高性能な愛車と異世界で最高の一杯を! 作:テニス歴0年 HORIO
コンコン
硝子と手の甲が奏でるノック音で目が覚める、二日酔いのように頭が痛く瞼が重い…
「ケイくん、大丈夫ー?生きてるー?」
ドアの外でエっさんが窓をノックしていたようだ、窓を下げエっさんに大丈夫だということを伝える
「こっちは、そのー…魔力切れで倒れちゃったけどなんとかなったみたい…、それよりエっさんの方はどうだった」
「ケイくんがインフェルノウルフの気を惹いてくれたお陰で死人は出てないよ」
死人が出てないという報告にホッとする、
「で、これケイくんがやったの?」
エっさんが車の前方を指差す、インフェルノのウルフが吹っ飛んでった方向、俺もその方向へ目を向ける
「…殺ったのは俺とエナです…あれをやったのはたぶんモチかな?」
目線の先にはインフェルノウルフの死骸…強者ツワモノが今ではただの物になってしまっている
角、牙、骨、毛皮、などが警察の押収品の様に規則正しく綺麗に並べられている、牙の向きまできっちりと綺麗に揃えているかなり几帳面だ
スッと目線をモチの方へと向ける…俺にはわかるこのスライム顔は無いけどめっちゃドヤ顔している、ついでにこうして外にでたよって得意気にボタンを押して窓をウィーンウィーンさせてる
「まー何となくあの剥ぎ取りはモチちゃんだと思ったよ、でもどうやって倒したのさ…ケイくんスゴいな」
「なんかこう、どかっとぶつかってビーーって倒したんですけど…正直いっぱいいっぱいすぎて余り覚えて無いです…」
「そうか…でもありがとさん、大きな被害が出て無いのが何よりだわ、森のクイーン討伐は無事終わったし、ケイくんがキング種のインフェルノウルフ倒してくれたし一応一件落着って事だ、お疲れさん」
やっぱりクイーン種は森に居たんだな…アイツとつがいだったんだろうか?森でクイーン種との戦いが終わり、 エっさんが中心になって隊を組んで俺の救援に来てくれたそうだ、その気持ちが嬉しかったりする、インフェルノウルフの素材の周りをごっつい強そうな男達がどれくらいの金額になるか話している 救援に来てくれたメンバー達だろう、これはなんかお礼しないとな
「ケイくん、取り合えず無事の報告をしに森に戻ろうや、トランクにあれを積んで出発で良いか?」
「了解です、トランクに積んできます」
「おっさん達も手伝うわ、素材的に結構な額になると思うからお酒でも奢ってよ」
「俺を助けに来てくれた皆さんにもお酒奢ったらお礼になますかね?」
「実質助けに来ただけで助けて無いからそこまで気にしなくてもいいんで無いの?、それに討伐お疲れ様会で皆にラーメン作ってくれるんでしょ、冒険者って基本食いしん坊で大飯喰らいが多いからお礼って意味ではうまい飯の食べ放題ってのは喜ぶんでないの」
「…頑張ってラーメン完成させます、なんかプレッシャーだな…」
「期待してるよ ケイくん」
そんな話をしながら解体された毛皮などを積み込んでいった
ーーーーーー
「うっわ、山みたい…あれ全部モンスターの死骸とか…エグいな…」
森に近付き見えてきたのは討伐隊人たちとたんまり積まれたレッドウルフの死骸、何時もならここまで集めないそうだが腕のいい剥ぎ師と優秀な運び屋がいるので集めれるだけ集めたらしい
「おー、ケイくんこっちこっち」
手を降って俺を呼ぶ声、ギルマスのグランさんだ…陽気に呼ぶ声につられ目を向けた俺は固まってしまう
「ふはは、これか、やられちまったわ」
手を降っていた方とは逆の左手が肩から先が無かった…治療が終わってあり包帯が綺麗に巻かれてある
「笑ってる場合ですか…大事じゃ無いですか…」
「部下助けた時にあのキング種にガブってな、若い命に比べたら俺の左手なんて安いもんだって」
グランさんの目線の先を見ると片足の無い17~8くらいの若い男性がいる、周りの冒険者メンバーと話しているが空元気で喋っている様に見える
「いやー、でも群れにまさかキング種もいるとはな、普通キング種は群れないしクイーン種と縄張り関係的に仲が悪いんだけどなー 想定外 …甘く見てた完全に俺のミスだわ」
右手で頭を掻きながら呟くグランさん、指揮を取っていたのでかな気にしているようだ、冒険者というのは基本自己責任ハイリスクハイリターンな職種だ、今回も町の兵士以外の人は高い報酬目当てで参加している…だがこの若い冒険者の大ケガに責任感じてるようだ
「欠損部分の治療は大司教レベルじゃないと治らないからな…おっさんの貯金全部使っても治療費足りんわ」
「あー、若い冒険者なら尚更払え無いだろうな、ギルマスの権限で働き口融通出来たらいいんだが…」
「まー次の働き口も大切だけど取り合えず今回の報酬額を少しでも増やしてあげましょうや、って訳でモチちゃんお頼み申し上げます」
エっさんがモチの入った鍋の蓋を開けてレッドウルフの山を見せる、ポンポン ポン と分裂して登山を開始する分体達 頑張れモチ
「はいはい、おっさん達も手伝うけど荷物を積めるのはケイくん一人だけなんだから作業開始するよ、素材だけじゃなくて帰りの荷物の積み込みもあるから」
「…了解です」
数をこなして慣れてきた素材の積み込み作業に取りかかる、バケツリレーの様に運ばれてくる素材をトランクに入れていく
すると素材や荷物に紛れてハンスさんと領主のブルーノさんが何かを抱えて近付いてくる、…シスターの二人アンジュさんとキイナさんかな?頬に傷のある強面男が気を失った女性を運んでたらパッと見 犯罪みたいに感じる…
「どうしたんですか?」
ブルーノさんに問いかける
「今回この二人の治癒術に本当に助けられてな、くそ不味い魔力薬飲みながらも頑張ってくれてな 今は魔力切れでこの通りだ、帰りくらいはゆっくり休んで欲しいと思ってな、この車で送ってやってくれ」
「分かりましたそのまま後部座席に座ってもらってゆっくり寝てもらってください」
「ああ、よろしくな」
ブルーノさんとハンスさんがシスター二人を車に乗せていく、まったく起きる気配がないのは本当にギリギリまで魔力使って治療していたからだろう
「ケイくん、彼も頼む 足の傷が開くといけねーから揺れ無いこの車で町まで送ってやってくれ」
仲間の冒険者に両肩を貸してもらいながら片足を失った若い冒険者がこっちにくる、ギルマスのグランさんがここまで案内したようだ
「すいません、お世話になります…」
「はい、前の席に座ってゆっくり休んでてください」
荷物をトランクに入れながら返事をする
「ありがとうございます…」
助手席に座った、若い冒険者くんはムックという名前らしい、ガチャピ○のような黄緑色の髪をした真面目そうなイメージの人物、顔面の偏差値は高い
「じゃあ彼を頼む」
そう言ってグランさん達は帰る準備しに戻っていく、頼まれたからにはしっかりと安全運転で帰ろうと思う
それにしても山の様に運ばれてくる素材と荷物…まだまだこの積み込み作業は終わりそうにない(泣)
俺も魔力切れのせいかそれなりにしんどいんだけどな…