修行初日、ヴァリエール邸から少し離れた場所にある荒地で青空講習が行われていた。
「ルイズが魔法を使えない理由は次のどっちかだ。
その1、元から魔法を使うのに必要な能力がない。
その2、能力はあっても制御する部分に何かしらの問題がある。
その1は俺がここにいる時点でなしだから原因はその2、理由は知らねぇが魔法を使う過程に問題があって爆発したと見るべきだろうな。
それでルイズ、お前は今までどんな修行をしてたんだ?」
「どんなも何もルーンの正しい発音を心掛けながら魔法の効果を思い浮かべて杖を振る。
それを成功するまで繰り返すのが修行ってものなんじゃないの?」
ムッとしながらも質問に答えるルイズに呆れたような表情を浮かべたポップが嘆息する。
「魔法なんて常識外のもんを練習だけで理解しろってのが無茶だわな。
そんな気はしてたが、こっちの魔法は技術じゃなくて才能に分類されてるみたいだし、それともこっちでの魔法は宗教が絡んでるからあまり研究されてないのか?
話を戻すが、俺の故郷じゃ魔法ってのは突き詰めれば生成だと言われている」
「生成?」
「そう、生成だ。
身体の内側にある魔法力……こっちで言う精神力だな。
そいつを使って炎や風なんかの現象を生み出す。
細かい法則やらを説明するのは面倒だから根本的な部分を簡単に言ってしまえば力の変換だ」
「力の変換?」
オウム返しに首を傾げるルイズと真剣な表情で聞き入るコルベール、元より魔法と縁のなかったシエスタは手元の羊皮紙に聞いた内容を忘れないようメモしているだけと言った感じだ。
「例として火炎系の魔法を挙げれば、魔法力をプラス方向へ働かせて物質の構成分子の運動を高めて炎を生成するって感じだ。
逆に、マイナス方向に働き掛けて分子運動を停滞させれば氷雪系の魔法になる。
補助系とか回復系みたくこっちの系統にない魔法もあるが、今んとこ関係ないんでそこらの説明は別の機会だな。
呪文の詠唱も大切だが、本当に重要なのは使う魔法に対する明確な理解とイメージの方だ」
「……えっと、東方では物質を形作る小さな粒を分子と呼んでいて、メイジがルーンを唱えて魔法が効果を表すまでのプロセスを解き明かしているとでも?」
意味不明の単語に面食らったかに見えたルイズだが、座学トップの優等生だけあって自分の知識と照らし合わせ理解した内容を纏めて質問する。
「まあそんなとこだ。
だけど戦闘に特化してるもんでこっちよりか汎用性は低いがな。
とりあえず、魔法によって精神力の使い方が違うってくらいに覚えとけ、それとこっちの魔法ってのは突き詰めれば感覚の技術だからいくら努力してもセンスのない奴には使えないってのが常識だ。
必要なのは知識より才能、自分が使える系統以外の魔法はどう頑張っても使えないし成長もしない。
平たく言えば、そいつの得意な系統が生まれた時点から決まってて使えない系統はどれだけ頑張っても使えないってこった」
「ちょっ、それってわたしには魔法を使えないって言っているのと同じじゃないのよ!」
「そこで
こいつはイメージした相手に変身する魔法が込められていて、目の前にいる相手なら知らない奴でも能力や技能まで化けられる便利な魔法のアイテムだ。
まずは、コルベールさんがルイズに化けて知ってる魔法を片っ端から使ってみる。
次にルイズがコルベールさんに化けて成功した魔法の練習をする。
これで理論上はルイズに系統魔法の才能がなくてもコモンだけは使えるようになるはずだ」
いきなりの全否定に沸騰しそうになるルイズを手で止めたポップは、ポケットから金属製と思しき数枚の札を掲げるように取り出し胸を張ったが、ルイズとシエスタは怪訝な表情を浮かべコルベールは固まっている。
それはマトリフの書を読んだポップが暖めていた構想と先日見た錬金の再現を兼ねて作り上げた自信作、使えば燃え尽きてしまう消耗品ながら魔弾銃と同じような効果を持たせた魔法のカードであり、それまであった魔法のスクロールを小型化した代物だった。
ドヤ顔で披露した研究成果に対する反応が思ったより薄かったポップとしてはガッカリだったが、再起動するや魔法のカードに込められた呪文が持つデタラメな効果に興奮したコルベールに詰め寄られ、何やらぐだぐだのまま説明を切り上げ場を仕切り直す。
「さて、ルイズの魔法訓練は明日からの予定だからそれまではシエスタと合同で修行するが文句言うなよ」
「合同で修行って?」
「ん、ちょいと前に最初の先生が勇者の家庭教師だったって言ったら偉く興奮して弟子入りしたいって言うもんでな。
俺も同じような感じの押し掛け弟子だったし、ルイズも姉妹弟子とかいた方が良いかなと思ってよ」
「……あんたの非常識さにもそろそろ慣れたけど勇者の家庭教師って何なのよ?」
「先生の名前はアバン・デ・ジニュアールⅢ世、今じゃカール王国の王様だけど若い頃は魔王を討伐した本物の勇者で、自分の後継者を育成すべく身分を隠して世界中を旅してた凄ぇ人だ。
俺は不真面目だったから、中途半端に学んで別の師匠に鍛えられたが、今でも先生の事を尊敬している。
そして教える流派はアバン流、シエスタは勇者のノーマルコースだけど基礎トレーニングはルイズと同じになるから午前中は姉妹弟子として面倒を見てやってくれ、俺はコルベールさんと少し話があるから離れるけどすぐに戻る」
言うが早いか好奇心に瞳と額を輝かせてルイズへと変身したコルベールに半ば連れ去られるようにしてポップは立ち去り、口頭で練習メニューを告げられただけで丸投げされたシエスタと未だに自分の使い魔候補に対する態度が定まらないまま弟子入りしたルイズが取り残され、何となくぎこちない雰囲気のまま走り込みが開始された。
とりあえずルイズに化けたコルベールは魔法を使って感覚の違いを探るよう告げて放置し、威力を調整した
実際はモチベーションの高さと真面目な性分から、やたらと走り辛い気はするものの体力が尽きる気配がない状況で投げ出すなんて選択肢が思い浮かばなかっただけであり、ギリギリになった頃合いを見計らって休憩を宣言しては効果を調整した
心構えだけで何とかなる問題ではないものの意識していなければ限界を突破しても成長率は落ち難く、ポップはそこらを考慮して限界と気付かないままに突破させる工夫を凝らしており、まずは限界が知りたいからと言って倒れて寝込む寸前まで走らせては、小休憩で体力が回復するのでそんなに辛い事をしているのではないと錯覚させている。
僅か1日の修行で半月は掛かる基礎作りを終えて引き揚げてみれば、娘の一時帰宅を聞き付け出先から急ぎ戻ったヴァリエール公爵が落ち着かぬ様子で待ち受けており、疲れてぎこちなく挨拶するルイズ越しにチラチラと盗み見るような感じでポップを睨み付けていたが、背後から現れたカリーヌに何事か耳打ちされるやそそくさと退散し、多忙な公爵への挨拶は修行が終わる2日後の夕方で良いと告げられ、風呂に入った時に
*
「それじゃあ、まずはアバン流について簡単に説明する。
我が流派で教えているのは、剣を基本に槍・斧・弓・鎖・素手格闘の6種に分類される戦闘法と魔法全般だ。
本来ならここから覚えたい技能を選ぶんだが、勇者とはあらゆる魔法と武術に長けた戦闘のエキスパートだからシエスタには全て覚えてもらうぜ。
それとルイズの方は、基礎訓練や魔法の授業で重複する部分はシエスタと一緒に教えるが、個人授業でスペシャルハードコース用の特別メニューを受けさせる予定だから覚悟しとけよ」
翌日、魔法の授業になると本来なら帰っているはずだったコルベールが生徒に加わり額と瞳を輝かせる。
「さて、俺の故郷の魔法は精霊魔法と言って覚えたい魔法と個別に契約するのが特徴だ。
魔法使いの家系はあるが、こっちみたく平民とか貴族みたいな身分に分かれちゃいない。
精霊が応えてくれないと契約できないって欠点はあるが、杖は魔法を使う上での補助でしかなく、秘薬なしでも重傷者を回復できるし慣れれば詠唱も必要なくなる。
系統魔法と比べると戦闘に特化しているが逆に応用範囲が狭くて日常向きじゃないのも特徴だな」
「ふーん、それって系統魔法じゃないけれど先住魔法とも違う感じよね。
つまり、東方には始祖ブリミルが伝えたのとは違う魔法があって教会に異端審問されないから研究も進んでいる……って、ももも、もしかして、あっ、あんた魔法が使えるんじゃないの?」
「当たり前だ。
知らないものは教えられないし、精霊魔法は才能さえあれば誰でも覚えられる。
その代わり闘気技の方は才能がなくて何とか使える程度だから基本と応用くらいしか教えられないけどな」
事も無げに言い放ったポップは、そこらに落ちていた棒切れを拾うと地面に手早く図形を描き上げシエスタに向き直り手招きをした。
「シエスタ、ちょっとここに座って目を閉じたまま精神を集中させてみてくれるか?
それから頭の中で火の精霊に力を貸してくれって呼び掛けて……まあ、お祈りとかみたく頭の中でそんな風に考えるだけでいい」
「えっと、お祈りしてたら……そのっ、ふわっと暖かいような感じがしたんですけど?」
促されるまま地面に書かれた図形の中心に立ち、不安げで不得要領な表情を浮かべたまま膝を着き目を閉じて暫らく祈りを捧げたシエスタの肩がビクリと震え、半信半疑と言った風な様子で顔を上げ報告する。
「身体が熱くなったのは精霊が応えてくれた証拠さ。
試しに指先から火の玉を撃ち出すイメージで
「え、えっと……
おずおずと唱えたシエスタの指先から小さな炎が噴出し、どれだけ熟練したメイジだろうと杖なしでは魔法を使えないはずとの固定観念に囚われていたルイズとコルベールは驚きに言葉がなく、シエスタに魔法の才能がなかったらどうしようかと思っていたポップは安堵の息を漏らした。
「この調子で午前中は基本的な魔法に片っ端から挑戦してみる予定だが、精霊が応えてくれなきゃ契約できねぇし契約できててもレベルが足りてなきゃ魔法は発動しないからな。
ルイズも興味があるのは結構だが、お前さんは魔法使いじゃなくてメイジなんだから試すなとは言わんが系統魔法の修行をメインにしろよ」
その後、
端的に言って午前中はまともな修行にならなかったが、系統魔法ではないもののいくつかの魔法と契約して使えるようになったルイズはご機嫌だったし、興味はあったものの時間が許す限り片っ端から魔法と契約したシエスタはグッタリしており、念願の治療魔法を覚えたコルベールは見ていてイラッとするくらいに浮かれ騒いでいた。
何とも形容し難い異様な光景だったが、幸いにして目撃者はなくお祭り騒ぎに取り残された感のあるポップだけが生温い視線で見守っている。
*
「ミスタ・コルベールの身体って思ったより筋肉あるのね」
「あのなルイズ、初めての変身で色々と興味があるのは分からなくもないが、とりあえず俺の話を聞け」
ひとしきり騒いで落ち着いてから昼食を挟んで午後、頬に手を当てクネッているコルベールの姿が気持ち悪かったのか、心持ち顔色を悪くさせたポップがコルベールから聞いた感想と独自の見解を踏まえた講義を行っていた。
「大切なのはイメージと集中力、後はひたすら理論と実践の繰り返しだ。
杖は普段ルイズが使ってるので構わないが、魔法を使う時に少しばかり感覚が狂うってコルベールさんが言ってたからいきなり成功するとは思うなよ。
まずはコモンで正しい魔法の感覚を覚える事から始めるんだが、こんな説明だけで感覚を掴めるんならとっくに魔法を使えるようになってるだろうし、最初の取っ掛かり部分を少しだけ手伝ってやっから後は自分で何とかしろよ」
背後からルイズを抱すくめたポップが持っている杖に手を添え、着火のルーンをゆっくりと唱えながら自分の魔力を注ぎ込むと杖の先に小さな火が灯り、ついでに羞恥心が限界に近いルイズの頬にも見て取れるくらいの朱色が灯る。
しかし悲しいかな、今のルイズは中身こそ誰もが認める美少女のままであっても外見は禿げ頭の中年教師でしかなく、この練習法を思い付いたポップにしても抱き締めた弟子の意外と筋肉質な感触や仄かに香る加齢臭に心の中で涙していた。
ちなみにシエスタはメイド服姿のまま教えられた動作で素振りを繰り返し、コルベールは満面の笑みを浮かべながら自分の左腕を右手で持ったナイフで傷付けては
まあ、シエスタの素振りは服装を気にしなければ平民向けの道場で普通に見られる行動であり、コルベールの猟奇的な行動も治療魔法の効率的な練習なのだが、ここにハゲオヤジをハグする少年=ルイズとポップを加えると完膚なきまでのカオスがあった。
ちなみに、あまりにも自然な流れだったからかハルケギニアのメイジではないポップが着火の魔法を使った事に対する突っ込みはなく、この日の修行はルイズがコモンのルーンを失敗せず使えるようになった辺りで終了となり、調子に乗って
なお、この日もヴァリエール公爵とポップの間にまともな会話はなく、疲れを見せるルイズらへ食事は部屋に届けるからゆっくり休むよう勧めたカリーヌから修行の進捗に関する質問がなかった事もあり、ルイズが魔法を使えるようになったと言う報告はされなかった。
*
翌日の修行も前日の無理がたたって貧血を起こしたコルベールが参加しなかった事と少しばかりの進歩が見えた事を除けば大差なく終わり、3日間の修行を通しての総括と言える模擬戦が行われようとしていた。
ちなみに、午前中の基礎トレーニングは共通だが、シエスタは体力育成として走り込みと素振りを中心に、ルイズの方は瞑想による魔法力の制御法や魔法力を放出させる応用技術を視野に入れたイメージトレーニングが中心となっている。
「さっき渡した
逆に俺は
そこでこれからお前さんらには俺と戦ってもらうんだが、
言うが早いか地面を蹴り突進するポップ、幼少時よりこの手の修羅場に慣れていたルイズはすぐさま
そのまま畳み掛けるように行われた連続攻撃は両者の速度差にも関わらず全て打ち払われ、タイミングを合わせて撃ち込まれたファイアー・ボールも半歩ばかり横の空間を通り抜けるだけでかすりもしない。
基本的に真面目で素直な性分のルイズは妹弟子のシエスタが平民だからと見下したりせず親交を深めていたが、たった数日で阿吽の呼吸やアイコンタクトが成立する関係になれるはずもなく、付け焼刃の剣技は荒削りで無駄な動きが多い上にアドバンテージになりそうなルイズの魔法とて覚えたばかりで狙いが甘く正面から当てるのも難しいとなればお互いが邪魔になる。
だからこそ能力で勝るよう
速さと手数で勝るはずのルイズとシエスタは全力で挑むが効果はなく、ポップは変身した事で身体能力と使える魔法を大きく制限されてはいたが、それでも並外れた集中力と技量から繰り出される密度は低いものの巨大な
「ホレホレ、どうしたどうした?
俺は本物のシエスタより遅いしそっちは二人掛かりなんだから、手数で圧倒するなり連携を考えてりゃ攻略法なんざいくらでも見つかるはずだろ?」
ここで二人が同時に魔法を使えば一矢報いれたのだろうが、練習不足かつ平民だからと遠慮したシエスタは自分から使おうと提案せず、魔法が使えるようになったものの劣等感を引き摺っているルイズも作戦に組み込もうと言い出さなかった。
そうなると手詰まりのジリ貧であり、攻撃を食らい続けた二人が全身青痣だらけになってまともに動けないと判断したポップは、これ以上の模擬戦に意味はないと判断し、捨て身で斬り込もうとするシエスタの木剣を片手で掴み取り終了を宣言する。
「忘れるな、戦いにおいて魔法や剣術はただの手段でしかない。
何をしたくて何ができるか、自分の能力や現状をきちんと正確に把握してその場その時の最善手を冷静に判断していれば、多少のレベル差くらいは簡単に引っ繰り返せるもんだ」
教える立場になって師の苦労を思い知ったポップだが、隙あらばサボろうとした自分と違い真面目で素直な弟子が可愛くて仕方なく、だからこそルイズの抱える葛藤を察して気の利いたアドバイスを送りたいのに良い言葉が出て来なかった。
優秀な師に教えを請える立場にありながら遊び呆けて時間を無駄にし、自分は凡庸な村人であると今の彼を知る者が聞けば噴飯物なコンプレックスを克服した現状、積み重ねた努力が無駄となり嘲笑される日々を送り続けたルイズに掛けるべき言葉と資格はあるのか、少し悩んだものの自分だったら触れられたくないと思ったので少し遠回りな言い方に留め別の話題に切り替える。
「それはそうとシエスタはアバン流の奥義を使えるようになるか少し試してみようか?」
そう言ってから近くに生えていた背丈より少し高いくらいの枯れ木に向き直り木剣を逆手に持って構えるポップ、精神を集中すべく目を閉じたのを不思議そうに眺めていたルイズとシエスタだが、数秒もするとポップの全身から陽炎のような揺らめきが湧き上がり、手に持った木剣が淡く輝いたのに驚きの声を上げそうになった瞬間、
「アバンストラッシュ!」
大声で叫ぶや地面を蹴ったポップが木剣で枯れ木を粉砕したのに揃って顎を落とした。
「これぞアバン流刀殺法の奥義アバンストラッシュ、今のはそれの真似事みてぇなのだが本物は城壁だって打ち砕く正に必殺技ってやつだ。
俺には武術の才能がねぇからシエスタに変身した状態で使えるか不安だったが、どうやら闘気技を使えるだけの素質はあるみてぇだし、これからの修行次第だけど頑張れば数年で覚えられるかもな」
なお、ポップに武術の才能がないと言うのは本人の誤解であり、実際は臆病者だった修行時代の彼には敵と切り結ぶような度胸がないと判断したアバンの評価でしかなく、本当に才能がなければバーンとの決戦で格闘戦を仕掛け生き延びる以前に、1対1で行われたシグマとの決闘に破れ死亡していたはずである。
とは言え、ポップは剣術なり槍術で戦うよりも初級の呪文を唱えた方が遥かに強く、斬り合いで減ったHPを魔法で回復するくらいなら最初から攻撃魔法で敵を殲滅した方が効率的であり、魔法を封じられるか魔法力を節約したいなどの理由でもなければ積極的に武器を使う必要性はない。
*
実戦形式の訓練は、魔法が使えるようになって自信が付いたルイズの心をへし折り掛けたのと同時に、シエスタの心に確かな希望を灯して終わった。
肝心の魔法はコルベールの姿を借りていたのでモノにしたのは火系統とコモンのみ、クラスの方もドットでしかなかったが、たった3日間の修行で得た成果としては破格である。
そして意外にもと言うかルイズには闘気技の才能があった。
シエスタが闘気技の修行をすると聞いて何か思うところがあったのか、自分にも教えろとしつこかったので試しに練習させてみたところいとも簡単に出来てしまったのである。
しかし、出たのは闘気は闘気でも暗黒闘気であり、色々あって吹っ切れていたポップは自分の専門外なのでアドバイス程度になるがと前置きしつつも暗黒闘気の使い方を教えると約束してしまった。
それは劣等感に苛まれたルイズには自信が必要だと感じたからであり、兄弟子であるヒュンケルのように心の闇が晴れれば光の闘気に転じるのではないかと期待したからでもある。
ついでに武器の使い方も習うかと尋ねると少し悩んでから選んだのは鎖、ルイズ自身は趣味の乗馬で鞭を使っていたからと朗らかに理由を述べていたが、趣味の延長線で人を殴ろうとする発想にシエスタとポップは戦慄していた。
そもそも暗黒闘気の使い手が真っ当な思考回路の持ち主であるはずもなく、父の敵と誤解していたアバンへの復讐心を滾らせていた頃の兄弟子みたいなのが標準仕様であり、劣等感を拗らせながらもここまで素直に育ったルイズは根が良い子なのだと感心するのと同時に、何故か怯えながら謝り始めたシエスタを見て首を傾げる。
そんな事を思い出しながら入浴していたポップに報告会を兼ねた晩餐の招待が届き、どうせなら正装するかと輝きの杖と魔導士のマントを装備してルイズとコルベールの胃壁に大ダメージを与えるのだが、平民だからと誘われなかったシエスタや元より貴族かそれに近い人物と考えていた他の人々は顔色の悪い両名を見て不思議そうに首を傾げていた。
精霊魔法は異端になるのではと思わなくもないですが、トリステインの人々は異端=亜人や先住魔法のイメージが強く前例がない事柄(原作ならサイトのパソコンとか場違いな工芸品)には疎いと解釈しており、ルイズやコルベールは互換性があるから東方に伝わった系統魔法の亜種だろうと判断しました。
本作ポップはアバンの元で一年間も修行したのに遊んでばかりだったと後悔していますが、本気で遊び呆けていただけなら
ポップが
それとインフレバトルを生き抜いた反動で死ななきゃ安い的な価値観に染まったポップは、脅かし抜きに怪我をさせても後で治すから問題なしと考えており、さすがに顔や急所は避けているもののそれ以外の箇所は普通に攻撃していました。
また、暗黒闘気を受け入れている他の理由として、超魔生物になった後のハドラーやミストバーンなどの存在は悪だが卑劣な下種野郎ではない存在に対し、過去の自分も含めて弱さを盾に自分の都合ばかりわめき立てる人々を何人も見て来たからであり、自分よりも深刻なコンプレックスを持つルイズにどんな言葉を掛ければ良いか思い付かなかったからでもあります。