高性能な愛車と異世界で最高の一杯を! 作:テニス歴0年 HORIO
麺 良し、スープ 良し、チャーシューとかも準備OK
スタッフ達も指定の位置に付き準備は万端、後は領主ブルーノさんによるお祭りの開会宣言を待つばかりだ
各地方で行われるこのような料理祭りは料理大会に似た意味合いを持っていて、旅の料理人や町の料理人達がその腕を競い合い順位を決める、○○町の祭りで賞を取ったと言うのがそのまま料理人のステータスになるのだ
受賞部門は二つ、ゴールデンエッグ賞とジュエルエッグ賞の二つ
ゴールデンエッグ賞は単純に売り上げの金額1位と言うモノ、高級路線でいくも良し、安く多売りしても良し、売り上げ金がモノを言う商売上手の証
もう1つのジュエルエッグ賞は投票によって決められる賞、祭り参加者にひとり1票配られる投票用紙に美味しかったお店を選び○を着けて広場の真ん中にある投票箱に入れ、祭りの最後に集計され発表される
狙うのは勿論 味で評価されるジュエルエッグ賞だ
「おっさん聞いてなかったんだけど今年のトータスの宝石は何て?」
「緑王石ですよ、球体で採れる事の多い鉱石なんですが丁度綺麗で大きなな卵形のが採れたのでジュエルエッグにピッタリだなって事で決めたそうです この前ブルーノさん飲み会でそう言ってましたよ」
エっさんとマルクさんが俺の出店の前で雑談している、ブルーノさんが壇上で賞の説明をしてる、賞状の横にあるあの黒っぽい卵形のヤツが緑王石なのかな?その年々によって領主が決めるらしい、ついでにゴールデンエッグの方はとなりにある単純に金で出来た卵型のヤツだ
「もー始まるな、ケイくん今日は頑張ってねー、おっさん達はケイくんのラーメンから始まって全部のお店を制覇してくるから」
ぷるぷる
最前列のモチとエっさんも戦闘態勢ばっちりのようだ 、エっさんは食べる事が趣味だし、モチもよく食べるから楽しみなのだろう、現にモチは触手で自分のお財布を持ち小踊りしている
「それにしてもケイくんの「ラーメン屋」にはすでにおっさん達の後ろに長い列が出来てるからスタートダッシュはばっちりだね」
「…あれは生殺しみたいなモノでしたしね…私は前日に食べることが出来ましたがお預けの人達は可哀想でしたよ、泣いてた女性もいましたし…」
「…申し訳なさで心が痛かった…」
三日前の初ラーメン提供時、予定ではエっさん含むいつものメンバーとその他お世話になった皆さん用にラーメンを作った為、祭りほど多くの量を準備していなかったのが問題だった、旅の人たちなど関係無い人達も列に並んでしまい一時パニックになったほどだ
「ある意味良い宣伝でしたね」
「…すいません」
長い列を見てさらに申し訳なさが出てくる、対応として「三日前の被害者です」と申告していただくと通常料金のエレス銅貨7枚(約700円)で麺大盛でチャーシューなどのトッピング増し増しにすることが出来るようになっている
そんな話しをしていると、会場の雰囲気が変わる、いよいよスタートのようだ
「…それでは、トータス料理祭り開催します」
壇上にいた魔法使いの人が空に花火のような魔法を放ち、料理祭りが始まった
それと同時に、お客の注文が一気に始まる
「ラーメン2つ」(エっさんとモチ)
「ギョーザセットを、三日前の被害者です」
「ラーメン1つで、三日前の被害者です」
「是非 ギョーザセットをお願いします!、私も三日前の被害者です」
「ギョーザとラーメンハーフをお願いします、三日前の被害者ですわ」
「ギョーザセットに単品でギョーザもう1つ、俺も三日前の被害者だ」
「ラーメン1つ、三日前の被害者です」
………
エナと「今日は商会が休みで暇なので恩を売りますよ」と言って手伝ってくれているマルクさんとのコンビが注文を聞いて、注文を記録して分りやすく番号で管理をしてくれている、
メニューは
・ラーメン = エレス銅貨7枚
・ラーメン ハーフ =エレス銅貨4枚
・ギョーザ = エレス銅貨3枚
・ライス = エレス銅貨2枚
・ギョーザセット (ラーメン、ギョーザ、ライス) = エレス銀貨1枚
となっている、ついでに銀貨は約1000円、銅貨は約100円だ
魔物食材を使ってる為、利益的にけっこうギリギリの価格ではあるが、このお祭りはこの価格でいくと決めた、ついでにライスはクラウス商会にわがまま言って仕入れてもらいました…時間と人があったらチャーハンセットとかも出来たかもしれない…しかし今はそれ所じゃないね…
おやっさんの店で鍛えられた、ラーメンづくりの腕をフルに使って、大量にやってくる注文を聞き、一杯一杯に魂を込めてラーメンをつくっていく
隣ではギョーザ担当のムック君が同じく魂を込めてギョーザを焼いている
ザッッザ
降りザルと共に水しぶきが舞い、琥珀色のスープに鮮やかな黄色い麺が絡み合う、その上に飾り付けられるチャーシューや玉子、ネギの鮮やかさがその見た目から食欲を刺激する
「1番さん2つに 2番さんの大です、お願いします」
「はい」
給仕をしてくれている、ロメオ君のママ ナタリーさんに出来上がったラーメンを任せ、次のラーメンへと取りかかる
…「45番さん大 と46番さん上がりました お願いします」
「はい」
運ばれていくラーメン、今日はこの忙しさが終始続くのだろう、チラッと列を見ると少しずつ長くなっているのがわかる
戦場のような忙しさを大変と感じる半面、その倍以上の嬉しさや喜びを感じている、エルフぽっい人にドワーフみたいな人 老若男女問わず 俺のラーメンを楽しむ姿がカウンター越しからでも確認できる、この世界にもラーメンが受け入れてもらえたと実感する光景
パン パンッ
にやにやしてるであろう顔を引き締める為に 頬を叩き気合いを入れまた調理に取りかかる
なにより俺がその光景をもっともっとたくさん見たいからだ
「さー 頑張ろう」