この素晴らしい世界をキレッぽい友人と!   作:憲彦

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またどこかで読みきり版を乗せます。




キャ~べキャベキャベキャベツ

「緊急クエスト?何かやべぇ敵でも出てきたのか?」

 

 取り敢えず、流れに従って准たちも正門に向かって走っていった。腕はアレな連中が多くても数だけはあるアクセルの冒険者たちも、装備をガチガチに固めて気合いが入っている。それまでに強烈な何かが来るのだろう。

 

「……ん?」

 

「なんだ?何が来るんだ!?」

 

「皆は私が守る。カズマも、私から離れないでくれ」

 

 随分と離れているが、緑色の何かの大群が結構な勢いで飛んできているのが確認できた。それを見た冒険者達の気合いは、一気に高くなってきている。

 

「緊急クエストって何だ?モンスターの襲撃なのか?」

 

「言ってなかったっけ?」

 

 そう言いながら、アクアは物凄く大きな篭を持ってきて狼狽えているカズマに説明をした。

 

「キャベツよキャベツ」

 

「は?」

 

「今年は荒れるぞ~……」

 

「嵐が、来る」

 

「「「「収穫だァァァァァア!!!」」」」

 

「マヨネーズ持って来ぉぉぉおい」

 

「な、なんじゃこりゃァァァァァア!!!」

 

「あぁ。あの生きたキャベツか」

 

「なんでお前は知ってんだよ!?」

 

 驚くカズマとは対照的に、准はかなり落ち着いていた。しかも見たことがある様な口振りだ。

 

「この前の散歩の時に見付けてな。生きてるキャベツ。腹減ってたから捕まえて締めてから食べた。旨かったぞ」

 

「それは野良キャベツね。栄養が溜まりすぎたキャベツで、たまに本来の時季よりも早くに飛んできちゃうの。スッゴいレア物よ」

 

「そう言えば、食っただけでレベルが4も上がったな。ビジュアルがアレだったから少し心が痛んだが……」

 

 まぁそんなわけで始まった全員参加の緊急クエスト。【街に飛来したキャベツを全て収穫せよ】開始である。

 

「この世界のキャベツってマジでどうなってんだよ!」

 

 早い話が、収穫の時期になって味が濃縮したキャベツ達が、簡単に食われては堪るかと抵抗。空を飛び、街や草原を疾走し、大陸を渡って海を越えて、最期は人知れぬ秘境の奥で、誰にも食べられずに息を引き取るとの事。

 

 毎年恒例のこのクエストは、そんなキャベツ達を一玉でも多く捕まえて、美味しく食してしまおうと言うことだ。因みに、放置した場合は街への被害も計り知れない為、それを防ぐと言う意味もある。考えても見てほしい。そこそこの大きさと質量を兼ね備えた物が高速で飛んでくるのだ。しかもそれが大量に。それは言わば、街を360度ぐるりと大砲で囲み、絶え間無く撃ち込む様なもの。人的被害が出ても可笑しくないレベルである。

 

『皆さ~ん!今年もキャベツの収穫時気がやって来ました~!今年のキャベツは出来が良く、一玉の収穫につき1万エリスで~す!できるだけ多くのキャベツを捕まえ、ここに納めてください』

 

 用意されているのは水の張られた巨大な檻。鮮度を保つための水の様だ。

 

「俺、もう帰って寝てもいいかな~?」

 

 既にやる気を無くしているカズマだったが、そこにダクネスがやって来て、クルセイダーとしての実力を見てくれと言ってきた。

 

「行くぞ!」

 

 剣を持って走りだし、キャベツ目掛けて全力で振っていく。が、全然当たらない。掠りもしていない。全部空振りである。

 

(全然当たらないじゃん!)

 

「ウワァァア!!」

 

「ッ!?」

 

 カズマがダクネスの動きにそんな感想を持ったとき、すぐ近くで他の冒険者がキャベツにやられてしまった。勢いのあるキャベツをその身に受けたことで、倒れてしまった様だ。良く見ると大量の負傷者がでている。そんな冒険者を仕留めるため、勢いを付けたキャベツが迫ってくる。

 

「危ない!」

 

 ベキャッ!

 

 倒れている冒険者と迫り来るキャベツの間に、ダクネスが立ち塞がった。重みがあると同時に物凄く聞きたくない生々しい音が辺りに響いた。

 

「ここは私が!今の内にッ!」

 

 剣を捨てて、腕でガードしながらキャベツ達の猛攻を防いでいた。威力が余りに大きいせいか、鎧が徐々に剥がれていっている。

 

「不味い鎧が!……ん?」

 

 この時、カズマは何かに気づいてしまった。周りがダクネスの身を案じて逃げることを促したり、騎士の鑑とまで言っているが、カズマは分かっていた。ダクネスが興奮して自身の欲求を満たすためだけに盾になっていると言うことに。

 

 そしてその頃、准はと言うと。

 

「よっと」

 

 キャベツを光剣でスパスパと斬っていた。普通の剣ではない為か、キャベツの断面図が少し焼けている。

 

「そこの妙な剣を使ってる兄ちゃん!」

 

「ん?なんだ?」

 

「断面が焼けるとキャベツの値段が下がっちまう!なるべく傷は少なくしろ!」

 

「成る程。なら……オラァ!」

 

 その注意を受けて光剣をしまうと、拳を構えて自分に飛んできたキャベツに右ストレートをかました。するとキャベツは綺麗に反対方向に飛んでいき、他のキャベツと衝突。その衝突して飛んでいったキャベツがまた別のキャベツと衝突し、それが連鎖的に広がっていくと言う、ビリヤードのトリックショットの様な光景が出来上がった。

 

「こう言う感じか?」

 

「お、おう……」

 

 アドバイスしてくれた冒険者が若干引いている。そもそもの話、そんなことをしたら拳が砕けてしまうのだが、何故か准は平然としていた。

 

「いや~。大量大量。もう90個は行ったか?」

 

 篭に詰めては届け、詰めては届けを繰り返し、大量のキャベツ達を檻の中へと入れていく准。勿論真っ二つにしてしまった物も持っていく。今日の晩飯にするつもりだ。

 

「ん?なんか急に空気の流れが変わったような……」

 

「こりゃあ、誰かがデカイ魔法を撃とうとしてるからだな」

 

「そうなのか?」

 

「あぁ。強大な魔法は、周りの空間にも影響を与えるからな。きっと、キャベツ共にスゲーのをぶちかますつもりなんだろうよ」

 

「ほぅ~」

 

 近くにいた先輩冒険者の話を聞いて、納得していた准だが、とてつもなく重要な事に気付いた。

 

「ん?おい待て。それって、最前線に味方がいるのに広範囲の攻撃魔法を撃とうとしてるって事だよな」

 

「そうなるな」

 

 それを確認すると、急いで後ろを振り返り、どの魔法使いが魔法を撃とうとしているのかを確認した。

 

「光に覆われし漆黒よ……夜を纏いし爆炎よ……紅魔の名の下に原初の崩壊を顕現す。終焉の王国の地に力の根元を陰徳せし者、我が前に統べよ!エクスプロォォォオジョン!!」

 

「テメェかよォォォォォォオ!!!」

 

 叫ぶ准であったが、その声は強烈な爆発音と熱波で掻き消されてしまった。そしてこの魔法を最後に、このクエストは無事に終了。前年比を圧倒的に上回る量のキャベツ収穫に成功した。それと同時に、負傷者の数も記録を更新したのは、言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日の夜。

 

(納得いかねぇ~。何でただのキャベツの野菜炒めが、こんなに旨いんだ……俺はキャベツと戦うために異世界に来た訳じゃない~!)

 

 キャベツの野菜炒めが旨いこと、そしてキャベツと戦闘したことを嘆きながら食事をしていた。他のメンバーは互いに今回のクエストでの活躍を称え合っている。

 

 ここで判明したのだが、アクアはキャベツを収穫しつつ、得意の宴会芸スキルの花鳥風月で冒険者達の士気を高めつつ、冷水でキャベツの鮮度を保つ手伝いをしていたそうだ。

 

 そして盾として活躍していたダクネスだが、キャベツの群れを消し飛ばした爆裂魔法の直撃を受けていたそうだ。なのに無傷でケロッとしている。だが、同じく爆裂魔法の直撃を受けた准は、物凄く不機嫌そうな顔で自分が真っ二つにしたキャベツを生でかじっていた。

 

「前線に味方がいるのに爆裂魔法とか言うのを撃つバカがどこにいるんだよ」

 

「ウグッ……!し、しかし!あの状況で撃たないなんて選択肢はありません!むしろ!アレほどの大群を見て我慢しろと言う方が無理です!!」

 

「おい。それ以上デケェ声で喋ったら壁にめり込ませるぞ。テメェのせいでこっちは貴重な快復ポーション使ったんだぞ。ポーション自体が貴重だっつぅのに、この損失どうしてくれるんだ?」

 

「なら私の所まで来れば良かったのに。一瞬で治せたわよ?」

 

「こっちが居たのは最前線だ。お前らのいるところまで下がってたら、その間にくたばってるよ」

 

 以上が、不機嫌な顔でキャベツを食っていた理由である。アレに関しては本当に災難でしかない。使ったポーションは怪我とHP、バッドステータス全てを回復させてくれる高級ポーション。1本数百万エリスはする代物だ。自身の貯金が1千万エリスを越えた記念に2本購入したのだ。それを一緒にいた先輩冒険者にも渡した。そう考えるとえげつない損失である。

 

 そんなごちゃごちゃして巨大な損失を産んだ今回のクエストだったが、何故か皆楽しそうな顔をして笑っている。

 

「カズマ!貴方も中々のものだったわよ!」

 

「確かに……潜伏スキルで気配を消して、背後に回り込みスティールで強襲する……その姿は、まるで鮮やかな暗殺者の如しです!」

 

「カズマ。私の名において、貴方に華麗なるキャベツ泥棒の称号を授けてあげるわ!」

 

「喧しいわ!!あぁもう!どうしてこうなった?!」

 

「生まれつきだろ。お前らしい」

 

「兎に角、皆に私のクルセイダーとしての実力が分かって貰えて何よりだ。では改めて、名はダクネス。一応両手剣を使っているが、戦力としては期待しないでくれ。なにせ、不器用すぎて攻撃がほとんど当たらん。だが!壁になるのは大得意だ!」

 

「うちのパーティーも中々豪華な顔ぶれになってきたじゃない!アークプリーストの私に、アークウィザードのめぐみん。そしてクルセイダーのダクネス。5人中3人が上級職のパーティーなんてそうそう無いわよ?きっと最強よ!」

 

「う~~~~ん……」

 

「勿論、このパーティー、いや、この街で1番頭が切れると言っても過言でないカズマや、レベルと戦闘力がブッ飛んでる准がいてこそだけどね」

 

 とは言っても、冷静に見れば欠陥だらけのパーティーだ。それに新メンバーのダクネスに至っては、ドM発言でカズマを困らせている。

 

「はぁ……まぁ、これもこれでアリなのかな」

 

「お前にしては前向きだな」

 

「そうか?でも、楽しくなりそうな気はしてるよ。スッゲェ不穏だけど」

 

「まとめ役はいつも苦労するな。まぁ頑張れ。手伝いはしないが応援はしてやる。あと、借金は忘れるなよ」




昨日を久し振りに映画を観に行ったんですよ。ドラえもんの新恐竜。スゴく面白かったです。勢いで小説の方も買いました。大人が見ても楽しめる映画でした。ただ1つ気に入らない事が。まぁ仕方ないと言えば仕方ないですけど、上映中に子供が大声で喋るんですよ。しかも途中で飽きたのか大声で泣き出すのまで現れるし、極め付きはエンディングが流れてる途中にスマホを弄るのまで現れまして……静かに映画を楽しみたかったのに、ちょっとイラッと来ました。今度映画を観るときは人の少ない時間帯を狙おうかなと思いました。

まぁそんなことは置いといて、次回もお楽しみに!感想や評価、お気に入り登録もよろしくお願いします!!

活動報告でスキルや魔法、新タイトルを募集しています。そっちも応募お願いします!
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カズマの現在の借金
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