、相手からすると『攻撃したのに手応えがなく、気が付けば反撃されていた』としか感じられない程に極まっていた。

 

 吹き飛んだゴキングを確認して、鈴がすぐに結界を張り直す。

 当然、北条は結界の外だ。わざわざ入れてあげる必要もないし、自身の領域内に入れるのは嫌だった。

 

 今の反撃で足が何本か折れてしまっていたゴキングだが、損傷個所にゴキブリが集まると、次の瞬間には折れた足が元通りになっていた。周囲のゴキブリを消費することで傷を治せるようだ。

 

 ゴキングの両隣に赤黒い魔法陣が浮かび、そこから黒い煙のようなものが湧き出てくる。それの効果は分からないが、先程の光弾のように触れたものを腐食させる可能性がある。北条自身はそう言ったものに耐性があるが他の面々はそうはいかないので注意しなければならない。

 

 煙を纏ったゴキングが再び襲い掛かってくる。

 それを先程と同じように迎え撃とうとして、咄嗟に身体を捻った。

 

「ギチッ!?」

 

 背後から放たれた炎の槍が北条の脇を掠めてゴキングに直撃して、体勢を崩したゴギングは突っ込んできた勢いをそのままに足場をズザーと滑っていった。おそらく回避しなかったらそのまま北条の背中に直撃していただろう軌道だ。

 

「……惜しい、外した」

 

「いや、当たっている」

 

 ちらりと後ろを振り返ると不満げなユエの姿。どうやら今の攻撃は彼女が放ったものらしい。苦々し気に悪態をつくが北条はいつもの無表情で受け流す。

 その姿が気に入らなかったのか、次は当てると言わんばかりに魔力を揺らめかせているユエは殺意満天といった有様だ。

 

 起き上がろうと藻掻いているひっくり返ったゴキングに追撃を入れようとすると北条が踏み込むと、視界を光る花弁が行く手を遮るように横切った。

 

「させないよ。〝聖絶・光散華〟」

 

「……!」

 

「ギチーーーッ!!?」

 

 ひときわ強く花弁が輝いた直後、大爆発が北条とついでにゴキングを飲み込んだ。今の鈴からしてみれば北条は殺意すら湧くような相手であり、ゴキングは敵ではあるが好ましい相手である。

 

 どうせちょっとやそっとでは死なないだろうし巻き込んでもいいか、と思って細かい制御を放棄して放たれた攻撃が見事に一人と一匹を打ち据える。ゴキングはギャグ漫画のように吹き飛んでボロボロになった体を枝に強かに打ち付けた。

 

 一方、余裕をもって受け身を取った北条はと言うと軽い擦り傷程度で済んでおり、それも自動回復の技能により瞬く間に回復を終えてしまっていた。

 

「ごめんごめん、目測誤っちゃった! 次からは気を付けるね!」

 

「……あれを仕留めるのは私。邪魔をするならまずお前から倒す」

 

 悪びれもせずテヘペロのポーズをする鈴と〝主人公のピンチに駆け付けて敵に啖呵を切るツンデレライバルキャラ〟みたいな事を言い出したユエを一瞥してゴキングに目をやると何とか回復を終えていたようで、今度は突っ込んでこずに滞空して様子見をしていた。

 

「ええいお主等、妾の話を聞くのじゃ! この試練ではおそらく、先程の魔法で感情を反転させられておる! つまり今まで様々な試練を共に乗り越えてきた仲間を嫌いになっても背中を預けて戦えるかどうかが試されておるのじゃ!」

 

 言い争っていたティオがついに痺れを切らせ、叫ぶようにしてその試練の内容についての考察を言う。

 それについては北条も同意見であった。自身が仲間を嫌う事は無いと思っているので、ユエや鈴などを見た時に感じた嫌悪感は自然なものではなく、先程の光にカラクリがあると考えている。

 

「はあ? つまり本来の俺はクソゴリラとかババアとかが好きで好きでたまらないってか? 笑わせんなよ、冗談は年齢だけにしとけや」

 

「婚活ドラゴン(笑)。五百……あれ、何歳でしたっけ? あっ、ちなみに私は十六歳ですぅ」

 

「流石に言い過ぎじゃ……確かにとんでもない年齢かもしれないけど竜人族では適齢期かもしれないだろ!」

 

「ぐぎぎ……! お主等ぁ、後で覚えておれ……! ……ふぅ。よいか、妾もお主等の事は嫌いじゃが今はお互い争い合っていても仕方があるまい。不本意ではあるが協力をするべきじゃ」

 

 相変わらず悪態まみれの幸利と煽りまくるシア。光輝も止めようとして何気に心に刺さるようなことを言っている。ビキビキと血管を浮かび上がらせて、その後深呼吸をして無理やり心を静めたティオは結界に群がるゴキブリをぐるっと見回した。あれだけ嫌いだったゴキブリが今は愛おしくてしょうがない。

 

「……ちっ、ババアなんてこっちから願い下げだがしょうがねェか。ボスはゴキブリを吸収して回復できるようだし、取りあえず数を減らしとくか」

 

「お二人にならともかく、ゴキちゃんを攻撃するのは心が痛みますが……今回だけは仕方ないですね」

 

 お互いに顔を見ないように反対側を向く。顔を突き合せたら間違いなく殺意とかが湧いてくるので視界に入れないようにする方が効率的だからだ。炎で焼き払い、または大剣を振って出した風の刃で薙ぎ払っていく。ハジメや香織、恵理もそれに倣って出来るだけお互いの顔を見ないようにして渋々無言でゴキブリの処理を始めた。

 

「くっ、この嫌な気持ちも試練って事なのか。なんて卑劣な試練なんだ」

 

 剣先をあっちこっちへウロウロさせる光輝。やるべき事を理屈では分かっていても感情はそうはいかないようだ。

 

「我慢する他あるまい。親玉の方は……まあ、あちらに任せておけばよいじゃろうな、っと!」

 

 北条、ユエ、鈴の三人であれば余裕をもって勝利できると今までの記憶が訴えているので、ティオもゴキブリの駆除に勤しむことにした。

 扇子を一振りして炎の竜巻を発生させ、ゴキブリを処分していく。

 

 一方、ゴキングと交戦中のユエは手数中心の魔法を放ちながら北条の背中を見やる。

 

 先程のティオの言ったことが正しいのであれば、自分はこの憎らしい男の事が好きだと言う事になる。鼻で笑いたくなるが成程、確かに理性的に考えてみればそうだろう。

 

 これまでの旅路の記憶はちゃんとある。奈落の封印部屋で助けられたこと。オルクス大迷宮の最深部で一時的に一緒に生活していたこと。確かに大切な記憶だったのだろうが、今となってはそれは憎々しい記憶になってしまっている。

 

 魔法の弾幕を旋回して搔い潜り、ユエに向かって突進するゴキング。鈴の結界があるとはいえ、瘴気を纏った音速の体当たりが相手では防ぐ事はできないので北条がゴキングを横合いから殴り飛ばす。殴り飛ばされたゴキングは空中で体勢を立て直し、お返しとばかりに腐食の瘴気をビームのように束ねて撃ち放つ。

 

「むっ……助けなんて要らなかった」

 

 放たれた瘴気を魔法で焼き消しながら文句を言う。普通なら感謝の一つでもするものだが感情はそう簡単なものではない。意識していないと罵詈雑言が飛び出しそうになってしまう。

 

 ゴキングは音速で飛び回ることが出来るので、ユエや鈴の魔法では捉えるのは難しい。それに多少のダメージであればすぐに回復してしまう。強力な魔法で一気に削ってしまうのが理想だが、そのためには足を止めさせる必要がある。

 

 空中から強襲してくるゴキングの爪を受け流していると、ようやくその時が来た。

 反撃はせずにそのまま脚を掴み、その場から動かないように力ずくで抑え込む。腐食の霧を纏っているので若干爛れるような気がするがお構いなしだ。

 

「我慢比べだ」

 

 次の瞬間、北条の後ろから飛来した炎の龍が北条もろともゴキングを飲み込んだ。

 

「えっ」

 

「ギッーーー!?」

 

 今まで軽く受け流していたのに、あっけなく自身が放った魔法を受けた北条にユエは驚きの声を上げて硬直する。感情が反転してユエは北条が憎くなっていたが、『きっと自分がどんな魔法を放とうが捌いてしまうだろう』というある種の信頼を抱いていた。

 

 悲鳴を上げて堪らず逃げ出そうとするゴキングだったが、北条がそれを許さない。

 彼自身も炎に焼かれているが、目を閉じて息をしないようにしているので問題ない。

 どれだけ熱い炎も肺に入れなければ安泰である。

 

 自分に火力がない以上、こうして頑丈さに物を言わせてユエや鈴の魔法に巻き込んでしまうのが手っ取り早い。凄まじくゴリ押しな戦法であった。

 

 そうして鈴の追撃が来るのを待っていると、期待通りに後ろから攻撃が飛んでくる。

 

「〝聖絶・桜花千刃〟」

 

 花弁のような形をした鋭い刃状の結界が幾千も飛来して北条とゴキングに襲い掛かる。

 だが、北条は素の物理的耐久力が桁外れであった。ゴキングを切り刻んでいく刃が北条には通らない。アザンチウム鋼線が織り込まれている外套を着ているのもあるが、そもそも身体自体が硬く、ただグッと力を籠めるだけで鋼鉄のような強度と化す。鈴もそれを分かっていたからこそ北条もろとも魔法の範囲に巻き込んだ。

 

 流石に慌てたユエが炎を消して、刃の吹雪が通り過ぎた後に残されたのは若干焦げ付いて引っ掛かれたような傷があるがほぼ無傷の北条と、重度の火傷を負った上にあちこちが切り裂かれた哀れなゴキングの姿。

 

「ギ、ギギギッ……!」

 

 ズダボロになったゴキングが「マジかよこいつ」と言わんばかりの悲鳴を上げて空中に逃げようとする。とにかく今の損傷では危険なので、一度回復をしなければならない。

 

 だが、ここでゴキングに悲劇が起こる。

 実はこの感情反転の魔法、ゴキングが弱っていくのに比例して効果が弱まっていくという特性があった。

 

 反転した感情が弱まっていく。憎しみや嫌悪感が薄れていくと同時にユエと鈴の心にある感情が灯った。

 

 それはフラフラと空中を漂って傷を癒そうとしている存在と、感情に流されてしまった己の不甲斐なさに対する怒り。大切な人を想う気持ちを踏み躙られてキレた二人の魔法が襲い掛かる。

 

「……よくもやってくれたね。もう絶対に許さないから」

 

 普段の陽気な雰囲気は何処へ行ったやら、ゾッとするほどに冷たい声が鈴から発せられる。それは後ろで見ていた面々が「ヒエッ」と声を漏らす程の怒気であった。

 球状の結界が一瞬にしてゴキングを包み込むようにして展開される。治癒するために集めようとしたゴキブリは結界に阻まれてしまい治癒が出来ない。なので、ゴキングは腐食の霧を放出して結界を消滅させようとした。

 

「試すのに丁度いいかな」

 

 だが、それよりも鈴の方が速い。杖の先に取り付けられた宝玉が光を放つと最初に展開した結界を内側に包むように次々と結界が重なっていく。その数およそ十枚。まるで結界で作られた玉ねぎのようであった。

 

「〝聖絶・連爆〟」

 

 とん、と地面を杖で叩くとそれが合図となり結界が爆ぜた。

 一番内側にある結界を爆発させ、その衝撃で割れた一つ外側の結界をさらに爆発させ、さらにその衝撃で割れた一つ外側の結界を……と重ねた結界の数だけ内側にいる者を蹂躙する凶悪な魔法。

 

 結界内という閉所空間で爆発するので〝聖絶・光散華〟より遥かに威力が高いのだが消費魔力が多大な上、高速で動き回る相手であれば捉えるのは難しいので汎用性では劣ってしまう。ここぞという時、止めに使うと決めていた魔法だ。

 

 足場が揺れる程の凄まじい衝撃が空間を伝って足場を揺るがす。

 爆心地に漂う煙の中からゴキングが落下してそのまま受け身すら取れずに足場に叩きつけられた。

 

 すでにほぼ逝きかけているゴキングはピクピクと痙攣をするのみである。周囲に呼び寄せていた回復用のゴキブリも今の爆発でついでと言わんばかりに処分されてしまっていた。

 

「〝神罰之焔〟」

 

 そこに容赦のないユエの魔法が襲い掛かる。

 最上級魔法の〝蒼天〟を重力魔法で圧縮したのち、魂魄魔法の〝選定〟で対象を選んで広範囲の敵を焼き尽くすユエが開発した凶悪な魔法である。

 

 選んだのはゴキングおよびゴキブリ。そんな強力な魔法があるなら初めから使えよと言いたくなるかもしれないが、感情が反転していた状態であれば仲間も巻き込みかねなかった。効果が薄れた今であれば問題なく行使できる。

 

 圧縮された蒼い火の玉が弾けて波紋のように広がり、選定した存在を一切合切焼き尽くし灰にしていく。蒼い波紋が触れた瞬間から灰になって散っていく様は芸術性すら感じさせる光景だ。

 

 射程距離は地下空間全体。当然のことながらすでに瀕死のゴキングも触れた先から灰になり、サラサラと風に乗って散ってしまった。

 

「やっべ、あの二人は怒らせないようにしねェと……」

 

「普段怒らない人が怒ると怖いよね」

 

 敵が全滅したのでゴキブリを阻んでいた結界が解かれる。あれほどに高度な結界術を立て続けに使っていたのに、こちらの結界の維持も片手間に行っていた鈴の結界術の腕前は、すでにヤバい級にまで成長していた。ディフェンスタイプの天職とは一体何だったのか。

 

「ふぅ、やっと終わったのう。本っ当に疲れたのじゃ。これだけ叫んだのはいつぶりか……」

 

 全てが終わったことを確認してティオがゲッソリと肩を落とす。

 今回の試練で一番苦労したのは彼女かもしれない。

 


 

□どうでもいいオマケ□

 

 アンカジ公国で『豊穣の女神』としての仕事を終えた愛子は宿屋の一室にいた。

 仕事とは言ってもここでは北側に果樹園があるだけなので、農作物をどうこうするというよりかはお偉いさんにお話を聞くことが主な仕事なのだが。

 

 ここの大公と面識のある檜山達が予め一筆したためてくれていたおかげで驚くほど順調に事は運んだ。愛子が仕事を終える三日間ほどで雫達はグリューエン大火山を攻略し終えた。情報無しでは危険な場所だが、北条チーム、檜山チームの二チームがまとめた攻略情報があれば拍子抜けするほどあっさりとクリアできたようだ。

 

 檜山チームも無事にメルジーネ海底遺跡を攻略したようで、次は神山の攻略に取り掛かるとのこと。

 

 一日だけ休養日を設けて、アンカジ公国の観光を存分に楽しんだその日の夜。

 皆が寝静まった時間に、ランプの明かりを頼りに書き物をしていた愛子のお腹が可愛らしく「くぅ」と鳴った。

 

「お腹が空きましたね……」

 

 コトリ、とペンを置いて預けられた共有の宝物庫を漁り始める。

 あれでもないこれでもないと手を突っ込むこと十数秒、御目当ての物を見つけた愛子が手を引き抜くと竹皮のような物で包まれた物と水筒が握られていた。

 

「ふふふ、今日の具は何でしょうか」

 

 わくわくしながら包みの紐を解くとそこには愛子が食べるにちょうど良いサイズのお握りが二つ並んでいて、水筒の蓋を開けると湯気とともにお吸い物の良い匂いが漂ってきた。

 

 宝物庫に入れられたものは時間が止まったかのようになるので、こうして料理などの消費期限があるものを入れても作りたての状態が維持できると言う利点があるのだ。

 

「お夜食はあまり良くないとは分かっているのですが……。うぅ、それもこれもお握りが美味しいのが悪いんです……」

 

 こうして愛子が夜食を摂るようになったのはここ最近のことである。ある日の夜、何となしに宝物庫の中を漁っていたら手紙が括られている包みがあった。

 

『畑山先生へ

 

 いつもお疲れ様です。こちらの旅路は順調ですがそちらはいかがお過ごしでしょうか。

 忙しいとは思いますがしっかりと食事と休憩はとるようにしてください。

 簡単なものですが料理を入れておきましたのでよければ召しあがっていただければと思います。

 アンカジ公国は砂漠の中にあり、夜は冷えるので暖かくして過ごしてください。

 

                         北条 』

 

 そんな内容の手紙と一緒にあった包みを開けるとホカホカ握りたてのお握りがあった。その日は嬉しい気持ちで胸が一杯になり、泣きながらお握りを頬張った覚えがある。ちなみに具はおかかとツナマヨだった。

 

 その日からほぼ毎日、こうしてこっそりと夜食をいただくのが最近の密かな楽しみとなっている。ちなみに今日の具は鮭と鳥そぼろだった。

 

「(あっ、美味しい。……しかし、どうして北条くんはこうして毎日と言っても良いほどに私に夜食を作ってくれるんでしょうか?)」

 

 もそもそとお握りを食べて、ずずーと温かいお吸い物を啜りながらぼんやりと考える。

 北条は共有の宝物庫に毎日と言っていいほどに皆で摘まめる料理を作り置きしてくれているし、時にはクッキーやらケーキやらお菓子が入っている事だってある。

 だがそれに加えて自分だけにこうしてコッソリと皆に内緒で毎日手作りの夜食を振舞ってくれるのは何故か。

 

「(はっ、まさか……! だ、駄目ですよ北条くん! いくら私がセクシーで魅力的な女教師であろうと私と北条くんは先生と生徒の関係なのです! それに北条くんにはもう谷口さんやユエさんという女性がいるのに……!)」

 

 実際のところは激務で疲れているだろう愛子を気遣っての行動だったのだが、勝手に勘違いをした愛子は衝撃の事実(笑)に顔を赤くして一人でもじもじし始めた。

 

 なお、少し先の未来でその勘違いをしたままの愛子が北条に「ごめんなさい。北条くんのお気持ちは嬉しいのですが、やはり教師と生徒が恋愛関係になるのはイケナイと思うのです。そ、それですね、もし卒業してからも気持ちが変わらなかったらその時は真剣に考えます」とフラれたのかオッケーなのか分からない事を言われる事となる。

 

 何のお気持ちも表明していないし、そもそも恋愛感情など持っていないのにいつの間にか告白した事になっていた北条はクラスメイト達から生暖かい目で見られるようになったとか。




一度サボるとサボり癖が付くことが分かってしまった
一日百文字でもいいから書くべきだと思いました(小並感)
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