タイトルがややこしいけれど、文芸部がライダーバトルに参加するわけではないです。
デモ版という名の試作ですが、良かったら読んでいってください。

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【デモ版】戦わなければ生き残れない文芸部

 

  ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

     機会

 

生まれるいのち、散りゆくいのち。

ここでもどこでも、等しくいのちが生まれてはなくなる。

 

 

全てを破壊しようとしたら見えた。吹き抜けるそよ風、揺れる木々、聳える緑の山。

朝焼けに包まれながら見下ろす世界は何処までも広大で、巨大で、私はまるで小さなアマガエル。

 

 

水面の使いが置き去った消えかけのいのち、そのいのちが生んだ限りない希望。

羽根はまた舞う、希望の中に嘗ての伝説があると信じて。

 

  ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある高校、とある教室。

そこは放課後になると「文芸部」の部室となり、4人の少女が集まる場所。ロッカーの扉を開ければ部で使う用紙や道具、そしてある部員の趣味が並んでいる。

 

今日も今日とて彼女らが詩を読み合う憩いの場となる…ハズだったのだが。

 

 

「…文化祭の準備でディベート部が使うから、使えない?」

 

「そうなの。なんでもディベート部の部室だと広さが足りないらしくて…」

 

申し訳なさそうに事実を伝える文芸部の部長モニカと、その事実にそんなー!と狼狽するサヨリ。

確かに部室を覗いてみれば少なく無い人数が忙しく手を動かし作業している様子が確認できる。

 

「広さ…一体何を作る気なのでしょうか…?」

 

「さあ?知らないわよそんな事…」

 

広さという単語に疑問を覚えるユリと、明らかに不貞腐れている様子のナツキ。

 

このように、活動の場を封じられて途方に暮れることになってしまった文芸部。

しかもこれが数日続くかもしれないとなると、非常に悩ましい…文化祭の準備もままならないだろう。

 

 

そんな中、突然モニカが「あっ!」と何かを閃いた様子を見せた。

落ち込みからくる脱力感で頭を下げていた面々も、我らが部長の声に引っ張られるが如く皆一斉にモニカへ顔を向ける。

 

 

「モニカちゃん、どうしたの?」

 

「佐奈子さん帰ってきたって言ってたわね…。

ねえ、いいお店知ってるんだけれど…行かない?」

 

「お店?そこで部活動するの?」

 

「そうよ。オーナーさんとも顔見知りだし、たぶん今の時間他のお客さんもいないから丁度いいかなって」

 

「喫茶店ですか?」

 

「うーん、似たような感じかな?

ユリ、あなたはきっと気に入るわ!」

 

詳細は良くわからないが、モニカの行動によって部の空気は一転、どうにか明るいムードにはなりつつあった。

「ついてきて!」と部員をリードする彼女の後ろに、多少の疑問と紹介してくれる店への期待を抱えた部員達が続いた。

 

 

鏡に映っていた“ソレら”に気付くことも無く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここは文化祭の準備や生徒たちの何気ない会話で騒がしかった学校とは真逆の、人気のない閑静な住宅地。

偶に他の通行人や野良猫、車両が通り過ぎ、家屋の出入りを見かけるだけのこの場所にその店があった。

 

 【TEA 花鶏】

 

思い思いに生えた草木に覆われた一軒家の看板にはそう書いてあった。

名前からして紅茶の店だろうか…もしかすると緑茶や烏龍茶、マテ茶等かもしれないが。

 

街の雰囲気と同じくあまり人気は感じられないが、駐車場と思しき空間に大型のバイクが1台あるのと行ったことがあるらしいモニカの発言からして無人・閉店時間という事も無いだろう。

 

 

「わー、すっごい植物」

 

「オーナーさんがアマゾンに行ってて店をずっと閉じてたのよ。5日前に帰ってきたって連絡があったわ」

 

「それでこの…」

 

サヨリは何度持ち上げても跳ね上げても重力に従って垂れていく細い枝でポンポンと遊び始めた。

…その間に他の3人は既に入口の前にいて、彼女が気付き慌てて合流する頃にはモニカが扉を開いていた。

 

 

「いらっしゃ…あ!モニカちゃんじゃない!お久しぶり!」

 

店内に入ると、中年の女性が手に持ったティーセットをテーブルに置き満面の笑みでモニカの名を呼ぶ。

 

「沙奈子さんもお久しぶり!

優衣さんは?」

 

「あぁ…優衣ね、10分くらい前に出かけちゃったのよ。

血相変えて飛び出しちゃって…どうしちゃったのかしら?」

 

「それは…。

優衣さん大丈夫かな…?」

 

モニカと中年の女性――――神崎沙奈子が親しげに会話をする中、文芸部の部員は全くもってついていけておらず、所謂置いてけぼりだ。

 

その様子を汲み取ってか、沙奈子が初めて出会う3人について尋ねた。

 

「あら、後ろの子はお友達?」

 

「はい。

この子はサヨリ、私の部の副部長よ」

 

「よろしくお願いします!」

 

紹介を受けたサヨリがいつものにこやかな顔と声で沙奈子に挨拶をする。

…その時、沙奈子が疑問を抱えた様子で「待って」と言った。

 

「私の部…それに副部長?」

 

「あ、沙奈子さんにはまだ言ってなかったわ!

…実は私、新しく文芸部って部活動を作ったんです!」

 

「あら!モニカちゃんすごいじゃない!

ってことは、後の二人も部員?」

 

「そうよ!

ユリに、ナツキ」

 

「初めまして沙奈子さん」「よろしくお願いします」

 

2人もまた、サヨリと同じように(しかし彼女ほどの元気は出せなかったが)紹介を受けた後丁寧に挨拶をした。

 

 

「サヨリちゃんに、ユリちゃん、そしてナツキちゃん。よろしくね、私は神崎佐奈子。

ささ、立ち続けてるのもなんだからここ座っちゃいなさい。ちょっと待っててね、遅くなっちゃったけど設立記念用意するから!アマゾンでいいお茶葉を買ったのよ!」

 

4人をカウンター席に座らせて沙奈子は厨房の奥へ、バビューン!という効果音の付きそうな勢いで駆けつけてはそこに佇んでいた大きな袋の中身を漁り始めた。

「これじゃない」「これでもない」と荷物を一つ一つ取り出すその中には奇妙なリングや鳥の顔を模した(様に見える)何か、果てにはアマゾンという秘境のお土産とは思えないやたらと機械的な腕輪等バラエティに富んだ内容が飛び出してきた。

 

文芸部員達が若干引き始める中モニカが「こういう人なのよ…あはは」と軽く苦笑いをした。

 

 

そんな騒がしい中で微かに近くでエンジン音が聞こえる。

…音のパターンからして他のお客さんが来たみたいだ。

 

足音もした、随分と落ち着きがない足音だ…自分と同い年か、ちょっと下ぐらいか…?

4人はそんな事を考えていると、勢いよく店の扉が開いた。

 

 

「叔母さん!ただいま!!」

 

「真司!あんた丁度いいところに!

手伝ってちょうだい!こっち!」

 

「あーはいはいはいはい…」

 

「しっかし、今日は特に遅かったわね」

 

「あぁ…いやぁ、今日は金城グループの汚職が何だとかって取材で大変で…」

 

「金城…ああ、あの金城トウセイね。

あの男、前から嫌ーな顔だと思ってたのよ。やはり私の勘に間違いはないわ!」

 

「そんな顔してるかな?編集長に似てるって感じだけど…」

 

 

 

 

「…バイトの人かしら?」

 

まるで少年のように勢いの良い真司という青年は、沙奈子に呼ばれるや否やその勢いを一切殺すことなく厨房に駆け込んだ。

…以前より此処に通っているモニカも彼については知らないらしい。つい最近雇われたようだ。

 

「あれ?あの人の事は知らないの?モニカちゃん」

 

「うん…。

でも、このお店って昼時は結構人来るから…2人じゃ大変そうだったし」

 

 

余談だが文芸部の会話の裏では沙奈子と真司が「茶葉って、これかな?」「違う、それは~~~」という

 

 

 

「もう一人は確か、飛び出したっていう…」

 

「そう。優衣さんって人。

大丈夫かしら…優衣さん…なんだかいつも思い詰めてたし…」

 

 

 

 

 

「叔母さん、これ!?」

 

「違……わない!それ!それよ!

じゃあ早速――――いや、真司、あんたは店の掃除をお願い。それで…蓮ー!れーんー!」

 

真司が掃除用具を手に厨房を出たのと同時に、沙奈子が階段を見上げて誰かを呼び出した。

彼女の呼ぶ声で、また一人…今度は真司と真逆の寡黙で落ち着いた雰囲気の男が降りてきた。

 

 

「何だ?」

 

「ティーセット、4人分準備して頂戴。

…ああ、今日はそこの棚の…ほら、そのガラスのでお願い」

 

「わかった」

 

蓮という男はぶっきらぼうに返事をして、すぐさま指定されたティーセットをスマートな手つきで取り出し用意した。

…文芸部は密かに納得した。沙奈子がお茶の準備をしている中、この男でなければならないと。

後ろで「っしゃぁあああ!」と勢いよく掃除している真司は(こんな事を、しかも初対面の人間に言うのは失礼だが)なんだか冴えない…冴えなさのフルスイングという感じだ。ティーセットを割る…いや、全滅させそうである。

 

 

「待っててねモニカちゃん達、いますっごい…ほんっとものすっごいお茶作ってるから!」

 

「ありがとう、沙奈子さん。

…ところで、二人はバイトかしら?」

 

モニカは厨房の奥にいる蓮と、そこへ「ふぃぃー、終わったー」と一汗かきました感を出している真司について沙奈子に尋ねた。

 

 

「ああ…真司と蓮ね。

バイトじゃなくって居候。住む家がないっていうから、店の手伝いを条件に住まわせてんのよ」

 

「あれ?この子叔母さんの知り合い?」

 

「そう。

うちの常連のモニカちゃんと、そのお友達。部活の集まりなんだって」

 

「初めまして!二人共」

 

「常連さんかぁ…元気いいなぁ。あ!俺、城戸真司。

OREジャーナルってトコで記者やってるんだ。よろしく!」

 

頭にタオルを巻き、その晴れ晴れとした表情を見せる真司の後ろで蓮は無反応のまま散らばったお土産を片付けていた。

 

 

「おい蓮!挨拶されたら返事くらいしろよお前!なあ!」

 

「…秋山蓮、だ」

 

それだけ言って、彼は階段を上り再び二階へと消えていく。

真司は顔をしかめて「あぁもう!」と頭を掻いた。

 

 

「お前なぁ…!

ごめんねモニカちゃん達、あいつちょっと感じ悪いんだよ…ちょっと」

 

「シャイな人…なのですね…」

 

「それにケチだし。

俺18万も貸してねえって…」

 

彼はため息をつきながらタオルを外した。

タオルの中でまとめられていたロン毛を留めるものがなくなり、髪型が崩れ落ちる。

 

それと丁度同じタイミングで沙奈子が例のアマゾン茶を持ってきた。

バタフライピーやマローブルーの様にガラスのカップから透けて見える青紫色がとても綺麗だ。

 

「できたわよ、アマゾン紅茶。

冷めないうちに召し上がれ。後これ茶菓子」

 

紅茶と一緒にビスケットやチョコレート等が乗った小皿が4人に配られた。

何でも、沙奈子本人がたった今紅茶の香りから自分の勘を頼りに合いそうな茶菓子を厳選したのだという。

 

彼女はお決まりのあの言葉を言い放つ「私の勘に、間違いはない」と。ビシッと。

 

 

 

そして茶菓子のセレクトも、未知の紅茶の味も文芸部たちには好評だったようだ。

色からは想像もつかないクリーミーな味わいのアマゾン茶とその風味と喧嘩することのないピッタリな茶菓子に舌鼓を打ちつつ、モニカは本題の部活動へと切り出す。

 

 

「さてと…ねえ、沙奈子さん?実は…」

 

「なぁに?モニカちゃん」

 

彼女は沙奈子に(ついでに真司にも)、ここに来た経緯を設立した部活の内容も含めて語った。

 

 

「じゃあ…モニカちゃん達、文化祭まで何もできないって事?」

 

「そうなの真司さん。

ちょっと断りづらい相手だったし…まいっちゃったわ」

 

「成程、そういう事だったのね。

ならいいじゃない、この店で…いいやそんなケチ臭いこと言わないわ、2階も使っちゃいなさい!何なら部室もこっちに移してもかまわないわ」

 

「ええ!?そんなそこまで…」

 

「流石にそれは迷惑では…」

 

「いいのいいの!店主は私なんだから迷惑も何もないわよ」

 

沙奈子の突発的な提案に驚き戸惑い遠慮をするモニカ達。

そこに真司も提案を後押しするように追撃を入れてくる。

 

「いいね!叔母さん!

だったら俺も偶におやつとか作るよ!餃子とか」

 

「餃子…」

 

「そ、俺の得意料理」

 

おやつと言うには餃子は重すぎるような。

そんな疑念すら吹き飛ばす勢いで沙奈子が4人を二階のリビングへと案内する…「善は急げ」と言わんばかりだ。

 

余談だが、おやつに餃子と聞いてぴょこぴょこと嬉しそうな顔をしていたサヨリとナツキだった。

 

 

こうして4人は沙奈子に押されて階段を上る…。

――――――――――――――――――その時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

キーン、キーン。

どこからともなく響く、この世の物とは思えない金属音に似た奇怪な音。

 

絶え間なく流れるそれは聞くものの心を不安にさせそうだ…聞けるものは、だが。

 

 

“モニカは突然鳴り響いたその音に顔を顰めた”

 

 

 

 

 

 

 

「どうしたの?モニカちゃん」

 

「え…?

皆聞こえないの?この、キーンキーンって音…」

 

「何言ってるのよ、なんにも聞こえないわよ」

 

「そんな…」

 

自分以外聞こえていない、謎の奇怪音。

その事実を知った時モニカは背筋に何か冷たいものが通る感覚を覚えた。

 

 

そしてそれ以上に、モニカ以上に、背筋が凍ったような顔をしている者が居る。

 

 

 

 

「嘘だ…モニカちゃん…」

 

「真司さん…?もしかして聞こえ――――――――――――――」

 

彼女の言葉は、誰かが階段を激しく降りる音にかき消された。

…蓮だ。それも真司と同じく深刻な表情をして。

 

「おい、城戸」

 

「ああ分かってる。

多分外だ。それも近い…もしかして…」

 

「そういうのは後だ、先ずどうにかするぞ」

 

「おう!」

 

2人は主語の抜けた会話を交わした後、出入口へと飛び込んだ。

 

 

「ちょっと二人とも!どこ行くの!」

 

「あぁー、叔母さん!ちょっと優衣ちゃん迎えに行ってくる!それじゃ!」

 

沙奈子の返事を聞く前に、2人は疾風のように外へと飛び出していた。

 

 

 

 

 

 

  ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

今ならハッキリと分かる たった一度の機会とその重み

 

消えてしまう儚さと その悲しさ虚しさ

 

だから分かる 騎士の慈しみが

 

  ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

   【デモ版はここまでです。続きは製品版でお楽しみください】

 

 

 

 

 

 

 

 


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